Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
№24:低ホスファターゼ症における石灰化不全改善の
ための新規治療法の開発
Author(s)
高橋, 有希; 棚瀬, 稔貴; 松永, 智; 阿部, 伸一; 新谷,
誠康; 笠原, 正貴
Journal
歯科学報, 119(3): 245-245
URL
http://hdl.handle.net/10130/4902
Right
Description
目的:低ホスファターゼ症(HPP)は,組織非特 異的アルカリホスファターゼ(TNALP)遺伝子の 変異により生じる先天性疾患で,硬組織の石灰化不 全,病的骨折,呼吸困難,痙攣発作,乳歯の早期脱 落,歯槽骨喪失を主徴とする。現在,アスホターゼ アルファを使用した酵素補充療法が行われている が,酵素の半減期が短いため,長期間の反復投与の 必要性があり,また侵襲性も高い。さらに,現在行 われている酵素補充療法は,延命効果のみに焦点が 当てられ,硬組織に関する問題は解決されておら ず,その改善が可能な新規治療法の開発が急がれ る。これまでに我々は,8型アデノ随伴ウイルス (AAV8)ベ ク タ ー に よ る 遺 伝 子 治 療 に よ り, HPP モデルマウスに対し,単回投与で長期安定し た酵素補充を可能とすることを報告した。しかし, 延命効果が得られた治療マウスの大腿骨や下顎骨を 解析した結果,伸長不全や石灰化不全,さらに軟骨 細胞層の異常増殖やセメント質の欠如などの治癒不 全が確認された。したがって,本研究では,大腿骨 の伸長不全が改善可能な至適 AAVベクター量を投 与した治療マウスにおける,石灰化不全や軟骨細胞 層の配列異常の改善の可能性を検証することとし た。 方法:生後1日齢の HPP モデルマウスの大腿四頭 筋に,TNALP を発現するように構築した AAV ベ クターを筋肉注射し,90日齢における血中 ALP 活 性,延命効果,体重,行動量を観察した。また, 骨・軟骨については放射線学的解析,および川本法 による薄切切片作製後,H&E 染色,アルシアンブ ルー染色,ALP 染色を施し組織学的解析を行った。 結果:4.5×1012 vector genome/body の高用量で遺 伝子治療を行った結果,大腿骨での ALP 補充量の 増加が確認され,行動量の正常化,大腿骨の形態不 整や伸長不全の改善が確認され,さらにマイクロ CT 解析により,骨密度に関しても改善が認められ た。 考察:今回の結果より,硬組織に十分な量の ALP を補充することにより,生後でもその形態不整や伸 長不全の改善が可能であることが示唆された。この ことから,硬組織における適正量 ALP を補充する ことにより,重症乳児 HPP 患者の QOL を高めら れる可能性があると考えられる。今後,安全性の評 価,発現効率の上昇による投与ベクターを減量した うえでの局所 ALP 濃度増加等を検討していく予定 である。 目的:Apert 症候群は FGFR2遺伝子点変異(Ser 252Trp ま た は Pro253Arg)に よ る FGF 情 報 伝 達 経路亢進と骨芽細胞分化促進,石灰化亢進,頭蓋骨 の早期癒合を特徴とする稀少遺伝性疾患で,ヒト由 来の疾患モデルは未だ報告されていない。本研究は 当院矯正歯科に来院している Apert 症候群患者の 口腔粘膜上皮より,疾患特異的 iPS 細胞を樹立し, 骨芽細胞あるいは軟骨細胞分化過程の異常の有無と 機序を詳細に明らかにし,Apert 症候群の発症機序 の解明を行うことを目的とした。 方法:本研究は本学倫理員会の承認を得ている(承 認番号751)。Apert 症候群患者より採取した頰粘膜 から線維芽細胞を分離後,ゲノム DNA を抽出し FGFR2遺伝子変異をサンガー法により確定した。 その後,患者由来線維芽細胞へ SeVdp(KOSM302 L)ベクターを感染させ,iPS 細胞を樹立した。こ の細胞に対して骨芽細胞分化誘導を行った1)。ま た,中胚葉分化培地と軟骨細胞分化培地を用いて軟 骨細胞分化誘導を行った。 結果:本研究で用いた Apert 症候群患者の変異部 位は Ser252Trp のヘテロ変異であることを同定し た。Apert 症候群患者より分離した線維芽細胞から 疾 患 特 異 的 iPS 細 胞 の 樹 立 を 行 い,未 分 化 マ ー カー,三胚葉分化マーカー,テラトーマ形成を確認 し未分化性,多能性を有することを確認した。樹立 した iPS 細胞を骨芽細胞分化誘導し,OSX,RUNX 2などの骨芽細胞分化マーカーの発現を確認した。 Apert 症候群の iPS 細胞を軟骨細胞分化誘導し,浮 遊培養でパーティクルを作製した。また HE 染色, サフラニン O 染色,トルイジンブルー染色を行い 軟骨分化を確認した。 考察:樹立した Apert 症候群疾患特異的 iPS 細胞 は骨芽細胞,軟骨細胞に分化可能であった。今後は これらの細胞をコントロール細胞と比較し,分化異 常機序を確認することにより Apert 症候群の発症 機序の解明を行う予定である。 1)
PLoS One.2014 9⑹:e99534