創作活動における箏活用の有効性に関する一考察
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(2) 北海道教育人学紀要(教育科学編)第56巻 第2号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.56,No.2. 平成18年2月 February,2006. 創作活動における筆活用の有効性に関する一考察 尾 藤 弥 生 北海道教育人学函館校 音楽教育研究室. AConsiderationoftheEffectivenessofUsingtheKoto inCompositionActivities BITO Yayoi DepartmentofMusicEducation,HakodateCampus,HokkaidoUniversityofEducation. 要 旨 本研究の目的は,教育課程改善の基本方針で求められている「個性を生かし,自ら自己表現する能力の育 成」「日本の伝統文化の体験的理解」の両方の内容を一度に学習できる教材・素材として,挙が有効であり,. 撃独特の様々な奏法が学校教育における創作活動に有効であるという考えに基づいて,指導実践計画案を作 成し実施する.そして,その結果として生み出された作品を考察し,撃の各奏法が創作活動に有効であるこ とを検証することを目的とする.考察の結果,次の3点が明らかになった. ① 肇による創作活動では,多様な表現が実現でき,一人一人の個性的な表現が可能であり,初心者でも創 作しやすく創作活動に効果的であるということが明らかになった. ② 今回の標題的創作では,右手の奏法や嗅音効果の奏法が創作表現に有効であることが明らかになった. 特に,右手の奏法では,流し爪・引き連,グリッサンド,ピチカートが効果的であるという知見を得た. また,喋音効果の奏法では,散し爪が効果的であるという知見も得た.. ⑨ 本創作活動の学習過程で,音楽の指導内容の5つの側面(構造的,感性的,技術的,文化的,情意的) が,相互に影響しあい,スパイラルに学習が深まっていったことが明らかになった.. キーワード 撃演奏,創作教育,学校教育. Ⅰ.本研究の背景と目的 撃による多様な創作学習を10年程継続的に指導. するうちに,挙が日本の伝統的音楽の特性を実感 的に理解するのに有効であるだけではなく,挙が 表現,創作,鑑賞の多様な音楽学習に有効な楽器. であると強く感じるようになった.特に,創作活. 動には有効であり,創作学習経験の少ない学習者 でも取り組み易く,撃の様々な奏法は,実に多様 な音楽表現が可能であると実感している.. 2002年度より中学校において,和楽器の実技学 習が義務づけられたものの,必修の授業時間数は,. 149.
(3) 尾 藤 弥 生. 年間中学1年生で45時間,2,3年生は35時間, と少ない.この時間の中でどのように和楽器学習 の時間を確保し,指導するべきか,また,すでに 取り扱っている先生方でも,撃の場合,既成の楽. Ⅰ.先行研究 1.日本の音の特徴と関わる寧の奏法. 撃の奏法には,どのような日本の音の特徴が見. 曲(「さくらさくら」や民謡やわらべ歌の楽曲). られるだろうか.日本の音文化の特徴として,吉. を指導した後,どのように発展させるべきか悩ん. 川3)は,単音愛好性,余韻愛好性,喋音4)愛. でいる先生方がいる.このことに関して,地域1). 好性,声楽愛好性,音色尊重主義,をあげている.. の現場の先生方にアンケートを行った結果,撃の. 本研究で取り上げる撃の奏法の場合,このうち単. 創作活動への活用は10%のみであった.. 音,余韻,嗅音に対する愛好性と音色尊重主義が. このような現状を改善し,撃活用の可能性を最. 注目される.. 大限に引き出すため,苦労して購入した楽器を音. また,茂手木5)は,日本の音楽の特徴を,大. 楽学習全般に最大限有効に活用するため,挙が音. きく4つの観点(音程や音階に関わるもの,テン. 楽の学習の中で有効であること,撃による音楽学. ポや才白子に関わるもの,ハーモニーのような集合. 習には,幅広い取り組みが可能であること,を提. 音の認識について,作品の構成方法と他の芸術と. 案することが求められる.そこで,以下の2点を. の関連,)から19項目にまとめ設定している.こ. 融合させた学習の可能性と意義を明らかにするこ. のうち撃の奏法に深く関連するものとして,「ア. とは,今日的課題として重要である.. ナログ的な発音法」「音階音以外の音を伴ってポ. 1点目は,今日学校教育において教育課程改善 の基本方針2)で求められている「国際社会に生. きる日本人としての自覚」と関わり,日本の伝統. ルタメント風に移行する旋律の特徴」「音色の 色々」といった点があげられる.. このようにしてみると,撃を通して体験できる. 音楽の特性の理解を含めた実技学習の実践.2点. 日本の音文化の特徴は,余韻の変化や微妙な音程. 目は「自ら学び,自ら考える力を育成すること」「基. の変化,嗅音効果などの様々な音色の変化である. 礎・基本の確実な定着を図り,個性を生かす教育. と言える.. を充実すること」を音楽の学習を通して実践する ことである.具体的には,′ト学校・中学校の音楽. の学習指導要領の中で創作および「つくって表現. 2.寧による創作活動の有効性に関する研究 撃による創作活動の実践例は『教育音楽』な. する活動」として位置づけられている内容を撃を. ど6∼11). 活用して実践することである.. の学習方法に関しては,唱歌による肇の学習効果. 本研究では,「個性を生かし,自ら自己表現す. である程度報告されている.また,撃. の検証(伊野)12),撃初心者の奏法習得状況に. る能力の育成」「日本の伝統文化の体験的理解」. 関する研究(尾藤)13),などがある.しかし,様々. の両方の内容を一度に学習できる教材・素材とし. な撃の奏法を取り入れた撃による創作活動の有用. て,挙が有効であり,撃独特の様々な奏法が学校. 性についての研究は見当たらない.. 教育における創作活動に有効であるという考えに 基づいて,指導実践計画案を作成し実施する.そ して,その結果生み出された作品を分析し,肇の. 各奏法が創作活動にどの程度,どのように活用さ. Ⅱ.研究の手順と方法 本研究の素材となる指導実践計画案を,現在の. れているかを考察し,創作活動に有効であること. 中学校音楽科の指導内容の5つの側面14)と結び. を検証することを目的とする.. つけて考える.まず,初心者は撃の技術的側面, 文化的側面と構造的側面にあたる肇の基本的奏法 や撃独特の奏法を楽曲を通して学習する.その後,. 150.
(4) 創作活動における撃活用の有効性に関する▲考察. それらの知識および技能を生かして自らの感性的 側面や情意的側面に働きかけ,音による自己表現. 2.実践内容の概略. 本研究の実践対象は,平成15,16年度の本学の. としての作品を撃で創作し発表する.この時,創. 教員養成音楽専攻の学生および平成15年度本学で. 作作品の改善を図るため,感性的・情意的側面か. 実施した現職教員向け講習会の参加者,合計54名. ら技能的・構造的側面に働きかけることにより,. である.. 理解が一層深化し,学習全体が深まる.本研究で. 学習時問は,学生は過1回,約60分の学習を7. は,このような指導の流れに沿って計画され実施. 回,現職教員は一日に集中して約7時間,と同等. した,これらの実践結果である創作作品を分析考. の時間学習を行った.学習内容については,「表1」. 察して研究目的の学習の有用性を検証しようとす. の通り,技能的側面については,初心者を対象と. る.. した基礎的な弾き方の学習から始め,その後様々 な奏法を学習した.教材楽曲は「さくらさくら」. 1.学校の音楽教育における創作活動の定義 学校の音楽教育(特に義務教育)における創作. とし,構造的側面と関わり,それを多様なバリエー. ションに変化させて扱いながら,様々な撃独特の. 活動は,独創的な音楽表現で,高度な作曲技法に. 奏法を学習した.また,文化的側面にあたる,日. 裏づけされた作品というより,音楽遊び,即興表. 本の音の特性についても,講義等で扱い理解を深. 現や演奏,リズム創作,旋律創作,多様な創造的. めた.このように同様の内容を学習した後,感性. な音楽活動,「つくって表現する活動」,などの様々. 的側面と情意的側面に働きかけ,「さくらさくら」. な音楽づ. くりの活動を意味する15).また,現行. の中学校の学習指導要領音楽編の解説では創作を. 「自己のうちに生じたイメージや曲想に基づいて,. の前奏を創作するという同様の題材により創作を 行った.. この前奏の創作学習の時,次の3点に留意して. 楽器や身の回りから音を選び,それらの音を即興. 指導した.①「さくらさくら」の前奏を創作する. 的に鳴らしながら自由な発想によって構成する活. 時,学習した奏法を自由に活用して良いことを告. 動である.」16)と定義付けている.. げた.②創作段階で創作に悩む学習者に,「桜の. ここでは上記の考え方を踏まえ,創作活動を音. 咲いている風景を想像して,そこから受けた印象. による自己表現であると捉える.具体的には,学. に基づいて創作しても良い」ということをアドバ. 習者自らが表現したいイメージを持ち,それを表. イスした.⑨撃の学習の4回目に嗅音効果を味わ. 現するため自らの全ての経験,知識,技能を総動. う学習を行ったが,その時,嗅音効果を含む前奏. 員して試行錯誤しながら自分の思いを表現し,聴. の学習と桜の風景を表現した言葉とを結び付けて. く相手に伝わるよう工夫し,作品として構成する. 学習を行った.. ことである.. 創作活動には主に,絶対音楽的な旋律創作と標 題音楽的なイメージを音で表現する創作が存在す. 3.調査方法. 「表1」の7回目「さくらさくら」の前奏の創. る.撃による前者の創作例としては,「五音音階. 作発表での学習者の作品54名分の記録ビデオか. による旋律作り」「オスティナートに合わせて演. ら,使用された肇の奏法を,複数回視聴して細か. 奏するための旋律作り」「二重奏の楽曲創作」な. く調査し16項目に分類する.この16項目は,肇で. どがある.後者の創作例としては,「風景から受. 体験できる日本の音文化の特徴である,余韻の変. けた印象による創作」「描写的音楽の創作」「モノ. 化や微妙な音程の変化,嗅音効果などの様々な音. ドラマ合唱などのバックサウンドの創作」などが. 色の変化に基づいて,大きく3つに大別する.①. ある.本研究では,後者に焦点を当てた創作活動. 右手の奏法,②喋音効果の奏法,⑨左手の奏法,. を扱う.. である.スクイ爪は爪裏で掬って弾く時,裏連は. 151.
(5) 尾 藤 弥 生. 表1 《撃の学習内容≫ 回数. 撃の学習 内容. ロ 栗器の顔い方,基本βク秀彦の草野. 新しく学習する奏法. 調 査 内 容. 親指で弾く基本的. 「さくらさくら」の旋律および対旋律の演奏 奏法 2 基本βク秀彦の野揮および肇瀦符の秀彦の草野 弱い押し手, 弱い押し手を含む「さくらさくら」の旋律演奏 かき爪・割り爪, 撃独特の奏法を含む後奏の演奏. 合わせ爪,ヒキイ ロ. 3 音産と余爵の変化を味ゎう学習. ツキイロ,後押し. 「さくらさくら」の旋律の長く伸ばす音の音程 放し,ピチカート,. や余韻にアレンジを加えた楽曲および後奏の損 強い押し手,トレ 奏 4 拳の礫音効果を味わう草野. モロ,裏連、 スリ爪,輪連,散 習得状況・味わい状況(1回目、表2). 様々な嗅音効果の奏法を取り入れた前奏の演奏 し爪,引き連・流 し爪,スクイ爪,. 5, 「六段」の初段の部分演奏. 6. 「こきりこ」の二重奏(1コーラス分のみ). 「ざぐらざぐら」の粛奏の劇作■発表. 7. 習得状況・味わい状況(2回目、表2). 創作に使用した各奏法数の合計 (表2). 各奏法に対する印象(表3) 記述による学習記録(表4). 爪裏でグリッサンドする時,嗅音効果を伴うため,. 状況が高くなり,味わい状況も深まる」という状. ②に分類する.また,各奏法は一つの作品の巾で. 態と設定して,回答を求めたものである.. 2度利用していても,1回と数える.. 後者は,学習の最後に記述形式で行う.. 学習効果を把握するため,次の調査も行う.ひ. とつは,「表2」の「各奏法の習得状況および味 わい状況」の学習者による5段階自己評価の調査. もう一つは,「表3」の「各奏法に対する印象」. Ⅳ.調査結果 ここで,Ⅲ−3の調査方法に基づく調査結果を. と「表4」の「記述による学習記録」の調査であ. 記述する.「表2」は,「創作に利用された各奏法. る.. の使用回数」および「各奏法の習得状況の比較」「各 前者は,学習途中(各奏法を一通り学習したと. 奏法の味わい状況の比較」を,一覧表にまとめた. き)と学習の最後の2回行った.この5段階評価. ものである.「表3」は「各奏法に対する印象」,「表. の「1」は,「習得状況,味わい状況が大変低い」. 4」は「記述による学習記録」の原文のまとめで. という状態,そこから「5」に向かって,「習得. ある.. 152.
(6) 創作活動における撃活用の有効性に関する▲考察 表2 《創作学習結果≫ 集計対象者54名、A,Rは、5段階評価の平均 創作に利用した各奏法の使用回数の合計の%は、四捨五入による A習得状況. B味わい状況. 創作に利用した各奏. 奏 法 名. 法の使用回数の合計. 有意確率. 1回目 2回目. 1回目. 有意確率. 2回目. (両側). 右. 13. 24%. 2.92. 3.54. 手 の. 22. 40%. 3.03. 3.66. 43. 80%. 3.22. 3.88. 2.89. 3.53. 奏 法. グリッサンド. 9. 0.000. (両側). 2.94. 3.64. 0.001. 3.01. 3.47. 0.000. 0.000 0.000. 16%. トレモロ. 23. 43%. ピチカート. 38. 0.000. 70%. 3.24. 4.08. 喋. 9. 16%. 2.88. 3.57. 0.000. 3.33. 3.93. 0.000. 音 効. 4. 7%. 3.11. 3.63. 0.000. 3.42. 3.86. 0.000. 24. 44%. 3.06. 3.64. 0.000. 3.22. 3.92. 0.000. 23. 43%. 2.95. 3.44. 0.002. 2.91. 3.54. 16. 30%. 2.61. 3.26. 0.000. 3.08. 3.58. 5. 3%. 2.76. 3.44. 果. の 奏 法 左. 0.000. 0.004 0.000. 0.000. 手 の. 9. 16%. 3.16. 3.63. 0.023. 3.58. 3.94. 0.000. 奏. 6. 11%. 3.18. 3.63. 0.001. 3.31. 3.72. 0.000. 法. 4. 7%. 2.77. 3.25. 0.000. 2.98. 3.45. 0.000. 4. 7%. ユリイロ そ. 2%. 他. 2%. 表3 《学習記録1 各奏法に対する印象≫ かき爪・割り爪 ・強風ではないが,強くでも,心地よい風のイメージがある。・風だと思う。 流し爪・引き連. ・流れていく感じが,春の小川と桜をイメージできる。・綺麗に弾くと気持ちよく流れを感じられる。・優雅な感じ。 ・音がないときがとて,印象的。・物が通りすぎていくようなイメージ。・和楽器ならではの響きで,音を楽しむことができた。. ピチカート. ・柔らかい丸い首がした。・首が柔らかくてスキだと思った。・▲市好きな奏法。・静かで尊.首がとても綺麗だと思う。. スリ爪 輪連. ・風のイメージを味わえた。・長い風。・穏やかな風。・不思議な首。・水が流れるイメージ。・喉首効果が感じられた。・れ臼 のイメージ。 ・うまく当たりません。・音ではあるが,無機質的な音が逆にとてもよいと思った。・絃にうまく当たらない。・音程の無い打楽 器。・少しはかない感じ。・鋭いスピードのある風。 ・他の奏法よりも軽やかにできた。・風が柔らかい感じ。・風が吹き抜けるイメージ。・うまく当たるので,なかなか良かったで. 散し爪. す。・上手くJll来た方。川lに使うと楽しいと感じた。・▲番好きな奏法。. ,はかない感じ。瞬間的な風の感じ。・擦 ・よく聴くようになった。・音程のある打楽器。・味わえた。・曝首の中に音程があり る奏法の中で▲番好き。・初めてやったが,シュッと鳴ったので楽しかった。・ふっと吹いた風のような感じ。. スクイ爪. ・静かに吹いている風のイメージ。・水のイメージというより,花びらが舞うイメージをもっていた。 ・快音効果をもっと味わいたい。・軽やかな音を意識してJll来るようになった・料亭の他のような感じ。・細やかな音。. ・真の効果音も感じ収れるようにしたい。・音はまだ汚いが,イメージは沸く。・音が華やかに広がっていく。・風に乗って花び 裏連. らがふわふわ流れてゆく。・花びらがゆっくり落ちるイメージ。・席好きな奏法だが,席できない。・面白くて好き。・Jll 来るようになったらかっこよい。・この奏法も好きなので,表情をつけていきたい。. ・ツキイロよりも長く余韻を味わえるので良いと思った。・この音色は好きです。 後押し. ツキイロ ヒキイロ. ・音色の変化が西洋甘楽にないので面白い。・曖昧な音程が口本的。・切ない感じの余部。 ・後押しの余韻はとても口本的だと思った。・鑑賞用のテープなど聴いても楽しさが分かるようになった。 ・音色の変化が西洋音楽にないので面白い。・鋭い音に聴こえなかった。・アクセントを強調したい。 ・これも結構得意な奏法です。・鑑賞用のテープなど聴いても楽しさがわかるようになった。・素早く過ぎる花びらのイメージ。 ・音色の変化が西洋音楽にないので面白い。・鑑賞用のテープなど聴いても楽しさが分かるようになった。. 153.
(7) 尾 藤 弥 生. 表4 《学習記録2 記述による学習記録≫ さくらの前奏創作の感想. 学習全般の感想. 他の人の演奏に対する感想. ・イメージを音で表現する難しさを感じました。で ・「ああ、こういうふうにな ・肇の表現力の叶能件を知ることがJll来ました。 も,このようなことをすることで,その川lを本当 のもいいなあ」と思った。 ・五首音階の心地よさを味わうことができた。 の意味で味わうことができるのかなとも思いまし ・すごく色々な奏法を使って ・余韻と問の収り方を実感できた。 た。. いで情景が思い浮かぶよう ・創作すること,肇を▲つの楽器として楽しむ方法が見えてきて,. ・最初絶対できないと思ったけど,やってみると, な気がしました。 自分でも楽しんでとりくむことができた。丁どもたちに音づ 今までの奏法を生かしてイメージ表現するのは、 ・皆の考えた前奏は、とても くりの▲つの方法として収り組ませていくと,楽しいものだ 楽しいと思った。 趣があった。 と思う。機会があればやってみたい。 ・わりとがんばってつくったと思ったのに,間違え ・晋作川lのセンスがあると ・小学校でも創作のところで肇を使うと面白いと思う。 てまだ足りないと思った。撃のよさを実感するこ 思った。. ・山山な発想で創作するのに,撃という楽器は使えると思った「. ・皆,才能の塊で素晴らし ・創作は丁どもにも是非挑戦させたい。技術的なことより,よ り丁どもたちが音を楽しめると思う るほどJll来ないので,やっぱり練習がまだ足りな ・色々な前奏があってすごく ・肇の音階そのものが音楽的で創作の授業に収り上げ易く,丁 とができた。特に,風のような音が好き。. ・色々な奏法があるけれど,それを前奏で収り入れ かった。. いと思った。 面白かった。 どももとっつき易いのではないかと感じた。 ・イメージしたのをどうゆう甘で表現すればいいの ただ甘を並べるだけでもそれ ・創作も丁どもたちは楽しんでJll来るし思います。ちょっとし らしく聴こえるのがすごい た例を挙げるだけでJll来そうです。 か難しいと思いました。 ・さくらの前奏のイメージは何となく沸いていて、 と思った。 ・二音二音と増やしていくことで,楽しみながら川lが自分なり. 絶対ピチカートを使いたいです。さくらさくらの ・様々あり強弱の付け方など につくれるのがわかった。西洋楽器と違いどこを弾いても川l 編川lで弾いて好きだったから、絶対自分の創作に 十人十色だと感じました。 のように聞こえるのが面白いところだ。 使いたいと思った。 ・Kさんの問の収り方がとっ ・作りやすい音階であり,耳に心地よい感じを受けた。自在に ・色々な奏法をためしてみて,楽しく収り組めまし てもよかったと思う。 音楽になっていくことが面白い。 た。快音や問の感覚を体験するのにとてもよい超 ・みんなそれぞれ違うイメー ・各自が白山に捜索したものが違和感なくつながり曲となって ジを持ってみんないい作品 いくものが、今までに無い感覚で楽しかった。 材。 ・風をイメージして作るというのがとても楽しかっ ができたと思う。結構反復 ・こんなに簡単に曲として成立するのならば,丁どもたちも喜 た。▲つのテーマから甘を創るのは難しいけれど, が使われていた。. 音を探していく楽しみを知りました。. んで収り組めそうである。. ・イメージどおり聴こえたり ・色々な音階を用いることで川lの雰囲気が変わる。2∼4小節. ・肇の特徴を生かせる創作なので,楽しく収り組め 工夫しているなと感じた。 の短い川lをつくることで,創作への抵抗感が和らぐ。その旋 た。 ・それぞれ違ったさくらのイ 律をつなげると川lらしく聴けて,生徒も満足感が増す。 ・イメージ創作においても,無理なく楽しくできる メージがあって,個件あふ ・創作活動は,多様な表現効果を楽しめる。使う音が限定され 楽器であると感じた。 れる作品が多かった。Ⅰさ ると創作し易い。 ・自分は緊張のせいであせってしまい,もう少し問 んの演奏が▲番良かった。 ・何となく今までとは違った間の感じ方がJll来るようになった、 をとると良かった。 ・それぞれ個件が廿ていて同 ・肇を弾く難しさよりも奏法を考えながら前奏を考えるという ・自分なりに前奏を考えるのが楽しかった。 じさくらのイメージでもこ 難しさを知りました。 ・自分で前奏を考えてみるのはすごく面白かった。 んなに違うのだと,聴いて ・自分のイメージを音とすることができ,これを丁どもたちに いてすごく楽しめた。 弾き方の勉強にもなった。 ・自分のイメージを甘として表現できたのでよかっ た。. 「春ってどんな感じかな」と聞いで一人一人が少しずつイメー ジを甘にし.それをつなげて前奏にしても.いいのができる のではと思った。 ・創作を通して、手の形や表情や情景を考えて弾くことがJll来た、. Ⅴ.調査結果の考察 ここでは,「表2」「表3」」表4」に基づいて, 撃による創作の効果について考察する.. が22回と多く利用されている.また,嗅音効果の 奏法では,散し爪の24回が最多で,スクイ爪が23 回,裏連が16回と多く利用されている.. さらに「表2」より,1人が使用した奏法の数 の平均を算出すると,ひとり4.7種類の奏法を取. 1.筆による創作の全般的学習効果の考察. まず,「表2」の「創作に利用された各奏法の. り入れていることが分かる.これらのことから, 学習者が自分の表現したい内容を表現する為に,. 使用回数」の数値から考察すると,右手の奏法と. 多くの奏法を利用していること,同じ奏法を多く. 嗅音効果の奏法の利用率が高いことが分かる.特. の学習者が利用していることが分かる.撃の様々. に,右手の奏法の流し爪・引き連は,43回と最多. な奏法は,創作活動に有効に活用できると言える.. で,ピチカートが38回,トレモロが23回,合せ爪. 154. このような結果に至った理由として,前述(Ⅲ.
(8) 創作活動における撃活用の有効性に関する▲考察. の2)の指導の時留意した3点が影響している.. うになった.」などから,一定のテンポに乗せた. そのため,「桜の花びらがバッと風で散る感じを. 創作では体験できないことが,自由なテンポで創. 表現した」などの標題的前奏が多かった.例えば,. 作することにより,体験できることが分かる.つ. 風に桜の花びらが華やかに舞い遊ぶ表現や,風の. まり,音による自己表現の手段として,有効であ. 表現として,流し爪・引き連,裏連,輪連,スリ. ることが分かる.. 爪,散し爪が多く使われていた.また,桜の花び. ここで,本実践全体と音楽の指導内容の5つの. らが一つ,ひとつ,ひらひらと舞う表現として,. 側面がどのように結びついて学習されたかを明ら. スクイ爪,ピチカートが多く使われていた.. かにすると,はじめの基本的奏法および様々な奏. 創作している時学習者は,既成の楽曲を演奏す. 法の「さくらさくら」の学習で,技能的側面,文. る時と違い,自分の表現し易いテンポで,自分の. 化的側面(日本の音の特性の理解)の定着を図り,. イメージに合わせて,自分の納得の行くペースで. さらに,各奏法の特性の理解という点が構造的側. 学習でき,自分の選んだ音の演奏を楽しみながら. 面にあたり,次の創作活動で学習者が表現したい. 創作できていたと言える.さらに,音楽の諸要素. 内容を持ち,それを表現しようとすることで,感. の強弱やテンポの変化を工夫した,表情豊かな創. 性的側面と情意的側面の成長を図り,創作活動を. 作表現を行った学習者も多かった.これらの結果. 行うことにより技能的・構造的側面と感性的・情. を学習記録の原文より検討すると,「今までの奏. 意的側面が相互に影響しあい学習が進行していっ. 法を生かしてイメージ表現することは,楽しいと. た.創作することで技能の向上や音楽の諸要素の. 思った.撃の良さを実感することができた.特に,. 理解が深められ,それにより創作作品も向上して. 風の音が好き.色々な奏法を試してみて,楽しく. ゆくという良い循環作用が展開され学習が行われ. 取り組めた.弾き方の勉強になった.創作を通し. たことが分かる.この循環作用は,既成の楽曲演. て,手の形や表情や情景を考えて弾くことができ. 奏だけでなく,創作することで一層高められたと. た.」などから,創作するため何回も弾いて試す. 思われる.. という学習を通して,各奏法の音色の良さが味わ え,技術としても身についていたことが分かる.. 次に,「各奏法の習得状況」および「各奏法の. 2.筆による創作の鑑賞結果からの考察. 学習者はお互いの作品を聴くことで,多様な撃. 音色の味わい状況」の学習当初と学習の最後の2. の奏法を意識できるとともに,それらの多様な表. 回の調査結果による対応するサンプルの差の検定. 現の可能性に気づくことができた.これらの結果. を行った結果から考察すると,有意水準5% 仏. を学習記録の原文より検討すると,「すごく色々. =0.05)以下で有意差のあるものがほほ全ての項. な奏法を使っていで情景が思い浮かぶような気が. 目であった.有意差 仏=0.05以下)の認められ. した.とても趣があった.ああ,こういうふうな. なかった項目は,習得状況の「後押し」の「弾い. のもいいなあと思った.みんな才能の塊で素晴ら. た後押さえたか」の項目のみであった.奏法の音. しかった.みんな作曲センスがあると思った.強. 色の味わい状況については,全ての項目で有意差. 弱の付け方なども十人十色だと感じた.それぞれ. が認められた.このことからも,本学習により「各. 個性が出ていて同じさくらのイメージでもこんな. 奏法の技術」および「音色の良さが味わえていた」. に違うのだと,聴いていてすごく楽しめた.肇一. ことが分かる.. つで様々な音を表現することができるということ. 問の取り方に関して,学習者の記録の原文より. に感動を覚えた.」などから,お互いの作品の個. 検討すると,「嗅音や問の感覚を体験するのにと. 性と多様性を感じ取ると共に,お互いの作品の表. てもよい教材.もう少し間をとるとよかった.な. 現しようとしているものを,奏法の微妙な違いか. んとなく今までとは違った問の感じ方ができるよ. ら感じ取っていたことが分かる.さらに,挙が創. 155.
(9) 尾 藤 弥 生. 作に効果的な楽器であることを体験を通して感じ. さらに,初心者でも少し練習すればすぐ活用でき. 取っていたことが分かる.この結果を学習記録の. る奏法であるため,多く利用されたと考えられる.. 原文より検討すると,「自由な発想で創作するの. まず,この奏法の嗜好性について,学習記録の原. に,撃という楽器は使えると思った.′ト学生でも. 文より検討すると,「ピチカートはさくらさくら. 創作のところで撃を使うと面白い.撃の音階その. の編曲で弾いて好きだったから,絶対自分の創作. ものが音楽的で創作の授業にとりあげ易く,子ど. に使いたいと思った.一番好きな奏法はピチカー. も達もとっつき易いのではないかと感じた.自在. トです.静かで単音がとても椅麗だと思う.柔ら. に音楽になっていくことが面白い.色々な音階を. かな丸い音がした.音が柔らかくて好きだと思っ. 用いることで曲の雰囲気が変わる.2∼4小節の. た.」などから,親指の爪で弾く基本的奏法と全. 短い曲を作ることで,創作への抵抗感が和らぐ.. く異なる柔らかな音色が好まれていたことが分か. さらに,その旋律をつなげると曲らしくなり,生. る.さらに,学習者の奏法習得状況の調査結果の. 徒も満足感が増す.」などから,標題的創作だけ. 平均が4.08と全ての奏法の中で一番高い習得状況. でなく,旋律創作にも有効な楽器であることを感. であった.これらのことから,ピチカートが好ま. じ取っていることが分かる.. れ多く利用されたことが分かる. 次に使用回数の多い奏法がトレモロの23回であ. 3.右手の奏法の有効性についての考察. 一番多く使用された奏法は,流し爪・引き連の. る.この奏法は,華やかさを出すことのできる奏. 法で,学習者がさくらの華やかさを表現したいと. 43回であり,これと人変類似した奏法にグリッサ. き多く使用していた.また,習得状況の「裏連」. ンドがあり,その使用回数9回も加えると,52回. の「トレモロは人差し指の爪を絃に直角に当てた. となり,96%の学習者がこれらの奏法を使用して. か」の最終習得状況の平均が3.77であることから,. いることが分かる.ある学習者はこの奏法のみで. この奏法の弾き方を理解していたことが明らかで. 前奏を創作したが,右手だけでなく左手でも同じ. ある.また,この奏法は弾き方を覚えれば,トレ. 奏法を演奏し,自らの演奏を味わい楽しみながら,. モロの粒が完璧に揃わなくても楽しみながら演奏. 音量の変化ヤアツチエレランドなどのテンポの変. でき,自分のイメージを表現できる奏法であるこ. 化なども豊かにつけて,作品としてまとまりのあ. とが分かる.. る表現を作りだしていた.これらの結果は,この. 合せ爪は22回利用されている.この合せ爪には,. 奏法が初心者でもすぐ習得でき,弾き易く挙らし. オクターブの合せ爪だけでなく,3度や6度の和. さを味わえる奏法であることを示している.この. 音効果の合せ爪も含まれている.オクターブの合. ことを学習記録の原文より検討すると,「流し爪. せ爪は,その音程を強調したり,曲の終わりらし. は,和楽器ならではの響きで,音を楽しむことが. さを出すために利用され,3度や6度の合せ爪は,. できた.流れていく感じが,春の小川と桜をイメー. 和音効果や二つの音を一度に出すことで,単音と. ジできた.椅麗に弾くと気持ちよく流れを感じら. 異なる音の華やかさが表現できるとして多く利用. れる.音が無い時がとても印象的.優雅な感じ.. されていた.. 物が通りすぎていくようなイメージ.」などから,. かき爪・割り爪は,13回利用されている.この. この音の特徴および,風や水の流れる感じの音で. 奏法は,他の奏法とは違った風の表現の一つとし. あることも感じとり,音色を味わいながら利用し. て利用されている.このことを学習記録の原文よ. ていたことが分かる.. り検討すると,「強風ではないが,強く,でも心. 次に使用回数の多い奏法がピチカートの38回で. 地よい風のイメージがある.」などから,風の表. ある.この奏法は爪で弾く奏法に対して,音色や. 現の一つとして利用されていたことが分かる.こ. 音の味わいに大きな変化がある奏法であるため,. の奏法の習得状況は3.54と高くないが利用を試み. 156.
(10) 創作活動における撃活用の有効性に関する▲考察. たのは,この音に対する味わい状況の平均3.64で. 化が味わえ,喋音効果も味わえるため多く利用さ. あることからも分かる通り,表現したいイメージ. れた.この結果を学習記録の原文より検討すると,. にあうという感性的側面が優先したためと考えら れる.. 「静かに吹いている風のイメージ.花びらが舞う イメージを持っていた.細やかな音.」などから,. 爪の表と真の音色の違いが花びらや風の表現に適 4.嗅音効果の奏法の有効性についての考察 喋音効果の奏法では,散し爪が24回と一番多く. していると感じ取られ利用されたことが分かる.. 裏連は,使用回数が16回である.この奏法の習. 利用されている.この奏法は初心者にとって習得. 得状況の平均は,3.26と低い数値であり,味わい. し易く弾き易いわりに,創作者の期待する効果が. 状況の平均も3.58と低めの数値である.しかし,. 得られる奏法であるため,また,嗅音効果とその. 完璧に演奏できなくても,他の奏法とは違う表現. 絃の音程の両方が味わえるため,この奏法を好む. 効果があるため,奏法は未完成でも是非取り入れ. 学習者が多かったと思われる.この奏法は古典肇. たいと考え利用された.この理由を学習記録の原. 曲を含む撃曲の中ではあまり使用されていない. 文より検討すると,「音が華やかに広がっていく.. が,奏法の種類としては紹介されているものであ. 一番好きな奏法だが一番できない.面白くて好き.. る17). 出来るようになったらかっこよい.この奏法も好. この奏法の習得状況の平均は,3.64と高い数値. きなので表情をつけていきたい.」などから,撃. であり,味わい状況の平均も3.92と後押し,スリ. 独特の奏法としての良さを感じ取って取り入れて. 爪についで高い数値を示している.この結果を学. いたことが分かる.また,「風に乗って花びらが. 習記録の原文より検討すると,「他の奏法よりも. ふわふわ流れていく.花びらがゆっくり落ちるイ. 軽やかにできた.曲に使うと楽しいと感じた.一. メージ.」などから,創作者の表現したい内容に. 番好きな奏法.擦る奏法の中で一番好き.うまく. 適していたため,多く利用されたことが分かる.. あたるのでなかなかよかった.」などから,演奏. スリ爪と輪連は,使用回数がスリ爪9回と輪連. し易く好まれる奏法であることが分かる.次に,. 4回である.習得状況の平均は,スリ爪が3.57,. 「風が柔らかい感じ.風が吹き抜ける感じ.ふっ. 輪連が3.63,と全体の中で中程度の数値であり,. と吹いた風のような感じ.瞬間的な風の感じ.」. 味わい状況の平均は,スリ爪が3,93,輪連が3,86,. などから,他の奏法とは違う風のイメージを感じ. と高い数値である.これら二つの奏法は,なぜ習. 取り利用していたことが分かる.また,「嗅音の. 得でき,十分味わえていたにも関わらず使用回数. 中に音程があり,はかない感じ.初めてやったが. が少なかったのかを学習記録の原文より検討する. シュッと鳴ったので楽しかった.音程のある打楽. と,「長い風.不思議な音.水の流れるイメージ.. 器.」などから,嗅音効果も味わって利用してい. 少しはかない感じ.鋭いスピードのある風.石臼. ることが分かる.この奏法は,演奏し易く好まれ. のイメージ.」などから,さくらの前奏として学. る奏法,風のイメージを感じ取れる奏法,嗅音効. 習者が表現したい内容と適合しなかったためであ. 果も味わえる奏法,という点で大変効果的なこと. ることが分かる.この二つの奏法は,古典撃曲で. が明らかになった.. も風の表現として利用されている18)が,学習者. スクイ爪は使用回数が23担Jと次に多く利用され ている.この奏法の習得状況の平均は,3.44と低. は,それとは違った表情の風の表現を求めたと考 えられる.. めの数値であり,味わい状況の平均も3.47と低い 数値である.しかし,この奏法が多く利用されて. 5.左手の奏法の有効性についての考察. いるのは,完壁に奏法が習得できていなくても,. この奏法は全般的に使用回数が少なかった.一. 同じ絃を爪の表と裏で弾くことにより,音色の変. 番多い後押しで9回,ツキイロは6回,ユリイロ,. 157.
(11) 尾 藤 弥 生. ヒキイロは4回である.. ② 標題的創作活動(今回の実践では風の表現や 花びらの揺れるような動きの表現が多用され. 後押しは奏法の習得状況の平均が3.63,と中程. 度の数値であり,味わい状況の平均は一番高い数. ていた)では,右手の奏法や嗅音効果の奏法. 値の3,94,である.なぜ習得でき味わえていたに. が創作表現に有効であることが明らかになっ. も関わらず,使用されなかったのかを学習記録の. た.. 原文より検討すると,「ツキイロよりも長く余韻. 特に右手の奏法では,流し爪・引き連,グリッ. を味わえるので良い.この音色好きです.後押し. サンド,ピチカートが効果的であるという知. の余韻はとても日本的.暖味な音程が日本的.切. 見を得た.また,嗅音効果の奏法では,散し. ない感じの余韻.」などから,独特な余韻を味わっ. 爪が効果的であるという知見も得た.. ていることが分かる.しかし,多くの学習者が創. ⑨ 撃の楽曲演奏や奏法の習得から撃による創作. 作で表現しようとした内容(桜の花びらの揺れる. 活動に至るまでの学習過程で,音楽の指導内. ような動きの表現や風の表現など)に関する感じ. 容の5つの側面(構造的,感性的,技術的,. 方を述べていないことから,表現したい内容と適. 文化的,情意的)が,相互に影響しあい,ス. 合しにくかったものと考えられる.. パイラルに学習が深まっていったことが明ら. ツキイロは,奏法の習得状況の平均が3.63,味. かになった.. わい状況の平均は3.72,とどちらも中程度の数値. 今後は,左手の奏法の有効な活用が可能な創作. である.なぜ習得でき味わえていたにも関わらず,. 課題および標題創作以外の創作方法など,肇活用. 使用されなかったのかを学習記録の原文より検討. の幅広い可能性を追求するとともに,それらの実. すると,「鋭い音.アクセントを強調したい.素. 践に基づく効果の考察も深めたいと考えている.. 早く過ぎる花びらのイメージ.」などから,表現 したいイメージに適合しなかったためと考えられ. る.また,ヒキイロ,ユリイロについても同様の ことが言える.. 注 1)北海道・道南地域(函館,渡島,桧山)の地域. 2)文部省・教育課程審議会. 答巾(平成10年12月). 3)富川英史(1975)『日本音楽の性格j 音楽之友朴. Ⅵ.まとめと今後の課題. 4)広辞苑によると,「非楽音に同じ.騒音に同じ.」また, 机上漢和辞典(誠文堂新光社1971)では,「ホワイト. 本研究では,教育課程改善の基本方針で求めら れている「個性を生かし,自ら自己表現する能力 の育成」「日本の伝統文化の体験的理解」の両方 の内容を一度に学習できる教材・素材として,挙 が有効であり,撃独特の様々な奏法が学校教育に おける創作活動に有効であるという考えに基づい て,指導実践計画案を作成し実施した.そして,. その結果として生み出された作品を考察し,肇の. ノイズのように,複数の振動数を含む音で,雑音では なく音楽に味わいを添える音のこと.」古川の『日本音 楽の性格』の中で「咲」の字が使用されているので, 本論文ではこれを使用することとした. 5)茂手木潔子(1995)「表現素材としての雅楽指導の一 考察」『音楽教育学 第244号』日本音楽教育学会. PP.2938. 6)尾藤弥生(1997)「五線譜が苦手でもできるKOTOに よる創作盲古勅」『教育音楽・中学高校版12月号』. pp.6263,谷口真理子(2001)「感性を取り戻し,人間. 各奏法が創作活動に有効であることが,次の3点. としてのあり方を考えていくきっかけにも」『教育音. で明らかになった.. 楽・小学校版. ① 撃による創作活動では,多様な表現が実現で き,一人一人の個性的な表現が可能であり,. 初心者でも創作しやすく創作活動に効果的で あることが明らかになった.. 158. 9月号巳pp.4446,音楽之友社. 7)尾藤弥生(2001)「つくる活動から学ぶ 和楽器を用 いる一挙による音楽づくりから−」『日本音楽を学校で 数えるということご 音楽之友社 PP.108121 8)山内雅子(2001)「箪を用いた創作一日本昔話の音楽 劇一」『日本音楽の授業「、音楽之友社 PP.5467.
(12) 創作活動における撃活用の有効性に関する▲考察 9)清水宏美(2003)「和楽器を使って創作を楽しもう」『和. 楽器・日本の音楽を楽しもう!ご音楽之友社 pp.5359 10)鈴木喜美子(2003)「R本の音や音楽に親しもう∼和 楽器を使った創作活動を通して∼」PP.8691,尾藤弥 生(2003)「筆を利用した創作指導の事例」PP.134139, 『“和楽器”活用の音楽教育 第1集』,尾藤弥生(2004). 「筆を活用した標題的創作指導の事例」PP.8893, 『“和楽器”活用の音楽教育 第2集』邦楽教育振興会 11)坪能由紀子氏のワークショップによるさらしのパター. ンに合わせた旋律創作およびバターンミュージックに よる創作 12)伊野義博(1995)「音楽科教育における日本音楽の学 習法に関する一考察」『音楽教育学 第252号』日本音 楽教育学会 PP.113. 13)尾藤弥生(2003)「教員養成における和楽器“筆”の 奏法習得に関する研究」『北海道教育人学紀要教育科学. 編 第54巻 第1弓』PP.91104 14)西国芳信(1999)「新しい音楽科の構造」『中学校新 教育課程の解説 音楽ご(1999) 峯岸創編著 第一法. 規 PP.1634 15)島崎篤子(2004)「創作指導」『日本音楽教育事典ご. 音楽之友社 PP.533534 16)『中学校学習指導要領 解説一首楽編一』(1999). 文部省 17)安藤政輝『生田流筆曲』のP154∼155,および平成12. 年庭木学筆・集中授業で福永千恵子氏により紹介され た奏法. 18)『秋風の曲』光崎検校作曲 など.. (函館校 助教授). 159.
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