ニュージーランドの地熱系
著者
田口 幸洋, HEDENQUIST Jeffrey W.
雑誌名
南方海域調査研究報告=Occasional Papers
巻
11
ページ
41-70
別言語のタイトル
Geothermal Systems in New Zealand
URL
http://hdl.handle.net/10232/16104
鹿児島大学南方海域調査研究報告NQ11(1987)「古地熱系と活地熱系■
ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド の 地 熱 系
田口幸洋(九州大学生産科学研究所) JeffreyW,Hedenquist(DSI.R、,Wairakei,N、Z.) I は じ め に ただ今ご紹介頂きました田口でございます。本来ならHedenquist博士が来て話す予定だった のですが,なかなか都合がつかず来れませんので変わりに話させて頂きます。 皆さん御存じと思いますが,ニュージーランドはオーストラリアの東方に位置しておりまして, 面積は本州と九州それに四国の4分の1をたした位の大きさです。そこにはわずか330万人しか 住んでおりません。福岡県の人口より少なく,鹿児島県の人口の2倍半位で非常に人口密度の低 い国であります。なお,羊は7,000万頭,牛800万頭でこれら全て含んで日本の人口密度にほぼ 等しいと言ったところで、す。 今日お話しするニュージーランドの地熱帯は,ニュージーランド北島の中心部を北北東から南 南東へむけて位置しているタウポ火山帯内に分布しています(第2図参照)。このタウポ火山帯は 幅20∼45kmで長さは240kmにおよんでいます。このなかには数多くの地熱帯があり,今日お 話するのはこの中で、も主にワイラケイ,ブロードランド,ワイオタプといったところで、す。 今日は,まずこのタウボ火山帯内の地熱帯をつくっている一般的な地質構造についてお話して, 次にこの火山帯内の各地熱帯をスライドで見ていきます。なおこれらの地熱帯では地熱活動に伴 って,現在金が熱水より沈殿しつつあります。今や鹿児島県は金鉱床で世界的に有名になってま いりましたが,金鉱床は過去の地熱活動の産物であります。そこで,最後にタウポ火山帯内の現 在の地熱活動で生成しつつある金鉱床の生成メカニズムについてお話ししたいと思います。 I I 地 熱 開 発 の パ イ オ ニ ア 。 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 世界で最初の地熱発電は1913年にイタリアのラルレデロで、開始されましたが,これは蒸気だけ が得られる地熱帯(蒸気卓越型)でのことです。一方,ニュージーランドは深部地熱流体から蒸 気だけを分離する装置(セパレーター)を開発し,1958年にワイラケイで世界に先駆けて熱水卓 越型の地熱帯での発電を開始いたしました(Photo.l)。これを機に,世界の地熱開発は急速に促 進されて来ました。 地熱発電の先進国ニュージーランドでは,現在ワイラケイで約15万kWの地熱発電を行ってお ります。これはニュージーランドの総発電量の約4%(北島の10%)を占めており,更に数年以 内には10万kWがワイラケイの北東30kmのオーハキで追加される予定であります。ちなみに, 日本では地熱発電量の総発電量に占める割合は0.1%ほどであり(九州では約1%)ニュージー ランドにおける地熱発電の果たす役割がいかに大きいかがおわかりいただけると思います。 4142 「古地熱系と活地熱系」 なお,ニュージーランドにおけるこの他の主な地熱利用は,カウェラウとロトルアにおいてで あります。カウェラウではパルプ製紙会社が自社内の電力(地熱発電による1万kW)と必要蒸 気の27%を地熱によりまかなっています。また,ロトルアでは個人住宅や公共施設の暖房・乾燥・ 料理・沿用等に主として利用され,その利用熱水は1日に約35,000トンに達すると言われています。 Ⅲ ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド の 地 熱 帯 の 地 質 構 造 世界の主な地熱帯,例えばカムチャッカ,日本,フィリッピン,インドネシア,ニュージーラ FiglTectonicmapshowingthemajortectonicfeaturesoftheNew Zealandregion(fromCole,1986).Bathymetriccontouris20000m.
一 ユ ー ジ ー ラ ン ド の 地 熱 系 43 ンド,北米西岸,チリ,イタリア,アイスランドの各地熱帯はプレート境界に位置しています。 Fig.1に示しますようにニュージーランドはオーストラリアーインドプレートと太平洋プレート の境界が横切っている所に位置しています。南島ではアルパイン断層がこの境界にあたり,北島 付近ではこの境界は明瞭ではありませんがケルマデイック海溝の延長部がこれにあたると考えら れています(Cole,1986)。タウポ火山帯はこの境界の西側に位置しています。Karig(1970)は このタウポ火山帯はラウ.ハブルトラフにつながっていると考えていますが,Hochstein(1976a) はトンガ・ケルマデイック海嶺の続きにあたると解釈しています。いずれにしろ,プレート境界 部に活発な火山帯が存在し活発な地熱帯が形成されているということです。 Fig.2に示しますように,タウポ火山帯には2つのタイプの火山活動が知られています。ひと つはタウポ湖の南のルアペフ,ナルホエ,トンガリロの各成層火山を形成している安山岩質の火 山活動で,他はタウポ湖などのカルデラ形成と関連した流紋岩質の火山活動です。タウポ火山帯 における火山活動は西側では約200万年前までさかのぼることが知られていますが(Wilsonet al,1984),地表に分布する流紋岩類のそれはほとんどこの60万年以内のものです(Cole,1979)。 Fig.2の打点部が安山岩が分布しているところで,斜線部が流紋岩のドームが分布しているとこ ろです。白ぬきのところは流紋岩質の火砕岩類や堆積物が分布しています。そしてこの地域には 北北東系の断層が発達しています。これらの断層はタウポ火山帯の拡大に関連しており,地溝(タ ウポーロトルア陥没帯)をつくる正断層型と考えられていますが,その多くは垂直の断層であり ます(Cole,1986)。タウポ火山帯の拡大は北のプレンテイ湾付近で年間7mm程度と言われてお り(Sissons,1979),またこの火山帯内のロトルアの南における陥没量は年間8mmと測定されて います(Naim,1983)。Fig.2に示しますようにこの火山帯の外側(特に東側)にはこの地域の 基盤岩であるグレーワッケよりなる中生代の堆積岩類が地表に広く分布しております。 タウポ火山帯の中にはFig.2に示していますように流紋岩質の火山活動のセンターが5つ程知 られています。オカタイナ,カペンガ,マンガキノ,マロア,そしてタウポの各火山センターで す。活地熱帯というのはこれらの火山センターの環状の構造の周辺部やこれを切る北北東系の断 層上に位置しているというのがわかります。 タウポ火山帯の地域は基盤岩が全体的に落ち込んでおります。Fig.3にその例としてブロード ランド地熱帯をほぼ東西に切った断面を示しています。Fig.3(下)に示すように基盤の堆積岩 類は東から順に西にむかって落ちています。ブロードランドでボーリングで確認されている基盤 の最大深度は2,300mまでですが,これより西側ではまだこれ以深で確認されておりません。こ れより東側では地累状に盛り上がっている所も確認されています。地熱帯というのは,このよう な陥没構造内でも一番深く落ち込んだ所でなく,落ち込みの斜・面やまたその中でも地累状に基盤 の盛り上がりのあるところに存在しています。Fig.3(上)にブーケー異常を示していますが, ブーケ異常(残差)と基盤深度は調和しているのがおわかりと思います。この地熱帯西方では先 に 述 べ ま し た 様 に ど れ 位 落 ち て い る か ボ ー リ ン グ で 確 認 さ れ て い ま せ ん が , こ の 重 力 異 常 か ら ブ
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Fig. 2 Distribution of the volcanic centres and eruptive domes of the Taupo Volcanic Zone, showing both inferred structures and the location of the major geothermal
systems. Distribution of the Mesozoic greywacke and argillite basement are
ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドの 地 熱 系 45
Fig. 3 Cross section showing geophysical anomalies (resistivity, gravity, magnetics) and geology of the Broadlands Field (from Hochstein, 1976b).
ロ ー ド ラ ン ド西 方 で は さ ら に 基 盤 は 深 く な っ て い く の が 予 想 さ れ ます 。Fig.3(中)に は 電 気 探 査 に よ る500m以 浅 の 比 抵 抗 構 造 の 結 果 を 示 し て い ま す 。 こ れ を 見 て わ か り ま す よ う に ブ ロ ー ド ラ ン ド地 熱 帯 の 中 心 部 に は10Ωmと い う非 常 に 電 気 抵 抗 の 低 い 所 が 広 く存 在 し て い ま す 。 な お,
46 「古地熱系と活地熱系」 この原因については後で述べます。 またワイラケイにおいても同様な地球物理学的特徴が知られています。すなわち,中心部は非 常に電気的に低比抵抗の所にあり,ブーケー異常も全体的に低い中でも中心部で若干盛り上がり を示しています。なおワイラケイでは基盤の深度を確認されていませんが,ブーケー異常から推 定すると全体的に落ち込んだ中での基盤の盛り上がりの部分に地熱活動が存在しているといえま す。 タウポ火山帯の陥没中心部で基盤がどれ位落ち込んでいるのかを知るには今のところ動力探査 の結果にたよるしかない訳です。Fig.4にタウポ火山帯の重力異常分布と地熱帯の位置関係を示 しています。この図から明らかなように,東からブーケー異常は徐々に小さくなり-40∼−45ミ リガルに達しています。そしてこの西方でまたやや盛り上がりを見せ再度下がり一番低くなり− 55ミリガル位まで低くなります。このなかで基盤はボーリングにより,ブロードランドで海水準 下700m∼2000m以深に,ロトカワの南で同2100mに,カウェラウで同700∼1200mに確認さ れています。これ以外では,ワイオタプとレポロアで海水準下1250mまで(Steiner,1963),オ ラケイコラコで同1150mまで(Steiner,1977),ワイラケイで同1800mまで,モカイで同2300m までのボーリングがなされておりますが基盤の確認にいたっておりません。しかしながら,陥没 中心部は重力異常から推定して2∼4km位は最低陥没しているだろうと考えられます。なお Fig.4には地熱帯の位置もプロットしていますが,この図で明らかなように一番落ち込んだ中心 部には地熱帯は存在しておりません。同図に示すように落ち込み斜面上か,あるいは中央部近く の再び基盤が盛り上がった所にあることがおわかり頂けると思います。すなわち,地熱帯という のは全体的には陥没帯の中にあるものの,基盤が一番深く陥没した付近には地熱帯は発達してい ないということがおわかりいただけたと思います。 Fig.5には,タウポ火山帯内の地熱帯の電気探査(比抵抗)の結果を示しています。黒くぬり つぶした所が比抵抗が10Qm以下のところです。これは各地熱帯の中心部に分布しています。大 きくて5km位のひろがりをもっています。新鮮な岩石はlOOQm以上の値をもちますが,この ように非常に低い比抵抗というのは,上昇してくる熱水が塩分を含んでおり,このようなものを 反映して10Qm以下の低比抵抗があらわれると考えられています。この低比抵抗部のまわりの10 ∼100Qmの比抵抗部分というのは2つ程理由が考えられています。ひとつは上昇してきた熱水 と岩石が反応し変質帯を形成しているという考え方です。もうひとつは,この付近には堆積岩が 分布していますがこの中に堆積時に周辺からもたらされた風化生成物の粘土鉱物が含まれており, このようなものを反映しているのではないかと考えられています。しかしながら地熱流体上昇中 心とみられる低比抵抗部の周辺に10∼lOOQmがあるというのは少なくとも熱水活動の産物によ ると考えてよいと思われます。 活地熱帯から放出される熱量をFig.6に示しています。同図中の黒丸の大きさは放出熱量に比 例させて描いてあります。Allis(1980)によりますと各地熱帯は40∼545MWの熱を放出してお
一 ユ ー ジ ー ラ ン ド の 地 熱 系 RUTORUA Lqkelbl 「qWerq qwerq qnq 20km ■ 罰a Fig.4ResidualBougueranomaly(milligal)intheTaupodistrict・Locationsof geothermalfieldsareplottedonElder'sFig.12.2(1981). Ka=Kawerau,Wm=Waimangu,Tk=TeKopia,0k=Orakeikorako,Br= Broadlands-Ohaaki,Nm=Ngatamariki,Rk=Rotokawa,Wk=Wairakei, Th=Tauhara,Mk=Mokai,Hh=Horohoro 47 ります。その中でも一番熱放出が大きいのはワイラケイおよびワイオタプといった地熱帯で約 550MWに達しています。こういう地熱帯の放出熱量を総計しますと’最低3500∼4000MWす なわち約400万kW相当の熱を全体で放出していることになります。タウポ火山帯は面積が5000 km2位ありますから,平均しますと1,2あたり800,W位の熱放出にあたります。これは典型的 な大陸地殻の伝導的な熱流量の約14倍の放出量に相当します。このような異常な熱の放出という のは,熱水の対流によって地表にもたらされています。 以上のようなことをまとめて地熱系のモデルを示したのがFig.7でございます。全体的に地熱 帯は陥没帯の中でもやや盛り上がった所にありまして,そのような所に貫入岩などの活動があり ます。今日は熱水の化学組成についてはほとんど話しませんでしたが,深部に中性のNaCIタイ プの熱水がありこれが上昇してきて,比較的浅所で沸騰をおこします。そうしますと,H2Sや
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Fig. 5 General patterns of apparent resistivity (electrode spacing AB/2=500 m) over a
large portion of the Taupo Volcanic Zone. Hedenquist's Fig. 5 (1986) is superim
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Fig. 6 Heat flow for geothermal fields in the Taupo Volcanic Zone. Data (Allis, 1980) are plotted on Fig. 2 in proportion to the amount of heat output in MW (thermal).
Approximate scaie Legend |71 Two phase
';.',
liquid
plus
vapour C02-rich steam-heated waters
8?j5] Acid sulphate steam-heated waters ::n::j Rhyolite intrusives/ ::::::: extrusives l,t, Vapour ascent Sv--^-Liquid flow Fig. 7 A schematic cross-section showing the principal features and geochemical structure of a typical geothermal system in silicic volcanic terrain of low relief such as the Taupo Volcanic Zone (Hedenquist, 1986). Acid sulphate springs -Near neutral pH Dilute chloride & mud pools boiling spring warm spring River Condensation Two phase fluid (boiling) Plagioclase to clay
conversion Primary neutralisation of
reactive
magmatic components Magma degassing and
heat
source
ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド の 地 熱 系 51 CO2などガス成分が熱水より分離され上方にもたらされまして,系の端でCO2に富むタイプの水 ができます。そして地表近くの浅い所では,地表の酸素に富む水などでH2Sのガス成分が酸化さ れて,硫酸イオンに富んだ水ができます。このような硫酸酸性の水が地表にもれでているところ が坊主地獄とか泥地獄(泥火山)などと呼ばれている所です。深部の地熱水の成分というのは, ほとんどがその付近の岩石と反応してできたものであることが知られており,これを地球化学温 度計として利用しています。また水の同位体分析の結果は,地熱水の主成分である水は,ほとん どがその地域両地表水が深部には入っていって加熱されてできたものであることを示しています。 さらにワイラケイでは深部熱水にトリチウム(3H)が検出されないことから,地表水が取り込ま れてから少なくとも,00年以上はたっているだろうと考えられています(Wilson,1963)。それか ら,氷期の重水素(2H)に富む水が含まれていないことから’約1万年(最後の氷期)よりも若 いと考えられています(Stewart,1978)。このような水がFig.7にしめす地熱系の深部に浸透し ていって,出てきているらしいということがわかっております。これから後でお話する金銀とい うのは,非常に浅い所,地熱水の沸騰がおきた付近から上位に主としてできております。硫化鉱
物などはこれより若干下位に分布しています。Fig.7に示すように陥没帯内の珪長質火山で,地形
が高くなく,地下水位面が非常に浅いのがニュージーランドの主な地熱系のモデルであります。
Ⅳ 地 熱 帯 ア ラ カ ル ト 今度はニュージーランドの各地熱帯を見てまいります。まず,ブロードランドです。ここは 1988年には10万kWの発電が行われる予定で,いま発電所の建設が進んでいる所であります。 Photo2はブロードランド地熱帯を南上空からながめたもので,中央を流れる川はワイカト川で す。この川の東がブロードランド,西側がオーハキというところです。地熱帯としてはブロード ランドで,発電所はオーハキとなります。ここに見えている蒸気は全部孔井から噴かしている蒸 気でして,この東側にある建物では,牧草の乾燥にも蒸気を使っています。そして,後で述べる オーハキプールがあります。Photo,3がそのオーハキプールで,10m内外の大きさですが,98.C の熱水が湧いており周囲にシリカの沈殿物・シンターを形成しています。昔はマオリ族の人達がこういう所で料理をしていたそうです。なおこのシンター中に部分的に859/tの金が含まれてお
りますが(Weissberg,1969),この地熱帯の金については次章で詳述します。 オラケイコラコはブロードランドの西北西約15kmのワイカト川沿いにあります。ここにはか つて川の両岸に温泉や間欠泉がありましたが,下流のオハクリに1961年にダムができ,約1000コ の温泉の7割が湖水面下18mに水没してしまいました。水没を逃れたダム湖水面上の殆どの温泉 や間欠泉は,ダムによる水位面の上昇につれ温度の上昇と,湧出量が以前よりも増えてきたこと が知られています(Lloyd,1965)。Photo、4に見える段差はタウポ火山帯内に発達する北東系の 断層の’つであるゴールデンフリース断層の断層崖で,これより上にあるアーテイストパレット という所から温泉が湧出し断層崖上を川に向かって流れています。そのため断層崖はシリカのシ52
Photo-1 Steam and pipeline at the Wairakei geothermal field.
Photo-2 View to the north over Broadlands-Ohaaki geothermal field.
The area to the right of the Waikato River on the photo
graph is the Broadlands area; to the left is the Ohaaki area.
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Photo-3 Sinter of the Ohaaki Pool, Broadlands geothermal field.
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Photo-4 The Golden Fleece Terrace at Orakeikorako, formed by movement on the Golden
Fleece Fault, with subsequent sinter deposition by the discharge from hot springs of Artist's Palette.
54 ■古地熱系と活地熱系」 Photo-5ViewtothesouthoverChampagnePool(steammgpoolin thecentre)attheWaiotapugeothermalfield. ンターで覆われテラスが形成され,ゴールデンフリーステラスと呼ばれている所です。このシン ターの中に金が0.23ppm銀が6.6ppm含まれております(Grange,1937)。 ブロードランドの北約20kmにワイオタプという地熱帯があり,ここにはシャンペンプール (Photo、5)という有名な熱水が湧き出ているところがあります。このシャンペンプールは900年 前の熱水性噴火口(hydrothermaleruptioncrater)であります。60∼70mの直径があります。 これより湧き出た温泉は,厚さが50cmで巾が100m,長さ200mの−大シリカテラスを形成し ています。このシャンペンプールの温泉がシリカテラスに流出しはじめる付近に赤色のヒ素を主 とする沈殿物があります。後で詳述しますがこの中に金が80ppm程濃縮しています。シャンペ ンプールの北200mにも,かつて熱水性の噴火をやった跡が数多く残っていますが,水位が下が って,今は硫気孔などになっています。またシャンペンプールの北東約1kmには1906年頃に沸
•Safe Photo-6 Lady Knox Geyser in the Waiotapu geothermal field. The geyser is artificial geyser, and is forced to erupt at 10 : 15 a.m. every day by addition of soap (which reduces surface tension, resulting in boiling). Left: before addition of soap; Right: eruption following the addition of soap. l< i v.: I Mi v 3
56 「古地 熱系 と活地 熱 系」 騰 泉 に パ イ プ を 差 し込 ん で 作 ら れ た レ デ ィ ・ ノ ッ ク ス と い う 人 工 間 欠 泉 が ご ざ い ま す 。 パ ン フ レ ッ ト を 見 ま す と 毎 朝 定 刻10時15分 に 必 ず 噴 出 を 行 う と 書 い て あ り ま す。 あ ま り に も 定 期 的 で あ る の で 不 思 議 に 思 っ て 見 に 行 き ま し た 。 通 常 はPhoto-6(左)の 様 に 噴 出 口 か ら モ ヤ モ ヤ と 湯 気 が 上 が っ て い る 位 で あ り ま す が,10時 頃 にPhoto-6(右)に 写 っ て い る お ば さ ん が や っ て 来 ま し て, こ の 噴 出 口 か ら 石 鹸 を投 げ 込 み,噴 出 口 に 雑 巾 をつ め て し ま い ま す 。 す る と 内 圧 が 上 が り待 つ こ と 約10分 でPhoto-6(右)の よ う に 蒸 気 が 雑 巾 を吹 き 飛 ば し,熱 水 噴 出 が は じ ま る と 言 う 次 第 で す 。7∼8mの 高 さ で す 。 こ れ が"極 め て 規 則 性 の あ る"間 欠 泉 が 存 在 す る 理 由 で あ り ま す 。 ワ イ マ ン グ は ワ イ オ タプ の 北10kmに あ り,ワ イマ ン グ の 北 東 約10kmに あ る タ ラ ウ ェ ラ 火 山 の 噴 火 に 誘 引 さ れ て 地 熱 徴 候 が 認 め ら れ は じめ た と こ ろ で す 。 タ ラ ウ ェ ラ 火 山 は1886年 に 流 紋 岩 の ドー ム を切 る 玄 武 岩 の 割 れ 目 噴 火 を 行 い ま し た 。 こ の 時 生 成 し た 割 れ 目 は タ ラ ウ ェ ラ 火 山 か ら ワ イ マ ン グ ま で 続 い て お り,こ れ に 沿 っ て ク レ ー タ ー が 存 在 し て い ま す(Fig.8)。 ワ イ マ ン グ は こ の 割 れ 目 の 最 南 西 端 に 位 置 し て い ま す 。Fig.8に 示 す ワ イ マ ン グ の 一 連 の ク レ ー タ ー は タ ラ ウ ェ ラ 火 山 の 噴 火 活 動 が 始 ま っ た ほ ん の 数 時 間 後 に マ グマ 水 蒸 気 噴 火(phreatomagmatic eruption)
Fig. 8 Map of Waimangu Valley (Houghton, 1982). The Waimangu geothermal system
is located within the southernmost craters of the 1886 Tarawere Eruption. Surface
activity was unknown at Waimangu prior to 1886.
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.»* *'1it>-'Photo-7 Frying Pan Lake, Waimangu geothermal field. The lake is a large (48,500 m2) hot
pool. The highest temperature of its discharge recorded in recent times is 67°C.
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Photo-8 Waimangu Geyser in eruption, early 1904 ; the "geyser" was probably an
intermittent phreatomagmatic eruption. The dark colour of the plume was produced by the high content of solid particles (copy of photograph by lies in Houghton, 1982).
Photo-9 White Terrace at Rotomahana, a sinter terrace which was located on the north-eastern shore of the old Lake Rotomahana. This was destroyed during the 1886 eruption of Mount Tarawera, since it was located near the fissure formed by the basaltic eruption (Copy of photograph by C. Spencer in Houghton, 1982) s Df rv 8 It
喋燕署S”一入トーハーHⅢ 判︵b﹀、郵甜一筈燕p送畑やⅢ却岩&味や鵬一一恭卜托一剖総、、八トー詩心.︵mdぢ畠︶ややや岬製や侭週 日oトずゃ遊旦匝紺l捕一和矩︵b盟浬︵も盤︵も岬↑紬瑠嫡︵ロ○9日の[四日の彊○岩倉︶著浬謝一﹃筈燕sJ 蕊やl幸や狼湯、、八卜やら桜J泌塗U一倍︵も歪︵bUU−型ゴ芸響︵もいH心ト然程拙・︵$雪︽日田の閏冒両 頁○口︶や怖昌や黒長Ⅲ剖程C侭。。園ト粟柿一哩叶馬臼蔦やや鎚哩︵も垣Qo器悼醇やロ望魅︵も程・ヤ 拙︵﹄需追。。$や話唱匝蜘l蔦ややや鵠岬呈﹀当選差f令程蒋四〆令ヤや︵もや岬s﹀柚﹀C績判抽 騨便K輪患追・や拙皇﹀CH抽鯉績眼特乎令厘室p室入てやトト︵も垣日8国xg[托一︵もヅン﹀ ヨドU一ト・○ぢ国四・︵$雪︽日$︼も目亘○国︶や拙〆今﹀悪心理榊剖桜多YP績筈蒸篭︵もり一︵在製? 侭︵もlい、八八K!︶+く0,︷、S催︽二黒﹀三禅体制一咲燕署彊誕﹀迩岬鴇塙や鯵や︵も程?”侭禅渉長 些誼燕裂蓑紺逆剛一傷、入トー詩心托一U一程ゴ芸浬。︵痩宙︽冒罵z︶ヤ拙皇﹀忌舎Ⅲ剖偶黒和怪陰ご粘り一 。[昌韓[当○砦昌助冒の昌両○]ロゴ縄の碧両﹄夢の晋口。梢①湯[]園.の。﹄①、易の助 当侶・旬日go酉︽両陰①馬彦の届二面二言苗圃呉の○己コニ○四自loぢ昌些 轟轟
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抄 労】 豊 蕊蕊蕊蕊灘蕊蕊蕊議鍵鍵燕蝿蕊灘i灘
繕溌 鷺織 燕坪・認 勺黄鵠﹄□︾ ・・蘇繁蕊盤群、 賛た﹄己寺︾ 。、︾雪稗義 輯識蒋詩露護弧 「 古 地 熱 系 と 活 地 熱 系 Photo-11Hell,sGateatTikitere,Rotorua・Oneoftheauthors(S,T、)isinhotwater(toleft). きの吹き出す熱水が泥や岩片混じりで黒っぽいことからこの名前がついたと言われています。 Photo-9はワイマングとタラウエラ火山の間にあったロトマハナのホワイトテラスといわれる
シンター(温泉沈殿物)で,高さが60フィートで上部から温泉が湧き出ていたところです。非常
に大きなシンターだったのですが,これがタラウェラ火山の噴火の時に,ちょうどタラウェラか らワイマングまでの割れ目上にあっていたので全て破壊されてしまいました。またピンクテラス という同じようなシンターもその時こわされてなくなっています。 ロトルアはニュージーランドの別府といった感じの大温泉保養地で、ございます。ロトルアの南 はずれに、ファカレワレワという間欠泉がたくさんある地獄があります。中はマオリ族が管理し ています。この中で特に有名なのはポフツガイザーで(Photo-10),1日に平均14回,高さ約18m(時にこの2倍くらいの高さ)まで熱水を噴出します。このファカレワレワにおける主な間欠泉
は,走向が北北東のテプイア断層上に配列しており,地熱活動と断層が密接に関係していること を示唆しています。 ロトルアの東にティキテレという地獄があります。Photo-11はその入口で、すが地獄の門(Hell'sgate)と書いてあり,右側が古賀昭人先生,左のしばられているのが私です。世界のどこでも似
たような感覚を地獄にはもっているようです。ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド の 地 熱 系 61 V 金 の 生 産 工 場 ・ 地 熱 帯 それでは,そろそろ今から金の沈殿についてお話ししていきたいと思います。Fig.9にタウボ 火山帯内で金銀が産する地熱帯を示しています。この中で黒丸で示したところが金銀が地表で温 泉沈殿物かスケールの中に沈殿生成しているところです。半黒丸は地下で金銀がボーリングコア で認められているところです。白丸は硫化鉱物が認められているところです。この図を見ますと, 基本的にはタウポ火山帯内の殆どの地熱帯で金銀が沈殿しているということがわかります。 そこでまずブロードランドでの最近の金の産出を見て,次にワイオタプで金銀の沈殿の機構に ついて述べます。ブロードランドのオーハキプールの温泉沈殿物には金(85ppm=859/t)銀(500 ppm)をはじめ,アンチモン(10%),水銀(2000ppm),タリウム(630ppm),ヒ素(400ppm),鉛(70 ppm),銅(25ppm)などの金属成分にとんだ物が認められています(Weissberg,1969)。一方,深 部熱水中の金については,従来はセパレーターで蒸気を分離した残りの熱水を採取分析し,このよ うな熱水には金が非常に少なく0.04ppb位しか含まれていないと考えられていました(Weissberg, 1969)。さて,孔井口元とセパレーターの間に背圧板というものがあり,深部熱水はここを通ると 急激に沸騰をおこします。すなわちこの背圧板で圧力をコントロールし噴出する地熱流体の流量 を調整しています。Brown(1986)は最近この背圧板の裏側に,すなわち急激に減圧した側に金 が沈殿付着していることを見つけました。従来は金が沈殿した後の熱水を測定していたことに なり,熱水中に金が少なかったという訳です。金は背圧板の裏側に黄銅鉱や黄鉄鉱などの硫化物 に富む黒色沈殿物中に産しています。これを分析すると重量パーセントのオーダーで金が含まれ ており,一番多くて7%(70,0009/t)の金を含んでいます。背圧板に付着した金の量と背圧板 を通過した熱水量から深部熱水中の金の含有量を求めると,約lOPpbと言う値が得られます。 す な わ ち , 従 来 考 え ら れ て い た よ り も は る か に 多 く の 金 が 深 部 熱 水 に 含 ま れ て い る と い う こ と が分かってまいりました(Brown,1986)。この値は金がAu(HS)2-として飽和している値に近い ものです。このように,ブロードランドの地下の深部熱水はAu(HS)2−として金に飽和しており, 孔井内で、急激に沸騰がおきる所に99%以上沈殿しているということが明らかになってまいりまし た。このような金の沈殿と言うのはワイオタプの金の沈殿を考える時に大変重要であります。 前章のワイオタプのところで述べましたように,ワイオタフ°のシャンペンプールにはヒ素を主 とした温泉沈殿物に金が含まれている事が知られています。ワイオタプ付近の地質をFig.10に示 していますが,流紋岩と石英安山岩のドームが北,西側にあり,北部では断層が北東方向に通っ ています。南部には北北東系の断層がありシャンペンプールはこの北北東系の断層上に位置して います。Fig.10のX印は熱水性噴火(hydrothermaleruption)を行った跡で,断層沿いに顕著に 分布しています。このような所は深部からの熱水が地表に直接到達する通路になります。シャン ペンプールもその様な場所の一つで,900年前に熱水性噴火おこなった場所です。現在はこのプ ールから毎秒20kgの洲泉が湧きだしプールの南に一大シリカテラスを作っています。地表では プールの縁に金を含む亦色沈殿物が生成していますが,HedenquistandHenley(1985)は,実
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Fig. 9 Active geothermal fields where is gold precipitating at the surface in the Taupo
Volcanic Zone of New Zealand. Geothermal fields where gold/silver is found
in surface sinter/scale are marked by solid circles. Half-solid circles show where gold/silver is found in boring cores. Open circles are geothermal fields where base metal sulphides are present. Occurences reviewed by Browne (1984), and also from Grange (1937), and Hedenquist (unpub.) are plotted on Fig. 2.
-7> r* Wit ft*
Fig. 10 Simplified geologic map of the Waiotapu area, showing the surficial extent of thermal ground (from Hedenquist and Henley, 1985). The dis tribution of faults, hydrothermal eruption craters, and geothermal ex
ploration wells are also shown. md = Maungakakaramea Dacite, hal =
Haparangi Ryolite; others are pyroclastics or sediments (details in
Hedenquist and Henley, 1985).
NORTH
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SOUTH 50- 150- 350-JE ^~~X 2 3 t, Champagne 6\
1
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Pool
1
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/ 1 / DISSEM PtiS-ZnS (1%) ,-' / ' ' - 300° MO"-' | "--,, X 1000-Q. UJ a 1 3000-1 ,____ / 0 ~1kmFig. 11 Schematic cross-section showing distribution of ore metals at Waiotapu,
based on surface and subsurface metal analysis, as related to the fluid
flowpaths (from Hedenquist, 1983).
64 「古 地 熱系 と活地 熱 系」 これ は こ の プ ー ル の地 下 の 通 路 で 金 が 沈 殿 し,そ の残 りの 金 が 少 な い 温 泉 水 か ら生 成 した もの と 考 え られ た こ と を指 摘 し ま し た 。 い か それ につ い て述 べ ます 。 ワ イ オ タポ をほ ぼ 南 北 に 通 る模 式 的 な地 熱 系 の 断面 をFig.11に 示 して い ま す 。 深 部 流 体 は 北 側 で 上 昇 し沸 騰 を始 め ます 。 こ の 上 部 で沸 騰 に よ り分 離 され た ガ ス 成 分 が 浅 所 で 地 表 水 と会 い 硫 酸 酸 性 の 水 が で き,こ の 水 が地 表 に 出 て きて 泥 火 山や 酸 性 変 質 帯 な どの 地 熱 徴 候 をつ くっ て い ま す 。 深 部 熱 水 は 横 に動 い て,一 部 が シ ャ ンペ ン プ ー ル で 湧 出 し て お り,ワ イ オ タプ 地 熱 系全 体 の 熱 水 の10%が この プ ー ル か ら湧 出 して い る と考 え られ て い ます 。 こ の 地 熱 流 体 は 深 部 で プ ロ ピ ラ イ ト変 質 を生 じさせ て い ます 。 鉛 ・亜 鉛 等 の硫 化 鉱 物 が200∼800mの 深 度 に 鉱 染 し て お り,さ ら に こ の 上 位 に は 銀 が 鉱 化 して い ます 。 金 銀 は 地 表 で シ ャ ンペ ン プ ー ル の 赤 色 沈 殿 物 中 に 確 認 さ れ て お ります(金=80ppm,銀=175ppm,ヒ 素 ・ア ンチ モ ン=各2%,タ リ ウ ム=320ppm, 水 銀=170ppm,亜 鉛=50ppm,鉛=15ppm:Weissberg,1969)。 こ こ で 金 の 生 成 メ カ ニ ズム を考 え る の に,こ の 付 近 で掘 削 さ れ た 深 部 熱 水 の 化 学 組 成 を まず 知
Fig. 12 Chloride-enthalpy mixing diagram showing the trends for boiling and vapour loss as well as dilution in the Waiotapu system (from Hedenquist
and Henley, 1985).
m£8
=9.10-5
Fig. 13 Mineral and sulphur species stability diagram in terms of pH versus f02. Contours show the solubility of gold as a bisulfide complex in mg/kg under Waiotapu conditions. A : Chemistry of the Waiotapu fluid at 250°C, based on total well discharge. B: Gold solubility calculated at the lower gas concentrations resulting from boiling and vapour loss calculated for 175°C (from Hedenquist and Henley, 1985). H I V; I •Ml V 3 $66 「古地熱系と活地熱系」 る必要があります。Fig.12は,縦軸に熱水の熱量,横軸にCl量をとっています。この図に示す 様に各孔井から噴出した熱水の値は一方向に配列しており,この延長上にある170°Cの浅所の CO2に富む水との混合を示唆しています。この付近の深部にある混合を受ける前の熱水はこの延 長上の高温側にあると考えられ,その温度は地球化学温度計より250℃と推定され,図のP1にプ ロットされます。また同図にはシャンペンプールに出てくる水の値も示されています。シャンペ ンプールと深部熱水(P,)を結ぶとその延長上に蒸気の熱量の点があり,シャンペンプールで湧 出している温泉は250℃の深部熱水(P1)が単に沸騰しただけであることを示唆しています。そ こで,シャンペンプールに供給している深部熱水P,の化学組成はWT4号井の熱水組成に混合に 対する補正を行うことにより求める事ができます。それは250°CでpH=6,Cl=1335ppm,全硫 黄濃度=3.10−3(、)となります。 それでは,この深部熱水組成の時に金はどれ位含まれるのでしょうか。Fig.13は深部熱水の組 成(同図左の丸印)の鉱物と硫黄種の安定関係の図上に示しています。この点は,黄鉄鉱一磁硫 鉄鉱の鉱物組み合わせやアデュラリアを変質したイライトが産するという変質母岩の観察とよく あっています。また金がブロードランドと同じくAu(HS)2-として含まれる時の等濃度線も示し てあります。この深部熱水の組成の時の金の溶解度は,Fig.13(左)から6ppbと求められます。こ れは,ブロードランドでBrownにより間接的に測定された金の溶解度10ppbに近い値でありま す。ワイオタプの地質や熱水がブロードランドのそれにほぼ近いことからワイオタプの深部熱水 もおそらく金に飽和しているということが考えられます。この金に飽和した深部熱水がシャンペ ンプールの底(lOOmよりも浅い)の温度175℃(P2)にむかって沸騰をはじめますと,この間で 硫黄が99%以上H2Sで逃失してしまい,またガス成分の逃失で残りの熱水のpHは上がります。 すなわち,P2点の175°CでpH=7.4,Cl=1900ppm,全硫黄濃度=9.10-5(、)となりFig.13(右) の打点部にプロットされます。その時の条件下の金の溶解度も同図には示してありますが,同図 に示すように金の溶解度は250℃(P1)の時より2桁以上も減少します。それ故,もし深部熱水 が金に飽和しているなら,金の99%以上が深度100∼300mの熱水性噴火で破砕された通路に沈 殿しているはずであります。なお,シャンペンプールの実際の金の濃度は,計算で求められた値 と良い一致を示します。このシャンペンプールの縁のヒ素を主とする赤い沈殿物中に金が多量に (80ppm)含まれていましたが,これは金が地下の通路で落ちてしまった後の非常に金が少ない 温泉から沈殿しているというわけです。この金の濃集はヒ素の吸着が大きく影響していると考え られます。 シャンペンプールは約900年前に熱水性噴出を行い,この破砕通路を通って現在毎秒20kgの 温泉を湧出しています。この900年間流量が一定であったとすると,このシャンペンプールの破 砕通路内に360万g(3.6t)の金が沈殿していることになります。なおこのプールの湧出量はワ イオタプ全体の10%に相当しますから,金36t位がこの地熱系全体で沈殿していると推定されま す。
ニ ュ ー ジ ー ラ ン ドの 地 熱 系 67 以 上 の よ う に,ワ イ オ タプ の 地 熱 系,特 に シ ャ ン ペ ン プ ー ル の 地 下 付 近 は 活 浅 熱 水 系(active epithermal system)で あ り,今 も 金 を 沈 殿 生 成 し て い ま す。 こ の よ う な 活 発 な 系 に お け る 研 究 は,金 の 鉱 化 作 用 時 の 流 体 の 化 学 的 性 質 を 明 ら か に さ せ て くれ ま す 。 そ し て,こ の よ う な タ イ プ の 浅 熱 水 の 環 境 下 の 金 の 沈 殿 を 導 く 基 本 的 な プ ロ セ ス は,熱 水 の 沸 騰 に よ りH2Sが 逃 失 し,金 の 溶 解 度 が 急 激 に 減 少 す る こ と で あ る こ と を 認 識 さ せ て くれ ま す 。 参 考 文 献
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つくりやすくしているのではないかと思います。落込みの深いところですと,地溝性の断層に沿
って地表からの水が深部まで浸入できます。このような所では,ある程度の熱水活動があっても 上から冷たい水で押さえられされてしまって,地上まで出てこれない。ところが,盛り上がりの 所はそのような水に邪魔されずに浅所まで基盤岩中を深部の水が上がってこれるのではないかと思 います。このように,基盤の盛り上がりというのはひとつには熱源(貫入岩)などに関連しており,もう一つは,邪魔されずに地表まで深部熱水が断層等に沿って上がってこれるという通路に関連
していると思います。 早坂:金がたまっているというのは,ニュージーランドだけの特徴でしょうか? 田口:日本にもございます。一番身近なのは,別府の血ノ池地獄です。あそこにも赤い沈殿物が ございます。赤色の沈殿物は赤鉄鉱の色でまたヒ素やアンチモンも含まれています。金はこの中 に23ppm程は入っています。ただニュージーランドのシャンペンプールなどの熱水と違うのは, 一ユージーランドは中性のCl型の熱水ですが,別府は酸性タイプのものです。すなわち,血の 池地獄の温泉はClとSO4(地表近くで生成した水)が混ざった様なものです。近くまでは中性 の深部熱水がきているかも知れませんが,金は赤鉱鉄鉱やヒ素に吸着していると考えられます。 別府に行かれましたら,ぜひ血ノ池地獄をごらんになって下さい。Kagoshima University Research Center for the South Pacific
Occasional Papers No. 11 (1987), "Paleo-Geothermal and Active Geothermal Sysyems"
Geothermal Systems in New Zealand
Sachihiro TAGUCHI*and
Jeffery W. HEDENQUIST**
* Research Institute of Industrial Science, Kyushu University, 6-1 Kasuga-koen, Kasuga 816, Japan
** Geothermal Research Centre, Department of Scientific and Industrial Research, Chemistry Division, Wairakei, Taupo, New Zealand
Abstract
This paper is aimed at introducing an outline of the geothermal systems of the
Taupo Volcanic Zone in New Zealand based mainly on a recent review by Hedenquist (1986).
The development of New Zealand's geothermal energy resources began in the late 1940s, and the world's first "wet steam" geothermal station was constructed in 1958 at
Wairakei. Geothermal electricity from Wairakei supplies 150 MW, some 4 % of New
Zealand's total requirements at present; another 100 MW will be provided by 1989 by the
new development at Ohaaki.
Twenty major geothermal systems are located in the Taupo Volcanic Zone. The
zone extends from the active andesite volcano Mt. Ruapehu to White Island, another active volcano 220 km north northeast in the Bay of Plenty; this is a zone of extensive
geologic structural depression. A considerable volume of rhyolitic material fills the
depression, erupted during the last ~ 1.0 Ma. Geothermal drilling and gravity surveys
have revealed a relatively simple set of horst and graben blocks in the basement. Most
of the geothermal systems have boiling springs at the surface and measured heat flows
of 50 to 500 MW. They all have areas of low resistivity of a few to several km2,
indicating that hot saline water is present at depth. Chemical and isotopic studies of
deep hot water indicate that the hot fluids are dominated by meteoric waters which have been heated and have acquired most of their solutes during deep circulation.
Gold and silver is presently being deposited in most of the geothermal systems in
the Taupo Volcanic Zone. The study of gold deposition in such active geothermal
systems has allowed us to unequivocally define the chemistry of the metal transporting fluids, and to identify fluid boiling and gas loss as the principal process leading to gold deposition in the analogous fossil epithermal environment.