実時間並列計測による小形電気機器から生じる電磁
ノイズの解明
著者
根元 義章
実時間並列計測による
小形電気機器から生じる電磁ノイズの解明
(課題番号11834003) 平成11, 12年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))研究成果報告書 平成13年3月 研究代表者根元義章(東北大学大学院情報科学研究科教授) 0002100占883平成11, 12年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))
研究成果報告書
研究課題 実時間並列計測による小形電気機器から生じる電磁ノイズの解明 課題番号 11834003 研究組織 研究代表者:根元義幸(東北大学大学院情報科学研究科教授) 研究分担者:曽根秀昭(東北大学大学院情報科学研究科助教授) 研究経費 平成11年度 2,500千円 平成12年度1,000千円 計 3,500千円 研究発表 1.学会誌等[1】 Yasuo Ebara, Toshiaki Koizumi, Hideaki Sone, Yoshi血i Nemoto 以Experiments on Relationsup between Electromagnetic
Noise and Stwface Profile Change by Arc Discharge of
HeterogeneotIS MaterialContacts"
1999 IEEE hternationalSympoSium on Electromagnetic Com-patibility, Seattle (August 2-6, 1999), 1E-9, pp・ 165-170・
[2] Yasuo Ebara, Toshiaki Koizmi, Hideaki Some, Yoshiaki Nemoto
仏A MeastLrement On Electromagnetic Noise and Change of Stlrface in Arcing Electric Contacts的
Proceegings of the 45th IEEE Holm Conference on Electrical
Contacts, Pittsbl∬gh, 1.3, pp. 17-23 (Oct 4-6, 1999)
[3] Yasuo Ebara, Toshiaki Koi2=umi, Hideaki Sone, Yoshiaki Nemoto 仏A measurement on electromagnetic noise and change of surface in arclng electric contacts''
IEEETransactions on Componentsand Packaging Technologies, vol. 23, m0. 2, pp. 293-299 (June 2000)
[4]小泉俊彰,高橋久美雄,江原康生,曽根秀昭,根元義幸
砧C_Cll接点間の開離時の7-ク電圧と電磁ノイズの時系列分析M
電子情報通信学会論文誌, Vbl. J83-8, No. 7, pp. 1027-1033 (2000.7)
[5] Yasuo Ebara, Toshiaki Koizumi, Hideaki Sone, Yoshiaki Nemoto
uCorrelation between Arcing Phenomena and Electromag-netic Noise of Opening Electric Contactsn
Proceegings of the 46th IEEE Holm Conference on Electrical
Contacts, Chicago, pp. 191-197 (Sept, 2000)
【6】江原康生,曽根秀昭,高木相
"Ag-Pd接点のアークによる電磁ノイズと電極表面変化の相関に関 する検討竹
電子情報通信学会技術研究報告, EMD99-5 (1999,5)
[7] I.・ Morin, N・ Ben Jemaa, H・ Some, D・ Jeannot
弘Arcingand its subsequent degradations on the contact
naterialof automotive power rehys and switches:
mate-rialtransferlI
電子情報通信学会技術研究報告, EMD2000-79 (2000,12,15) 【8】 L Morin, N・ Ben Jemaa, H・ Some, D・ Jeannot
砧Arcing and its subsequent degradations on the contact
materialof automotive power relays and switches:
weld-ing''
実時間並列計測による
小形電気機器から生じる電磁ノイズの解明
1 はじめに
マルチメディア時代を迎え,人工電磁ノイズの情報伝達システムに与える影 響は深刻の度合を深め,調和のとれた電磁環境の整備が急務である。この人工 電磁ノイズの中で,電動工具や電気掃除機などの小形電気機器に含まれる電気 接点におけるギャップ間のアーク放電から生じる高周波電磁場により,環境中の 情報・通信機器が誤動作を起こしたり,その機能を損なう問題が以前より指摘 されている。 その対策手段として,電磁ノイズの抑制および,機器のノイズイミュニティ の強化などがある。この技術を確立するためには,アーク放電とノイズの特徴 を分析し,アーク放電に起因する電磁ノイズの発生メカニズムを明らかにする ことが重要である。しかしこの現象は複雑かつ短時間に発生するため,計測お よび分析が非常に困難であり,未だ十分に解明されていない分野であった。 本研究では,小形電気機器に含まれる電気接点を対象にして,電気接点ギャッ プ間の現象について,電磁ノイズの波形とスペクトル及び電気接点間電圧・電 流波形,電極表面などの同時並列的計測を行った。また測定して得られたデー タを用いて,各パラメータ間の物理的な相互関係に関する分析を行い,ノイズ の発生メカニズムについて放電種別による微細なノイズの相違を解明し,電磁 ノイズの制御のためのモデリングを行った。また,これらの成果と放電種別の 発生条件の知見を総合して検討し,部分的ながら,放電の制御によるノイズ制 御方法の提案及び実証を行った。2 小型電気機器から生じる電磁ノイズの問題点と課題
電気接点ギャップ間のアーク放電現象のメカニズムに関する分析及び接点間 で生じる電磁ノイズの測定方法,ノイズの特徴に関する分析などについて,広 く研究が行われている。しかし現象が複雑にかつ短時間に発生し,計測および 分析が非常に困難であるため,従来の研究はそれぞれの現象の個別な検討のみ であり,アーク放電と電磁ノイズ発生について総合的な分析を行うことにより, 電磁ノイズの制御方法を提案しようとする研究はほとんど行われていない状況 1であった。本研究の特色は,放電現象とノイズを並列的にかつ実時間で測定す る特色あるシステムを開発し,従来為し得なかったアーク放電と電磁ノイズ発 生の総合的な分析を行うという,独創的なアプローチにある。 また,電気接点表面上ではアーク放電により消耗などの痕跡が生じるが,放 電痕と発生ノイズの関連を分析する視点は,本研究が初めて取り入れたもので ある。この関連性を詳細に調べることにより,アーク放電現象と電磁ノイズの 発生メカニズムの関連付けのモデリングを提案したが,これは,そのメカニズ ムを解明するアプローチの一助になると考えられる。これを応用して,従来か らの課題であった電磁ノイズの抑制方法の問題に対して,新しい視点からの提 案を行った。 電気接点のアーク放電による電磁ノイズの研究について,放電現象のメカニ ズムに関する分析,接点間で生じる電磁ノイズの特徴などについて,それぞれ の測定項目が単独で扱っている研究は,従来から広く行われている。例えば,放 電現象が接点性能に与える影響やAg電気接点における電磁ノイズの測定,及 びモデル化などがある。放電現象とノイズ分析の知見を合わせた総合的な分析 を行い,それに伴ったノイズ制御に関する検討を行っているのは,本研究だけ である。この取り組みは,実時間並列計測及び表面形状測定の技術を開発した 独創的な成果により可能になったものである。 本研究のノイズの分析によって,放電構造の微細構造やそれに伴い発生する 電磁ノイズの関係が明らかになった。今後更に,この研究の成果を活かして,電 磁ノイズの抑制やモデリン貧 また電磁環境アセスメントを対象とした研究に 放電現象の制御を考慮した技術を提供できると考えられる。
3 本研究の成果
当初の研究計画・方法に従って,平成11年度および平成12年度の研究によっ て以下の研究成果が得られた。3.1実時間並列測定システムの開発及び評価
アーク放電および電磁ノイズの測定に求められる条件や機能を整理し,実時 間並列測定システムとして具備すべき機能を明確にし,システム構成上の対策 を検討し,設計を行った。測定には既存の試験システムを使用し,ノイズ測定 2のために,スぺクトラルアナライザおよびディジタルオシロスコープを購入し た。また,具体的な測定条件およびパラメータについて検討を行い,それにも とづく測定試験を行うとともに,測定システムの若干の問題点について,シス テムの改良と評価を行った。 3.2 測定・分析及びモデル化 アーク放電および電磁ノイズの具体的な測定方法として,測定対象である小 形電気機器に含まれる整流子モータの整流子(Cu)とブラシ(C)の開閉電気接点 モデル,および一般的な異種対向電気接点であるAg-Pdの試料を用い,電極開 離時の電源線に及ぼす伝導ノイズの出力を観測した。また,開閉動作後の電極 表面変化も同時に観測した。 実時間・並列測定法によるアーク放電と電磁ノイズの測定を種々の電気接点 について実施した。詳紳な観察で得られた各パラメータのデータを基に,これ らの相互関係について物理的変化より分析と電磁ノイズ発生のモデル化の検討 を行った。その結果,電極材料の条件によって散発的および継続的バーストノ イズの二種類の発生パターンに分類できることを示した。また,ノイズと電極 表面変化の同時測定法による分析方法を提案した。 さらに,電磁ノイズの問題のなかで,今後研究を展開すべき重要な分野であ る自動車用リレーの場合についても,アーク放電および電磁ノイズ発生の現象 について, 14V系および42V系での測定・分析を行って,データを蓄積した。 3.3 ノイズ制御方法の検討および基礎提案 特徴的なノイズの発生条件について,ノイズのAPD(振幅分布確率)や放電現 象の相互関係を分析し,その結果から情報通信システムへの影響が大きいノイ ズが発生するときの放電の発生条件などを明らかにすることができた。 散発的バーストノイズが発生する場合について,各測定パラメータ間の相関 関係の分析により,ノイズとの関連が深い要素に着目し,ノイズが発生してい る間に電極表面に溶融痕が形成されるということを明らかにした。それを基に ノイズ制御について検討することにより,溶融痕の形成を抑制することにより ノイズの発生を制御できる可能性を提案した。 また,ノイズが継続的に発生する場合について,ノイズが大きい区間の時間 3
が, C-Cu電極では陰極表面の放電痕の面積と, Ag-Pd電極では陽極表面の変 色部分の面積とそれぞれ相関を持つことを発見した。これにより,ノイズ発生 の制御について,アーク継続時間を抑制すべきであることを提案した。 3.4 ノイズ制御の実証実験 前項までの実験で明らかとなった,情報通信システムに最も影響を与えるパ ラメータに着目し,実際にノイズ制御の実証実験を行い,小形電気機器から生 じる電磁ノイズ低減の実現を目指した。 散発的バーストノイズの場合には電極の接触面積を小さくすることにより・ま た,継続的バーストノイズの場合は電極を太くすることにより,ノイズの継続 時間を短くできることを確認した。これらの結果は,形状を考慮した電極設計 がノイズ発生の抑制に有効であるという提案を実証したものである。 3.5 研究成果の報告 得られた知見は,国際会議あるい札研究会等の研究会合で公表,討論を行 い,関連学会の論文誌に公表した。
4 おわUに
本研究は,情報ネットワークシステムの電磁環境における電磁ノイズ発生の抑 制を目的として,アーク放電の発生パターンと電極表面変化を測定分析し,ア ク放電とノイズ発生との関連性を明らかにすることにより,ノイズ発生の抑制 手法を提案し,その有効性を実証することができた。 よって,本研究の当初目的は達成できたと言える。また,その成果を国内外 の学術刊行物等に公表した。 4TOUR : Tohoku University Repository コメント・シート 本報告書収録の学術雑誌等発表論文は本ファイルに登録しておりません。なお、このうち東北大学 在籍の研究者の論文で、かつ、出版社等から著作権の許諾が得られた論文は、個別にTOUR に登録 しております。 TOUR http://ir.library.tohoku.ac.jp/