• 検索結果がありません。

JAIST Repository: イノベーションの消費扇動信号と消費者のイノベーション誘発信号の共鳴 : 経済的機能を超えた超機能の協創

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "JAIST Repository: イノベーションの消費扇動信号と消費者のイノベーション誘発信号の共鳴 : 経済的機能を超えた超機能の協創"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

イノベーションの消費扇動信号と消費者のイノベーシ

ョン誘発信号の共鳴 : 経済的機能を超えた超機能の協

Author(s)

渡辺, 千仭

Citation

年次学術大会講演要旨集, 25: 85-90

Issue Date

2010-10-09

Type

Conference Paper

Text version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/10119/9250

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す

るものです。This material is posted here with

permission of the Japan Society for Science

Policy and Research Management.

(2)

1D07

イノベーションの消費扇動信号と消費者のイノベーション誘発信号の共鳴

-経済的機能を超えた超機能の協創

渡辺千仭 (東京成徳大学/シンガポール国立大学)

1.序

日本企業の競争力の源泉は、工業化社会時に形成された、 危機をバネに新たなイノベーションに転換するするダイナミズムにあ るが、情報化社会への移行とともに限界を露呈している [26]。 その中で、先進的ITの学習・同化に邁進し、その成果と製 造技術の強みとの融合を図るハイブリッド技術経営による共進 的内生化に奏功した企業は、従来の生産主導のモデルから生 産・普及を一体化させたモデルに脱皮して、情報化社会におけ る市場の内包する自己増殖機能を取り込むことによって、本 来的競争力の発現に成功し、工業化社会時の成功体験に固 執している企業との間に顕著な二極化を示すに至った [18]。 しかし、世界同時不況を通じてITの利活用に陰りが生じ、ま た、消費者の行動が必ずしも経済的機能に従った自己増殖メ カニズムだけに律されないようになり [1, 25]、自己増殖機能その ものが減退を余儀なくされている中で、生産・普及の一体化 にも限界が生じ、さらに消費をも一体化させ、相互に啓発し合 う好循環サイクルを形成するような共進モデルへの転換が不可欠 となっている [20, 26]。 この転換のトリガーは、経済的機能を超えた文化的・社会 的・同族的・精神的・感情的・憧憬的機能を包摂する超機能 の創成に期待される [12, 22]。 このような観点から、「環境は人間に対して、何かなすべき ことを誘っている」 という認識に立脚した生態学的心理学の立 場からのアフォーダンス理論 [6, 7] があらためて注目されるよ うになり、それをインターフェイスの設計に生かすことによって、 よいデザインの道具を作ることができ、また、それは、その使 用者に、忘れていた過去に経験した忘れがたい喜びを思い 出させたり、新たな価値を啓発したりして、超機能の創成に通 じるイノベーションダイナミズムを形成するという 「Design thinking」 の発想が重視されるようになってきた [2, 4, 11]。 以上の潮流は、技術経営に新たな示唆を与えるものである が、① 超機能の背後のユーザーの潜在的欲望の掌握 (user desirability) 、 ② そ の 技 術 的 可 能 性 の 確 証 (technical feasibility)、③ ビジネスとしての発展性 (business viability) の確保と三者の三立が課題となっている。 本稿は、普及理論、共鳴理論、学習理論及び最適化理論 を用いて、アフォーダンス理論の考えをてこに、経済的機能 を超えた超機能の計測と、それを実際的な技術経営に取り 入れるための三立条件を追求する。 1.第一に、普及理論を用いて、情報化社会における持続的 成長に果たす新機能創成の役割を明らかにするとともに、 携帯電話を対象に、新機能変遷の軌道を分析する。 2.第二に、共鳴理論を用いて、この変遷過程における新機 能の創成が、イノベーションが発する消費扇動力と、消費者 が内包するイノベーション主導意欲との共鳴によることを示す。 3.第三に、学習理論を用いて、この共鳴が、イノベーション、消 費者双方の学習を媒介になされていることを示す。 4.第四に、最適化理論を用いて、超機能創成の軌道を分 析し、実際の経済的機能とのかい離を明らかにするととも に、超機能創成の「創造的瞬間」 (Creative moment)を 明らかにする。

2.普及理論:新機能の役割とその変遷

2.1 持続的成長に果たす新機能の役割とその変遷

(1) 危機を新たなイノベーションのバネとする日本のシステム

) T , X ( F Y= Y R T Y X X ) Y X X Y ( Y Y ∂ ∂ + ⋅ ∂ ∂ = Δ Δ 生産関数 労 働 資 本 エネルギー 原材料 技術ストック Xの生産性 増大 Yの持続 T によるX代替 R&D投資(R) の誘発 対外危機 Xの供給制約 1. 対外恐怖症. 2. 高い好奇心、熟達した同化能力、徹底した学習・吸収. ) 1 1 ( FD aY T Y= ∂ ∂ 普及関数 技術のX代替弾性値 T Y X Y c X T TX ∂ ∂ − ∂ ∂ − = ln ln / ln σ a: 普及速度, c: 定数, FD: 新機能創成. ⎥⎦ ⎤ ⎢⎣ ⎡ ∂ ∂ − ∂ ∂ T Y X Yln ln T Y ∂ ∂ IRR (R&D内部収益率) ↓ ↑→R ↑→T ↑→T / X ↑ →σTXY / XX Y X T T Y = T Y ↑ M a rg ina l pr o du c tiv it y of te c hno lo g y 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1975-1985 1985-1990 日 米 米 日 T Y ∂ ∂ (技術限界生産性: MPT) 図1. 日本の卓越した危機をイノベーションに転換するダイナミズム. (iii) 生産・普及関数

(i) 生産関数 (ii) 普及関数(累積Yは Tの関数)

) , (XT F Y= Y R T Y X X Y X X Y Y Y ∂ ∂ + Δ ⎟ ⎠ ⎞ ⎜ ⎝ ⎛ ∂ ∂ = Δ ∑ 労働・資本等 TFP 新機能創成 成長率 Y R T Y X X Y X X Y Y Y ∂ ∂ + Δ ⎟ ⎠ ⎞ ⎜ ⎝ ⎛ ∂ ∂ = Δ FD = ∂ ∂ T Y aY (1 )1 Y N FD= Y R T Y X X Y X X Y Y Y ∂ ∂ + Δ ⎟ ⎠ ⎞ ⎜ ⎝ ⎛ ∂ ∂ = Δ Y R T Y X X Y X X Y Y Y ∂ ∂ + Δ ⎟ ⎠ ⎞ ⎜ ⎝ ⎛ ∂ ∂ = Δ ⎟ ⎠ ⎞ ⎜ ⎝ ⎛ − = ⎟ ⎠ ⎞ ⎜ ⎝ ⎛ − = ∂ ∂ FD aY N Y aY T Y 1 1 1 (iv) 生産・普及・消費関数 効用関数 FD N T R Y C FD U( )→ → → → → → 新機能の持続的創成には消費関数 の統合も不可欠 T Y X Y c X T TX ∂ ∂ − ∂ ∂ − = ln ln / ln σ 1. FDの上昇は消費C を誘発し、生産Y を増大. 2. Y の増大はR&D投資Rを増大 させ、技術ストックTを増大. 3. Tの増大は普及天井 Nを高め、FD(= N/Y)を増大. 4. FDの増大は技術限界生産性を高め、技術によるX代替弾性値 ETSを増大. 5. ETSの増大は X の生産性を増大 ( ) .X Y X T T Y = ⋅ 技術による制約資源代替 : 技術のX代替弾性値 (ETS), c: 定数. TX σ Y R T Y X X Y X X Y Y Y ∂ ∂ + Δ ⎟ ⎠ ⎞ ⎜ ⎝ ⎛ ∂ ∂ = Δ FD = ∂ ∂ T Y aY (1 )1 技術の限界生産性 R&D強度 新機能創成 ETS 技術限界生産性 図2. 生産・普及・消費一体下での共進モデルのダイナミズム. 己増殖機能を取り込むことによってFDを確保し、本来的競争 力発現のダイナミズムを復元することができた [26]。かくのごとく、 情報社会においては、FDが決定的役割を果たす。 1 ノベーションによって生産プロセスや製品・サービスのパーフォーマンスを向上させる能力

図1は、

日本企業の競争力の源泉たる、危機をバネにそれを新た なイノベーションに転換するダイナミズムを示す。1960年代の高度成長 期に、労働不足を省力化・自動化技術を核とする技術による労働代 替で克服し、その過程で、米国をはるかに凌駕する高い技術の限 界生産性を確立し(図1上右)、それが労働やエネルギー等の制約に対 する高い代替弾性値を可能にし(図1上中)、その結果達成された持 続的成長が、さらに技術の限界生産性を高め(図1上左)、それが高い 技術進歩(TFP)を通じて、成長に貢献する、という精妙な好循環を 構築していたことがうかがわれる [15, 16]。 TFP 成長率 (ΔTFP/TFP) = 研究開発強度 (R/V) × 技術の限界生産性(MPT) -0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1975-1985 1985-1990 1990-1995 1995-2001 M ar gina l pr odu ctivity of te ch nolog y -1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 1960-19751975-1985 1985-19901990-1995 1995-2001 Gr ow th r at e(% p. a. ) 2.0 2.2 2.4 2.6 2.8 3.0 3.2 1975-1985 1985-1990 1990-1995 1995-2001 Rat io % JP US JP US JP US 6.2 1.51.4 1.0 2.8 0.9 -0.3 0.9 0.2 1.5 1975-85 1985-90 1990-95 1995-01 日米の技術の限界生産性の逆転 技術による制約資源代替 代替弾性値 情報化社会へのパラダイム変化に伴い、イノベーションのの発生スポットも それまでの開発サイトから普及サイトにの方にシフトすることとなり、必然的 に生産・普及関数の統合の重要性が高まってきた(innofusion [17])。 その結果、技術の限界生産性は、技術の普及に依存し、それは、生 産及び新機能の創成 (FD)1 に依存することとなった。しかし、総じて 成熟経済下で低成長化する中で、日本は、情報化社会とのシステムヒッ チの結果、新機能の創成に立ち遅れ、技術の限界生産性の急激な低 下をきたし(図 2 右上)、それが技術進歩の停滞、成長の停滞、技術の 限界生産性のさらなる低下と、競争力の源泉と誇った精妙な好循環 も、悪循環に転ずるに至った[18]。 このような中で、先進的ITの学習・同化に 邁進し、その成果と製造技術の強みとの融 合を図るハイブリッド技術経営による共進的内 生化に奏功した企業は、市場の内包する自

(3)

(2) 生産・普及・消費を一体化させた共進モデルへの転換

しかし、新機能創成 (FD) は、本来的に減衰特性を有し [17, 21] 世界同時不況を通じてITの利活用に陰りが生じ、また、 消費者の行動が必ずしも経済的機能に従った自己増殖メカニ ズムだけに律されないようになり [1, 25]、自己増殖機能そのも のが減退を余儀なくされている中で、市場の内包する外生的 な自己増殖機能を取り込むような形 (共進的内生化) でのFDの 減衰特性を抑制する効果にも限界が生じ、さらに消費をも一 体化させ、相互に啓発し合う好循環サイクルの中で内生的に新 機能を持続創生するような共進モデルへの転換が不可欠とな っている [12, 26]。 図2 は、このような生産・普及・消費一体下での共進モデルの ダイナミズムを示す。新機能創成 (FD)は、効用を高め、それ は消費を誘発して付加価値 (Y) を増大させる。増大したY は研究開発を誘発し、技術ストック (T) を増大させる。増大しT はイノベーション製品の普及軌道における普及天井 (N) を 上昇させ、FDを引き上げる。 増大したFDは技術の限界生産性(MPT)を増大させ、技 術T によるX(その他の生産要因)代替弾性値を高める。これ は、X の生産性増大(Y/X = Y/TT/X)を図り、持続的成長 に貢献する。 情報化社会における企業の競争力戦略は、このような生 産・普及・消費の間の共進ダイナミズムの中で内生的に新機能 を持続創生させることが鍵となり、そのトリガーは、消費を 誘発させるような新機能の創成に期待される。

2.2 新機能の創成と消費の誘発

このような認識に立って、改めて、ITの結晶として、次々 に新機能を創成しながら消費を誘発し、自己増殖的な普及 を遂げた携帯電話の普及軌道にメスを入れて、新機能の創 成と消費の誘発との関係を分析した。 まず、1996 - 2006の間の日本の携帯電話の普及軌道を次 のバイ・ロジステックモデルによって分析して、非IP機能 の第1次携帯とIP機能付加後の第2次携帯それぞれの普及軌 道およびそれに付随する新機能創成過程を明らかにした [19]。 t a t a be N e b N Y Y Y 2 1 2 2 1 1 2 1 1 1+ − + + − = + =

Y(t): cumulative number of MP diffusion at time t; N1, N2: carrying capacities; a1, a2: velocity of diffusion;

b1, b2: initial stage of diffusion; and t: time trend by month (Dec. 95 =0, Jan. 96 =1).

結果は、図3および表1 に示とおりである。

IP: Internet Protocol Service

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 (year) (in 10 tho us an d)

N o n-IP m obile phone IP m obile phone C arrying capacity Mo b il p h onet o tal 1998 2001 1999/2 (1 0 t ho us an d) 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 (year) (in 10 th ou sa nd) -非I P携帯電話 I P 携帯電話 普及天 井 携 帯電話 1998 2001 1999/2 (1 0 t ho us an d) 図3. 日本の携帯電話の普及軌道 (1996年1月-2006年12月). 1 バイロジスティック成長モデルによる日本の携帯電話の普及 軌道推定(1996年1月-2006年12月) N1 a1 b1 N2 a2 b2 adj. R2 Parameter 35.147 0.074 5.198 65.418 0.036 14.028 0.999 t-value 2.25 4.59 3.26 3.81 6.74 1.33 N1 a1 b1 N2 a2 b2 adj. R2 Parameter 35.147 0.074 5.198 65.418 0.036 14.028 0.999 t-value 2.25 4.59 3.26 3.81 6.74 1.33 . 96/7 第 一次携帯本格立上 携帯利用者数 ポケベルを凌駕 97/10 携帯e-mail 開始 (Sky walker) 99/2 第一次携帯の出現 i-mode 開始 99/4 第 一次携帯成熟 第 二次携帯本格立上 IDO Ezweb 02/5 i-shot by NTT DoCoMo, au-shot by au 05/1 携帯利用者数 80百万人 1 t t# t2 0 ( ) a b 3 2 ln+ a b ln dt dY 2 2 dt Y d ( ) a b 3 2 ln− t t Y 3 3− N 2 N 3 3+N N 1 t t# t2 0 ( ) a b 3 2 ln+ a b ln dt dY 2 2 dt Y d ( ) a b 3 2 ln− t t Y 3 3− N 2 N 3 3+N N dYi dt dYi dt d2Yi dt2 d2Yi dt2 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 Ja n‐96 Ap r‐96 Ju l‐96 Oc t‐96 Ja n‐97 Ap r‐97 Ju l‐97 Oc t‐97 Ja n‐98 Ap r‐98 Ju l‐98 Oc t‐98 Ja n‐99 Ap r‐99 Ju l‐99 Oc t‐99 Ja n‐00 Ap r‐00 Ju l‐00 Oc t‐00 Ja n‐01 Ap r‐01 Ju l‐01 Oc t‐01 Ja n‐02 Ap r‐02 Ju l‐02 Oc t‐02 Ja n‐03 Ap r‐03 Ju l‐03 Oc t‐03 Ja n‐04 Ap r‐04 Ju l‐04 Oc t‐04 Ja n‐05Apr‐05Jul‐05 Oc t‐05 Ja n‐06 Ap r‐06 Ju l‐06 Oc t‐06

Estimate Second Wave First Wave

‐0.025 ‐0.02 ‐0.015 ‐0.01 ‐0.005 0 0.005 0.01 0.015 0.02 0.025 Ja n‐ 96 Ap r‐96 Ju l‐96 Oc t‐96 Ja n‐ 97 Ap r‐97 Ju l‐97 Oc t‐97 Ja n‐ 98 Ap r‐98 Ju l‐98 Oc t‐98 Ja n‐ 99 Ap r‐99 Ju l‐99 Oc t‐99 Ja n‐ 00 Ap r‐00 Ju l‐00 Oc t‐00 Ja n‐ 01 Ap r‐01 Ju l‐01 Oc t‐01 Ja n‐ 02 Ap r‐02 Ju l‐02 Oc t‐02 Ja n‐ 03 Ap r‐03 Ju l‐03 Oc t‐03 Ja n‐ 04 Ap r‐04 Ju l‐04 Oc t‐04 Ja n‐ 05 Ap r‐05 Ju l‐05 Oc t‐05 Ja n‐ 06 Ap r‐06 Ju l‐06 Oc t‐06 Second‐order derivative 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 Ja n‐ 96 Ap r‐ 96 Ju l‐96 Oc t‐ 96 Ja n‐ 97 Apr ‐97Jul‐97 Oc t‐ 97 Ja n‐ 98 Ap r‐ 98 Ju l‐98 Oc t‐ 98 Ja n‐ 99 Ap r‐ 99 Ju l‐99 Oc t‐ 99 Ja n‐ 00 Ap r‐ 00 Ju l‐00 Oc t‐ 00 Ja n‐ 01 Ap r‐ 01 Ju l‐01 Oc t‐ 01 Ja n‐ 02 Ap r‐ 02 Ju l‐02 Oc t‐ 02 Ja n‐ 03 Ap r‐ 03 Ju l‐03 Oc t‐ 03 Ja n‐ 04 Ap r‐ 04 Ju l‐04 Oc t‐ 04 Ja n‐ 05 Ap r‐ 05 Ju l‐05 Oc t‐ 05 Ja n‐ 06 Ap r‐ 06 Ju l‐06 Oc t‐ 06 First‐order derivative 96/7 97/10 02/05 99/04 05/01 99/02 dYi dti dt Y Y Y2 Y1 Y1 Y2 Y2 Y1 Y 96/7 99/02 99/04 dYi dti dt d2Yi dt2 d2Yi dt2 1 2 3 3 3 3 3 3 2 2 1 1 2 2 2 1 1 1 (1) (3) (1) (1) (2) (2) (2) (3) (3) 第一期の成熟時(3)に 第二期が本格立上((1)) 図4. 日本の携帯電話のダイナミズム (1996年1月-2006年12月) . 96/7 第一次携帯の本格立ち上げ (携帯電話ポケベルを凌駕) 97/10 (携帯e-mail の登場 ) 第二次携帯の出現99/2 (i-mode) 99/4 第二次携帯の本格立ち上げ (Ezweb) FD 2 t ) 1 ( 5 036 . 0 010 . 5 ) 2 exp( ) 3 2 ( 1 ) 3 2 ( ) 2 exp( 1 ) 2 exp( / ) 3 2 ln( ) 2 exp( ln ) 3 2 ln( 2 ) 3 2 ln( ) exp( 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 = = + + = − ⋅ + = ∴ − = − − = − − = − + = = a a b a b FD a a b a a b a b t t a b n FD Q (1) FD Δ 3 3+ t Δ t Δ(99/4 → 99/2) FD Δ ( 3+ 3→ 5) 第二次携帯FDの早期創成が携帯FDの持続的創成の鍵 (不安の払拭、飽和の回避、習熟の促進) 先行第一次携帯のイノベーションを踏み台にした第二次の躍進の仕方が鍵 早期出現 高新機能レベル Δt ΔFD 第一次携帯FD 第二次 携帯FD 携帯FD (包絡線) 図5. 日本の携帯電話の機能創成軌道. Mahajan 等 [10] は、新機能創成時点は、普及関数による2回 微分最大点に符合し、そのレベルは、ロジステック成長モデルにおい ては、3+ 3となることを明らかにしている。これに依拠して、先 の分析結果を用いて、第1次、第2次それぞれの携帯電話の新 機能創成時点を分析した。結果は図4に示すとおりである。 図4から、日本の携帯電話の新機能創成のダイナミズムを伺うこ とができる。ポケベルに代わる本格的な携帯時代は96/7で、その 時点の新機能創成レベルは、3+ 3であった。しかし、第2次携 帯の新機能創成は、99/2で、その新機能創成レベルは5であっ た。これは、図5に示すように、i-modeが先行イノベーションの学習 を貪欲に活用して、普及理論から期待される時点(99/4)より早 期に新機能を創成したことによる [19]。 携帯電話のユーザーは、i-modeの卓越機能に惹かれて、それ にシフトすることになり、結果、より高い新機能創成レベルの軌道 に乗り移ることになった。このような、「消費者のより高い新機能 創成レベルへの軌道への遷移」を通じて、携帯電話は、「新機能 の減衰宿命」から脱却することができ、それが、自己増殖的普 及の持続を可能にすることができた要因である [19]。 イノベーションの普及過程は、以上の例に見られるように、次々と 生み出されるより卓越した新機能製品への遷移過程であり、一 連のイノベーションの新機能創成軌道は、それぞれの新機能創成 レベルの包絡線として描くことができる。図5は、この包絡線を示 す。 以上の分析から次のような示唆が得られる。 (i) イノベーションの普及過程は、より卓越した機能創出をね らい に、次々に生み出される新たなイノベーションへの遷移過程で ある (ii) 減衰宿命を有する新機能創成を持続させるためには、後継 イノベーションがより高いレベルの新機能創成を成し遂げることが 必要である (iii) これは畢竟、新機能の早期創成にほかならない (iv) 新機能の早期創成は、先行イノベーションを踏み台にその学 習成果を効果的に活用することによってのみ可能となる (v) これは、先行イノベーションを学習した消費者と新たなイノベーショ ンとの共鳴現象にほかならない

(4)

3.共鳴理論:

イノベーションの消費扇動力と消費者の

イノベーション主導意欲との共鳴

3.1 携帯電話の自己増殖サイクルと社会の利用サイクル

の共鳴

以上にみたように、携帯電話の自己増殖的な新機能の持続 的創成は、先行イノベーションを踏み台に、その学習成果を効果 的に活用して、新機能の早期創成に成功したことによる。そし て、先行イノベーションの効果的学習は、より卓越した新機能を希 求しつつ、自らの体験の蓄積を通じて、新たなイノベーションへの 推移に際して、不安を払拭し、飽和を回避し、同時に、習熟を 促進せんとして、旺盛な学習を重ねる消費者の潜在的なイノベ ーション主導意欲と、新たなイノベーションの消費扇動力との共鳴に よってなされる。 このような消費者の学習行動を、図6に示すような社会の利 用サイクルととらえて、携帯電話のより高い新機能創出を追求し つつ持続的新機能創成を図る自己増殖サイクルとの共鳴現象を 分析した。社会の利用サイクルは、ポケベルや、ウオークマンから発す る一連の携帯電話に対する蓄積学習のサイクルを示すものであ る。

Trajectory of carrying capacity

Market condition Initial target setting, cumulative

learning, various participants, etc.

Institutional spiral trajectory IT driven self-propagating trajectory

Phase of interactions

Timet Timet

Trajectory of carrying capacity

Market condition Initial target setting, cumulative

learning, various participants, etc.

Institutional spiral trajectory IT driven self-propagating trajectory

Phase of interactions Timet Timet 図 6. 携帯電話の自己増殖サイクルと社会の利用サイクルの共鳴. 図7は、フーリエ関数を用いて、非IP機能の第1次携帯、IP機能 付加後の第2次携帯それぞれについて、周波数と周波数の推 移過程とその過程における周波数の波の強さを示すピリオドグラ ムを示したものである [9]。 Pe r iodo gram 0 .0 0 E+ 0 0 5 .0 0 E+ 1 1 1 .0 0 E+ 1 2 1 .5 0 E+ 1 2 2 .0 0 E+ 1 2 2 .5 0 E+ 1 2 3 .0 0 E+ 1 2 3 .5 0 E+ 1 2 0 5 1 0 1 5 2 0 2 5 3 0 3 5 図 7. 携帯電話のピリオドグラム比較. 図7をみると、いずれも普及の初期時点では高い共鳴を示 すも、第1次携帯は急速に低下したのに対して、第2次携帯は 総じて、高い共鳴レベルを持続していることがうかがわれる。 これは、第2次携帯が、第1次携帯とは打って変わって、IP機 能をてこに次々と、当初の通話機能を超えた革新的な新機能 を創成させつつ自己増殖的普及を持続させた現象と符合し、イ ノベーションそのものの新機能をてことする消費扇動力と、消費者 の内包する潜在的なイノベーション主導意欲との共鳴を裏付ける ものである。

3.2 超機能の協創ダイナミズム

以上に見た、第2次携帯電話に顕著にみられるその自己増 殖サイクルと社会の利用サイクルとの共鳴は、「環境は人間に対して 何かなすべきことを誘っている」との認識に端を発する Gibson のアフォーダンス理論 [6, 7] を裏打ちするものである。 形がよいイスを見ると、座ってみたくなる。立派な万年筆を 手にすると、何か書いてみたくなる。太鼓とバチが置いてあれ ば、たたいてみたくなる。これらのモノには、人間に特定の行動 を促す秘密の信号が満ちている。 消費者は、売り場に入った途端、顔つきが変わる。行列に並 んだ途端、オーラに満ちる。ここにも、売り手が思いつかないア イデアを引き出す秘密の信号が満ちている。 消費とは、モノ、消費者双方が発する信号が共鳴することに よって新たな機能が創り出される創造行為そのものである。 携帯電話に見た共鳴現象は、イノベーションの消費扇動力と 消費者のイノベーション主導意欲との共鳴であり、まさに、モノ、消 費者双方が発する信号が共鳴することによって新たな機能が 創り出される創造行為を体現するものである (図8)。 図 8. 超機能の協創ダイナミズム. この共鳴を通じて、消費者は、忘れていた過去に経験した忘 れがたい喜びを思い出したり、新たな価値を啓発されたりする のである。ノーベル経済学賞のモデイリアニは、「人々は過去に味わ った最高の消費を忘れられず、それが生涯の消費行動を規定 する」 [13] と指摘したが、この共鳴は、「過去に味わった最高の消費」 を思い出させるものであり、それは、新たな価値の啓発と相まって、 Watson, McDonagh [12, 22] の説く、経済的機能を超えた文化的

(cultural)・社会的 (social)・同族的 (tribal)・精神的 (spiritual)・

感情的 (emotional)・憧憬的 (aspirational) 機能を包摂する超機 能の創成への道を示唆するものである。 これは、マズローの示す5段階の欲求階層 ①生理的欲求(食べ 物・水・睡眠)、②安全の欲求(保険・安全)、③社会的欲求(親交・友 情・恋愛)、④自尊欲求(達成感・自尊心・名声)、⑤自己実現の欲 求(自己実現・人生を豊かにする経験)、に従った上位欲求志向の 方向とも符合する。 表2は、この10年間の携帯電話の「ウリ」の推移をみたもので あり、以上の方向へのシフト傾向を裏付ける。 表2 携帯電話の「ウリ」の推移の1例 (東芝の例) 2000 カラー・メロデイ・画像 CS10T 2001 ステレオ音声・高画質 C5001T 2002 なめらかムービー A5301T 2003 メガピクセル・ビデオ A5501T 2004 マルチメデイア W21T 2005 スリムボデイで持ち歩く W32T 2006 エモーショナルなデザイン DRAPE 2007 リバーシブルスタイル W56T 2008 スポーツで、もっと楽しく Sportio 2009 グローバルパスポート T002 情報化社会における企業の競争力戦略は、生産・普及・ 消費の間の共進ダイナミズムの中で内生的に新機能を持続創 生させることが鍵となり、消費を誘発させるような新機能 の創成がそのトリガーをなすことを考えると、以上の協創を いかに実践的に実現するかがきわめて重要な課題となる。 携帯電話の自己増殖サイクル 社会の利用サイクル IP携帯電話IP携帯電話 周波数の波の強さ 周波数 共 進 的 内 生 化 の 加 速 を 通 じ た 超 機 能 の 協 創 イノベーションが 発する消費誘引力 革新的商品・サービス 消費者が内包する イノベーション 主 導 意 欲 消 費 者 消費者が内包する イノベーション 主 導 意 欲 消 費 者 共 鳴

(5)

4.学習理論:

イノベーション・消費者双方の学習を媒

介にした共鳴

イノベーションの消費扇動力と消費者のイノベーション主導意欲と の共鳴を促すイノベーションと消費者との協創をいかに実践的に 実現するかが、今日求められる経済機能を超えた超機能創成 の要諦となり、また、共鳴は、消費者の学習を媒介としてなされ ることを考えると、その学習が実践性の鍵を握り、それにメスを 入れることによって、実践的な技術経営への示唆を得ることが 期待される。 このような問題意識に立脚して、図9は、携帯電話を取り巻く 周辺技術製品を対象に、それぞれの動態学習係数の推移を 計測し[5]、その結果をもとに、Granger の因果性検定によっ て、相互の学習効果の因果性を検証したものである [24]。 図9. 携帯電話周辺技術製品の学習効果の因果性(2000-2007)

.

また、図9は、このような相互の学習を、ウエーブレット解析に よって、相互の共鳴現象としてその頻度の面から検証したもの である [24]。 図10. 携帯電話の学習頻度:ウエーブレット解析 (2000-2005)

.

図9をみると、携帯電話はそれを取り巻くすべての周辺技術 製品と直接・間接に深い学習関係を有し、周辺技術製品間に 学習連鎖を形成し、各技術製品の新機能創成を助長し、それ がまたより深い広範な学習連鎖を加速するというスパイラルな共 進サイクルを形成していることがうかがわれる。これが、携帯電話 の普及過程における自己増殖的な持続的新機能創成を導い ていることがうかがわれる。 図10は、以上の携帯電話と、それを取り巻く周辺技術間の学 習は、先に見た両者間の共鳴現象にも符合することを示してい る。携帯電話への周辺技術の搭載や、周辺技術の利用に習熟 した消費者の携帯電話使用を通じて、両者の間に、「イノベーショ ンの消費扇動力と消費者のイノベーション主導意欲との共鳴」 が起 こっていることがうかがわれる。 図10からうかがわれる携帯電話のカメラとの共鳴は図11に見る 学習係数の急上昇時期とも符合し、携帯電話のカメラ機能の搭 載は、携帯電話にカメラからの学習を促進させ、その結果その学 習係数も大きく伸びたことが裏付けられる。 0.5 0.52 0.54 0.56 0.58 0.6 0.62 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 lear ni ng c oeffi ci en t ( λ) 3 7 2 5 1 1.78 10 1.80 10 10 76 . 5 × ×t + ×t = λ

Feb. 2002 Turning point: Jun. 2002

May 2002: Mobile camera feature offered by NTT Docomo and au KDDI

図11. 携帯電話の学習系数の推移 (1997-2006). 携帯電話が6000万台の巨大市場に呱々の声を上げたのは 1990年代の初めである。それは10年を経ずして固定電話の普 及台数を凌駕し、誰もが考えもしなかった1億全保有の世界を 作り上げた。その軌跡は、以上の学習連鎖を媒体とした相互の 共進的な共鳴に負う。小鳥がそのかよわさの代わりに百獣の王 もかなわぬ特技を持っているように、携帯電話は他のハイテク製 品が持ちえない携帯可という必殺の特技を持つ。軽薄短小の この新参者が6000万台の巨大市場で伸びていくためには先輩 から学習し、その成果を必殺の特技と融合させて新しい機能を 創出していく以外にはない。カーナビ、デジカメ、オーデイオ、テレビ、 ビデオカメラ、録画再生装置等が先輩役を果たし、その忠実な弟 子は、抜群の学習能力を発揮した。 以上の分析はこのダイナミズムを鮮明に示すものである。注意 すべきは、学習機会を提供した製品の方も、携帯電話にその 機能を搭載することによって自らも学習して飛躍したことである。 パナソニックは、ワンセグ視聴に秀でたVIERAケータイの開発にテレビ 事業部を中心に100人の人材を投入した。この100人は、持ち 込んだ技術の携帯への搭載を通じて得た小型化、薄型化の学 習をもとの事業に反映させ薄型テレビの躍進に貢献した。 かくして、携帯電話は、共進的内生化の寵児として、固有の 強みをてこに、周辺技術を旺盛に学習して、両者を融合させつ つ新たな機能を構築し、それが学習提供者のさらなる進歩を促 し、その進歩を貪欲に吸収しつつスパイラルな発展を遂げてき たのである。 以上の分析は、次の仮説的見解を裏付けるものである。 (i) 携帯電話それを取り巻くすべての周辺技術製品と直接・間 接に深い学習関係を有し、学習連鎖を形成、 (ii)この連鎖は各技術製品の新機能創成を助長し、それがまた より深い広範な学習連鎖を加速するというスパイラルな共進サイ クルを形成 (iii)自己増殖的な持続的新機能の創成は、この共進サイクルに 負い、これは製品間、イノベーション・消費者間の共鳴現象 とも符合する。 周波数 低 高

(6)

5.最適化理論:

超機能創成軌道の分析

5.1 最適新機能創成ダイナミクス

以上の、技術製品間や消費者を通じた学習連鎖を媒介にし たイノベーションの消費扇動力と消費者のイノベーション主導意欲との 共鳴によって経済的機能を超えた超機能が創成されることを検 証するために、最適化理論に基づき、超機能創成軌道を明ら かにして、現実的にとらえられる新機能創成軌道 (図5) とのか い離を分析した。このかい離は、超機能教授の障壁 [22] を表わ すものである。 以上をねらいに、最適化理論を用いて、(i) 効用を最大化さ せる投資強度(売上あたり投資)、(ii) コスト最少、(iii) 新機能創 成 (FD) 最大、を同時に満足する条件を求めることによって、至 上の消費満足を導く最適FD軌道を求めた。 この最適軌道は、経済的機能を超えた超機能を実践的な技 術経営として実現するものである必要があり、① 超機能の背後 のユーザーの潜在的欲望を反映し、②その技術的可能性に立 脚し、かつ③ ビジネスとして成立し発展しうるものであり、同時 に三者を三立させるものである必要がある。そのため、(i), (ii) は、経済価値で表わし(③の条件の充足)、(iii)は、第2節で行っ た現実現象としての普及軌道に立脚して (①、②の条件の充足)、 3条件の同時解を求めた。 ) (t Y Y= 生 産 普及天井 新機能創成 投資強度 (i) 効用を最大化させる 投資強度 (ii) コスト最小 (iii) 新機能創成最大 最適FD軌道 イノベーションに対する抵抗 を新たなイノベーションへの 喜びに代替する超機能 ) (t N N= ) ( / ) ( ) (t NtYt FD FD= = ) ( / ) ( ) (t NtYt s s= =& 図12. 最適新機能創成導出システム. 2.2 で分析したように、バイ・ロジステックモデルによ り、1996 - 2006の間の日本の携帯電話の普及軌道を非IP機 能の第1次携帯とIP機能付加後の第2次携帯に分けてそれぞ れの普及軌道およびそれに付随する新機能創成過程を分 析した結果、図13に整理されるように、第1次携帯段階に 97/10にSky Walker によりe-mail 伝送機能が付加され、それ が第2次に向けた新たな取り組みと融合して、99/4の第2次 携帯につながり、同時に第1次携帯はその使命を終えた。 NTT DoComo によるi-mode はこのような融合をベースに 新機能の創出を加速化して,新機能の持続的創出を可能に した発展軌道が浮き彫りにされる。この軌道は、図5に示 した通りである。 1st MP (non-IP)

1 96/7 MP exceeded message exchange

2 97/10 MP e-mail transmission transfer/fusion (Sky Walker)

2nd MP (IP)

3 99/4 Stagnation 1 99/4 MP with IP

1’ 99/2 i-mode

2 02/5 MP with camera 3 05/1 reached 80 mil. (stagnation)

Sustainable FD ← Earlier emergence of FD

13. 日本の携帯電話の新機能の持続的創成のダイナミズム. 以上の、現実現象としての普及軌道に立脚して、先の3条件 を充足する最適軌道を求めた。その結果は図14に示すとおり である。3条件を満たす最適軌道は、図14に示すように、普及 速度 aおよび技術製品の陳腐化率 (1/製品ライフ: ρ) に支配さ れることが分かる [14, 20, 26]。最適軌道の計測に当たっては、 表1に示す実際の普及軌道から計測される普及速度および図4 からうかがわれる製品のライフサイクルを用いた。これらは、技術製 品が存分に新機能を追求し、消費者がそれを十分に知覚し、 かつそれを妨げる障壁や不安 [3] がない状況下で技術製品aid 間の競争がフルに追及され、① 超機能の背後のユーザーの潜在 的欲望の反映、②その技術的可能性に立脚、③ ビジネスとして の利潤最大化追求、のもとでの新機能創成軌道を表す。

5.2 超機能創成軌道

) ) ) 1 ( ) ( 4 ( ( ) ( 2 2 1 2 * a a a a a a a FD= +ρρ⋅−+ +⋅ +ρ⋅ρ⋅ +

Trajectory under certain investment intensity (cost minimum) that maximizes utility function (utility

maximum) leading to utmost gratification of consumption (FD maximum)

1. 「超機能」は、経済的価値を超えた社会的、

文化的、憧憬的、感情的なニーズを包摂 (McDonagh, 2008).

2. Sky Walkerによる携帯によるe-mail

送受信カスタマー主役の物語性を有する 同様の価値を内包したフロンティアを開拓 t 3 3+ Jul. 1996 1stgeneration Apr. 1999 2ndgeneration 4.223 * FD1 6.306 * FD2 Feb. 1999 現実軌道 最適軌道 (Envelope curve) Optimal FD dynamics which satisfies (ii) Cost minimum

(i) Investment intensity maximizing utility

(iii) FD maximum 0 = ∂ ∂ s H 0 ) ( ) ( 2 1 = = • • t C t C 0 = =• • θ FD FD# 97/10 5 4.923 t# 427 . 1 038 . 0 t FD= 954 . 0 204 . 0 t FD= 0.015 0.036 Y2 0.030 0.074 Y1 ρ a イノベーション の抵抗 超機能 Sky Walker 新機能創成 レベル 図14. 日本の携帯電話の実際軌道と最適軌道の比較 (1996-2006). 図14をを見ると最適新機能創成軌道は、当初、実際軌道 (現 実現象としての普及軌道をベースとした新機能) より低い水準をた どったが、97/10 に、Sky Walkerによるe-mail 伝送の出現と軌を 一にしてそれを凌駕している ことがわかる。これは、超機能がイ ノベーションに対する抵抗 (Bauer) [3] に代替し、また追随者 (最適軌道)が主導者(実際軌道)に代替している可能性を示唆 するものである。Sky Walkerは、e-mail 伝送という、自らが主役 になるような物語性を有し消費者をわくわくさせるような,新機能 の新たなフロンティアを開拓することにより、携帯電話に従来の 経済価値を越えた文化的・社会的・同族的・精神的・感情的・ 憧憬的満足を与える超機能を付加したことがうかがわれる。 そのトリガーとなった e-mail 伝送の出現は、まさに、イノベーションの 消費扇動力と消費者のイノベーション主導意欲との共鳴の賜物であり、 携帯電話そのものに新たな機能を有する技術製品が搭載され、そ れに内包される先行イノベーションが学習され、また、携帯電話とは別 にそれら技術製品の仕様に習熟した消費者がその学習成果を秘 めて携帯電話を利用する過程で、消費者の学習成果が携帯電話 と共鳴して、新たな機能を付加したり、消費者に忘れていた過去の 消費の喜びを想起させたりしたのである。 このような、共鳴が起こる瞬間は、「創造的瞬間 (Creative Moment)」 と 言 わ れ [23] 、 携 帯 電 話 の 場合には、97/10のSky Walkerによるe-mail 伝送の出現がこの瞬間を画したことになる。 それは、e-mail伝送機能を取り込んだイノベーションが、消費を扇動 する信号を発し、これが、消費者が本来的に内包するイノベーション 主導意欲を触発し、消費者のe-mail 利用経験に立脚する学習 成果を想起させ、消費者サイドからのイノベーション誘発信号を発し、 双方の信号が共鳴し合って、図7に示したような相互に啓発し好 循環に基づくスパイラルな共鳴を持続させることになった。 経済的機能を超えた超機能はこのようにして持続的に創成さ れることが期待される。その実践的実現のためには、イノベーション の供給者、その消費者、それを実現する社会総体が次のようなシ ステムを構築することが必要・不可欠である。 (i) イノベーションそれ自体が搭載技術製品や利用者の学習成果を フルに取り込み、消費者のイノベーション主導意欲を覚醒させ、励 起する信号の持続的発信、 (ii)消費者自身も生涯の学習成果をたえず活性化させ、好奇心、 学習意欲を研ぎ澄まし、イノベーションを誘発する信号の持続的 発信、 (iii)社会全体に、新たなイノベーションに対する抵抗を払拭する制 度・慣行を奨励し、またイノベーションの消費扇動信号と消費者の イノベーション誘発信号のぶつかる場の増大、 (iv)以上を通じ、イノベーションが消費者の創造性を啓発し、新たな 学習を想起・励行させ、新たなイノベーションパターンを作り出す、 という共進的なサイクルの構築、 (v)以上のサイクルの帰結としての、歴史が世代を作り、世代が新 たな欲望を進化させ、欲望が歴史を創造し、それが新しい世 代を創造する [25] というインステイテューショナルな共進ダイナミズム の構築。

(7)

6.結 論

ポスト大量消費社会を迎え、従来の生産や生産・普及中心 のイノベーションに限界が表れ、消費をも一体化させ、生産・普及・ 消費の3者が相互に啓発し合う好循環サイクルの中で内生的に 新機能を持続創生するような共進モデルへの転換が不可欠にな ってきているとの認識に立脚して、 (i) 普及理論を用いて、情報化社会における持続的成長に果た す新機能創成の役割および新機能変遷の軌道を分析 (ii) 共鳴理論を用いて、この変遷過程における新機能の創成を イノベーションが発する消費扇動力と、消費者が内包するイノベー ション主導意欲との共鳴との視点で分析 (iii) 学習理論を用いて、この共鳴が、イノベーション、消費者双方 の学習を媒介になされていることを分析 (iv) 最適化理論を用いて、超機能創成の軌道を分析し、超機能 創成の「創造的瞬間」を解明 この結果、新たな時代の技術経営に資す次の知見を導出 1-1 イノベーションの普及過程は、より卓越した機能創出をね ら いに、次々に生み出される新たなイノベーションへの遷移過程 1-2 減衰宿命を有する新機能創成を持続させるためには、後 継イノベーションがより高いレベルの新機能創成を成し遂げること が必要 1-3 これは畢竟、新機能の早期創成にほかならない 1-4 新機能の早期創成は、先行イノベーションを踏み台にその学 習成果を効果的に活用することによってのみ可能 1-5 これは、先行イノベーションを学習した消費者と新たなイノベーシ ョンとの共鳴現象にほかならない 2-1携帯電話に顕著にみられるその自己増殖サイクルと社会の利 用サイクルとの共鳴は、アフォーダンス理論を裏打ち 2-2 この共鳴を通じて、消費者は、忘れていた過去に経験した 忘れがたい喜びを思い出したり、新たな価値を啓発されたりし て経済的機能を超えた超機能の創成への道を示唆 2-3 これは、マズローの示す5段階の欲求階層に従った上位欲 求志向の方向とも符合 3-1 携帯電話それを取り巻くすべての周辺技術製品と直接・間 接に深い学習関係を有し、学習連鎖を形成、 3-2 この連鎖は各技術製品の新機能創成を助長し、それがま たより深い広範な学習連鎖を加速するというスパイラルな共進サ イクルを形成 3-3自己増殖的な持続的新機能の創成は、この共進サイクルに 負い、これは製品間、イノベーション・消費者間の共鳴現象 とも符合 4-1 イノベーションそれ自体が搭載技術製品や利用者の学習成果 をフルに取り込み、消費者のイノベーション主導意欲を覚醒させ、 励起する信号の持続的発信、 4-2 消費者自身も学習成果をたえず活性化させ、好奇心、学習 意欲を研ぎ澄まし、イノベーションを誘発する信号の持続的発信、 4-3 社会全体に、新たなイノベーションに対する抵抗を払拭する制 度・慣行を奨励し、またイノベーションの消費扇動信号と消費者の イノベーション誘発信号のぶつかる場の増大、 4-4 以上を通じ、イノベーションが消費者の創造性を啓発し、新たな 学習を想起・励行させ、新たなイノベーションパターンを作り出す、 という共進的なサイクルの構築、 4-5 以上のサイクルの帰結としての、歴史が世代を作り、世代が 新たな欲望を進化させ、欲望が歴史を創造し、それが新しい 世代を創造する というインステイテューショナルな共進ダイナミズムの 構築。 今後、各国のインステイテューションに照らした企画分析が重要。

参考文献

[1] J. Attali, Au Propre at au Figure: Une Historie de la Propriete, Librarie Artheme Fayard, Paris (1988).

[2] K. Anderson, “Ethonographic Research: A Key to Strategy,” Harvard

Business Review 87, No. 3 (2009).

[3] M. Bauer, Resistance to New Technology, Cambridge University Press, Cambridge (1995).

[4] T. Brown, “Design Thinking,” Harvard Business Review 86, No. 6 (2008).

[5] M.V. Geenhuizen and C. Watanabe, Technological Innovation Across

Nations: Co-evolutionary Development, Springer, New York (2009).

[6] J.J. Gibson, “The Theory of Affordances,” in R. Shaw and J. Bransford (eds.), Perceiving, Acting and Knowing, Erlbaum, Hillsdale, NJ (1977).

[7] J.J. Gibson, The Ecological Approach to Visual Perception, Houghton Mifflin, Boston (1979).

[8] G. Hofstedo, Cultures and Organizations, McGraw-Hill International, London (1991).

[9] R. Kondo, C. Watanabe and K. Moriyama, “A Resonant Development Trajectory for IT Development: Lessons from Japan’s i-mode,” International

Journal of Advances in Management Research 4, No. 2 (2007) 7-27.

[10] V. Mahajan, E. Muller and F.M. Bass, “New Product Diffusion Models in Marketing: A Review and Directions for Research,” Journal of

Marketing 54 (1990) 1-26.

[11] R. Martin, “The Design of Business,” Rotman Management, Winter edition (2004) 7-10.

[12] D. McDonagh, Satisfying Needs beyond the Functional: The Changing Needs of the Silver Market Consumer, Proceedings of the International

Symposium on the Silver Market Phenomenon - Business Opportunities and Responsibilities in the Aging Society, Tokyo (2008).

[13] T. Modigliami, Life Cycle Hypothesis of Savings, the Demand for

Wealth and Supply of Capital, A Paper Presented to the Rome Congress

of Econometic Society (1965).

[14] Tokyo Institute of Technology, The Science of Institutional

Management of Technology: Elucidation of Japan’s Indigenous Co-evolutionary Dynamism and Its Accrual to Global Assets, Tokyo

Institute of Technology, Tokyo (2009).

[15] C. Watanabe, “Trends in the Substitution of Production Factors to Technology,” Research Policy 21, No. 6 (1992) 481-505.

[16] C. Watanabe, “Systems Option for Sustainable Development,” Research

Policy 28, No. 7 (1999) 719-749.

[17] C. Watanabe, S. Lei and N. Ouchi, “Fusing Indigenous Technology Development and Market Learning for Higher Functionality Development: An Empirical Analysis of the Growth Trajectory of Canon Printers,” Technovation 29, No. 2 (2009) 265-283.

[18] C. Watanabe, Managing Innovation in Japan: The Role Institutions Play

in Helping or Hindering How Companies Develop Technology, Springer,

Berlin (2009).

[19] C. Watanabe, K. Moriyama and J. Shin, “Functionality Development Dynamism in a Diffusion Trajectory: A Case of Japan’s Mobile Phone Development,” Technological Forecasting and Social Change76, No. 6 (2009) 737-753.

[20] C. Watanabe, M. Nasuno and J. Shin, “Utmost Gratification of Consumption by means of Supra-Functionality Leads a Way to Overcoming Global Economic Stagnation,” Journal of Services

Research (2010) in print.

[21] C. Watanabe, J. Shin, J. Heikkinen, W. Zhao and C. Griffy-Brown, “New Functionality Development through Follower Substitution for a Leader in Open Innovation,” Technological Forecasting and Social

Change (2010) in print.

[22] B. Watson and D. McDonagh, “Supra-functionality: Responding to Users Needs beyond the Functional,” Engineering Designer 30, No. 5 (2004) 8-11.

[23] 石井淳蔵、ビジネス・インサイト-創造の知とは何か、岩波書店、東京 (2009). [24] 菅野元亮、日本における民生用電子機器の共進ダイナミズムの分析、 東京工業大学、東京 (2009). [25] 松田久一、買わない理由、買われる方法、朝日新聞出版、東京 (2010). [26] 渡辺千仭、「イノベーションとインステイテューションの共進-日本型技術経営の盛衰」、東京工 業大学、インステイテューショナル技術経営学-日本型共進ダイナミズムの解明と世界価値への昇 華:21世紀COEプログラム最終成果報告書、東京工業大学大学、東京(2009) 21-34. [27] 渡辺千仭、「ポスト大量消費社会に向けた超機能主導経営-ハイブリッド経営学と福 祉心理学の融合」、研究・技術計画学会第24回年次学術大会予稿集、東京(2009) CD-ROM IC03.

参照

関連したドキュメント

平均的な消費者像の概念について、 欧州裁判所 ( EuGH ) は、 「平均的に情報を得た、 注意力と理解力を有する平均的な消費者 ( durchschnittlich informierter,

・3 号機 SFP ゲートドレンラインからの漏えいを発見 ・2 号機 CST 炉注ポンプ出口ラインの漏えいを発見 3 号機 AL31 の条件成立..

(圧力調整用消火ポンプ:5,6,7 号炉共用 電動駆動消火ポンプ:5,6,7 号炉共用 ディーゼル駆動消火ポンプ:5,6,7 号炉共用 ろ過水タンク:5,6,7 号炉共用 及び

・Syslog / FTP(S) / 共有フォルダ / SNMP

①正式の執行権限を消費者に付与することの適切性

イ. 使用済燃料プール内の燃料については、水素爆発の影響を受けている 可能性がある 1,3,4 号機のうち、その総量の過半を占める 4 号機 2 か

液位「高高」側 ※1 の信号によ り警報が発生することを確 認する。. 液位「高高」側 ※1

本部長は,2 号機,3 号機及び 6 号機の SFP 漏えい事象が同時に発生した場