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アメリカ合衆国におけるESL社会科の発展 : 1980年代と2000年代のアメリカ史のテキスト構成の比較を通して

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(1)

『社

第21

号 2009

(pp.91-100)

アメリカ合衆国におけるES

L社会科の発展

-1980

年代と2000

年代のアメ

リカ史のテキス

ト構成の比較を通

して一

Development of Social Studies Lesson for ESL Class in the United States of America:

Through the Comparison of

the Struct

e of American History Textbooks in 1980s and 2000s

南 

浦 

涼 介

(広

I。は

じめに

外国人児童生徒と呼ばれ

,外国にルー

ツを持

つ子どもは年々増加

している

。彼らは,言語的

文化的に複

数の枠組み

を自身に内包

している子ど

もである

。こう

した子

どもたち

を考慮に入れ

ると

「 ̄

日本語を話す日本人

」という,教育学上の子ど

も観の前提は覆

され

,カ

リキュラム

レベルでも,

業レベル

でも

,変革が要請され

る起因となる。

社会科授業は

,外国人児童生徒にとってと

りわ

け困難な教科である

。それ

は,社会科授

業が彼

にとって

「言語の壁

」と厂

文化の壁」とい

,二

重の壁

を持

っているからである。

言語の壁

」とは

,社会科授

業が社会概念

を扱

うなど

,抽象的か

つ認知的な負担度も高いと言わ

る言語を多用する

ことによ

り起

因する壁である

(Cummins

& Swain,

1986)

。会話

レベルの

日本語

を習得

しても

,学習参加はできない。匚

日本語を

話す

」ことを前提に作られた

カリキ

ュラム

・授業

は,外国人児童生徒

らにとってこうした困難が

る。

「文化の壁

」とは,社会科授業の内容が

,教室

を構成する児童生徒や教師が共有する文化的文脈

に依存

して行われ

ることによ

り起

因す

る壁

である

社会科では

,専門語彙が語義的な意味のみ

で用

られず

,文化的意味をもって用いられる

(Weisman

& Hansen,

2008)

0例

えば

,匚

業」と

いう言葉は

,単に語義的な意味で使われるの

では

なく

,匚

農業」が持つ歴史的背景,社会的問題

含めた文脈

で使われ

。また

,理解のために

,日

本の

文化的文脈を教

え込まれ

ることは

,文化的同

化の危険性も有

している

。匚

日本人である」こと

を前提に作られた

カリキ

ュラム

・授業は

,外国人

児童生徒らにとってこうした困難がある

こうした子どもたちは

,日本語を習得すること

がまず優先され

,国語や社会など,言語的負担の

高い授業の時間に

,別教室に取り出され,日本語

授業が行われることが多い

。しか

し,彼らにとっ

,日本語を習得することは最終目的ではない。

日本語を通して行われる教科の学力の獲得こそが

必要であり

,そのためには,日本語学習と教科学

習の統合をどうするかが問題となる

(例えば

,斎

藤,

1999)

。このように,外国人児童生徒の社会

科には

,言語と文化の二重の壁を乗り越える,授

業構成に

ついての再検討が必要となる。

こうした問題意識を持ちながら

この課題を考え

るために

,これまで歴史的に移民を多く抱えてき

たアメリカ合衆国

(以下

,アメリカ)に着目する。

アメリカにおいて

,言語的マイノリティに対し

ての教育形態は

,目的的にも方法的にも多様だが,

大きく3つのタイプに分けることができる

1つ目は匚

同化型」と呼ぶことができる。匚

ブマ

ージョン」(submersion)

といわれる形態で

あり

,これは,言語的マイノリティに対する特別

な措置はなく

期待されるのは,英語習得,英語文化の習得であ

,通常クラスに入れられる。そこで

る。

2つ目は匚

支援付同化型

」と呼ぶことができる。

目的としては英語習得が目指されるものの

,その

プロセスとして英語習得のための支援がつくもの

である。これには大きく2つの方法がある。第

「 ̄

L」(English

as

a Second Language)

と呼

ばれる

,第二言語としての英語を習得させるため

の特別クラスの形態である。第2は,匚

移行型バ

イリンガル」(transitional bilingual education)

(2)

ある

。これは

,英語の習得

を最終

目的に置くもの

,母語

を活用

しなが

ら移行

させ

ることを目指

ている。

3つ目は

「 ̄

統合型」と呼ぶ

ことができる。

「 ̄

持型バイリンガル

」(maint

・ance bilingual

edu-cation)

という形態である

。これは生徒の少数派

言語

を伸ば

,文化的アイデンティティを強化す

ることを目指すもので

,少数

民族集団の権利を肯

定する教育である

。こうした形の維持型バイ

リン

ガルは

,同化を阻み

,かつ,マジ

ョリテ

ィの文化

ら離脱

,当該民族集団の文化内でのみ

生きる

のでもない

,2つの

文化の統合に結びつく。

アメ

リカでは,

1960

年代以降

,匚

支援付同化型」

や匚

統合型

」が増加

したが,

1990

年代以降は匚

合型

」が姿

を消

し,匚

支援付

同化型

」が中心となっ

いる

これ

は,

1990

年代

以降の匚

イン

リッシ

オンリ

」(English Only)

という運動の高揚が

原因と言われ

ている

。これは

,既存のバイ

リンガ

ル教育を

「 ̄

メリカ文化

を根底か

ら崩壊させるも

」匚

英語に

よる十分な能力形成を阻害す

るもの

して

,どの

民族にも英語習得

を達成させようと

いう運動

一方日本では,

である

(小林,

1990

年代以降に外国人児童生徒

2007)

多くなりは

じめた

。以降,徐々に教育支援施策

が整備

され

じめ

,現在

,地域

によってはサ

ブマー

ジョンの形も多いものの

,全体的には取

り出

し授

業による日本語支援がなされつつある

(佐藤

2003)

。つま

り,匚

同化型」と匚

支援付同化型」が

混在

している状況である

。こうした状況か

ら,ア

メリカに

おける匚

支援付同化型」のタイプである

Lクラスの社会科に着

目す

る。

南浦

(2009

)では,アメリカ

Lクラスの社会

科教育に着目

し,

Cruz,

et

al.。

(2003

)のテキス

を分析

,特

質から日本への示唆について言及

ている

しか

し,これ

はあくまで一事例にすぎな

。外国

を事例

に授

業構成の

示唆

を得るためには

より広範な検

討が必要である

そこで小論では1986

年と2008

年の

2種類のESL

社会科テキス

トの分析

を行

,テキス

トの構成の

背後に

ある授

業構成の理論の質的な違いを通

して

その発展の様相の一片を考察

した

い。

n。分析の枠組み

1.分析対象

Lク

ラスのための社会科授業のテキス

トとし

,今回分析対象として取り上げたのは,次の2

つのテキス

トである。

① Terdy,

D.

(1986).Ce

現tent

A?

?a

ESL:

Social

Studies。

② Cruz,

B. C. &Thornton,

S. J.

(2008)。

Teaching

Social

St

μ

圃応召'nglish

α

Γ

μ

α

£earners。

①は,

1986

年に,

ESL教師のTerdy,

Dによって

作成されたもので

,20

年経った現在でも入手する

ことが可能であり,また,引用されることも多い

ことから,

1986

年時の典型的な事例として取り上

げた。また,②は,

2008

年にサウスフロリダ大学

のCruz,

B.

C.とThornton,

S.

Jに

ょって作成され

たものである

。 Cruz

らは,マイノリティを対象と

した社会科教育や多文化教育の研究者であり,近

,この方面の第一線の研究者である。②は現在

L社会科の中でも先端的な事例といえるだろ

この20

年前の典型的事例である①と,現在の先

端的事例

アメリカ史領域の1890

である②に共通して取り上げられている,

年代初頭の歴史的事象であ

るDレイジアナ買収」(Louisiana

ujr

as

)によ

る匚

アメリカの領土拡大

」(Westward Expansion)

と,それに伴う 

ルイスとクラークの探検」

(Lewis

& Clark's Exploration)

を題材とした授業

を分析し,その特質の比較を行っていく。

さらに,上の①の社会認識内容を明確にするた

めに,同時代の一般クラス用教科書(King,

et

al。

1986)

での当該内容の記述も分析した。

2。分析の視点と方法

(1)

CBI

の原理

Lクラスの教科指導の基本原則として第二言

語教育の分野で現在注目されているのが,

Content Based Instruction

(C

I :

内容重視の教授

法)という方法である。英語を第二言語として学

習中の生徒(English Language Lerner:

L生徒)

の多くは日常英語会話ができても

,教科内容を理

解するレベルの英語の習得には困難である。そこ

(3)

して

しての

語教

しての

図I CBI

識教

と第

言語

(筆

者作

関係

,教科の

内容

を学習

しつつ,そのために必要な

英語力をつけていくという取

り組みがな

され

こで登場

したのが

,上記の

Iである。これ

は,

価値ある興味深い内容

を学習者に与える

ことで

言語と概念の両方の発達を目指す考え方であり

子ども

を対象と

した場合

,この

「価値

ある興味深

い内容

」は教科学習に相当するといわれる

(Snow,

et

al.。1989)

こう

した観点か

,社会科における教科内容と

方法

,第

二言語教

育における内容の

関係

を示しだ

のが

,上の図

1である。

1では学習の

主体で

ある学習者を右に

,学習

対象となる社会

(⑥

)を左に

,対象となる社会

を学習者が理解

した

,参加

した

りするア

プロー

を矢印

(⑧

)で

した

。社会

認識教育にとって,

⑤は学習内容であり

,⑧は学習方法に相当する。

二言語教育にとっては

,⑧が学習内容とな

り,

①がそのための学習の手段と

しての題材である

この

ように,

CBI

の考え方では⑤

を学ぶ

ことが

社会認識教育の側面をもち

,そのためのア

プロー

となる⑧

を学ぶ

ことが

,第二言語教育の側面を

つという

,相互補

完的な関係

を形成

して

いる。

こで⑤

,小論では

「 ̄

学習対象

」と表

し,⑧

を匚

学習過程

」と表す

。これ

ら⑥

と⑧の特質

を抽

,さらに⑤と⑧の関係か

Iのテキス

ト構

成の特徴

を考察する。

(2)質的分析による分析手法

上にあげたテキス

トは,それ

ぞれ

,異なる性質

を持

。①のTerdy

(1986)

は,読解テキス

ト兼

ワークブックである。 

また,②のCruz

&

が示

mt

された実践事例集である

(2008

)は活動事例の展開方法や留意点

。こう

した性質の分

対象の

質上

,小

では

,それ

ぞれ

テキス

記述

,質

的分

析に

よっ

てコー

(概

)イヒ

,それ

をも

とに

して

,それ

ぞれ

キス

トの

対象

と学

習過

を抽

う方法

った

Ⅲ.

Terdy

(1986)

の分析

1.全体構成

Terdy

(1986)

の全体概要は

,表

1に示

した。

Terdy

(1986)

,アメリカ史の学習を基軸に

,各

レッス

ンでは,それ

ぞれの時代の特徴的な

ーマ

を取

り上げ,それ

を通史的に配列

している

また

,テー

マによっては,地理的スキルや経済的

スキルなどの社会的スキル

を資料の読み取

りか

育成

しようと試み

ている。

I Terdy

(1986)

体構

ニッ

ト1

.ネイティ

ブ・

.初期

開拓

民たち

.独立

戦争

.国

家の始

ニッ

ト2

.酉漸

運動

6.北

と南

7.市民戦

.国の

再建

と成長

ユニ

ト3

.産業

の発展

10.

初期

の移民

11.

1次世界

大戦

12.

い時代悪

い時代

ユニ

ト4

13.

ュー

・ティー

14.

第二次

世界大

15.

国際連

ユニ

ト5

16.

国の繁

17.

公民権

運動

18.

今日の

リカ

文法

過去時

制他

過去時

制他

代名詞

等位接

続詞

従属

接続詞

冠詞

肯定否

置詞

最上

属接続

接続詞

目的語

の接続

接続詞

受動態

羂接続

接続詞

資料読解

-地図と記号

図と領域

チャ

ダイヤグ

ラム

ルー

トの地

棒グ

図記号

、表

統計

図表

統計

図表

円グ

年表

線グ

年表

イヤグ

ラム

棒グ

線グ

棒、

円グ

ラフ

(Terdy 1986: iv.

り筆者作成)

2.レッスンの構成

(1)学習対象の構成

次に,学習対象である.ここで取り上げるのは,

レッスン

5の

「西漸運動」(Terdy,

1986: 44-51)

である.学習対象の比較のために,分析したKing,

eX㎡・(1986)

の同単元

「アメリカの国境の拡大」

(America's

χ

g Borders, King,

et

al

1986:

161-167)

の記述をコード化し,学習対象を比較

(4)

表 2 Terdy (1986) とKing, et al.

(1986)

の 社 会 認 識 内 容 の コ ー ド比 較

Terdy (1986)から抽出されたコード

King, etal.。(1986)

から抽出 されたコード

(記 述 な い ジ ェ フ ア ー ソ ン に つ いて ・ ジ ェ フ ア ー ソン の功 績 リ レイ ジ ア ナ 地 域 の編 入 リ レイ ジ ア ナ 購 入 の 背 景 と意 義 フ ラ ン ス の 情 勢 と ル イ ジ ア ナ の 購 入 の 関係 につ い て ・ フ ラ ン ス= ナ ポレ オン の 北 ア メ リカ 支 配 希 望 ・ ル イ ジ ア ナ 支 配 権 の スペ イ ン か ら の 移 動 ・ フ ラ ン ス の 北ア メ リ カ 支 配 に対 す る 警戒 リ レイ ジ ア ナ 購 入 の た め のフ ラン ス 外 交 ・ ア メ リ カ のル イ ジ ア ナ 購 入 の過 程 (記 述 な し) 合 衆 国 の ル イ ジ ア ナ 購 入 の 影 響 に つ いて リ レイ ジ ア ナ 購 入 に 際 す る 憲 法問 題 の発 生 ・ ジ ェ フ アー ソン に よ る問 題 解 決 ・ ル イ ジ ア ナ 地 域 の 探 検 の背 景 ・ 過 程 ・ 意義 ・ そ の 他 の 探 検 ル イ ス と ク ラ ー ク の探 検 につ い て ・ 探 検 の 目的 と過 程 , 成功 ・ イ ン デ ィ ア ン の協 力 ・ フ ロ リ ダ の 購 入 の 背 景 と意 義 そ の 他 の 領 土 拡 大 につ い て (記 述 な U ・ 合 衆 国 の 領 土 拡 大 と影 響 領 土 拡 大 の 影 響 に つ い て リ レイ ジ ア ナ 購 入 の影 響 ・ 国 家 分 離計 画 の浮 上 と失 敗 ・ バ リ の独 立 計 画推 進 と失 敗 ,裁 判 の 過 程 ・ ネ イ テ ィ ブ ・ ア メ リ カ ン ・ サカ ガ ウィ ア の 活 躍 ・ サ カ ガ ウィ ア の 現 代 へ の影 響 ネイ テ ィ ブ・ ア メ リ カ ン に つ い て (記 述 な し)

(Terdy, 1986: 44-51; King, et al.,

1986: 161-167. よ り 筆者 作 成)

し た も の が 表 2 で あ る。

表 2 か らTerdy (1986)

の 学 習 対 象 は 次 の よ う

に ま と め る こ と が で き る。

⑥  ど ち ら も 匚フ ラ ン ス の 情 勢 と ル イ ジ ア ナ の 関

係JD

レイ ス と ク ラ ー ク の 探 検 」 匚領 土 拡 大 の影

響 」 につ い て の 記 述 が な さ れて い る 。

⑤ King ぺX α/。(1986) に 比 べ , 記 述 量 , 知 識 量

は 小 さ い 。

⑥  多 文 化 的 な 記 述 が な さ れ る 。 例 え ば, Terdy

(1986)

が 「 ̄

ネ イ テ ィ ブ ・ ア メ リ カ ン」 と 表 現

さ れ る の に 対 し, King, et al.。

(1986 ) で は ,

匚イ ン デ ィ ア ン」 と 表 現 さ れ る。

⑥  多 文 化 的 な 内 容 が 取 り 扱 わ れ る 。 Terdy

(1986)

で は, テ ー マ と し て , ア メ リ カ の 人 物

と し て, 探 検 に協 力 し た シ ョ シ ョ ーニ 族 の サ カ

ガ ウ ィ ア の 探 検 へ の 協 力 と 生 涯 が 記 述 さ れ る。

⑥  資 料 読 解 で 社 会 的 ス キ ル を 保 障 す る 「 匚西 漸

運 動 」 で は地 図 の 読 み取 り )。

こ の よ う に, Terdy (1986) の 学 習 対 象 は, 通

史 的 ア プn − チ を と り , そ れ らを 多 文 化 に 考 慮 し

た 記 述 で 説 明 し , さ ら に マ イ ノ リ テ ィ に つ い て の

言 及 な ど, 多 文 化 的 な 内 容 を 付 加 して い る。 ま た ,

社 会 科 の 多 様 な ス キ ル が 付 加 さ れ て い る。

-(2) 学 習過 程の構成

次 に, 学習 過程で あ る。 学習 過程 は次 の ように

展 開さ れる (表 3)

。 こ のよう に, 学習 過 程 は,

まず読 解前 活動 によ る読 解内容 に関 する スキーマ

の活性 化 とその後 の読解, 読解 後の語彙 の確 認,

そ の後, 読 解の中 にあ る社会認識 内容 の確認, 文

法 の確認 と, そ れを 社会認 識 内容に 関す る文 章を

通し ての理 解, 資料 の読 み取 り, そ してレ ッ スン

の内 容に関 す る意見 の陳述 , 概要総括, ま たレ ッ

スンに登場 した人物 な どに成 り代わ った形で の手

紙作 成な どの作文 活動 が行 わ れる。

こ のよ うに, Terdy (1986) で は, 上 の

(1)

で述

べ た社会認 識内容 を,読 解・語 彙・文 法表現 ・作

文 スキル の習得を 通して 理解 する ように構成 さ れ

てい るo

表 3 Terdy (1986) の学 習過程

活 動 過 程 ① 読 解 前 活 動 ② 読 解 ③ 語 莖 確 認 ④ 内 容 確 認 ⑤ 文 法 ⑥ 資 料 読 解 ⑦ 作 文

活 動 内容

読解 前 の ス キーマ 活 性化

社 会認 識 内容 の読 解

重 要語 莖 の意 味確認

社 会認 識 内容 の 事項 確認

社 会認 識 内容 に よる 文法 理 解 と運用

資 料・ グ ラフ か らの 読 み取 り

意 見 陳述 ,概 要総 括 ,ロ ール プ レイ

(Terdy, 1986: 44-51. よ り 筆 者 作 成)

94 −

(5)

IV. Cruz a Thornton (2008 ) の 分 析

1. 全 体 構 成

次 に 取 り 上 げ るCruz & Thornton (2008)

は ,

教 師 が 自 ら 実 践 を 作 る こ とを 可 能 に す る た め の実

践 事 例 集 で あ る。 全 体 は 匚理 論 編 」 匚実 践 事 例 編 」

匚資 料 編 」 か ら 構 成 さ れ る 。 厂理 論 編 」 で はELL生

徒 の 特 徴 や 第 二 言 語 教 育 の理 論 , 社 会 科 教 育 の理

論 が 説 明 さ れ, 匚実 践 事 例 編 」 は 地 理 , ア メ リ カ

史 , 世 界 史 , 政 治 と市 民 , 経 済 , 人 類 ・ 社 会 ・心

理 学 , 論 争 的 問 題 か ら 構 成 さ れ る( 表 4)。

表4 Cruz a Thornton (2008 ) の 全 体 構 成

題材 言 語段 階 命 地理 縮 尺 の概 念 ア フ リカ∼ 自然 地理 と 人 口 南イ ン ド にお け る女 性 労働 環 境 の適 応∼ スイ スの 場合 ① ② ③④ ③ ④ ② ③ ④ ① ② ③④ ◆ アメ リカ 史 ル イ スーク ラー ク の探 検 ルイ スーク ラー ク 活動 2∼ 地 図製 作 ル イ スーク ラー ク の探 検活 動∼ 模 型 制作 ル イ スークラ ー ク活 動 3∼ 一 次 資 料 の活 用 と 共 同 学習 第 二 次世 界 大戦 中 の女 性 ア イゼ ン ハ ワー の 軍産 複合 体 演説 ① ② ③④ ③ ④ ① ② ③④ ③ ④ ① ② ③④ ① ② ③④ ③ ④ 今世 界史 クラ スの 世 界 の源        ’ ル ネ ッサ ン ス 文 化 の接 触 と探 検 産 業 革命 ∼イ ギリ ス と日本 の 場合 第 二 次世 界 大戦 下 の 日系ア メ リカ 人 20 世 紀の 工 場 の生活 ① ② ③④ ① ② ③④ ③ ④ ① ② ③④ ① ② ③④ ① ② ③④ ① ② ③ ④ ◆ 政 治 と市 民 政 治 風刺 画 一 次 資料 選 挙 の権利 政 治的 な バン パ ー ステ イ ツカ ー 行 政 執行 権 ② ③ ④ ② ③ ④ ③ ④ ① ② ③ ④ ① ② ③ ④ ◆ 経 済 半分 でも ない より はマ シ∼ 国 際貿 易 と発 展 商 品 とサ ービ ス 経 済 概念 と欠 乏 個 人 の予 算 の学 習 消 費者 信 用 と債 務 宣 伝 ③ ④ ① ② ③ ④ ② ③ ④ ③ ④ ② ③ ④ ① ② ③ ④ 命人 類学 ・社 会 学・ 心 理学 メ ン タル ・マ ップ : ク ラス メイ ト の 見方 の違 い 文 化人 類 学: 他 者 の目 に よる 見方 社 会 学: 調 査 と世 論調 査 心 理 学: アイ デ ンテ ィ ティ の 構造 ① ② ③ ④ ③ ④ ② ③ ④ ① ② ③ ④ ◆ 新 国 移 侖争問 題 司収集 杓や 海 外 の問 題 哭: 誰 が 私た ちを 許 可す る のか ? ① ② ③ ④ ① ② ③④ ③ ④

(Cruz & Thornton, 2008: 70-191. よ り 筆 者 作 成)

-そ れ ぞ れ の分 野 で の テ ー マ は あ く まで 事 例 で あ

る。 こ う し た事 例 の 対 象 は 第 二 言 語 (英 語 ) の 4

つ の習 得 段 階 に よ っ て 規 定 さ れて い る。

ま た, そ れ ぞ れ の 分 野 で は , そ の テ ー マ で 中 心

と な るELL生 徒 に適 し た 学 習 活 動 が 言 及 さ れ て い

る 。 こ う し た 支 援 的 活 動 は, 大 き く , 匚使 用 言 語

の 簡 易 化 」 匚視 覚 的 ・ 体 感 的 な 活 動 」 匚協 働 学 習 」

匚動 機 づ け 」 に わ け る こ と が で き る 。 匚使 用 言 語 の

簡 易 化 」 と は, 言 語 習 得 段 階 に併 せ た 発 問 ・ 簡 易

化 し た 文 章 な ど で あ る。 匚視 覚 的 ・ 体 感 的 な 活 動 」

と は, 言 語 の受 容 や 産 出 を 促 進 す る た め に, 非 言

語 的 情 報 を 活 用 す る 方 法 で あ る。 匚協 働 学 習 」 は ,

ネ イ テ ィ ブ と の ピ ア 学 習 や グ ル ー プ 学 習 を 行 い ,

言 語 習 得 や 内 容 理 解 を 行 う も の で あ る。 匚動 機 づ

け 」 と は , 学 習 者 の 情 意 に 働 き か け , 学 習 意 欲 を

高 め る も の で あ る。 こ う し た活 動 を 教 師 が 活 用 し

て , 実 践 を 自 ら 開 発 で き る よ う に な っ て い る。

2。 レ ッ ス ン 事 例 の 構 成

分 析 対 象 と し た の は, 事 例 「 ̄

ル イ ス と ク ラ ー ク

の 探 検 」(Lewis and Clark's exploration) で あ る 。

こ れ は , 先 のTerdy (1986) と 比 較 が 可 能 で あ り ,

ま た, 4 つ の 異 な る パ タ ー ン の 活 動 で 提 示 さ れて

お り, そ の た め本 事 例 集 の 特 徴 で あ る, 多 様 な 学

習 活 動 か ら 実 践 を 構 築 す る こ と を 見 る た め に も適

し て い る と 考 え た 。

こ の 事 例 の 記 述 を 分 析 し , 学 習 過 程 と そ の コ ー

ド を 整 理 し た も の が 表 5で あ る。

(1) 学 習 対 象 の 構 成

表 4 お よ び 表 5 か らCruz & Thornton (2008)

の学 習 対 象 の 特 質 は次 の よ う に ま と め ら れ る 。

○  テ ー マ 史 で 構 成 さ れ る 。 例 え ば , ア メ リ カ

史 の 学 習 で 提 示 さ れ て い た 事 例 は Dレイ ス と ク

ラ ー ク の 探 検 」「 第 二 次 世 界大 戦 下 の 女 性」 匚ア

イ ゼ ン ハ ワ ー の 軍 産 複 合 体 宣 言 」 で あ る。

β ) ど の 活 動 で も テ ー マ に 基 づ い て 事 象 の 原 因 ,

過 程, 影 響 等 , 因 果 関 係 の 理 解 が 取 り 扱 わ れ る。

7) マ イ ノ リ テ ィ に つ い て の 学 習 が 扱 わ れ る。

D レイ ス と ク ラ ー ク の 探 検 」 で は , 協 働 学 習 の

部 分 で , ネ イ テ ィ ブ ・ ア メ リ カ ン に つ い て の 学

習 が 保 障 さ れ る ほ か, 匚第 二 次 世 界 大 戦 下 の 女

95 −

(6)

表 5  ア メ リ カ史 実 践 事 例 「 ル イ ス・ ク ラ ー ク の探 検 」(Cruz a Thornton 2008 ) 学 習 過 程

基 本 的 な 学 習 過 程 学 習 過 程 か ら 抽 出 さ れ る コ ー ド 問 い か け の く ふ う に よ る 活 動 発 話 前段 階 ・ 合 衆国 の 歴史 地図 を示 す。 ・Yes/Noを 促 す質 問,単 純な 会話 ,明 示的 で 限定 的 発問 に よる 活動 な どで学 習 を進 め る。 例) 「 どこ にミ シシ ッ ピ川 が あり ます か」 ○ 資料 か らの場 所 や 時代変 化 ・ 地図 に よる 場所 の 理解 ・ 地図 に よる植 民 地領 土 の拡 大 の理 解 ・ 地図 に よる 場所 の 理解 発 話 初期 段 階 ・ 合 衆国 の 歴史 地図 を 示す。 ・Yes/No, Either/or. 2 語文 程 度 で の 応答 が 可 能な 問 い で 学習 を 進 め るo ㈲ 「ル イ ス とク ラー クが 安 全に 旅が でき た と 思い ます か」 ㈲ 「 ミシ シ ッピ川 とイリ ノイ 川 は どち らが 長い で すか 」 ㈲ 「あ な た がルイ ス や クラ ーク な ら, どこ を探 検し た いで す か」 ○ 資料 か らの 当時 の 地理的 特 徴 ・ 探検 の 意図 探検 の 状況 の想 起 ・ 資料 で の比 較に よ る地 理的 特徴 の 理解 ・ 資料 に よる 場所 の 理解 ・ 沿岸 部 の町 が持 つ 意図 の理 解 ・ 現代 の 探検 が必 要 な場 所 の理解 会 話 出 現段 階 ・How, Why な ど, 自 由な 回答 が ある 程度 可 能な 質問 例) 「ど うして ジェ フ ア ーソ ン大 統領 は 探検 させ た ので しょ うか」 例) 「あ な たが ルイ ス とク ラー ク の探 検 を する とし たら , ど うい う 道 を行 き ます か」 例) 「ルイ ス とク ラ ーク の 探検 は ,今 日の 宇宙 探 索 と どの よ うに 似 てい ま す か」 ○ 資料 贋報か ら の当 時の 地理 的 特徴 ・ 探検 の 意図 ・ 情報 か ら の地理 的 特徴 ・ 当時 の 領土 の特 徴 ・ 探検 のル ート ○ 今 日の 社会 と の類 似点 会話 流 暢段 階 ・How, Why な ど,探 求や 意 思決 定な ど, 自由な 回 答を 促 す発 問 ㈲ 地 図上 の 「新 しい 海」 を示 す。 「なぜ ジ ェフ ア ー ソン 大統 領は , 強い 所 有者 だ っ たフ ラ ン スか ら , ニュ ー ・ オー リ ン ズ の港 を買 っ たん でし ょ うか 」 例 ) 「ジ ェ フ アー ソ ン大 統 領が ル イ ス とク ラ ー クに こ のよ うな危 険 な旅 を行 わせた の は,正 し かっ た と 思い ます か」 例) 1790 年 の アメ リカ と 今 日を比 べ る。 ○ 今 日の 社会 と の地 理的 関係 ・1790 年 と現 在 との 地理 的 関係 ○ 探検 の 過程 , 目的 ,評 価 ・ 探検 の 過程 の 様子 ・ 探検 の 目的 ・ 探検 の 評価 ○今 日 との社 会 比較 地 図 の 活 用 ○資 料 を読 解 する ・各 生 徒に 北 アメ リカ の 概略 地図 を 配る。 ・ル イ ジア ナ購 入 の部 分 への 色 塗り。 ・ 物理 的情 報で 地 図を 活 用し , ミズ ー リへ の経 路を なぞ らせ るO O 発 問 と応 答 例) 「ルイ ジ アナ 購入 の 部分 に, 現 在 の州 はい くつ あ りま すか 」 例) 「ルイ ス とク ラ ー クがミ ズ ーリ の 間に は, どの よ うな 特徴 が あり ます か」 ジ オ ラ マ 制 作 ○ ジ オラマ を 制作 す る ・ 生徒 に, ミ シシ ッピ か ら太 平 洋へ の 地形 のジ オラ マ を作 らせ る。 ・ ジ オラマ 上 の地 理的 特 徴な どをリ スト に する。 ・ 生徒 に 動詞 で鑑 賞し , ジ オラマ を 共 有させ る。 ○英 語母 語話 者 とのペ ア に よる 地理 的 特徴 の説 明 ・ 生 徒にジ オラマ のそ れ ぞれ の 特徴 につ い てま ず英 語 母語 話者 が 特徴 を 述べ る。 ・ELL生 徒 は英 語母 語話 者 の発 話 を聞 き, 自 らも 発話 す る。 協 働 学 習 ○ 導 入 ・ ク ラス を 6つ の異 な るグル ープ に分 け,英 語 の 辞書 を 持たせ る ・ 英 語母 語話 者 の生 徒 を各 グル ープ に 入れ ,言 語的 支 援 をさ せる。 ○資 料を 配布 し, 読 み 取る ① グル ープ :ジェ フ ァ ーソ ン のルイ ス ヘ の指示  ② グル ープ : 準備 のメ モ,1803 年 ③ グループ :発見 の 探検 隊 の日記  ④ グル ープ :ネイ テ ィブ ・ア メリ カン ⑤ グル ー プ : 探検 隊 の支援  ⑥ グル ープ : 最初 に出 版 され た探 検 のル ー トの 地図 ○各 グル ープ に質問 し ,考 え させ る。 ① グルー プ :ジェ フ ァ ーソ ン 大統領 は ,ルイ ス とクラ ー クに 何を 見つ け させ よ う と し てい た ので し ょ うか。 ② グル ープ :探 検 にい く のに, どの よ うな道 具を 持っ て いっ た ので し ょ うか。 ③ グル ープ :ル イ ス とクラ ー クは 何を 見つ け , どの よ うに記 録 した ので し ょ うか。 ④ グル ープ :ルイ ス とクラ ー クは 旅 の中で ど のネイ テ ィブ ・ アメ リカ ン の グル ープ に出 会っ た のでし ょ う か。 また, どの よう に コミュ ニ ケー ショ ンを し た のでし ょ うか。 出 会っ た 人々 に何 を 言い ,何 をし た ので し ょ うかO 彼 らの 旅は ,ネ イテ ィ ブ ・ アメ リカ ン に よって , ど のよ うに 助け ら れた ので し ょ うかO ⑤ グル ープ : 旅の 中で 病気 や ケガ をし た とき , ど うし たので し ょ うかO ⑥ グル ープ :  合 衆国 に, 彼 らは ど の ような 報 告を し たので し ょ うか。

96

○探検 地 域 の地 理的 理解 ヴレイ ジ ア ナ地方 の場所 理 解 ・探検 ル ー トの 理解 ・探 検地 域 の地 理的 情報 ○ルイ ジ ア ナ地 方 の地理 的 特徴 ○ルイ ジ ア ナ購 入 の合 衆国 へ の影 響 ・ジ オ ラマ 作成 ・ジ オ ラマ 上 の地 理的 特徴 の記 録 ・ジ オ ラマ の鑑 賞 と地 理的 特徴 の 共有 ○社 会認 識 内容 の 言語化 ・模 倣 発話 に よる 地理 的 特徴 の言 語化 ○英 語 母語 話者 のELL生 徒支 援 ○ 資料 の読 解 ・ 探検 の 目的 の資 料読 解 ・ 探検 の 準備 物の 資料 読 解 ・ 探検 の過 程 の資 料読 解 ・ ネイ テ ィブ ・ア メ リカ ン の資 料読 解 ・ 探検 の 危険 性 に関す る 資料 読解 ・ 探検 のル ー ト に関す る 資料 読解 ○ ジ グソ ー活 動 に よる , 探検 の 目的 ・過 程 ・意義 の 理解 ・ 資料 活 用に よ る理解 ・探検 の 目的 の理 解 ・探検 の 過程 の理 解 ・ネイ テ ィブ ・ ア メリ カ ン との対 話 ・ 協 力 ・活 躍・ 意義 の理解 ・探 検 の過程 の 理解 ・探 検 の意義 の 理解

(7)

」では女性というように

,その他の分野

でも

移民や世界の文化との

繋が

りなどがテー

マと

て選ばれ

ている‰

∂)地理的スキル等

,多角的なスキルの育成が

保障

され

ている

O 

今日に喩えると何か

という質問や

,今日へ

の影響など

,現代の社会

での

同質の社会事象

の関連性を重視

して

いる。

(2

)学習過程

また

,表5からは

,学習過程も見ることができ

。事例D

イス

・クラークの探検」では

,次の

4つの活動事例が提示されている。

〈問いか

けの

くふ

うをした活動〉

問いかけの

くふ

うをした活動」の

場合

,いず

れのテ

ーマも匚

発話前段階」(preproduction)

期発話段階

」(early production)

会話出現段階

(speech emargence)

「流暢に話す段階

」(inter-mediate

)という4つの第二言語習得段階

に分かれ

ている

zは,

ELL

生徒の言語習得段

,クラッシ

ェン&テ

レル(1986)

で提唱され

ている

「 ̄

ナチ

ュラル

・アプローチ」(natural

appr

)に基づいて設定している(Cruz

&

Thornton 2008: 67

発話前段階

」では

,匚

どこ」匚

どの」などに

る限定的な質問によ

,答えを地図上か

ら指

し示

,非言語コミュ

ニケー

ョンによって応答可能

なものに

なっている

。これによって,資料から場

所や時代の変化を学習で

発話初期段階」では,匚

きるよ

何」による限定的な

うになっている

質問に加え

,匚

どちら」と問うことで,比較対照

した

「 ̄

どう思うJF

どこが

いい」など,短文で

応答可能

な形で問

うた

りす

るに

よって構成され

これによって

,資料をも

とに,当時の地理的特徴

や探検の意図

会話出現段階

を学

習できるようになっている

]では

,厂

どう

して」匚

どのよう

」など,自由回答によって,様子や背景を直接

う形の問

いで構

され

ように

なる

。これ

よっ

,資料をもとに

して,当時の地理的特徴や探検

の意図

,また

,今日の社会との関係を考

えられ

展開になっている。

会話流暢段階」では,さらに

自分の考えを自

由に述べ

る問いが増える

Oこれによって

,探検の

過程

,目的

,評価に加え,今日の社会との関係を

考えるような構成にな

っている

このように

,匚

問いかけをくふ

うする活動」で

,言語習得段階に併せて,問

いを明示的で限定

的なタイプのものから

,次第に

自由回答が

可能な

ものに広げていくようになって

いる

。また,それ

に併せて

,内容も事象の背景の探求や学習者の意

見陳述などが内容に含まれ

るようになっている。

〈地図の活用〉

地図の活用」では,言語習得段階が

「 ̄

会話出

現段階

」か厂

会話流暢段階」に対応

した活動であ

。ここでは視覚的資料

として歴史地図

を取

り上

,それ

を中心教材に

して学習が進め

られ

る。学

習は

,地図への色塗

りに

よる場所や探検経路の理

をしたのち

,それ

をも

とに

して

,問いと応答に

よる地理的特徴に関するや

りとりが行われ

この

うに

,視覚的教材

を活

して理解

をはか

たのち

,対話によって言語化

して

いる。

〈ジオ

ラマ制作〉

ジオ

ラマ制作

」では

,生徒に探検地域のジオ

ラマを制作

させ

,それ

をも

とに

して地理的特徴

理解する

。その後,理解

した地理的特徴

を,英語

母語話者の

生徒の発話を参考に

しなが

ら説明

表現や語彙の習得

を促す

この

ように

,ジオラマ制作でも

,地図の活用

同様に

,中心教材による理解

を図

った後

,それ

言語化する構成になっている

〈協働学習〉

ここで提

示される協働

学習は,

ELL

生徒

名から数名程度の

英語母語話者の

生徒を同

一のグ

プに入れた形で学習を進め

るものである。グ

プ分けを行

い,英語母語話者に支援の観点を

説明

した後で

,それぞれのグルー

プに対

して異な

るそれぞれの資料

を配付す

。例

えば,

1グルー

プには

,ジェファー

ソン大統領の探検指

示に関す

る資料

である

,2グルー

プは探検の準備物に関

る資料である

。こう

した資料

を各グルー

プで読

,それぞれのグルー

プは,探検の

目的や探

検の過程

,ネイテ

ィブ

・アメリカンや探検の危険

などについて学習をする

。その後

,ジグ

ソー活

動と呼ばれる,相互に調べ

た内容

を発表

しあうこ

97 ―

(8)

/−

1−

︲11111111

VTerdy

(1986)

プロー

⑧ 

史の

果関

⑩ 

多文

な記

⑥ 

多文

内容

を通

に付

④ 

科の

スキ

を付

レッスン構成

・語

・文法

・作

言語

形式

構造

重視

固定的テキス

学習者

▼Cruz & Thornton (2008)

の 実 践 事 例 構 成

”ミミ=ミミミミ=ミミ=ミミミミミミミミー-

皿---11111---w

四w

〃皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿

命テーマ史的アプローチ

史の

果関

な記

な内

を通

に付

日の

の関

野の

を付

的言

対話

・討

・説

や意

・判

を重

学習者

/ ∼  ̄丶

可変的テキス

,−一一一一−一一−一一一一−一一−−−一一−一一−−/

2 Terdy

(1986)

よびCruz

a Thornton

(2008

)の

ッス

・実

践事

の特

とで

,探検の

目的や過程

,意義などを共有する

ここでも

,資料の読み

りの後に

,それ

を発表

ていくことで,言語化を促

している。

このように,

Cruz

& Thornton

(2008)

の事例

の特質は

,上の

(1

で述べた学習対象を,対話

・討

・説明

・判断など幅広

い言語運用活動や読解活

動によって学習する構成

となっている。

V。両テキス

トの比較とその考察

以上

2つのテキス

トの分析か

ら明らかに

なった

それ

ぞれの

レッスンおよび実践事例の構成

を比較

する

。それぞれの特質を図

1で示

した

Iの原理

に併せて図化

したものが次の図

2である

。いずれ

,社会認識内容と第二言語の習得

を統合

した

その内容や構成の様相には差異が見

Iの原理で構成

されている点は共通であるが

られた

。テキス

ト構成

:固定的構成と可変的構成

まず

,テキス

トの構成の比較である。テキス

の構成は,

Terdy

(1986)

が内容

・配列ともに固

定的なものであるのに対し,

Cruz

& Thornton

(2008

)では

,第二言語教育や社会科教育の理論,

活動の要素

,内容の事例が提示され

,教師が

自由

に授業を作成

できる可変的な事例集

となっている

こう

した厂

固定的

」と匚

可変的」という差異

は,

内包され

る下の教育内容に大

きな差異

をもた

らす

-つま

,前者のテキス

トは固定的であるために社

会認識内容も言語教育の内容も固定的である

,後者のテキス

トのよ

うに教

育理論と活動の

要素

,実践事例

を示

した可変的な構成は,言語的

にも文化的にも多様

L生徒

らの

ーズに合わ

せて教師が自由に教

育内容

を設定

した

,開発

りする

ことを可能に

している‰

。社

識内

:通

内容

とテー

内容

,学

習対

あった

認識の

ある

。社

認識

内容

は,

Terdy

(1986)

では

通史的配列であるのに対

し,

Cruz

& Thornton

(2008

)で

はテ

を主体

して学

習が

この

いが

,その

他の

認識

にも

を与

える

いえ

史的配

列のTerdy

(1986)

,基本

的に読解

を通

して

当該時

代の

事に

ての

原因

,過

,影響

どの

関係

心で

,それ

に付

る形

,マ

イノ

リテ

ィに

考慮

した

述や

物も

描かれ

。それに対

して,

Cruz

& Thornton

(2008

)では

,歴史分

では

,事

象の

因果関

係や

日の

との

関連

は基

重視

され

とな

って

いるもの

,テー

マの

よっ

自由

に選

可能

。選

るテー

マに

って

当該分

野の

な理解

心に

うる

し,総

合的

内容

もな

うるの

ある

98−

(9)

のように

,テー

マ史構成であるCruz

& Thornton

(2008

)は

,通史的構成であるTerdy

(1986)

に比

べて,よ

り自由な内容選択が可能な構成になって

いる。

また,

Cruz

& Thornton

(2008)

では

,内容選

択と

して

,歴史の因果関係やマイノ

リティの記述

に加

キルの獲得

,今

も図

日の社会との関係や

られ

ているところは特徴的である。

,多様な社会的ス

。第二言語教育内容

一方,第二言語教育としての内容は,

:構造

的言語

と機能

Terdy

的言語

(1986

)では

,読解活動が中心に据え

られ

,読解

語彙

・文法

・作文などのスキル育成が中心

となっ

ていることがわかる

。また,こうしたスキルの習

を通

して

,社

会認識

内容にア

・−チ

している

第二言語による読解や作文のスキルは

,会話のス

キルに比べ

て難易度も高

,習得も困難であ

り,

学習のための言語能

力と

しては欠

くことのできな

いものである

。対

して,

Cruz

& Thornton

(2008)

では

,資料の読解活動もあるが

,それにとどま

,読

・書

・聞

・話

という言語の四技能

を総合的

に行

う言語運用活動

となっている

。そこには

,対

話や議論

,判断など,第二言語による思考的言語

スキル

を用

いた活動がとられ

ている

この20

年の間に

,第二言語教育は,文法や語彙

など

,構造的に言語を習得する原理に対

し,匚

ミュニカティブ

・ア

プロー

チ」という,総合的に

言語の機能や意味の習得

を目標とす

る原理が出現

している

(岡崎

&岡崎,

1999)

。こうした原理の

出現が

,小論の両者のテキス

トの違いにも影響

ていると窺

える。

。おわ

りに

Terdy

(1986)

とCruz

& Thornton

(2008)

いずれも

Iの原理で作成

されているものの

,そ

の間には次のような差異が見られた

。一つは,

固定的

」と

「 ̄

可変的」なテキス

ト構成という,

テキス

ト構成の考え方の違いである

。二つは,そ

うしたテキス

ト構成の差異に伴い

,社会認識内容

の匚

通史的

」構成と匚

テーマ史的」構成の違いが

発生

,そのためにより幅広

い内容

を扱うことが

可能になった点である。三つは,第二言語教

育の

-内容における

,匚

構造的」言語教育観

と匚

機能的」

言語教育観という違い

である。

20年の開きを持つ2つのテキス

トには大きく

固定的

・通史的

・構造的」な授

業構成か

ら匚

変的

・テー

マ史的

・機能的」な授

業構成

とい

う質

的差異が見

られ

。ただ

しこれは相対する一方向

的な変化と考えるものでは

なく

,ニーズに合わせ

て望ま

しいもの

を選択でき

,多様な可能性を開

た形であるという

,前者を後者が包括

した考え方

と捉えるべ

であるだろう。

こう

した

ことか

,匚

固定的

・通史的

・構造的」

を内包する匚

可変的

・テー

マ史的

・機能的」とい

う展開は

,日本の外国人児童生徒の社会科授

業を

考える際に

示唆的である。

可変的構成は

,言語

・文化

・認知的に多様かつ

地域分散的な外国人児童生徒のニ

ーズに合わせた

教師の授

業開発を可能にす

る点で有効だろう

また

,社会認識内容のテーマ史的構成とそれに

まつわ

る内容の

多角化は

,時間的に制約の

受けや

い取

り出

し授

業の

中で

,網羅的ではない学習を

可能にする点で有効だ

ろう

。さらに

,両者ともに

られた

多文化的な記述や内容は

,マイノ

リティ

主体

的に当該社会に関わるためには欠かせ

ない

ものであるといえる。

さらに

,構造的言語

を内包する機能的言語観の

出現は

,認知的に高度な内容についての言語四技

(読

・書

・話

・聞

)を総合的に保障する点,ま

,多様な社会認識内容との接続が可能である点

で有効だ

ろう。

ただ

,小論で分析

したテキス

トでは

,両者と

多文化的な記述や内容が取

り扱われ

ていた

。こ

,マイノ

リティのための社会科教育には欠か

せない視点であるといえる

。しか

し,アメ

リカで

は匚

多文化社会

」はマジ

ョリティにとっても概ね

公定

」の現実であるのに対

して,日本では,未

だそれ

「非公定

」の社会である。そ

うした

こと

も影響

,来日時期が早

く,滞

日期間が長いほ

ど,

日本人化

しやすいといわれ

(関口,

2003)

した子

どもへの

,日本

「多文化ア

プローチ

が必要である

。この

点て,日本型

「文化の壁」の

克服手法を今後検討す

る必要が

ある。

99−

(10)

〈注〉

1)

メインス

トリームでの学習でも類似の内容は散見で

きる

(例えば,

PBS Classroom Resources,n.d.)

0その

ため,

ESL

の特別な内容とは言

えない。

2)

テキス

トの構成を

,大

きくカ

リキュラムの構成と捉

えた場合

,こう

した固定的構成と可変的構成の差異

は匚

の差異と類似しているといえる。ただし,安彦

工学的アプロ

ーチ」と匚

羅生門的アプローチ」

(2002/2006: 125-131)

では

,こうしたカリキュラム

上の差異は

,一方向的な新

旧の匚

進化」と捉えるの

ではなく

,それぞれ異なる原理か

ら派

生し,展開さ

てきた

「アプロ

ーチの違い」であり,目的に応

て適切に組み合わせるべ

きで

あるという。

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『ナチュ

ラル

・アプローチのすすめ』藤森和子

(訳),大修館

書店.

小林宏美

(2007

『多文化社会アメリカの二言語教育と

市民意識一多文化世界における市民意識の動態−』

慶應義塾大学出版会.

齊藤ひろみ(1999)

「教科と日本語の統合の可能性一内

容重視のアプl

コーチを年少者日本語教育へどのよう

に応用するかー」

『中国帰国孤児定着促進センター紀

要』,

7,

70-89.

佐藤群衛

(2003

『国際化と教育一異文化間教育学の視

点からー』放送大学出版会.

関口知子(2003)

『在日日系ブラジル人の子どもたち一

異文化間に育つ子どものアイデンティティ形成一』

明石書店.

末藤美津子(2003)

『アメリカのバイリンガル教育

一新

しい社会の構築をめざしてー』来信堂.

ベーカー,

C.

(1997)

『第二言語習得とバイリンガル教

育』岡秀夫

(訳編),大修館書店.

南浦涼介(2008a)

匚JSL

児童生徒のための社会科授業構

成一二文化統合理解学習としての単元

『私たちのま

わりのお店のくふう』をもとにー」

『日本語教育』

139,

97-106.

南浦涼介

(2008b

)匚

外国人児童のための歴史学習モデ

ルの構築−

『二文化統合学習』論にもとづく授業実

践とその分析−」

『広島大学大学院教育学研究科紀要

第二部』57,

77-86.

南浦涼介

(2009

「外国人児童生徒のための社会科授業

構成一NCSS

『学びへのパスポー

ト』の分析をもと

にー」

『社会科研究』,

70,

61-70.

南浦涼介

(印刷中)

「 ̄

外国人児童生徒のための社会科授

業デザインの現状と課題一児童生徒の文化的課題に

着目してー」

『広島大学大学院教育学研究科紀要 第

二部』58.

頁未定.

−100

表 2 Terdy (1986) とKing, et  al.  (1986) の 社 会 認 識 内 容 の コ ー ド比 較 Terdy (1986)から抽出されたコード King, etal.。(1986) から抽出 されたコード (記 述 な い ジ ェ フ ア ー ソ ン に つ いて ・ ジ ェ フ ア ー ソン の功 績 リ レイ ジ ア ナ 地 域 の編 入 リ レイ ジ ア ナ 購 入 の 背 景 と意 義 フ ラ ン ス の 情 勢 と ル イ ジ ア ナ の 購 入 の 関係 につ い
表 4 お よ び 表 5 か らCruz  &  Thornton  (2008) の学 習 対 象 の 特 質 は次 の よ う に ま と め ら れ る 。 ○  テ ー マ 史 で 構 成 さ れ る 。 例 え ば , ア メ リ カ 史 の 学 習 で 提 示 さ れ て い た 事 例 は Dレイ ス と ク ラ ー ク の 探 検 」「 第 二 次 世 界大 戦 下 の 女 性」 匚ア イ ゼ ン ハ ワ ー の 軍 産 複 合 体 宣 言 」 で あ る。 β ) ど の 活 動
表 5  ア メ リ カ史 実 践 事 例 「 ル イ ス・ ク ラ ー ク の探 検 」(Cruz  a Thornton 2008 ) 学 習 過 程 基 本 的 な 学 習 過 程 学 習 過 程 か ら 抽 出 さ れ る コ ー ド 問 い か け の く ふ う に よ る 活 動 発 話 前段 階 ・ 合 衆国 の 歴史 地図 を示 す。 ・Yes/Noを 促 す質 問,単 純な 会話 ,明 示的 で 限定 的 発問 に よる 活動 な どで学 習 を進 め る。 例) 「 どこ にミ シシ
図 2 Terdy  (1986) お よびCruz  a Thornton  (2008 )の レ ッス ン ・実 践事 例 構 成 の特 質 とで ,探検の 目的や過程 ,意義などを共有する 。 ここでも ,資料の読み 取 りの後に ,それ を発表 し ていくことで,言語化を促 している。 このように,  Cruz  & Thornton  (2008) の事例 の特質は ,上の (1 ) で述べた学習対象を,対話 ・討 論 ・説明 ・判断など幅広 い言語運用活動や読解活 動によって学習する構成

参照

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