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自他の身体に関する知識と社会変革:当事者研究と共同創造

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Academic year: 2021

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自他の身体に関する知識と社会変革:当事者研究と共同創造

綾屋

紗月

Satsuki Ayaya

東京大学 Tokyo University 1980 年代以降、障害に関する考え方は、障害をもつ 人々を多数派に近づける医学モデル(medical model) か ら 、 可 変 性 に 限 界 の あ る 個 人 の 心 身 機 能 (impairment)やその変化にかかるコストを考慮に入 れながら、多様な個性を包摂する社会環境のデザイン を実現する社会モデル(social model)に取って代わっ た。その結果、個人に介入を行う医学的アプローチと、 社会環境を少数派にとっても使いやすいように改変す るバリアフリー・アプローチの合理的な組み合わせが 推奨されるようになった。近年は、ASD 領域において も当事者視点と社会モデルを踏まえた研究が徐々に現 れている。例えば ASD は矯正すべき疾病ではなく自 然な認知神経的バリエーションだとする神経多様性 (neurodiversity)と呼ばれる当事者発の視点がアカデ ミアにも広まりつつある。 しかし、可視性の高い身体障害などの多様性に比べ、 ASD と括られる人々の多様性は、自他から認識困難な 場合が多く、社会変革に先立って自分の身体を定型発 達者との比較において把握する作業が必要である。発 表者は2006 年から、社会環境が変動してもほとんど変 化しない自己の不変項について、当事者研究という日 本独自のアプローチによって探求し(綾屋・熊谷, 2008)、 そこで得られた仮説をもとに、基礎研究者と協働して、 ボディイメージが不安定であること(Asada et al., 2017)、パーソナルスペースが狭いこと(Asada et al., 2016)、触覚刺激に対する自律神経反応が大きいこと (Fukuyama et al., 2017)、声の制御においてフィー ドバックの予測誤差に敏感で、内部モデルに基づくフ ィードフォワード制御が弱いこと(Lin et al., 2015)、 顔認知における視線のスキャンパターンがランダムな 傾向にあること(Kato et al., 2015)など実験的に検証 してきた。 更に2011 年以降は、当事者研究の知見を活かして、 ASD者にとってアクセシブルなコミュニケーション様 式や社会環境(autistic sociality)の具体的条件を探求 し始めている。例えば、ASD 者の語りやすさを追求し た独自のファシリテーション技法を開発し、発達障害 者を中心とした当事者研究会を立ち上げ継続している。 研究会は毎回音源を記録しており、多くのナラティブ が集積されている。更に社会的障壁を特定するための ナラティブの活用事例の一つとして、「定型発達者のこ こが不思議」という内容を抽出し、多分野の研究者と協 働して少数派視点で多数派を研究する「ソーシャル・マ ジョリティ研究」を行ってきた(綾屋, 2018)。 本発表では、障害の社会モデルに基づくASD 研究の 方向性として、1) 自己に帰属される可変性の低い impairment の特定と、2) 社会的障壁の特定と除去と いう2 つの重要性を確認し、それを進めていく枠組み としての当事者研究や共同創造の重要性を主張する。 2019年度日本認知科学会第36回大会

OS12-5

1011

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