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Impact of the stress ulcer prophylactic protocol on reducing the unnecessary administration of stress ulcer medications and gastrointestinal bleeding : A single-center, retrospective pre-post study(ストレス潰瘍予防薬過剰処方と消化管出血発生率に対する、ストレス潰瘍予防プロトコルの影響:単一施設における後方視的な

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Nagoya City University Academic Repository

学 位 の 種 類 博士 (医学) 報 告 番 号 甲第1746号 学 位 記 番 号 第1243号 氏 名 小笠原 治 授 与 年 月 日 令和 2 年 3 月 25 日 学位論文の題名

Impact of the stress ulcer prophylactic protocol on reducing the unnecessary administration of stress ulcer medications and

gastrointestinal bleeding: A single-center, retrospective pre-post study

(ストレス潰瘍予防薬過剰処方と消化管出血発生率に対する、ストレス潰 瘍予防プロトコルの影響:単一施設における後方視的な介入前後研究)

Journal of Intensive Care 2020 8:10

論文審査担当者 主査: 片岡 洋望

(2)

論 文 内 容 の 要 旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【背景と目的】 集中治療領域において、ストレス性の消化管潰瘍に伴う消化管出血は患者死亡率を増加させるが、 潰瘍予防薬としてのヒスタミン2型受容体遮断薬およびプロトンポンプ阻害薬は、その発生率を減 少させることが報告されている。ただし、これらの薬剤には医療関連肺炎やクロストリジウムデ ィフィシル感染症を増加させる可能性があると言われている。 また、いわゆる医療チェックリストは、患者への投薬や処置の順守率を高め、集中治療分野にお ける患者の予後を改善するために広く用いられている。 ところで、医療チェックリストや潰瘍予防薬投与基準を設定することで過剰な潰瘍予防薬処方が 減るのかどうか、そしてそれに伴い消化管出血の発生率が変化するのかどうかに関しては、十分 な検討がなされていない。 本研究は、成人集中治療において、医療チェックリスト導入と潰瘍予防薬投与基準設定の前後で、 上部消化管出血の発生率と潰瘍予防薬の処方率を調査し、過剰な潰瘍予防薬処方が減少しても上 部消化管出血発生率が増加しないことを証明する目的で行われた。 【方法】 単一施設、三次の成人および小児混合ICUでの後方視的な介入前後比較研究。胃切除術・食道切除 術・膵頭十二指腸切除術・消化管出血以外の理由でICUに入院した18歳以上の患者を分析した。当 ICUにおいては、2014年12月21日以前、投与忘れ予防のために全ての患者に潰瘍予防薬をルーチン 処方していた。2014年12月22日に医療チェックリストと潰瘍予防薬投与基準が導入されたため、 患者を介入前群(2014年9月~12月21日)と介入後群(2014年12月22日~2015年4月)に分類し解 析を行った。主たる調査項目は上部消化管出血の発生率、二次的な調査項目は潰瘍予防薬の処方 率、医療関連肺炎とクロストリジウムディフィシル感染症の発生率とした。 ICUにおける消化管出血発生率は過去の報告によれば5~25%程度であり、当ICUの事前調査におけ る上部消化管出血の発生率が4%であったことから、非劣性マージンを10%と設定し、介入後群にお ける上部消化管出血発生率の95%信頼区間の上限が、介入前群の発生率+10%を下回る場合におい て、発生率は増加していないと結論する。必要サンプルサイズは各群48名であった。 【結果と結論】 各群50名、合計100名の患者を分析した。介入前および介入後群における上部消化管出血の発生率 は、いずれも4.0%(95%信頼区間、0.5~13.7%)であり、95%信頼区間の上限(13.7%)が非劣性マ ージンを加えた設定ライン(4%+10%=14%)を下回る結果となった。潰瘍予防薬の処方割合は、 介入前および介入後群の間で100%から38%に減少した。また、医療関連肺炎とクロストリジウムデ ィフィシル感染症の発生率に関しては有意な差を認めなかった。 医療チェックリストと潰瘍予防薬投与基準が導入された後、成人集中治療における上部消化管出 血は増加することなく、潰瘍予防薬処方率が減少した。重症成人におけるこれらの導入と上部消 化管出血との因果関係を証明するためには、前向き研究が必要である。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (注)和文で2,000字以内でまとめる

(3)

論文審査の結果の要旨 【背景と目的】集中治療領域において、ヒスタミン 2 型受容体遮断薬およびプロトンポンプ阻害薬 は、ストレス性の消化管潰瘍に伴う消化管出血の発生率を減少させるが、医療関連肺炎やクロストリ ジウム腸管感染症を増加させる可能性がある。また、いわゆる医療チェックリストは、患者への投薬 や処置の順守率を高め、予後を改善するために広く用いられている。一方、医療チェックリストや潰 瘍予防薬投与基準を設定することで過剰な潰瘍予防薬処方が減るのかどうか、さらに消化管出血の発 生率が変化するのかどうかに関しては、十分な検討がなされていない。そこで成人集中治療におい て、これらの設定の前後で、上部消化管出血の発生率と潰瘍予防薬の処方率を調査した。 【方法】単一施設、大学病院集中治療室(ICU)での後方視的な介入前後比較研究。胃切除術・食道 切除術・膵頭十二指腸切除術・消化管出血以外の理由でICUに入院した18歳以上の患者を分析した。 当ICUでは、2014年12月21日以前、投与忘れ予防のために全ての患者に潰瘍予防薬を処方していた。 12月22日に医療チェックリストと潰瘍予防薬投与基準が導入したため、患者を介入前群(2014年9月 ~12月21日)と介入後群(2014年12月22日~2015年4月)の2群に分類し解析を行った。主たる調査 項目は上部消化管出血の発生率、二次的な調査項目は潰瘍予防薬の処方率、医療関連肺炎とクロスト リジウム感染症の発生率とした。ICUにおける消化管出血発生率は過去の報告によれば5~25%程度で あったので、非劣性マージンを10%と設定し、介入後群における上部消化管出血発生率の95%信頼区間 の上限が、介入前群の発生率+10%を下回る場合において、発生率は増加していないと結論すること とした。必要サンプルサイズは各群48名であった。 【結果と結論】各群50名、計100名の患者を分析した。介入前群および介入後群における上部消化管 出血の発生率は、いずれも4.0%(95%信頼区間、0.5~13.7%)であり、95%信頼区間の上限(13.7%) が非劣性マージンを加えた設定ライン(4%+10%=14%)を下回る結果となった。潰瘍予防薬の処方割 合は、介入後により100%から38%に減少した。他項目に関して有意差を認めなかった。 【審査内容】主査の片岡教授からは、①経腸栄養が消化管出血を予防するメカニズム②プロトンポン プ阻害薬の処方率は減っていないようだが、前向き試験でこれを減らすことは可能か③潰瘍予防のエ ビデンスがそもそも小さい中での非劣勢試験というデザインは妥当か④ピロリ菌感染の有無で潰瘍予 防の戦略は変わるか、など 4 項目の質問と、日本人は欧米人に比べてクロストリジウム腸炎が少ない ため日本人のデータが必要、というコメントがなされた。第一副査の瀧口教授からは、①介入前群に おいて潰瘍予防薬は厳密に全例投与されていたのか②潰瘍予防薬により予防できないタイプの消化管 出血は③非劣勢マージン 10%という設定は大きすぎないか④前向き研究を行うとすればそのデザイン について、など 4 項目の質問がなされた。第二副査の大原教授からは、①結果は研究デザイン時に期 待した通りのものになったのか②この潰瘍予防薬投与基準は一般的に使われているものなのか、今の 医療水準から見て改定が必要か③潰瘍予防薬指示を自動化できないか④潰瘍予防薬は不要と判断した 患者に出血が起こった場合、患者にどのように説明するか、など 4 項目の質問がなされた。これらの 質問に対し、おおむね満足すべき回答が得られ、学位論文の主旨を十分理解していると判断した。本 研究は、独自の投与基準とチェックリスト導入により、出血を増やすことなく潰瘍予防薬処方を大幅 に減らせることを初めて明らかにした。よって、この新しい知見を報告している本論文の筆頭著者 は、博士(医学)の学位を授与するに相応しいと判断した。 論文審査担当者 主査 片岡洋望 副査 瀧口修司 大原弘隆

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