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高等学校日本史における伝統と文化に関する授業構成と授業開発 : 中世・近世の伝統と文化に関する授業事例を手がかりに

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Academic year: 2021

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(1)高等学校目本史における伝統と文化に関する授業構成と授業開発  ∼中世・近世の伝統と文化に関する授業事例を手がかりに∼                              教育内容・方法開発専攻                               認識形成系教育コース.                               M11145D安田博貴 【研究の動機と目的】. 【論文の構成】.  教育基本法が改定され、我が国の歴史、特に伝統. 序章 問題の所存と研究方法. と文化を重視した教育衝からの改善が望まれている。. 第I章 高等学校日本史における伝統と文化の教科. 伝統や文化は日本の歴史において、当時の政治や社.     書内容の分析と課題. 会経済・世界・文化との密接なつながりによって成.  第1節 教科書内容の分析. 立してきたため、伝統や文化を学習するということ.  第2節 教科書内容の課題. は日本史を学ぶ上において、重要な役割を担ってお. 第1I草高等学校日本史における伝統と文化に関す. り、自国の歴史認識をより豊かにすることができる。.     る授業構成の性格と課題.  本研究のr伝統と文化」の定義は、「狭義の文化概.  第1節 中世・近世の授業構成の性格. 念を中心とした内容領域」いわゆる文化史として設.  第2節 中世・近世の授業構成の課題. 定する。歴史教育における文化史学習の困難性は以. 第皿輩 高聾学校日本史における伝統と文化に関す. 前から叫ばれており、系統的通史学習のデメリット.     る授業モデルの開発. である、反復学習による画一的で学習者にとって退.  第1節 授業開発視点. 屈な授業と、内容過多による時問不足、それに伴う.  第2節 授業モデルの開発事例. 教師主導の講義型の授業方法のしわ寄せを受けやす. 終章 研究の成果と今後の課題. い。特に中世と近世は社会経済の発展による時代構. 【研究の概要】. 造の複雑化によって、内容過多と因果関係の交錯が.  第I章では、高校日本史の伝統と文化に関する現. 見られ、より文化領域が疎遠になる可能性がある。. 行の教科書の分析と新しい周本史Bにおける伝統と. 以上が文化史の学習の現状である躰従って国際社会. 文化の動向に遣った。その内容を視野に入れた上で. に主体的に生きる日本人の資質形成を養うために伝. 新しい日本史Bの伝統と文化に関する教科書レベル. 統と文化が重視されるようになった日本史の学習で. での学習内容の課題を明らかにした。課題は以下の. は、従来の暗記を強要する羅列的な講義中心の学習. ように挙げられる。教科書は系統的通史学習による. から歴史に対する主体的関与を確保して文化創造を. 伝統と文化をまとめ学習のような形で、総合的に考. 目的とする教育改革が必要である。そのためには、. 察を行わせようとしている。つまり学習指導要領の. 伝統と文化を活用した豊かな日本史像が描ける授業. 意図する学習と同じ構造であるが、文化史の記載内. 展開を明確にするとともに、伝統と文化に関する学. 容は羅列的に事象名と作者、それに関する数行の説. 習・教材の提案を行わなければならない。. 明といった既習の知識が活用困難な形となっている。.  本研究の目的は、伝統と文化に関する授業実践の. 従って、学習指導要領での総合的な考察は多角的視. 授業構成を解明して、その性格と課題から伝統と文. 野は持っているものの、現行の教科書レベルではそ. 化を活用した高等学校日本史における授業モデルを. の視野を繋ぎきれない。従って、総合的な考察を学. 開発することである。. 習者に行わさせるために、複数の視点からアブロー.

(2) チされた内容を繋げる記載内容が今後の課題の課題. 指摘し、授業モデルを提示した。授業を開発するに. として挙げられる。また、バイカルチャーまではい. あたって、第I輩第皿章の研究成果を参考にしなが. かないものの、エリート的な文化事象が目立つこと. ら、特に学習者が歴史を間主観的なものとして捉え、. からも、階層的な広がりは兇出しにくい。学習指導. 主体的な学習を行うことによって知識を構築してい. 要領が重視するr下からの歴史」をより積極的に組. く教育観を重視した。そして、高等学校第2学年日. み込む必要があろう。しかし、以上の総合的な学習. 本史B「洛中洛外図屏風より近世初期の社会を捉え. に「下からの歴史」を組み込もうとすることによっ. る」の単元計画・授業計画を提示した。. て、更なる内容過多に陥る可能性がある。従って、. 【研究成果】. 通史学習の中に組み込むのではなく、テーマを設定. 1)日本史における教科書レベルでの伝統と文化に関. して主題学習という形で学習者に提示できるような.  する学習内容と新しい日本史の伝統と文化に関す. 内容構成が課題として挙げられる。.  る動向を明確にして、来年度からの教科書の課題.  第旺章では、伝統と文化に関する授業構成を授業1.  を提起したこと。. 実践事例をもとに分析し、その授業構成の性格と課. 2)伝統と文化の授業構成を授業事例から類型化を. 題を明らかにした。類型視点は、授業展開に関して.  行い、性格と課題を明確にすることによって、伝. 5つの型、授業内容に関して4つの認識内容から類.  統と文化の学習において構築型」の授業構成の. 型化を行った。そして収集した授業事例を参考にし.  有効性を提起したこと。. ながら授業構成の性格を指摘した。その申で、授業. 3)伝統と文化の教育内容を「構築型」の授業構成の. 展開に着目してその特性と課題を明らかにした。特.  基本的枠組みに従って、単元レベルで具体的に提. 性としては授業展開の5つの型(①総括型②深化型③.  起したこと。. 対比型④連鎖型⑤構築型)において⑤構築型の授業. 以上、3点の研究成果が挙げられた。従って、本研. が、文化創造を目的とする伝統と文化の学習に最も. 究は歴史学習において困難とされた文化史学習の改. 適していることを指摘した。課題としては、①総括. 善案を明確にして、これからの日本史教育における. 型では内容過多に陥りやすく、歴史を批判的に見る. 伝統と文化に関する方向性を示した点に意義がある. 間もなく事象の概要的な説明や理解にとどまりやす. と言える。. い。②深化型では、内容が単純化・単一化しやすく. なるという課題が残る。③対比型では、比較に重点. 【今後の課題】. を置きすぎると、学習者の思考や歴史認識は高まら.  本研究で明らかにしてきた授業構成は、中世・近. ない。④連鎖型では、理論が高度になりすぎると、. 世の時代に限られるものであり、古代や近代は研究. 学習内容の複雑化とそれに伴う内容過多により教師. 対象ではなかったため、伝統と文化のすべての問題. 主導の説明型に陥る可能性がある。⑤構築型では、. 点を克服してはいない。また、本研究で提示した授. 教師の指導力・生徒の学習意欲能力に左右されやす. 業モデルは仮説的なものであり、その有用性と問題. く一般化が困難であり、また学習者が授業の中心で. 点については、授業モデルを用いて実際に授業を行. あるため歴史認識が低次元にとどまる可能性がある. って明らかにし、その上で改善を行っていく必要が. ことを明らかにした。. ある。.  第皿章では、第2章で明らかとなった授業構成を.             主任指導教官 吉本剛典. 参考として、学習内容と学習方法の授業開発視点を.             指導教官   吉本剛典.

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