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伝え合う力を高める小学校国語科指導法の研究 : 大西道雄の作文指導の理論・実践を中心として

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(1)伝え合うカを高める小学校国語科指導法の研究  一大西道雄の作文指導の理論・実践を中心として一. 教科・領域教育専攻 言語系(国語)コース. 平川徳幸 1 研究の目的.  第三節 コミュニケーション能力を育成する.  本研究は、今次学習指導要領改訂により国語.      作文指導の授業研究. 科の総括目標に付け加えられた「伝え合うカ」. 第三章 作文の系統的指導の構想一コミュニケ. を高める作文指導における課題を明らかにし、.     ーション活動の段階一. 作文教育に多くの提言をしている大西道雄の作.  第一節 段階を踏まえた系統的指導目標(試. 文指導理論・実践の考察を中心として、文字言.      案). 語による双方向的な伝達の内実を考え、その指.  第二節 段階を踏まえた系統的指導計画(試. 導内容と方法を小学校における指導を通して研.      案). 究することを碍的としている。.  第三節 系統的な胃標・活動にもとつく授業      展開. 2 論文の構成. 終 章  研究の総括と課題.  本論文は、次のように構成されている。.  第一節 研究の総括. 序 章 研究の目的と方法.  第二節 今後の課題.  第一飾 研究の目的  第二節 研究の方法. 3 論文の概要. 第一章 作文指導における双方向的伝達の可能.  第一章では、先行研究について考察を行い、.     性一伝え合う力をめざして一. 次のようなことが明らかになった。.  第一節 作文指導における識ミュニケーショ.  ・倉沢栄吉や西尾実によって提唱されたコ.      ン理論.   ミュニケーション機能に着目した作文指.  第二節 大西道雄のコミュニケーション作文.   導は、一九五〇年代から主体が月々生活.      指導論.   する社会において、言語によるコミェニ.  第三節 文字言語による双方向的伝達の可龍.   ケーションができるようにすることを志.      性.   向し続けてきた。. 第二章 作文指導の臨床的実践的研究一コミュ.  ・大西道雄は、これらのコミュニケーショ.     ニヶーション能力の育成一.   ン機能に着目した作文指導の成果を踏ま.  第一節 作文意識に関する調査の結果と考察.   え、双方向的に、しかも分かり合うこど.  第二節 作文技能に関する実態調査の結果と.   まで含んだ言語によるコミュニケーショ.      考察.   ン能力を育成するためのfコミュニケー.

(2)    ション作文指導論」を提唱している。.    キーワードを提示した手引きを活用させ.  ・ 「コミュニケーション作文指導論」は、.    る。.    「場の理論」f短作文指導理論」に内在し.   オ 双方向的なコミュニケーション活動と.   ており、発展的に展開する中で状況性が.     なるように、読み手である保護者に必.   付与され、状況的な場の中で、書く場の.     ず読んでもらう。.   条件が発見、認識され、目的的な文字言.  これは同時に「コミュニケーション作文指導.   語によるコミュニケーション活動が行わ. 論」の四つの活動過程が、コミュニケーション.   れることが規定された。. 能力育成に有効に機能することを証明している。.  第二章の意識調査では、どのような状況的な.  第三章では、先行研究の考察及び意識調査、. 場を設定すれば、児童がその状況性を認識し、. 実態調査、授業実践の結果をもとに、各学年の. 書く場の条件を発見できるのかということにつ. 段階を踏まえた系統的指導目標・指導計画の試. ながる資料を得ることができた。一つは、発達. 案を作成し、それにもとつく具体的な授業展開. 段階に即した状況性を生み出すことであり、も. の方法についてまとめた。これらは、試案の域. う一つは、文章を読むことによって状況性を認. を出ないが、小学校国語科における文字言語に. 識させることである。. よるコミュニケーション能力の育成の例となる.  実態調査では、状況的な場を設定するための、. と考える。. 低・中・高学年の発達段階による認識の差異が 明らかになった。また、状況的な揚の設定を行. 4 研究の成果と課題. った方が、相手意識、目的意識が高くなり、四.  本研究によって、「伝え合う力」を高める作文. 年生以上では、完成された文章の評定も高くな. 指導の理論と方法の一端を明らかにすることが. ることが明らかになった。. できた。中でも、大西道雄の「コミュニケーシ.  授業研究では、「コミュニケーション作文指導. ョン作文指導論」にもとつく指導法の具体化を. 論」の四つの活動過程「活動の場の設定」f内容. 行い、その有効性を検証することができた。. づくりの過程」「文章化の過程」「活用(処理).  今後取り組むべきもっとも大きな課題は、授. の過程」に対応させて設定した次に示すア∼オ. 業実践により、児童の反応を明らかにし、試案. の五つの手立ての有効性を検証することができ. の域を出ない系統的な層標、計画、授業展開を. た。. より確かなものにしていくことである。.   ア 状況性の発見、認識のために文章(保.  また、大西道雄の創構(インペンション)指.    護者からの手紙)を提示する。. 導について、さらに実践を通して研究を深める.   イ 書く場の条件を発見、意識化するため. ことも大きな課題である。.    に、誰に、何を伝えて、どうしてもらい    たいのヵ、を記述させる。. 主任指導教官 菅原 稔.   ウ 内容を生み出し、深化させるために、. 指導教宮   菅原 稔.    観点を提示する。.   工 内容を線条化し文章化させるために、.

(3) 二〇〇一︵平成=二︶年度 兵庫教育大学大学院学位論文. 伝え合う力を高める小学校国語科指導法の研究   −大西道雄の作文指導の理論・実践を中心として一. 教科・領域教育専攻. 言語系︵国語︶コース. MOO一二七A.     平川 徳幸.

(4) はじめに.  私が大西道雄先生と出会ったのは、 一九八一︵昭和五六︶年の四月、福岡教育大学在学中のことであった。こ. の出会いは、作文教育との出会いでもあった。先生の熱心なご指導のもと、作文教育における評価について、卒. 業論文執筆に取り組んだ。これが、私の研究の出発点であり、その後も、二〇年間、作文教育を中心として国語. 科指導の研究に取り組むことになった。この間、小学校教育現場で実践をするようになってからも、先生から数 多くのこ助書をいただいている。.  大西道雄先生が提唱されてきた﹁場の理論にもとつく作文指導﹂﹁短作文指導﹂﹁創構指導﹂﹁作文指導のシス. テム化﹂などは、常に私の実践における理論として活用させてもらってきた。先生の理論にもとつく私の拙い実. 践であるが、作文の授業で、子どもたちが、作文を書くことの楽しさを知り、生き生きと作文を書く活動に取り 組むように成長する姿を、員の前で見ることが何度もできた。.  今次学習指導要領改訂により、国語科の目標に付け加えられた﹁伝え合うカ﹂についても、大西道雄先生は、. 数多く提言されている。﹃コミュニケーション作文の技術と指導﹄には、文字言語によるコミュニケーション能力. 育成のための理論と実践方法が、まとめられている。この﹁コミュニケーション作文指導論﹂について、生み出. された理論的な背景や、実践に向けての考察を行い、研究を深めていくことが、今後の作文の授業を創造してい. くために、重要だと考えた。そしてそれは、自分の実践をよりよいものへと改善し、子どもたちの成長に役立つ ことになると信じる。.  子どもたちを取り巻く社会が大きく変化する中、子どもたちの価値観、生活スタイルも大きく変わってきてい. る。それに対応して国語科教育も変わっていかなければならない。そのために、この研究を通してまず自分が変 わっていきたいと思う。.

(5) まえがき. 貝 次. 第一節 研究の目的. 序章研究の目的と方法. 第二節 研究の方法. 1. 作文指導におけるコミュニケーション理論. 第一章 作文指導における双方向的伝達の可能性一伝え合うカをめざして一. 4. 大西道雄のコミュニケーション作文指導論. 文字言語による双方向的伝達の可能性. 第二章 作文指導の臨床的実践的研究ーコミュニケーション能力の育成i 作文意識に関する調査の結果と考察 作文技能に関する実態調査の結果と考察 コミュニケーション能力を育成する作文指導の授業研究. 171◎ 5. 423125. 第第第 節節節 第第第 節節節.

(6) 第三章 作文の系統的指導の構想ーコミュニケ;ション活動の段階1 各学年の段階を踏まえた系統的指導目標︵試案︶. 各学年の段階を踏まえた系統的指導計画︵試案︶. 系統的な目標・活動にもとつく授業展開. 終 章  研究の総括と課題. 第一節研究の総括 第二 節 今 後 の 課 題 おわりに. ︽資料編︾. * 引用資料中の傍線・︵中略︶は、特に断りのない限り引用者による。. * 引用資難中の仮名遣いは、原文通りとした。. 716358. 8077. 第第第 節節節.

(7) 序章 研究の目的と方法 第一飾 研究の目的.  現在、国語科教育において、﹁伝え合う力﹂がキーワードとして多く用いられている。その根拠として、今次. 学習指導要領改訂︵平成一〇年度版︶において、国語科の目標に﹁伝え合う力を高める﹂ことが、付け加えられ たことを示すことができる。.  ﹃小学校学習指導要領解説国語編﹄は、﹁伝え合う力﹂について、次のように述べている。.     ﹁伝え合う力﹂とは、人間と人聞の関係の中で、互いの立場や考えを尊重しながら、言葉を通して適切.    に表現したり、理解したりするカでもある。これからの情報化・国際化の社会で生きて働く国語の力であ.    り、人間形成に資する国語科の重要な内容となるものである。些.  ここに、﹁伝え合う力﹂は、単に理解する、表現するカではなく、理解したり表現したりする双方向的な力で. あり、互いの立場や考えを尊重するという人間理解や、状況認識の力をも含むものであることが分かる。さらに. は、目的や意図、相手を意識した場の中で育て、日常生活の中で生きて働く力にまで高めていくことを示唆して. いる。また﹁伝え合うカ﹂には、その基盤として、﹁適切に表現する能力﹂﹁正確に理解する能力﹂が位置づけら れていることを忘れてはならない。.  現在、小学校においては、音声言語によるいわゆる﹁話し合い﹂活動を対象とした研究が多く行われ報告され. ているが、文字言語による﹁伝え合う力﹂の育成については、研究がやや停滞している傾向が見られる。さらに、. 活動を重視するあまり、﹁適切に表現する能力﹂﹁正確に理解する能力﹂が見落とされた指導が行われているので. 1.

(8) はないかという疑問がある。﹁伝え合い﹂という活動に取り組ませるだけでは、﹁伝え合うカ﹂を高めることにな. らないのではないだろうか。適切な表現がなされるためには、まず表現すべき内容を持たねばならない。その上. で、内容を表現するために最適な言語形式が選択され、言語化されなければならないという基本的なことに立ち 返り、指導を考える必要があるのではないかと考える。.  ﹁書くこと﹂には音声言語にはない記録・保存の機能がある。そのため音声言語を主とする﹁話し合い﹂にお. いても、発表原稿やメモなどの文字言語を使用することが多い。また、ファックス、電子メールといった今日的. なコミュニケーションツールにおいても文字言語が使用されている。したがって、﹁伝え合うカ﹂の育成は、文字. 言語、音声言語双方において、基本を押さえた上で、意図的、系統的に行わなければならない。.  国語科教育、あるいは一般にも﹁伝え合う力﹂は、これまで使用された言葉ではなく、新しく登場した言葉で. ある。しかしながら作文教育において、その考え方はすでに一九五〇年代から導入され、研究がなされてきてい. る。西尾実、倉沢栄吉などの先行研究には、﹁コミュニケーション﹂理論にもとつく作文指導がすでに提唱されて. いる。これらが、高度情報化、国際化、少子高齢化、さらには、人間関係が希薄化している今日の現代社会から. の要請において、どのように意義づけられ展開しているのかの分析、検討を行う必要がある。そこで、研究内容 は文字言語による伝え合い、作文指導を中心とすることにした。.  ﹁短作文指導の研究﹂、﹁創構︵インペンション︶指導の研究﹂等が、教育現場における実践の基礎理論として取. り入れられ、多大な影響を与えている大西道雄は、﹁コミュニケーション作文﹂を研究、提唱している。.  今次の指導要領改定にあたっても、﹁伝え合うカ﹂について次のような提言を行っている。.     ﹁伝え合う﹂という言葉で、双方向性という相互交渉と、相互の立場は強調されているが、その﹁わか    り合う﹂ことの深さについては、言及するところがない。.     第二次世界大戦後のわが国の国語科教育が、言語のコミュニケーション機能を基軸として構築され、展. 2.

(9)    開された時期に、コミュニケーションは﹁通じ合い﹂として国語科教育の且標に位置づけられた。この﹁通.    じ合い﹂を﹁伝え合い﹂と改めたことが、はたして進歩、発展ということになるのか、問題である。.     管見にもとつく検討であったが、ここで明らかになったことを、﹁伝え合う力﹂の内実の拡充、深化の    ために実践活動を通して生かすことが求められる。注二.  作文指導における﹁伝え合うカ﹂育成の際、﹁伝え合う力﹂という言葉そのものより、その内実が問題である. ことが指摘されているが、まさにそれこそが研究の課題である。また、﹁双方向性﹂の強調が指摘されているが、. 文字言語におけるコミュニケーションの双方向性については、その時間的、空間的に隔てたところで行われるこ. とが多いという点から検討を行っていく必要がある。これらの課題を解決していくため、大西道雄の﹁コミュニ ケーション作文指導論﹂を中心にすえて研究を行う。.  現在、児童の文章表現の意欲は低いと言われるが、児童を取り巻く環境が変化する中、児童が意欲を持てる指. 導を本当に行ってきたかという点を検討し指導法を改善していかなければ、解決はしない。大西道雄の作文指導. 論は、児童のコミュニケ⋮ション、つまり伝え合いへの必要感をもっとも重視している。.  そこで、﹁伝え合うカ﹂を高める作文指導における課題を明らかにし、大西道雄の作文指導理論・実践の考察. を中心として、文字言語による双方向的な伝達の内実を考え、その指導内容と方法を小学校における指導を通し て研究することを目的とする。. 3.

(10) 第二飾 研究の方法.  国語科教育において、一九五〇年代より提唱されてきたコミュニケーション機能を重視した作文指導が、﹁伝. え合う力﹂の育成が叫ばれる現代において、どのように意義づけられ、さらに発展的に展開しているのか、まず、. 大西道雄の﹁コミュニケーション作文指導論﹂を中心とした先行研究について考察を行い、成果と実践上の課題 を明らかにする。.  次に、現在の児童の文字言語による伝え合いについて、員的・相手意識を中心とした意識調査、実際に作文を. 書く実態調査を行い、現状を・把握する。それによって明らかになった低・中・高学年の実態に即した文字言語に. よる伝え合う力を育成する授業について、その指導仮説を設定し、小学校四年生の授業実践を行う。そして実践. 4. 後、授業結果を分析することにより仮説を検証する。.  さらに、右記の先行研究の考察及び意識調査、実態調査、授業実践の結果をもとに、各学年の段階を踏まえた. 系統的指導目標・指導計画の試案を作成し、それにもとつく具体的な授業のあり方を提案する。. 注二 大西道雄﹁﹁伝え合う力﹂考﹂﹃安田女子大学国語国文論集︵第三十一号︶別冊﹄二〇〇一年一月九日 六七据,. 注一 文部省﹃小学校学習指導要領解説国語編﹄一九九九︵平成一一︶年五月 八渥. ︿注﹀序章. }.

(11) 第一章作文指導における双方向的伝達の可能性一伝え合う力をめざして一 第一節 作文指導におけるコミュニケーション理論.  ﹁伝え合う力﹂を育成する作文指導を創造していくにあたって、国語科教育において、﹁伝え合う力﹂に関す. る論が、現在に至る過程でどのように展開し、現在にどのように意義づけられているのか、考察することとする。.  ﹁伝え合う力﹂という言葉が学習指導要領の国語科の目標に付け加えられたのは、一九九八年であり、その後. 一般化した。それ以前は、﹁ロミュニケーション能力﹂という語が一般的であった。﹁コミュニケーション﹂は﹁伝. 達﹂という訳語がもっとも多いが、塗この﹁伝達﹂という語は、単一方向的、つまり発信者が受信者に伝えるだ. けという印象が強い。それに対して、﹁伝え合う﹂は双方向的である。そのため、﹁コミュニケーション能力﹂と. ﹁伝え合う力﹂の違いをめぐって論議注脚が起こっている。ここで問題となっているのは、用語の問題と一体化し た﹁伝え合うカ﹂の内実である。.  国語科教育においては、すでに一九五〇年代から、﹁伝え合うカ﹂について、その概念は提唱されてきている。.  相 の立 を えることは、コミュニケーションの出発であり、 表 の. けっして時流にあう一時の.  的態度である。コミュニ.  倉澤栄吉は、言語の持つコミュニケーション機能に着目した作文指導の必要性を訴えている。. ケーションなどとバタくさいとか、文部省的だなどといやがる人もいようが、 主義主張ではない。.  それは、ことばの原則なのである。相 の立場を えないことばは相 に通じない。通じたとしても、 それは相手を怒らせたり、だましたりする非言語になってしまう。作文がなによりもまず よくわカるこ. 5.

(12)    司﹁を目標にしているのは、コミュニケーションの原理であり、実はことばの本質なのである。四三.  これは、﹃作文の教師﹄からの引用であるが、この本が書かれた背景には、生活綴り方と国語科作文の対立の. 図式がある。玉澤栄吉は、当時、数多く実践されていた生活綴り方の指導に対して、コミュニケーションの原理. がないと厳しく批判し、コミュニケーションを基軸とした言語の教育としての国語科作文指導を確立すべきだと. 主張している。ただし、生活綴り方をすべて否定するのではなく、生活教育としての作文指導は認めている。つ. まり国語科作文指導は、﹁よくわかること﹂をめざした言語の教育として、改善されるべきだとしているのである。.  この中で着目すべきは、相手の立場を意識することの重要性を指摘している点である。現在の﹁伝え合う力﹂. の育成においても、相手意識を持たせる指導が重視され、学習指導要領の﹁書くこと﹂の内容にも位置づけられ. ている。さらに、伝えるだけでなく相手に﹁わかる﹂ということが目標とされている。倉澤栄吉の考える文字言. 語によるコミュニケーションには、文章を通して発信者は憂信者のことを考えて﹁わかる﹂ように表現し、受信. 者にわかってもらうということも含まれている。つまり、認識の共有化を目的として作文指導すべきだというこ とまで、すでに提唱されていたと考えることができる。.  西尾実は、コミュニケーションを﹁通じ合い﹂と訳し、目常のことばの働きを社会的通じ合いとしている。.     西洋の言語理論を著しく受けた明治時代には、このコミュニケーションを蟹と訳し、それは話し手な.    り書き手なりの思想・感情が、聞き手なり読み手なりに伝達するはたらきであるというように、刊司.    個人的なはたらきとして理解されていたため、コミュニケーションのコミュニケーションたる意味がはっ    きりわかっていなかった。︵中略︶.     日常一般に行われていることばのはたらきは、そういう個人的なはたらきとして抽象され、個人心理的.    な深さとして特殊化される前の、具体的な通じ合いであり、≡日し と聞き手、 き と請  との問にκ    わ る相   として成り立つ︸種の黍会的な炉為である。注四. 6.

(13)  ここでは、コミュニケーションが伝達と訳されたため、﹁一方的、個人的なはたらき﹂として捉えられている. ことの懸念を指摘し、コミュニケーションは﹁話し手と聞き手、書き手と読み手との間に行われる相互規定とし. て成り立つ一種の社会的な行為﹂として双方向性をもつものと定義している。したがって、コミュニケーション. の訳語である﹁通じ合い﹂には、双方向的な概念が含まれているのである。これは、現在の﹁伝え合う力﹂に受. け継がれている概念であるということができる。さらに、言語のはたらきのもっとも日常的なものとして、﹁通じ. 合い﹂を取り上げている点にも着目しなければならない。倉澤栄吉と同様に、コミュニケーション⋮機能を、言語 のはたらきの第一義に捉えているのである。.  また、西尾実は、﹁通じ合い﹂の形態を﹁一対一︵一封一︶、一対多︵一得多︶、一対衆︵一紙衆︶﹂に分類して. いる。注五これは、音声言語、文字言語に共通のものとされている。つまり、表現主体から見れば、コミュニケ⋮. シヨンの相手は、お母さん、担任の先生、友達の○○さんのように特定される個人の場合、クラスの友達、下級. 生や上級生、地域の人々のようにある共通の立揚をもった複数の場合、特に一定の共通項をもたない不特定多数. の場合の三つに類型化できるということである。さらには、コミュニケーションの三条、文章表現形態も、この. 三つの形態により異なってくる。一対一から一対多、一対衆に向かって、発達段階に即して系統的に指導を計画. しなければならないことも、すでに西尾実によって提案されていたと理解することができる。.  こめように、今次学習指導要領改訂において国語科の目標に新たに加えられた﹁伝え合う力﹂について、基本. 的な考え方は一九五〇年代にすでに提唱されていた。そして、その中にはコミュニケ⋮ションによって﹁わかる﹂. ことの大切さ、﹁双方向的な伝達﹂の概念も含まれていたと言うことができる。その論は、学習指導要領にも反映. されており、昭和二六︵一九五一︶年度版には﹁通じ合う﹂、昭和三三︵一九五八︶年度版には﹁伝える﹂、昭和 四二︵一九六七︶年度版には﹁伝達﹂という語が使用されている。.  しかしながら、二丁五二︵︸九七七︶年度版、平成元︵一九A九︶年度版には、コミュニケーションにあたる. 7.

(14) 語の使用が見られない。﹁表現﹂﹁理解﹂の二領域による系統的学習重視の中で、作文指導においてはコンポジシ. ョン理論を基軸とした指導が中心に位置づけられたため、言語のコミュニケーション機能を中心とした指導は潜 在化したと見ることができる。.  では、﹁伝え合うカ﹂は、現代社会からのどのような要請で、指導要領の目標に登場したのであろうか。.  大西道雄は、﹁伝え合う力﹂の指導概念はすでに開発され展開してきたものとし、コミュニケーション作文の. 必要性を訴え、﹁伝え合うカ﹂を育成する作文指導について、次のような提言を行っている。.     現代社会は、情報黍会・国際化率会・高 イ少 化黍会・人間関係 、化 牽化煮会といった特質と状.    況性をもっている。これらは、すべてコミュニケ⋮ションの鼠害 因となるものである。現代社会に求め.    られているコミュニケ⋮ション作文の能力と方法・技術は、昭和五〇年代までに開発されてきたものに加.    えて、こ7らの巨害要因に、応できるものでなくてはならない。今次学習指導要領国語科の総括目標にう.    たわれている﹁伝え合う力﹂の内実は、右の条件を満たすものでなければならない。注六.  ﹁伝え合う力﹂の内実は、現代社会のもつコミュニケーションの阻害要因となる特質に対応すべきものでなけ. ればならないとしている。すなわち、高度情報化社会・国際化社会・高齢化少子化社会・人間関係希薄化複雑化. 社会等に対応するコミュニケーション作文指導の開発、創造が、国語科教育に求められているという考えである。.  社会生活を営む上で、言語の果たす役割は大変大きい。国語科教育においては、実際の生活に生きて働く言語. 能力を高めていく必要がある。コミュニケーション機能に着目した作文指導は、 一九五〇年代から主体が累々生. 活する社会において、言語によるコミュニケーションができるようにすることを志向してきた。大西道雄は、今. 日までのコミュニケーション機能に着目した作文指導の成果を踏まえ、コミュニケーションの阻害要因を作り出. している現状に対応していくものへと発展させていかなければならないと指摘しているのである。これからも、. 国際化は加速度的に進行していくであろうし、高齢化少子化は社会のあり方そのものを大きく変容させていくと. 8.

(15) 考えられる。多様な価値観をもった人々と、多様な言語で、世代を超えたコミュニケーションが行われる情報化. が進んでいくのである。その中で、互いに認め合・い、豊かな人間関係を作るためには、﹁双方向的﹂にしかも﹁分. かり合う﹂ことまで含んだ言語によるコミュニケーションを行えるようにする必要があると言うことができる。 ︿注﹀第一章第一節. 注一 後藤将之﹃コミュニケ⋮ション論﹄中公新書 一九九九︵平成一一︶年四月二五日 一四警.  ﹁社会科学領域では、8ヨ舅蝦巳og。葺。謬という言葉については﹁伝達﹂という訳語を与えるのが一般的です。こ.   れはもっとも広く用いられる訳語でしょう。﹂とある。 注二 ﹃教育科学国語教育﹄第四二巻第一一号 明治図書 二〇〇〇︵平成一二︶年九月における﹁誌上シンポジ.   ユーム﹂において、大内善一﹁誌上シンポジューム提案﹁﹁伝え合う力﹂を高める双方向型作文学習の提案﹂.   に対して菅原稔、大西道雄、金子守、中西一弘、三森ゆりか、安藤修平が、それぞれ意見を誌上発表してい   る。. 注三 倉澤栄吉﹃作文の教師﹄ 牧書店 一九五五︵昭和三〇︶年五月 ︵引用は﹃倉澤栄吉国語教育全集5過程重   視の表現指導﹄ 角川書店 一九八八︵平成元︶年四月 六四餐︶. 注四 西尾実﹃国語教育学序説﹄ 筑摩書房 一九五七︵昭和三二︶年四月二〇日  ︵引用は﹃西尾実国語教育全   集第五巻﹄  一九七五︵昭和五〇︶年六月二五日 教育出版 二三溢︶ 注五 同右﹃国語教育学序説﹄︵﹃西尾実国語教育全集第五巻﹄二七∼三三餐︶による. 注六 大西道雄﹁コミュニケーションを育む作文﹂﹃月刊国語教育研究﹄ZO.G。b◎q 日本国語教育学会 一九九九   ︵平成︸一︶年五月 六督︶. 9. 一.

(16) 第二節大西道雄のコミュニケーション作文指導論.  大西道雄のコミュニケーション作文指導論は、一九九八年五月に出版された﹃コミュニケーション作文の技術. と指導﹄塗に体系的にまとめられている。さらに、論を発展させ、一九九九年一月の論文﹁表現論の一考察一状. 況に生きる表現力﹂注口においては、現代社会に生きるために、意見を生み出し、自らを取り巻く環境に対応し改. 革を図るために必要なコミュニケーション活動を展開するための能力として﹁状況に生きる表現力﹂を意義づけ、. 考究されている。ここでは、大西道雄のコミュニケコション作文指導論が、どのように展開し、創造されてきた.  この論文は、小特集﹁作文を授業として成立させるとは﹂の中で、﹁システムとしての作文指導﹂、. コミュニケ. ﹁場の力動. 10. のかを考察する。その際に中心的な資料として使用したのは、雑誌﹃教育科学国語教育﹄に掲載された論文であ る。. 日いてもらい、さらにそれを、題材と. 性を生かした作文授業﹂の二つの視点に立って実践する必要性を提言したものである。この中には、.    う。注三.    なった友だちと読み合って、お いの  と人間関係を、めることに資  す  る  、  といったことが考えられよ. 行われることになるが、作文の処理は家族に読んでもらって感想を.    で作文を書かせ、その組み立ての指導をしたとする。作文の評価は、目標に従って組み立てを中心として.     例えば、学年が進んで新しいクラスになり、新しくできた友だちのことを家族に知らせる、という目的. 八○年一月の﹁文章表現力育成過程をシステム化し、﹁場﹂の力動性を生かした作文授業の創造を﹂である。.  大西道雄の論文の中で、もっとも早くコミュニケーションについて書かれたものとして考えられるのは、一九.  ω  ﹁場﹂におけるコミュニケーション. 、.

(17) ⋮ションあるいは、伝達という語は使用されていない。しかし、作文指導の﹁場﹂の設定をくふうする必要性に. ついて述べる中で、学習者の目的に沿った評価・処理を取り上げている中にコミュニケ⋮シヨン活動を見つける ことがでる。.  作文の処理の段階の例であるが、家族に読んでもらって感想を書いてもらうというところに、すでに双方向的. な文宇言語によるコミュニケーション活動が成立している。さらに、このコミュニケーションの後、﹁さらにそれ. を、題材となった友だちと読み合って、お互いの理解と人間関係を深める﹂となっており、双方向性をもったコ. ミュニケーション活動が継続して行われている。では、なぜこのようなコミュニケーション活動そのものといっ. てもよい例が提示されたのだろうか。その答えを導き出す鍵となるのは、﹁場﹂であると考える。  大西道雄は、﹁場﹂について次のようにまとめている。.     ﹁場﹂は、目的にもとづいて、言語主体が、その言語行動を展開する過程において貝的と  と受け.    と表 内君との間に成立 る響動関係である。文章表現行動は、その目的を達成することによって終結す    る。目的の、・成とは、生産された 章を目的に即して   ることである。注四.  作文を書く﹁場﹂とは、﹁蛮的と主体と受け手と表現内容との問に成立する力動関係﹂である。したがって、. 文章表現活動においては、常に﹁目的﹂﹁受け手﹂の意識に支えられながら、表現主体が表現内容を生み出してい. くことになる。先に述べたコミュニケーション活動の例は、﹁新しくできた友だちのことを家族に知らせる﹂とい. う目的に達成するための文章表現活動であった。そのため、文章表現行為そのものは、書き終えた時点で終結す. るが、﹁目的の達成とは、生産された文章を昌々に即して処理すること﹂となり、家族に知らせる、つまり家族に. 読んでもらうというコミュニケーション活動まで必ず含まれることになる。このように、大西道雄の﹁場﹂の理 論の中には、すでにコミュニケーションの概念が内在していたと考える。. 11.

(18) ② 短作文指導論に内在したコミュニケーション.  ﹁場﹂の理論の中には、コミュニケーションを表す言葉は使用されていなかったが、先の論文の後、﹁コミュ. ニケーション作文指導論﹂を考察する上で、重要なキーワ⋮ドとなる﹁伝達﹂が登場する。  大西道雄は、﹁伝達﹂について次のように述べている。.     伝達のための作文は、一般的には、記録・報告、説明・解説、意見・主張といった説明的文章として書.    かれていると思われる。しかし、﹁伝達技術としての作文術﹂としては、必ずしも、一定の分量をもつた、.    まとまりのある文章だけではなく、 ︸語作文・一文作文ニニ文作文・二百字限定作文といった帆影.   獺瑠である。むしろ、日常の言語生活における、記録や伝達のためには、一ぐ文が 際的である。︵中    略︶.     伝達機能は、具体的な文章活動の場面において発現する。伝達技術としての作文術を身につけるために                        ユ                                        ヨ.    は、できるだけリアノな く燦において学習することが必要である。.     書くこと・場面を構成する条件︵要因︶は、岡き ・画く目的︵意図︶・ く、き内容︵表 態度を含 ︶・    る                                      エ                ら                                      る         ヨ.   鶉1である。つまり、書き手が、どういう目的︵意図︶で、誰に、何を、どのような表現のしかたで.    文章化するか、ということである。この目的︵意図︶が伝、 能を必要と る 合、 早は、伝、文とし    て書かれることになる。︵中略︶.     目的に応じ、必要な機会に即して伝達文が書けるカを育成するには、その機能が生きて働く場を見いだ.    し、それを矧姻によって学習する場として組織することが望まれる。注五.  ここでは、﹁伝達﹂について具体的な考究がなされている。この論文は、﹁実用文のカをつけたい伝達技術とし. ての作文術﹂という小特集の中で書かれたものである。したがって、コミュニケーションと言う言葉は使われず、. ﹁伝達﹂のための作文の表現形態︵文種︶の具体化と規定、書く﹁場﹂の条件の措定、﹁伝達技術としての作文術﹂. 12.

(19) 指導法の具体化がなされ、コミュニケ⋮ションの内容と指導法が明らかにされている。この意味において、この 論文は、﹁コミュニケ⋮ション作文指導論﹂の原型としてとらえられる。.  また、ここでは、伝達文を書くカを育成する指導には、リアルな書く場を発見し、そこで意図的に伝達機能を. 必要とする作文活動を組織することが必要だとされ、その際には短作文によって学習を組織することが望まれる. と、述べられている。これは、短作文の持つ機能的特質である、さまざまな機会をとらえて気軽に書けるという. 書く場の自在性、書くことを実際の生活の中で生かしていく社会的生活的機能を根拠としている。  短作文の機能については、﹃短作文の授業﹄に次のようにまとめられている。.     短作文の機能的特質は、短く書くという形態的特質から生ずる。     機能的特質の第一は、 く場の設 の自在 ということである。︵中略︶     第二の機能的特質は、創構ということである。︵中略︶     第三の機能的特質は、学習機能である。︵中略︶.     機能的特質の第四は、峯会更生 機能である。短イ文の持つ場と機会の自在︸は、 くことの目常化、.     、化を促進 る。日常的な言語生活のなかで、短作文を活用することによって宅会的通じ口いを確かな.    ものにすることができる。メモによって伝言をするとか、はがきで近況を知らせたりお礼を述べたりする.    とかといったことは、言うまでもなく、学級通信や学校通信・町内のミニコミ紙・投書など、樹下     ニケーションの女 こ、   は多く用いら ている。注六.  社会的生活的機能を具体化する中で、﹁短作文を活用することにより社会的な通じ合いを確かにすることがで. きる﹂と述べ、短作文には、コミュニケーションの機能が内包されていることを明言している。また、書く場の. 自在性、つまり様々な機会をとらえて気軽に書く場を設定できるということは、書くことを日常化、生活化を促. 進すると述べられている。短作文は、日常のコミュニケーションの機会や場に活用しやすいわけである。すべて. 13.

(20) の短作文がコミュニケーション作文となるわけでないが、大西道雄の短作文指導論には、 コミュニケーション作文指導論が内在したということができると考える。.  ㈲ コミュニケーションの技術と方法. その機能的特質から、.  一九九五年三月の論文﹁場の条件i目的意識・相手意識を基軸とするコミュニケーション技術の指導を⋮﹂で. は、﹁コミュニケーション作文﹂の概念規定が初めてなされたと考える。コミュニケーション技術を表現力として. とらえ、その内実は何かを明らかにし、その指導法を提示しているからである。  大西道雄は、コミュニケーション作文の技術を次のようにまとめている。.     表現力としてのコミュニケーション技術は、言語活動の揚の条件を明確に把握し、それを倒翻. を効率的効 的に、行 るための反復・能な、行動化できる  的知見として  化したものである。︵中 略︶.  それでは、表現力としてのコミュニケーション技術は、どのようにとらえることができるであろうか。 次の三つのレベルに分けて考えてみたい。.  第一のレベルは、場の条件の発見、∠析の技zである。     第二のレベルは、伝、表  。き内容 出の技術である。.     第三のレベルは、自らの目的・意図が相手によりょく伝えられるように翌細である。︵中略︶.     コミュニケーション技術を習得させる指導法としては、私が年来提唱してきている、一・︷ による指、.    謝である。その基本は、表 の煽の設 の自在‘である。注七.  コミュニケーション技術は、﹁言語活動の場の条件を明確に把握し、それを伝達表現行為を効率的効果的に遂. 行するための反復可能な、行動化できる方法的知見として具体化したもの﹂と規定し、さらに、三つのレベルの. 14.

(21) 技術に分けて説明されている。まず、第一レベルとして、﹁誰に、何のために、どういうことを、どのように述べ. 表し、伝えようとするか﹂を場の条件として、発見、分析する技術を措定している。﹁誰に、何のために﹂という. 相手意識、目的意識を持つことは、コミュニケーションするためには不可欠な技術であることは言うまでもない。. 相手がなければコミュニケーションは成立せず、目的がなければ、コミュニケーションする意味を持たないから である。.  さらに、この二つの条件から、﹁どういうことを﹂という表現内容が具体化され、﹁どのように述べ表すか﹂と. いう文章表現形態が決まり、文章表現活動が行われるということも、コミュニケーションにおいては最も基本的. なことであると考えられる。そして、この活動の場の条件を発見、分析ができた上に、第ニレベルの内容を生み 出す創構︵インペンション︶の技術、第三レベルの述べ表す技術が措定されている。. 15.  ただし、この論文は、文字言語、音声言語をその特質から明確に分けて説明されたものではない。わずかに、. 西尾実の論を引用しつつ、コミュニケーションの言語形態を説明する中で、通信・報告・通達という単︸方向的. な活動が取り上げられているところがら、野州言語によるコミュニケ⋮ションは、時間的、空間的に隔たりを持. った場面でなされることが読み取れるだけとなっている。そのため、文字言語のコミュニケーションは、その特. 質から実際の言語生活の場面において、応答的、双方向的になりにくい点については説明されていない。この双. 方向性については、この後に定義されていくこととなるが、考察は第三節で行うこととする。. 注二大西道雄﹁表現教育論の∼考察一状況に生きる表現力⋮﹂﹃安田女子大学国語国文論集︵第二十九号︶別隠﹄. 注一大西道雄﹃コミュニケーション作文の技徳と指導﹄ 明治図書 一九九八︵平成一〇︶年五月. ︿注﹀第︸章第二節. [.

(22)  一九九九︵平成一一︶年一月八日. 注三大西道雄﹁文章表現力育成過程をシステム化し、﹁場﹂の力動性を生かした作文授業の創造を﹂﹃教育科学国.  語教育﹄第二二巻第一号 明治図書 一九八年目昭和五五︶年一月 八三警 注阻同右 八二警. 注五大西道雄﹁短作文による伝達技術の訓練を﹂﹃教育科学国語教育﹄第三二巻第二号 明治図書 一九九〇︵平.  成二︶年二月 四八∼四九餐 注六大西道雄﹃短作文の授業﹄ 国土社 一九九一︵平成三︶年三月二五日  一八∼二〇挿. 注七大西道雄﹁場の条件−目的意識・相手意識を基軸とするコミュニケーション技術の指導を一﹂﹃教育科学国語.  教育﹄第三七巻第四号 明治図書 一九九五︵平成七︶年三月半一九∼二︷渥. 16.

(23) 第三節 文字言語による双方向的伝達の可能性.  大西道雄は、その編著書﹃コミュニケーション作文の技術と指導﹄において、﹁コミュニケーション作文指導﹂. の理論と方法をまとめた。ここに、﹁コミュニケーション作文指導論﹂が成立したととらえることができる。作文. 指導が、コンポジション重視の指導からコミュニケーション理論にもとつく指導へと変節して行く中で、短作文. 指導論に内在していたコミュニケーション作文指導論を整理し、まとめたのではないかと考えられる。この成立. 過程において、双方向性についての定義がなされていく。また、﹁場﹂に問題追求活動を生み出す状況性が付与さ れている。.  ここでは、文略言語による双方向的な伝達は、具体的にどのような場で、またどのような方法で可能なのか、. そしてその指導はどのように行うべきかを、大西道雄の発展的に展開する﹁コミュニケーション作文指導論﹂を 中心として、考察を行う。.  ω 音声言語によるコミュニケーションと文字言語によるコミュニケーションの違い.  大西道雄は一九九六年五月の﹁会話・対話を必然とする場の設定とその条件の意識の明確化﹂において、会話・ 対話活動を﹁通じ合い﹂としてとらえ、次のように述べている。.      会話・対話を適切に営むための基本要件は、次の三つであると考える。.     1 場の条件︵何のために鴇目的・必要、誰が誰に段話し手・相手、何を”内容︶を明確に認識するこ      と。.     2 内谷を、関係づけて筋道を通して護したり闘いたり ること。.     3 闘に適切に対応すること。塗. 17.

(24)  ここでは、音声言語によるコミュニケーションの要件が三つにまとめられている。三要件の一つ目、場の条件. の意識化は、音声言語・文字書語双方に共通する要件として重要視されているのが分かる。しかし、音声難語に. よるコミュニケーションに具体化された基本要件の二つ目、三つ目は、第二節で考察した音声言語・文字言語両. 方に共通するコミュニケーションの三つのレベルの技術注こと、大きく異なっていることがわかる。.  音声言語による会話・対話は、話し手と聞き手が同時にその場に存在するか、空間的に離れていても電話等の. 手段により話し・聞く活動が同時に行える場にあることから、具体化された要件であるということができる。音 声言語によるコミュニケーションは、双方向性を持ちやすいのである。.  この音声言語によるコミュニケーションの双方向性は、文字言語によるコミュニケーションの双方向性と対照. 化することができるのではないかと考える。つまり、文字言語のコミュニケーションにおいては、読み手が同時. にそこに存在し、瞬時に読んで書き手となって返事を書くということは想定しにくく、﹁即時的﹂な双方向性は成. 立しにくいということである。ここに音声言語を具体化して述べられたことから考えると、同時に文字言語によ. る﹁コミュニケーション作文指導論﹂も具体化されたのではないかということが読み取れる。文字言語の場合﹁即. 時的対応﹂をしなければいけない場面は、それほど多くはなく、むしろ少ないのである。.  この二年後、一九九八年五月の編著書﹃コミュニケ⋮ション作文の技術と指導﹄には、文字言語によるコミュ ニケ;ション活動が具体化され、次のように述べられている。.     第一レベルの作文技術一場の条件の発見スキル.     第ニレベルの作文技術−内容4り︵創構︶のスキル     第三レベルの作文技術一文章化のスキル     第四レベルの作文技衛一活用︵処理︶スキル注三.  第ニレベルと第三レベルが文字言語の特質に合わせて具体化されている。﹁創構﹂が﹁第ニレベル作文技術i. 18.

(25) 内容づくり︵創意︶のスキル﹂として位置づけられている。書くことにおいてのみ、﹁場の条件の活動化の原理﹂. にもとづいて指導するとされているのである。さらに﹁文章化﹂は、音声言語にはないことばを線条化し文章に. して記述する技術として措定されている。どちらも、﹁即時的﹂に行うことが難しいことであり、活動そのものは 個人的な思考、文章表現活動となる。.  また、第四レベルのコミュニケーション作文技術として、﹁活用︵処理︶のスキル﹂が付け加えられている。. これは、音声と文字の違いではなく、目的に対応して、付け加えられたのもとしてとらえることができる。.  ここにおいて、文字言語によるコミュニケーション指導と音声言語によるコミュニケーション指導を、明確に 分化させたと考える。.  ㈲  門状況性﹂の付与.  大西道雄はコミュニケーション作文指導に、﹁場﹂に問題追求活動を生み出す状況性を持たせるべきだとし、 次のように主張している。.     言語活動の発動は、主体の持つ目的︵問題︶意識・必要感を契機とする。言語活動は、基本的には目的.    的コミュニケ⋮ション活動である。言語活動は、主体と相手との問に、コミュニケーションの場面を形成.    する。書く場は、主体に目的︵問題︶意識・必要感を意識化させる。この問題意識・必要感は、問題追求.    活動を発動させる翻を発現させ、同時に言語活動場面を形成する。捌測は、対象と主体との問に成立.    する、このままでは過ごすことのできない一をさしており、主体と対象との間の緊張状態を解.    消しようという問 解決を目的とする活動を発動させる。書く甥は、このような状況の中で形成され、調    くた為は、目的的コミュニケー・噌ヨン、動として展開される。注四.  この論文で、状況性が﹁場﹂に付与されたことがわかる。まず、言語活動を﹁目的的コミュニケーション活動﹂. 19.

(26) としている点から考察を行う。ここには、明らかに、コミュニケーション理論にもとつく言語観、作文指導観が. 表れている。﹁文章のもっとも基本的な機能は、伝達ということである﹂という部分からも、コンポジション理論. にもとつく作文指導論からコミュニケーション理論にもとつく作文指導論への移行を強く意識し、おし進めよう. としていることが分かる。コミュニケーション作文指導において、﹁書くことは、目的を持ったコミュニケーショ ン活動﹂として規定されたのである.,.  さらに、目的から言語活動へと至る過程に、﹁状況性﹂を付与し、言語活動を包み込む形で﹁書く場﹂が形成さ. れるとしている。﹁状況﹂とは﹁対象と主体との間に成立する、このままでは過ごすことのできない不安定な事態. をさしており、主体と対象との問の緊張状態を解消しようという問題解決を目的とする活動を発動させる﹂もの. として定義されている。書く目的を言活活動の主体である子どもの側から見いだそうとし、コミュニケーション 理論にもとづいて生み出されたものとして考えられる。.  ㈹ 双方向的伝達の可能性.  大西道雄は、﹃コミュニケーション作文の技術と指導﹄において、ここまでの論をまとめ、コミュニケーショ ン作文を次のように定義している。.     手紙やはがきといった通信文は、通じ合いを目的として書かれるものであって、コミュニケーション作.    文という呼称にもっともふさわしい文種である。しかし、これまで見てきたように、記録・認識・思考・.    創造︵想像︶などの機能を活用して書かれた文章であっても、それらが誰かに読まれることを期待したり、.    積極的に読んでもらうことを意図したりして書かれることは多い。それらすべてをコミュニケーション作.    文としたのでは、読まれることを前提として書かれる作文は、すべてコミュニケーション作文ということ.    になってしまう。そこで、  の限界を設けるとしたら、 通じ己い﹂ということであろう。すなわち、調. 20.

(27)    き手が、桓らカの内容を相手に伝達し、それ の応答を期待して書妊れる文章、ということである。︵中略︶.     学習活動は、意図的計画的に展開されなければならない。そのためには、自然発生的に存在する場を利.                     条︷づけした場を利用することも必要である。注五.  コミュニケーション作文は、もちろん手紙のような、双方向性を持った文章を含むが、応答を期待して書かれ. た文章も含まれるとしている。即時的な対応が、時間的にも、空間的にも難しい文宇言語においては、指導は必 ずしも、双方向的な活動の中で行われなくてもよいという考え方である。.  また、指導する際には、教師が虚構性のある場を設定することも必要だとしている。リアリティのある状況的. な場を工夫して設定することが、指導者に課せられた課題であることを強調していると考えることができる。.  大西道雄が、自ら﹃コミュニケーション作文の技術と指導﹄の延長線上にあると位置づけている論文﹁表現教. 育論の一考察一状況に生きる表現カー﹂注六では、コミュニケーション作文指導を発展的に展開すべきだとしてい る。.     現代は、高度に情報化された社会であり、社会構造も複雑化している。国際化が進み、異文化との接触.    も多くなり、価値観が多様化している。人問関係の希薄化も加わって、コミュニケーション活動も困難に.    なってきている。このような時代、雀会に生きていくために求められる能力は何か。人間は生きるために.    は、劇翻罰しなければならない。それとともに、よりょく きるために環 をのぞましいものに変    するカをもたねばならない。.     現代は前述のような社会状況にあるために、主体的立場が確立されにくく、姻が状況に埋没されやすい。.    このような社会にあっては、個を 立し、自らの 意 ﹂を形成して﹁環児﹂への適応、 環境﹂の改.    を図るために必要なコミュニケ⋮・、ヨ、  を展開 る力が要求される。つまり、船、に きる表 力で    ある。注七. 21.

(28)  この論文では、能力構造が、社会が要求する力と、﹁状況に生きる表現力﹂という国語の力の多重構造になっ. ている。﹁時代・社会に生きるための能力﹂を上位概念として位置づけ、その形成のための能力として﹁環境へ適. 応し、変革するカ﹂を置き、さらにそれを実現するための国語の力として﹁状況に生きる表現力﹂を配置してい ることがわかる。.  そして、属語のカとしての﹁状況に生きる表現力﹂を、言語によって表現する力として限定的にとらえるので. はなく、変化を続ける社会の中で幅広くとらえることにより、今後の表現指導にコミュニケーション活動を位置. づけて改善を図る必要性を強く訴える能力構造の分析となっている。現代という時代・社会を生きるという﹁生. きるカ﹂を強く意識し、国語科、中でも表現教育の立場から、﹁生きる力﹂を考えていることがわかる。ここに、. コミュニケーション作文指導論を発展的に展開し、状況に生きる表現力の指導の中に位置づけたことが分かる。. ’二〇〇〇年七月号論文﹁伝え合う活動を要求する状況的場の条件の発見とその組織、展開を﹂は、誌上シンポ ジュームとして、大内善一の﹁伝え合う力を高める双方向型作文学習の提案﹂を受けて書かれたものである。.注八  大西道雄は、この中で双方向的伝達について次のようにまとめている。.     伝え合い活動においては、書き手は受け手になり、受け手は書き手になる。相互に書き手になるのであ    る。相互に変換がなされても、基本は、書き手の立場の確立とその展開にある。.     書くことによる伝え合いの活動が成立す・るためには、このような条件がシチュエ⋮ションとして形成さ.    れなければならない。と同時に、主体が書く活動を主体的意欲的に発動するためには、そのシチュエーシ.    ョンが書き手に切実な目的︵問題︶を 起 るような状況性を備えていることが必要である。つまり、書.    くことによる伝え合い活動に必然性があるということである。コミュニケーションにおいて重要なのは、.    発信者と受信者とが、この螺釧し、その田平への天応として伝え口う、動が展開されるというこ    とである。注九. 22.

(29)  大内提案には、大西道雄の﹁コミュニケーション作文﹂が、﹁伝達﹂という単一方向的なものに終わっている. のではないかという危惧が述べられている。しかし、大西道雄は、双方向性について、﹃コミュニケ⋮シヨン作文. の技衛と指導﹄の中ですでに定義しており、﹁コミュニケーション作文﹂に双方向的な概念は含まれていると考え る。.  大内提案に対して、この論文ではさらに⋮歩踏み込んで答えていると考えられる。それは、発信者と受信者と. が、この状況性を共有し、その状況への対応として伝え合う活動が展開されるべきだとしている点である。表現. 主体としての子どもの立場からだけでなく、理解主体としての子どもの立場からの言及がなされている。言語活. 動は、﹁目的的コミュニケーション活動﹂であるとするならば、読む活動も﹁目的的コミュニケーション活動﹂で. あるはずだと考える。ここで、今までの論からさらに発展させ、双方向的、応答的コミュニケーション指導とし. 23. て、読み手の指導を位置づけたということができる。つまり、状況的な場の中で適切に書く、正確に理解すると いう基本を押さえた指導がなされなければいけないということである。.  しかしながら、この発展的に展開されたコミュニケーション作文指導論においても、今後、どのように実践し. ていくかという課題が大きく残されている。まず、大西道雄の提案した﹁コミュニケーション作文﹂における四. つのレベルの技術それぞれに対応した指導を、児童の実態に即して具体化することが必要になる。また、状況性. の認識、意見の形成という点については、小学校低学年における指導の難しさが考えられる。さらに、状況性の. 共有と言う点では、書き手・読み手双方がいかにして、状況性を共有するのか、その認識段階における指導を具 体化していかなければならない. ︿注﹀第一章第三節. }.

(30) 一九九六︵平成八︶年五月 一四警. 注一大西道雄﹁会話・対話を必然とする場の設定とその条件の意識の明確化﹂﹃教育科学国語教育﹄第三八巻六号.  明治図書  注二 第一章第二節一誕ハ∼一七州i. 注三大西道雄  ﹃コミュニケ⋮シヨン作文の技術と指導﹄ 明治図書 一九九八︵平成一〇︶年五月 二七渥. ︸九九七︵平成九︶年七月 五∼六餐. 注四大西道雄  ﹁場の条件と一体的な短作文のネタ︵題材︶の開発﹂﹃教育科学国語教育﹄第三九巻第一〇号 明.  治図書 . 注五前出  ﹃コミュニケーション作文の技術と指導﹄ ⋮九∼一=渥. 注六大西道雄﹁表現教育論の一考察一状況に生きる表現カー﹂﹃安田女子大学国語国文論集︵第二十九号︶里帰﹄一.  九九九︵平成︸一︶年 九五警に﹁本論考に先立つものとして、拙著﹃作文教育における二二指導の研究﹄︵一 .九九七︶、拙編著﹃コミュニケーション作文の技術と指導﹄︵⋮九九八︶がある。これらの延長線上に、小稿は  位置する。﹂とある。 注七 同右 九五誓. 注八第一章第︸節注二︵一二警︶に同じ. 注目大西道雄  ﹁伝え合う活動を要求する状況的場の条件の発見とその組織、展開を﹂﹃教育科学国語教育﹄第四.  二巻第︸一号 明治図書  二〇〇〇︵平成一二︶年九月  一七警. 24.

(31) 第二章 作文指導の臨床的実践的研究ーコミュニケーション能力の育成⋮ 第一節 作文意識に関する調査の結果と考察.  ここでは、指導法を創造していくために、文字言語による伝え合いに対して、現在の小学生はどのような意識. を持っているのかを調査し、分析と考察を行う。調査の基礎理論は、大西道雄の﹁コミュニケーション作文指導. 論﹂である。なお、調査の目的、内容、方法設定についての理論的な前提は、本論末尾資料編に収めている︻資 料一︼︵資料編一ページ∼一四ページ︶にまとめている。.  ω 調査の霞的.  小学校国語科におけるコミュニケーション作文指導の目標及び方法を具体化し実践するために、作文の書き手. としての目的・相手意識・関心の高い内容、作文の読み手としての目的・相手意識、関心の高い内容が、発達段 階に即してどのように出現するか調査し、資料とすることを目的とする。. ② 調査対象と調査方法. ① 調査対象.  福岡県福岡市立青葉小学校︵二五学級、児童数九一二名︶のうち、 一年生∼六年生の各ニクラスずつ計四二七. 名。クラスの選定については、各学年の担任の協議により決定してもらった。なお、各学年の人数は以下のとお りである。. 25.

(32) 一年生⋮六四名、二年生⋮六六名、三年生⋮七五名、四年夏⋮八○名、五年生⋮六九名、穴年生⋮七六名。. ② 調査方法.  アンケ⋮トにより行う。アンケートの設問および選択肢は、第二章﹁調査の前提としての実践例の考察﹂をも. とに作成した。なお、アンケ⋮ト用紙は︻資料二︼︵資料編一五ページ∼二〇ページ︶に掲載している。各設問で 明らかにしょうとしたことを以下に示す。. 設問1 作文を書くことは好きですか。←文章表現意欲. 設問2 どんなとき作文を書きたくなりますか。←状況的な場の認識傾向・書く場における鼠的意識の傾向 設問3 作文を誰に読んでもらいたいですか。←書く場における相手選択の傾向. 設閥4 作文を書くとき、読む人のことを考えていますか。←書く場における相手意識の発動. 設問5 どんなことを作文に書きたいですか。←書く場における内容選択の傾向・文種選択の傾向. 設問6 だれかの作文︵手紙︶に返事を書いてみたいですか。←状況的な場におけるコミュニケーションへの    意欲. 設聞7 作文を読むことが好きですか。←読み手としての文章理解への意欲. 設問8 どんなときに作文を読みたくなりますか。←読み手としての状況的な場の認識傾向・.目的意識の傾向. 設問9 だれの作文を読んでみたいですか。←読み手としての相手選択の傾向. 設問/0 作文を読むとき、相手のことを考えて読んでいますか。←読み手としての相手意識の発動. 設問1! どんなことが書かれている作文が読みたいですか。←読み手としての内容選択の傾向・文種選択の傾     向. 設問12 自分の書いた作文︵手紙︶に、返事を書いてもらいたいですか。←読み手としてのコミユニケーショ. 26.

(33)      ンへの意欲.  設問13 作文で伝え合いをしたいと思いますか。←文字言語によるコミュニケーションへの意欲.  なお、発達段階を考慮して、高学年をベースに見ると、低学年においては、設問4、墨筆10、設問13を削. 除し、設問2の選択肢﹁作文を読んだとき﹂を削除している。また、中学年では、設問2の選択肢﹁何かに賛成 してもらいたいとき﹂を削除している。.  調査の実施にあたっては、調査者が各学級において、調査方法を説明し、記入させた。記入に際しての疑問等 には、調査者が答えた。.  ③ 調査結果の分析と考察.  調査結果をまとめたものが、︻資料三︼︵資料編一=ページ∼三〇ページ以下同じ︶である。このコミュニケー. ション作文に関する意識調査は、発達段階によって、どのような意識の違いが見られるのかを明らかにすること. を目的としている。また、書き手、読み手というコミュニケーションの二つの立場からの意識を明らかにするこ. とも目的としている。あくまでも、意識のレベルであるが、この結果は、コミュニケーション作文の授業を行う 際に生かすことができるのではないかと考える。. ①読む意欲と書く意欲︵︻資料三︼1・7︶.  文章表現意欲は、三年生まで高いが、四年生から大幅に低下にし、五〇%以下となる。 一般に、四年生ごろか. ら、客観的な認識思考ができるようになると言われている。自分の書いた文章を客観的に見つめ、書くことの困. 難さを認識しだすのが四年生ごろと言えるのではないだろうか。これに対して、他者の作文を読む意欲は、全学. 年とも高い。﹁好き﹂﹁少し好き﹂を合わせると、八○%程度となる。作文を読んでみたいという意欲を、授業の. 中で生かしていくことは重要であると考える。状況的な場を設定する際に、他者の作文を読むことは、有効な手. 27.

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