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小児における舌小帯短縮症の手術時期の検討

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Academic year: 2021

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(1)Vol. 21 No.1. 小児における舌小帯短縮症の手術時期の検討 銘苅泰明・新垣敬一・仁村文和・比嘉 努 仲間錠嗣・新崎 章・砂川 元. Clinical study of ankyloglossia in children Yasuaki MEKARU,Keiichi ARAKAKI,Fumikazu NIMURA,Tsutomu HIGA Jouji NAKAMA,Akira ARASAKI,Hajime SUNAKAWA. Key words: ankyloglossia(舌小帯短縮症),child(小児) ,speech disorder(発音障害) Ankyloglossia is a commonly observed medical condition of which there has been very little investigation. Our purpose in the present study was to determine the appropriate time to conduct the corrective operation. The study group consisted of 104 children with ankyloglossia, 78 males and 26 females, with an average age of 4.7 years. Speech disorder was the most frequent chief complaint. The patients found it most difficult to pronounce the Japanese syllables beginning with the sound /r/. Frenulectomy was the most frequently performed therapeutic procedure. The results of our investigation indicated that the operation should be performed on patients aged four or older.. 緒 言 舌小帯短縮症は,小帯の肥厚や強直により哺乳・ 発音・嚥下・咀嚼障害などの原因になることが多い. そのため,舌小帯伸展術の適用が必要になる症例も 散見される 1).しかし,早期に手術を施行すること で瘢痕化に伴う二次的な口腔機能障害を呈すること も少なくない 1).一方,乳幼児の小帯付着は成長と ともに不明瞭になりも症状も改善することもあり病 的なものではないことも指摘されている 2).今回, われわれは小児の舌小帯短縮症に関する臨床的検討 を行なったので報告する.. 対象および方法 対象は,1998 年 1 月から 2007 年 12 月に当科を受 診し舌小帯短縮症と診断した 16 歳未満の患児 104 例である. 琉球大学大学院医学研究科顎顔面口腔機能再建学講座 (主任:砂川 元 教授) Department of Oral and Maxillofacial Functional Rehabilitation, Graduate School of Medicine, University of the Ryukyus.(Chief : Prof. Hajime SUNAKAWA). 性別は男児が 78 例(75.0%),女児が 26 例(25.0%) , 男女比は 3:1 であった.年齢に関しては,1 歳未満 が 11 例(10.6%),1 ~ 3 歳が 28 例(26.9%),4 ~ 6 歳が 43 例(41.4%),7 ~ 12 歳が 20 例(19.2%) ,13 歳以上が 2 例(1.9%)であり,平均年齢は 4.7 歳であっ た. これらの症例について,外来および入院診療録から 主訴,来院経路,重症度,構音障害の種類,治療内 容について検討した.舌小帯短縮症の重症度の評価 は,根本ら 3)の方法を用いて評価した.最大開口時に おける舌尖の挙上の程度から,最大開口域の 1/2 以上 の挙上を軽度,下顎の咬合平面から最大開口域の 1/2 までの挙上を中等度,舌尖の挙上が下顎の咬合平面 に達しない場合を重度と 3 段階に分類した. 口腔内状況に関しては,口腔外科医が評価し,言 語に関しては,言語聴覚士により行われた.また, 手術の決定に関しては口腔外科医により行われた.. 結 果 1.主 訴 構音障害が 46 例(44.2%)と最も多く,次いで小 帯の形態異常が 38 例(36.5%) ,舌の形態異常およ 69.

(2) 小. 児. 口. 腔. 外. 科. June 2011. 不明 6例(5.8%). 舌の運動障害 4例(3.8%) 検診で指摘 8例(7.7%) 舌の形態異常 8例(7.7%). 中等度 25例(24.0%) 構音障害 46例(44.2%). 軽度 73例(70.2%). 小帯の形態異常 38例(36.5%). 図 1 主 訴. 図 3 舌小帯短縮症の重症度. その他 4例(3.8%) タ行 9例(8.0%). 歯科 11例(10.6%). 言語教室 13例(12.5%). 直接 17例(16.3%). 検診 34例(32.7%). カ行 15例(13.3%). サ行 24例(21.2%). ラ行 65例(57.5%). 医科 25例(24.0%). 図 2 来院経路. 図 4 舌小帯短縮症による構音障害. び検診で指摘されたが各 8 例(7.7%) ,舌の運動障 害 4 例(3.8%)の順であった(図 1) . 2.来院経路 来院経路は,検診による指摘が 34 例(32.7%)と 最も多く,次いで医科からの紹介が 25 例(24.0%) , 直接来院が 17 例(16.3%) ,言語教室からの紹介が 13 例(12.5%) , 歯 科 か ら の 紹 介 が 11 例(10.6%), その他が 4 例(3.8%)の順であった(図 2) . 3.舌小帯短縮症の重症度 重症度に関しては,軽度が 73 例(70.2%)と半数 以上を占め,中等度が 25 例(24.0%) ,不明が 6 例 (5.8%)で,重度は認められなかった(図 3) .. 4.構音障害の種類 舌小帯短縮症による構音障害の種類としては「ラ 行」が 65 例(57.5%)と最も多く,次いで「サ行」 が 24 例(21.2%), 「カ行」が 15 例(13.3%), 「タ行」 が 9 例(8.0%)の順であった(図 4) .複数構音障害 を認めた症例が 9 例あった. 5.治療法と年齢および重症度 治療法としては,舌小帯伸展術による手術が 57 例(54.8%)と最も多く,経過観察が 31 例(29.8%) , 言語治療が 16 例(15.4%)であった. 治療法と年 齢の関係では,舌小帯伸展術による手術を適用した 症 例 で は,4 ~ 6 歳 が 29 例(50.9%), 次 い で 7 ~. 70.

(3) 小児における舌小帯短縮症の手術時期の検討. Vol. 21 No.1. 表 1 治療法と年齢・重症度 治. 療. 法. 手術(N=57). 経過観察(N=31). 言語治療(N=16). 1 歳 未 満. 0. 11. 0. 1 ~ 3 歳. 12. 13. 3. 4 ~ 6 歳. 29. 4. 10. 7 ~ 12 歳. 14. 3. 3. 13 歳 以 上. 2. 0. 0. 度. 39. 20. 14. 度. 16. 8. 1. 明. 2. 0. 0. 年齢. 重症度 軽 中 不. 等. 12 歳が 14 例(23.7%)と多く,言語治療では 4 ~ 6 歳が 10 例(62.5%) ,経過観察では 1 ~ 3 歳が 13 例 (41.4%) ,1 歳未満が 11 例(35.5%)とそれぞれ多く 認められた(表 1) .. 考 察 舌小帯短縮症は,口腔領域においてしばしば見られ る疾患であり,それに伴う言語障害,哺乳障害,舌形 態異常および運動制限などが報告されているが,手術 時期,適応基準においては未だ十分に解明されていな い 3).よって今回,本疾患の実態を把握および手術時 期の検討を行うために臨床統計を行った. 1.主訴 患者の「主訴」に関する検討で,根本ら 3)は「サ 行」が言えない,言葉がもたつく,発音は不明瞭な どの言語障害に比べ,精査希望が最も多かったと報 告している.また,古賀 4)によると 1 歳未満から 6 歳時の乳幼児 50 例では,哺乳障害や言葉の心配は 約 30% 程度であったと報告している.われわれの調 査結果では,構音障害が 46 例と最も多く,次いで 小帯の形態異常が 38 例と多く認められ,患児の発 育段階,言語獲得の様相との関連性が考えられた 2.来院経路 「来院経路」に関する検討では,検診や医科・歯 科からの紹介が 67.3% を占め,直接来院が 16.3% と 医療機関からの紹介や両親が心配で受診することが 多かった.. 同様に丹生ら 12) は保健所の検診で医療関係者が 発見したり,母親が気付いて医療機関に相談したり することが多いと報告している. 3.舌小帯短縮症の重症度 重症度に関しては,軽度が 73 例(70.2%)と半数 以上を占め,中等度が 25 例(24.0%) ,不明が 6 例 (5.8%)で,重度は認められなかった.当科では根 本ら 3)や石野ら 7)と比較し軽度が多かったが,これ は医療従事者からの早期発見にて当科を受診するこ とが多いため軽度症例が多かったのではないかと考 えられた. 4.構音障害の種類 本疾患における構音障害は,発達の途上にみられ る障害であるとされてきたこともあり,構音障害の 内容に関する報告 5 ~ 7) は少ない.堤 5) は滑音に異 常がみられたこと,伊東 6)は舌前方域に最も多く障 害が発現したことをそれぞれ報告している.石野ら 7) は重症度に関係なく,歯音・歯茎音が歯間音化して いる症例が多くみられ,中等度以上に置換を合併し た症例がみられたことを報告している.今回われわ れの研究でも同様に「ラ行」 , 「サ行」が多く,歯音 や歯茎音に異常構音が認められた.また,重症度分 類別においては,構音障害に差は認められなかった. このことからも重症度に関係なく歯音や歯茎音に構 音障害が出現すると考えられた. 5.治療法と年齢および重症度 手術時年齢に関しては一定した見解が得られてい ないのが現状である.これまでの報告では手術が特 71.

(4) 小. 児. 口. 定の産婦人科医,耳鼻咽喉科医および小児科医な どにより早期に行われていることがある 8, 9).しか し安易に行なわれた切除で創部の瘢痕化が原因とな り,二次的な口腔機能障害を経験することがあると 報告されている 2).本研究において手術を適用した 症例は,4 ~ 6 歳が 29 例と最も多く,次いで 7 ~ 12 歳が 14 例であり,4 歳~ 12 歳までで 7 割以上を 占めていた. 経過観察が行われた 3 歳以下の症例が 31 例中 24 例(77.4%)と多く認められたのは,乳幼児の小帯 付着は成長とともに認めにくくなり,構音障害や哺 乳障害の直接的な要因にはならない考え方 8, 10, 11)も ある.さらに舘村 2)は,舌小帯が経年的に後方へ偏 位する可能性や小帯の短縮傾向があっても問題が生 じていない症例が多数認められ機能訓練により改善 される場合もあることから,視覚的印象のみで早期 に手術を適用すべきではないことを報告している. また,3 歳以下では言語訓練が十分に行えない可能 性もあるため手術を適用することは,創部の瘢痕拘 縮で一層深刻な障害を呈すると考えている.舌小帯 に起因するサ行,ラ行は 4 歳ごろから獲得し始め 5 ~ 6 歳ごろに確立するといわれている.よって構音 障害に対し,言語訓練を行える 4 歳以上が手術の適 応と考えられる.しかしこの時期は手術に対して協 力が得られるか否か判断が難しく,また協力が得ら れない場合の全身麻酔の必要性を考慮すると,未だ 本疾患の治療体系が確立していないと考えられる. 今後は,口腔外科医だけでなく言語聴覚士も参加し, 舌の運動機能,言語機能評価に基づいた手術や機能 訓練の適用を加味した上で治療体系づくりが重要と 思われた.. 腔. 外. 科. June 2011. 結 語 今回われわれは,小児期の舌小帯短縮症における 手術時期の検討を行ったところ 4 歳以上で手術を行 うことが望ましいと考えられた.. 引 用 文 献 1)雲丹亀真貴子,川上哲司,他:姉妹に生じた舌小帯短縮 症の 2 例.小児口外 15:37-42 2005. 2)舘村 卓 , 原 久永 , 他:舌小帯早期切除施行症例におけ る構音障害.口科誌 42:717-721 1993. 3)根 本京子 , 山下夕香里 , 他:舌小帯短縮症患者における 機能障害の認識度と自覚症状について , アンケート調査 による検討.口科誌 49:356-362 2000. 4)古 賀健次郎:舌小帯短縮症の取り扱い.JOHNS 12: 1737-1740 1996. 5)堤 直文:舌小帯短縮症の音声言語学的研究 . 九州歯会誌 23:589-608 1969. 6)伊東節子:舌の異常による言語障害 1. 舌小帯について , 2 舌小帯の異常と言語障害 . クインテエッセンス・ジャー ナル 2:17-34 1981. 7)石野由美子 , 山下夕香里 , 他:舌小帯短縮症の重症度と機 能障害について.口科誌 50:26-34 2001. 8)今村榮一:小児の舌小帯付着は切らなければならないの か? 小児科からの立場から.小児耳 9:60-61 1988. 9)今村榮一:舌小帯付着の切断を論考する.小児保健研究 48:593-598 1989. 10)根 津 八 鉱: 舌 小 帯 短 縮 症. 周 産 期 医 学 20:859-864 1990. 11)大 神 浩: 舌 下 小 帯 短 縮 症. 小 児 外 科 23:271-273 1991. 12)丹生かず代,山下夕香里,他:舌小帯短縮症患者の構音 動態の観察.口科誌 50:130-143 2001.. 別刷り請求先: 琉球大学大学院医学研究科顎顔面口腔機能再建学講座 銘 苅 泰 明 〒 903―0215 沖縄県西原町中央上原 207 72.

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