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団塊世代退職者の再就職問題
一 政府と企業の対応を中心に
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e-(2007年 3月31日受理)
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団塊世代,改正高年齢者雇用安定法,継続雇用制度要
約
現在 日本の経済社会の中でもっ とも重大な問題 になっているのが,団塊世代 (1947-1949年生まれ)の定年退職 問題, いわゆる2007年問題である。高い熟練度 ・技能,知識 と豊富な経験 を有す る団塊世代の製造業技術者 が60歳の定年 を迎 え,ものづ くり製造業の現場か ら大量 にいな くな りつつある。企業では労働力不足 と技術の空洞化-の危機意識 が高まっ てきている。 こ うした中で,企業では団塊世代の技能や技術, ノウハ ウの確保 と,団塊世代の退職者 の再雇用 問題 が緊 急の課題 となっている。団塊世代の大量退職後の再雇用問題 に対 して,政府 と企業はそれぞれの対応 にせ ま られ てい る。 そ こで本論文では,改正高年齢者雇用安定法,継続雇用制度 (勤務延長制度,再雇用制度)の検討 を通 じて,政府 と企 業それぞれが団塊世代の退職者 の再雇用問題 に対 して どのよ うに取 り組んでいるのかを考察す る。Ⅰ
は じ め に
現在 日本の経済社会の中で もっ とも重大な問題 になっ ているのが,団塊世代 (1947-1949年生まれ)の定年退 職 問題 ,いわゆる2007年問題である。 日本は戦後 目覚 し い経済成長 を成 し遂げ,今 日に至ってい るが, とくに人 口構成上, もっ とも多い人 口構成 をな してい るのが戦後 の第1次ベ ビーブーム世代1す なわち,団塊世代 である。 団塊世代の人たちが一斉に退職す る2007年 には,定年退 職者 が約690万人 ともいわれ,戦後 の世代 もプ ラス して 広義 に解釈すれ ば,約 1,000万人 ともいわれ てい る。 こ の団塊世代の定年退職が始まる2007年 か ら急速 にものづ くり (工業製品の設計,製造の修理な ど技術 をなす業種, または製造業の土台になる業種 を総称す る)労働者 ・技 術者 が減少 し, 日本は少子化 ・高齢化 に伴い,中長期的 に労働力人 口の減少が進む こととなる。 従来60歳 か ら支給 されていた厚生年金 の支給開始年 齢 が段階的 に 65歳- と引き上げ られてお り,60歳 定年 退職後,団塊世代の所得確保 のための雇用制度 の構築が 重要な課題 として提起 されている。団塊世代が定年退職 を迎 える 2007年以降,企業や政府 は高年齢者 の雇用問 題 に どのよ うに対処 しよ うとしているのかが課題 となっ てい る。少子化 ・高齢化が急速 に進む 日本 では, これ に 対応 で きる雇用制度 を再構築す るこ とが緊急 の課題 と なってきてい る。 他方,団塊世代の労働者 ・技術者 は,製造業 の主役 を 担い 日本経済の牽引者 としての役割 を果た して きた。高 い熟練度 ・技能,知識 と豊 富な経験 を有す る団塊世代 の製造業技術者 が60歳の定年 を迎 え, ものづ く り製造業 の現場か ら大量にいな くな りつつある。 こ うした 中で労 働力不足 と技術の空洞化-の危機意識が高 まって きてい る。 これまで団塊世代が培 ってきた技能や技術 , ノウハ ウを どの よ うに確保 し継承 してい くか も注 目され てい る。1
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6
莱 こ うした団塊世代の大量の退職 に対 して,政府 と企業 はそれ ぞれの対応 にせま られているO政府 は団塊世代の 安定的な雇用措置の構築や技能継承 にいかに対応 しよ う としてい るのであろ うか。企業では,技術者確保の問題, 再雇用問題が大 きく浮上 してい るなかで,企業は団塊世 代の退職後,それ に対 して どの よ うに対処 してい こ うと してい るのか。 それ に団塊世代 の退職者 は定年退職後, どのよ うな生活プランや就労形態 を選択 しよ うとしてい るのか。 本論文では,まず,団塊世代の人 口構成 は どの よ うに なってい るか,その労働力の規模 は どの程度であるかを 含 め,団塊世代の退職後の影響 を明 らかにす る。2つ 目 に,団塊世代の退職者 に対 して政府 は どのよ うに対応 し ているのかを考察す る。3つ 目には,団塊世代の退職者 の再就職 に対 して企業は どの よ うに取 り組んでいるかを 明 らかにす る。 娘 沃Ⅱ
団塊世代の現状
団塊 とい うのは,戦後ベ ビーブームの として生まれた 世代(
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年∼1
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年生まれ)で,国内で一番大きな人 口のボ リュームゾー ンを形成 し,また戦後の右肩上が り の経済成長 とともに育った特異な世代である。1
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年か ら1
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年までの3
年間に生まれた人々は2
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年現在,約6
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万人 にのぼ り,前3
年 の世代 に比べて3
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,後3
年 の世代 に比べて1
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%
多い。 これだけ数の多い世代は, さ ま ざまな意味で 日本社会に大 きなイ ンパ ク トを与えてお り, この世代 の動 向に大 きな注 目が集 まってい る2。 団 塊世代 はその思考や行動が戦後の世代 とは異なることも 多 く, さま ざまな分野で 「団塊世代論」が繰 り広げ られ る。団塊世代の一般的特徴 としては,終身雇用 と年功序 列の職縁社会のなかで人生を送 り続 けた人たちで,近代 工業社会-の強力なェ ンジンとして 日本経済を牽引 して きた3。 表 1 団塊世代を含む層の人口および労働力人口 (単位 :万人)1
5
歳以上人 口 労働 力人 口 午 総 数55-59
歳 総 数55-59
歳Year Total yearsold Total yearsold
人
数
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出所)総務省統計局 『平成1
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年度(
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年)労働力調査年報』2
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年より作成。 (第2表 年齢階級別1
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歳以上人口,労働力人口及び非労働力人口ー男女計-http://www.stat.go.jp/data/roudou/report/2005/ft/zuhyou/aOO201.xls)107 団塊世代退職者 の再就職 問題
(
1
)
団塊世代の労働力人 口 表1は, 団塊世代 の人 口と労働 力 人 口を示 した もの で あ る。 団塊 世 代 の1947年 生 まれ は2002年 に,1948年 生まれは2003年 に,1949年生まれ は2004年 にそれぞれ55 歳 に入 った。2004年 には団塊 世代 の労働 力 人 口がす べ て55歳 ∼59歳 の 中に入 る こ とにな った。2002年 にお け る団塊世代 を含む層 の労働 力人 口は646万人 で,労働 力 人 口に 占め る比 率 は9.7% で,2003年 時 点 で は,689万 人 (10.3%),2004年時点では,727万人 (10.9%)と増 加 してい る。2005年時点では,団塊世代の労働力人 口は 776万人 (ll.7%)- とその比率 を高めてい る。 こ うして, 1947年か ら1949年生まれ の団塊世代が次々 と55-59歳 に 参入 しているため,55-59歳の労働力人 口が2005時点で ピー クに達 している。 この よ うに団塊世代 は労働力人 口 総数 の1割強を占めてい るのである。 2007年以降,数年 間は毎年200万人以上が60歳 にな る。 これ が意味す ることは, 日本 の高度経済発展 を需要供給 の面か ら担ってきた団塊世代が経済 ・社会 の一線 か ら退 くこ とに よって社会や雇 用 の面 で大 きな影 響 を もた ら し,負のイ ンパ ク トとなることが懸念 され てい ることで ある。定年退職者の急増 とそれ に伴 うさま ざまな問題 の 中,技術 の伝承 とい う不安 とい った問題 (いわゆる2007 年問題) を引き起 こす。(
2
)
団塊世代の退職 の影響 大企業,中小企業 を含 む団塊世代の退職 は, どのよ う な影響 を及ぼ してい るか をみてみ る。 内閣府 が行 った企 業調査 「高齢者 の社会参加 の促進 に関す るアンケー ト調 査」 (2005年) による と,生産 ・販 売 な どの企業活動 -の影響 については 「特 に影響がない」が43.8%で最 も多 く,次いで 「多少 ある」が39.8%,「かな りある」が9.2% となってお り,49.0%の企業が何 らかの影響があるとみ てい る。 よ り具体的な影響 についてみ る と,まず 「労務 コス ト の経験効果」 については 「多少 あ る」 と 「かな りある」 をあわせ て67.5%を 占めてい る。 「年齢構成 の若返 りの 影響 」 は 「どち らか とい えば,組 織 が活 性化 す る」 と い う肯定的な評価が44.6%を占め, 「どち らか といえば, 企業活動 が低下す る」 とい う否 定的な評価 の8.9%を上 回ってい る。 「管理 ・指導者層の確保-の懸念」, 「専門 ・ 技術者層 の確保 -の懸念」
については 「多少 ある上 「か な りある」がそれぞれ56.1%,55.5% と過 半数 を占め了特 に懸念はない」が4割弱 となってい る。 「技術 ・技能の伝 承」 については 「特 に変化 がない」 が (48.8%)ともっ とも多いがそれ とほぼ桔抗 して 「多少 困難す る」と 「か な り困難す る」があわせ て46.1% を占めてい る4。 この よ うに団塊世代の退職 が企業活動への影響 につい ては,多 くの企業が コス ト軽減や組織 の活性化 とい う面 で肯定的 に とらえてお り,その背 景 と して は, 「団塊 の 世代」層 の人員数の多 さに加 え,年功的な賃金 ・処遇 シ ステムの存在 がある と考 え られ る。一方 では,企業の管 理 ・指導者層 の確保,専門 ・技術者層 の確保 ,技術 ・技 能継承 といった面では懸念 を抱いてい る企業 も多い。 そ の背景 としては,近年 の経済環境す なわち,90年代 のバ ブル経済の下,企業の人員採用が抑制 され,後世代-の 円滑な継承 を意識 した人員配置や能力開発 が必ず しも計 画的に行 われ なかった ことが考 え られ, よ り若 い世代-の円滑な技術 ・技能の継承 な どが大 きな課題 とい える。 (3)2007年間題 に対す る危機意識 日本 の製 造業 は 日本 経 済 の牽 引役 を果 た し,製 造業 の主役 を担 った団塊世代 の動 きが大 き く浮上 してい る。 2007年問題 とは,団塊世代 の技術者 が次々 と60歳 の定年 を向か え,2007年 に 自社 に とって不可欠 な知識 や経験, 技能 をもつ技術者 が急激 に現場か ら少 な くな るこ とであ る。2007年間題 の本質は,製造業 に とって 「不可欠な存 在」
が 「一気 にいな くなって しま う」 ことで労働 力不足 や技術 ・技能 の伝承 な ど企業活動 の さま ざまな分 野-の 影響が懸念 され てい ることである。 また, 日本 の生産力 は低下す るのに,高齢者 に対す る年金 ・医療 の負 担 は重 くなるとい うことも懸念 され てい る。 2007年 間題 に対す る危機意識 は,厚生労働省 の委託研 究 『能力 開発基本調査報告書』 (2005年 ) におい て, さ ま ざまな側面か ら検討 され てい る。産業別,製造 業業種 別 の2007年間題 の危機意識 の有無 では,全産業の22.4% の企業 が 「持 ってい る」,61.6%が 「持 っていな い」 と 答 えてい る。業種別 では,製造業 で30.5%,運輸 ・通信 業で25.4%の企業が危機 意識 を 「持 ってい る」 と してお り,全産業 よ りそれぞれ8.1ポイ ン ト,3.0ポイ ン ト高 く なってい る。 また,製造業の中では,化学工業 (47.8%),108 栄 一般機械器具製造業(40.5%),金属製品製造業 (35.1%) の順で危機意識が高 くなっている。「2007年問題」に対 す る危機意識 と企業規模別 の関係 は,30人未満 の企業 では,全産業21.1%,製造業は31.0%が危機意識 をもっ てい るのに対 して,正社員300人以上の企業では全産業 37.4%,製造業41.4%で ともに危機意識は高い傾向がみ られる。 「2007年問題」危機意識 と経常利益の伸び,能力開発 の積極性 との関係では,全産業について,5年前 と比較 した経常利益の伸び と 「2007年問題」-の危機意識 との 関係 をみると,5年前 と比較 して経常利益が伸びている 企業の方が「2007年問題」に対す る危機意識が高 くなって いる。また,従業員の能力開発の積極性 と 「2007年問題」 に対す る危機意識 との関係 をみると,能力開発に 「非常 に積極的である」企業については,危機意識を 「持って いない」 (70.7%) とす る割合が もっとも高 く,能力開 発に 「積極的なほ うだ と思 う」 とする企業は危機意識 を 「持 っていない」 (61.2%) とす る割合 も高 くなってい る。それに対 して,能力開発に消極的な企業は危機意識 をもっている比率は12.9%で低 く,能力開発を積極的に 行 う企業の方が 「2007年問題」に対す る危機意識が高い とい うことである5。 「2007年問題」の危機意識の要因は,全産業では「意欲 のある若年 ・中堅層の確保が難 しい」とす る企業の割合 が63.2% ともっ とも多 く,製造業では「技能 ・ノウハ ウ 等伝承に時間がかか り,円滑に進まない
」(
51
.1
%),
「教 える方 と教わる方 との年代や レベルの差が開き過 ぎて, コミュニケーションが厳 しい」 (35.9%) となっている。 業種別にみると,「運輸・通信業」
「金融・保険・不動産業」 「建設業」 「サー ビス業」は 「意欲のある若手 ・中堅層の 確保が難 しい」,
「製造業」
「卸売・小売業・飲食店」は 「技 能・ノウハ ウな ど伝承に時間がかか り,円滑に進まない」 がそれぞれ多 くなっている。全業種 と製造業を比較する と,全業種では,「意欲のある若手 ・中堅層 の確保が難 しい」(63.2%)が最 も多 くなっているが,製造業では 「技 能・ノウハ ウなど伝承に時間がかか り,円滑に進まない」 (68.5%)がもっとも多 くなっている。 製造業の うち,危機意識の高い 「一般機械器具製造業」 「金属製品製造業」別にみると,「技能 ・ノウハ ウなど伝 承に時間がかか り,円滑に進まない」 (88.2%,84.6%) 娘 沃 がそれぞれ最 も多 く,「意欲のある若手 ・中堅層の確保 が難 しい」 (58.8%,61.5%) を大 き く上回 ってい る。 危機意識の高い業種ほど,「意欲のある若手 ・中堅層の 確保が難 しい」
よりも 「技能 ・ノウハ ウなど伝承に時間 がかか り,円滑に進まない」を深刻にとらえていること が読み とれ る。従業員規模別 にみ ると,300人以上従業 員の規模が大きくなると危機意識 を持っている要因とし て 「技能 ・ノウハ ウなど伝承に時間がかか り,円滑に進 まない」が53.1%を占め,もっとも比率が高い 6。 各企業が心配 しているように,技術 ・技能 ・ノウハ ウ など伝承が うま く行かなければ,それは途絶えて しま う。 日本の家芸は,熟練度の高いスキルを生か した製造業で あるが,この熟練者が一線を退き,かつその技や経験が 伝えられず,途絶えてしまえば, 日本の技術の空洞化が 起きるといえる。Ⅲ
団塊世代退職者に対する政府の取 り組み
(1) 改正高年齢者雇用安定法 2004年 に成立 された 「改正高年齢者雇用安定法」は 2006年4月か ら施行 され,段階的に雇用を延長するよう 義務づけられた。政府側か らみると,高齢者が社会の担 い手 として活躍できるように65歳まで働 ける労働市場の 整備が必要 とする認識が改正の背景にある。高年齢者等 の雇用の安定等に関する法律の改正は,少子化 ・高齢化 の急速な進展の中,高い就労意欲 を有す る高年齢者が長 年培った知識 と経験を生か し,社会を支え手 として意欲 と能力のある限 り活躍 し続ける社会が求められているこ とに起因 している。 このため,高年齢者が少なくとも年 金支給開始年齢 (男性の年金支給開始年齢に合わせ男女 同一の年齢)まで働き続けることができるよう,平成18 年4月1日か ら,事業主は以下の措置を講 じなければな ら ないこととなった。 改正高年齢者雇用安定法では,2006年 4月 1日か ら, 65歳未満の定年の定めをしている事業主は,高年齢者の 65歳までの安定 した雇用を確保す るため,次の①か ら③ のいずれかの措置を講 じなければならない。その 3つ と は, ①65歳までの「定年の引き上げ」,②定年の定めの廃 止,③継続雇用制度の導入である7。 よ り具体的にみ ると,「65歳 までの定年 の引き上げ」109 団塊世代退職者 の再就職 問題 とは,現在多 くの企業において60歳 と定 め られてい る定 年年齢 を法定の雇用義務年齢以上に変更す るとい うこと である。 この場合 は,再雇用制度の よ うに正社員か ら嘱 託やパー トタイマー- と変更を行 って再契約す るとい う ことは行わず,60歳まで と同様 に正社員 として雇用が継 続 され る。ただ し,実際に 「定年の引き上げ」 を導入 し ている企業は少ない。65歳までの定年 の引き上げは,定 年の時期 を引き上げ,継続雇用制度の導入等の年齢 は年 金支給開始年齢の引き上げに合 わせ,2013年度 (平成25 年度)までに段階的に引き上げることである。 企業の実情に合わせた制度 を導入するものである9。 継続雇用制度 の対象者 に係 る基準 の策 定 にあた って は,企業によって必要 とす る能力や経験等が様 々である と考え られ るため,労使 間で十分協議 の上,各企業の実 情に応 じて定め られ ることを想定 してい る。 したがって その基準の内容 については,原則 として労使 に委ね られ てい る。 高年齢者雇用の安定な どに関す る法律改正 にはつ ぎの ような特徴がみ られ る。 まず第 1に65歳までの雇用期間 の確保である。労使協定によ り継続雇用制度 の対象 にな 平成18年 4月 1日か ら∼平成19年 3月31日 62歳 る労働者の基準 を決 めるときには,希望者全員 を対象 に 平成19年
4
月 1日か ら∼平成22年3
月31日 63歳 しない とい う制度 も可能である。 また,.施行 よ り法令 に 平成22年 4月 1日か ら∼平成25年 3月31日 64歳 決 め られた期間 (まず,大企業は3
年間,中小企業 は5
平成25年4月
1日か ら∼ 65歳 年間)は,労使協定によるものではな く,就業規則 な ど 定年の定めの廃止 とは,就業規制で定 めていた従業員 の定年 とい う制度 自体 を廃止 し,従業員 の定年 とい う制 度 自体 を廃止 し,従業員が退職す る時期 を従業員 自ら委 ねるものである。つま り,人 によっては,50歳 で退職 を 望めば,その時点で退職手続 きをとり,人によっては80 歳,生涯現役 とい う高齢者 も生まれ る可能性がある。 こ れまで一部の中小企業や技術者 中心の会社では定年制度 が設 けない例がみ られ,非現実的な制度 とは言い切れな い 8。 継続雇用制度 とは,現に雇用 してい る高年齢者が希望 す るときは,当該高年齢者 をその定年後 も引き続いて雇 用す る制度である。 この継続雇用制度には,定年年齢が 設定 されたまま,その定年年齢 に到達 した者 を退職 させ ることな く引き続 き雇用す る 『勤務延長制度』 と定年年 齢 に達 した者 をいったん退職 させた後,再び雇用す る『再 雇用制度』の2
つがある。継続雇用制度 については,原 則 は希望者全員 を対象 とす る制度の導入 が求め られてい るが,各企業の実情に応 じて労使 の工夫 による柔軟 な対 応 が取れ るよう事業主が,労使協定によ り,継続雇用制 度の対象 となる高年齢者 に係 る基準 を定 め,当該基準に 基づ く制度 を導入 した ときは,継続雇用制度の導入 の措 置 を講 じた もの とみなす とい うものである。ただ し,雇 用条件 については,高年齢者 の安定 した雇用の確保 が図 られたものであれば,必ず しも労働者 の希望 に合致 した 職種 ・労働条件による雇用 を求めるものではない。また, 常用雇用のみな らず,短時間勤務,隔 日勤務 な ども含み, の当該基準を定めることも可能である。第2
に,高年齢 者の再就職 の促進 である。高齢者 の募集 ・採用 にあたっ て事業主が上限年齢 を設定す る場合 にその理 由を明示す ることとなってい る。 また事業主の都合で離職 を余儀 な くされた高齢者 に対 して,事業主はその職務経歴や能力 な どを記載 した書面を交付す ることができる。第3には, 多様 な就業機会の確保 である。高齢者 の多様 な就業機会 を確保す るため,シルバー人材セ ンターが臨時かつ短期 的な,または,軽易な業務 に従事す る労働者派遣事業 を 行 う場合 について特例 (許可制) を設 けることで ある10。 (2)改正高年齢者雇用安定法のメ リッ ト・デ メ リッ ト 各雇用制度の選択の視点は,本質的には 「企業 の力 を 維持 ・向上 させ る」 ことに尽 きるが,各制度のメ リッ ト ・デ メ リッ トを整理す る と次のよ うである。 「定年 の引き 上げ」のメ リッ トとしては,全高齢者 の知的資産 を維持 す ることが出来 る点,全従業員 に対 して,安定的な雇用 環境 を提供 できる点である。 そのデ メ リッ トと しては, 成果がコス トに見合 っていない従業員 も雇用 しなければ な らず,全体的に生産性 が落 ちる傾 向がある。 「定年 の定めの廃止」 のメ リッ トとしては,全 高齢者 の知的資産 を維持 し続 けることができる点,他社 を定年 退職 した敏腕営業マ ンや熟年技術者 を確保 できる点,全 従業員 に対 して,安定的な雇用環境 を提供できる点であ る。そのデメ リッ トとしては,従業員の退職時期 が不安 とな り, リスク調整が難 しくなるため,人材 マネ ジメン110 莱 ト全体の見直 しが必要 となる点,パ フォーマ ンスが コス トに見合 っていない従業員 も雇用 しなけれ ばな らず,全 体的に生産性 が落 ちる可能性 も生 じる。個 々の従業員が 自ら退職時期 を決定できるよ うに,キャ リアプランや ラ イフプ ランを持 てるサポー ト体制が必要である。 継続雇用制度 には 「再雇用制度 の導入」 と 「勤務延長 制度の導入」の
2
つがある。「再雇用制度 の導入」のメ リッ トとしては,選抜 を行 うことで,一定以上のスキルや職 務遂行能力 をもつ高齢者 のみ雇用できる点であ り,知的 資産 を持つ従業員 を比較的安い コス トで雇用できる。デ メ リッ トとしては,条件面で折 り合 わす に退職す る高齢 者の知的資産や熟練維持 が出来ない点である。 また,選 抜基準の納得性 を確保 しづ らく,かつ一部の従業員 のみ が対象 となるため,選抜 に漏れ た従業員 のモ ラル が低下 す る点,従業員 の処遇 を下げ過 ぎる と,モ ラル が低下 し, 意欲 が低下す る可能性 がある。 「勤務延長制度 の導入」 のメ リッ トは,選抜 を行 うこ とで,一定以上のスキルや職務遂行 ・能力 をもつ高齢者 娘 沃 のみ雇用できる点,制度の対象基準 を明示的に設定す る ことで,従業員 に緊張感 を持たせ ることが出来 る。デ メ リッ トとしては,一部 の従業員 のみが対象 とな るため, 選抜 に漏れた従業員 のモチベー シ ョンが低下す るとい う ことである11。 企業側 か らみた改正高年齢者雇用安定法のメ リッ ト, デ メ リッ トは,以上の よ うである。 しか しなが ら,定年 退職者側 か らすれ ば, この改正高年齢者雇用安定法は決 して再就職希望者全員 の雇用 を保 障す るものではない。 とい うの も,前 に述べた よ うに,労使協定によ り継続雇 用制度の対象 になる労働者 の基準 を決 めるときには,希 望者 全員 を対象 に しない とい う制度 も可能 だか らで あ る。原則的には労使協調 による基準の設定 とい うものの, 実質的には企業側 が一方的 に設定 した基準によ り雇用の 選別 が行 われ る制度 である点 を見逃 してはな らない。 し たがって,改正高年齢者雇用安定法 は退職者 の再就職 を 必ず しも保障す るものではない といえる。 表2 一律定年制を定めている企業における勤務延長制度,再雇用制度の有無別企業数割合 (単位 :%) 企業規模.産業 定めている企一律定年制を 制度がある企業 制度が企業ない (再掲)制度がある 計 勤務延長制度のみ 再雇用制度のみ 両制度併用 勤務延長制度(両制度併用を含む) 再雇用制度度併用を含む)(両制 計 〔97.6〕 100.0 77.0 14.1 50.5 12.4 23.0 26.5 62.9 1,000人以上 〔97.7〕 100.0 78.4 3.9 67.6 6.9 21.6 10.8 74.5 300-999人 〔97.7〕 100.0 78.2 4.3 66.6 7.3 21.8 ll.6 73.9 100-299人 〔98.0〕 100.0 80.4 9.8 58.8 ll.9 19.6 21.6 70.7 30-99人 〔97.4〕 100.0 75.7 16.8 45.6 13.3 24.3 30.1 58.9 鉱業 〔98.3〕 100.0 81.3 24.1 40.2 17.0 18.7 41.1 57.2 建設業 〔95.8〕 100.0 82.8 20.1 49.2 13.5 17.2 33.6 62.7 製造業 〔98.8〕 100.0 82.0 12.9 55.8 13.3 18.0 26.2 69.1 電気.ガス.熱供給.水道業 〔97.2〕 100.0 81.9 1.0 74.6 6.3 18.1 7.3 80.9 情報通信業 〔99.3〕 100.0 55.1 7.5 42.1 5.4 44.9 13.0 47.6 運輸業 〔94.6〕 100.0 81.8 21.3 46.1 14.3 18.2 35.7 60.5 卸売,小売業 〔97.8〕 100.0 70.7 9.2 51.0 10.6 29.3 19.7 61.5 金融.保険業 〔97.0〕 100.0 63.4 5.6 55.2 2.6 36.6 8.2 57.8 不動産業 〔91.8〕 100.0 75.0 8.5 53.1 13.5 25.0 21.9 66.5 飲食店,宿泊業 〔97.3〕 100.0 73.2 22.0 37.2 14.0 26.8 36.0 51.2 医療,福祉 〔97.5〕 100.0 72.3 14.8 39.0 18.5 27.7 33.3 57.5 教育,学習支援業 〔98.7〕 100.0 74.9 8.0 58.7 8.2 25.1 16.2 67.0 注)〔
〕内の数値は、定年制を定めている企業のうち、一律定年制を定めている企業の割合である。 出所)厚 生労働省 「平成17年就 労条件総合調査結果 の概況」2005年。 (http://ww.mhlw.go.jp/toukei/itlran/roudou/jikan/syurou/05/index.html)riL 団塊世代退職者 の再就職 問題 図1 再雇用する際の雇用形態 (複数回答) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (%) 嘱託 ・契約社 員 パート アルバイト 子会社等による派遣労働者 その他 .未定 出所)みずほ総合研究所 『みずほリポー トー高年齢者雇用の実態と法改正に伴 う企業の対応』2006年1月,7ページ。
Ⅳ
団塊世代退職者の再就職に関する企業の取り組み
(
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)
定年制の有無,勤務延長制度,再雇用制度 改正高年齢者雇用安定法の施行 をふまえて団塊世代退 職者 に対 して企業が どの よ うな取 り組み を行 ってい る のかをみてみ よう。まず,定年制の有無において,定年 制を定めている企業数の割合は95.3%となっている。30 -99人 までの中小企業では定年制 を定 めていない企業 数の割合は,6%の程度であ り,100-299人の企業では 97.9%,300-999人 の企業 では99.4%,1,000人以上 の 大企業では99.8%となっている。 したがって,企業規模 別 にみると,規模が大きいほど定年制 を定めている企業 数の割合が高 くなっている。定年制 を定めている企業の うち,一律定年制を定めている企業数の割合は97.6%と なっている12。 表2は一律定年制を定めている企業における勤務延長 制度,再雇用制度の有無 を表 している。勤務延長制度及 び再雇用制度のどちらかまたは両方の制度がある企業数 割合 は77.0%となってい る。制度別 に見 ると, 「勤務延 長制度のみ」の企業数割合は14.1%,「再雇用制度のみ」 は50.5%,「両制度併用」は12.4%で,再雇用制度 をとっ てい る企業は5割 を超 えてい る。産業別 にみ る と, どち らか又は両制度がある企業数割合 は最 も高い建 設業で 82.8%,製造業では82%を示 している。最 も低い情報通 信業では55.1%となっている。勤務延長のみの場合,企 業規模別でみると,30-99人の企業では16.8%と高い比 率を占めているが,1,000人以上の大企業の場合 ,3.9% と勤務延長を実施す る比率は低い といえる。産業別 にみ ると,鉱業24.1%,運輸業21.3%,建設業21.1%,医療 福祉14.8%,製造業12.9%の順 となっている。 これに対 して再雇用制度のみの場合は,電気 ・ガス ・熱供 給 ・水 道 業 が74.6%,教 育 ・学習支援 業 が58.7%,製 造業 で 55.8%の順 となっている。 企 業 が雇用 を増や す理 由 と して は,今 後2年 程 度 で,60歳以上の労働者 の雇用 を増やす予定があ る事業 所 (10.9%)につ いて, その理 由 (2つ までの複数 回 答)をみると,「高年齢労働者 の経験 ・能力 を活 用 した い」 とす る事業所割合が70.7%と最 も多い。 「高 年齢 労112 働者 に適 した仕事又 は年齢 に関係 ない仕事がある」とす る事業所割合 が35.3%, 「高年齢 労働者 を雇用す るこ と は時代 の社会的要請である」 とす る事業所割合 は24.3% となってい る13。 図 1は,再雇用す る際の雇用形態 を表 した ものである。 企業が再雇用す る形態 としては,嘱託 ・契約社員 とす る ケー スが最 も多 く,再雇 用制度 を導入 してい る企 業 の 90.9%を占めてい る。パー ト・アルバイ トとして再雇用 す る企業 は20.6% となってお り,子会社 な どによる派遣 労働者 は8.5% と少 ない。正社員 として再雇用す る企業 はわず か6.4% に とどまってい る。 この よ うに企業 が再 雇用す る雇用形態は嘱託 ・契約社員 な どの非正規労働者 であ り,正社員 として再雇用す るケースはまれ である。 正社員以外 の雇用形態 によ り65歳 までの雇用 を確保す る 予定 の企 業 が設 定す る高年齢者雇 用契約期 間 に関 して は,いずれ の雇用形態 において も1年 ごとの更新 とす る 企業 が最 も多 い。 そ の割合 は雇用形態別 に格差 がみ ら れ,継 続 雇 用 制度 の場合 ,嘱託 ・契約社員 とす る企 業 は80.6%,パー ト・アルバイ トで45.8%,派遣労働者 で 66.7% となってお り,パー ト・アルバイ トや派遣労働者 娘 沃 では,
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カ月 ごと等 の短期 間で更新す る企業の割合 もそ れぞれ21.7%,15.7% と高い。派遣労働者,パー ト・ア ルバイ トに関 しては,契約期間を未定 とす る企業 もそれ ぞれ1割前後 であ る14。 ただ し,パー ト・アルバイ トに ついては 3カ月や 6カ月 ごとの更新,派遣労働者 につい ては6
ケ月 ごとの更新 と,比較的短期間で契約延長す る 企業 も多い。 (2)企業 の取 り組み 2006年4
月か ら実施 された改正高年齢者雇用安定法 に 対 して,企業 は どの よ うに対応 しよ うとしているのであ ろ うか。 これ まで各企業行 ってきた高年齢者雇用 に対す る対応 と して最 も多かったのは, 「会社 で当面必要 とさ れ る範囲内で対応 してきた」の54.3%である。ついで 「自 社 内で就 労 の場 を確保 で き るよ う積極 的 に対応 して き た」が25.2% とであ り,最 も消極的な対応 は 「高年齢者 雇用 のニーズが低 く,各定年退職者 の対応 にまかせ てき た」で12.4%であった15。 図2
は,2007年 問題 に対 して,企業の多 くは何 らかの 取 り組 み を行 ってい るこ とを表 した もので あ る。 そ の 図2 2007年間題 に対する取組 (複数 回答) 0 10 必要なものを選抜して再雇用を行い, 指導者として採用予定 希望者全員を再雇用延長. 嘱託として再雇用予定 新規若年者の採用を増やす 中途採用を増やす 非正規従業員.派遣労働者. 請負業者等の活用 外注の活用 若年・中堅層に対する技能・ ノウハウ等の伝承 退職予定者の伝承すべき技能・ ノウハウ等の文書化など 伝承すべき技能・ノウハウの絞込み 高度な技能・/ウハウ等が 不要なように設計を変更 その他 特段何の取組も行っていない (%) 20 30 40 50 出所)『労経ファイル』労働新聞社,2006年7.15,No.430, 27ページ。113 団塊世代退職者 の再就職 問題 内容 は 「必要 な もの を選抜 して再雇用 を行 い指導者 とし て採用予定」が33.8%, 「中途採 用 を増やす」 が28.0%, 「希 望者 全員 を雇 用延 長 ,嘱託 と して再雇 用 予 定」 が 27.3%, 「特段何の取 り組み も行 っていない」 は21.9%, 「新規若年者 の採用 を増やす」 は21.4%, 「若手 ・中堅層 に対す る技能 ・ノウハ ウ等 の伝承」 は9.0%, 「退職予定 者 の伝承すべ き技能 ・ノウハ ウ等 の文書化 な ど」は8.5% となってい る。具体的に技能 の継承 につ ながる取 り組み は低調 である16。 そ こで,2007年 間題 に対す る取 り組み を製造業で見て み よ う。製造業にお ける2007年 問題 に対す る取組み とし て, 「必要 な者 を雇用延長 し,指導者 と して活用
」
とす る企業 が45.6% と最 も高 く,次いで了
中途採用 を増やす」 (25.6%), 「新規若年者 の採用 を増やす」 (25.1%), 「希 望者全員 に雇用延長,嘱託 として再雇用予定」 (21.7%), 「特段何 の取 り組み も行 っていない」 (19.5%) となって い る。2005年の 『ものづ くり白書』 による と,製造業で 取 り組 んでいる企業の割合 は,全産業 よ りも5ポイ ン ト ほ ど高 くなってい るの に対 して,何 の取組 も行 ってい ない企業の割合は全産業 よ り4.4ポイ ン ト低 くなってお り, 製造業における企業の取組割合が高い ことが読み取れ る17。 製造業 の うち,危機 意識 の高 い一般機械機器 具製造 莱,金属製 品製造業 において は, 「新規若年者 の採用 を 増やす」 (各35.7%,32.4%), 「中途採用 を増やす」 (各 33.3%,29.7%) と,製 造 業 全 体 (各25.1%,25.6%) よ り高 くなってい る。危機意識 が高いほ ど新規若年者 の 採用 を増やす,中途採用 を増やす ことを重視 してい るこ とがわかる18。 従業員別 にみ る と,従業員 規模 が大 き くなる と, 「必 要 な者 を選抜 して雇用延長,嘱託 に よる再雇用 を行 い, 指導者 として活用予定」, 「計画的 なOJT-JT等教育訓練 に よ り,若年 ・中堅層 に対す る技能 ・ノウハ ウ等伝承」 が増加 してい るが, 「外注の活用」
は減少 してい る。Ⅴ
お わ
り に
本稿 では,団塊世代退職者 の再雇用問題 を政府 と企業 の対応 とい う側面か ら考察 してきた。 ここか らつ ぎのよ うな ことが明 らかになった。 第1に,政府 の対応 として は, 「改正高年齢者雇用安 定法」を2006年4月 か ら施行 した こ とで あ る。具体的 に は,①65歳 ま での定年 の 引 き上 げ,② 定年 の定 めの廃 止,③継続雇用制度 の導入 の措置が とられ た。政府 は こ の法律 によって企業に対 して段階的に雇用 を延長す るよ うに義務づ けた。政府 が この よ うな措置 を とらざるをえ なかった背景 には,政府 による厚生年金 の支給 開始年齢 の60歳 か ら65歳-の引 き上 げた ことがあった。 団塊世代 の退職者 が定年退職後 も退職金 だけでは生活 で きないた め,高齢者 に対 して雇用 を保証す る措置 として改正高年 齢者雇用安定法が制定 され た。 も うひ とつの背景 は, と くに,製造業お ける技術者不足,技能継承 に対す る危機 意識 があったか らである。 この改正高年齢者雇用安定法 は,企業 に対 しては製造業 にお ける退職技術者 の確保 を 制度 的 に保 障す る もので あ ったが,実 際 には再就職希 望者全員 の雇用 を保証す るものではなかった とい うこと である。つま り,政府 の意 図は厚生年金 を削減 し,2007 年問題 に対す る企業の危機意識-の要請 に応 え るもので あった。 第2
に,団塊世代退職者 の再雇用問題 に対 して,企業 は継続雇用制度 (勤務延長制度 と再雇用制度) の導入 で 対応 した。 その中で も勤務延長制度 は約15%,再雇用制 度 は約50% を超 えてお り,ほ とん どの企業 は再雇用制度 を採用 した点にある。企業は団塊世代の正規労働者 を60 歳で一旦定年退職 させ た後,嘱託 とか契約社員 な どの非 正規 労働者 として再雇用す る とい うものである。 しか も 雇用期間において も,1年 ごとの更新 をす る企業 の割合 が もっ とも多 く,ついで6ケ月 ごとの更新 な ど比較的短 期 間で契約す る企業の割合 が多かった とい うこ とい うこ とである。 この よ うに,企業の対応 の狙いは,賃金 コス トの削減 と団塊世代退職者 の熟練技術,技能継 承 の確保 であった とい える。注
1 第1次ベ ビーブーム とは,1947-1949年 の間に毎年 260万人以上が生まれ た ことに着 目した呼び方 であ り, 第2次ベ ビー ブー ム とは,1971年∼1974年 の 間 に毎 年200万人以上が生 まれ た こ とをい う。厚 生 労働省編 『2006年版 厚生労働 白書』2006年 ,5ページ。 2 堺屋太一 『団塊 の世代 「黄金 の十年」が始 ま る』文114 栄 芸春秋,2005年,10ペー ジ。 3 堺屋太一,前掲書,27-46ペー ジ0
4
内閣府 『平成18年版 (2006年)高齢社会 白書』2006 年,62ページ。
5 2004年厚 生労働省委託 『能力 開発基本調査報告書』 厚生労働省,2005年,68-71ペー ジ。 6 2004年度厚 生労働省委託,前掲書,68-73ペー ジ。 7 厚生労働省 ・都道府県労働局他 『65歳 までの定年 の 引 き上 げ,継続雇用制度 の導入等 の義務化 について』 4ペー ジ。http://www.nhlw.go.jp/general/seido/anteikovoku/ kourei2/dl/leaflet2.
8
労務行政研 究所 『60歳超雇用 制度設計 と処遇 の実 務 改正高年齢法-の対応 -解説 と事例』2005年,56 ヽヾ、 -57ベー ン。 9 厚生労働省 ・都道府県労働 局他 『65歳 までの定年 の 引き上 げ,継続雇用制度 の導入等 の義務化 について』 4ペー ジ。 10 三宅隆之 「定年延長 ・再雇用 ガイ ド」『人事マネ ジ メン ト』2005年5月,12ペー ジ。 11 労務行政研 究所 『60歳超雇用 制度設計 と処遇 の実 務改正高年齢法への対応 一解説 と事例』2005 年,57-58ペー ジ。 12 厚 生 労働 省 『平成 17年 就 労 条件 総 合 調 査 の概 要 』 2005年。http://www.mhlw.go.jp/toukei/itlran/roudou/ jikan/syurou/05/index.html
13 厚生労働省 『2004年高年齢者就業実態調査』2005年。 http://www.mhlw.go.jp./toukel/itiran/roudou/ koyou/keltaiO4/index.htm1
14 みずほ総合研 究所 『みず ほ リポー トー高年齢者雇用 の実態 と法 改正 に伴 う企 業 の対応』2006年 1月,15 ペー ジ。 15 財 団法人 シニアプラン開発機構 『団塊 の世代 の定年 後 における就労 ・生活 のあ り方 に関す る研 究 (最終報 告書)』2006年6月,23ペー ジ。 16 厚生労働省 「平成17年度能力開発基本調査結果」労 働新 聞社 『労経 フ ァイル』2006年7月15日,No.430, 26ペー ジ。 17 経済産業省 ・厚生労働省 ・文部科学省編 『2005年版 娘 沃 ものづ くり百書』2005年,209ペー ジ。 18 2004年度厚 生労働省委託,『能力 開発基本調査報告 書』2005年
3
月,78ペー ジ。参
考
文
献
・堺屋太一 『団塊の世代 新版』文垂春秋,2005年。 ・堺屋 太一 『団塊 の世代黄金 の十年 が始 ま る』文塾春 秩,2005年。 ・樋 口美雄 ・財務省財務総合政策研 究所編 『団塊世代の 定年 と日本経済』 日本評論社,2004年。 ・社会生産性本部編 藤村博 之監修 『事例 に見 る雇用延 長 と処遇制度-60歳代継続雇用の仕組み と実際 -』社 会生産性労働情報セ ンター,2001年。 ・みず ほ総合研 究所 『みず ほ リポー ト 高年齢者雇用 の 実態 と法改正に伴 う企業の対応』2006年1月。 ・産労総合研 究所編 『2006年版 賃金 ・労働 条件総覧』 2006年。 ・財団法人 シニアプラン開発機構 『団塊 の世代 の定年後 における就労 ・生活のあ り方 に関す る研 究 (最終報告 書)』2006年 6月。 ・労働政策研究報告書 『中高年齢者 の活躍 の場 について の将来展望 一就業者数の将来推計 と企業調査 よ り-』 No.L-6,労働政策研究 ・研修機構 ,2004年。 ・労政時報別冊 『60歳超雇用制度設計 と処遇 の実務 一改 正高齢法-の対応 一解説 と事例-』労務行政研究所, 2005年。 ・広域 関東圏産業活性化セ ンタ一編 『団塊の世代の定年 とシニアネ ッ トシニアNPOの役割』2005年。 ・総務省統計局 『2004年労働力調査年報』2005年。 http://www.stat.go.jp/data/roudou/report/2005/ ft/zuhyou/ao1702.xls) ・内閣府 『2006年版 高齢社会 自書』2006年。 ・厚生労働省編 『2006年版 厚生労働 白書』2006年。 ・経済産業省 ・厚生労働省 ・文部科学省 『2005年版 も のづ くり白書』2005年。 ・2004年厚 生労働省委託 『能力 開発 基本調 査報告書』 2005年3月。 ・厚生労働省 ・都道府県労働局他 『65歳 までの定年 の引 き上げ,継続雇用制度の導入等の義務化 について』115
団塊世代退職者 の再就職 問題
http://www.nhlw.go.jp/general/seido/anteikovoku/ kourei2/dl/leaflet2.
・厚 生労働省 「2004年 高年齢者就業実態調査」2005年。 http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/ koyou/keitai/04/index.html
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http://www.mhlw.go.jp/toukel/itlran/roudou/ jikan/syurou/05/index.html) ・三宅隆之 「定年延長 ・再雇用ガイ ド