地域ブランドのコミュニケーションデザイン
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(2) 第57巻. 1.研. 第1号. 究 目 的:「 愛 着 醸 成 機 能 」 に 立 脚 す る 地 域 ブ ラ ン ド戦 略 の 深 化 を 探 る. 1991年,DavidA.Aakerに ド戦 略 は,そ. の 後,企. よ るBrandEquityコ. ンセ プ トの 提 唱 に 端 を 発 す る ブ ラ ン. 業 に お け る マー ケ テ ィ ン グ と経 営 の 重 要 な 課 題 と位 置 づ け られ て 今. 日 に 及 ん で い る 。 こ の20年 の 間 に は さ ま ざ ま な 理 論 と 方 法 論 が 開 発 さ れ,商 用 さ れ て き た 。2004年. こ ろ か ら盛 ん に 論 じ られ る よ う に な っ た 「地 域 ブ ラ ン ド戦 略 」 は,. ブ ラ ン ド構 築 の 対 象 を 「地 域 」 に ま で 拡 大 す る 試 み で あ る(陶. 山 ・妹 尾2006)。. ナ シ ョ ナ ル ブ ラ ン ドが 技 術 的 差 別 性 を 希 薄 化 す る 状 況 を 背 景 と して,一 来 た 。 た だ,そ. 品 や 企 業 に適. そ れ は,. 定 の 成 果 を 上 げて. の 根 拠 は あ く ま で ブ ラ ン ド構 築 の 出 発 点 で あ る 「識 別 機 能 」 に 立 脚 す る も. の で あ っ た。 ブ ラ ン ド構 築 の 意 義 は,そ. の 対 象 を 競 合 品 と は 異 な る 「特 別 の 製 品 」 に 仕 立 て る こ と を. 通 じて 顧 客 と の 間 に 関 係 を 創 り,深 ド戦 略 に お い て は,単. め る こ と に あ る 。 こ の 戦 略 性 に 鑑 み て,今. な る識 別 性 か らさ らに踏 み 込 ん だ. 日の ブ ラ ン. 「愛 着 醸 成 機 能 」 が 重 ん じ ら れ る. よ う に な りつ つ あ る 。 適 例 は,2004年. 発 売 の サ ン ト リ ー 「伊 右 衛 門 」,2006年. の 資生 堂. 「TSUBAKI」,同. 年 に. 事 業 参 入 し た 「ソ フ トバ ン ク モ バ イ ル 」 で あ る 。 こ れ ら は い ず れ も 本 質 的 な 技 術 革 新 を 伴 わ な い 改 良 型 新 製 品 で あ る が,広 (マ ー コ ム)の. 告 を は じめ卓 越 した マー ケ テ ィ ン グ コ ミュニ ケ ー シ ョン. 展 開 を 通 じて 顧 客 の 認 識(perception)に. 新 た な 価 値 を 刻 み 込 み,顧. 客の. 側 か ら能 動 的 ・優 先 的 に 選 択 さ れ 続 け る 成 果 を 上 げ た 。 す な わ ち,「 愛 着 醸 成 機 能 」 と は, 物 理 的 差 別 性 で は な く,心 る 。 そ し て,こ. 理 的 差 異 性 に 焦 点 を 合 わ せ た 「主 観 的 識 別 性 」 の 発 揮 な の で あ. と が 受 け 手 の 認 識 と 主 観 に 関 わ る こ と で あ る か ら,こ. れ は コ ミュ ニ ケ ー. シ ョ ンを主 軸 とす る課 題 とな る。 地 域 ブ ラ ン ド戦 略 に お い て も,こ. う し た ブ ラ ン ド構 築 の 第 ニ ス テ ー ジ,す. な わ ち戦 略 的. コ ミュニ ケ ー シ ョン を駆 使 した愛 着 醸 成 の ブ ラ ン デ ィ ン グ を構 想 す る こ とが で き る。 本 論 で は その た めの ア プ ロ ー チを 考 察 す る。. 2.地. 域 ブ ラ ン ド戦 略 の 新 展 開. 鉄 人28号 プ ロ ジ ェ ク ト 2009年10月,神. 戸 市 長 田 区,JR新. 長 田 駅 に 近 い 若 松 公 園 に,全 長18メ ー トル と い う 巨 大 一80(80)一.
(3) 地 域 ブ ラ ン ドの コ ミュニ ケ ー シ ョンデ ザ イ ン(妹 尾) な. 「鉄 人28号 」 の 像 が 出 現 し た 。. 図 表1震. 「鉄 人28号 』 は,横 始 ま り,単. 災 か らの 復 興 の シ ンボ ル ・鉄 人28号(神. 戸 市 長 田 区 ・若 松 公 園). 山 光 輝 が 描 い た マ ン ガ 作 品 で あ る。1956年. 行 本 の 他,ラ. に雑誌. ジ オ や テ レ ビ ドラ マ で も 親 し ま れ た 。 特 に1963年. ビ系 列 で 放 送 さ れ た ア ニ メ ー シ ョ ン 番 組 が 有 名 で,こ. 「少 年 」 で 連 載 が か ら に フ ジテ レ. の 時 代 に 少 年 期 を 過 ご した 人 々 に は. 思 い 出深 い キ ャ ラ ク ター で あ る。 特 定 非 営 利 活 動(NPO)法. 人. 「KOBE鉄. 人 プ ロ ジ ェ ク ト」 は,こ. れを地域再生 の シン. ボル に採 用 した。 そ こ に は二 つ の 狙 いが あ る。 第 一 に 横 山 光 輝 は 地 元 出 身 で あ る か ら,そ. の 代 表 作 の 主 人 公 ・鉄 人28号. が よ り深 い 親 しみ を も っ て 迎 え 入 ら れ る で あ ろ う こ と 。 第 二 は,こ が,壊. 滅 か ら 立 ち 上 る 復 興 へ の 意 思 を 表 象 し,精. 1995年1月. は,地. 域住民 に. の 力 強 いキ ャ ラ ク ター. 神 的支 え と な る こ と。 実 は この 一 帯 は. の 阪 神 ・淡 路 大 震 災 で 多 大 な 被 害 を 受 け,15年. が 経 過 した 今 日 な お,さ. まざま. な 矛 盾 を 抱 え て 苦 しん で い る の で あ る 。 こ の 試 み が 注 目 さ れ る の は,第 へ 赴 け ば 一 目 瞭 然 で あ る が,こ. 一 に,シ. ン ボル キ ャ ラ ク ター の 制 作 と設 置 で あ る。 現 地. の ロ ボ ッ トの 大 き さ と 重 量 感 に は 圧 倒 さ れ る 。 震 災 復 興 に. つ い て は こ れ ま で も 多 くの 戦 略 が 練 ら れ た し,ま 人28号 の モ ニ ュ メ ン トは,そ. た物 理 的 支 援 策 が 講 じられ て も きた 。 鉄. れ ら の 文 化 的 意 味 を 人 格 化 し,か. つ 魅 力 的 に 可 視 化 して,地. 域 住 民 を は じ め と す る ス テ ー ク ホ ル ダ ー の 認 識 に 具 体 的 に 刻 み 込 む 効 果 を 発 揮 した 。 第 二 は,こ. の プ ロ ジ ェ ク トが 市 民 の 自 主 的 な ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 の 成 果 だ,と 一81(81)一. い う点 で あ.
(4) 第57巻 る。 これ は行 政 の 施 策 で はな い,ボ. 第1号. トム ア ップ型 地 域 ガバ ナ ン スの 実 践 な の で あ る。. 鉄 人28号 プ ロ ジ ェ ク トを企 画 ・推 進 したNPO法. 人 が ブ ラ ン ド戦 略 を どの よ う に意 識 し. たか は分 らな い。 しか し,こ れ は見 事 な 地 域 ブ ラ ン ド戦 略 の 構 築 事 例 で あ る。 何 よ り,ブ ラ ン ドが 果 たす 機 能 が きわ めて 能 動 的 に取 り入 れ られ て い る点 が 注 目 され るの で あ る。. 地 域 ブ ラ ン ド戦 略 の3つ 2004年 り,大. の 成 果 目標. こ ろ か ら論 じ られ る よ う に な っ た 「地 域 ブ ラ ン ド戦 略 」 に は,図. 別 して3つ. 表2に. 示 した 通. の ゴー ル が 設 定 され る。. 図 表2地. 域 ブ ラ ン ド戦 略 が 目指 す ゴー ル. 乱 吐 い 地 埴^iT刮 '''""1. 1Il:i」1■ ・`隅. 二い 地 埴^. ・''"∵'''"し'rl㍉':. †'t甲'己. .で圭再 た い 地 喧 へ. .、=='1「li= ■ ■1.1、1:煽`_」. .,.這. 」 璽"1Ill:..一. …"=5'二'"「'二1L・. ・'=モ:i. 一 ■L.「. ■_,_.一. .ll.:ll.・.1=i:・:.…1' f'・'・'. 一.r=恥`.. これ らの う ち,地 域 特 産 品 の 販 売 促 進 を 目指 す 「買 い た い地 域 へ 」 と,観 光 地 や 商 業 地 へ の 来 街 促 進 を 目指 す 「行 き た い 地 域 へ」 の 戦 略 構 築 に 対 して,2006年4月,特. 許庁 が. 「地 域 団 体 商 標 制 度 」 を 発 足 させ た。 これ は 「地 域 名 」 と 「商 品 名」 か ら成 る商 標 の 登 録 と保 護 を通 じて 他 地 域 の 商 品 との 差 別 化 の 促 進 を 意 図 す る もの で,2010年4月. 現 在,450件. が 登 録 さ れ て い る。 そ こ に は例 え ば,兵 庫 県 食 肉事 業 協 同組 合 連 合 会 の 「神 戸 牛 」,城 崎 温 泉 旅 館 協 同組 合 の 「城 崎 温 泉 」 が 含 まれ る(特 許 庁2010)。 この よ う に,前2つ. の ゴー ル を 目指 す 地 域 ブ ラ ン ド戦 略 につ いて は,そ の 意 義 が 明 確 に. 浸 透 して い る。 これ は ブ ラ ン ドの 「識 別 機 能 」 に立 脚 す る ア プ ロー チで あ る。 す な わ ち, 「地 域 ブ ラ ン ド」 を 「ナ シ ョナ ル ブ ラ ン ド」 に対 峙 させ て捉 え,大 量 生 産 品 に対 す る ア ン チ テ ーゼ と して,素 材 や工 法,伝 統 性 な ど,「こだ わ りの稀 少 性 」を強 調 す る こ とに よ って, 販 売 や 来 街 を促 進 す る試 み で あ る。 従 って ブ ラ ンデ ィ ングの 方 法 も,企 業 が 商 品 や サ ー ビ ス を対 象 に開 発 し,成 果 を 上 げて き た もの を その ま ま適 用 す る こ とが で き る。 これ に対 して,地 域 ブ ラ ン ドの3つ. 目 の ゴ ー ル は,「 住 み た い 地 域 」 を 実 現 す る こ と,. す な わ ち地 域 活 性 へ の 精 神 的 支 援 を ブ ラ ン ドが 担 う こ とで あ る。 イギ リスの 国 家 再 生 戦 略 「クー ル ブ リタ ニ ア」 で成 果 を上 げ た この ア プ ロー チ に取 り組 む た め に は,「 ブ ラ ン ド」 に 対 して よ り突 っ込 ん だ 理 解 が 求 め られ る。 -82(82)一.
(5) 地 域 ブ ラ ン ドの コ ミュニ ケ ー シ ョンデ ザ イ ン(妹 尾) 以 下,こ. の ア プ ロー チを. ブ ラ ン ド構 築 へ の2つ. 「地 域 ブ ラ ン ド戦 略(第3の. の アプ ロー チ. 「識 別 機 能 」 を 超 越 す る,ブ 機 能 」 の 発 揮 で あ る(図. ゴ ー ル)」 と表 記 す る 。. ラ ン ド構 築 の も う一 つ の,よ. り戦 略 的 な 機 能 は,「 愛 着 醸 成. 表3)。. 図 表3Brandの2つ. の機 能. 覗 距、 ㍉ll、}u産 暫. :書柑 的. 蕗桶. 慌剛櫨龍 評 曲 ノ 叩」 摺的. 耽,■lii/11=f. こ"〕塩 い 泊i、軋凧 凱'∼=','` 加,』 堤 仰 価. ・.置1峠 を 措'.rと. 鮒 泄,佃 〕. ト風 酌. 愛着醒甫槻. ブ ラン ド. 蝸曲 〆岨撃 的. 釦1値/閏 唱臣. 競 合 品 と の 違 い を 名 前 や ロ ゴ を は じ め と す る ブ ラ ン ド要 素 を 用 い て 強 調 す る こ と に よ っ て,数. 多 の. 「製 品 」 の 中 か ら 特 定 の 「銘 柄 」 が 識 別 さ れ る 。 こ の 「識 別 機 能 」 は ブ ラ ン. デ ィ ン グ の 必 要 条 件 で あ る が,そ. れ だ け で は 静 的 ・防 衛 的 な 機 能 に 留 ま る 。 ブ ラ ン ド構 築. が 他 の マ ー ケ テ ィ ン グ 代 替 案 に は な い 魅 力 的 な ソ リ ュ ー シ ョ ン を 提 供 す る の は,こ が,顧. 客一人一 人の. る。 特 定 の 製 品 を. の違 い. 「《私 》 に と っ て か け が え の な い 意 味 」 を 表 象 す る に 至 っ た と き で あ. 「《私 》 の も の 」 と認 識 し た 顧 客 は,そ. れ を 能 動 的 か つ 優 先 的 に 選 択 し,. 生 涯 に わ た っ て リ ピ ー トユ ー ス を 続 け る 。 シ ャ ネ ル に 至 上 の 愛 着 を 見 出 す シ ャ ネ ラ ー は, シ ャ ネ ル ブ ラ ン ド しか 身 に つ け よ う と しな い 。 青 木 貞 茂 が つ と に 指 摘 した 結 実 す る 文 脈 の 創 造 で あ る(青 こ の,主. 木1994/青. 「自 分 ご と 」 に. 木2008)。. 観 的 な 「愛 着 醸 成 機 能 」 に 立 脚 す る,よ. り動 的 か つ 攻 撃 的 な ブ ラ ン ド構 築 の パ ー. ス ペ ク テ ィ ブ を 地 域 に 当 て は め る と,「 現 実 そ の ま ま の 地 域 」 で は な く て 「地 域 の 理 想 的 な ゴ ー ル 」 を 提 示 す る と と も に,そ. の 意 味 を 住 民 を は じめ とす る ス テー ク ホル ダー の 認 識. に 刻 み 込 む こ と に よ っ て 「主 体 的 参 画 」 を 動 機 づ け る,と 鉄 人28号. プ ロ ジ ェ ク トは ま さ に,こ. い う構 図 が 浮 か び 上 が っ て く る 。. う した戦 略 的 地 域 ブ ラ ン デ ィ ン グの 試 み だ った の で あ. る。 -83(83)一.
(6) 第57巻. 3.先. 場 所 を め ぐ る3つ. 第1号. 行 研 究 「プ レー ス ブ ラ ン デ ィ ン グ 」 の 提 唱. の ギ ャ ップ モ デ ル ギ ャ ップ. 地 域 ブ ラ ン ド戦 略 は,日. 本 で は も っぱ ら地 域 特 産 品 の 販 売 促 進 お よ び観 光 地 や 商 業 地 へ. の 来 街 促 進 を 基 軸 に 論 じ られ 実 践 さ れ て き た が,海. 外 で は,鉄. れ る よ う な ブ ラ ン ドの 力 を 地 域 空 間 活 性 に 適 用 す る 「第3の. 人28号. プ ロ ジ ェ ク トに 見 ら. ゴ ー ル 」 ア プ ロ ー チ が,コ. ラ ー た ち が 提 唱 し た 場 所 の マ ー ケ テ ィ ン グ(Kotler,HaiderandRein1993)を PlaceBrandingと. し て 体 系 化 さ れ て き た 。GoversandGo2009は. と つ で あ る 。 ベ ル ギ ー と オ ラ ン ダ を 拠 点 に,観. 図 表4プ. f.・. 噛 ・1ず. 唖.卜L・. ヒ=二. 1亀山 〒 」■5国 囮 嵩1画. ヴ ァ ー ス&ゴ. ー). ホス ト. 〒 」甲. 品. コ職略ギi叩 プ. 耳 岨1・ 二 ・1咽 音. ■1. 1ヒ・ π 『〕'」岨1「 」・」;」 坤 蛾 」・"『1,,'1':蟹 咀t .奪 州iL汽 ‡L守,二1ヒ.. 鼎. 「3つ の ギ ャ ッ プ モ デ. 拘 曙 的 膚. ∴・.工1ヒ. 二. 雫申1:.卜 ・コ=占=L-=コ:' 噌+'Tと1.-7F. 甲 恥 唾 制 邑+ド1'と. 示す. ・÷ 噌・旧I. I孟唖1雫:日IE.■q七. デL1「'こ 唾r」=1乃. 表4に. の ギ ャ ッ プ モ デ ル(ゴ. 唱Fl■ 〔・71旱'二. .卜 向. その最新の成果 の ひ. 書p.41)。. レ ー ス ブ ラ ン デ ィ ン グ3つ. 一. 継 承 し て,. 光 や ホ ス ピタ リテ ィを 基 盤 とす る マ ー ケ. テ ィ ン グ と ブ ラ ンデ ィ ン グ を 研 究 す る こ の チ ー ム は,図 ル 」 を 提 唱 して い る(同. ト. ㎜. オ吐 層 ㎜ T{7:・ 干 ρ'罫 よと イギ ・㌔1「 ・■」躍r面;. ]成 塁ギ棚 プ. ≒榊`一.・:" 柵r'・. 一. ' .・. 」.・'.'. ]満 足ギ棚 プ き. ρrま」旨:!.甲 一. ゴ'・L. 見1可1栖"亭 迂 剛rl'一 己 」 「貯_=一.く:・. 轟門. 斗 背ll辱・"一.・. 丸'h占. ∫叫1ぜ 抽 畠. 卍遭㍍. 一.ヤ:". 昌. 蛭」 岡. 田1融Lも. 一、.. 1‡・ 〒的 駐`. 証 問. 晶1辱 〒 ・liL.'〒1旱1. 』1四!㍉. 「閣一 阯,「. 咽● ・'一. 」"市. 旧 」.曲舶 出 ・1_咀 的 料 出. ゲスト. 盈 出 一i旺昌 一虻 ¶ 一コ ニ長. こ こ で 示 さ れ た 「3つ の ギ ャ ッ プ 」 と は,そ 第 一 に 「戦 略 ギ ャ ッ プ 」 は,ユ. れぞれ以下を指す。. ニ ー クな 場 所 の ア イデ ン テ ィテ ィ と提 供 す る製 品 や 場 所. の ブ ラ ン ドと の 間 に 生 じ る ギ ャ ッ プ で あ る 。 第 二 に 「成 果 ギ ャ ッ プ 」 は,知 の 経 験 に 約 束 し な い も の が 混 在 して. 覚 され た 場 所. 「オ フ ブ ラ ン ド」 化 して し ま う こ と。 そ して 第 三 に 一84(84)一.
(7) 地 域 ブ ラ ン ドの コ ミュニ ケ ー シ ョンデ ザ イ ン(妹 尾) 「満 足 ギ ャ ッ プ 」 は,来. 訪 者(ゲ. る 解 釈 を 下 し た こ と に よ っ て,知. ス ト)が 異 文 化 や 噂 に 基 づ い て 住 民(ホ. ス ト)と. は異な. 覚 され た場 所 の イ メ ー ジ に歪 み が 生 じる こ とで あ る。 こ. う し た ギ ャ ッ プ が 生 じな い よ う,来. 訪 者 と 住 民 の 認 識 を 精 緻 に コ ン トロ ー ル す る こ と が ブ. ラ ンデ ィ ングの 要 諦 とな る。 そ の た め の 取 り組 み と して,か ま ず,前. れ ら は3つ. の ポ イ ン トを 指 摘 す る 。. 提 と して 踏 ま え な け れ ば な らな い の は,人. 間 は 必 ず し も 理1生的 な 意 思 決 定 者 で. は な い,と い う視 点 で あ る。 い くつ も の 感 覚 が 関 与 す る情 報 が 重 要 な の で あ り,「 人 間 行 為 の情緒的 ・ 社 会 的要 素 」 に焦 点 を合 わせ る こ とが プ レー ス ブ ラ ンデ ィ ング の 出発 点 とな る。 次 に,「 ロ ー カ ル の 独 自 さ と ア イ デ ン テ ィ テ ィ」を 基 盤 と して 重 視 す る 。 こ れ が コ モ デ ィ テ ィ テ ィ 化 の 危 機 か らの 保 護 の 役 割 を 果 た し,企. 画 され る イ メー ジ と製 品 提 供 を 魅 力 的 な. もの にす る。 そ して 最 後 に,ブ. ラ ン デ ィ ン グ の 実 践 に 際 し て は,「 社 会 的 相 互 作 用 」 が 重 視 さ れ る 。 ブ. ラ ン ドと は 「共 同 創 造 さ れ た 経 験 」 に 他 な らず,そ. の た め に は公 私 お よ び需 給 間 の 共 同運. 営 と共 同創 造 こ そが 不 可 欠 とな るの で あ る。. 注 目点:第3の. ゴー ル に解 決 を もた らす2つ の ダ イ ナ ミ ズム. ゴ ヴ ァー ス&ゴ ーが 提 唱 す る この モ デル は,地 域 へ の 愛 着 醸 成 を 目指 す 地 域 ブ ラ ン ド戦 略(第3の. ゴ ール)に 対 して 魅 力 的 な 方 法 論 を 提 示 す る。 特 産 品 や 観 光 地 の ア ピー ル と は. 異 な り,第3の. 課 題 解 決 に向 けて は,か れ らの 主 張 す る次 の2つ の ダ イ ナ ミズ ムが 鍵 を 握. るQ まず は,「 ギ ャ ップ」 を め ぐるダ イ ナ ミズ ム で あ る。 地 域 の 内 発 的 活 性 に は,一 般 の 商 品 ブ ラ ン ドに比 べ て 非 常 に多 くの ス テー ク ホル ダー が 関 与 す る し,し か もそ の 利 害 が 複 雑 に交 錯 す る。 そ こで 発 生 す る数 多 くの 対 立 に多 面 的 に解 決 策 を講 じる上 で,「戦 略 」「成 果 」 「満 足 」 の3つ の局 面 に お け る ギ ャ ップ解 消 へ の取 り組 み は実 践 的 で あ る。 さ らに,地 域 ブ ラ ン ド戦 略(第3の. ゴー ル)へ 応 用 す る視 点 か ら は,「 行 政 ・対 ・市 民 」. と い う ブ ラ ンデ ィ ングの 主 体 を め ぐるギ ャ ップ に注 目 し,こ れ を 解 消 し,融 合 と相 乗 効 果 を発 揮 す る こ とが 最 大 の ポ イ ン トとな る。 商 品 ブ ラ ン ドや 企 業 ブ ラ ン ドの 構 築 が 成 果 を 上 げ,絆,す. な わ ち 「熱 い」 関 係 が 結 ばれ. る と,ブ ラ ン ドは企 業 と顧 客 との 共 有 財 産 とな る。 か つ て,コ. カ コー ラ社 が 味 を 変 更 した. ニ ュ ー コ ー ク を従 来 の 製 品 に置 き換 え よ う と した と き,ア メ リカ人 た ちが 断 固 と拒 否 した の は,そ れ が 提 供 す る 「幼 馴 染 の 友 人 」 の よ うな 情 緒 的 価 値 や 「缶 に入 った ア メ リカそ の 一85(85)一.
(8) 第57巻. 第1号. も の 」 と い う 象 徴 的 価 値 が 顧 客 の 認 識 に 深 く刻 み 込 ま れ,か い た か らで あ る(ペ ン ダ グ ラ ス ト1993)。 uct)は,こ. れ らの 人 生 の 一 部 を 形 成 して. ブ ラ ン ド化(branding)さ. れ た 特 別 の 製 品(prod-. れ を 製 造 す る企 業 と い え ど も約 束 の 勝 手 な 変 更 は 許 さ れ な く な る 。. けれ ど も,ラ 多 シう 丹. シケあ 起 点1ま意 た企 棄(b側 た あ る。 テ 多 シ トセ ネ ジ 新 二途 市 場 ふ. ら登 場 ナ る 三 と ほ絶 対 たな い。 この 図 式 が 地 域 ブ ラ ン ド(第3の. ゴ ール)に. お いて は成 立 しな い。 住 み た い ・住 み 続 け. た い魅 力 の 醸 成 を 通 じて 地 域 活 性 を 実 現 す る成 果 に対 す る最 大 の ス テー ク ホル ダー は行 政 と市 民 で あ るが,両 者 の 関 係 は,リ ニ アな 「送 り手 」 対 「受 け手 」 で はな い。 モ デル の もう一 つ の 魅 力 は,こ の 点 に関 わ って い る。 す な わ ち,ブ ラ ンデ ィ ン グの 意 義 を ス テ ー ク ホル ダ ーの 「経 験 」 と捉 え,そ の 構 築 を 社 会 的 相 互 作 用 を 通 じて 実 践 しよ う と す る ダ イ ナ ミズ ムで あ る。 地 域 ブ ラ ン ド戦 略(第3の. ゴー ル)の 計 画 と実 践 に お いて,「 ブ ラ ン ド価 値 」 を設 計 し,. これ を可 視 化 す る 「ブ ラ ン ド体 験 」 の 促 進 を 図 る ブ ラ ン ドマネ ジ ャー の 役 割 を 担 うの は, 一 体 誰 な の か?行. 政 か?市. 民 か?. 実 際 に は ど ち らの ケ ー ス も あ り,い ず れ も主 体 的 ブ ラ ン ドマネ ジ ャー とな りう る。 た と え ば,「 ク ール ブ リタ リア」 は,当 時 の ブ レア首 相 の リー ダ ー シ ップ の も とで 成 果 を上 げ た。 行 政 は資 金 と権 限 を 握 って い るか ら,多 くの 面 で 有 利 で あ る。 た だ,選 挙 の 結 果,ト. ップの 交 代 に伴 って 施 政 方 針 が 大 き く変 更 され る こ とが あ り,こ れ が ブ ラ ン ドの,. 本 来 長 期 にわ た って 継 続 せ ね ばな らな い約 束 を 途 中で 反 故 に して しま う危 惧 が あ る。 一 方 ,「 鉄 人28号 プ ロ ジ ェ ク ト」 は,市 民 の ボ ラ ンテ ィ ア活 動 の 結 実 で あ る。 こち ら は あ くまで 個 人 の 善 意 に依 存 す る活 動 で あ るか ら,不 安 定 要 素 を 払 拭 す る こ と はで きな い。 理 想 は,市 民 側 か らの 発 案 を 行 政 が バ ック ア ップす る関 係 で あ り,そ こで 最 も成 果 を 期 待 で き るの は,ま さ に 「共 創 」 と 「共 同運 用 」 で あ ろ う。. 4.地. 域 ブ ラ ン ドの コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン デ ザ イ ン. ブ ラ ン ド構 築 の 意 義:「 識 別 機 能 」 か ら 「愛 着 醸 成 機 能 」 へ 「識 別 」 と 「愛 着 醸 成 」 と い う,ブ 違 い は,前. ラ ン デ ィ ン グ に 期 待 さ れ る 二 つ の 機 能 の 最 も重 要 な. 者 が 客 観 的 で あ る の に 対 して,後. 者 は主 観 的 な もの で あ る点 に求 め られ る。 こ. の こ と は一 般 の 商 品 や 企 業 の ブ ラ ン デ ィ ン グ に も共 通 す る。 識 別 機 能 を 発 揮 す る 最 大 の 要 因 は,「 技 術 革 新(technologicalinnovation)」 一86(86)一. で あ る。 企.
(9) 地 域 ブ ラ ン ドの コ ミュニ ケ ー シ ョンデ ザ イ ン(妹 尾) 業 努 力 の 成 果 と して,そ て 製 品 化 し た と き,明 役 割 は,こ. れ まで 不 可 能 だ っ た こ とが 可 能 にな る。 これ を 競 合 企 業 に先 ん じ 確 な 差 別 優 位 性 と 新 た な 便 益 が 生 み 出 さ れ る 。 ブ ラ ン ド(銘 柄)の. の 魅 力 的 な 製 品特 性 と便 益 を 名 前 や ロ ゴ に託 して 見 込 み 顧 客 に 示 す こ とで あ. る。 こ の ア プ ロ ー チ は,技. 術 革 新 が 本 質 的 な も の で あ る 限 り,今. 日 な お 有 効 で あ る 。 た だ,. 問 題 が 二 つ あ る。 第 一 に,技 術 革 新 の 成 果 は 時 間 の 経 過 と と も に 陳 腐 化 す る 。 「革 新 」 の 意 義 は ま さ に 「新 し さ 」 そ の も の で あ っ て,ど. ん な 優 れ た 技 術 で あ っ て も,繰. り返 して 使 用 す る う ち に 当 り. 前 の 存 在 と な っ て ゆ く。 さ ら に 競 合 企 業 が 参 入 して く る か ら,こ. れ を 独 占す る こ と はで き. な い。 第 二 に,今. 日,私. た ち の 生 活 に 大 き な 影 響 を 及 ぼ す 製 品 カ テ ゴ リ に お い て,本. 質的な技. 術 革 新 が も た らされ る こ と は稀 にな っ た。 圧 倒 的 多 数 の 市 場 で 顧 客 は企 業 が 提 供 す る技 術 力 に 既 に 満 足 して お り,こ こ う して,技. れ を 上 回 る新 技 術 の 創 出 は きわ めて 困 難 で あ る。. 術 的 に 非 常 に 高 い 水 準 で 同 質 化 して し ま っ た 今 日 の 市 場 に お い て,マ. ーケ. テ ィ ン グ の 成 否 を 分 け る も の は 顧 客 の 選 択 に 他 な らな い 。 客 観 的 に 差 が な い 銘 柄 群 の 中 か ら一 つ を 選 ぶ 決 め 手 は,個. 人 の 主 観 な の で あ る。. サ ン ト リ ー の 「伊 右 衛 門 」 に し ろ,資. 生 堂 の 「TSUBAKI」. に し ろ,技. 新 製 品 に 過 ぎ な い 。 そ れ が あ れ だ け の 大 き な 成 果 を 収 め た の は,顧 か らで あ る 。 そ して,こ. の 動 機 づ け を 実 現 し た も の と して,企. (Perceptionreformation)」. 術 的 に は改 良 型. 客 が 主 観 的 に 選 択 した. 業 が 働 きか けた. 「認 識 改 革. を見 逃 す こ と が で き な い。. 《寛 政 二 年 創 業 。 京 都 福 寿 園 の お 茶 。》 と い う ス ロ ー ガ ン を 通 じて 伊 右 衛 門 が 顧 客 に 提 案 し た 認 識 は,緑. 茶 は 日 本 人 が 古 くか ら愛 飲 して き た も の ゆ え,「 鮮 度 」 よ り も,「 伝 統 」 に. 育 ま れ た も の こ そ が 旨 く,か 銘柄. 「お ∼ い,お. 一 方TSUBAKIは. つ 深 い くつ ろ ぎ を 提 供 す る,と. 茶 」 「生 茶 」 が 支 配 し て い た 製 品 カ テ ゴ リ の 価 値 の 改 革 に 成 功 し た 。 ,花 王,ユ. の 企 業 ブ ラ ン ドカ を 生 か し,シ くす る 化 粧 品 」 で あ る,と 女 性 は,美. い う もの で あ る。 これ が 先 発. し い 。》 と,欧. ニ リー バ,P&Gと. い う 上 位 企 業 に 対 抗 して 化 粧 品 ト ッ プ. ャ ン プ ー は 「髪 の 汚 れ を 落 と す 石 鹸 」 で は な く 「髪 を 美 し. い う ポ ジ シ ョニ ン グ を 設 定 す る と と も に,そ. の 内 容 は 《日 本 の. 米 お よ び ア ジア の そ れ で は な い こ とを強 調 した。. 技 術 革 新 が プ ロ ダ ク トア ウ ト,す. な わ ち 送 り 手 発 想 で あ っ た の に 対 し て,認. マ ー ケ ッ トイ ンの 受 け 手 志 向 の ア プ ロ ー チ で あ り,コ. ン シ ュ ー マ ー イ ン サ イ トを 生 か した. コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 不 可 欠 と な る 。 卓 越 し た ク リエ イ テ ィ ブ と,ブ 一87(87)一. 識改革 は. ラ ン ドと 顧 客 と の 出.
(10) 第57巻. 第1号. 会 い を 演 出 す る タ ッ チ ポ イ ン ト構 築 を 介 して,認. 識 は 改 ま る 。 顧 客 に と っ て,そ. 活 の 経 験 の 中 で は 思 い も よ らな か っ た 価 値 が,コ. ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 媒 介 と して 可 視 さ れ. る よ う に な る の で あ る 。 こ の プ ロ セ ス を 経 る こ と に よ っ て 初 め て,製. の 日常 生. 品 は 「顧 客 に と っ て. 特 別 の 製 品 」,す な わ ち ブ ラ ン ドに な る 。. 地 域 へ の 愛 着 を 育 む た め の コ ミ ュ ニケ ー シ ョンデ ザ イ ン 地 域 ブ ラ ン ド戦 略(第3の. ゴ ー ル)は,地. 域を. 「ス テ ー ク ホ ル ダ ー が 愛 着 を 抱 く特 別 の. 地 域 」 に 仕 立 て る こ と を 目 的 と す る 。 ゴ ヴ ァ ー ス と ゴ ー が 指 摘 した ア イ デ ン テ ィ テ ィ 」 を 規 定 し,可 て,態. 視 化 し,ス. 度 変 容 を 促 す 試 み で あ る(か. 「ロ ー カ ル の 独 自 さ と. テー ク ホル ダー の 認 識 の 中 に育 む こ と に よ っ. れ らが 念 頭 に 置 く 「ロ ー カ ル 」 は,主. の 過 程 に あ る 発 展 途 上 国 の 都 市 で あ る が,こ. の 対 立 軸 は,日. に グ ロー バ ル 化. 本 国 内 に お い て,東. 京発の ナ. シ ョ ナ ル ブ ラ ン ドの 浸 透 に よ っ て 地 域 色 を 急 速 に 失 い つ つ あ る 日 本 の 地 方 都 市 に 当 て は め る こ と も で き よ う 。 大 阪 や 名 古 屋 な ど の 大 都 市 も そ こ に は 含 ま れ る)。 製 品 や サ ー ビ ス と 異 な り,具 み づ く り,す 計 と,こ. 体 的 形 状 を 持 た な い 「地 域 」 こ そ,こ. れ を 可 視 化 す る仕 組. な わ ち コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン デ ザ イ ンが 不 可 欠 と な る 。 そ れ は,精. 緻な価値設. れ を ス テ ー ク ホ ル ダ ー の 認 識 に 働 き か け る 体 験 化 か ら成 る 。 機 能 性 と 情 緒 性 の 統. 合 を 目 指 す そ の 具 体 的 展 開 を,タ. タ ッ チ ポ イ ン ト構 築(機. ッ チ ポ イ ン トと ク リエ イ テ ィ ブ の 両 面 か ら 見 て 行 こ う 。. 能 性). 2009年 暦 年 の 日 本 の 広 告 費 推 計 で は,イ 規 模 に お い て テ レ ビ広 告 に 次 ぐ第2位. ン タ ー ネ ッ ト広 告 が つ い に 新 聞 広 告 を 上 回 り,. の 座 を 占 め る に 至 っ た(電. トの 浸 透 が も た ら し た イ ン パ ク トは,マ. ソ ー シ ャル ネ ッ トワ ー ク サ ー ビ ス(SNS)と. 仕 立 て,相. ,従. 来,受. ロ グ や 掲 示 板,mixiを. ミュニ ケ ー. は じめ とす る. い っ たCGM(ConsumerGeneratedMedia け 手 で しか な か っ た 生 活 者 を 情 報 の 送 り手 に. 互 の イ ン タ ラ ク テ ィ ブ な 交 流 を 可 能 に し た 。 こ う して 成 立 した 社 会 的 情 報 ネ ッ. トワ ー ク を,リ. ー と バ ー ノ ブ は 「大 波 の う ね り」 「世 論 の 高 ま り」 を 意 味 す るgroundswell. と い う 言 葉 で 捉 え,企 て い る(リ. 普及 は. イ ン ター ネ ッ. ス メ デ ィ ア へ の 影 響 だ け で は な く,コ. シ ョ ン構 造 そ の も の に ま で 及 ん で い る 。 と りわ け,プ. 一 消 費 者 発 信 メ デ ィ ア)の. 通2010)。. 業 の マ ー ケ テ ィ ン グ コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 取 り入 れ る こ と を 提 唱 し. ー ・バ ー ノ ブ2008,13頁)。. 《グ ラ ン ズ ウ エ ル と は 社 会 動 向 で あ り,人 々 が テ ク ノ ロ ジ ー を 使 っ て,自 分 が 必 要 と して い る もの を,企. 業 な ど の 伝 統 的 組 織 で は な く,お 一88(88)一. 互 い か ら調 達 す る よ う に な っ た こ と を 指.
(11) 地 域 ブ ラ ン ドの コ ミュニ ケ ー シ ョンデ ザ イ ン(妹 尾) す 》。 こ う し た グ ラ ン ズ ウ エ ル,と は,地 域 ブ ラ ン ド戦 略(第3の. り わ け イ ン タ ー ネ ッ トを 基 盤 と す る ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア ゴ ー ル)の. 地 域 を 対 象 と す る 情 報 活 動 は,初. 理 想 的 な タ ッ チ ポ イ ン ト と な る 。 も っ と言 え ば,. め て こ れ に ふ さ わ し い タ ッ チ ポ イ ン トを 獲 得 した の で あ. る。 テ レ ビ に 代 表 さ れ る 従 来 の マ ス メ デ ィ ア は,こ. の 課 題 解 決 の た め に 用 い る に は,コ. ニ ケ ー シ ョ ンの 質 量 の 両 面 に わ た っ て 使 い 勝 手 が 良 くな い 。 具 体 的 に は,メ 方 通 行 に な る こ と,到 大 き い こ と,と. 達 範 囲 が 広 域 に 及 ん で セ グ メ ン トで き な い こ と,そ. い っ た 問 題 点 が 挙 げ られ る 。 こ の た め,行. 報 誌 を 制 作 して,新. りす る こ と が 多 か っ た 。 マ ス メ デ ィ ア を 活 用 す る 際 も,新. ッセ ー ジ が 一 して 経 費 の 額 が. 政 の 行 う 広 報 活 動 は,独. 聞 の 朝 刊 に チ ラ シ 広 告 と と も に 折 込 ん だ り,ポ. ミュ. 自の 広. ス トに 直 接 投 げ 込 ん だ. 聞 の 地 方 版 や テ レ ビ のB・Cタ. イ ム が 中 心 で あ っ た 。 こ れ で は そ も そ も 注 目 を 集 め る こ と が で き な い か ら,効. 果 は期 待 で. き な い。 イ ン タ ー ネ ッ トを 用 い た タ ッ チ ポ イ ン ト構 築 に よ っ て,こ. れ らの 弊 害 を そ っ く り裏 返 す. こ と が で き る 。 地 域 情 報 化 と イ ン タ ー ネ ッ トの 親 和 性 は 既 に 指 摘 さ れ て い た が(丸 2007),生. 田. 活 者 の 側 の 使 い こ な しが 進 展 し た こ と で 可 能 性 が さ ら に 広 が りつ つ あ る。 と り. わ け,CGM機. 能 を 前 面 に 打 ち 出 す こ と に よ っ て,行. 政 と市 民 の 共 同運 用 と イ ンタ ラ ク. テ ィ ブな コ ミュニ ケー シ ョン展 開 が 実 現 で き る こ とが 魅 力 的 で あ る。 た だ し,イ. ン タ ー ネ ッ トの 開 放 性 に は 限 界 な い し弊 害 も あ る 。 そ れ は,ネ. ッ トに 参 加 す. る 人 々 が 必 ず し も 前 向 き な 善 人 ば か りで は な い こ と に 起 因 す る 。 も と も と イ ン タ ー ネ ッ トを 介 し た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 可 能 性 は,Web2.0,す 般 の 生 活 者 を 能 動 的 表 現 者 と 認 め,そ 2006)。. し か し こ れ が 浸 透 し た 今,他. な わ ち一. の 力 を 巻 き 込 ん で い こ う と す る 点 に あ っ た(梅. な ら ぬ そ の イ ン タ ー ネ ッ トメ デ ィ ア の プ ラ ン ナ ー 兼. コ ン サ ル タ ン トか ら,「 ネ ッ トは 集 合 愚 」 で あ る,と. い う 《現 場 か ら の ネ ッ ト敗 北 宣 言 》. が 呈 さ れ る に 至 っ た 。 ネ ッ トの ヘ ビー ユ ー ザ ー に は ク レー マ ー 気 質 の 人 が 多 く,し ネ ガ テ ィ ブ な 書 き 込 み を 行 っ て サ イ トを め に は,こ る(中. 田. ば しば. 「炎 上 」 さ せ て し ま う 。 ペ ー ジ ビ ュ ー を 増 や す た. う した人 々の 嗜 好 に合 わ せ て 程 度 を落 と した情 報 発 信 を せ ね ばな らな いの で あ. 川2009)。. 地 域 ブ ラ ン ドを テ ー マ と す る サ イ トの 開 設 は 技 術 的 に は 容 易 で あ る が,そ に は 多 くの 課 題 が 残 さ れ て い る 。. 一89(89)一. の効果的運営.
(12) 第57巻 ク リエ イ テ ィ ブ 展 開(情. 第1号. 冒 頭 で 触 れ た 鉄 人28号. 緒 性) は 一 世 を 風 靡 し た 有 名 な マ ン ガ キ ャ ラ ク タ ー で あ り,こ. 再 生 の シ ン ボ ル と して 活 用 す る 試 み で あ っ た 。 同 様 に 近 年,地. れを地域. 方 自 治 体 な ど が 開 発,活. 用. す る マ ス コ ッ トキ ャ ラ ク タ ー と して,「 ゆ る キ ャ ラ 」が 多 く見 られ る よ う に な っ た 。 こ の 呼 称 は マ ン ガ 家 み う ら じ ゅ ん の 命 名 で,当. 初 は 批 判 的 な い し椰 楡 的 トー ン を 帯 び て い た が,. 普 及 す る に つ れ て 肯 定 的 ニ ュ ア ン ス に 転 じて き た よ う に 思 わ れ る 。 こ こ に 地 域 ブ ラ ン ド戦 略(第3の. ゴ ー ル)の. ク リエ イ テ ィ ブ 面 で の 解 決 策 が 潜 ん で い る 。. 広 告 ク リエ イ テ ィ ブ は,キ の 注 目 を 集 め る と と も に,ブ ル マ ン は,効. ャ ッ チ フ レ ー ズ と キ ー ヴ ィ ジ ュ ア ル か ら 組 み 立 て ら れ,顧. 客. ラ ン ドに 対 す る 関 心 を 呼 び 起 こ す 役 割 を 担 う 。 ロ シ タ ー と ベ. 果 的 な ク リエ イ テ ィ ブ戦 術 を4つ. の グ リ ッ ドに 分 け て 論 じ て い る(Rossiter. andBellman2005)。 そ の 横 軸 は,情. 報 型(問. の 動 機 」,縦 軸 は,高 負 担 の 程 度 を示 す. 題 解 決 型)・ 対 ・変 換 型(自. 己 報 酬 型)か. 関 与 ・対 ・低 関 与 か ら成 る,ブ. 「選 択 の 類 型 」 で あ り,そ. ら 成 る 「ブ ラ ン ド選 択. ラ ン ド選 択 に お け る 経 済 的 ・心 理 的. れ ぞ れ の 象 限 に よ って 効 果 的 ア プ ロー チが 異. な る 。 た だ し,ブ ラ ン デ ィ ン グ は ど の 製 品 カ テ ゴ リ で あ れ,「 高 関 与 変 換 型(自 戦 術 を 用 い る こ と を か れ ら は 推 奨 す る 。 そ の 要 点 は 次 の3つ 1「. 己 報 酬 型)」. で あ る。. こ れ は 私 の こ と」 と い う反 応 を 引 き 出 す 高 度 な 情 動 性. 2変. 換 型(自. 己 報 酬 型)キ. 3広. 告 に 登 場 す る プ レゼ ン タ ー の 特 徴 づ け(専. 地 域 ブ ラ ン ド戦 略(第3の. ー ベ ネ フ ィ ッ ト主 張 の 過 剰 な 主 張. ゴ ー ル)に. づ け られ る 。 キ ャ ラ ク タ ー は,ブ. 門 性 ま た は 理 想 的 類 似 性). お け る キ ャ ラ ク タ ー 起 用 は,こ. の3の. 実 践 と位 置. ラ ン ド価 値 を 具 体 的 に 表 現 して 競 合 品 と 識 別 す る た め の. 「ブ ラ ン ド要 素 」 の 一 つ で あ り,ブ. ラ ン ド シ ン ボ ル の 特 別 な 形 態 と して,よ. り能 動 的 に ブ. ラ ン ド体 験 を 可 視 的 に 誘 う の で あ る(Keller2007)。 一方. ,2を. 実 践 す る ブ ラ ン ド要 素 は ス ロ ー ガ ンで あ る 。 こ れ は コ ピ ー の 戦 略 的 形 態 で,. ヴ ィ ジ ュ ア ル 要 素 を 伴 わ ず に 独 立 して お り,か 期 的 に活 用 され る。 秋 田県 横 手 市 の 阪府岸和 田市の が 見 られ る(博. つ あ ら ゆ る タ ッ チ ポ イ ン トに ま た が っ て 長. 《か ま く らの 里 》,静 岡 県 下 田 市 の 《伊 豆 の 太 陽 》,大. 《祭 都 き し わ だ 》,島 根 県 出 雲 市 の 報 堂2006)。. コ ピ ー や ス ロ ー ガ ン の 言 語 記 号 は 理 性 的 に,ロ 的 に,ス. 《世 界 を 結 ぶ ご 縁 都 市 》 と い っ た 事 例. テ ー ク ホ ル ダ ー の 認 識 に 対 して,抽. ゴや キ ャ ラ ク ター の 資 格 シ ン ボル は感 性. 象 的 な ブ ラ ン ド価 値 を 具 体 的 に 可 視 化 して ゆ. く。 こ の 働 き か け が 好 意 的 に 受 け 止 め られ た と き,高 一90(90)一. 度 な 情 動 反 応,す. な わ ち愛 着 が 育 ま.
(13) 地 域 ブ ラ ン ドの コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン デ ザ イ ン(妹. 尾). れ,「 私 ご と」 と して能 動 的 か つ優 先 的 な行 動 が 喚起 され る に至 る の で あ る。. 最 大 の 課 題:ブ. ラ ン ドマ ネ ジ ャ ー. 地 域 ブ ラ ン ド戦 略(第3の して き た と お り,実. ゴ ー ル)に. お け る タ ッ チ ポ イ ン トも ク リエ イ テ ィ ブ も,概. 践 事 例 が 蓄 積 さ れ つ つ あ る 。 しか し,そ. 観. の 内 実 は ま さ し く玉 石 混 交 と. 言 わ ざ る を得 な い。 こ こ で 忘 れ て は な らな い の は,コ 立 脚 す る,と. 「プ ロ の 技 」 に. い う こ と で あ る 。 企 画 と 実 施 の プ ロ セ ス に 一般 の 生 活 者 で あ る 市 民 の 参 加 を. 得 る こ と は,特 戦 略 性 と,素. ミュニ ケー シ ョン デザ イ ン は あ くまで. に ブ ラ ン ド価 値 共 創 を 実 現 す る 上 で き わ め て 重 要 で あ る 。 け れ ど も,そ. 人 の 稚 拙 な コ ミュニ ケ ー シ ョン表 現 や 運 営 が 表 に 出て しま う こ と と は ま った. く別 次 元 の 問 題 な の で あ る 。 む し ろ,素. 人 の 力 を 借 りれ ば 借 り る ほ ど,も. と も との 方 向 づ. け と 企 画 の 選 択 に 専 門 家 の 厳 し い 判 断 が 求 め られ る 。 プ ロ に 委 託 す る 余 裕 が な い,と 予 算 の 制 約 は,も 従 っ て,地. の. いう. ち ろ ん 言 い 訳 に な らな い 。. 域 ブ ラ ン ド戦 略(第3の. す る 。 も と よ り,行. ゴ ー ル)最. 大 の 課 題 は,ブ. 政 が 専 門 家 で 市 民 は 素 人 だ,と. リ ー ダ ー を 務 め る に し ろ,ブ. ラ ン ドマ ネ ジ ャ ー に 帰 結. い った 表 層 的 な 議 論 で は な い。 誰 が. ラ ン ドマ ネ ジ ャ ー に は,高. い 志 と,そ. れ を 可 視 化 し,多. くの. ス テ ー ク ホ ル ダ ー の 共 感 を 獲 得 して 大 き な ム ー ブ メ ン トに 仕 立 て て ゆ くた め の 高 度 な 技 術 の 両 立 が 求 め られ る 。 そ して,こ. の こ と は企 業 に お け る ブ ラ ン デ ィ ン グ と何 ら変 わ る と こ. ろ はな いの で あ る。. 引. 用. 文. 献. ・梅 田 望 夫 著(2006)「. ウエ ブ進 化 論 』 筑 摩 書 房. ・青 木 貞 茂 著(1994)「. 文 脈 創 造 の マ ー ケ テ ィ ン グ』 日本 経 済 新 聞 社. ・青 木 貞 茂 著(2008)「. 文 化 の 力 」NTT出. ・陶 山 計 介 ・妹 尾 俊 之 共 著(2006)『 書房 ・中 川 淳 一 郎 著(2009)『. 版. 大 阪 ブ ラ ン ドル ネ ッ サ ン ス:都. 市 再生 戦 略 の 試 み』 ミネ ル ヴ ァ. ウエ ブは バ カ と暇 人 の もの 」 光 文 社. ・博 報 堂 地 ブ ラ ン ド プ ロ ジ ェ ク ト編 著(2006)『. 地 ブ ラ ン ド」 弘 文 堂. ・ペ ン ダ グ ラ ス ト,マ ー ク 著,古 賀 林 幸 訳(1993)『 コ カ コー ラ帝 国 の 興 亡 」 徳 間 書 店 ・丸 田 一 著(2007)『 ウ ェ ブが 創 る新 しい 風 土 』 講 談 社 ・ リー ・ シ ャ ー リー ン ,ジ. ョ ジ ュ ・バ ー ノ フ 共 著,伊. 東 奈 美 子 訳(2008)「. グ ラ ンズ ウエ ル 」 翔 泳 社. • Govers , Robert and Frank Go(2009), Place Branding: Glocal, Virtual and Physical Identities, Constructed, Imagined and Experienced, Palgrave Macmillan • Keller , Kevin Lane (2007) , Strategic Brand Management: Building, Measuring, and Managing Brand Equity, 3rd Edition, Prentice Hall 91 ( 91 )-.
(14) 第57巻 ・Kotler. ,P。,D.H.Haider,andI。Rein(1993),MarketingPlaces,FreePress[=井. (1996)「 ・Rossiter. 第1号. 関 利 明 監 訳. 地 域 の マ ー ケ テ ィ ン グ 』 東 洋 経 済 新 報 社] ,JohnR.andStevenBellman(2005),MarketingCommunications:Theoryand. Applications,PrenticeHallCollegeDiv[=岸 ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン:IMCの ・電 通 ニ ュ ー ス リ リー ス ・特 許 庁 ホ ー ム ペ ー ジ. 志 津 江 監 訳(2009)『. 戦 略 的 マ ー ケ テ ィ ン グ コ. 理 論 と 実 際 」 東 急 工 一 ジ ェ ン シ ー]. ,2010年2月22日. 「地 域 団 体 商 標 制 度 の 部 屋 」 ,2010年4月29日. http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url-/torikumi/t. 調 べ _torikumi/t_dantai_syouhyou.htm.
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