地理歴史科(地理B)学習指導案
1 単元名
第Ⅱ章 現代世界の諸地域 7 節 ヨーロッパ2 単元設定の理由
○単元(題材)観 ヨーロッパは、フランスやイギリス、ドイツなどの経済的な漸進地帯と、スペイン、ポルトガル、イタ リア、東欧などその他の国々というように大きく分けることができる。経済的な漸進地帯では、産業の集 積が進み、高度な経済活動が展開されている。一方、その他の国々は、労働力や資源の供給地としての役 割を担っている。この傾向は、EU が統合を果たしていくにつれて、加速度的に進行してきた。この EU は、 アメリカや中国などと対等な巨大な経済圏を形成している。その一方で、難民の流入や経済格差の拡大な どの問題点も生み出したといえる。成熟した文化や社会を持った国々が多い EU の今後の動向は、世界の 方向性を決めるほど重要であり、世界が無視できないものである。 本単元では、ヨーロッパをひとつのまとまりとしてとらえる視点を重視しながら、各国の産業や民族・ 文化の特徴を理解し、様々な問題を抱えながらも平和と発展のために統合を進めていくヨーロッパの情勢 を理解できるようにする。学習を通して、シェンゲン協定が結ばれることによってどのように産業の集積 地が変化したか、共通農業政策を行うことでヨーロッパの農業生産物の分布がどう変化したのかを、複数 の農産物の分布の主題図や各政策の内容に関する資料、移民の流入の動向などと関連させ、考察する力を 身につける。また、EU がいま統合と離散の間で揺れ動いていることを学ぶ。国際協力が求められている現 在、EU が世界に先駆けて共通の経済圏を形成し、平和と発展のために統合する試みを行ったことを学ぶ点 において、本単元を学ぶことは意義深い。 ○生徒観 生徒は、第 2 学年時にヨーロッパにおいて、Cs 気候,Cfb 気候,Df 気候が広がっていることや商業的農 業が展開されていることを学習している。また、中学校段階の学習や様々なメディアに触れるなかで、EU が行ってきた、共通通貨の導入やシェンゲン協定による域内移動の自由化などの基本的内容を学んでいる。 訪れてみたいという生徒は約 70%ほどであり、ヨーロッパに関する興味や関心は高い。一方で、気候の特 徴・政治・経済・産業の事象の関連や内容、意義などについて説明できる生徒は少なく、思考・判断・表 現に課題がある。以上のことより、基礎的な知識を習得するだけでなく、それらの関係性や意義などを多 面的・多角的にとらえ、説明できるようになるための学習活動が必要である。 ○指導観 本単元を通して、今まで得てきたヨーロッパの農産物の分布・地形の名称・輸出品目・共通通貨の導入 や域内移動の自由化などの基礎的な知識を関連付けながら整理し、ヨーロッパのもつ地域的特色を学ぶこ とをねらいとする。そのために、複数の資料や主題図を提示し、多面的・多角的にヨーロッパをとらえる ために比較・関連させながら、ヨーロッパ全体で見た際の各産業の分布とそれぞれの特徴と課題・ヨーロ ッパの統合の過程・各国の発展の状況について考える。また、ヨーロッパのそれぞれの国の立場から、EU が行っている政策について考え、これからの EU がどうあるべきかについての討議を行う。これによって、 地理的見方・考え方のさらなる習得と活用を目指す。3 単元指導目標(到達目標)
○ヨーロッパの各国の立場から、EU について多面的・多角的にとらえようとしている。 【関心・意欲・態度】 ○ヨーロッパの EU 結成の過程・気候・共通農業政策による利点と課題・シェンゲン協定締結に伴う工業立 地の特徴などの獲得した知識を用いて意思決定ができる 【思考・判断・表現】 ○白地図への記入や地図帳での索引を円滑に行うことができる。 【資料活用の技能】 ○ヨーロッパの各国の農産物、工業立地、民族、言語、宗教の分布を理解している。 【知識・理解】4 指導計画(全9時間)
第1次 ヨーロッパの成り立ち(2時間) (1) ヨーロッパの範囲について、地形や気候などの基本的な地理情報や言語分布・宗教分布に注目し、 説明できるようになる。 ・・・・・・・・・・1時間 (2) EU の統合の過程について、加盟の順番を参考にして、EU がどのような背景と目的をもって設立さ れたのかをとらえる。 ・・・・・・・・・・1時間 第2次 ヨーロッパの農業立地の特徴と共通農業政策の功罪(2時間) (1) ヨーロッパの農業が気候や地形に応じて展開されていることを、混合農業・地中海式農業・酪 農・園芸農業の 4 つの農業の分布からとらえるとともに、それぞれの形態の特徴をとらえる。 ・・・・・・・・・・1時間 (2) 共通農業政策の内容と利点、課題について、農業が盛んな国と盛んではない国の立場から考え説明 できるようになる。 ・・・・・・・・・・1時間 第3次 ヨーロッパの産業立地と鉱工業の関連性と産業集約地の理解(2時間) (1) ヨーロッパの工業の分布について、各国の主要都市の分布に注目して考え、工業の盛んな地域と、 そうでない地域があることをとらえる。 ・・・・・・・・・・1時間 (2) シェンゲン協定で様々なものの移動が自由になったことによって、工業立地がどのように変化して きたのかをブルーバナナやフランスの飛行機の組み立て産業・東欧の新興工業地帯に注目して説明で きるようになる。 ・・・・・・・・・・1時間 第4次 ヨーロッパの統合の過程と揺れ動き(3時間)【本時 3時間目】 (1) イギリスの EU 離脱に伴う国内の意見について考えることによって、ヨーロッパが統合と離散の間 で揺れ動いていることをとらえる。また、EUの中に格差が存在することを知る。 ・・・・・・・・・・1時間 (2) フィンランド、ポーランド、スペイン、フランス、ドイツ、イタリアのそれぞれの国が EU へ加盟す ることによってどのような影響を受けたのかを整理する。 ・・・・・・・・・・1時間 (3) 学習した内容を基に、「EU から離脱することに賛成 or 反対」というテーマで各国の立場から意見を 述べ、EU について多面的・多角的に考える。 ・・・・・・・・・・1時間(本時)5 本時
(1) 本時の指導目標 ① EU に対する意見を複数の立場から述べる活動を通して、EU の意義や課題について考える。 ② 生徒ひとりひとりが、EU の今後に対する意見を持てるようになる。 (2) 本時の手立て ヨーロッパの北部、東部、西部、中央部のそれぞれの立場から「EU から離脱すべきである」の是非を話 し合う活動を行う。 (3) 本時の授業仮説 ヨーロッパ統合と揺れ動きの学習において、様々な立場からみた EU についての話し合い活動を行うこ とによって、EU の今後について考えることができるようになり、EU を多面的・多角的にとらえることが できるようになるだろう。 (4) 教材 教師・・・教科書(新詳地理B【帝国書院】)、地図帳(新詳高等地図【帝国書院】)、資料集(新詳地理 資料COMPLETE【帝国書院】)、学習プリント、ミニホワイトボード、水性ペン 生徒・・・教科書(新詳地理B【帝国書院】)、地図帳(新詳高等地図【帝国書院】)、資料集(新詳地理 資料COMPLETE【帝国書院】)、筆記具、学習プリント(5) 学習の展開(学習指導過程) 〇学習内容 ●学習活動 教師の支援 指導上の留意点 教材 時 間 学 習 形 態 評価 導 入 ○共通農業政策・共通通貨の導入・シェンゲン協定 などの域内活性化のための施策 ※フィンランド・ポーランド・スペイン・ドイツ・フ ランス・イタリアの6つのグループ ●EU が行ってきた施策の整理とそれぞれのグループ ごとの立場の再確認をおこなう。 ・施策の整理を生徒との対話の 中で行う。 ・本時の発表活動のために前時 で行った意見の整理を行う とともに、その根拠を再度明 確にさせる。 ・学習プリ ント ・各グルー プの資料 ・ミニホワ イトボード ・水性ペン 10 分 グ ル ー プ 展 開 1 ○自分の立場以外から見た EU を改めて捉えなおす。 ●それぞれのグループごとに以下の形でホワイトボ ードにまとめ、意見の発表を行う。 ●自分のグループ以外の意見を、簡潔にまとめて学 習プリントに記入する。 ・それぞれの立場と主張の根拠 を明確にさせ、発表を行わせ る。 ・日本の立場からみた意見や各 グループに足りない意見の 補足を行う。 ・学習プリ ント ・各グルー プの資料 ・ミニホワ イトボード ・水性ペン ・教科書 ・資料集 25 分 一 斉 ・ 獲 得 し た 知 識 を 用 い て 根 拠を明確にし、 そ れ ぞ れ の 立 場 の 意 見 を 自 分 た ち の 言 葉 で 説 明 す る こ とができる。 【思考・判断・ 表現】 展 開 2 ○二度の世界大戦を経験し、その悲劇を繰り返さな いようにすることや、疲弊したヨーロッパの国際 的な地位を再び確立させることを目的にしての設 立であった。そのため、短期的な視点ではなく長 期的な視点で、平和と発展のために統合を行って きたことを再確認する。 ●EU がそもそもどのような経緯で設立されたのかを 改めて考え、EU はどうあるべきなのかを判断する。 ●EU 域外からの EU について考える。 ・長期的に見たときに EU は存 続すべきという意見が多い のか、短期的に見てなくすべ きという意見が多いのかを 見極め、補足説明を行う。 ・生徒から出てこなかった意見 の補充を行う。 ・EU 域外のアメリカ・中国から 見た EU を、資料を提示しな がら説明する。 ・学習プリ ント ・各グルー プの資料 ・教科書 ・資料集 10 分 一 斉 ま と め ●EU が今後どうあるべきかについての意見と活動に 対する振り返りを個人で行う。 ・それぞれの意見を持つことが 大事であることを強調し、ど のような立場でも構わない ことを伝える。 ・学習プリ ント ・各グルー プの資料 5 分 個 人 ・ そ れ ぞ れ の 国の立場から、 自 分 の 言 葉 で 書 く こ と が で きる。 【思考・判断・ 表現】 私たち はEUから離脱することに賛成or 反対である。 それには以下の 個の理由がある。 最初の理由は、 はわたしたちにとって、 というメリット と い う デ メ リ ッ ト が あ り、メリットor デメリットのほうが大きいと考える。 次の理由は、・・・・ よって、私たちはEUから離脱することに賛成or 反対で ある。