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高齢者の活動と居住環境 生きがい向上と医療サービス利用の適正化に向けて

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Academic year: 2021

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高齢者の活動と居住環境

生きがい向上と医療サービス利用の適正化に向けて

Activities and Community Environments of the Elderly - Towards Improving the Sense of

Purpose in life and the Optimal Use of Medical Services

三村泰広1 Yasuhiro Mimura1 本研究では高齢者の生きがいを支え、医療サービス利用の適正化につながるような「活動」を維持 するうえにおいて、より重視すべき居住環境の姿を考察した。愛知県内に居住する60歳以上の方 (n=1,250)を対象に、「普段の活動実態」、「居住する地域の環境」、「医療サービスの利用実態」、「生 きがい」についてアンケート調査を実施した。結果、「ベンチ等休憩場所がない」、「公共交通が整備 されていない」、「病院が少ない」、「散歩・運動のできる公園が少ない」が複数の高齢者の活動に影響 を与えており、そしてそのほとんどで当該施設が少なくなるほど、活動量が有意に少なくなることを 示した。また、普段の多くの活動量は高齢者の生きがいと強く結びついている一方、医療サービスの 利用とはほとんど関連がないことを示した。

This study examined the "Community Environment" that should be emphasized in order to maintain the "activity" that supports the "A sense of Purpose in Life" of the elderly and leads to the appropriate use of medical services. A questionnaire survey on "Usual Activities", "Community Environment", " Actual Use of Medical Services", and " Purpose in Life" were conducted for people aged 60 or older (n=1,250) who live in Aichi Prefecture. As a result, "there are no benches or other resting places", "public transportation is not well maintained", "there are few hospitals", and "lack of parks for walking/exercise" had an impact on different types of activities of elderly people, and most of them showed that the activities decreased significantly as the number of the facilities decreased. Moreover, it was shown that most of the activities were strongly related to the sense of purpose in life of elderly, but have little relation to the actual usage of medical services.

キーワード:高齢者、居住環境、生きがい、医療サービス利用

Keywords: elderly people, community environment, a sense of purpose in life, use of medical services 1(公財)豊田都市交通研究所・博(工)・〒471-0024 愛知県豊田市元城町3-17・0565-31-7543 日本福祉のまちづくり学会 福祉のまちづくり研究 第23巻 2021年5月10日 発行 1.はじめに (1)研究の背景 世界でも類を見ない少子高齢化の進む我が国 では、増大する年金・医療費等社会保障費の対 応(行政支出の増大)、生産年齢人口の減少(税 収の減少)といった行政課題が顕在化している。 この課題への対応策の一つとして、高齢者がい かに健康に長く活動できる社会システムを整え ていけるかという点が重要になっている。上記 の一般的議論として、定年の延長、年金受給年 齢の引き上げ、医療制度改革などがあるが、他 方で、高齢者の生きがいを高め、医療サービス 利用の適正化が図られるような「活動」を促進 する居住環境をいかに整備していくかといった まちづくり側からのアプローチも重要であるよ うに考える。

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(2)高齢者の活動促進に与える影響要因 高齢者の活動促進に与える影響要因について は、これまで多くの研究が蓄積されている。斎 藤ら1)は、全国31自治体の要介護認定非該当 65歳以上男女への郵送自記式質問紙調査データ から103,621名を分析対象とし、高齢者の外出 行動と社会的・余暇的活動における性差と地域 差(大都市地域、都市的地域、郡部的地域)に ついて分析をしている。結果、外出行動や社会 的・余暇的活動のほとんどに性差や都市度差が 観察され,それらのパターンが活動の種類に よって異なること,参加する団体・会や趣味の 内容には男女や都市度に共通するものと,性差 や都市度差の大きいものがあることを明示して いる。島田ら2)は、神奈川県における介護予 防健診を受診した高齢者321名(平均年齢74.0 ±5.5歳、男性96名、女性225名)を対象に、高 齢者の生活空間(LSA)の拡大に影響を与える 要因についての分析を構造方程式モデリングに よる検討から行っている。結果、高齢者のLSA は一般健康状態(服薬、通院、入院歴)、運動 機能(握力、開眼片足立ち保持、5m通常歩行 時間)、物的・人的環境(駅徒歩圏内、買い物 徒歩圏内、単身世帯)に影響することを明示し ている。藤田ら3)は、新潟県与板町に在住す る65歳以上の全高齢者1,673名を対象に、外出 頻度の健康指標としての妥当性検討と,低い外 出頻度に関わる要因分析を行っている。結果、 外出頻度が低いほど身体・心理・社会的側面で の健康水準は低く,信頼性・妥当性が検証され ている健康指標との相関性も高いことを明示し ている。長田ら4)は、シルバー人材センター および老人クラブに登録している高齢者1,334 名を対象として,主な社会的活動項目の分類を 行い,その性別・年齢別による比較と1年間の 活動量の変化について分析をしている。結果、 社会的活動に関する項目として「地域活動への 参加」,「親戚・友人を訪問」,「集団活動への参 加」,「趣味活動」の4因子が得られたこと,「親 戚・友人を訪問」、「趣味活動」では男性の活動 頻度が有意に高く,「親戚・知人を訪問」では 70-74歳の女性の活動頻度が有意に高かったこ と,1年後の再調査では,男女いずれにおいて も因子別・年齢別において中程度以上の相関が 確認されたことを明示している。田中ら5)は、 高齢者向け健康診断を受けた地域の高齢者428 名を対象に日常の身体活動レベル(Physical Activity Level: PAL)と身体,心理および社会 的要因との関係を検討している。結果、PALは, 高次生活機能,体力などの身体的要因,抑うつ 度などの心理的要因,家の中での役割・仕事の 有無などの社会的要因,喫煙習慣と有意な関連 があることを明示している。岡本ら6)は大阪 市に居住する65~84歳の高齢者771名の社会活 動(個人活動,社会参加・奉仕活動,学習活動, 仕事)に関連する要因を,身体,心理,社会・ 環境的な状況から総合的に検討している。結果、 個人活動が活発な者の特性は,外出時のからだ のつらさがない,親しい友人や仲間の数が多い, 活動情報をよく知っている,活動情報を教えて くれる人がいることを明らかにしている。また、 「社会参加・奉仕活動」でみると,地域社会へ の態度の得点が高い,平穏でのんびり志向の得 点が高い,親しい友人や仲間の数が多い,外出 や活動参加への誘いがある,技術・知識・資格 がある,中年期に地域とのかかわりがあった者 であること、「学習活動」でみると,地域社会 への態度の得点が高い,外出や活動参加への誘 いがある,活動情報をよく知っている者である こと、「仕事」でみると,変化や新しさを伴う 活動的志向の得点が高い,技術・知識・資格が ある,中年期に地域とのかかわりがあった者で あることを明示している。佐藤ら7)は青森県 に在住する在宅高齢者2,948名を対象に、社会 活動(社会的活動領域、学習的活動領域、個人 的活動領域)と個人の基本属性との関連性につ いて検討している。結果、いずれの活動におい ても年齢、配偶者の有無、家族形態、健康度自 己評価、体力自己評価との関連性が認められた ことを述べている。

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その他、高齢者に限定はされないが、国外を 中心に人々の活動と居住環境の関係について、 人口密度の高さ、土地利用の混合、非居住地 への近接が歩行の増加につながること8)、公園 内のレクリエーション施設の存在と身体活動と の間に有意な正の関係があること9)、自宅の近 隣のレクリエーション施設の密度は、身体活動 の可能性を高めること10)、コミュニティスケール およびストリートスケールの都市デザインと土地 利用の政策と実践は、身体活動を促進するのに 効果的であること11)、といった成果がみられる。 このように、高齢者の多様な活動とその影響 要因をみた研究は散見される。しかし、その着 眼点は個人の属性や健康状態、社会的なつなが りなどの側面であることが多く、居住環境と いった物理的環境との関連性に関する知見は多 くないようである。また、国外を中心に人々の 身体活動と居住環境の関係をみている研究は散 見される。しかし、対象は高齢者に限定されて おらず、さらに活動の中でも「身体活動」に着 眼していることから、当該活動への影響が予想 される施設等に絞り込まれた視点での分析が多 くなっている。以上から、高齢者の多様な活動 と居住環境の関係性をみようとしている知見は 多くはないといえよう。 (3)活動の促進と医療サービスの利用 活動の促進は、高齢者に限らず人々の生活の 質-ここでは特に個人の状態、すなわち健康度 と社会経済的地位を指す-の多様な面での向上 をもたらすことが予想される。その中でも健康 面の改善にもたらすメリットは重要な要素の一 つであろう。人々の健康度と医療サービスの利 用頻度には、関係性があることが予想されうる なかで、医療サービスの利用実態と生活スタイ ルや運動習慣といった活動の関係性についてみ た研究が散見される。例えば、Willem I.J.de Boer, et al.12)は、オランダの2016年の全人口 データを使用して、近隣地域の平均医療費パ フォーマンス(人口の年齢と性別に調整された 医療費)、近隣地域のSES(社会経済的地位, Socioeconomic status)及び4つのライフスタ イルインジケータ(喫煙、アルコール消費、運 動、スポーツクラブ会員)の関連を分析してい る。結果、喫煙者が比較的少なく、スポーツク ラブの会員が多い地域では、平均医療費が大幅 に低くなること、一方で推奨される最大アル コール消費量を遵守した人が多い地域で医療費 が著しく高なること、これらの結果は、異なる SESレベルの地域内および地域間で一貫してい ることを明らかにしている。他方、運動ガイド ラインの遵守率が高い地域の医療費は低く、こ の傾向はSESレベルが低い(すなわち貧しい) 地域で特に大きいことを明示している。また、 我が国の例として、宍戸ら13)によるものがあり、 生活習慣改善のための健康教室は、参加者のセ ルフケア能力、主観的健康度、客観的健康度を 改善させるものの、医療費との関連性は見出せ ないとの結論が述べられている。 このように、運動習慣といった身体活動に関 するものと医療費の関係についての知見はいく つか散見されている。他方で、結果に安定性が ない、すなわちWillem I.J.de Boer, et al.の成果で は運動習慣が医療費の削減に寄与することが明 示されているが、宍戸らの成果ではそうではな いといった点があることからも、知見を積み上 げていくことの重要性は高いと考える。また、 そもそも一般的には医療サービスの利用は高齢 者が多いことからも、高齢者に着眼した知見の 意義は高いが、その視点からの知見は多くない ようである。さらには運動習慣に限らない普段 の多様な活動と医療サービスの利用実態の関係 性についての知見を積み上げることも、一般に 運動習慣を身に付けることの困難さを踏まえれ ば、意義高いものであるように思われるがその ような観点からの知見もみられないようである。 (4)活動の促進と生きがい 「生きがい」は、一般には生活の質の向上に 資するものとして捉えることができ、「生きて

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いくはりあいや喜び」(デジタル大辞泉(小学 館))と定義されている。高齢者という観点か らは、野村14)は、「高齢者の生きがい」の概念 の用法について、1980年以降の国内の原著論文 22件と書籍類11件、海外の書籍1件の合計34件 を対象とした分析を行い、その構造を明確化し ている。結果、生きがいの獲得は、「仕事」、「趣 味」、「スポーツ」、「学習活動」、「内面の充実」、 「友人」、「社会活動」、「家族・家庭」を源泉・ 対象とし、その帰結として、「精神の安寧」、「継 続させるための行動」、「生活へのはりあいや活 力」、「健康への効果」をもたらすとしている。 この概念モデルに示されるように、「高齢者の 生きがい」における活動のもつ根源的意義は小 さくないものと判断できる。他にも高齢者の「生 きがい」の影響要因についての研究は盛んに行 われている。例えば、長谷川ら15)は、高齢者 における「生きがい」の有無と家族構成や生活 機能ならびに身体状況との関連について、農村 地域と大都市近郊ニュータウン地域において比 較検討を実施している。結果、農村地域と大都 市近郊地域の間で「生きがいあり」の割合に有 意差を認めなかったこと、「生きがい」の関連 要因として、両地域共に健康度自己評価、知的 能動性ならびに社会的役割が示されたこと、農 村地域では家族構成が強い関連を認め、性別や 世代によって関連の強さが異なったこと、大都 市近郊ニュータウン地域では男性において入院 経験の有無が「生きがい」の有無との間に強い 関連があり、世代によって正負の関連が変動し たことなどが示されている。岡本16)は、大阪 市A区在住の高齢者を対象に行った調査をもと に、高齢者の生きがい感に関連する要因分析を 実施している。結果、生きがい感高位群の特徴 は、独居ではない者、主観的健康度が高い者、 暮らし向きの程度が高い者、家族・親戚と会話 をほぼ毎日している者、友人・知人と会話を週 2回以上している者、社会的活動をしている者、 学習活動をしている者、運動・散歩をする頻度 が高い者、活動情報の認知度が高い者、人が集 まる場がもっとあればよいと思う者であったと いった成果が示されている。 (5)研究の目的 以上のように、高齢者の多様な活動とその影 響要因をみた研究は散見されるものの、その着 眼点は個人の属性や健康状態、社会的なつなが りなどの側面であることが多く、居住環境と いった物理的環境との関連性に関する知見は多 くないこと、身体活動と医療費の関係について の知見はいくつか散見されるものの、高齢者に 着眼した知見や、身体活動以外の活動との関連 をみた知見は多くないこと、「高齢者の生きが い」における活動のもつ根源的意義は決して小 さくないといえることがわかった。これらの整 理から、身体活動に限らない高齢者の多様な活 動が、生きがい及び医療サービス利用双方に与 える影響という視点での知見が蓄積されていな いこと、そして、その双方に影響を与えるよう な「活動」を促進する要因として「居住環境」 のもつ意義についての知見も十分ではないもの と考えた。 以上を踏まえた本研究の目的は、以下とおり である。まず、高齢者の多様な活動と居住環境 の関係性について分析する。次に、高齢者のど のような活動が生きがいおよび、医療サービス の利用に影響を与えるかを分析する。これらよ り、高齢者の生きがいを支え、医療費の削減に つながるような「活動」を維持するうえにおい て、より重視すべき居住環境の姿を考察する。 2.方法 (1)対象 本研究は高齢者の居住環境の違いが、活動に 与える影響を捉えようとするものであるため、 多様な地域に住まう高齢者に対して調査を行う 必要があった。このため、幅広い範囲に居住す る母集団を有する調査会社(株式会社マクロミ ル)の登録モニターを対象に調査を実施するこ ととした。なお、インターネットを通じた調査

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は、回答者がインターネット利用者に限定され ることによる標本誤差の問題が知られており、 特に利用率の低さから高齢であるほど誤差が大 きくなる。しかしながら、令和2年の情報通信 白書によれば、近年は高齢層においても既に大 多 数 が イ ン タ ー ネ ッ ト 利 用 者(60歳 代 で 90.5%、70歳代で74.2%)となっているなど標 本誤差の影響は年々小さくなってきていること が予想され、今回の調査においても相応の信頼 のおける結果が得られるものと考える。調査は 令和2年3月末~4月初旬にかけて行った。本 調査の母集団は名古屋市中心部などの極めて高 密な地域から東三河地域といった中山間地まで 幅広い地域特性を有すると考えられた愛知県内 に居住する60歳以上の方(N=39,171)である。 当該母集団に対して調査依頼を行い、4階層に 分けた年代ごとの目標回答数(60~64歳、65~ 69歳、70~74歳、75歳以上、いずれも300回答 程度)に概ね到達した段階で調査を終了した。 回答総数は1,250名となった。回答は最も人口 集積の多い名古屋市、愛知県内で最も面積が広 く多様な地域特性を有する豊田市、地域の多く が中山間地となる新城市、設楽町、東栄町、豊 根村からのものをそれぞれ概ね全体の3分の1 を上限に優先的に収集するものとし、上限に到 達しなかった場合はそれ以外の愛知県下の市町 村より無作為に得た回答で補完する形とした。 内訳は、男性677名(平均70.4歳)、女性573名(平 均68.7歳)となった。都市別では、名古屋市が 423名、豊田市が301名、新城市、設楽町、東栄 町、豊根村で32名、それ以外の愛知県内市町村 からの回答が494名であった。 (2)調査項目 本研究の調査項目は大きく、「高齢者の活動」、 「居住環境」、「医療サービス利用実態」、「生き がい」の4項目である。 「高齢者の活動」は、上述の既往研究4)6)14) を踏まえつつ、高齢者の活動として主だったも のと考えられた以下のものとした。具体的には、 「就労」といった義務的側面が強いものの所得 や社会とのつながりを維持・継続させる側面の 強い活動、「近所づきあい」、「友人との交流」、「趣 味・習い事」といった交流や文化的な側面の強 い活動、「散歩・軽い体操」、「運動・スポーツ」 といった身体機能の維持・増進といった側面の 強い活動である。回答はそれぞれの活動につい て「よくする(週4日以上)」、「たまにする(週 1~3日程度)」、「あまりしない(月1日程度)」 及び「全くしない(月1日未満)」のいずれか を選択してもらった。 「居住環境」は一般に物質的な施設や空間を イメージする用語ではあるが、本研究では、個 人が居住するに際して影響を受けることが予想 される様々な要素を含むものと捉えることとし た。具体的には、家族形態、普段の交通手段、 居住地、居住地の施設状況である。家族形態は、 先にみたように島田ら2)佐藤ら7)の成果など からも高齢者の活動に影響を与えることが明示 されている。本研究では活動に際してのサポー ト環境の存在有無を想定し、一人暮らし(サポー ト環境がない)もしくは家族等との同居(何か しらのサポート環境がある)という視点から調 査することとした。普段の交通手段は、活動へ の影響が上述の既往研究ではあまり考慮されて いない一方で、その種類が活動の内容や範囲に 影響するであろうことが十分予想されたことか ら今回調査項目に組み入れることとした。具体 的には、パーソントリップ調査等で使用される 一般的なものを用い普段から用いるものを全て 回答してもらった。居住地は、斎藤ら1)の成果 からもその影響が予想されたことから、ここで は中心市街地、市街地、郊外、中山間地の4区 分で調査することとした。回答者にはそれぞれ の居住地のイメージを調査票内で説明し、自身 の居住地に最も近いものを選択してもらった。 居住地の施設は、活動への影響が予想される道 路施設、公共交通の整備状況などの都市インフ ラに関わるものに加え、島田ら2)及びAna V.

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運動のできる公園の状況とともに、医療施設、 娯楽施設といった一般的に外出を伴う活動が生 じると予想されるものも併せて調査することと した。なお、居住地の施設状況の回答に際して は、イメージする範囲をある程度同一のものと するため、自宅からおよそ半径1kmの範囲に おけるものを4水準(そのとおり~そうではな い)で回答してもらった。なお、上記に加え、 活動の共変量として知見が得られている4)7) 個人属性および個人の能力を把握した。具体的 には、性別、年齢といった基礎情報に加え、 BMI、認知症の疑いを把握するDASC-2117)、主 観的健康状態、基礎疾患、視聴覚の状況および 下肢能力(歩ける距離の長さ)といった健康関 連の状態、さらに日常生活能力(JST活動能力 指標)18)についても把握した。 医療サービス利用実態は、回答のしやすさを 考慮し、過去1年間の窓口で支払った医療費、 通院および入院回数とした。 生きがいについては、長谷川ら19)、近藤ら20) などによる様々な提案があるが、ここでは60歳 以上の信頼性・妥当性が確認21)されており、 かつ調査項目数の少なさから比較的簡便に調査 が可能であるikigai-9を使用することとした。 Ikigai-9は9つの設問項目で構成され、それぞ れの設問について、「とてもあてはまる」から「ほ とんどあてはまらない」の5水準のいずれかを 回答する。分析は、それぞれの総得点(得点範 囲9~45点)及び3つの下位尺度(得点範囲3 ~15点)で行う。 (3)分析方法 まず、それぞれの活動量と居住環境の関係に ついて比較分析する。ここでは、活動量により、 回答者を「多い」(「よくする(週4日以上)」 及び「たまにする(週1~3日程度)」)、「少な い」(「あまりしない(月1日程度)」及び「全 くしない(月1日未満)」)の2群に分け、それ ぞれの群の居住環境の差について検定を行う。 次に、活動の共変量を組み入れた順序ロジス ティック回帰モデルを構築し、居住環境の活動 に与える特徴をみる。なお、モデルの構築には R(version 3.5.1)MASSライブラリのpolr関数 を用いる。 最後に、活動量が生きがい及び医療サービス 利用実態に与える影響について分析する。上述 の分析同様、回答者を活動量の多少によって2 群に分け、生きがい及び医療サービス利用実態 の平均値の差についてt検定を行う。以上の分 析を通じて、高齢者の生きがいを支え、医療費 の削減につながるような「活動」を維持するう えにおいて、より重視すべき居住環境の姿を考 察する。 3.結果 (1)活動量からみた居住環境の実態 表1にそれぞれの活動量からみた居住環境の 実態について示す。家族形態、交通手段、居住 地は、該当の有無をダミー変数(該当=1)と しその該当割合を、居住地の施設状況は、回答 結果を点数化(そのとおり=4点~そうではな い1点)し、活動量別でのそれらの平均値を整 理している。活動量からみた比較では、ダミー 変数を用いた家族形態、交通手段、居住地は、 独立性の検定(カイ二乗検定)を、点数化を行っ た居住地の施設状況はウィルコクソンの順位和 検定を行った。 まず、全般的傾向として、家族形態では「家 族等と同居」、交通手段では「車利用(自身で 運転)」、居住地では「郊外居住」の値が高く、 回答者の多数派を占めていることがわかる。居 住地の施設状況では、「ベンチ等休憩場所がな い」、「美術館等の娯楽施設が少ない」の平均値 の高さから、これらの施設が居住地の周辺で比 較的少ない傾向がわかる。他方で、「コンビニ が少ない」、「病院が少ない」、「散歩・運動ので きる公園が少ない」「品揃えの良いスーパーが 少ない」の平均値の低さから、これらの施設が 居住地の周辺で比較的多い傾向にあることもわ かる。

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次に、それぞれの活動量の多少からみた傾向 についてみる。全体的に、「居住地の施設状況」、 「交通手段」は比較的多くの項目で活動量の多 少により有意差がみられ、「家族形態」、「居住地」 は有意差があるとはいえない項目が多くを占め る傾向にあることがわかる。特に「家族形態」 はいずれの活動においても両群に有意差がある とはいえず、活動量の多少に与える影響が限定 的であることがわかる。活動量の多少により顕 著な傾向がみられたのは、「散歩・軽い体操」 における「居住地の施設状況」で、「道路に段差、 傾斜・歩道が狭い」を除き、すべての施設状況 で有意差および有意傾向がみられた。いずれも、 活動量の多い群では、居住地に施設が多いと いった傾向を示しており、特にベンチ等休憩場 所、病院、散歩・運動のできる公園は極めて高 度に有意(p<0.001)となっている。その他、「友 人との交流」、「運動・スポーツ」といった活動 も、比較的多くの「居住地の施設状況」と有意 な関連性がみられ、「散歩・軽い体操」同様、 活動量の多い群で、居住地に施設が多い傾向が 読み取れる。他方で、「就労」の多少は「居住 地の施設状況」との関連性はほとんどみられず、 「交通手段」との関連性が多くみられる。傾向 は手段によって異なり、就労の活動量が多い群 では「車利用(自分で運転)」(p<0.001)と「自 転車利用」(p<0.1)をしている方が多く、少な い群では「バス」(p<0.1)、「車利用(他者が運 転)」(p<0.1)、「徒歩利用」(p<0.1)をしてい る方が多い。また、「趣味・習い事」も比較的「交 通手段」との関連性がみられるが、「就労」と 異なり交通手段による傾向の違いはなく、いず れも活動量が多い群において、当該交通手段を 利用している方が有意に多いことがわかる。 これらの傾向について、共変量として予想さ れる個人の特性を組み入れることで、その影響 表1 それぞれの活動量からみた居住環境の実態(該当割合、平均値) 労 就 近所づき あい 友人との 交流 趣味・ 習い事 散歩・ 軽い体操 運動・ スポーツ 活動(量) 少ない 多い 少ない 多い 少ない 多い 少ない 多い 少ない 多い 少ない 多い 家族形態 該当割合 一人暮らし 0.12 0.12 0.12 0.13 0.11 0.13 0.13 0.11 0.11 0.13 0.12 0.12 家族等と同居 0.88 0.88 0.88 0.87 0.89 0.87 0.87 0.89 0.89 0.87 0.88 0.88 交通手段 該当割合 電車利用 0.46 0.47 0.48 0.45 0.44 0.49+ 0.43 0.52** 0.44 0.48 0.46 0.47 バス利用 0.35 0.29+ 0.33 0.32 0.32 0.34 0.31 0.35 0.31 0.34 0.34 0.30 タクシー利用 0.09 0.06 0.07 0.09 0.07 0.09 0.06 0.10* 0.09 0.08 0.09 0.07 車利用(自身で運転) 0.69 0.81*** 0.72 0.73 0.72 0.73 0.70 0.76+ 0.75 0.72 0.71 0.76 車利用(他者が運転) 0.36 0.29+ 0.34 0.34 0.34 0.33 0.34 0.33 0.33 0.34 0.34 0.32 二輪車利用 0.02 0.03 0.02 0.03 0.02 0.03 0.02 0.03 0.03 0.02 0.02 0.02 自転車利用 0.22 0.26+ 0.20 0.28** 0.22 0.24 0.22 0.25 0.20 0.25+ 0.23 0.24 徒歩利用 0.48 0.42+ 0.45 0.47 0.46 0.46 0.43 0.49* 0.40 0.49** 0.47 0.44 居住地 該当割合 中心市街地居住 0.07 0.06 0.07 0.06 0.05 0.08 0.07 0.06 0.07 0.06 0.07 0.06 市街地居住 0.28 0.32 0.31 0.27 0.31 0.28 0.31 0.27 0.29 0.30 0.29 0.30 郊外居住 0.63 0.58+ 0.60 0.63 0.60 0.63 0.59 0.65+ 0.60 0.62 0.61 0.62 中山間居住 0.02 0.04 0.02 0.04* 0.03 0.02 0.03 0.03 0.04 0.02** 0.03 0.02 居住地の 施設状況 平均値(4 水準: そのとおり=4, ど ちらかといえばそ のとおり=3, どち らかといえばそう ではない=2, そう ではない=1) 道路に段差、傾斜・歩道が狭い 2.01 2.03 2.05 1.97+ 2.08 1.94** 2.04 1.98 2.05 2.00 2.05 1.96 ベンチ等休憩場所がない 2.80 2.72+ 2.79 2.74 2.81 2.72+ 2.79 2.74 2.89 2.71*** 2.83 2.68** 公共交通が整備されていない 2.13 2.03+ 2.12 2.07 2.17 2.01*** 2.10 2.10 2.18 2.06+ 2.11 2.08 公共交通利用しづらい 2.15 2.08 2.14 2.10 2.18 2.06* 2.12 2.13 2.24 2.07** 2.14 2.09 街灯が少ない 2.05 2.09 2.12 1.98** 2.13 1.98** 2.10 2.01+ 2.16 2.01** 2.10 2.00* コンビニが少ない 1.67 1.67 1.67 1.66 1.70 1.63* 1.68 1.65 1.74 1.63* 1.69 1.63+ 品揃えの良いスーパーが少ない 1.82 1.82 1.83 1.81 1.82 1.82 1.87 1.76* 1.91 1.78* 1.86 1.76* 病院が少ない 1.75 1.76 1.79 1.70* 1.81 1.69** 1.81 1.68** 1.91 1.68*** 1.79 1.69* 散歩・運動のできる公園が少ない 1.76 1.84+ 1.86 1.67*** 1.87 1.69*** 1.83 1.72* 1.96 1.70*** 1.85 1.68*** 美術館等の娯楽施設が少ない 2.97 2.89 2.97 2.90 2.98 2.90 2.95 2.93 3.06 2.89** 2.96 2.91 該当数(n) 826 424 756 494 678 572 731 519 409 841 773 477 *** p < 0.001, ** p < 0.01, * p < 0.05, + p < 0.1 (家族形態、交通手段、居住地=カイ二乗検定、居住地の施設状況=ウィルコクソンの順位和検定の結果)

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の調整を行う順序ロジスティック回帰分析を実 施した。従属変数である個人の活動量の順序は、 4段階(「よくする(週4日以上)」「たまにす る(週1~3日程度)」、「あまりしない(月1 日程度)」、「全くしない(月1日未満)」)とし、 独立変数は、居住環境に加え、共変量である、 表2 活動量の要因分析(順序ロジスティック回帰分析) 就労 近所づき あい 友人との 交流 趣味・ 習い事 散歩・ 軽い体操 運動・ スポーツ 推定値 判定 推定値 判定 推定値 判定 推定値 判定 推定値 判定 推定値 判定 個人属性 男性ダミー 0.94 *** -0.53 *** -1.07 *** -0.35 ** 0.28 * 年齢 -0.15 *** 0.05 *** 0.04 *** 0.06 *** 0.08 *** 0.05 *** 健康状態 BMI -0.05 ** 認知症疑い(DASC-21) -0.02 + -0.04 ** 0.02 主観的な健康状態の悪さ -0.35 ** -0.19 + -0.22 * -0.29 ** -0.36 *** -0.47 *** 慢性的痛みダミー 0.28 * 0.25 * 脳卒中歴ダミー 0.85 ** 0.57 + 心疾患歴ダミー 高血圧歴ダミー 糖尿病歴ダミー -0.24 見えづらさ(4 水準) 0.14 聞こえづらさ(4 水準) 休憩なしで歩ける距離の長さ(4 水準) 0.40 *** 0.28 *** 日常生活 能力 (JST 活動 能力指標) 新機器利用能力の高さ -0.31 * 情報収集能力の高さ 0.12 + 0.41 *** 0.21 ** 0.18 ** 生活マネジメント能力の高さ 0.15 * 0.15 * 0.14 * 0.09 社会参加能力の高さ 0.63 *** 0.35 *** 0.16 *** 0.08 * 0.25 *** 家族形態 一人暮らしダミー 交通手段 電車利用ダミー 0.26 + 0.31 * 0.27 * バス利用ダミー -0.27 * タクシー利用ダミー -0.43 * 車利用(自身で運転)ダミー 0.25 0.35 ** 0.46 *** 0.33 * 車利用(他者が運転)ダミー -0.40 ** -0.18 二輪車利用ダミー 0.55 0.68 * 自転車利用ダミー 0.52 *** 0.26 * 0.21 徒歩利用ダミー -0.55 *** -0.24 + 0.23 * -0.22 * 居住地 中心市街地居住ダミー -1.00 * -0.36 市街地居住ダミー -0.75 * 0.51 * 郊外居住ダミー -0.63 + 0.29 居住地の 施設状況 (4 水準) 道路に段差、傾斜・歩道が狭い -0.11 ベンチ等休憩場所がない -0.11 + -0.15 * -0.19 ** 公共交通が整備されていない -0.21 ** 0.12 + 公共交通利用しづらい 0.15 * 街灯が少ない 0.17 * コンビニが少ない 品揃えの良いスーパーが少ない 0.24 ** 0.14 病院が少ない -0.24 * -0.17 * -0.18 + 散歩・運動のできる公園が少ない 0.15 + -0.21 ** -0.12 -0.27 *** -0.20 ** 美術館等の娯楽施設が少ない -0.09 定数項 週4 日以上|週1~3 日程度-10.82 *** 0.61 0.33 4.42 *** 2.35 * 3.90 *** 週1~3 日程度|月1 日程度-10.59 *** 3.13 *** 2.59 *** 5.36 *** 3.67 *** 4.99 *** 月 1 日程度|月 1 日未満 -9.87 *** 5.89 *** 4.98 *** 6.97 *** 5.36 *** 6.56 *** 該当数(n) 1,250 AIC 2283.95 2638.32 2855.46 3132.09 3046.04 3094.21 McFadden の疑似決定係数 0.11 0.13 0.09 0.06 0.09 0.07 *** p < 0.001, ** p < 0.01, * p < 0.05, + p < 0.1 ※ステップワイズ(変数増減、AIC)による変数選択

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個人属性、健康状態、日常生活能力を組み入れ た。モデルの変数選択には、基準となるダミー 変数の調整(女性ダミー、家族等と同居ダミー、 中山間居住ダミーの削除)の後、ステップワイ ズ(変数増減、AICによる判定)により行った。 結果を表2に示す。モデルの精度をみると、 AICの値から、「就労」(AIC=2283.95)及び「近 所づきあい」(AIC=2638.32)のモデルが他の モデルより比較的当てはまりがよい一方で、 McFaddenの疑似決定係数は高いとはいえない ことがわかる(R2Mc=0.11,0.13)。この原因と して、大きくはこれらの活動量に影響するその 他の共変量の存在が予想されるが、本研究では、 まずは組み入れた居住環境が活動量に与える影 響を把握することに主眼があるため、有意と なった変数にのみ言及するなど、結果の解釈に 留意しつつ、分析を進めることとする。 共変量として組み入れた個人属性、健康状態、 日常生活能力といった個人の特性は、いずれも 有意に多くの活動量に影響を与えており、なか でも「性別(男性ダミー)」や「年齢」、「主観 的健康度」、「社会参加能力」といったものが比 較的多様な活動に影響を与える要因となってい る。個人属性では、男性は女性に比べ「就労」、 「散歩・軽い体操」の活動量が多い一方、「近所 づきあい」「友人との交流」「趣味・習い事」の 活動量が有意に少ないこと、加齢に伴い「就労」 の活動量が有意に減少し、それ以外の活動量が 有意に多くなることが読み取れる。「主観的健 康状態の悪さ」はすべての活動に影響しており、 悪くなるほど、活動量が有意に減少する傾向に ある。「社会参加能力」を含め、多くの日常生 活能力の高さは、活動量の多さに比例している が、唯一、「就労」の活動量に対して、新機器 利用能力のみマイナスに影響をしている。この 原因については詳しい分析が必要だが、例えば、 60歳を超えて活動的に働いている方の多くは管 理職などの経験者が多いことも予想され、自身 で新たな機器を使用する必要性がそもそも低 かったのではないかといったことも考えられ る。 以上のような共変量による調整を踏まえた、 居住環境と活動の関係性をみる。まず、家族形 態をみると、いずれの活動に対しても変数とし て選択されるに至っていない。すなわち、家族 形態は、これらの活動の多少に影響を与える要 因とはいえないことがわかる。 次に、交通手段をみると、「電車」、「車(自 表3 活動量からみた医療サービスの利用及び生きがいの実態(平均値) 就労 近所づき あい 友人との 交流 趣味・ 習い事 散歩・ 軽い体操 運動・ スポーツ 活動(量) 少ない 多い 少ない 多い 少ない 多い 少ない 多い 少ない 多い 少ない 多い 医 療 通院回数 (回/年) 15.46 13.78 14.73 15.12 15.06 14.68 14.06 16.04 13.61 15.49 15.29 14.25 入院回数 (回/年) 0.30 0.25 0.33 0.22 + 0.29 0.28 0.30 0.26 0.30 0.27 0.30 0.26 医療費(窓口支払い 額、万円) 7.38 7.95 7.76 7.29 8.15 6.89 7.38 7.83 7.97 7.38 8.00 6.89 生 き が い 全体 (総得点) 29.05 29.06 27.67 31.16*** 27.12 31.33*** 27.50 31.22 *** 26.61 30.21 *** 27.75 31.12 *** 下位尺度 1: 生活・人生の楽天的肯定感 10.34 9.89 ** 9.78 10.81*** 9.59 10.90*** 9.75 10.80 *** 9.32 10.60 *** 9.76 10.87 *** 下位尺度 2:未来への 積極・肯定姿勢 9.76 9.91 9.35 10.51*** 9.18 10.56*** 9.13 10.76 *** 8.94 10.22 *** 9.35 10.54 *** 下位尺度 3: 自己存在の意味認識 8.94 9.26 * 8.54 9.83 *** 8.36 9.87 *** 8.62 9.66 *** 8.35 9.38 *** 8.64 9.71 *** 該当数(n) 784 405 717 472 644 545 692 497 381 808 730 459 *** p < 0.001, ** p < 0.01, * p < 0.05, + p < 0.1

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身で運転)」、「自転車」、「徒歩」が複数の活動 量に影響を与えていることがわかる。このうち、 「電車」、「車(自身で運転)」、「自転車」が普段 の交通手段である場合、活動量が有意に多く なっている傾向がうかがえる。他方で、「徒歩」 が普段の交通手段である場合、「散歩・軽い体 操」を除いて、活動量が有意に少なくなってい る。 次に居住地をみると「近所づきあい」におい て都市部ほど活動量が有意に少ない傾向がみら れる。そして居住地の施設状況をみると、「ベ ンチ等休憩場所がない」、「公共交通が整備され ていない」、「病院が少ない」、「散歩・運動ので きる公園が少ない」が複数の活動に影響を与え ていることがわかる。そして、そのほとんどが それぞれの活動量の低さと、すなわち、当該施 設が少ないほど、活動量が有意に少なくなると いった関係性がみられる。「ベンチ等休憩場所 がない」、「散歩・運動のできる公園が少ない」 は、特に「散歩・軽い体操」、「運動・スポーツ」 といった身体的健康度を高める活動との関係性 が強く、このような施設の整備が当該活動量を 高める上で重要である可能性が示唆される。ま た、「病院が少ない」は「友人との交流」、「趣味・ 習い事」といった活動との関係が有意となって いる。「公共交通が整備されていない」は「就労」 との関係が強く、高齢者の就労活動を支える上 で重要な要素である可能性がうかがえる。他方 で、「道路に段差、傾斜・歩道が狭い」といっ た道路空間の状況や、「コンビニが少ない」、「美 術館等の娯楽施設が少ない」といった特定の施 設の状況は、いずれの活動に対しても変数とし て選定されていない、もしくは有意とはなって おらず、活動量に与える影響は限定的であるこ とがわかる。 (2)活動量からみた医療サービスの利用及び 生きがいの実態 表2のように、本研究で扱った高齢者の活動 の量は、いずれも居住環境によって特徴的な傾 向にあることがわかった。表3は、これら居住 環境によって影響をうける活動の量と医療サー ビス利用、生きがいの実態の関係性をみたもの である。なお、一部の回答で通院及び入院回数 と医療費の整合が取れない(通院歴がある一方 で、医療費の回答がない、またはその逆、など) ものがあり、それらを除いた形(n=1,189)で 分析を実施している。 まず生きがいについて、「就労」を除き、い ずれの活動も、生きがいの全体傾向、その下位 尺度を含め、極めて高度な有意差(p<0.001) があり、これらの活動の多さが生きがいの高さ に強く結びつく可能性があるといえる。「就労」 は生きがいの全体(総得点)では活動量の多少 により有意差があるとはいえないが、下位尺度 の、生活・人生の楽天的肯定(p<0.01)、自己 存在の意味認識(p<0.05)では有意差がみられ る。「就労」の活動量の多い群は、自己存在の 意味認識は高い一方で、生活・人生の楽天的肯 定が低いといった傾向がわかる。 他方、医療サービスに関する指標では、「近 所づきあい」の多い群において有意に入院回数 が少ない傾向(p<0.1)がある点を除き、いず れの活動においてもその多少によって有意差が あるとはいえないといった特徴的傾向があると いえる。 4.考察 これまでの分析を通じて、影響の予想された 高齢者の個人の特性を調整したうえであっても 高齢者の活動量と居住環境には有意な関係がみ られ、活動の種類によって特徴的な傾向がある こと、取り上げた活動のほとんどは高齢者の生 きがいとは強く結びついている一方で、通院や 医療費といった医療サービスの利用実態とは関 係性があるとはいえないことを示した。個人の 特性の影響については、性別年齢1)7)日常生 活能力6)、健康度2)3)7)など既往研究の成果 を支持する結果が導出されており、ある程度の モデルの妥当性はあるものと考える。

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居住環境の中でも、「就労」とそれ以外の活 動では、居住地の施設状況が与える影響や、生 きがいに与える影響に顕著な違いがみられた。 特に、居住地の施設状況は、公共交通の整備状 況以外、「就労」の活動量に有意な影響を与え ていなかった。これは、そもそもの活動の「特 徴」、すなわち義務的かそうでないか、生産的 活動か消費的活動かといったような違いが反映 されている可能性が予想されるものの、我が国 が今後、高齢者の就労を促進させるという舵切 りをしている22)なかでは、その促進に寄与す る居住環境の限界を踏まえつつ、まちづくりを 進めていくことが肝要だろう。 また、本研究では、生きがいの向上とともに、 医療サービス利用の適正化に繋がる活動を探索 したいといった狙いがあったが、残念ながら、 設定した活動のいずれもが医療サービス利用と の関連性が見出せなかった。本研究で取り上げ た活動には、「散歩・軽い体操」、「運動・スポー ツ」といった、極めて強い健康との関連性が予 想される活動を組み入れているが、少なくとも、 これらの頻度を高めるということに主眼をおい ても、高齢者の医療費削減等、医療サービスの 適正化にはつながらない可能性が示唆された。 健康にかかわる活動の増加が医療サービス利用 の適正化に寄与するであろうことは一般的に予 想されうるものであり、平成26年に作成された 我が国の「健康・医療・福祉のまちづくりの推 進ガイドライン」23)の中でも、歩行量の増加 による医療費の削減効果が取り上げられてい る。事実、本研究の個人特性の健康状態と活動 量の関係性を踏まえても、活動量の増加は個人 の健康改善、特に主観的健康の改善には寄与す ることは示されている。他方、それが医療サー ビスの適正利用までには結びつかないという理 由はどのようなものが考え得るのであろうか。 例えば、健康的な活動を多く行っていることが、 医療サービスの適正利用との関連性をもたない 理由について、本研究で示された活動量の増加 と病院数の関係についての成果に関連するが、 病院は「居場所」としての機能を果たしている といった指摘がある24)25)。そのような、「居場所」 として機能しているということが反映されてい るならば、単に、健康であることが、医療サー ビス利用の適正化につながらない一つの理由な のかもしれない。加えて、所得の違いや、健康 情報への関心が検診率に差を生じさせるこ と26)、さらに高齢の場合は、高血圧、糖尿病と いった慢性疾病の状況より、むしろ生活機能の 低下、うつ傾向の増加そして主観的幸福感の低 下が検診率の低下に有意に影響する、すなわち 主観的健康感を感じている人ほど検診を受けて いるといった指摘27)もある。これらの成果を 前提とするならば、活動量の増加のみならず、 普段の暮らしぶりや、個人の健康への価値観ま でを含めた「居住環境」の検討を進めていくこ とが重要なのかもしれない。 いずれにせよ、本研究の母集団の特性のより 丁寧な理解や、類似する研究を蓄積していくこ とは、極めて重要であるとともに、この理由に ついて慎重な理解を進めていくことが、特にま ちづくりの視点からの医療サービス利用の適正 化を目指すという点で、極めて重要であるとい えるだろう。 5.結論 本研究は、高齢者の多様な活動と居住環境の 関係性について分析し、高齢者のどのような活 動が生きがいおよび、医療サービスの利用に影 響を与えるかをみたうえで、高齢者の生きがい を支え、医療費の削減につながるような「活動」 を維持するうえにおいて、より重視すべき居環 境の姿を考察した。本研究で得られた知見は以 下のとおりである。 (1)それぞれの活動量と居住環境の関係につ いて比較分析した結果、「居住地の施設状況」、 「交通手段」は比較的多くの項目で活動量の多 少により有意差がみられ、「家族形態」、「居住地」 は有意差があるとはいえない項目が多くを占め る傾向にあることを示した。なかでも、「散歩・

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軽い体操」、「友人との交流」、「運動・スポーツ」 といった活動で、比較的多くの「居住地の施設 状況」と有意な関連性がみられ、活動量の多い 群で、居住地に施設が多い傾向となっているこ とを示した。他方で、「就労」は「居住地の施 設状況」との関連性はほとんどみられず、「交 通手段」との関連性が多くみられることを示し た。 (2)活動の共変量を組み入れ、それらの影響 を調整した順序ロジスティック回帰モデルを構 築し、居住環境の活動に与える特徴をみた結果、 家族形態は、これらの活動の多少に影響を与え る要因とはいえないことを示した。また、交通 手段では「電車」、「車(自身で運転)」、「自転車」、 「徒歩」が複数の活動量に影響を与えており、 なかでも、「電車」、「車(自身で運転)」、「自転 車」が普段の交通手段である場合、活動量が有 意に多くなること、他方で、「徒歩」が普段の 交通手段である場合、「散歩・軽い体操」を除 いて、活動量が有意に少なくなることを示した。 また、居住地では「近所づきあい」において都 市部ほど活動量が有意に少ない傾向となること を示した。また、居住地の施設状況では「ベン チ等休憩場所がない」、「公共交通が整備されて いない」、「病院が少ない」、「散歩・運動のでき る公園が少ない」が複数の活動に影響を与えて いること、そしてそのほとんどで当該施設が少 ないほど、活動量が有意に少なくなるといった 関係性がみられることを示した。 (3)活動量が生きがい及び医療サービス利用 実態に与える影響について分析した結果、「就 労」を除いたすべての活動量の多さが生きがい の高さに強く結びつく可能性があることを示し た。他方、医療サービスに関する指標では、「近 所づきあい」における入院回数を除き、いずれ の活動もその多少との関係性があるとはいえな いことを示した。 (4)「就労」の促進については、居住地の施設 状況が与える影響が限定的である点を踏まえた まちづくりを進めることの重要性を示唆した。 加えて、活動量と医療サービス利用との関連性 がみられない原因について、その解明に向けた 研究蓄積の重要性を示唆した。 なお、これらの結果はあくまで今回設定した 分析条件下でのものであり、各分析結果の精度 (決定係数)からも結果に影響する要因はほか にも多数あることが予想される。この点を踏ま え、分析をより深化させていき、健康かつ活動 的な高齢者を支えるより洗練された居住環境の 在り方について研究を深化させていきたいと考 えている。 参考文献 1) 斎藤 民, 近藤 克則, 村田 千代栄, 鄭 丞媛, 鈴木 佳代, 近藤 尚己:高齢者の外出行動と社会的・余暇的活動 における性差と地域差 JAGES プロジェクトから, 日本公衛誌, 62-10, 2015, pp.596-608 2) 島田 裕之, 牧迫 飛雄馬, 鈴川 芽久美, 古名 丈人, 鈴 木 隆雄:地域在住高齢者の生活空間の拡大に影響を 与える要因:構造方程式モデリングによる検討, 理 学療法学, 36-7, 2009, pp.370-376 3) 藤田 幸司, 藤原 佳典, 熊谷 修, 渡辺 修一郎, 吉田 祐 子, 本橋 豊, 新開 省二:地域在宅高齢者の外出頻度 別にみた身体・心理・社会的特徴, 日本公衆衛生雑 誌, 51巻, 3号, 2004, pp.168-180 4) 長田 久雄, 鈴木 貴子, 高田 和子, 西下 彰俊:高齢者 の社会的活動と関連要因 シルバー人材センターお よび老人クラブの登録者を対象として, 日本公衆衛 生雑誌, 57巻, 4号, 2010, pp.279-290 5) 田中 千晶, 吉田 裕人, 天野 秀紀, 熊谷 修, 藤原 佳典, 土屋 由美子, 新開 省二:地域高齢者における身体活 動量と身体, 心理, 社会的要因との関連, 日本公衆衛 生雑誌, 53巻, 9号, 2006, pp.671-680 6) 岡本 秀明, 岡田 進一, 白澤 政和:大都市居住高齢者 の社会活動に関連する要因 身体, 心理, 社会・環境 的 要 因 か ら, 日 本 公 衆 衛 生 雑 誌, 53巻, 7号, 2006, pp.504-515 7) 佐藤 秀紀, 佐藤 秀一, 山下 弘二, 山中 朋子, 柴田 ミ チ, 鈴木 幸雄, 松川 敏道:地域在宅高齢者の社会活 動に関連する要因, 厚生の指標 48(11), 2001, pp.12-21 8) Brian E. Saelens and Susan L. Handy, Built

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(13)

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McGinn, Daniel G. Brown, Latetia Moore, Shannon Brines, and David R. Jacobs, Jr, Availability of Recreational Resources and Physical Activity in Adults, American Journal of Public Health, 97(3), 2007, pp.493–499.

11) Gregory W. Heath, Ross C. Brownson, Judy Kruger, Rebecca Miles, Kenneth E. Powell, Leigh T. Ramsey and the Task Force on Community Preventive Services, The Effectiveness of Urban Design and Land Use and Transport Policies and Practices to Increase Physical Activity: A Systematic Review, Journal of Physical Activity and Health, Volume 3, Issue s1, 2006, pp.S55–S76

12) Willem I.J.de Boer, Louise H.Dekker, Ruud H.Koning, Gerjan J.Navis, Jochen O.Mierau, How are lifestyle factors associated with socioeconomic differences in health care costs? Evidence from full population data in the Netherlands, Preventive Medicine, Volume 130, 2020 13) 宍戸 由美子, 井手 玲子, 二階堂 敦子, 中野 匡子, 安 村 誠司:運動指導教室参加者の運動習慣・医療費な どの変化に関する研究 —国民健康保険加入者を中 心に—, 日本公衆衛生雑誌, 50巻, 7号, 2003, pp.571-582 14) 野村 千文:「高齢者の生きがい」の概念分析, 日本看 護学会誌, 25, 3, 2005, pp.61-66 15) 長谷川 明弘, 藤原 佳典, 星 旦二, 新開 省二:高齢者 における「生きがい」の地域差, 日本老年医学会雑誌, 40, 4, 2003, pp.390-396 16) 岡本 秀明:高齢者の生きがい感に関連する要因:大 阪市A区在住高齢者の調査から, 和洋女子大学紀要 家政系編, 48, 2008, pp.111-125 17) DASC-21とは:一般社団法人認知症アセスメント普 及・開発センター, https://dasc.jp/about (2020/6/5 最終閲覧) 18) 新しい活動能力指標(JST版活動能力指標):高齢社 会 共 創 セ ン タ ー, http://www.cc-aa.or.jp/case/jst-indexofcompetence/ (2020/6/5最終閲覧) 19) 長谷川 明弘, 他:高齢者のための生きがい対象尺度 の開発と信頼性・妥当性の検討:生きがい対象と生 きがいの型の測定, 日本心療内科学会誌, 11(1), 2007, pp.5-10 20) 近藤 勉, 鎌田 次郎:高齢者向け生きがい感スケール (K-1式)の作成および生きがい感の定義, 社会福祉学, 43(2), 2003, pp.93-101 21) 今井 忠則, 長田 久雄, 西村 芳貢:生きがい意識尺度 (Ikigai–9)の信頼性と妥当性の検討, 日本公衆衛生 雑誌, 59巻, 7号, 2012, pp.433-439 22) 厚生労働省:「高年齢者雇用対策の概要」https:// w w w . m h l w . g o . j p / s t f / s e i s a k u n i t s u i t e / bunya/0000137096.html(最終閲覧2020/6/5) 23) 国土交通省都市局:5.取組効果のチェック取組内容 の改善, 「健康・医療・福祉のまちづくりの推進ガイ ドライン」, 2014 24) 上野 佳代, 菊池 和美, 長田 久雄:国内文献にみる高 齢者の居場所に関する研究-エイジング・イン・プレ イスにむけて-, 老年学雑誌, 8, 2017, pp.33-50 25) 岩田 道子, 岩瀬 敏:病院で開く高齢者サロンで心理 職は何ができるのか, 日本心理学会大会発表論文集, 82, 2018, p.312 26) 築島 恵理, 高橋 恭子, 矢野 公一, 森 満:所得状況に よる特定健康診査の受診行動と関連する因子の検討  所得の指標として市民税課税層と非課税層の相違 に着目して, 日本公衆衛生雑誌, 59巻, 11号, 2012, pp.810-821 27) 鈴木 隆雄, 岩佐 一, 吉田 英世, 金 憲経, 新名 正弥, 胡 秀英, 新開 省二, 熊谷 修, 藤原 佳典, 吉田 祐子, 古名 丈人, 杉浦 美穂, 西澤 哲, 渡辺 修一郎, 湯川 晴美: 地域高齢者を対象とした要介護予防のための包括的 健診(「お達者健診」)についての研究 1. 受診者と 非受診者の特性について, 日本公衆衛生雑誌, 50巻, 1 号, 2003, pp.39-48

参照

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