軸方向流れのない円形翼列における
旋回失速
山藤和男
(昭和52年8月20日受理)Rotating Stall in Circular Cascades without Axial Flow
KazuoYAMAFUJI
Abstract Rotating stall in cross・How impellers was investigated analytically and experimentally. A cross・且ow impeller which is a typical circular cascade without an axial suction has singular stall characteristics in all the ranges of the performance. Flow of a cross・flow impeller with or without a casing is characterized by a vortical flow in the whole flow region due to an eccentric vortex formed in the inner region of the impeller. Rotation of the eccentric vortex around the impeller axis is identical in one part with the rotating stall in the other circular cascades such as centrifugal pumps and compressors, and is different from those in another part. Experiments conducted in this study revealed the rotating stall characteristics of the cross−How impellers. Navier−Stokes equations were linearized by using the small perturbation method and solved under several assumptions. Although the expressions thus obtained for rotating velocity of the eccentric vortex involve two unknown parameters to be determined experimentally, com・ parison of calculated and measured velocity gives good agreement. 1. まえがき 軸流圧縮機や軸流ポンプ等の環状翼列においては, 流量がある限界以下になると翼の背面上に流れの剥離 が生じ運転の重大な障害になることが知られている。 剥離領域は成長するにつれて一個または数個のセル となって羽根車の回転に従って同方向に羽根車の角速 度の30∼60%の角速度で旋回する。軸流圧縮機内に生 ずるこの旋回失速現象はジェットエソジンの開発の過 程ですでに1950年代の初あから報告されており1−’4), 軸流機械の異常振動,騒音あるいは破壊の原因の一つ として重大な関心を集めてきた。 環状翼列における旋回失速現象はこれまでに多数の 研究者によって研究され,今日ではその理論的解明や 予知法あるいは予防法がほぼ確立されている5’”8)。さ らに現在では理論的解明は線形解析から非線形解析へ と進み,現象のほとんどの側面が明らかにされつつあ る9・10)。 一方,遠心圧縮機等の円形翼列においても,低流量 においては同様な旋回失速が起こることが早くも1945 年にCheshireii)によって報告されている。一般に遠 心圧縮機や遠心ポソプではこの現象より先にサージソ グ点に達するので低流量域で生ずると考えられるこの 現象があまり問題とはならなかったのではないかと考 えられる。遠心圧縮機ではまずベーソ無しディフユー ザにおける旋回失速12)が研究され,ついで遠心羽根車 の流れの可視化によって部分流量時の旋回失速と異常』 現象が調べられた13’14)。 最近の研究としては遠心送風機の旋回失速とサージ ング限界に関するものがある15・16)。近年ポンプ水車や 遠心送風機の低流量域運転において,旋回失速や逆流 にもとつく圧力変動や異常振動が重要な問題となりつ つある。筆者はすでに貫流羽根車にも旋回失速が生ず ることを報告したが1η,本報ではその後の研究結果に ついて述べる。貫流羽根車は円形翼列の一つである が,これは軸方向の吸込みをもたない多翼羽根車である。 一般に円形翼列をもつ羽根車では軸方向の流れを完 全に遮断すると側面シュラウドを除けぽ貫流羽根車と 全く同等になるので,以下に述べる貫流羽根車の旋回 失速現象は軸方向流量0における円形翼列の旋回失速 の典型的な場合と考えることができる。 2. 貫流羽根車における非軸対称流れ 貫流羽根車は図一1に示すごとく,一般には回転方向 に湾曲した多数の羽根をもつ羽根車である。これをケ ーシング等の流れの拘束物をつけない状態で回転した ときには軸対称な羽根車内には軸対称なうず流れを生 じないで,羽根車をよぎる非軸対称の貫通流,すなわ ち貫流を生ずる。 軸対称解は数学的には運動方程式の解の一つにはな りうるが,実際には軸対称な流れになることはまれで 羽根車中心に関して非軸対称な流れが支配的である。 貫流羽根車には非軸対称な流れが生ずるがゆえにその まわりに何らかのケーシングを設けることによって羽 根車が流体に対してなす仕事を有効に取り出すことが できる。貫流羽根車の非軸対称流れは羽根車の内部に 偏心して生じた大きな一つの偏心うずによって誘起さ れたうず流れとして特徴づけられる。 Eck18)は1953年に流れの可視化により,偏心うずの 存在を発見した。彼はまた偏心うずはケーシングをつ けない羽根車単体のまわりに羽根車の回転方向に羽根 車の回転速度よりもはるかに遅い速度で旋回すること を見出したが,実験に供した羽根車についてはうずの 旋回速度は羽根車のそれの約1/20であった。羽根車の 内部でうずが偏心する原因について,Tramposch19)は 流れの乱れにもとつく外乱によって安定な同心うずが 偏心するためであると述べている。筆者は偏心うずの 形成過程と貫流機構について詳しく研究し,貫流の原 因と安定条件を明らかにしている20)。 図一2は羽根車起動時の流れをポリスチレソ粒子によ って可視化し,偏心うずの形成過程を追ったものであ Fig.1 An cross・flow impeller. Fig.2 Transient process of formation of an eccen・ tric vortex.
る。また,図一3は同じ流れをモアレ法21)で可視化した 一例を示している。これらの図からも判るように羽根 車内の流れは起動直後に早くも対称性を失ない,非軸 対称な偏心うず流れへと移行する。実験によれば羽根 形状が前向きに湾曲した円弧状のみならず放射状平板 状および円形の羽根に対しても,羽根車外周速U2,翼 弦長bに関するレイノズル数(R,−U2b/v)が約250以 上であれば偏心うずが形成されて貫流が生ずることが 明らかになった。 3. 偏心うずの旋回現象 Fig・3 Visualization of the transient process by means of Moir6 Topography. 羽根車近くに流れを拘束するものがない場合には, 偏心うずの周方向位置の安定は実現されない。その結 果うずは周方向のどの位置にも安定することができず 羽根車と同方向または逆方向へ旋回することになるが 一般には同方向への旋回が支配的である。 図一4は円弧羽根車における偏心うずの時間的な旋回 を示し,図中の数字は任意の出発点(0)からのうず 中心の軌跡(sec)を示している。偏心うずのこのよう な旋回運動は前述の軸流および遠心圧縮機の部分流量 における旋回失速と同じであるが,貫流羽根車におけ る旋回失速では単なる剥離セルまたは再循環域などの 狭い領域の旋回ではなくて,大きな一つの偏心うずと それによって誘起されたうず流れ全体が羽根車中心の まわりを旋回することである。 また,軸方向の吸込みがない貫流羽根車においては 羽根車の角速度の1/10∼1/120という低い速度で旋回 が起こっている。さらに時として羽根車とは逆の方向 にもかなり持続した旋回(逆旋回)が生ずることがあ る。 貫流羽根車におけるうずの旋回現象は羽根車吸込み 側羽根の負圧面上の流れの剥離の伝播の他にその後縁 から羽根車内部に脱離される小うず群の偏心うず核内 への連続的な巻込みにも関係している。 小うず群の偏心うず中心部への巻込みによって流れ の流入と角運動量の移動が起こり,その結果うず流れ の周方向速度成分が発生する。羽根車の定常回転にお いて偏心うずの正旋回の途中で突然流れのパターンが 変化し逆旋回を生ずることがある。逆旋回は吸込み側 羽根の外側に発生した逆うずの誘起速度によって起こ る場合が最も顕著であるがその他に正旋回と同じく羽 根面上の剥離域の伝播によっても起こる。 特に後者は起動時に偏心うずが生じた段階で頻繁に 22 11 2324 Fig.4 Rotation of an eccentric vortex around the impeller axis(IB2, N= 21.2rpm).
Fig.5 1nterference between two vortices in the inner and outer region of the impeller. Fig.6 The flow model. みられる。図一5には逆うずと偏心うずの干渉の模様を 示す。偏心うずの半径方向安定に関してはすでに報告 している22)のでここでは述べない。 4. 偏心うずの旋回速度の解析 本章では微小擾乱法によって偏心うずの旋回速度を 解析する。実験水槽で羽根車を回転するときに生ずる うず流れの旋回速度を求めるにあたって,次の仮定を 設ける。 (i)うずは羽根車中心cからεR、だけ偏心し,半 径方向には安定しており,Cのまわりに定常的な旋回 運動を行う。ここに,εはうずの偏心度である。 (i1)うず流れはうず中心に関しては軸対称。 (川 水槽側壁に接するうず流れの半径をRv−DT/2 一εR、とするとき,Rvは時間的に一定であり,かつ この半径の円上では擾乱圧力の変化は消滅する。すな わちptを擾乱圧力として, グ=Rv上で,∂P’/∂r=∂pt/∂θ=0 (1) 図一6にこの流れのモデルを示す。さて,うず中心0 を原点とする回転座標系が羽根車中心Cのまわりを一 定角速度9で旋回しているとき,回転座標に関する流 れの相対的なNavier・Stokes式は極座標では次のよう にあらわされる。式中の速度を羽根周速度(アクチュ エータ速度)U。一ωR。,長さをアクチュエータ半径R。, 圧力をρU。2,時間を1/ωでそれぞれ無次元化し,さ らにアクチュエータ速度と半径に関するレイノルズ数 Re。−U。R。/レを用いると, V2 ∂u ∂u v ∂u 十一・一一一一 一2・−v
−十u
∂r r ∂θ r ω ∂t−一爵+☆(ク・ き÷晋一)
(2) v ∂v uv 、2 ∂v ∂v ∂t−+u∂r+:’∂万+7一+27μ一嘉+念(7・v−÷+膓劉 (・)
ここに,ωおよび9はそれぞれ羽根車と偏心うず旋 回の角速度,μおよびvはそれぞれ流れの半径方向お よび周方向速度成分である。次に,速度と圧力を定常 分と非定常分(’)とに分けて, u=ut, v=V(r)十v’, P=1)(P, θ)→−P’ (4) と書き, 非定常分はいずれも微小な擾乱成分として,自乗以上 の項を無視すると擾乱成分に対するNavier・Stokesの 式は次のようになる。 彩+v(・);÷一一≡−2・㌢一一票+志(7・・L:;−Z・箭)(・)
筈+z;(fr)・暢+ur・票+字+2・書・’ 一一÷・;書’+言(7・・L芸+呉・裟)(・) ここで微小擾乱速度に対する連続の式 ’ ∂vt ∂u −0 (7) 一一十 r∂θ ∂r を用いて微小擾乱速度に関する流れ関数ψを次のよう に定義する。 z4’=∂ψ/r∂θ, v’=一∂ψ/∂r 式(8)を(5),(6)へ入れて〆を消去すると, 詑ψ+11;(1「)・3,・・ip一帯・7・2v(・)「☆戸ψ
を得る。 (8) (9)ここで,
匹書+÷÷+㌃・昔
7,・一ノ+÷・昔一丁
とする。 うず流れの周方向速度成分の定常値V(r)として,ア クチュエータモデルによって得られたうず速度22)を与 えるものとすれぽ, v(r)−2R。 rU。/〔r2+R。2(1一ε2)〕 ㈹ ∂ 2 ∂ 1/R,α・・… 1/R・a・……駝(o・E・)+〆念∂ さて,2章で述べたごとく,偏心うずが形成される のは羽根弦長に関してとったレイノルズ数Re−U。b/y が250以上であり,本章にいうR,αはアクチュエータ 半径に関するレイノルズ数であって,前者よりも大き いから,結局Re》1となってφ1に比べてφ2,φ3,…… などは無視できる。式聞にEi==exp〔i(αt+βの〕を 入れると,繋+÷・豊一[畏
一(r2+誤漂め+2β}]95,一・ (・4
式04ぱ境界条件とともに,α,β,ωおよびRe、に関 する固有値問題となる。さて,αは複素位相速度であ り,擾乱の中立安定に対してはCtfi−0とおくことが できる。また,境界条件を適用するのはr−rvにおい てであることを考慮すれば,この近傍の流れについて は式(i4の大括弧の中の第2項は第1項に比べて無視す ることができて,φ1〃+⊥φ・一βiφ1−・ 傾
r r を得る。 これを解いて, 1 (c、rβ+c2r一β)・exp〔i(cr, t+βθ)〕 (1θ ψ1= Reα ψ1の値を式(8)および(5),(6)へ入れ,1/R,α2の項を無 視して,境界条件(1)を適用する。得られた二式の係数 行列式から,陰饗ξ)_穿ト
⑰ これを解いて,V(rv)=2rv/(rv2十a2), a2=1一ε2を これを無次元化して, V(r)=・2r/(r2+a2) ⑳’ ここに,a2 ・= 1 一 s2とする。さらに,ψを1/R。,の項 で展開し,次のようにあらわす。 ψ(t, r, θ, 、F∼eα)一妻、☆・¢n(r)・En(・・) 式中,E。−exp〔in(α’+βθ)〕,α一α。+iCUi, n一整数。 ’万ク2(φ1E1)+。・+a・’−3itt72(φ1E1)+(。・+め・’be(φ1E1)一゜ 一・活(・・E・)+(麗),・☆(・・E・)−74(繊 式⑪を(9)に入れて得られた式において, …… ノ関する項を集めて0とおけぽ, 16a2 ∂ 1/R,α,1/R,α2 (12) a3) 代入すると,9/ωが解として求められる。すなわち, ξ=1/(r。2十a2)とおいて, 』2/ω=一(ξ十a2ξ2) ±/(ξ+a・e2)+t(eVr+・βξ)・−4・・ξ・㈹ これらの二根のうち,9/ω>0は偏心うずの正旋回 に対する解であり,9/ω<0は逆旋回に対する解を与 える。 5. 偏心うずの旋回速度の測定 水槽実験によって偏心うずの旋回速度と偏心度εを 測定した。図一7に実験装置の概要を示す。貫流羽根車 は軸を垂直にして水槽の中央におかれ,減速機を介し てモータで駆動される。羽根車の回転速度はN=1.8 ∼90rpmである。表一1には供試羽根車の諸元を示す。 水面にはアルミ粉末が散布され,流れを可視化して いる。水槽上部に設定したカメラで偏心うずの旋回の 模様を一定時間々隔ごとに撮影して得られた写真から うずの旋回速度と偏心度を測定した。 図一8∼10はこのようにして測定された三種類の羽根 車についての測定結果を示している。εと9とはたえ ず変化しており,実測値はかなりバラついている。放 射羽根車(IC2,3)ではεの増大は9/ωの増大すな わちうずの旋回速度の増大につながっている。以上は 正旋回に関する結果であるが表一2には逆旋回の測定値 を示す。前述したごとく,逆旋回現象が起こるのはま れであり,持続時間も短かいから連続した測定データ はなく偏心度も測定していないが,観察の結果によれ ば正旋回と同じく,ε・・O.5∼0.8が多かった。また, 逆旋回速度は正旋回速度よりも絶対値は一般に大き いoTable l Dimensions of Impellers Table 2 Blade profile Circle Circular
arc
Radia1 Symbo1 IA 2IBl
IB 2 1B 3ICl
IC 2 1C 3 Inner diameter DI mm 143 136 125.5 123.8 Outer diameter D2 mm … 1 160 160 160 No. of blades z 18 35 27 27 Chord lengthbmm
7.0 13.1 19.1 19.0 ・40.51 124.4 100.3 1601 160[ ・6・1 18 18 18 Span rnm 111 108 105 105 9.7; 17.8 29.9 110 110 110 Thick・ neSStmm
Counter Rotation Data Impeller 7.0 2.1 3.2 3.2 2.1 2.1 2.1 IC 1 〃 〃 IC 2 〃 〃 IC 3 〃 N(rpm) 70 80 90 10 70 80 60 80 2/ω 一〇.050 −0.031 −0.030 −0.139 −0.031 −0.109 −0.095 −0.065. 6.理論値と実験値との比較 解析的に導びかれた式(18)はεのほかに未定のパラメ ータα,,βを含む。したがってα。,βに次の考慮に Light source (2) (960)§\
\Camera ) ( (o
o
N
一) Moir6 scr Tank § / 13008
Camera(2)ラ∠
Illuminated surface8
㌃o
”一一u「… Impeller ・ Electric motor・ ・寄・・ Continuous speed change gear Transparent wall Light source (1)N
Slit(1) Slit(2) Fig.7 Experimental apParatus. よってα。,βの適当な値を入れて9/ωとεの関係 を求めたものと前章において得られた実験値とを比較 する。 川 α,の値として,この擾乱の位相速度はたかだ かうずまたは羽根車の旋回速度の大きさであるから, α。−0∼±1とする。 (ii)βは擾乱の形態(configuration)に関係するも のでいわゆる円周波数である。擾乱の形はJansen12) の実験結果によって明らかなごとく,1セルないし数 セル程度であるから,β一1∼4とする。 rvの値は羽根車ごとに異なっており, 円柱羽根車(IA2)では, rv−8.67一ε 放射羽根車(IC2)では, rv=9.14一ε (IC3)では, rv=9. 99一ε となる。 図一11は円柱羽根車における理論値と実験値の比較で ある。最も単純な羽根をもつこの羽根車ではβ一1と 考えられるので,計算に際してβ一1としたときには, O.04 0.03 ミ0.02 O.Ol ’‘.・ε @ IA2 。一一・・カ/ω 一〇.8 0.04 0.03 o o IC2 ロ− −e 。一Ω/ω而
I!
0,8 0.04 ● ● ・ e o o o ● o ● さ 0・6・さO・02 o 0.4 0.01 0 20 40 60 80 Nrpm⊥
0.03 0.6・ミ0.02 0.4 0 1 2 3 4 5 Re×IO−3 Fig.8 Relation between(2/ω,ε) and(N, Re). 0 20 40 60 80 NrpmO24681012
Re×10−3 Fig. g Relation between(」2/ω,ε) and (N, ・Re). 0.01 4 IC3 ●一一一一ε o ・一一一一Ω/ω 3 o | o o : ● ■ → o 2 ち 」一@ | @ i @ l 1 ... 一」ヒ ・一 1l i
1 20 40 60 80 Nrpm L___L_」一__−L__ 0.8 0.6∪ 0.4048121620
Re×IO一3 Fig.10 Relation between(、Ω/ω, ε) and (N, Re).α。−0.005∼0.025のときに両者はほぼ一致する。 流れの観察結果によれぽ擾乱の形はβ一1で時間的 に変化しないので,位相速度が剥離の遅れなどによっ て変化することによって旋回速度が変化するものと考 えられる。図一12a, bは放射羽根車(IC 2)における 比較を示す。図一12aではα。−0としてβ一1∼4とし, 同図bではβ一2としてα。一一〇.01∼0.04と変化さ せている。 図一13は(IC 3)に対する比較である。図一14は逆旋 回速度を式(18)によって計算したものである。 同じ偏心度に対する旋回速度を比較すると,式㈹か ら明らかなように絶対値は逆旋回の方が大きくなって ミ 0.03 0.02 0.01 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 ε Fi9.11 Comparison of calculated and measured valu・ es of、Ω/ω(IA2). ミ 0.05 O.04 0.03 0.02 0.01 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 ε Fig.12(a) Camparison of calculated and measured values of 9/ω (IC2). いる。実験値の方も前述したごとく逆旋回速度の方が 大きい。逆旋回では図一5に示したように羽根車の吸込 み側外側に逆うずが発生すると偏心うず流れの領域が 狭くなって偏心うずは逆うずの誘起速度で非常に動き 易くなるためと考えられる。 次に羽根車近くに設けられた障害物の影響について 述べる。羽根車の近傍に一一枚の板を半径方向に設ける ことにより,偏心うずの旋回を停止させることができ る。図一15はうずの旋回を停止させるに必要な羽根車 外端と境界板(ba田e plate)との最大距ee dと羽根車 回転数Nとの関係を示している。図一16は境界板によ ってうずの旋回を停止させたときの流れである。 ’O.05 ミ 0.04 0.03 0.02 0.01 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 ε Fi9・12(b) Comparison of calculated and measured values of 9/ω (IC2). ミ ¢ 0.05 0.04 0.03 0.02 0.01 β三レ 0.2 0.4 0.60.8 1.0 ε Fig.13 Comparison of calculated and measured valu・ esofJ2/ω(IC3). 一一Z.08 一〇.06 s \−O.04 一〇.02 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 ε Fig.14 Counter rotating velocity calculat・ edbyEq.(18). 盲 亘
v
60 20 40 60 N(rpm) Fig.15 Maximum length to obstruct the rotaticn of the eccentric vortex. *=25° Fig.16 Streamlines of the flow indu・ ced by a standing vortex(IB 3,A「=・25rpm, d=30mm).ミ 0.04 0.03 0.02
0・011357911131517
(rT/R)2 Fi9.17 Variation of the rotating velocity with insertion of a boundary plate. 境界板から羽根車までの距離がdよりも大きくなる と偏心うずは旋回をはじめるが,両者の距離の大きさ によって旋回速度は異なる。図一17はそのようにして 得られたうずの旋回速度におよぼす境界板の位置Rの 影響を示している。 さて,Le Botら14}は遠心羽根車と後置静翼列の間 の距離を変化させることによって剥離域の伝播速度が 変化することを見出している。両者の距離が大きくな るほど旋回速度は大きくなっているが,これは静翼は 剥離域の伝播を遅らす効果があり,動翼と静翼の距離 が小さくなるにつれてそれだけ強調されると説明して いる。 また,Hergtら13)は同じく遠心羽根車の部分流量に おいて旋回失速は案内羽根の数2とt/1比(pitch・ chord ratio)によって変化することを実験的に見出し ている。彼らによれぽ,z=8∼12の変化により9/ω 一〇.66∼0.33まで減少し,t/1を大きくすると9/ω は大きくなる。 Le BotらおよびHergtらの実験においては軸方向 の吸込みが存在し,羽根車のまわりを旋回するのは偏 心うず流れ全体ではなくて部分的な剥離域であるた め,動翼の近傍に障害物がない方が抵抗が小さくなっ て旋回速度が大きくなるためであろうと推察される。 一方,本実験においては旋回するのはうず流れの全 体であるから領域が広くなれぽなるほど旋回速度は遅 くなる。7.結
論 軸方向吸込みの全くない円形翼列の典型として,貫 流羽根車における偏心うずの旋回現象を解析的,実験 的に調べ,次の結論を得た。 (1)軸方向吸込みのない貫流羽根車においては,失速 し旋回するのは剥離セルだけではなく,偏心うず流れ によって誘起される流れの場全体である。 (2) うずの旋回速度は羽根の形状によって異なるが羽 根車の回転数の1/10∼1/120である。 (3)微小擾乱法によってNavier・Stokesの式を線形化 し,偏心うずの旋回速度を与える式を解析的に導い た。得られた結果は次の通りである。 川 得られた旋回速度式はうずの偏心度ε,擾乱の 位相速度α,および擾乱の形状に関するパラメータβ の関数となる。 (ll)得られた速度式は正負の二値を有しており,正 値は偏心うずの正旋回を,負値は逆旋回をあらわすも のと考えられる。 (4)うずの旋回速度を実験によって測定したところ旋 回には羽根車と同方向へ回転する正旋回と逆方向へ回 転する逆旋回とがあり,測定値はかなりバラつきがあ るものの定性的に理論値と一致した。 ⑤ 偏心うずの旋回速度は流れのパターンにも関係す る。そのパターソの変化によってεのみならずαrお よびβが変化するものと考えられる。 (6)偏心うずの旋回速度は流れの拘束物が羽根車の近 くにあるほど速くなる。だが,拘束物をあまりにも羽 根車に近接させると偏心うずの旋回は停止し,ほぼ一 定の位置に安定する。 謝 辞 本研究を行うに際して,東京大学工学部 大橋秀雄 教授および宇宙航空研究所 田中英穂教授には懇切な ご指導と助言をいただいた。ここに心から謝意を表し ます。 文 献 1)Sears, W. R.:Trans. ASME,20−3, J・of ApPl・ Mech.(1953),57−62. 2)HupPert, M C. and Benser, W・A・:J・Aeron・ aut. Sci.,20 (1953), 835−845. 3)Iura, T. and Rannie, W・D・:Trans・ASME,76 (1954), 463−471. 4)Stenning, A・H・, Kriebel, A・R・and Montgo− mery, S. R.:NACA TN 3580(1956). 5)Montgomery, S. R・and Braun, J・J・:NACA TN 3823 (1957). 6)Schmidt, R. D., Vasu, G・and McGraw, E・W・: NACA TN 3585(1957). 7)Wood, M. D・:Aeronaut・Quart・・10−4(1959) 345−360.9) 10) 11) 12) 13) 14) 高田:東京大学航空研究所集報,2−6(1961),305− 395. 高田,永野:日本機械学会論文集,37−296(1971), 687−695. 永野,高田:日本機械学会論文集,37−296(1971), 696−706, ibid,37−298 (1971), 1145−1155, 37−298 (1971), 1156−1164. Chesire, L. J.:Proc. Inst. Mech. Engrs.,153 (1945), 426−440. Jansen, W.:Trans, ASME, Ser.(D),86−4(1964), 750−758. Hergt, P. and Benner, R.:Schweiz. Bauzeitung, 86Jahrgang, Heft 40(1968),716−720. Le Bot, Y. et Bernard, P.:La Recherche Aerosp., 15) 16) 17) 18) 19) 20) 21) 22) 4(1972),187−198. 露崎,今市:ターボ機械,5−2(1977),78−88. 妹尾,木下:ターボ機械協会,第4回講演会論文集 (1977), 45−51. 山藤,大橋:日本機械学会,第792回講演会論文集 (1969), 127−130. Eck, B.:Ventilatoren,4Aufi., Springer(1962). Tramposch, H.:ASME Paper, No.64−WA/FE− 26 (1964). Yamafuji, K.:Bull. of the JSME,18−123(1975), 1018−1025. 浅沼編:流れの可視化ハンドブック,朝倉(1977). Yamafuji, K.:Bull. of the JSME,18−126(1975), 1425−1431.