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JAIST Repository: 研究活動における大学間連携の現状と課題

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Academic year: 2021

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JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 研究活動における大学間連携の現状と課題 Author(s) 原田, 健太郎 Citation 年次学術大会講演要旨集, 29: 418-421 Issue Date 2014-10-18

Type Conference Paper Text version publisher

URL http://hdl.handle.net/10119/12477

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す るものです。This material is posted here with permission of the Japan Society for Science Policy and Research Management.

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2B20

研究活動における大学間連携の現状と課題

○原田 健太郎(徳島大学) 1.研究の背景と目的 平成 24 年度に公表された大学改革実行プランにおいて、多様な大学間連携のイメージが提示されて いる。海外大学との連携や一法人複数大学、国公私立大学による設置形態を超えた教育研究組織の設置 等である。その後、示された形の連携の実現は限られているが、諸々の状況がこのような連携を加速さ せることが予測される。 次に、研究成果という観点に立つと、我が国の論文数が停滞気味であるという量的側面に加えて、国 際共著論文や産業界との共著論文の割合が少ないという質的側面も批判されている。このように考える と、今後は研究の連携を活性化していくことが必要になるとも考えられる。 また、昨今では専門分野の壁を越えた共同研究体制の構築も叫ばれている。従来の専門分野の壁を越 えて、様々な背景をもった研究者による共同研究の実施が期待されている。 とはいえ、研究活動においては、他の機関の研究者との共同研究は古来より広く行われてきた。例え ば、クレイン(1979)は、見えざる大学を提唱し、研究者が大学を超えて共同研究を行っていることを 指摘している。このように研究の連携は、従来から大学を超えて実施されてきたといえる。 また、東京大学の原子力研究所の設置から今日の大学共同利用機関法人の設置に見られるような、機 器の共同利用という取組が日本においては古くから見られる。 果たして、先に述べた大学の研究活動に対する批判に対して、提唱された大学間での連携の取組がど れだけ重要で、どれだけ成果があがるものであるかは必ずしも明確ではない。一方で、政策的にはその 実施が期待されている側面がある。そこで、本稿では、研究活動に関する大学間連携についての基礎的 な理解を得るとともに、今後、これらの政策を推進するためにはどのような方法があるかを検討するこ とを主な目的とする。 2.課題の設定 研究の連携において、まず想像されるのは、個人レベルでの連携であるといえる。しかし、先に述べ た連携を考える際には、組織間での連携を考えることも重要である。そこで、本稿では、研究活動の連 携の中でも組織が主体となっている連携に着目する。具体的には、大学や部局等が主体となって行って いる、研究活動についての大学間連携について検討することが課題である。 はじめに、日本の国立大学の特徴を検討する。その後、その知見も踏まえつつ、大学間連携で重視し ていることや成果を明らかにする。最後に、連携を促進していく際に重要であると考えられている事項 についての検討を行う。 3.データと分析方法 (1)データ 本稿で利用するデータは、「国立大学の多様な大学間連携に関する調査研究」の一環で実施されたア ンケート調査で収集されたものである。調査では、日本の全ての国立大学の学長、学部長、研究科長、 研究所長、共同利用・共同研究拠点、教育関係共同利用拠点に対して、アンケート用紙を配布し、回収 したものである(平成 25 年 10 月から 12 月まで)。回収率は以下の通りである。 学長:95.3% 学部長:78.4% 研究科長:77.5% 研究所長:80.2% 共同利用・共同研究拠点:97.4% 教育関係共同利用拠点:75.0% 質問項目については、大きく分けると「大学に関する実情」「研究連携について」「教育連携について」 「大学間連携に関する今後の方向性について」の四つから構成される。 (2)分析方法 本稿で実施する分析は以下の通りである。

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初めに、回答者の所属及び専門分野の確認を行う。後の解釈を行う際には、学部や研究所がどのよう な大学に設置されているかを見る必要がある。その後、研究連携の目的について、何が重視され、その 成果が何かを明らかにする。最後に、今後大学間連携を推進していくには、どのようなことを実施して いくべきと考えているかを確認する。 ただし、最後の連携の推進については、限界のあるデータではある。アンケート調査では、「連携に 関する今後の方向性」については、研究についてだけではなく、教育や社会貢献の連携も含めて、今後 の推進策を問うている。結果として、例えばある学部長の回答では、教育連携を強く連想して今後の連 携方策の回答を行っていることもある。そういう意味で限界があるデータであることは確かである。 なお、六つの主体からの回答を得ているが、紙幅の関係から学長、学部長、研究所長に焦点を当てて 分析することとする。(学部長と研究科長、研究所長と共同利用・共同研究拠点については重複してい る部分も多いことが予想されるからである。また教育拠点については研究連携についての回答を得てい ない。) 4.分析結果 (1)基礎統計量 初めに回答者の検討を行う。図1は、本デー タの回答者の所属の概要である。一応、ここで は研究大学と一般大学に分類したi。回答者の属 性から言えることは、研究大学の学長数は全体 の 10 パーセントに過ぎないが、学部長数や研究 科長数となると全体の 30%、研究所長や共同研 究拠点になると全体の 70 パーセントから 80 パ ーセントが研究大学に所属していることになる。 このことからも分かることは、研究所長は、研 究が中心の組織にいることに加えて、研究大学 に所属している割合が高く、結果、研究意欲が 高まる環境下にいることが分かる。 また、研究所長の専門分野については、回答 者 74 名のうち、人文科学が 9 名、社会科学が 4 名で、文系の人間が少ないことも特徴として指 摘できる。 (2)連携における期待と成果 ここでは研究連携において、期待していること及びその成果について見ていく。各項目については、 重視したかどうかは 3 件法、成果とみなしているかどうかを 4 件法で聞いていることから、回答結果の 平均値で見ていくこととする(値が大きいほどポジティブな回答である)。 図2は研究連携で重視した項目について整理したものである。高い値を示している項目は、「新たな 研究ネットワークの構築」、や「最先端研究の促進」、「国際交流」である。職位間での違いについては、 研究所長は、連携を通して、多様な期待を求めていることが分かる。これは、研究所長は、先にも述べ たように研究志向が強い一方で、学長や学部長については、相対的に多様な意識を有している人間から 構成されていることによることが想像される。 図3は研究連携による成果の項目について整理したものである、連携の成果としては、「既存のネッ トワークの強化」「国際交流」「情報交換」等があげられている。職位間の違いについても、「重視して いること」と類似した結果となっている。 (3)連携を促進するために必要なこと 最後に連携の促進要因を検討する(図4)。初めに、「連携を実施する研究者・教員」の重要性が極め て高いことが分かる。続いて、「運営資金」「教育・研究設備」も高い値を示しているが、「キーパーソ ンの存在」や「連携先との合意形成」といったヒトに関する項目も高い値を示している。職位別では、 大学執行部のリーダーシップを学長が重要視しているが、学部長や研究所長は相対的に重要視していな いことが分かる。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 研究大学 一般大学 図1 回答者の所属大学について

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図2 研究連携において重視したこと 図3 研究連携の成果としてあげられるもの 1.00 1.20 1.40 1.60 1.80 2.00 2.20 2.40 2.60 2.80 3.00 1.新たな研究ネットワークの 構築 重視度 2.既存の研究ネットワークの 強化 重視度 3.分野の最先端研究の促進 重視度 4.学際・融合研究の促進 重 視度 5.国際的な研究拠点形成 重 視度 6.特許・商品化の推進 重視 度 7.産・官・学の交流推進 重 視度 8.設備・施設等資源の共有 重視度 9.予算の効率的利用 重視度 10.人材の教育・交流 重視 度 11.教育連携への発展 重視 度 12.社会サービス連携への発 展 重視度 13.国際交流の推進 重視度 14.情報交換 重視度 学長 学部長 研究所長 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 1.新たな研究ネットワーク の構築 成果 2.既存の研究ネットワーク の強化 成果 3.分野の最先端研究の促進 成果 4.学際・融合研究の促進 成果 5.国際的な研究拠点形成 成果 6.特許・商品化の推進 成 果 7.産・官・学の交流推進 成果 8.設備・施設等資源の共有 成果 9.予算の効率的利用 成果 10.人材の教育・交流 成果 11.教育連携への発展 成果 12.社会サービス連携への発 展 成果 13.国際交流の推進 成果 14.情報交換 成果 学長 学部長 研究所長

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図4 連携を推進していくにあたって重要なこと 5.知見の整理と今後の課題 研究連携については、重視していること及びその成果については、はじめに、研究ネットワークに関 する項目が重要視され、成果も上がっていることが分かった。次に、国際化も高い値を示しているが、 これは海外の大学や研究機関との連携を推進していることによることが考えられる。このように、組織 が主体となった大学間連携では、国内外を問わず多様な人材と研究ネットワークの構築が行われていた。 次に、連携を推進していくには、ヒトの役割が重要であることが指摘されていた。ところで、学長は 執行部のリーダーシップを連携の推進において重要な役割を担うと考える一方で、学部長等は運営資金 や施設設備等の重要性を指摘している。この点、学長と部局長のどちらが重要な役割を担うのかは本稿 からは判断できないが、学長のリーダーシップを強化する制度が構築されていく中で、この点の更なる 検証を行う必要がある。 謝辞 本研究は、国立大学協会政策研究所の委託のもとで実施された「国立大学の多様な大学間連携に関す る調査研究」(研究代表者:羽田貴史)において収集したアンケート調査結果を利用したものである。 データの利用を許諾いただいた国立大学協会及び羽田貴史先生に感謝申し上げます。 【参考文献】

Crane, D. (1972)Invisible Colleges, Iliinois, The University of Chicago Press.(=1979、津田良 成他訳『見えざる大学』敬文堂。) 国立大学法人法制研究会(2012)『国立大学法人法コンメンタール』株式会社 i研究大学としては、旧帝大(北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九 州大学)に加えて、筑波大学、東京工業大学、一橋大学、神戸大学、広島大学とし、その以外の大学を 一般大学とした。 2.5 2.7 2.9 3.1 3.3 3.5 3.7 3.9 4.1 1.連携をすすめるノウハウ 2.連携の目的・利益の明確 さ 3.連携に関わる法制度 4.連携先の規模・文化の相 違 5.連携先の制度との相違 6.キーパーソンの存在 7.広報 8.大学執行部のリーダー シップ 9.連携を実施する研究者・ 教員 10.連携を支える支援体制 11.運営資金 12.研究・教育設備 13.環境(宿泊施設等) 14.学内の合意形成 15.連携先との合意形成 学長 学部長 研究所長

参照

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