小児における舌小帯短縮症の手術時期の検討
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(2) 小. 児. 口. 腔. 外. 科. June 2011. 不明 6例(5.8%). 舌の運動障害 4例(3.8%) 検診で指摘 8例(7.7%) 舌の形態異常 8例(7.7%). 中等度 25例(24.0%) 構音障害 46例(44.2%). 軽度 73例(70.2%). 小帯の形態異常 38例(36.5%). 図 1 主 訴. 図 3 舌小帯短縮症の重症度. その他 4例(3.8%) タ行 9例(8.0%). 歯科 11例(10.6%). 言語教室 13例(12.5%). 直接 17例(16.3%). 検診 34例(32.7%). カ行 15例(13.3%). サ行 24例(21.2%). ラ行 65例(57.5%). 医科 25例(24.0%). 図 2 来院経路. 図 4 舌小帯短縮症による構音障害. び検診で指摘されたが各 8 例(7.7%) ,舌の運動障 害 4 例(3.8%)の順であった(図 1) . 2.来院経路 来院経路は,検診による指摘が 34 例(32.7%)と 最も多く,次いで医科からの紹介が 25 例(24.0%) , 直接来院が 17 例(16.3%) ,言語教室からの紹介が 13 例(12.5%) , 歯 科 か ら の 紹 介 が 11 例(10.6%), その他が 4 例(3.8%)の順であった(図 2) . 3.舌小帯短縮症の重症度 重症度に関しては,軽度が 73 例(70.2%)と半数 以上を占め,中等度が 25 例(24.0%) ,不明が 6 例 (5.8%)で,重度は認められなかった(図 3) .. 4.構音障害の種類 舌小帯短縮症による構音障害の種類としては「ラ 行」が 65 例(57.5%)と最も多く,次いで「サ行」 が 24 例(21.2%), 「カ行」が 15 例(13.3%), 「タ行」 が 9 例(8.0%)の順であった(図 4) .複数構音障害 を認めた症例が 9 例あった. 5.治療法と年齢および重症度 治療法としては,舌小帯伸展術による手術が 57 例(54.8%)と最も多く,経過観察が 31 例(29.8%) , 言語治療が 16 例(15.4%)であった. 治療法と年 齢の関係では,舌小帯伸展術による手術を適用した 症 例 で は,4 ~ 6 歳 が 29 例(50.9%), 次 い で 7 ~. 70.
(3) 小児における舌小帯短縮症の手術時期の検討. Vol. 21 No.1. 表 1 治療法と年齢・重症度 治. 療. 法. 手術(N=57). 経過観察(N=31). 言語治療(N=16). 1 歳 未 満. 0. 11. 0. 1 ~ 3 歳. 12. 13. 3. 4 ~ 6 歳. 29. 4. 10. 7 ~ 12 歳. 14. 3. 3. 13 歳 以 上. 2. 0. 0. 度. 39. 20. 14. 度. 16. 8. 1. 明. 2. 0. 0. 年齢. 重症度 軽 中 不. 等. 12 歳が 14 例(23.7%)と多く,言語治療では 4 ~ 6 歳が 10 例(62.5%) ,経過観察では 1 ~ 3 歳が 13 例 (41.4%) ,1 歳未満が 11 例(35.5%)とそれぞれ多く 認められた(表 1) .. 考 察 舌小帯短縮症は,口腔領域においてしばしば見られ る疾患であり,それに伴う言語障害,哺乳障害,舌形 態異常および運動制限などが報告されているが,手術 時期,適応基準においては未だ十分に解明されていな い 3).よって今回,本疾患の実態を把握および手術時 期の検討を行うために臨床統計を行った. 1.主訴 患者の「主訴」に関する検討で,根本ら 3)は「サ 行」が言えない,言葉がもたつく,発音は不明瞭な どの言語障害に比べ,精査希望が最も多かったと報 告している.また,古賀 4)によると 1 歳未満から 6 歳時の乳幼児 50 例では,哺乳障害や言葉の心配は 約 30% 程度であったと報告している.われわれの調 査結果では,構音障害が 46 例と最も多く,次いで 小帯の形態異常が 38 例と多く認められ,患児の発 育段階,言語獲得の様相との関連性が考えられた 2.来院経路 「来院経路」に関する検討では,検診や医科・歯 科からの紹介が 67.3% を占め,直接来院が 16.3% と 医療機関からの紹介や両親が心配で受診することが 多かった.. 同様に丹生ら 12) は保健所の検診で医療関係者が 発見したり,母親が気付いて医療機関に相談したり することが多いと報告している. 3.舌小帯短縮症の重症度 重症度に関しては,軽度が 73 例(70.2%)と半数 以上を占め,中等度が 25 例(24.0%) ,不明が 6 例 (5.8%)で,重度は認められなかった.当科では根 本ら 3)や石野ら 7)と比較し軽度が多かったが,これ は医療従事者からの早期発見にて当科を受診するこ とが多いため軽度症例が多かったのではないかと考 えられた. 4.構音障害の種類 本疾患における構音障害は,発達の途上にみられ る障害であるとされてきたこともあり,構音障害の 内容に関する報告 5 ~ 7) は少ない.堤 5) は滑音に異 常がみられたこと,伊東 6)は舌前方域に最も多く障 害が発現したことをそれぞれ報告している.石野ら 7) は重症度に関係なく,歯音・歯茎音が歯間音化して いる症例が多くみられ,中等度以上に置換を合併し た症例がみられたことを報告している.今回われわ れの研究でも同様に「ラ行」 , 「サ行」が多く,歯音 や歯茎音に異常構音が認められた.また,重症度分 類別においては,構音障害に差は認められなかった. このことからも重症度に関係なく歯音や歯茎音に構 音障害が出現すると考えられた. 5.治療法と年齢および重症度 手術時年齢に関しては一定した見解が得られてい ないのが現状である.これまでの報告では手術が特 71.
(4) 小. 児. 口. 定の産婦人科医,耳鼻咽喉科医および小児科医な どにより早期に行われていることがある 8, 9).しか し安易に行なわれた切除で創部の瘢痕化が原因とな り,二次的な口腔機能障害を経験することがあると 報告されている 2).本研究において手術を適用した 症例は,4 ~ 6 歳が 29 例と最も多く,次いで 7 ~ 12 歳が 14 例であり,4 歳~ 12 歳までで 7 割以上を 占めていた. 経過観察が行われた 3 歳以下の症例が 31 例中 24 例(77.4%)と多く認められたのは,乳幼児の小帯 付着は成長とともに認めにくくなり,構音障害や哺 乳障害の直接的な要因にはならない考え方 8, 10, 11)も ある.さらに舘村 2)は,舌小帯が経年的に後方へ偏 位する可能性や小帯の短縮傾向があっても問題が生 じていない症例が多数認められ機能訓練により改善 される場合もあることから,視覚的印象のみで早期 に手術を適用すべきではないことを報告している. また,3 歳以下では言語訓練が十分に行えない可能 性もあるため手術を適用することは,創部の瘢痕拘 縮で一層深刻な障害を呈すると考えている.舌小帯 に起因するサ行,ラ行は 4 歳ごろから獲得し始め 5 ~ 6 歳ごろに確立するといわれている.よって構音 障害に対し,言語訓練を行える 4 歳以上が手術の適 応と考えられる.しかしこの時期は手術に対して協 力が得られるか否か判断が難しく,また協力が得ら れない場合の全身麻酔の必要性を考慮すると,未だ 本疾患の治療体系が確立していないと考えられる. 今後は,口腔外科医だけでなく言語聴覚士も参加し, 舌の運動機能,言語機能評価に基づいた手術や機能 訓練の適用を加味した上で治療体系づくりが重要と 思われた.. 腔. 外. 科. June 2011. 結 語 今回われわれは,小児期の舌小帯短縮症における 手術時期の検討を行ったところ 4 歳以上で手術を行 うことが望ましいと考えられた.. 引 用 文 献 1)雲丹亀真貴子,川上哲司,他:姉妹に生じた舌小帯短縮 症の 2 例.小児口外 15:37-42 2005. 2)舘村 卓 , 原 久永 , 他:舌小帯早期切除施行症例におけ る構音障害.口科誌 42:717-721 1993. 3)根 本京子 , 山下夕香里 , 他:舌小帯短縮症患者における 機能障害の認識度と自覚症状について , アンケート調査 による検討.口科誌 49:356-362 2000. 4)古 賀健次郎:舌小帯短縮症の取り扱い.JOHNS 12: 1737-1740 1996. 5)堤 直文:舌小帯短縮症の音声言語学的研究 . 九州歯会誌 23:589-608 1969. 6)伊東節子:舌の異常による言語障害 1. 舌小帯について , 2 舌小帯の異常と言語障害 . クインテエッセンス・ジャー ナル 2:17-34 1981. 7)石野由美子 , 山下夕香里 , 他:舌小帯短縮症の重症度と機 能障害について.口科誌 50:26-34 2001. 8)今村榮一:小児の舌小帯付着は切らなければならないの か? 小児科からの立場から.小児耳 9:60-61 1988. 9)今村榮一:舌小帯付着の切断を論考する.小児保健研究 48:593-598 1989. 10)根 津 八 鉱: 舌 小 帯 短 縮 症. 周 産 期 医 学 20:859-864 1990. 11)大 神 浩: 舌 下 小 帯 短 縮 症. 小 児 外 科 23:271-273 1991. 12)丹生かず代,山下夕香里,他:舌小帯短縮症患者の構音 動態の観察.口科誌 50:130-143 2001.. 別刷り請求先: 琉球大学大学院医学研究科顎顔面口腔機能再建学講座 銘 苅 泰 明 〒 903―0215 沖縄県西原町中央上原 207 72.
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