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日本発の新しいAIを目指す

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Academic year: 2021

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1 人 工 知 能  30 巻 1 号(2015 年 1 月) 昨年の 6 月に人工知能学会副会長の任を承ったが,それ以来自分の学会に対する意識が変わってきたのを感じて いる.それまでの一会員としてお客様的立場から,いかに会員の方々に対して価値あるサービスを提供できるかを考 えるようになった.そして,この年頭の巻頭言にあたり,日本の AI 研究の方向性とそれに対する学会の貢献につい て考えてみたい. まず,自己紹介がてらに研究経歴を振り返ると,博士課程のときは問題解決を効率化する機械学習を研究し,そ の後ベイジアンネットワークに類似した知識表現で確率的なプランニングの研究を始め,エージェント,ロボット, Webの研究に進展していった.そして,ここ 10 年は,人間とエージェントのインタラクションデザインを目的とす るヒューマンエージェントインタラクション HAI を開拓してきた.現在は,HAI の概念を一般化した知的インタラ クティブシステムの研究も始めている.こうして振り返ると,AI らしい研究から人間を含んだ系へと興味が変遷し ている.ただ,根底にはオリジナリティーがあり新研究分野の開拓につながる研究を目指しており,国際会議にまで 発展した HAI は一定の成功をおさめたと考えている. このような研究経歴を通じて感じてきたことは,日本の AI 研究は新しい枠組みを提案する研究,強力なオリジナ リティーで新研究分野を創出する研究がまだまだ少ないということである.実際,AI 研究の研究トレンドは,ほと んどが欧米発である.そして,あえて厳しい言い方をさせていただけば,日本の AI 研究はすでに流行っている研究 トレンドを周回遅れで追いかけているという印象が拭えない.研究トレンドに対して賞賛されるのは,最初のオリジ ンに位置する研究であり,そのパイオニアの研究者であるため,日本の AI 研究がそのような地位を獲得することは 難しい.一方,AI 以外の情報系では,例えばロボットの分野で IROS, RO-MAN といった日本発で世界的にも広く 認知された国際会議がいくつもあるので,AI の分野でもそのような動きがもっとあって然るべきだろう. さて,そのような日本発の新しい研究分野を開拓するコアとなる AI 研究,AI コミュニティ形成に対して,本学会 が支援できることには何があるのだろうか.実はいくつかのシステムが利用可能である.まずは,全国大会のオーガ ナイズドセッション(OS)である.元来,OS とは,従来の研究分野に収まらない新しい研究分野が提案されるべ きだと考える.この趣旨は,少数のコアコミュニティの形成とそこのメンバによる初期段階の新研究分野の議論に適 している.ちなみに,筆者は本年の全国大会の大会委員長を務めるが,参加者の皆様にも,ぜひ新研究分野を育てよ うという意識をもって OS に参加していただけると幸いである.さらに,本学会には,比較的制約の少ない第 2,3 種研究会があり,新研究会を立ち上げて,OS で固まってきたコミュニティの拡大とそこでの議論をさらに発展させ ることもできる.

そして,次に本学会が支援する国際シンポジウム JSAI-isAI(JSAI International Symposia on AI)* 1である.

JSAI-isAIでは,プロシーディングス関係や事務処理について学会の担当理事が中心となって手厚い支援を行ってお り,またプロポーザル採択の間口を広く保っている.そのため,メジャーな国際会議でワークショップをいきなり立 ち上げるよりも敷居が低い.この JSAI-isAI を OS から国際化に向けての最初のステップとしてぜひ利用していただ きたい.また,第 2,3 種研究会を経て,JSAI-isAI のワークショップに至る道筋も歓迎されている.JSAI-isAI か らよりメジャーな国際ワークショップ,さらには国際会議へと発展していっていただきたい. 以上,日本の AI 研究の世界レベルでの地位の向上のために最重要と考えている日本発の AI 研究について私見を 述べた.また,現実的には,研究トレンドを追う研究も必要だろう.周回遅れではトップに立つのは難しいので,少 なくともワークショップレベルで参入する必要があると思う.

日本発の新しい AI を目指す

山田 誠二

(国立情報学研究所,総合研究大学院大学,東京工業大学)

巻頭言

*1 https://www.ai-gakkai.or.jp/isai/

参照

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