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一過性にCold Activation を認め、ステロイド療法により消去した   Weber-Christian病の1症例

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Academic year: 2021

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仙台市立病院医誌 24,125−127,2004     索引用語 Weber−Christian病       補体  Cold activation

過性にCold Activationを認め,ステロイド療法により

消失したWeber−Christian病の1症例

木代和美,畑川清美,秋保直樹*

表1.入院時検査成績

はじめに

 Weber−Christian病は脂肪組織炎を示す稀な 疾患である。血清補体価(以下CH50)は高値を示 すことが多いとされているが,一部低補体価の症 例もある1)。今回我々は入院経過中に一過性に補 体のCold activationを呈した症例を経験したの で報告する。 症 例  患者:19歳男性  主訴:全身倦怠感,発熱  既往歴:3歳まで気管支喘息  家族歴:特記すべきことなし

 現病歴:2002年5月26日より感冒症状があ

り,5月31日に近医を受診した際に40.2℃の発熱 があった。症状が悪化したため6月2日に本院を 紹介され入院となった。  入院時現症:体温39.6℃,血圧130/80mmHg, 脈拍120/分,意識清明,心雑音は聴取せず,腹部 平坦で軟,肝脾触知せず。  入院時検査成績(表1):血液検査において白血 球数が2.7×103/μ1と減少していた。生化学検査 ではALTが551U/1と肝機能異常を示した。尿 検査では尿蛋白が300mg/dl以上と強陽性,潜血 反応が陽性であった。  入院後経過:入院後も発熱が続いた。腹部CT, MRI検査で広範囲な腹部から骨盤内の脂肪組織 炎の所見が認められた(図1)。病理組織検査にお いても腹腔内脂肪組織や皮下脂肪組織にリンパ系 生化学 Na     130 mEq/l K      3.9mEq/l Cl      95 mEq/] 尿素窒素   11mg/d] クレアチニン1.1mg/dl 総蛋白 アルブミン 7.4g/d1 3.89/dI 総ビリルビン0.8 mg/dl

AST

ALT

971U// 551U/1 白血球数 赤血球数

Hb

Ht 血小板数 尿糖 尿蛋白 血液一般 2.7>〈103/μ1 427×lO4/μ1  13.2g/dl   38.7% 17.7×104/μ1 尿一般半定量    (一) >300mg/dl 仙台市立病院中央臨床検査室 *同 内科 ウロビリノーゲン1.O mg/dl 比重        >1.030 PH      6.0 潜血反応       (+) 細胞浸潤を認めた。Weber−Christian病と確定診 断され,6月25日よりPrednisolone(以下PSL) 40mg/dayを開始された。翌日から発熱は治まっ た。肝機能も徐々に改善された。8月27日の腹部 CTでは,明らかに脂肪組織炎の改善が認められ た(図2)。その後全身状態良好にて8月31日に退 院した。退院時PSLは20 mg/dayまで減量され た。

 免疫学的検査(表2):6月3日の検査でCRP

が11.20mg/d1と上昇していた。 ASO価が1,590 1U/mlと高値であったが,血液培養では溶連菌は 検出されなかった。補体はC3cが144.Omg/d1,C4 が62.2mg/dl, CH50が66.7 CH50/mlと炎症性 に増加していた。HCV抗体は陰性であった。可溶 性インターロイキン2レセプターが4,240U/m1 と高値を示していた。

 補体とIgGの経過:6月25日のPSL投与前

の血清を一70℃で保存し翌日CH50を測定した Presented by Medical*Online

(2)

126 ;[畠72

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fmAs 110 A’ SgK) 、K\\、     図1. 腹部CT像(6月4日) 腹部から骨盤内の脂肪組織炎を認めた。 ∼ t

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図2.腹部CT像(8月27日)   脂肪組織の収縮による直腸内腔の拡大がみられた。 表2.免疫学的検査 CRP    ll.20 mg/dl IgG     1,610mg/dl IgA     228 mg/dl IgM    117 mg/dl ASO価   1,5901U/ml RF     <11ユIU/ml HBs抗原     (一) HCV抗体     (一) C3c C4 CH50 抗核抗体 P−ANCA SIL−2R クリオグロブリン  144.O Ing/dl  62.2nユg/dl 66.7CII50/ml    <20倍   く10.OIU  4,240U/ml     (一) ところ,18.O CH50/mlに低下した。4℃保存の血 清においても17.6CH50/mlと同様であった。C3c が175.O mg/dl, C4が69.4 mg/dlと逆に増加して いたためCold activationが疑われた。免疫グロ ブリンはIgGが2,390 mg/dl, IgAが333 mg/dl, IgMが140 mg/dlとIgGが特に増加していた。し かし免疫電気泳動や蛋白分画においては明らかな

M蛋白は認められなかった。7月1日のCH50は

当日測定が37.3CH50/ml,4℃保存で翌日測定が 25.OCH50/m1と大きく差が生じた。7月30日ま では当日測定と4℃保存の翌日測定値に差があっ たが,8月6日からは差がみられなくなった(図 Presented by Medical*Online

(3)

127 CH50/mt    PSL  80 CH50当日     K

 60

40 20

  O

C3c 180 mg/dl 160   140   120   100   80 40mg  35mg 30mq  25mq  20m( 一へ    C3c   、   C4\\」 lgG mg/dl 3000 2500 2000 1500 1000 80 C4  mg/dl 60 40 20 6月3日 6月25日 7月1B 7月16日 7月30日 8月6日 8月20日      図3.補体とIgGの経過 3)。 考 察  Weber−Christian病の病因については感染説, アレルギー説,免疫不全説などがあるが真相は不 明である1}。本症例においてASO価の上昇がみら れたが,細菌培養では検出されていない。溶連菌 感染があったのか,それともASO価の上昇が免 疫グロブリンの上昇に伴うものであったのかは不 明である。武田らの集計によるとWeber℃hris− tian病において補体は上昇するとされている’)。 低補体価の症例報告は少なく,真邊らの報告した 低補体価にM蛋白血症を伴った一例がある。PSL 投与により補体価の上昇とM蛋白の減少が認めら れ,何らかの免疫学的機序が示唆されている2)。ま たCold activationは採血後の低温における補体 の活性化で,C型肝炎例において頻度が高い。日常 検査で低補体価に遭遇したときにはC3c, C4蛋白 量を同時に測定するなどして,Cold activationと の鑑別をすることが重要である。Cold activation はクリオグロブリンあるいは可溶性の類似物質が 生じて,試験管内で補体古典経路を活性化するこ とによるといわれている3)。本症例において発病 初期はC3c, C4, CH50のいずれも増加していたた めCold activationはなかったと考えられた。そ の後呈したCold activationは何らかの免疫学的 機序により増加したIgG等の免疫グロブリンが 関与したと思われた。そしてPSLの著効により 免疫グロブリンが減少したことなどに伴い,弱 まったものと考えられた。 ま と め  本症例はステロイド療法による脂肪組織炎の改 善とCold activationの消失を同時にとらえるこ とのできた,貴重な症例と思われた。Weber− Christian病は再燃を繰り返す症例もあることか ら,今後も注意深い経過観察が必要と思われた。 文 献 1)武田克之他:Weber−Christian病.日本臨床  51本邦臨床統計集下巻:1045−1049、1993 2) 真邊泰宏 他:低補体血症とM蛋白血症を呈し  たWel〕er−Christian病の一例.岡山赤十字病院  医学雑誌6:101−105,1995 3)竹村周平:補体価.広範囲血液・尿化学検査,免  疫学的検査(3).日本臨床57:35−37,1999 Presented by Medical*Online

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