熊本県
知
っ
ておきたい
知
っ
ておきたい
認 知 症ケア
の
基本
認 知 症ケア
の
基本
こ の 冊 子 は 、認 知 症 ケア に 携 わって 間 も な い 人 を 対 象 に
「パーソン・センタード・ケア」を提供するうえで重要と思われ
る点についてまとめたものです。
紹 介してい る ケアは 一 例であり、
実際のケアにあたっては、
一人ひとりの状態に合わせて行うことが大事です。
認知症ケアの
ポイント集
熊本県健康福祉部長寿社会局 認知症対策・地域ケア推進課
〒862-8570 熊本市中央区水前寺6-18-1 Tel:096-383-1111(代表)
Tel:096-333-2216(直通) Fax:096-384-5052 E-mail:ninchishouke@pref.kumamoto.lg.jp
熊本県オフィシャルホームページ:http://www.pref.kumamoto.jp
contents
名
前
を
呼
ぶ
こ
と
。
当
た
り
前
の
こ
と
で
す
が
、そ
れ
は
一
人
の
人
と
し
て
そ
の
人
の
存
在
を
認
め
、
人
格
を
尊
重
し
て
い
る
と
い
う
こ
と
で
す
。
声
を
掛
け
る
こ
と
。
そ
の
人
が
何
を
思
い
、何
を
求
め
て
行
動
を
起
こ
す
の
か
。
心
に
寄
り
そ
い
、耳
を
傾
け
る
こ
と
が
そ
の
人
ら
し
く
生
き
る
手
助
け
に
つ
な
が
り
ま
す
。
誰
も
が
そ
の
人
ら
し
く
、人
生
を
生
き
る
こ
と
。
相
手
の
気
持
ち
や
立
場
を
理
解
し
て
、
認
知
症
の
人
の〝
生
活
の
質
〟の
向
上
を
目
指
す
こ
と
が
よ
り
よ
い
ケ
ア
サ
ー
ビ
ス
の
基
本
で
す
。
誰もが自分らしく生きるために
人 と向き合う
パーソン・センタード・ケア
Ⅰ 認知症の基礎知識
Ⅱ 生活リズムを整えるケアの
ポイント
食事
編入浴
編排泄
編Ⅲ 介護者のストレスについて
Ⅳ 情報提供
認知症コールセンター
(ほっとコール)の紹介
熊本県認知症疾患医療センター
の紹介
認知症サポーター
養成講座の紹介
08
04
09
15
21
27
03
29
29
29
29
人
を
尊
ぶ
認
知
症
ケ
ア
Ⅰ
認 知 症 の 基 礎 知 識
“人”と向き合う
パーソン センタード ケア
誰もが自分らしく生きるために
認知症ケアで大切なことは、認知症の人を一人の“人”とし て尊重する“人”を中心とした援助。それが「パーソン・セン タード・ケア」です。
一人一人異なる症状や状態に向き合うのではなく、認知症 の人が今何を感じて、何を求めているのかを理解し、認知症の 人と共に寄り添い、自分らしく生きる手助けをすることです。 認知症の人に見られる「興奮状態」「不穏な状態」「不安な 状態」等は、周囲の人々の対応から引き起こされる可能性が あるといわれています。「認知症だから仕方ない」という無意 識の態度が、鑑となってさまざまな行動になって現れると いうものです。
心に無意識のうちに存在する「心の垣根」を取り払い、 認知症の人に接することから、真の認知症ケアが始まります。
認知症の基礎知識
認知症の基礎知識
認知症とは、もともと正常に発達した知能が、その後の病気や障害によって、持続的に低
下した状態のことをいいます。したがって認知症は、一つの「病気」の名称ではなく、様々な原
因で知能が低下した「状態」の総称として名付けられた用語です。
*「図表で学ぶ 認知症の基礎知識」発行 認知症介護研究・研修東京センター (中央法規出版)より抜粋
*「認知症 専門医が語る診断・治療・ケア」熊本大学大学院生命科学研究部脳機能病態学分野 池田 学教授 著 中公新書出版より抜粋
Ⅰ 認 知 症 の 基 礎 知 識
認知症と正常老化による物忘れの違い
認知症と正常老化による物忘れの違い
認知症ケアを行ううえで留意すること
認知症ケアを行ううえで留意すること
認知症の定義
認知症の定義
認知症
病気により生じる
低下
出来事自体を忘れる
営むのが困難
伴うことが多い
正常老化による物忘れ
加齢により生じる
あり
とっさに思い出せない
支障がない
なし 原 因
自覚(病識)
記憶障害
社会生活
精神症状や行動障害
認知症ケアの考えの一つである「パーソン・センタード・ケア」について、紹介します。この考えは、イギ リスのブラッドフォード大学のトム・キットウッド教授が、これからの認知症ケアのあるべき姿として、認 知症ケアに携わる人に示した理念です。
パーソン・センタード・ケアとは、一言で言えば「その人らしさ」を高め ることを主眼とするケアです。認知症の人を尊重し、持てる力を発揮して もらうというだけでなく、その人自身が「自分は周囲の人にとって大事な 存在なんだ」「大切に思われているんだ」と感じられることが必要です。そ のために、キットウッド教授は、その人の現在の認知症の状態には、心理的 ニーズが満たされているかどうかが影響していると考えました。認知症の人
の「自分らしさ」、「愛着、結びつき」「携わること」「共にあること」「くつろぎ」の心理的なニーズを理解する 必要があると考えました。
パーソン・センタード・ケアの「パーソン」とは、認知症の人だけでなく、認知症ケアに携わるスタッフ や家族など、認知症の人を取り巻く人を指しています。そして、それらすべての人の「その人らしさ」を高 めることが、パーソン・センタード・ケアといえます。
*「図表で学ぶ 認知症の基礎知識」発行 認知症介護研究・研修東京センター(中央法規出版)参照
●
認知症の状態に影響を及ぼす5つの要因
キットウッド教授は、認知症の状態には、
① 脳障害(脳神経障害、脳機能障害、脳構造障害)
② 性格傾向(気質・能力・対処スタイル)
③ 生活歴
④ 健康状態、感覚機能(視力、聴力等)
⑤ 環境(その人を取り囲む社会的心理等)
が影響し合っていると考えました。
認知症ケアは、認知症の原因となる疾患を踏まえて行う必要がありますが、疾病別に定型の正解がある わけではありません。疾患の状況に加え、その人の性格、生活歴、健康状態、環境などを反映する必要があ りますので、これらを含め、いろんな視点からア
セスメントが必要となります。
認知症の人が大声を出したり、徘徊が頻繁に生 じても、「興奮状態」「不穏な状態」「不安な状態」 等と決めつけ、「認知症だから」と簡単に結論付け るのではなく、そのような状態になるまで、その 人の性格や生活歴、健康状態等を考慮したケアを 行なっていたか、適切な環境でケアを行っていた かなど、一度振り返ってみてください。
また、認知症ケアにあたっては、認知症の人 は「物忘れがひどい人」「うまく話ができない 人」「何もできない人」などと考えずに、その人 に残っている能力を活かすように心掛けてくだ さい。
Ⅱ 生 活リズ ムを整える
ケアの ポイント
( 食 事・入 浴・排 泄 )
認知症の人が安定した生活を過ごすためには生活リズムを整 えることが大切です。そのためには食事、入浴、排泄が重要となり ます。この冊子は、認知症の人が、周囲の人や会社との関わりなど の中で、人として尊重されていると感じられるように、「パーソ ン・センタード・ケア」を提供するうえでのポイントについてまと めたものです。
ケアのポイント
ケアのポイント
食事
編
食事
編
人に向き合う
ケアのポイント
人に向き合う
ケアのポイント
状態に応じたケアの方法
状態に応じたケアの方法
認知症の人にとって食事とは、健康維持のための栄 養摂取だけでなく、生きるうえでの楽しみや満足、充 足感などにつながる大切なものです。人それぞれに 現れる症状に対して、単に食べてもらうだけでなく、 食事をよりおいしく、満足感を得られるようなケア を心掛けましょう。
食事の際に現れやすい行動とそこに隠された認知症の人の考 え、それに応じたケアの例をみてみましょう。
左ページに記載しているような状態 は、性格や生活歴、健康状態、その人を 取り巻く環境などに影響を受けます。 「パーソン・センタード・ケア」の考え方
に沿い、次のような点も留意すること が大切です。
1
食事の時間を繰り返し尋ねる。
2
いつまでも食べようとしない。
3
一定の場所にある食べ物しか食べない。
4
口に入れた食べ物を吐き出す。
5
口に入れ、いつまでも飲み込まない。
6
口を開けない。
(拒否する)
7
箸が上手く使えない。
8
食事中に、その場を立ち去る。
9
常に食べようとする。
(適量がわからない)
10
食卓の物は何でも食べようとする。
(異食)
●神経質、潔癖症なので、手を洗って から食べたい。
●依存心が強く、誰かに食べさせ てほしい。
●他人に指示されたくない。
性格
●子ども達と賑やかに食事をして いた。
●家の事はなんでも自分で決めて いた。
生活歴
●発熱、歯痛、頭痛、腹痛、便秘など 体調が悪い。
●目が悪く、物が見えにくい。
●義歯が合わない。
健康状態
等●職員の態度、言葉が気に入らない。
●大きな音や笑い声が煩わしく、 騒々しい。
環境
等ケアのポイント
ケアのポイント
状態
状態
人の行動には、理由がある モン。相手の心に寄り添う 気持ちが大切だモン!
check point
!
check point!
check point!
check point!
認知症の人に見られる行動
など
Ⅱ 生 活リズ ム を 整えるケアのポイント
●「今食べました」と説明するのではなく、「次の食事は何時です」 と説明してみましょう。
●日頃からご本人の適量を把握しておきましょう。
●空腹か確認し、空腹であればお茶を勧めたり、おやつ等を少し 食べてもらってみましょう。
●「今、食事時間です」と説明してみましょう。
●ここは、食事ができる場所であることを 説明してみましょう。
●食事のため、他の利用者も同じテーブルに座っていることを説 明してみましょう。
●食事の好みを把握してみましょう。
●わかりやすくジェスチャーなどを交えて、食べていいことを伝え てみましょう。
●利き手に箸(スプーン)、反対の手にお茶碗を 持ってもらいましょう。
●食べる動作をジェスチャーで示してみましょう。
●手を添え、食事の動作を支援してみましょう。
●見えるところに食器を置いてみましょう。
●一口味わってもらい、食べ物としての認識を呼び戻してみましょう。
●好物な物を食べてもらい、記憶を呼び戻してみましょう。
●次は何を食べるか尋ねてみましょう。
●食べる動作の一つひとつに声を掛けたり、ジェスチャーなどで 次に動作がスムーズにできるように支援してみましょう。
●いつ食べたか覚えていない。
●どのくらい食べたかわからない。
●今が食事の時間だということがわからない。
●ここが食堂なのか、何処なのかがわからない。
●同じテーブルに座っている 人が誰かわからない。
●食事の好みを伝えられない。
●「食事ですよ」という声掛けの言葉がわからない。
●箸やスプーンなどの使い方がわからない。
●そのまま食べてよいのか、皮をむいて食べる のか等、食べ方がわからない。
●食べ物であることがわからない。
●食べ物であるのか、食器なのかわからない。
●食事に伴う一連の動作がわからない。 (器を 持って、箸を使い、食べ物を口に
運び、噛んで飲み込む)
事 例
事 例
Aさん(90歳代後半の女性)は、専業主婦で子どもが独立してから、夫と二人暮らしでした。数年前に夫 を亡くしてから一人暮らし。ふらつきはありますが、手引き歩行介助により移動できます。
Aさんは、社交的であり、近所の人と交流をしながら生活してきましたが、物忘れ等の認知症の症状が見 られるようになったため、施設に入所することとなりました。今では、記憶力・判断力も低下し、施設では決 まった時間に食事を摂らない(又は1日に何回も食事を摂りたがる)といった状態になっています。 また、義歯ですが、嚥下(えんげ)障害は無く普通食です。嗜好としては、甘いものが好きで、食事以外にも お菓子類をよく食べている様子が見られます。
●介護度:3 ●障害老人の日常生活自立度:A2 ●認知症老人の日常生活自立度:Ⅲ ●長谷川式簡易スケール:6点
「食べる」を支えるケアについて
「食べる」を支えるケアについて
●
脳障がいの状況
を踏まえたアプローチ例Aさんは、食事をいつしたのか、何時が食事の時間なのか、箸をどう使えばいいのか、出されたものが食 べ物なのかが、わからない可能性があります。また、食事をしたくない理由を伝える
ことができない場合もあると考えられます。
▶対応
時計を指さして食事時間であることを示すとともに、食べるジェスチャーや、声掛けを行い、食事の意識を 持ってもらいましょう。また、Aさんの利き手に箸を、逆の手に器を持ってもらい、職員が手を添えて、数口食 べる動作を一緒に行ってみてください。満腹の時や食べたくない時は、口を開けなかったり、吐き出したり、 お腹を叩いたりする等のしぐさがみられます。そのような場合は、無理に食べさせないようにしましょう。
●
性格傾向
からのアプローチ例Aさんは、社交的であったことから、「一人静かに食事をする」より、「人と楽しく食事をしたい」との希 望があるかもしれません。
▶対応
他の利用者と同じテーブルで食事ができるようにしてみましょう。
●
生活歴
からのアプローチ例Aさんは、お菓子類をよく食べている様子が見られることから、食事をしたことを忘れている可能性が あります。また、満腹感がわからない状態であるということも考えられます。
▶対応
今、食事をしたことを説明してみましょう。そして、趣味の話や散歩に誘う ことで食べ物以外に関心が向くようにしてみましょう。
なお、食事後にデザートを食べる習慣があったかもしれませんので、そ のような場合は、「デザートです」と説明して果物等を食べてもらってみま しょう。
また、一度の食事量を減らし、数回に分けて食べられるようにすることも 検討してみましょう。
●
健康状態
からのアプローチ例Aさんは、健康状態が悪いことや、義歯があっていないことを伝えられないと考えられます。
▶対応
介護者がバイタルチェックなどによる体温、脈拍、血圧等の変化から、体調の 変化に気付くことが重要と思われます。
●
環境
からのアプローチ例Aさんは、社交的であったことから、現在Aさんが一人で食事をしている状況にある場合は、他の利用者 と一緒に食事することを楽しみにしているということも考えられます。そのため、一人で食べると不安に なり、食事が進まなくなってくる場合も考えられます。
▶対応
なじみの人と食事ができるようにしてみましょう。
また、食事の意識を持ってもらうには、食事の支度風景や食べ物の匂い等が重要な役割を果たすことも ありますので、それらを感じてもらうことも大事と思われます。
さらに、音、採光等にも配慮するなど、環境にも留意することが重要と思われます。
まとめ
まとめ
食事は、毎日の生活で欠かせないものですので、より質の高い介護が求められます。ただ、食べてもらうだけ ではなく、食事をおいしく、楽しく、満足感を感じられるようにすることが重要と思われます。
そのためには、「食べる」という一つだけの行動にとらわれず、認知症の人の性格、身体の状況、環境等を 考慮したケアの提供が重要と思われます。
。
●なぜ、経管を挿入されているかわから ない。
●経管挿入の説明を受けたが、内容を忘れ てしまった。
●今が食事の時間ということがわからない。
●居る場所がどこかわからない。
●近くにいる人が誰かわからない。
●痛い、かゆい、不快であることを言葉で 伝えられない。
●経管が何のために挿入されているのか わからない。
●目の前に見えるものが管か、紐か、食べ物 なのかわからない。
●経管挿入の必要性をその都度説明してみま しょう。
●食事は、経管挿入により行っていることを説明 してみましょう。
●「今、食事時間です」と説明してみましょう。
●ここは、食事をする場所であることを説明し、 その場で経管挿入を行うことを説明してみま しょう。
●経管挿入のため、職員等がそばにいることを説 明してみましょう。
●顔 や 手 を 動 か すことが 見 ら れ た ら、痛 み な の か、か ゆ み な の か などそ の 理 由 を 尋 ねて みましょう。また、行動から想像し、対応しま しょう。
●わかりやすく、経管挿入の必要性を 説明してみましょう。
●管が見えないように配慮しましょう。
●管により食事の提供が行われることを説明し てみましょう。
参考( 経管栄養の場合 )
ケアのポイント
ケアのポイント
状態
状態
次の事に留意することで、より一層のサービスにつながると考えられます。サービスの質をさらに
向上させるための取り組み
サービスの質をさらに
向上させるための取り組み
●
気温、採光、音響等に気を配る。
●
個人の食事ペースで食事ができるようにする。
●
料理に合う食器や盛り付け等の工夫をし、見て楽しめるようにする。
●
利用者の体型や本人の状態に応じてテーブルや椅子の高さ、形等を工夫する。
●
本人に好みを尋ねたり、一緒に料理をしながら、食事内容を選択できる機会を作る。
●
食事直前に配膳(盛りつけ)し、温かいものは温かい状態等で食べれるようにする。
●
茶碗や湯飲み、箸等を、使い慣れた馴染みのあるものとする。
●
食欲を高め、楽しく食べられるような言葉掛けや働き掛けを行う。
●
1回に口に運ぶ量、飲み込み状況を把握しながら介助する。
●
利用者個々人の咀嚼力・嚥下力を踏まえ、栄養面や形態に配慮する。
●
今のケアが本人にとって最善なのか常に考える。
認知症の人が「盗まれた」と訴えても、決して妄想と決めつけないでください。
本人にとっては大切なものを仕舞い、仕舞ったこと自体を忘れることから起こると考えられます。 なお、物盗られ妄想は早い時期から見られる症状ですが、一定程度認
知症が進行すると軽減していくといわれています。
まずは一緒に探してみましょう。そして自分にとって大切なものがな くなったという、本人の不安な気持ちを理解し、共感的な態度で対応し ましょう。
物盗られ妄想にはどうしたらいいの?
コ ラム
Ⅱ 生 活リズ ム を 整えるケアのポイント
状態に応じたケアの方法
状態に応じたケアの方法
入浴
編
入浴
編
認知症の人に見られる行動
など
人に向き合う
ケアのポイント
人に向き合う
ケアのポイント
状態に応じたケアの方法
状態に応じたケアの方法
入浴は、認知症の人にとって肌を清潔に保ち、血行を 促進するだけでなく、体を動かす機会にもなります。 最も大切なことは温かな湯に浸かり、心身をくつろ がせることや、入浴後に味わう満足感。心地よい入浴 タイムでリフレッシュを。
入浴の際、現れやすい行動があります。心のうちにある認知症の 人の考えや状態に応じたケアを心掛けましょう。
左ページに記載しているような状態は、 性格や生活歴、健康状態、その人を取り 巻く環境などに影響を受けます。「パーソ ン・センタード・ケア」の考え方に沿い、次 のような点も留意することが大切です。
ケアのポイント
ケアのポイント
状態
状態
ケアのポイント
ケアのポイント
あったか、のんびり、お風 呂に入ることを楽しんで ほしいモン!
●入浴は面倒(嫌い)である。
●裸を見られるのは、はずかしい。
●他人に指示されたくない。
性格
●他人と一緒に入浴したことはない。
●風呂場等で転倒したことがあ り、風呂場は怖い。
生活歴
●発熱、歯痛、頭痛、腹痛など体調 が悪い。
●目が悪く、物が見えにくい。
●疲労感、抑うつ感がある。
健康状態
等●職員の態度、言葉が気に入らない。
●嫌いな人と一緒に入浴したくない。
環境
等check point
!
check point!
check point!
check point!
1
1日に何回も入浴しようとする。
2
「お風呂に入らない」と拒否する。
3
脱衣場に行こうとしない。
4
脱衣場まで行くが、
洋服を脱ごうとしない。
5
シャンプー、
リンス、石鹸等を食べようとする。
6
入浴しても、体を洗わない。
7
シャワーなどを利用できない。
(温度調整ができない)
8
湯船から出ようとしない。
9
湯船で立っているだけで、
浸かろうとしない。
10
入浴後、体を拭こうとしない。
Ⅱ 生 活リズ ム を 整えるケアのポイント
入浴は同性介護の方が 上手くいくでしょう
●「今日は入浴しましたよ」もしくは「何時になれば入浴です」等 と説明してみましょう。
●可能であれば、毎日入浴できるようにすることも対応の一つ です。
●ここは、脱衣・入浴ができる場所であることをジェスチャーなどを 交えて分かりやすく説明してみましょう。
●「今は入浴の時間です。気持ちがいいですよ」などと説明して みましょう。
●熱がある、頭痛があるということも考えられます。バイタル チェックなどにより体調を確認してみましょう。
●浴槽を怖がられている場合もありますので、 シャワーを利用してみましょう。
●入浴できることを分かりやすくジェスチャーなどにより示して みましょう。
●使い慣れたバスタオルなどにより、体を拭きましょう。
●マジックテープなどにより着脱しやすい洋服にしてみましょう。 また、前後の区別ができるように、印を付けたり、着る順番と いった工夫してみましょう。複雑な衣服(ファスナーなど)は 避けた方がよいと思われます。
●シャワー、蛇口の使い方をジェスチャーで示しましょう。なお、 シャワーの温度設定は職員が行った方がよいと思われます。
●石鹸、シャンプー等は、印や色をつけたりして、わかりやすくしてみ ましょう。
●石鹸、シャンプー等を使用しない時には、別の場所に 保管してみましょう。
●入浴の一連の動作を介護者が浴槽、洗い場と誘導し、ジェス チャーで浴槽で浸かることや、体を洗うことを示してみましょう。
●入浴したことを覚えていない。
●今いる場所が、脱衣室、浴室であるのか居室な のかわからない。
●入浴してよい時間かわからない。
●入浴したくない理由を伝えることができない。
●入浴という声掛けの言葉がわからない。
●入浴後、身体を拭くことができない。
●洋服の着脱ができない。
●シャワー・蛇口の使い方がわからない。
●石鹸・シャンプー・リンス等の区分がつかな い。(何なのかわからない)
●浴室等でどうしたらよいか わからない。
シ
ャ
ン
プ
ー
リ
ン
事 例
事 例
Bさん(90歳代後半の女性)は、専業主婦で子どもが独立してから、夫と二人暮らしでした。数年前に夫を 亡くしてからは、一人暮らしで、ふらつきはありますが、手引き歩行介助により移動できます。
Bさんは、夫を亡くした頃から、物忘れなどの認知症の症状が見られるようになったため、施設に入所する こととなりました。今では、記憶力・判断力も低下し、普通の生活を維持するのが困難です。施設では、入浴を 勧めますが、入浴を嫌がり、なかなか入浴してくれません。しかし、たまに入浴した時は「いい気持ち」と機嫌が よくなります。
Bさんは、若い頃から知らない人と一緒にお風呂に入るのが嫌いでした。また、自宅で入浴中に転倒し、腰を 強く打ったこともあります。
●介護度:3 ●障害老人の日常生活自立度:A2 ●認知症老人の日常生活自立度:Ⅲ ●長谷川式簡易スケール:6点
「入浴」への対応について
「入浴」への対応について
●
脳障がいの状況
を踏まえたアプローチ例Bさんは、いつ入浴したのか忘れていたり、入浴介助している人が誰なのか、今、入浴の時間なのかわか らない可能性があります。また、体調などをうまく伝えることができない場合や、洋服の着脱や体や髪の 洗い方がわからないといったことも考えられます。
▶対応
「入浴の時間です」と声掛けを行うとともに、お風呂に入る様子や、私が介助しますといったことをジェ スチャーで示し、入浴の意識を持ってもらいましょう。また、体調が悪いことを伝えられないかもしれませ んので、体温、脈拍、血圧等を測って、体調を確認しましょう。着脱、洗身、洗髪については、職員の介助が必 要ですが、無理に全身を洗うのではなく、頭だけ、足だけ等
本人の希望に沿って介助した方がよい場合もあります。 なお、石鹸、シャンプー、リンス等を食べ物と間違えて食 べる可能性もありますので、認知症の人の目の届かない場 所に保管することも検討しましょう。
●
性格傾向
からのアプローチ例Bさんは、若い頃から知らない人と一緒にお風呂に入るのが嫌いでしたので、「裸が見られるのが恥ず かしい」「静かに入浴したい」等の気持ちがあると考えられます。
▶対応
Bさんの安心感につなげるため、なるべく顔なじみの職員(同性、同一)が入浴の誘導から脱衣、洗身、洗 髪、着衣まで介助してみましょう。また、「恥ずかしい」「静かに入浴したい」との気持ちに対しては、個浴 (シャワー)などの利用も検討しましょう。
また、Bさんは、失禁による下着の汚れを他人に知られた くないと思っているかもしれませんので、排泄パターンや、 排泄サインの把握により、失禁を防ぐことを検討してみま しょう。
●
生活歴
からのアプローチ例Bさんは、夜間しか入浴する習慣がなく、昼間の入浴に抵抗があるのかもしれません。
▶対応
夜間入浴ができるよう検討をしてみましょう。また、昼間入浴する場合は、「明るい時に入浴するのも良 いものですよ」等の気持ちが前向きになる言葉を掛けてみましょう。
●健康状態
からのアプローチ例Bさんは、健康状態が悪いことを伝えられないことも考えられます。
▶対応
介護者がバイタルチェックなどによる体温、脈拍、血圧等の変化から、体調の変化に早く気付くように しましょう。
●環境
からのアプローチ例Bさんは、浴室等に段差があることや滑ることなど、入浴に対する不安があることを伝えられないこ とも考えられます。
▶対応
浴室等に手すりを設置していることや、シャワーチェア等の利用ができることを説明し、不安を解消 しましょう。
まとめ
まとめ
認知症でない高齢者でも入浴を嫌う人もいます。入浴は、決して毎日しなければならないことではあり ません。そのため、入浴を嫌がる認知症の人を、無理矢理にお風呂に連れて行くことはお勧めできません が、認知症の人にも、入浴する気持ちよさを感じてもらえるように、Bさんの思いに沿った入浴介助が必要 と思われます。
そのためには、認知症の人の性格、身体の状況、環境等を 考慮して入浴ケアを行うことが重要と思われます。
なお、「アルツハイマー型認知症」の人の場合は脱衣所に 行くことや服を脱ぐことを嫌うことが多いように思われま す。無理矢理服を脱がそうとすると盗られ妄想に、強制して 脱衣所に連れて行こうとすると介護の抵抗につながる可能 性があります。
また、「レビー小体型認知症」の場合は認知症の進行とと もに身体の機能も悪化していき、動きが遅い、鈍い、硬い状 態となっていきますので、状態に合わせて(調子の良い時間) に入浴を勧めた方が安全に入浴できると思われます。 「前頭・側頭型認知症」の場合は、「常同症」や時刻表的行 動を利用して生活行動に入浴をパターン化しましょう。
お風呂はリラクゼーショ ンの役割もあるモン!
次の事に留意することで、より一層のサービスを提供につながると考えられます。
サービスの質をさらに
向上させるための取り組み
サービスの質をさらに
向上させるための取り組み
●
これまでの本人の入浴スタイル(夜間入浴・昼間入浴、毎日入浴、長湯等)を尊重する。
●
入浴チェックマニュアルを設け、入浴前後の個々人の健康状態の確認とともに、入浴
介助の際に利用する。
●
入浴ができない場合、代替ケアを行う。
(清拭・手浴・足浴)
●
機械浴、リフト浴、一般浴等、数種類のお風呂を用意する。
●
入所者の状況に合わせシャワーチェア、その他の介護福祉用品を何種類か用意する。
●
入浴後に水分摂取を行う。
●
脱衣は入浴の直前に行う。なお、何らかの理由で早く脱衣を済ませた入所者には、
バスタオルで身体をおおうなどの配慮をする。
●
入浴後の整容に配慮する。
●
タオルは1人1枚用意する。
●
今のケアが本人にとって最善の方法なのか常に考える。
介護している人から見れば、「なんでそんなに歩き回っているの?」という感じでしょうが、多くの場合、本人は 何らかの目的を持って歩いています。不可解な行動であっても、訴えを否定したり、行動を抑制しないでください。 行動を制止されると余計に不穏な状態や興奮を引き起こし、悪循環に陥ることが心配されます。
なお、徘徊している人には、立ち止まった時、歩調が遅くなった時にタイミングを見計らって、次のよう な声掛け(5W1H)を行なってはいかがでしょうか。
①今、行かないと(帰らないと)いけないのですか? ②何処にいくのですか? ③そこには誰がいるのですか?誰が待っているのですか?
④そこに行って(帰って)何をするのですか? ⑤今、帰らないとどのようになるのですか? ※ただし、WHY(なぜ)は使わないようにしましょう。
徘 徊 1
コ ラム
。
排泄
編
排泄
編
人に向き合う
ケアのポイント
人に向き合う
ケアのポイント
状態に応じたケアの方法
状態に応じたケアの方法
認知症ケアの中でも、排泄ケアは大変デリケートな 部分です。便意や尿意を表すことができなかったり、 トイレを見つけることができなかったりと状態は人 それぞれ。介助者は認知症の人の尊厳を守り、ケアに 向き合うことが大切です。
認知症の人の行動には、伝えられない思いが隠されています。 それぞれに応じたケアの例をみてみましょう。
左ページに記載しているような状態 は、性格や生活歴、健康状態、その人を 取り巻く環境などに影響を受けます。 「パーソン・センタード・ケア」の考え方
に沿い、次のような点も留意すること が大切です。
●自分でできると思っている。
●失禁、汚れた下着を見られるの は、恥ずかしい。
性格
●洋式便座、水洗トイレを利用した ことがない。
●トイレで転倒したことがある。
生活歴
●目が悪く、物が見えにくい。
●身体機能が低下しており、排泄は 大変である。
●便秘が続いている。
健康状態
等●トイレが遠い。
●手すりがない。
●狭くて、思うように動くことがで きない。
環境
等ケアのポイント
ケアのポイント
状態
状態
排泄ケアは、尊厳とともに 健康状態を知る上でも大切 なケアだモン!
ケアのポイント
ケアのポイント
check point
!
check point!
check point!
check point!
認知症の人に見られる行動
など
1
トイレへの誘導を拒否する。
2
トイレに行ってすぐに、またトイレに行こう
とする。
(頻回にトイレに行く)
3
おむつ交換を拒否する。
4
尿意(便意)がない、尿意(便意)を的確に
伝えることができない。
5
トイレ以外の場所で排泄する。
6
トイレの手順(ズボンを下げる、水を流す、トイ
レットぺーパーを使うなど)がわからない。
7
尿意、便意があることを伝えることが
できず落ち着かない。
8
便を始末しょうとして周りを汚す。
(弄便)
9
失禁や失便がある。
10
便器を認識できない。
(便器内の水で手を洗う)
Ⅱ 生 活リズ ム を 整えるケアのポイント
排泄は、同性介護が いいでしょう
●トイレに行ったことを伝えてみましょう。
●無理に制止しないで、トイレに行ってもらいましょう。
●トイレまで案内してみましょう。
●トイレの場所がわかるように、「トイレ」や「便所」の表示を高齢 者の目の高さに掲示してみましょう。
●夜間でもトイレの電気をつけ、わかりやすくしてみましょう。
●介護する人が、「私がトイレなどのお手伝いを します」と説明しましょう。
●文字で示したり、ジェスチャーを交えてわかりやすく説明してみ ましょう。
●排泄パターンを把握し、随時誘導してみましょう。
●行動(本人のサイン)から尿意・便意を把握し、早めに誘導してみましょう。
●ズボン等の着脱ができない場合は、着脱を介助してみましょう。
●着脱が簡単な衣服にしてみましょう。
●便座に座るまで介助してみましょう。
●トイレットペーパーの使い方をジェスチャーを交えるなど、 わかりやすく説明してみましょう。
●顔なじみの職員(同性、同一)等が、おむつ交換を行ってみましょう。
●トイレのドアの色を他のドアの色と区別してみましょう。
●ジェスチャーや文字により分かりやすく説明してみましょう。
●トイレに行く、ズボンを下げるなど、順を追って ジェスチャー入りで説明してみましょう。 ●トイレに行ったことを覚えていない。
●トイレの場所を覚えていない。
●トイレの場所がわからない。
●介護する人が誰なのかわからない。
●「トイレに行きましょう」との声掛けの言葉 がわからない。
●「トイレ」「排尿や排便した」旨を言葉にでき ない。
●下着やズボンの上げ下げができない。
●便器への座り方がわからない。
●トイレットペーパーが切れない、 使えない。
●おむつ交換をいやがる。
●トイレの表示がわからない。
●便器がわからない。
事 例
事 例
Cさん(90歳代後半の女性)は、専業主婦で子どもが独立してから、夫と二人暮らしでした。数年前に夫を亡くし てから一人暮らし、ふらつきはありますが、手引き歩行介助により移動できます
Cさんは、近所の人と交流をしながら生活してきましたが、物忘れ等の認知症の症状が見られるようになっ たため、施設に入所することとなりました。今では、記憶力・判断力も低下し、普通の生活を維持するのが困難 です。
また、失禁もあり、紙パンツ、尿取りパットを使用しています。トイレ誘導をしても、うまく誘導できません。時々、 トイレ以外の場所でオシッコをすることがあります。泌尿器科系の疾病はありません。
●介護度:3 ●障害老人の日常生活自立度:A2 ●認知症老人の日常生活自立度: Ⅲ ●長谷川式簡易スケール:6点
「排泄」への対応について
「排泄」への対応について
●
脳障がいの状況
を踏まえたアプローチ例Cさんは、トイレに行ったことを覚えていない、トイレの場所がわからない可能性があります。また、ト イレに行きたいことをうまく伝えることができない、または、トイレではズボンを下げることや利用し たトイレットペーパーを便器内に捨て、流すことがわからないことも考えられます。また、便座がわから ずトイレに入っても座ることができないことも考えられます。
▶対応
トイレに行ったことを覚えていない場合は、排泄アセスメントを詳しく行い、排泄パターンや排泄サ インを把握し、定時誘導でなく本人の行きたい時間(排泄パターン)に誘導してみましょう。
トイレのドアの色を他と区別したり、夜間はトイレの照明を点けるなどわかりやすくしてみましょう。ま た、トイレまでの行き方がわからないのであれば、トイレに行く途中にトイレの表示や目印を付けて、そ こを通ればトイレに行けることを説明しましょう。
また、トイレ内では「ズボンを下ろします」「ひざを曲げて便座に座ってください」等と具体的な声掛けを 行ってみましょう。トイレットペーパーを便器内に捨てない人の場合、ゴミ箱でないため
捨てないのかもしれませんので、わかりやすくゴミ箱を置くことも検討してみましょう。 なお、トイレ以外で排泄する場合、何か理由がある場合があります。ご本人の行動を 見守り、その理由を探してみましょう。
●
性格傾向
からのアプローチ例Cさんに限らず、誰でも排泄している姿を見られるのは恥ずかしいものです。
また、定時になったら「トイレの時間です」と自分の気持ちとは関係なく、利用者一斉にトイレ誘導され るのは心外と思われているかもしれません。
▶対応
トイレ内の安全を確認した後、職員はトイレ内から出て、しばらくして様子を見るようにしてください。 なお、長時間トイレから出てこられない場合は、随時声掛けを行ってみましょう。
また、排泄サインを見逃さず、定時誘導(事業所全体で決まった時間)でなく本人の行きたい時間(排泄 パターン)で誘導してみましょう。
●
生活歴
からのアプローチ例Cさんは、家庭では、「トイレ」と言わずに「便所」と言っていたかもしれません。また、水洗トイレを使用 したことがないことにより最後に水を流すことや、洋式トイレの使用方法(座り方)がわからないことも 考えられます。
▶対応
「便所に行きましょうか」と声掛けを行ってみましょう。また、使用後に水を流すことや、便器に後ろ向き に座ることを説明してみましょう。
さらに、トイレのドアの色を他と区別したり、「トイレ」ではなく「便所」と表示したり、夜間はトイレの照 明を点けるなどわかりやすくしてみましょう。
●健康状態
からのアプローチ例Cさんは、泌尿器科系の疾病はありませんが、身体・感覚機能低下に伴い、一人での トイレ使用が困難になっていることが考えられます。
▶対応
排泄サインを見逃さず、本人の行きたい時間(排泄パターン)に誘導しましょう。また、身体機能の低下 に対しては、立って掴まれる位置に手すりを設けてみましょう。
●環境
からのアプローチ例Cさんは、居室からトイレが遠いことや、トイレ出入り口に段差があること、手すりが無いこと、トイレ が狭いこと等を伝えられないことも考えられます。
▶対応
居室の位置については、本人の希望の沿うように検討してみましょう。他の利用者との関係で本人の希 望に沿えない場合は、その理由を説明してみましょう。
また、トイレ出入り口の段差解消、トイレ内の手すり設置、トイレ内における 体の動かし方等を説明してみましょう。
まとめ
まとめ
排泄介助は、羞恥心を感じさせないことが重要になりますので、Cさんの気持ちや思いを察し、尊重され ていると感じられるような寄り添うケアが大事です。
「アルツハイマー型認知症」(軽度∼中等度)の場合は、尿意・便意はあるがトイレの場所がわからず、ト イレ以外の場所で排泄することが多くみられますが、重度になり尿意・便
意感が低下すると失禁が見られるようになります。
「レビー小体型認知症」の場合は、軽度の時から失禁が見られる人と重 度になるまで失禁がない人と個人差があるのが特徴です。
「血管性認知症」の場合は、障害された部位により個人差が大きいようです。 そのためには、「排泄介助」という一つだけの行動にとらわれず、認知症の 人の性格、身体の状況、環境等を考慮したケアの提供が重要と思われます。
大
小
トイレ☞
次の事に留意することで、より一層のサービスの提供につながると考えられます。
サービスの質をさらに
向上させるための取り組み
サービスの質をさらに
向上させるための取り組み
●
個別の排泄自立支援の対応策を検討する。
●
排泄のパターンを把握して、トイレで排泄できるようにする。
●
おむつ着用にあたって、本人の意思を尊重するとともに、カンファレンスを必ず行う。
●
おむつ交換は、一方的に行うのではなく、本人への声掛けのうえ行う。
●
おむつやパットは、利用者一人ひとりのその時々の状態に合わせて使い分ける。
●
おむつ交換時、皮膚観察とともにマッサージなど褥瘡(じょくそう)予防に努める。
●
おむつ交換の都度、清拭を行うなどで清潔な環境の保持に努める。
●
夜間おむつ交換が必要な人には、安眠の妨げにならない範囲で実施する。
●
トイレ介助、おむつ交換時は、カーテン・スクリーン等の利用によりプライバシーを守
るようにする。
●
便秘予防に配慮して、食事の工夫や運動等に取り組む。
●
臭気を取り除くための配慮をする。
●
今のケアが本人にとって最善の方法なのか常に考える。
「前頭側頭型認知症」の症状として、「常同行動」があり ます。これは、毎日同じ時間に同じ行動を繰り返す、時刻 表的な行動等のことです。この場合、徘徊を制止すると 本人を混乱させたり、暴力をふるうことにもなりかねま せん。初期の状態では、道に迷うこともなく、時間が立て ば戻ることができるので、制止するのではなく、危険な コースを歩いていないか見守ることが大切です。
徘 徊 2
コ ラム
むやみに徘徊を制止する と混乱を招くことも。見守 ることが大切だモン!
事業所が心掛けること
事業所が心掛けること
介護職員が心掛けること
介護職員が心掛けること
事業所等の介護職員にとって、「利用者と思うように関わることができない」「自分が行っている ケアが適切であるかわからない」「介護職員が少ない」などがストレスの一因となっています。 特に、認知症の人の介護を行う際は、障がいをお持
ちの方の介護と違い、認知症のことをよく理解してい ないと大きなストレスとなり、虐待につながる場合も あります。
そのため、事業所や介護職員の人は次のようなこと に心掛けることが必要です。
●
認知症に対する理解を深めるための機会を提供すること。
(研修の実施)
●
認知症介護ケアの能力を上げるための機会を提供すること。
(研修の実施)
●
適切な認知症ケアを学ぶ機会を提供すること。
(研修の実施)
●
事故発生時等万が一に備えた体制を整備すること。
●
業務を離れたら、仕事のことを忘れ、自分なりの時間を過ごすこと。
●
趣味や自分なりのストレス解消法等を身に着けること。
●
休みなしでの仕事を避けること。
●
ケアを行う上で悩んだ場合は、同僚や介護リーダー等に相談し、問題を一人で抱
え込まないこと。
認知症の人の介護を行っている家族から相談を受けた場合、次のようなアドバイスをしてみましょう。
●「自分だけの仕事である」「自分が頑張らないと」と思わずに、他のサービス利用(障害福祉サービスや利 用している介護サービス以外のサービス等)を考えたらどうですか。
●趣味や旅行等により、介護のことを忘れる時間を作ったらどうですか。
●認知症の人と家族の会が開催する「つどい」、市町村が実施している家族交流会等に参加し、同じ立場の 者同士で話をされたらどうでしょうか。
●専門職を上手く活用してください。
●無理をして介護をしていると体調を崩すことがあります。介護している人が倒れたら大変ですので、自 分の健康管理に気を付けてください。
家族へのアドバイス
コ ラム
Ⅲ 介 護 者 の
ストレスにつ いて
認知症の早期発見、診療体制の充実、医療と介護の連携強化、専門医療相談の充実を図ることを目的に、 「認知症疾患医療センター」が県内12か所に設置されています。(30ページ参照)
「認知症サポーター」とは、認知症について正しく理解し、偏見を持たず、認知症の人と家族に対して温 かい目で見守ることができる「応援者」のことです。
約90分の講義を受講することでサポーターとなり、オレンジリングが授与されます。
熊本県では認知症対策を県政の重要な施策の一つとして位置づけ、様々な施策を積極的に実施してお り、その一つとして、「認知症サポーター」の養成を行っています。
県では、認知症の方や介護されている家族の方、事業所等からの相談窓口として、「認知症コールセンター (ほっとコール)」を設置しています。
センターには、認知症の人への介護の仕方、介護上の悩み、将来への不安、認知症に関する疑問等に対応で きるよう、認知症の人の介護経験がある相談員や、認知症に関する医療的な相談に対応できる専門相談員を 配置しています。
また、認知症の人やその家族の方々を対象に、日頃の介護についての悩みや不安に対応するための「つどい」 を定期的に開催しています。
認知症コールセンター(愛称「ほっとコール」)
電話番号
096-355-1755
相談受付日
水曜を除く毎日(土曜・日曜・祝日も開設)
※年末年始は除く相談受付時間
午前9時から午後6時まで
所在地
熊本市中央区上通町3-15ステラ上通ビル3階
南関IC
熊本IC
八代IC
日奈久IC 田浦IC 芦北IC
坂本駅 三角駅
八代駅 新八代駅 荒尾駅
熊本駅 玉名駅
新玉名駅
宇土駅
阿蘇くまもと 空港
天草空港
人吉IC 菊水IC
植木IC
益城熊本空港IC 御船IC
松橋IC
白石駅
新水俣駅
324
人吉駅
阿蘇やまなみ病院
住:阿蘇市一の宮町宮地115 -1 ☎ :0967-22-7600
くまもと青明病院
住:熊本市中央区渡鹿 5-1-37 ☎ :096-366-2308
益城病院
住:上益城郡益城町惣領1530 ☎ :096-286-3611
くまもと心療病院
住:宇土市松山町1901 ☎ :0964-22-1081
平成病院
住:八代市大村町 720-1 ☎ :0965-65-8001
熊本大学医学部附属病院
住:熊本市中央区本荘1-1-1
●県下全域を統括する病院
天草病院
住:天草市佐伊津町5789 ☎ :0969-23-6111
吉田病院
住:人吉市下城本町1501 ☎ :0966-22-4051
佐藤クリニック
住:水俣市桜井町1-2-8 ☎ :0966-69-3007
荒尾こころの郷病院
住:荒尾市荒尾1992 ☎ :0968-62-0838
山鹿回生病院
住:山鹿市古閑1500-1 ☎ :0968-44-2338
菊池病院
住:合志市福原208 ☎ :096-248-2111
さーここ い い な ここ