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高機能広汎性発達障害児におけるライフスキルトレーニングの実践的研究

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Academic year: 2021

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(1)高機能広汎性発達障害児におけるライフスキルトレーニングの実践的研究                                    特別支援教育学専攻                                      心身障害コース                                          M08110K                                         本田 侑子. I.問題と目的. 歳3ヵ月、社会生活指数(SQ)90であった。.  近年、ノーマライゼーションの思想が社会に浸透し.  対象児B:通常学級に在籍する高機能広汎性発達障. つつあり、発達に轄のある人々が燃上会で生活す. 害の診断を受けた小学校5年生男児WISC一皿の結果は、. ることに多くの関心が払われるようになってきた(志. FIQ114,VIQ113,PIQ113であった。指導開始時のS−M. 賀,1990)。. 社会生活能力検査の結果は、社会生活年令(SA)11歳2.  このような流れの中で、応用行動分析学においても、. ヵ月、社会生活指数(SQ)98であった。. 個々の生活スキルに焦点を当てた様々なトレーニング. 2.デザイン及び手続き. が行われてきている。しかし、社会生活では個々のス. 1)アセスメントと標的スキルの選定. キルだけでなく、複数のスキルを連鎖化し、行動とし.   保護者と対象児へのアンケートと聞き取り、対象. て確立することが必要とされており、活動のごく一部. 児との話し合いを基にトレーニングの最終目標となる. のみのスキルを抽出し、トレーニングする方法では、. 「夏に出かける場所」を決定した。必要となる下位スキ. 日常生活への般化が難しいと考えられる(志賀,1990)。. ルについても対象児自身が選択した。対象児が選択し.  小貫(2006)はこれらを指導する方法の一つとして、. たスキルの中から、標的スキルを選定しトレーニング. トップダウン方式を用いたライフスキルトレーニング. 内容を決定した。トップダウン方式によるトレーニン. という概念を新たな指導体系として提案している。ラ. グの概要をFig.1に示した。. イフスキルトレーニングとは、「不特定多数の人からな 最終目標(夏にでかける). る一般社会の中で適切な対人関係、社会参加、自己確 立、自立を達成するために必要となるスキルを習得し. 発揮できることを目的としたトレーニングを行うこ と」である。 下位スキル.  社会自立という長期的な視点から考えた場合にも、. 下位スキル. 下位スキル. 下位スキル. ライフスキルのトレーニングを行うことは重要であり、. 獲得したスキルを使って、地域資源を活用できるよう. Fig.1 トップダウン方式によるトレーニングの概要. になることや余暇活動の幅が拡大することなどの期待 も考えられる。. そこで、本職では、2名の高機能広汎性鶏轄. 2)トレーニングの手続き  トレーニングは、(a)机上学習(テーマに関する知識. 児を対象として、小貫(2009)や安川ら(2004)の研究を. の学習)、(b)センター内でのロールプレイ等によるシ. 参考に、複数のスキルを組み合わせたトレーニングを. ミュレーション学習、(C)実地、(d)ホームワークの流. 実施し、その効果の検討を行う。そして、トレーニン. れで構成し、個別で実施した。各対象児において、最. グしたスキルが、実際の生活場面に般化するか検証す. 終目標達成のために必要な4つの下位スキルを標的と. ることを目的とする。. し、トレーニングを行った。対象児Aのトレーニング. 1I.方法. の内容をTab1e1に示した。. 1.対象児.  対象児A:特別支援学級に在籍する高機能広汎性発 達障害の診断を受けた小学校5年生男児。WISC一皿の結. 果は、FIQ82,VIQ77,PIQ92であった。指導開女鋳の S−M社会生活能力検査の結果は、社会生活年令(SA)10. 218一.

(2) Table1対象児Aのトレーニング内容 回数             テーマ ・アセスメント ・夏に出かける予定をたてよう. 時間管理スキル{1目のスケジュールをたてよう). lV.考察 1.スキルの獲得におけるトレーニング方法の有効性  有効であった点としては、トレーニングを①机上学. 習、②実地、③ホームワークの3点を含めた内容で構. 家事遂行スキル(買い物に行こう〕 4 生活関連システム理解スキル{施設の予約をしよう〕 交通システム理解スキル{バスの利用の仕方を知ろう). 6 デイキャンプに行く予定を立てよう テスト1(デイキャンブ). 成したことが考えられた。. 机上学習では、スキルの遂行に必要な行動項目を文 字として視覚的に提示したことで、行動の流れを把握 することができ、行動連鎖を確立する際の手がかりと.    8 テスト2(デイキャンプ〕. なったことが考えられた。さらに、スキル達成度につ. 3)テスト1. いて、セルフチェックを行ったことにより、スキルを.  最終目標である「夏に出かける場所」へ行き、トレー. 体験しただけで終わるのではなく、自分の行動を振り. ニングしたスキルを獲得できているか検証した。. 返り、一時的なスキルの獲得から、スキルの定着化へ. 4)テスト2. と結びっいたと考えられた。.  般化テストとして、テスト1と同しスキルを活用し.  2点目の実地では、スキル遂行のリハーサルを行い、. て行くことのできる異なる場所へ行き、スキルの維持. 指導者から強化を受けたことが対象児のスキル遂行に. を検証した。. つながり、スキルの獲得において有効であったと考え. 5)評価方法. られた。.  (1)トレーニングの遂行状況、(2)ホームワークの.  3つ目は、ホームワークを実施したことである。ス. 実施状況、(3)テストの遂行状況、(4)保護者、対象児. キルの獲得において、スキルを遂行する機会が多く確. への事後アンケートの4点により行った。. 保されているということは、重要なことである。それ. 皿.結果. と同時に、保護者からの教示やモデル提示、即時のフ. 1.テストの結果. ィードバックなどが行われていたことがスキルの獲得.  机上学習、センター内でのロールプレイ等によるシ. において有効であったと考えられた。. ミュレーション学習、実地、ホームワークを組み合わ. 2.テスト場面におけるスキル遂行の促進要因と阻害. せたトレーニングを行った結果、対象児AとBは、日.   要因. 常生活場面において、トレーニングしたスキルを連鎖.  対象児に対する周囲の人からナチュラルサポート. させて遂行することが可能になった。. が行われた結果、スキルを遂行することが可能であっ.  対象児Aにおいては、テスト時にプロンプトありで. たことから、周囲からのナチュラルサポートは、スキ. あった項目がテスト2には、自発で遂行できていたり、. ルの遂行に大きな影響を与えていたと考えられた。し. 謀反応を示したスキルに関して保護者と話し合いをし. かし、対象児Aが周囲から「早くしてください」などの. たりするなどの行動が生起していた。また、対象児B. 言語反応によって行動を急かされた結果、自発可能で. においも、テスト2において自発で遂行したスキルが. あったスキルにおいて謀反応を示したことから、阻害. 増加した。. 要因として機能する場合もあることが示唆された。. 2.日常場面への般化・維持に関する結果. 3.今後の課題.  対象児Aは、提示したホームワークを家庭で実行す.  自立した生活を送る上では、対象児が自ら、地域の. ることができていたが、日常生活で自発的にトレーニ. 人にコミュニケートすることが重要であり、事前の指. ングしたスキルを遂行する行動の生起頻度は低かった。. 導が必要であると考えられた。また、対象児へのトレ. しかし、トレーニングについて家庭で話すなどの言語. ーニングとともに、社会環境への介入や呆護者、周囲. 反応はみられた。. の人の行動変容という観点を考慮し、トレーニングを.  対象児Bは、日常生活においてトレーニングしたス. 行っていくことが今後の課題である。. キルを遂行する行動の生起頻度は高かった。また、家 庭でもトレーニング内容について話題になることがあ. 主任指導教員 丼澤億三. り、トレーニングしたスキルを使って、祖母と外出す. 指導教員井澤信三. る行動も生起していた。. 219一.

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