公共経済学 第 2 講 講義ノート 1/ 3
2 公共経済学の概要 2 : 財政活動の全体像
2.0 今回のアウトライン
A. 公共部門とは何かを理解し、経済での具体的な規模、概要を理解する1
2.1 公共部門の全体像:公的部門とは何?
A. 公共部門とは私的経済活動ではない方法によって私的活動に寄与するもの:国 民経済計算統計 (SNA) では一般政府と公的企業 (テキスト p.18図 2.1)
B. 一般政府は、中央政府、地方政府 (地方公共団体)、社会保障基金で構成 1. 中央政府:内閣の重要政策に関する事務を補助する内閣府をはじめ、国家全
体の行政を分掌する組織 (一府十二省庁)
2. 地方政府:広域地域の生活環境の整備維持を担う都道府県、より近い住民生 活の整備維持や諸手続を担う市町村で構成される
3. 社会保障基金:加入が法律により義務付けられ、資金が積立方式以外の方法 で運営されている社会保障給付を目的とする組織
C. 公的企業は、公社・公団等の非金融機関、公庫、特殊銀行等の金融機関に分類 1. 国有林野事業、高速道路株式会社、地方上下水道、日本銀行など
表 一般政府 フローと トック 兆円、出典:国民経済計算
年 支出規模 支払 純借入 税収 保険料 中央政府
地方政府 社会保障基金 合計
年 金融資産 金融負債 純金融資産 非金融資産 正味資産 中央政府
地方政府 社会保障基金 合計
支出規模 政府最終消費支出と公的総資本形成、在庫品増加 和
ペー
1日程は未定だが、公共分野の実務に関するゲスト講義、講義中アンケート回答者にはその充実 度に応じて、5 から 10 点の枠外加点の予定。できるだけ出席のこと。
Ver. 2.3 Masumi Kawade, 2017
公共経済学 第 2 講 講義ノート 2/ 3
2.2 政府の活動:民間活動と何が違うのか?
A. (1) により行政を執行する機関が公的部門
1. (2) :交渉・合意過程を通じて利害関係を調整し、社会を統治
2. (3) :政治過程を通じて決められた統治指針を適切に執行・運用
3. (4) :政治・行政過程を資源 (「たから財 」すなわち利害) 面から管理・運営
2.2.1 法的規制:法令
A. 法令とは法律や命令のこと、法的な行動規範を与え、義務や権利制限等を課す 1. 法律:憲法、法律など、国会の議決を経て成立する成文法
2. 命令:内閣による政令、各大臣による府省令、各庁及び首長による規則、地 方議会が議決する条例など法律に基づく行政機関による法的な規範
3. そのほか、主に下位の行政機関に規則を示す訓令・通達、主に行政から外部 組織に指針を与える (行政) 指導など
2.2.2 経済活動:財政
A. 公的経済活動の課題は公と私の利益の相反 (「背私謂之公」韓非子:五蠹)ご と 1. 民主主義的に選出された代議員による予算を通じた財政民主主義 B. 予め算定する予算も公的経済活動が私的便益に陥らないための枠組
1. (5) :政治手続きで裁量的に運営 → (6) が不明瞭
2. (7) :個別化・制度化し、運営 → 受益と負担を明確化
2.3 実際的疑問:公共部門は本当に民間活動に役立っているのか?
A. 公共活動を私化する無駄
1. 公共に名を借りた私的利益の追求:無駄事業、民業圧迫 2. 公共に対価を払わずに利益だけ狙う:脱税、公共への無関心
Ver. 2.3 Masumi Kawade, 2017
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B. 規範を現実化する難しさ
1. 面倒を避ける保身:事なかれ主義、問題放置・先送り、無責任体質 2. 理念先行の活動:有難迷惑な過剰規制、現場への無思慮
2.4 規範的疑問:公共部門はどうあるべきなのか?
A. 政府支出をどう配分すれば、民間活動は繁栄するのか
B. 政府支出の元手となる租税という負担を「どこにどう」かけるのか C. 政府支出や税制自体が経済活動を不必要に歪めていないか
D. 社会保障制度は世代間において公平で、持続可能なのか E. 想定外の結果をもたらしていないか
2.5 課題解決と公共経済学
A. 財政は便益と非効率の二人三脚 ⇒ 社会全体に最小費用で最大便益が目標 1. 主作用と副作用を合わせた統合判断 → 「良いことだらけ」は困難 2. 皆が「皆のことだけ」を考えられない → 公と私のせめぎ合い B. 元々経済学とは何だったか? · · · 経済学における規範の意義
1. 「規範」とは広辞苑では「判断・評価または行為などの拠るべき手本・基準」 C. 価値観を規定する規範、規範を体現する制度、制度を具体的に執行する運用
1. 財政には制度や運用などの法令が経済に与える効果から規範を再考察 D. 公共経済学は公共部門の経済学、公共部門の経済活動 (すなわち、財政活動) を
規範的に考察、望ましい方策を模索
1. 財政学と公共経済学の歴史的な関係、混在と一般的な違い
2. 自分のことだけを考えても、社会のためになる方法 (仕掛け) を探そう
→「神の見えざる手」の本来の意味を活かす事が大事
2.6 確認問題:次の文章の正誤について答えなさい
A. 一般政府とは全般的な活動を行う中央政府を意味する
B. 予算は予め支出を議会で算定することで、支出の濫用を防ぐ
C. 現在の日本政府には債務を超える資産があり、正味資産は潤沢である
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