1.は じ め に 著者両名は 2005 年度前期(4 月7 月)において,本 学 A 学科 1 年生二十数名のクラス(以下,基礎クラスと 呼ぶ)で基礎的な数学の授業を行った。このクラスの学 生は,学期開始直後に A 学科 1 年生全員約 160 名を対象 に行った判定テストの成績下位者である。このクラスで 著者達は週 3 回の授業を行った。内容は中学程度の補習 教育から微分積分の初歩までである。著者達は学生の諸 特徴の理解に努めた上で,表面的な学力の向上のみに注 目するのではなく,基礎的な数学の考え方の習得,数学 的体験を豊かにすること,及び学習意欲の増進・学習態 度の向上にも注目した。そのため慎重な授業計画を立て 授業技術に配慮した。授業の効果を調査するため,授業 初回,中間時期,期末試験時の 3 回にわたって学生アン ケートを行った。本論文はその報告および諸考察である。 本論文は以下の様に 8 つの章と補足資料で構成される。 1.はじめに 2.基礎クラスについて 3.対象学生の特徴と授業計画 4.授業の現実の進行 5.「直線の方程式」の授業について 6.中間評価 7.期末試験の結果および考察 8.結び 補説 1 本学における数学教育の概要 補説 2 授業進行の詳細 資料 1 判定テスト 資料 2 プレースメントテスト成績(A 学科) 資料 3 微分積分学 1 期末テスト 資料 4 微分積分学 1 演習期末テスト 資料 5 期末試験時アンケート回答要旨 2.基礎クラスについて 2.1 基礎クラス設置の経緯 本学では十数年前より新入生全員に対して数学学力調 査を行ってきた。2001 年度からはこれをプレースメント テストとして活用,基準点に達しない新入生に新設の科 目「数学基礎演習」(週 2 回授業)を履修させてきた。 同科目を自由選択で履修する学生や必修とする学科もあ り,毎年 500 名前後の新入生が履修する。なお,本学の 数学教育全体の概要を末尾資料 1 に示す。 さて,本学 A 学科では 2004 年度から独自に判定テス トを行い,1 年前期の必修科目「微分積分学 1」「同演 習」「線形代数 1」の学力別クラス編成の資料とした。こ
学生の総合的な成長に配慮した基礎的な数学の授業の実践
水 町 龍 一 * ・鍋 島 尚 子 **
A Report about a Class of Develop-Mental Education in Mathematics
Ryûichi MIZUMACHI* and Takako NABESHIMA**
On the first semester in 2005, from April to July, the authors took a class of mathematics for beginners of a discipline in our college. The students of this class were those who earned lower points on a test made by the discipline. We gave in this class a course of develop-mental education in mathematics, from elemental algebra and analysis to an introduc-tion to calculus. We tried to understand characters of the students by several data. We did not pay our attenintroduc-tion only to improvement of their achievement, but also to their mental development in studying. To this end, we made a moderate plan of education and were careful to encourage the students. To know the merit and the demerit of our course, we made several inquiries in this class 3 times: at the beginning, at the middle, and at the end of the semester. This paper is a re-port about this class.
Vol. 40, No. 1, 2006
* 情報工学科 助教授
** 情報工学科 非常勤講師
の結果 2004 年度には 2 種類のクラス分けが行われ,担当 教員も別々で,それぞれ独自に授業を行った。成績下位 の学生グループでは,ほぼ 1/3 の学生が出席不良・期末 試験不受験となった。 この事態の改善のため,A 学科では「数学基礎演習」 のクラス分けも判定テストによって行い,「微分積分学 1」等の授業もできる限り数学基礎演習と一体化して行 うことになった。著者達が担当した科目は,「微分積分 学 1」「同演習」及び「数学基礎演習」の週 1 回分であ る。 2.2 基礎クラスの構成 判定テスト[資料 1]で 16 点以下(200 点満点を 100 点に換算)の学生を基礎クラス所属とした。3 科目全部 を受講した者は 1 年生 22 名,他に 1 名の 1 年生が事情 により一部の科目のみ受講した。上級生数名が一部の科 目のみ受講したが,本論文ではデータに算入しない。 2.3 基礎クラス設置の目的と授業方針 2.1で述べた経緯に照らして,出席不良・期末試験受 験者を極力少なくし,できるだけ多くの学生に合格基準 を越えさせることが基礎クラス設置の目的である。 この目的のため,著者達は学生の実情に即した授業を 行い,学習意欲の向上等総合的な成長を図り,その結果 として無理なく知識水準が向上することをめざすという 基本的な方針を立てた。具体的には,(1) 週 3 回の授業 (月,水,木)を同一科目のように扱い,特に月曜の授 業は復習・演習主体とする,(2) 通常微分積分学 1 では取 り扱わないかまたは軽く済ませる基礎的な内容もていね いに扱う,(3) 常に学生の理解を確認して授業を進める, とした。一方で成績は,各科目別にそれぞれ通常の基準 で評価することにした。 2.4 授業科目の通常の内容と成績評価基準 通常,数学基礎演習の週 2 回の授業の内 1 回は分数小 数を含む実数,複素数,式とグラフ,方程式を扱い,可 能ならば集合・数列も扱う。他の 1 回は図形と方程式, ベクトル,三角関数,指数・対数関数を扱う。教科書は 1)である。微分積分学 1 ・同演習では,高校程度の微分 積分を基本的な内容とし,可能なクラスでは更に進んだ 内容を扱う。標準的な教科書は2)である。演習科目は出 席重視で評価することが多いが,微分積分学 1 は内容か ら常識的に判断される基準で評価される。 3.対象学生の特徴と授業計画 3.1 対象学生の特徴 (1) 判定テストの A 学科全体及び基礎クラスの成績を表 1 に示す。この判定テストは,基礎問題(13 番,計 50 点)と微分積分(4 番8 番,計 50 点)に分かれる。そ れぞれの成績を表 2 に示す。基礎問題について,基礎ク ラスの小問別正解率 (%) を表 3 に示す。なお,1 番 (5), (6), 2番 (3), (5), 3 番 (3), (4), (5), (6), (7), (8) は正解者ゼロであっ た。 資料 1 と照らし合わせると,1 次方程式は解ける学生 が多いが係数が分数になると正解率は半減する,解が無 理数の 2 次方程式は解けない,1 次関数のグラフをきち んと描ける者はごく少数,等の状況が読み取れる。結局 このクラスの標準的学力は中学中級程度と見積もられる。 さらに,以下のような学力上の特徴を持つことは経験 から容易に想定された。 (1) 原理を理解した上で移項を行うなど,具体的応用場 面での論理的な数学的思考の習慣がない。 (2) グラフを描く力,グラフと関数・方程式を結びつけ る力は非常に弱い。 表 1 判定テスト成績 受験者数 平均 最高 標準偏差 A学科全体 157 40.5 97.5 22.2 基礎クラス 22 10.8 16 — 表 2 判定テスト分野別成績 基礎問題 微分積分 平均 最高 平均 最高 A学科全体 24.9 47.5 15.6 50 基礎クラス 9.0 13.5 1.8 7.5 表 3 基礎クラス判定テスト成績詳細 1番 2番 3番 (1) (2) (3) (4) (1) (2) (4) (1) (2) 正解率 (%) 82 41 50 41 50 55 5 9 27
(3) グラフの平行移動と関数の関係のような,概念の組 み合わせが必要な内容を理解させることは困難であ る。 3.2 対象学生の特徴 (2) 学生の数学に対する意識を調べるため著者達は授業初 回に入学理由と数学へのイメージについてアンケートを 実施した。(回答者数 20 名・自由記述) (1) 入学の動機:意欲的な回答の学生 10名 (2) 数学についての印象(重複がある) 1.苦手,不安,不得意など13 名 2.好き,得意,嫌いではない 5 名 3.勉強したい,苦手を克服したい 3 名 4.分かりやすく教えてほしい 3 名 数学に対し否定的な印象を持つ学生が全体の 2/3 近くい る。(2) の 2, 3, 4 に算入される学生は重複を除いて 9 名お り,勉学意欲や積極性の見られる学生も半数近い。 次に,入学時に行われる「適性診断テスト」の結果か ら判断される A 学科 1 年生の特徴の概略を述べる。コン ピュータ耐性や自己統制力などが標準を上回る。意欲, 協調性などは標準を下回り,教員との交流を自ら求める 学生は少ない。論理・試行的に学習する学生が比較的多 い。 以上から,この学生達はある程度意欲をもち,我慢強 く勉強に取り組む可能性があり,意外に論理的に思考す る可能性もあるが,総じて数学への苦手意識が強く,自 主的に勉強に取り組み教員に質問して不明な点を理解し ようとする姿勢はやや弱いと予想できる。 3.3 授業計画 以上を総合的に判断し,以下の授業内容を設定した。 (1) 1次方程式,連立方程式の解法を綿密に復習する。 等式の変形ルールや,連立方程式の解のグラフ上の 意味の理解を徹底させる。 (2) 直線の傾きについて理解を深めさせ,2 点を通る直 線の方程式を求めることが円滑に出来るようにする。 (3) 2次関数のグラフを円滑に書けるようにする。 (4) 他に,yx3, y1/x, √x 程度のグラフを書けるように する。 (5) 微分の導入では,微分 接線の傾き,という直感 的理解と定義に従った微分の計算を重視する。 (6) 増減表を作って 2 次関数,3 次関数のグラフを描く。 (7) 最終的には通常の「微分積分学 1」と大きく違わな い程度の授業進行を目指す。 授業を計画するにあたり,関数を直感的に理解する基 礎として,グラフを描く指導を特に重視した。項目 (1) は, 論理的な考え方の基礎を指導しつつ,数学が意外に単純 明快なものであることを理解させようとした。項目 (7) は, 判定テストの結果より,実際には困難であろうことは予 測できた。この点については十分な方針を立てることが できなかったが,通常の単位認定基準に従った。 3.4 教育上の留意点 2.4で述べた方針をさらに具体化し,授業では以下の 諸点に留意することとした。 (1) 原則として,前回の復習に十分時間をとる。 (2) 宿題は負担感が大きいので,出さない。 (3) 板書の時間を少なくし,課題演習の時間を十分取 る。 (4) 必ず机間巡回指導し,全員の理解を確認する。 (5) 課題は正解を板書した問題とほぼ同一の問題から始 め,少しずつ水準をあげ,自力解決を容易にする。 (6) 毎回,演習問題の解答の一部を提出させる。 (7) 苦手意識を煽るような言動・態度を絶対にとらず, 極力励ましを与えるが,見え透いたことはしない。 このような配慮のもとで授業が楽しく充実したものに なり,学生の学習意欲・態度が向上することを期待し た。 これらの点に留意することができたのも,週 3 回の授 業が可能であったからである。また,日時を置かずに前 回の復習を行うことができるのも,週 3 回授業の長所で ある。 4.授業の現実の進行 4.1 授業進行の概要 各回の授業内容を[補説 2]に記す。欠席者は,ほぼ 毎回 3 名以下であった。主なテーマの授業回数を次表に まとめる。なお,回数が整数でないのは,複数のテーマ を扱った回を適当に按分したからである。 主なテーマ 回数 (1) 1次関数のグラフと直線の方程式9.3 回 (2) 2次方程式の解法3.7 回 (3) 2次関数のグラフ,平行移動,他8 回 (4) 微分の導入から接線の方程式まで6.5 回 上記 (2) 2 次方程式の解法や,上記に含まれない 1 次方 程式や連立 1 次方程式には,さほど時間を要しなかった。 (4)の微分の定義に入る 6 月半ばまでは,全員が内容を 一応は理解するのを確認して次へ進んだ。6 月下旬から は水曜と木曜の授業では,本学での微分積分学 1 の標準
的内容を列挙し,一応の解説・証明・例の提示等を行う のみで,理解の確認・演習・復習を行わなかった。2.3 と 3.3 に述べたことから,限られた時間の中でも最低限 これらの知識は与えなければならないからである。 なお,この授業では,分数の計算等反復練習は余り行 わなかった。この学生達にとっては,数学の豊富な内容 の体験や理解を先行させるほうが苦手意識の払拭に有効 で,授業成果を挙げやすいと判断したからである。 4.2 授業の要領例 復習部分を除き授業の要領をいくつか紹介する。ただ し,取り扱った例題・問題は,本質的には変えないが文 字通りそのままではない。直線の方程式の授業について は別途 5 章で取り上げる。 4.2.1 5 月 11 日「2 次方程式の平方完成による解法」 方程式 x22x30 の解法を黒板で解説する。定数項 を変えて演習。1 次の係数を 2 にして演習。次に x24x 20 の解法を黒板で解説し,1 次の係数を正や負の様々 な偶数にして演習。机間循環して指導,ほぼ全員出来る ことを確認する。 今度は x23x10 を黒板で解く。 x25x30 を出題とするが,分数計算に時間を要し自 力では正解が得られない学生が数名。最後に今日解説し た 3 タイプの演習課題を出し,解答を提出させる。 4.2.2 6 月 1 日「2 次関数のグラフ」 次の 3 つの曲線群を,それぞれ 1 枚のグラフ用紙に描 かせる。x, y の値の対応表をまず作らせ,点をプロット しこれを結んで描かせた。
1.yx2, yx21 , yx22 , yx23
2.yx2, y(x1)2, y(x2)2, y(x3)2
3.y(x1)2, y(x1)21 , y(x1)22 , y(x1)23 x, yの値の対応表を作る際に,x の値を 1/2 刻みにとると 非常に時間がかかるので,整数値のみで作らせた。課題 3は完了しない学生が数名いた。 4.2.3 6 月 9 日「簡単な代数関数のグラフ,微分の 準備」 まず,yx3, y1/x, √x のグラフを数表を作って描くと いう課題を与える。無理数は電卓を使って処理する。ほ ぼ全員が大きな困難無しに課題を達成。 半分も時間を要しなかったので,微分導入の準備を行 う。yx2 のグラフを描き,定点 P(1, 1) と動点 Q(q, q2) を, q3, 2, 1.5, 1.1 の場合に描く。P と Q を通る直線をそれぞ れ描き,傾きを計算する。動点 Q→P とした場合に傾き がどうなるかを予測させる。この方法で,接線の傾きと 方程式が求められることを説明。以上を黒板で解説した 後,全く同じことをグラフ用紙に再現させた。さらに, 点 P の位置を変えて同一課題に取り組ませる。時間が不 足してできなかった学生,Q が P に近づくとグラフが不 正確になる学生がいた。 5.「直線の方程式」の授業について ここでは,「直線の方程式」の授業について分析する。 重要な教育内容であること,初期に取り組んだので学生 に与えた印象も強い事から,著者達の授業の特徴と成果 を見るのに適切と思われるからである。 5.1 先行授業の概要 1次方程式,連立方程式は 2 回の授業で扱い,全員が 一応考え方まで含めて理解できたことを確認した。分数 計算も 1 回の授業で説明と演習を行った[資料 5]。 これに続く 3 回の授業で,まず 1 次関数のグラフ多数 を描かせた。y2x, y2x1, y2x2, y2x3 を同一の座 標 軸 で 描 く , y2x1, yx1, yx1, y2x1 を同一の座標軸で描く,などの課題 演習を繰り返した。ついで傾きと y 切片について解説し た。傾きの意味を,「x が直線上で 1 増加するときの y の 変化」「ymxk の m」「直線上に 2 点 (a, b), (p, q) をとっ たとき,x の変化分 pa を D x, y の変化分 qb を Dy と 書く。このとき傾きDy/Dx」の 3 通りに説明した。い ずれも同じものであることを,図(グラフ)と例で確認 させた。 5.2 「直線の方程式」の授業の目標 一般的に見て,「直線の方程式」では 2 種類の問題が 扱われる。所与の 1 点を通って所与の傾きを持つ直線の 方程式を求める問題(問題 (P1) とする)と,所与の 2 点 を通る直線の方程式を求める問題(問題 (P2) とする)で ある。 問題 (P1) の解法には, (A1) 点 (x1, y1)を通り傾き m を持つ直線の方程式を ym(xx1)y1によって求める, (B1) ymxk に (x, y)(x1, y1)を代入して k を求める, が考えられる。問題 (P2) の解法には, (A2) 2点 (x1, y1), (x2, y2)を 通 る 直 線 の 傾 き m を m (y2y1)/(x2x1)によってまず求め,(A1) を使って 2点を通る直線の方程式を求める, (B2) ymxk に 2 点 (x1, y1), (x2, y2)の座標を代入してで きる連立方程式を解いて m, k を求める, (C) (A2)の方法で傾きを求め (B1) を使う, y x 2 1, y x 2 1,
が考えられる。授業の目標は,(A1) や (A2) の方法の習得, 及びその基礎にある考え方の理解である。 5.3 回り道 教科書などでは,通常は (A1) 及び (A2) の解法のみが解 説されている。これらは微分を学習する前提として必須 である。しかし,これらの解法がわからない,納得でき ないという様子の学生がこのクラスには少なくなかった。 そこでまず (B1), (B2),あるいは (C) の方法でも解答でき ることを説明し,課題演習に当たらせた。その上で解法 (A1), (A2)を繰り返し説明し,これらの解法への誘導を試 みた。 このような回り道を取った理由は,(1) ともかく正解を 出せることで失望感や苦手意識の増幅に陥らず,自信や 達成感を持つことができる,(2) 自分で納得できる方法を 使うことで数学的感覚も育つ,と見込んだからである。 5.4 授業の概略と提出課題 以下に授業の概略(関連部分のみ)と,解答提出を求 めた問題を示し,5.5 図 1,図 2 に解答データを示す。な お,各回とも提出課題以外に,ノートでいくつかの問題 を演習として解かせ,巡回指導している。 ① 4/27(水)21 名。問題 (P1) について,解法 (A1) を解 説する。理解できていない学生が数名以上いたので, 解法 (B1) も解説する。提出課題は問題 (P1),解法は 自由とした。 ② 4/28(木)21 名。問題 (P2) について,解法 (A2) と解 法 (B2) の両方を解説。提出課題は問題 (P2),解法は 自由。 ③ 5/9(月)20 名。まず問題 (P2) を提出課題とする。ヒ ントとして,解法 (A2) と解法 (B2) の両方を説明。 ④ 5/9(月)20 名。③の解答を終えた後,問題 (P1) を 提 出 課 題 と す る 。 ヒ ン ト と し て 解 法 (A1) と 解 法 (B1) を説明。 ⑤ 5/16(月)21 名。提出課題は問題 (P1)。ただし解 法 (A1) と解法 (B1) の両方で解かせ,答えが一致する ことを確認させる。(途中式も必ず書くよう指示) ⑥ 6/13(月)16 名。提出課題は問題 (P2)。解法を限定 せず解かせた。 ⑦ 7/22(月)演習期末試験 20 名。出題は問題 (P2),解 法 (A2) を使うよう指示。 5.5 解法の推移と授業目的の達成 5.5.1 直線の方程式 問題 (P1) と (P2) が混在するが,図 1 に学生全体の解法 の推移を示す。問題 (P1) の解法には (A1) と (B1),問題 (P2)の解法には (A2), (B2) 及び (C) があった。なお,横軸の 丸数字は,5.4 で示した実施内容①⑦に該当する. 図 1 を見ると,解説を一通り終えた 4 月 28 日に,大 部分は一応の正解を得ている。しかし期待された解法 (A2)でなく (B1) または (B2) を採用した者が多い。 ②から③にかけて (A2) がやや増え,(B2) は急増してい る。(C) が減少,不正解は無くなった。②で不正解の学生 が (B2) を採用して正解した事,(C) から (B2) へ移行したと 思われる学生がいることが分かる。 ④,⑤で問題 (P1) に戻って演習を繰り返し,2 つの解 法で同一の解が求められることも体験させた後では,問 題 (P2) の⑥, ⑦でも解法 (B2) の採用は見られず, 解 法 (A2) を用いる学生が増加したことがわかる。しかし, なおも問題 (P2) に対し解法 (C) を採用する学生もいる。 5.5.2 傾きの求め方 上記の内,問題 (P2) について傾きの求め方を調べると, 図 2 のようであった。図 2 中の記号で,「A2 不十分」と は,解法 (A2) を採用したが記述が不十分な者である。 「独自解法」とは,既出以外の解法(図を使って Dy/Dx を求める)である。図 2 からは 5.5.1 での説明とほぼ同 様の傾向が見て取れる。 図 1.「直線の方程式」の解法の推移 図 2.「直線の傾き」の解法の推移
5.6 授業の成果 4月 27 · 28 両日の授業で解説を行った際には,よく理 解できていなかった学生が多いが,演習を繰り返すこと で次第に問題に慣れ,理解も深まったと考えられる。 すぐには解法 (A1), (A2) を理解できなかった学生も,単 に「公式をおぼえる」[6.1(5)参照]のではなく,自分で 納得できる解法を使ってほぼ正解できた。これは彼らの 学習意欲や態度の向上によい影響を与えたのではないか。 その他,⑥において途中式を書くよう指示したことで, 計算結果のみを書く学生は減少したことがわかる。 結局,時間はかかったが,図 1,図 2 に見るとおり多 くの学生については目標が達成できたことになる。 5.7 授業の不十分点 ②の時点では,解法 (A2) の採用率は高くない。これに ついて,5.5.1 での分析から,学生が問題 (P1) に対する 解法 (A1) を十分理解しないまま授業で問題 (P2) を取り 扱った可能性が指摘できる。これは 2.3, 3.4 で述べた授 業方針に一致しない。巡回指導による確認は行っていた が,「授業だと簡単にやれたのにテストはボロボロ」[資 料 5,S10]というように,十分な理解には至っていな かったのではないか。4 月末にはまだ学生を掌握できず, 授業進行にやや慎重さを欠いていた可能性がある。 7月末の期末試験時には正解率も解法 (A2) の採用率も やや下がった。学生の試験対策を支援しなかったこと, 6月下旬からの授業内容の多さに復習に手が回らなかっ た学生がいたであろう事も原因として考えられる。 なお,最後まで十分な理解に至らなかったと思われる 学生も数名いる。一方,はじめから (A2) の解法を採用し ていた数名の学生には退屈な授業だった可能性がある。 6.中 間 評 価 6月 13 日の授業でアンケートを実施し(回答者数 16 名),入学前(中学・高校)の数学の授業についてと, 今回の授業の双方について,各人の授業態度や好悪感な どを尋ねた。アンケート結果から,入学以前に比べて, この時期までに意欲と態度に改善が見られたことがわか る。 6.1 入学前の数学経験について 入学前の数学経験について,以下の回答を得た。 (1) 授業態度について:ノートを取っていた… 15 名(※ 板書が早すぎてノートを取れなかった…なし),友 達としゃべっていた… 1 名 (2) 補習について:なし… 13 名,授業時間外に質問し た… 2 名,補習があった… 1 名 (3) 質問について:わかるまで先生に説明してもらえた … 6 名,説明してもらったが理解できなかった… 2 名,質問しなかった… 8 名 (4) 学校以外の勉強:塾(大人数)… 5 名,個別指導の 塾,家庭教師,家族に教わった…各 1 名,なし… 8 名 (5) 数学が嫌い・苦手になった理由(複数回答):公式 を覚えるのが嫌… 8 名,やってみてもわからないの で嫌になった… 6 名,グラフが描けない… 2 名,解 く気がしない… 2 名,計算が面倒… 1 名 上記の (5) に着目すると,数学そのものに対する拒否は 少なく,公式の丸暗記に対する拒否や,学習のつまづき が回復できなかったことが,数学嫌いの理由として自覚 されていることがわかる。 6.2 今回の授業について 今回の授業について,以下の回答を得た。 (1) 教師が巡回することについて:良い… 7 名,何とも 思わない… 7 名,落ち着かない… 2 名 (2) 質問について:わかるまで説明してもらえた… 9 名, 説明してもらったが理解できなかった… 1 名,質問 しなかった… 6 名 (3) 問題を解く意欲について:以前より少し解くように なった… 8 名,かなり解くようになった… 4 名,変 わらない… 3 名,前から意欲的… 1 名 (4) 数学に対する自信について:少し自信がついた… 12 名,前より自信がついた… 1 名,変わらない… 3 名 上記より,控えめながらも自信を持ちつつあることが わかる。また,巡回指導については,積極的に「良い」 とする学生と「普通(何とも思わない)」とする学生を 合わせると,9 割近い。このことから,「個別に,分かる まで徹底して行う指導」が有効であったと考えられる。 6.3 問題の解き直しについて 「正解するまで問題を解き直したか」という質問につ いて,回答の結果を図 3 に示す。 図 3 からわかるように,入学前に問題を正解するまで 「必ず」解き直した学生はおらず,「だいたい」も 4 名 (25%)であった。今回の授業では,「必ず」2 名,「だいた い」10 名で,合わせると全体の 75% に増加した。 また,個人別の変化について,図 4 に示す。 図 4 より,問題を正解するまで解き直すことについて, すべての学生について,学習意欲が低下した者はいな かったことがわかる。中には,入学前にはまったく解き
直さなかったが,必ず解き直すようになったという学生 もいた。この学生については,6.5 で改めて取り上げる。 問題を解き直した理由については調査しなかったが, 科目「微分積分学 1 演習」の時間枠では,著者は学生ひ とりずつを巡回し,誤答を指摘して解き直すよう指導し, 学生がつまずきを感じている場合は個別に何度でも繰り 返し説明した。このような,学生に対するきめ細かな支 援は,学習意欲を向上させたひとつの理由と考えられる。 6.4 達成感について 「問題を解いて『できた!』という達成感を感じたか」 という質問について,回答の結果を図 5 に示す。 図 5 より,達成感を感じたことが「ときどき」であっ た学生の数は変化していないが,「かなりあった」が増 加し,今回の授業で達成感が「まったくなかった」と答 えた学生はいなかった。 また,個人別の変化について,図 6 に示す。 図 6 より,2 名を除いて,以前の授業と同等かそれ以 上に達成感を感じていることがわかる。 達成感が下がった学生について,その理由は調査しな かったが,うち 1 人は数学について「もともと嫌いでも 不得意でもない」と回答していることから,この学生に とっては授業の進度や内容に物足りなさを感じていたこ とが考えられる。 6.5 解答意欲の向上した学生 X について 入学前には問題を正解するまで解き直さなかったが, 今回の授業で必ず解きなおした学生(以後「学生 X」と する)について,詳細を述べる。 (1) 初日のアンケートで,数学について以下のように述 べている。「中学の始めからの知識がとぼしいです。 正直かなり苦手です。高校でもかなり数学が苦手で 全然だめです。苦手意識をこくふくしたいです。」 (2) 入学前の数学経験に関するアンケートでは,「補習 はなく,授業以外にも質問をしたが説明が理解でき なかった」「個別指導の塾に通っていた」と回答し ている。 (3) 入学前に数学が嫌いになった理由について,「やっ てもわからないので嫌になった,先生がわかりづら 図 3.問題を解き直したか(全体) 図 4.問題を解き直したか(学生別) 図 5.達成感について(全体) 図 6.達成感について(学生別)
かった」と回答している。 (4) 今回の授業に関するアンケートでは,「理解できる まで説明してもらえた」「教師の巡回は良い」と回 答している。 (5) 期末講義試験で最高点(1 人)。 (6) 期末演習試験において満点(2 人)。 (7) 期末試験時アンケート回答は資料 5 の S11 に示す。 学生 X が,今回の授業において正解するまで問題を解 き直した理由については,調査できなかった。しかし, 入学前に学校や塾において積極的に学ぼうとしていたこ と,にもかかわらず理解できるまで説明を受ける機会が なかったことに対し,今回の授業で理解できるまで説明 を受けられたことは,学生 X の学習意欲および学習結果 に結びついたひとつの理由と考えられる。 7.期末試験の結果及び考察 7.1 期末試験結果と学生の感想 期末試験は,微分積分学 1(講義)と同演習について 行った。演習試験は,6 月半ばまでの内容をバランスよ く出題,講義試験は 6 月半ば以降の内容で出題した[資 料 3, 4]。試験結果を表 4 に示す。 微分積分学 1 では基準点を超えた約 3 割の学生を合格 とした。演習科目では,出席が規定より不足した 12 名 を除いて全員合格とした。 試験時に,成績に反映させないという約束で授業の感 想を書いてもらった[資料 5]。6 月半ばまでの授業につ いては,「分かりやすい,適度なペース」あるいは「ゆっ くりすぎる」という感想を,6 月下旬以降は「速すぎる」 という感想を書いた学生が多かった。 7.2 評価及び問題点の考察 学生の感想から浮かび上がる諸点を考察する。 7.2.1 グラフを重視する指導の成功 グラフは,4.2.3 でも触れたが,6 月中旬までは全部数 表を作り点をプロットしてグラフ用紙に書かせた。これ は比較的無理なく彼らの現在の学力でできる。分数など の計算練習もできる。座標平面にも慣れる。予想以上に 「楽しかった」「これで関数がわかった」という感想が得 られた。出題の仕方にも,規則的に並ぶ一連のグラフを 書かせる[4.2.2, 5.1 参照]等の工夫をした。美しい結 果を得て自然に関心が増すよう図りつつ,直線の傾きや 放物線の平行移動を理解する基礎となる経験を与えるた めである。 7.2.2 「丁寧」についての両論 中盤までの授業ペースが遅すぎると指摘した者が 5 名 いた。しかし 9 名が適切なペース,分かりやすいと答え ており,全員に理解させる目的からは適切なペースで あった。 学力別クラス編成でも実際にはクラス内で学力のバラ つきがまだかなりあるため,どこに照準をあわせて授業 しても不満が生じることをこの両論は示唆している。所 属クラスを自由化し,希望者は上位のクラスで授業を受 けられる等の配慮が望ましかった。 7.2.3 「微分の急ぎすぎ」について 6月下旬からの微分積分の授業については,大半の学 生が「急ぎすぎ」としていた。確かに,このクラスでの 無理のない授業計画は,「増減表を作って 3 次関数のグ ラフを描く」程度までであったろう。 しかし,通常の内容にまで授業を進めたことにより, 大きく力を伸ばした成績優秀者が若干名いたことも事実 である。また,後半全く分からなかった学生も含め期末 試験は全員が受験した。このことから,高度な内容に対 しても,学生が意欲的に取り組んだと言える。 7.2.4 「分かりやすい」指導について 6月半ばまでの授業については,「分かりやすかった」, 「力が付いた」とする学生が多かった。「説明が分かりや すい」「復習があった」「ペースが適当だった」などが分 かりやすさの理由として挙げられており,2.4 で述べた 方針や 3.4 に述べた諸留意点,さらにはこの時期までの 授業計画 3.3(1)(5) が適切だったことが裏付けられる。 8.結 び 8.1 今回の授業の成果 このクラスの学生達は,中学中級程度の学力で出発し た。 授業期間の約 2/3 は,ほぼ全員が理解できる授業ペー スであった。この期間には著者達は 3.4 の教育上の留意 点に従い,少数の重点課題を反復し,基本的には全員が 理解できたことを確認して先に進んだ。学生は微分積分 の学習に必要な高校初級程度の知識を身につけた。6 章 表 4 期末テスト成績 受験者数 平均 標準偏差 最高点 講義試験 23 35.7 27.0 90 演習試験 21 87.6 19.5 100
での分析や期末試験時アンケート結果[資料 5]で裏付 けられるように,これによって学生の苦手意識を払拭し, ささやかでも達成感を味わわせ学習意欲を増進させるこ とができた。 授業後半は 3.3 の (7) に従って相当の進行速度になった ため,復習の重視や理解の確認などの配慮も行わなかっ た。最終的には全員が期末試験を受け,クラスの約 1/3 の学生が 3 科目すべての単位を,本学における通常の評 価基準に即して取得した。入学時の学力を考慮すれば, 基礎クラス設置の目的は一応果たされたといえる。 また,大学の通常の授業で十分な成績が修められる程 に成長したかどうかは慎重な検討が必要であるが,多く の学生の総合的成長を認めることができよう。また,少 数でも非常に大きな成長を遂げた学生がいたことも評価 できる。 8.2 今回の授業の不十分点 授業の進度および内容が適切であるという学生が大半 だったが,2 割ほどの学生は進度の遅さや取り扱った内 容に物足りなさを感じ,中には意欲を向上させなかった 学生もいた。また,後半の微分積分の扱いについては, 無理があった。さらに,学生アンケートに指摘されたよ うな様々な不十分点が存在した。 これらの点を改善するには,さらに教材・教育方法の 研究や授業スキルの向上に努める必要があるが,履修制 度の改善や柔軟な運用が必要な点もある。 8.3 目指したものの整理と考察 著者達が 6 月半ばまでの授業で目指していたものを, 次のように整理することができよう。 (1) 微分積分の理解のための最低限の基礎知識を与え る。 (2) 基本となる考え方をよく理解させ定着させる。 (3) グラフを描く体験的作業を繰り返させる。 (4) 楽しさや自信を与え,学習意欲を向上させる。 上記項目 (1) を「何らかのまとまった知識,あるいは知 識・技能を獲得させる」と一般化した上で,これらの項 目には互いに関連があると主張できる。理解できるから 自信が生まれ,学習が楽しくなる。自信を持ち楽しく体 験的作業を行う中で知識や理解が定着する。こういうプ ロセスによって学生は少しずつ成長するとすれば,教員 は授業進度を焦ることなく,ゆとりを持ってその総合的 な成長を見守るべきではないか。 もちろん「ゆとり」ある授業とは,学生にある明確な 知識のまとまりを獲得させることを目指した上で,成績 評価において所与の基準を貫いてこそ,現実的な学生の 成長に結びつくものであろう。著者達もこれを心がけた。 著者達が行った教育は,大学におけるいわゆる「リメ ディアル教育」,英語で “develop-mental education” に属す。 上記の諸項目は,この英語表現とよく適合する。これら の項目は「リメディアル教育」においてある程度の普遍 性を持つ事が示唆される。 8.4 おわりに 著者達の所見では,基礎クラスの平均的学生達がこの 授業で到達した知識水準や達成した様々な成長は,未だ 十分なものではない。大学で学ぶための十分な基礎学力 と意欲を身につけるには,今回のような授業に続く教育 プログラムを経験することがなお望ましいであろう。 補説 1 本学における数学教育の概要 本学の入学定員は全 6 学科合計 600 人,入学者実数は 約 720 人である。2005 年現在の教育科目全体は,総合科 目(語学,一般教養等),工学基礎科目(数学,自然科 学,コンピュータ等),専門科目の 3 分野に大別される。 数学を含む工学基礎科目は学科共通で運営されている。 その内数学の基礎的な科目とその開設クラス数,週当た り授業回数(1 回 90 分),及び合計履修者数は以下の通 りである。なお,クラス数には再履修クラスを含む。 数学基礎演習, 18クラス,2 回, 約 500 名 微分積分学 1 ・同演習,17 クラス,各 1 回,約 700 名 微分積分学 2,同演習, 8 クラス,各 1 回,約 300 名 線形代数 1, 11クラス,1 回, 約 500 名 線形代数 2, 5クラス,1 回, 約 200 名 A科では数学基礎演習は選択,他は必修である。数学 では他に,全学科で選択の科目が「微分方程式」など 12 科目あり,それぞれ学科共通の 1 クラスが開設される。 他に学科によっては専門科目内にも 610 程度の数学系 科目がある。数学科目が多数ある理由の一つは,A 学科 を含む 3 学科で中学と高校の数学教職課程を設置してい るからであり,このような工科系大学はあまり類がない。 責任部局としては,意思決定を行う工学基礎教育委員 会ならびに日常的・現実的な業務を担当する工学基礎担 当者会議が設置されている。後者に所属する数学担当者 は著者の内 1 名を含む 2 名。1995 年頃までは責任部局は 教養課程で,数学担当者は 5 名であった。その後教養課 程は改編され,数学担当者は漸減して今日に至ってい る。結局,再履修クラスを合わせると,2 名の数学教員 が週間授業回数にして 110 余りのクラスの実施責任を持
つ。 なお,2006 年にはカリキュラム及び責任体制が全面的 に改革される予定である。 補説 2 授業進行の詳細 4月 11 日(月)微分積分学基礎テスト返却と解説,演習 4月 13 日(水)約数,倍数および分数について 4月 14 日(木)1 次関数のグラフを書く練習 4月 18 日(月)演習: 1 次方程式とグラフ,連立方程式 4月 20 日(水)直線の傾きについて 4月 25 日(月)復習:直線の傾き,分数係数の 1 次方程 式 4月 27 日(水)1 点を通り所与の傾きをもつ直線の方程 式 4月 28 日(木)2 点を通る直線の傾きと方程式 5月 2 日(月)演習: 4 月 27 · 28 日の内容( 別の視点 で) 5月 9 日(月)演習: 4 月 27 · 28 日の内容 5月 11 日(水)直線復習,2 次方程式を平方完成で解く 5月 12 日(木)2 次方程式の平方完成による解法復習 5月 16 日(月)復習:直線の方程式,演習:連立方程 式 5月 18 日(水)2 次方程式の解の公式(実数解のみ) 5月 19 日(木)2 次方程式復習,yx2, y2x2のグラフ 5月 23 日(月)演習: 5 月 19 日の内容 5月 25 日(水)2 次関数のグラフ 5月 26 日(木)2 次方程式と 2 次関数のグラフの関係 5月 30 日(月)演習: 2 次方程式の解とグラフの関係 6月 1 日(水)2 次関数のグラフ,平行移動 6月 2 日(木)2 次関数グラフの頂点 6月 6 日(月)復習:放物線のグラフの平行移動 6月 8 日(水)2 次関数のグラフのまとめ 6月 9 日(木)簡単な代数関数のグラフ,微分の導入準 備 6月 13 日(月)復習:接線の傾きと微分の関係 6月 15 日(水)微分の定義と求め方 6月 16 日(木)グラフに接線を描く,導関数のイメージ 6月 20 日(月)復習:直線と放物線の微分と接線の関係 6月 22 日(水)定義に従った微分,接線の方程式 6月 23 日(木)増減表と 2 次関数のグラフ 6月 27 日(月)復習:定義に従って微分,接線の方程式 6月 29 日(水)3 次関数のグラフ 6月 30 日(木)積分 7月 4 日(月)復習: 2 次関数の増減表,導関数 7月 6 日(水)三角関数 7月 7 日(木)三角関数の微分 7月 13 日(水)指数関数とその微分 7月 14 日(木)和・定数倍・積・商の微分 7月 21 日(木)微分積分学 1 期末試験 7月 22 日(金)微分積分学 1 演習期末試験 資料 1 判定テスト 注意。計算や途中経過をていねいに書くこと。なお対 数はすべて自然対数とする。 1.次の方程式を解きなさい。(各 5 点) (1) 3x2x4 (2) (3) (4) x24x30 (5) x22x10 (6) x23x50 2.指示に従って次の式を変形しなさい。(各 6 点) (1) 3(x1)(x2)(2x1)(x3)(整理) (2) (a2b)3 (展開) (3) x32x25x6(因数分解) (4) (通分) (5) (部分分数展開) 3.グラフを描きなさい。(すべて別々の座標平面に描く こと)(各 5 点) (1) (2) yx21 (3) (4) y√x (5) ysin x (6) ytan x (7) yex (8) ylog x 4.微分 y を求めなさい。(各 5 点) (1) y3x24x2 (2) yx4 (3) (4) y√x (5) y x (6) ye2x1 x 2 2 y x 1 y x 1 y1x 2 1 1 1 2 x a a b b a b 2 2 3 2 17 x y x y x 2 2 3 3 4
(7) y2 cos 3x (8) ylog x 5.曲線 yx2 に (x, y)(2, 4) で接する接線の方程式を求め, この曲線および求めた接線のグラフを描きなさい。 (同一座標平面に描くこと)(10 点) 6.関数 yx33x のグラフを描き,極大値,極小値を求 めなさい。(15 点) 7.積分を計算しなさい。(各 5 点) (1) (2) (3) (4) 8.曲線 yx2 と直線 yx2 によって囲まれる部分の面 積を求めなさい。(15 点) 資料 2 プレースメントテスト成績(A 学科) 2005年の A 科全体及び基礎クラスの成績を参考のた め資料として表 5 に示す。A 学科における 2 つのテスト 間の相関係数は 0.83 であった。 資料 3 微分積分学 1 学期末テスト 1.関数 を定義に従って微分しなさい。(15 点) 2.関数 yx2 のグラフ上の,座標 x が 1 である点で,こ の曲線に接する接線の方程式を求めなさい。また,こ の曲線及び求めた接線のグラフを描きなさい(同じ 座標平面に描くこと)。(15 点) 3.関数 yx312x の増減表を作り,グラフを描きなさ い。また,極大値,極小値を求めなさい。(20 点) 4.次の積分を求めなさい。(各 10 点) (1) (2) 5.次の関数のグラフを描きなさい。(各 5 点) (1) ysin x (2) yex 6.微分しなさい。(各 5 点) (1) y3x42x33x24x4 (2) y4x1/2 (3) ysin xx cos x (4) ye2x 7.授業の感想や意見を,できるだけ詳しく具体的に書 いてください。 資料 4 微分積分学 1 演習期末テスト 途中式も採点の対象になります。図などで考えたら, それも書いて残してください。 問題 1 次の一次方程式を解け。途中式も書き,自分の 計算の説明も一行ごとに書くこと。 3x2x4 問題 2 y3x2, y2x3 の連立方程式を解け。途中式 も書くこと。 問題 3 二点 (1, 6), (3, 10) を通る直線について,以下の各 問いに答えよ。 (1) 傾き a を求めよ。途中式も書くこと。 (2) y切片を求め,直線の方程式を書け。途中式も書 くこと。 問題 4 次の二次方程式を解け。途中式も書くこと。 x23x10 問題 5 二次方程式 y(x2)2について,次の問いに答え よ。 (1) グラフを描け。y 切片を書き入れること。 (2) このグラフは,yx2 のグラフを,どのようにした ものか。日本語で説明を書け。 問題 6 yx2 について,微分の公式から,y を求めよ。 微分の公式を思い出すための図も描け。 資料 5 期末試験時アンケート回答要旨 S01 はじめは授業のスピード,演習の量は丁度よかっ た。最後は速くて大変,黒板の字も見にくかった。 微積等の基本的なことや高校で習ったけど忘れ ていたものを思い出せた。演習の授業スピードは ちょうどよかったが,生徒に(黒板で)解かせたほ うが良い。 S02 はじめはよく分からなかったが,週 3 回あるので少 しは力がついた。最後は授業のスピードが速すぎ た。例題ももっとやって欲しかった。 1 x dx
∫
1 2 2 3 2 1∫
( x x )dx f x x ( )1 0 2 π / sin∫
xdx e dxx∫
x dx2 1 2∫
(2x1)dx∫
表 5 プレースメントテスト成績 受験者数 平均 標準偏差 A学科全体 158 40.2 23.3 基礎クラス 22 11.6 —微分積分のテストは難しそうだったが,問題を見 たら少しは自分でもわかる気がした。 S03 微分積分になったら急に速くなった。他の範囲は とても分かりやすかった。 1次関数と 2 次関数のグラフが書ける様になりま した。演習の先生の教え方はていねいでわかりやす かった。黒板の字も見やすかった。 S04 最初の授業で楽観した。グラフを描く授業は楽し く,時間が経つのも忘れた。 S05(後半は)黒板を消すのが早くて大変。問題をと いているとき回ってくれたので質問しやすく良かっ た。 微分が苦手だったので演習で少し身についたと思 う。演習はゆっくりで分かりやすく気が楽でした。 S06 授業がちょっとスローペース。他の授業との重複も あった。 演習では,忘れかけていた高校数学の考え方や 公式が身についた。ゆっくりペースなのが良い点な のですが,講義では微分をかなりのペースでやって いたので厳しかった。 S07 2次関数や分数は苦手だったが,授業を受けるたび わかりやすく説明してもらい次第にわかるようにな り,とても力がついたと思う。最後は速くて大変 だったが家で見直し大体は理解できた。適度に宿 題を出すと授業速度も上げられ良いのではないか。 微積,関数がとても苦手でしたがこの授業を受 け苦手意識もなくなりとてもよかった。演習は全体 的にスローペースで微積の範囲があまりできなかっ た。1 次関数,2 次関数はさらっと終わらせてもっ と微積をやるべきだと思う。 S08 授業前半を丁寧にやりすぎ,後半が速くて分かり にくかった。 演習はていねいな説明がよかった。 S09 はじめの頃はスピードが遅すぎた。前回の復習を やってくれたのはとてもよかった。(微分で)証明 より例題をもっとやって欲しかった。演習時間は もっと多いほうがよい。質問にきちんと答えてくれ るので,他の先生より質問しやすかった。悪くない 授業だった。 演習では,途中式を詳しく説明してくれ,細か く書くことが身についた。もう少し講義と連携して 欲しかった。 S10 授業だと簡単にやれたのにテストはボロボロ。テス ト前に想定問題と詳しい正解プリントを配って欲 しい。 S11 高校でやってないので不安だったが,1 次方程式・ 1次関数からで安心した。関数が苦手だったが,演 習を含めかなりグラフを描いたので結構できるよう になった。微分積分は速くてよく分からなかった。 S12 高校では y2x2 の微分までやったが分からなかっ た。この授業で高校のとき分からなかった所が少し できるようになって良かった。 演習では,忘れてた事を思い出した。 S13 はじめはゆっくりで分かりやすかったが最後は急に ペースが速くなってついていけなかった。黒板も写 しきれず,ノートが穴だらけ。 演習で,ある程度高校レベルの数学はできるよ うになったと思う。 S14 先生は自分の考え方に自身を持ちすぎている。視 点を変えた考え方や,よりわかりやすく改良すると いうところが少なかったと思う。 少しかもしれませんが基礎力はついたと思いま す。 演習を多く行ったことで式の使い方や計算方法 が身につきやすかった。生徒一人一人に目をくば り,わからない人に理解できるように視点を変えた 説明をすることが良かったと思う。演習を解いたプ リントなどを見直せるように返却してほしかった。 S15 最初は分かっていたからできたけれど,6 月の途中 で全く分からなくなった。 グラフや図の所が苦手だったけど,演習でできる ようになった。中間テストもやってほしかった。 S16 授業のペースが後半速くて大変だった。前半をもっ と短くすればよかった。微分積分は分かったが log などが難しかった。 演習では基本的なことがしっかりできるように なったと思う。授業の最後の問題をする時間がも う少しほしかった。 S17 高校の授業よりはるかに分かりやすくて楽しい授業 だった。スピードもちょうどよかった。ただノート の取のがしが結構ある。少しゆっくりして欲しかっ た。 S18 式の計算が細かく書かれていて分かりやすかった。 演習もよかった。lim が出るあたりから分からなく なり最後は写すだけ。 演習で身についたのは,切片の求め方とか傾き。
演習の授業では「まるつけめぐり」がよかった。先 生を呼んで質問するのは,何となくいやだったの で,来てくれたときに聞くことができ,良かった。 S19 講義を聞くだけで大体理解でき,とても分かりやす かった。最後はさすがに速すぎ。ノートの取り損ね や分からないところもあった。 演習では,式の計算の説明がある程度言葉でしっ かりできるようになったと思う。 演習の進みぐあいがゆっくりだったので途中で詰 まっても考える時間が沢山あり,なんとか自分で問 題が解けた。でも結構な時間が余った。 S20 分数の微分,定義に従った微分は難しかった。積 分はできた。 演習では計算力がついたと思う S21 今まで分からなかった微分が分かるようになった。 座標や増減表の作り方が大体わかった。 演習では計算のしかたが身についた。 S22 後半の授業がわからなかった。勉強不足です。 演習では,前よりわかる所が多くなり,多少ま しになった思う。演習はわかりやすかったと思う S23 毎回ちょっとした復習があって良かった。 (後半)黒板を消すのが早くて大変。少人数で楽 しかった。 演習では基礎は大事だという心が身につきまし た。 演習で先生が学生をまわるのではなく,できた学 生が見せにいけばいいと思う。 文 献 1) 基礎数学,水町龍一,2004 年,学術図書. 2) やさしく学べる微分積分,石村園子著,1999 年,共 立出版.