• 検索結果がありません。

持続可能な茶業をめざした地域資源マネジメント③ : 一般消費者にむけた大和茶クイズの実施方法とその効果

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "持続可能な茶業をめざした地域資源マネジメント③ : 一般消費者にむけた大和茶クイズの実施方法とその効果"

Copied!
11
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

: 一般消費者にむけた大和茶クイズの実施方法と

その効果

著者

山本 芳華, 清水 夏樹, 陳 虹?, 中池 竜一

雑誌名

平安女学院大学研究年報

20

ページ

1-9

発行年

2020-03-01

URL

http://id.nii.ac.jp/1475/00002408/

(2)

持続可能な茶業をめざした地域資源マネジメント③

-- 一般消費者にむけた大和茶クイズの実施方法とその効果 --

山本 芳華・清水 夏樹・陳

虹 ・中池 竜一

平安女学院大学研究年報 第 20 号 抜刷 (2020 年 3 月)

(3)

持続可能な茶業をめざした地域資源マネジメント③

−− 一般消費者にむけた大和茶クイズの実施方法とその効果 −−

山本 芳華

*1

・清水 夏樹

*2

・陳

虹䓋

*1

・中池 竜一

*1

要 旨

全国的に茶の消費量が少なくなっており、世代が若くなるほど家庭で茶を急須で飲むことが減って きている。このような現状から、茶業及びお茶の文化の振興を図ることを目的として、お茶の振興に 関する法律が制定されている。これらをふまえ、本論文では、一般消費者の茶の食育の在り方につい て検討した。奈良県橿原市まほろばキッチンで実施した大和茶普及イベントにおいて一般消費者にむ けた大和茶関連の基礎知識についてクイズを行った。一般消費者がイベント会場に掲載しているパネ ル内容を参考にし、高いクイズ正答率を導いたことから、より積極的にクイズの設問とパネルを連動 し、大和高原北部の特徴や地域資源である大和茶の問題をより多く含めたクイズ問題を作成し、パネ ルと連動したクイズは、一般の消費者が地元の大和茶への理解を深める教材になりうることが判明し た。 〔キーワード〕 日本茶、地域資源マネジメント、持続可能性、クイズ、一般消費者、教材

はじめに

近年における抹茶ブームによって日本の茶は世界的にも認知度が高まってきている。さらに、日本 茶は健康に良いということでアメリカをはじめとした諸外国に対する輸出量が増加している。しかし ながら、国内における日本茶の消費量は減少傾向にあり、生産面積の減少も深刻である。このような 状況を危惧し、茶業及びお茶の文化の振興を図ることを目的に、お茶の振興に関する法律(平成 23 年 4 月 22 日 法律第 21 号)が施行されている。この中で、消費の拡大の一環としてお茶を活用した食 育の推進がとりあげられている(第 7 条第 2 項)。山本・陳・中池(2019)では、児童に向けた日本茶の 食育授業が家庭内の日本茶摂取の動機付けとなっていることを奈良市内の小学生へのアンケート調査 結果から明らかにした。しかしながら、児童が学校教育の中で日本茶へ興味を持ったのち、食習慣と して継続して日本茶を家庭内にて摂取できるかどうかは、一般消費者である親世代の日本茶への興味 関心に大きく影響する。山本・清水(2018b)で行った街頭調査の結果からも、祖父母世代となる 60 代以降は急須で茶を飲むことが主流であるが、親世代となる 30 代、40 代では急須で茶を飲む機会は 少なく、ティーバッグやペットボトルで茶を飲む人が多いことがわかっている。さらに家庭での影響 を多く受ける世代である 20 代以下ではペットボトルが主流になっている。このように世代間で日本 茶の飲み方について断絶があることが調査の結果より明らかになっている。核家族化が進み、急須で 茶をいれて家族で団らんするという機会が少なくなったため、世代を超えて急須を使った茶のいれか たを継承することが難しくなってきているのである。義務教育下にある児童に対する日本茶の食育は 学校教育制度の下で推進することが可能であるが、一般消費者に向けた食育は制度が整えられておら *1:平安女学院大学 国際観光学部 *2:京都大学 学際融合教育研究推進センター森里海連環学教育研究ユニット

(4)

ず、十分実行されているとはいいがたい。そこで、本研究では、全国的に見ても茶栽培地域の減少の 著しい奈良県大和高原地域を有する奈良県下におけるイベントにて実施した取り組みから、茶の消費 拡大にむけた一般消費者向け茶の食育教材の在り方についての検討を行う。具体的には 2018 年に実 施した大和茶1)普及イベントで実施した一般消費者にむけた「大和茶クイズ」を題材として取り上げ、 その教育効果について検討を行う。まず、①茶の教育に関する法律や計画や現在行われている活動の 概略について記載したうえで、②クイズの実施が、前述の茶の教育に関連する法律や計画とどのよう に関連するかについて検討する。それを通じ、このような一般消費者に向けた教育が地域資源として の日本茶の持続可能なマネジメントに寄与するものかどうかについての考察を行う。

第 1 章 日本茶振興と教育

(1)お茶の振興に関する法律 お茶の振興に関する法律2)(法律第 21 号)が、平成 23 年 4 月 22 日に議員立法によって制定された。 この法律は、「お茶に関する伝統と文化が国民の生活に深く浸透し、国民の豊かで健康的な生活の実 現に重要な役割を担うとともに、茶業が地域の産業として重要な地位を占めている中で、近年、生活 様式の多様化その他のお茶をめぐる諸情勢の著しい変化が生じていることに鑑み、茶業及びお茶の文 化の振興を図るため、農林水産大臣による基本方針の策定について定めるとともに、お茶の生産者の 経営の安定、お茶の消費の拡大及びこれに資するお茶を活用した食育の推進並びにお茶の輸出の促進 に関する措置、お茶の伝統に関する知識等の普及の措置等を講じ、もって茶業の健全な発展及び豊か で健康的な国民生活の実現に寄与すること」を目的としている(第 1 条)。主務大臣は農林水産大臣で あり、生産者の経営安定、加工及び流通の高度化、品質の向上の促進、消費の拡大、輸出の促進、お 茶の文化の振興などについて、国及び地方公共団体は必要な施策を講ずるよう努めるものとするとさ れている。食育に関連する条項は第 7 条第 2 項となるが、「お茶を活用した食育の推進がお茶の消費 の拡大に資する」とし、「国及び地方公共団体」は、「児童に対するお茶の普及活動への支援その他お 茶を活用した食育の推進に必要な施策を講ずるように努める」とされている。この条文は、特に児童 に言及しているが、児童を有する家庭での茶の消費も念頭にある点において、広くは児童を有する家 庭を想定している。この意味において、この条文は一般消費者への食育も関連するものと考えられる。 第 7 条第 1 項には、「国及び地方公共団体は、お茶の消費の拡大を図るため、お茶の新用途への利用 に関する情報の提供、研究開発の推進及びその成果の普及その他必要な施策を講ずるよう努めるもの とする」との記載があり、お茶の消費拡大を図るための「そのほか必要な施策」にも一般消費者への 食育や日本茶の知識普及活動は含まれるものと思われる。 (2)奈良県茶業生産指導計画 前述のお茶の振興に関する法律第 3 条において、「都道府県は、基本方針に即し、当該都道府県に おける茶業及びお茶の文化の振興に関する計画(以下「振興計画」という。)を定めるよう努めなけれ ばならない」と記載されている。奈良県では、平成 30 年 3 月に策定された「奈良県茶業生産指導計 画3)」が存在する(表 1 参照)。この計画は、平成 29 年度を基準年度として平成 30 年から 34 年度ま での 5 か年を計画期間とする。重点項目として取り上げられたうちの一つに、消費の拡大があり、そ の中の一つとして「食育への取組」が挙げられる。「茶を活用した食育を推進するため、茶の普及活 動を行っている団体等と連携して、茶のおいしさや健康、機能性などの情報を提供する」ことが必要 であるとされている。 山本 芳華・清水 夏樹・陳 虹䓋・中池 竜一 − 2 −

(5)

(3)地域での一般消費者に向けてのイベント これを受けて奈良県内の茶生産地域においては、一般消費者にむけて日本茶インストラクター協会 や茶農家団体、さらには行政における様々なイベントが行われている。お茶のテーマパーク実行委員 会が主催4)となり、2016 年より「茶良(ちゃら)5)」というイベントを継続的に行っている。「全国屈指 のお茶どころ、奈良。そのはじまりは 1200 年以上前にさかのぼります。そんな奈良のお茶「大和茶 (やまとちゃ)」にまつわる様々な物語を知っていただきたいと、2016 年から「茶良(ちゃら)」がは じまりました」とされており、積極的に奈良のお茶への知識を広めてようとしている。このイベント は、2016 年 2 月に開始された。2016 年は、「お茶の奈良」として「大和茶まち歩き map」が作成さ れ、2 月 1 日から 29 日までの間に茶良参加店舗や宿泊施設、寺社などの会場で、大和茶オリジナル メニューの提供や、市内宿泊施設での茶のティーバッグの配布が継続的になされた。また、イベント は三部構成(イベント内では三間という表現がされている)となっている。「はじまりの間」として、 煎茶からほうじ茶、紅茶、ブレンドティーなどの多彩な「大和茶」のふるまいが近鉄奈良駅の行基広 場前で行われた。また、「見せの間」としての煎茶器展、「学びの間」としての奈良女子大学茶道部の 大和茶の抹茶点てとお茶の世界についてのレクチャーなどが行われた。2017 年から開催を 9 月 1 日 から 30 日までの秋実施とし、奈良町にぎわいの家での開催となった。奈良県生産青年協議会による 茶歌舞伎、奈良女子大茶道部の協力によるお茶会体験、全日本煎茶道連盟との共催による煎茶体験、 煎茶器展、大和茶祭などが行われた。2018 年には、茶歌舞伎、大和茶染め体験、遣唐使が持ち帰っ た時のお茶を味わう、お茶の木のアクセサリー作り体験、春日野お茶遊び、手揉み品評会、大和茶の 近現代史、お水取りの椿菓子作り体験、煎茶器展についてなどといったより広い内容をカバーする企 画が行われている6)。このようなイベントは、茶に関心を有する一般人の「茶」に関する他方面にわ たる要望に応えてくれるものと思われる。 (4)先行研究 児童ではない大人を含めた茶教育の手法に関しては、橋本(2017)がある。ここでは、大学生と小学 校 5 年生の児童、保護者を対象としたお茶体験、湯のみづくりなどの日本茶に関連する授業を題材に し、ノットワーク型の活動理論から、組織を超えてともに学習活動を行う協働的な連携を生み出す機 能や地域に内在する既存の文化の魅力を再評価する場を提供するモデルを導き出さんとしている。山 本・清水(2019)は、大学生とともに日本茶の消費傾向や大和茶の知名度などを調査した結果や、商品 表 1 「奈良県茶業生産指導計画」における重点振興対策「奈良県茶業生産指導計画」2−3 頁参照のうえ筆者作成 (1) 安定した生産の実現 生産力の向上 省力化・低コスト化 (2) 担い手の育成 (3) 加工施設の整備 (4) 大和茶のブランド力向上 生産工程の管理高品質化・付加価値の向上 第 6 次商品化・農商工連携の推進 (5) 消費の拡大 大和茶の消費拡大食育への取組 輸出支援への取組 (6) 茶の文化の普及 (7) 生産指導体制

(6)

開発を通じた大学生の日本茶に対する学びについて記載している。これらの論文は、小学校の児童の 保護者、大学という組織に属する大学生という一定の限定された人を対象とした学習の成果を対象に したものである。その点でこれらは、本論文のように同じような組織に属するわけではない一般消費 者に向けた茶の教育について述べられているものとは言えない。そこで本研究では、このような一つ の単一的な属性を持つもの以外の一般の消費者に向けた茶教育の教材の効果について検証していきた いと思う。

第 2 章 大和茶普及イベント 2018 と大和茶クイズ

(1)大和茶普及イベントの概要(2018 年度の変更点) 2018 年 10 月 27 日に第 4 回目となる大和茶普及イベントが実施された。2015 年、2016 年と実施さ れた内容については、山本・清水(2018a)、2017 年度については、山本・清水(2019)に記載されてい る。2018 年には、大和高原北部土地改良区が主催となり、近畿農政局、奈良県、奈良市、山添村、 茶農家、平安女学院大学、京都大学が参加しており、宇陀市も事前会議に参加している。2018 年度 のイベントは、2017 年度までのそれとは方向性を変容させての開催となった。2018 年 8 月にイベン ト参加団体と農家が、大学のファシリテートのもとに、イベントの今後を検討するための KJ 法を利 用したワークショップを行った。その結果、観光客が多く往来する近鉄奈良駅における 3 回のイベン ト実施とは異なる取り組みを選択した。イベントの方針を「国内で日本茶を日常的に飲まなくなった 方、日本茶を知らない海外の方、大和茶の存在を知らない方々に対し、幅広く大和茶の美味しさ・効 用を伝え、魅力の再認識と購買意欲を高める」ことという観点から、「奈良県内及びその近郊の方々 に対し、「大和茶」の美味しさ・魅力を伝え、購買意欲を高めることと変更した。またさらに、参加 いただいたお茶農家には地域の方々との触れ合いを通じて「大和茶」の美味しさ・魅力を伝授・共有 することにより生産意欲の向上に繋げていただく」ことを方針とすると明記された。それを受け、開 催場所が、近鉄奈良駅前という国内外の観光客を含めた多くの人の集まる場所から、地元でも人気の JA が経営する地元の農産物を多く取り扱う奈良県橿原市の中和幹線(奈良県道 105 号)沿いに位置す る「まほろばキッチン7)」へと変更された。そのことでイベントそのものが、観光客を含めたより広 い大和茶の知名度アップを目的としたものから、地元密着型への情報発信へと変更された。生産地か ら近い近郊の買い物客に大和茶を PR することで、日常への消費につなげてもらうという方向性が打 ち出された8)。そこで、このイベントに参加した地元買い物客である一般消費者に対してクイズに答 えてもらう形式で、日本茶や奈良県で生産されている大和茶に対してどの程度の知識を有しているの かについての調査研究が行われた。このクイズは 2018 年さらに、2019 年 10 月 26 日に実施する第 5 回イベントへと引き続いて実施される予定となっている(以下このクイズを「大和茶クイズ」と記載 する)。 (ア)「大和茶クイズ」(2018)概要と分析 「大和茶」クイズは、大和茶普及の一環として 2018 年のイベントより企画実行された。場所は前 述のまほろばキッチンの正面玄関付近にて、2018 年 10 月 27 日(土)10 時∼12 時に実施された。全部 で 100 枚用意していたクイズは 2 時間かからないうちに終了した。内容については、大和茶イベント 参加団体において検討し、最終的には大和茶研究センターにて監修を受けている。日本茶や大和茶の 知識を訪ねる 10 問の〇×形式のクイズであり、回答が終わったのちに、赤鉛筆にて参加者の面前で 採点を行い間違った設問について解説を行った。クイズは No1 と No2 としてそれぞれ二種類用意さ れた(クイズ設問については、表 5、表 6 の質問欄を参照)。また、両クイズともに、共通項目として 属性にかかわる質問(性別、年齢、住所など)のほか、大和茶への認識、飲んだ経験、今後の消費につ 山本 芳華・清水 夏樹・陳 虹䓋・中池 竜一 − 4 −

(7)

いての設問を含めている。属性の結果については、以下のとおりである。表 2 にみられるように、男 性よりも女性の回答者が多い。また、表 3 にみられるように、年齢構成は 50 歳代、60 歳代の回答者 が多い。家族連れが多い週末でのクイズ実施だったため、家族連れで小さな子供を伴った祖父母が子 供の代わりに回答をしているというケースも多くみられた。20 歳未満の回答には小学生以下の子供 も含まれる。また、奈良県内での回答者が県外よりも多くなっており、会場となったまほろばキッチ ンが地元近郊密着型であることがわかる。 表 5、6 に示したのは、大和茶クイズ(2018)の No1、No2 のそれぞれ 50 名における回答率である。 特に高い正答率であったのは、奈良県内の「かぶせ茶」の製法や大和茶の定義、煎茶をいれる湯の温 度、奈良県産の紅茶についての設問などについてである。また、低くなっているのは、奈良の郷土料 理茶粥についての設問(正答率 26%)、苗木を植えてから茶の収穫ができるようになる期間について の設問(正答率 46%)である。奈良県内のかぶせ茶の製法や大和茶の定義、さらには湯の温度、奈良 県産の紅茶など、会場内のパネルにヒントが隠されているようなものについては、比較的高い正答率 となっていた。ヒントを探すために掲示パネルを真剣に見て、内容を学んでから答えを導き出す人の 割合が高いとみられたことから、これらのクイズそのものが、パネル掲示内容と連動することで一般 消費者に対する茶に関連する学習効果をもたらすことが判明した。特に満点賞では、特別な賞がもら えるということが、正解を導くためのモチベーション・アップに寄与すると推測され、会場に設営さ れていた大和茶に関連するパネルも参考にしながら、家族でクイズへの回答に取り組む姿が数多く見 られた9) 表 2 大和茶クイズ 2018 属性(性別) 表 3 大和茶クイズ 2018 属性(年齢) 表 4 大和茶クイズ 2018 属性(出身) 表 5 No. 1 大和茶クイズ(2018)質問項目と正答率 男 女 無回答 No 1 8 31 10 No 2 9 28 13 年齢 (20歳未満) 20 歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳以上 無回答 No 1 5 0 2 5 14 16 7 1 No 2 8 2 3 9 11 11 4 2 奈良県内 県外 無回答 No 1 27 9 14 No 2 33 11 6 No. 質問 正答率 Q1 お茶の発祥地は中国である? 88% Q2 お茶が日本に伝来した時期は明治時代である? 88% Q3 お茶の木に花は咲く? 84% Q4 奈良県のお茶の生産量は全国第 7 位である? 74% Q5 お茶は苗木を植えた 1 年後から、毎年茶の葉が収穫できるようになる? 46% Q6 「大和茶」の主要生産地は大和高原(やまとこうげん)である? 88% Q7 「大和茶」の一番茶の茶摘み時期は 5 月頃である? 76% Q8 緑茶と紅茶は同じ葉から出来ている? 84% Q9 「かぶせ茶」を生産している?奈良県ではお茶の収穫前に黒い覆いをかぶせる 92% Q10 「大和茶」は、奈良県産のお茶が 100% 使われている。 96%

(8)

(イ)2019 年度の大和茶クイズへの 2018 年度結果への反映 以上の結果を受けて、2019 年 10 月 26 日にて同じく実施された大和茶クイズでは、積極的に掲示 パネルの内容とクイズ内容との連動が図られた。すべての設問がパネルに連動するような仕掛けを作 り、パネルを見て学習することによってより正解が導き出されやすい問題となるように工夫がなされ た。さらに、これらのクイズ設問に関しては、日本茶一般の設問だけではなく、大和茶独自の問題を 積極的に組み込んだ。また、共通項目として No9、10 という設問を入れることで前年度手薄になっ ていた茶業に関連する農業基盤についての項目についてたずねることができるように変更した。(表 7、表 8 参照)そのことによって、前年度以上に積極的にパネル上の情報を収集する姿が見られた。 (写真 1) 表 6 No. 2 大和茶クイズ(2018)質問項目と正答率 表 8 大和茶クイズ票(2019) No 2 表 7 大和茶クイズ票(2019) No 1 No. 質問 正答率 Q1 緑茶は熱湯(100℃)で淹れるとまろやかでおいしいお茶になる? 94% Q2 ペットボトルの緑茶が登場したのは 2000 年代である? 64% Q3 緑茶の生産工程には蒸し工程がある? 82% Q4 奈良市の西大寺には「大茶盛式(おおちゃもりしき)」という伝統的な行事がある? 96% Q5 お茶は北海道でも大量に栽培されている? 76% Q6 水出しのお茶はカフェインが多い? 66% Q7 お茶に多く含まれるビタミンはビタミン C である? 86% Q8 奈良の郷土料理「茶粥」は江戸時代になりレシピが開発された? 28% Q9 奈良県でも紅茶がつくられている? 98% Q10 「大和茶」の起源は弘法大師(空海)が種を持ち帰ったという説がある? 88% No. 問 題 解答欄 Q1 お茶が日本に伝来した時期は明治時代である? Q2 奈良県のお茶の生産量は全国第 7 位である? Q3 お茶は苗木を植えた 1 年後から、毎年茶の葉が収穫できるようになる? Q4 「大和茶」の主要生産地は大和高原(やまとこうげん)である? Q5 「大和茶」の一番茶の茶摘み時期は 5 月頃である? Q6 奈良県ではお茶の収穫前に黒い覆いをかぶせる「かぶせ茶」を生産している? Q7 「大和茶」は奈良県産のお茶が 100% 使われている? Q8 奈良県では国の事業でお茶畑の整備が行われたことがある? Q9 山添村にある上津ダムの管理は大和高原北部土地改良区が行っている? Q10 み ど り 大和高原北部土地改良区は「水土里ネット大和高原北部」と呼ば れている? No. 問 題 解答欄 Q1 緑茶は熱湯(100℃)で淹れるとまろやかでおいしいお茶になる? Q2 緑茶の生産工程には蒸し工程がある? Q3 奈良市の西大寺には「大茶盛式(おおちゃもりしき)」という伝統的な行事がある? Q4 水出しのお茶はカフェインが多い? Q5 奈良の郷土料理「茶粥」は江戸時代になりレシピが開発された? Q6 奈良県でも紅茶がつくられている? Q7 「大和茶」の起源は弘法大師(空海)が種を持ち帰ったという説がある? Q8 山添村にある上津ダムの水はお茶畑や田んぼだけではなく、工場でも使われている? Q9 山添村にある上津ダムの管理は大和高原北部土地改良区が行っている? Q10 み ど り 大和高原北部土地改良区は「水土里ネット大和高原北部」と呼ば れている? 山本 芳華・清水 夏樹・陳 虹䓋・中池 竜一 − 6 −

(9)

第 4 章 まとめ

今回の研究調査によってパネルと連動した「大和茶クイズ」は、もともと茶に興味がある一般消費 者に対して行う学習イベント形式とは異なり、茶に興味のない層を含む一般消費者に対する教育効果 をもたらしうると考えられる。また世代を超えて茶の知識を得られることも判明した。また、子供た ちを含む若い世代やその親世代、さらには祖父母世代と幅広い世代が楽しむことができることから、 クイズそのものが世代を超えたコミュニケーションの場を提供するとともに、茶にかかわる食育をよ り手軽に広く進める上での一助となるのではないかと思われる。また、奈良の茶を広めるというブラ ンド力の向上の寄与という点からも「大和茶」というブランドを知らなかった県外者にも気軽に認識 を広めることができるものと思われる。 以上のことからわかるように、このようなクイズを茶の教材とすることは、前述の「奈良県茶業生 産指導計画」重点項目である「消費の拡大」における「大和茶の消費」「食育への取組」の両者に寄 与するものとなるだろう。また、お茶の振興に関する法律 7 条第 2 項「お茶を活用した食育の推進が お茶の消費の拡大に資する」上での一助となりうるであろう。児童のみならず、一般消費者にむけた 「お茶を活用した食育の推進」にも効果的であると考えられ、このような普及啓発をおこなうことに よって、「お茶の消費拡大」がはかられていくものと期待される。このような一般消費者への広い茶 への知識の普及によってお茶の消費が図られれば、持続可能な茶業が実現するのではないかと思われ る。

おわりに

本研究において対象とした奈良県の大和茶の事例は、中山間地における主力の産業である茶業を振 興するという点で、同じく中山間地の活性化が問題となっている他の地域においても参考になるので はないかと思われる。 写真 1 イベント会場でパネルを見ながら回答を行うクイズ参加者(2019 年 10 月 26 日筆者撮影)

(10)

謝 辞

この研究は平安女学院大学学長裁量経費における助成を受けて実施いたしました。クイズ監修では、 大和茶研究センターにお世話になりました。ここに感謝の意を表したいと思います。また、ともに協 力しながら大和茶イベントを作り上げてきた近畿農政局、奈良県、奈良市、山添村、宇陀市、土地改 良区、茶農家の皆様、そしてアンケート調査にご協力いただいた皆様に深くお礼申し上げます。 1) 大和茶は、「100% 奈良県で生産されているお茶」という定義が、奈良県においてなされている。 2)「お茶の振興に関する法律」 法律第二十一号(平二三・四・二二) http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/17720110422021.htm 2019/07/07 アクセス 3) 奈良県農林部農業水産振興課「奈良県茶業産業生産指導計画 平成 30 年」 http://www.pref.nara.jp/secure/122691/000-2 奈良県茶業生産指導計画(HP 用).pdf 2019707/07 アクセス 4) 2017 年度の共催情報では、文化庁、奈良県、奈良県教育委員会、第 32 回国民文化祭奈良県実行委員会、奈 良市、奈良市教育委員会、第 32 回国民文化祭奈良市実行委員会、お茶のテーマパーク実行委員会となってお り、幅広い機関が関与していることがわかる。 http://www.pref.nara.jp/secure/189904/13seikatubunka.pdf 2019/10/25 アクセス 5) 茶良イベントホームページ https://yamatochara.wixsite.com/chara 2019/10/19 アクセス 6)「茶良」の情報は、前述のイベントホームページ以外にも Facebook においても行われている。 https://www.facebook.com/pg/お茶の奈良茶良-920948971315864/about/?ref=page_internal 2019/10/19 ア クセス 7) まほろばキッチンは、JA ならが運営する橿原市エリアでの最大のファーマーズマーケットであり、産直の生 産品が多く取り扱われている。今回の大和茶も店舗内に常時置かれている。さらに、産直の野菜などを使用 したレストランも併設されている。 8) 平成 2018 年 10 月 19 日付の近畿農政局作成による企画書は、開催場所が近鉄奈良駅前行基広場からまほろば キッチンへと変更したため、イベント方針が変更されている。お茶農家と地域住民との触れ合いを通じて、 お茶の魅力の発信、お茶農家の生産意欲の向上を図り、奈良県産のお茶の振興推進に寄与するものとすると いう趣旨が述べられている。 9) 参加賞は山添村提供の大和茶を使った羊クッキー、奈良市提供の大和茶ティーバッグ、満点賞は月ヶ瀬グ リーンウェーブと平安女学院大学がコラボレーションでパッケージを作成した大和茶商品とした(紅茶、緑茶、 粉末緑茶)。 参考文献 橋本忠和(2017)「教員養成大学におけるノットワーキング型美術教育に関する一考察:地域連携授業「日本茶大 好き(ほうじ茶淹れ方体験と湯のみ茶碗づくり)」を事例に」『美術教育学:美術科教育学会誌』第 38 号、 pp.365−380. 山本芳華 清水夏樹(2018a) 「持続可能な茶業をめざした地域資源マネジメント∼大和茶普及イベントを通じ た商品開発の動向把握について」『平安女学院大学研究年報』第 18 号 34−42 pp. 山本芳華 清水夏樹(2018b) 「持続可能な茶業をめざした地域資源マネジメント.−− 大和茶を事例とし て −−」『平成 29 年度公益財団法人たばこ総合研究センター助成研究報告』:133−161pp. 山本芳華 清水夏樹(2019) 「持続可能な茶業をめざした地域資源マネジメント② −− 街頭アンケート調査をふ 山本 芳華・清水 夏樹・陳 虹䓋・中池 竜一 − 8 −

(11)

まえた大和茶パッケージ開発 −−」『平安女学院大学研究年報』第 19 号 PP.21−30.

山本芳華 陳虹䓋 中池竜一 松本歩子(2019)「日本茶の持続可能な地域資源マネジメント −− 小学生アンケー トからみた将来世代における茶の消費動向」観光学術学会 2019 年 7 月 7 日発表 立命館アジア太平洋大学 (APU)

Challenges for Sustainable Local Resource

Management of Tea Farming③

̶ Case Study of Tea Quiz for Development of

Teaching Materials of Japanese Tea for General Consumers ̶

YAMAMOTO, Yoshika・SHIMIZU, Natsuki・

CHEN, Hung wen・NAKAIKE, Ryuichi

The generation gap between younger and elder people according to drink Japanese tea. The decrease in consumption of Japanese tea is serious in recent years. Especially younger generation tend not to drink Japanese tea with tea pot even at home. The PET bottled tea is more popular among them. The Act on the Promotion of Tea aims to promote tea industry and tea culture in Japan. In our paper, we try to investigate the effect into general consumer of Japanese tea with Japanese tea quiz. We could understand the effectiveness of the quiz with the information panels according to each question in this quiz. This kind of quiz could become the educational material for general customers to promote Japanese tea.

Keywords: Japanese tea, Local resource management, Sustainability, Quiz, General consumers, Teaching materials

参照

関連したドキュメント

健学科の基礎を築いた。医療短大部の4年制 大学への昇格は文部省の方針により,医学部

地域の中小企業のニーズに適合した研究が行われていな い,などであった。これに対し学内パネラーから, 「地元

環境への影響を最小にし、持続可能な発展に貢

学校の PC などにソフトのインストールを禁じていることがある そのため絵本を内蔵した iPad

欄は、具体的な書類の名称を記載する。この場合、自己が開発したプログラ

を育成することを使命としており、その実現に向けて、すべての学生が卒業時に学部の区別なく共通に

を育成することを使命としており、その実現に向けて、すべての学生が卒業時に学部の区別なく共通に

環境への影響を最小にし、持続可能な発展に貢