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第 65 卷 第 12 号 日本放射線技術学会雑誌

1680

パーソナルコンピュータを用いた医用画像処理の基礎

−ImageJを用いて CT画像編−

はじめに

 ImageJは,パーソナルコンピュータ上で動作するフ リー(無料で提供される)のアプリケーションソフト ウェアである.特に,画像処理やプログラミングの知 識がなくても簡単に画像処理ができるためバイオサイ エンスや医学分野のような画像情報処理そのものを 主な専門としない研究機関では人気があり,世界中 で利用されているソフトウェアである.薬事未承認かつ プログラム自体は,オープンソースコミュニティーか ら提供されるものであるため,著作やプログラム自体 のテストやデバッグについて各自ユーザの責任下で チェックを行い,利用することが好ましい.上記を留 意したうえで,ImageJにおける画像処理について本 稿で解説を行う.

 ImageJは,複数のDICOM画像群をひとまとめに処 理するための豊富な関数やユーザオリジナルで簡単に プログラムできるプラグイン機能を持っている.よって CT,MRIやPETのような断層画像から立体画像を作 成することも可能である.本稿では,ImageJを用いた 特にCTユーザのための画像処理方法を紹介する.

1.ImageJで見るCT画像生成法の基礎

 ImageJのインストーラは,ImageJのホームページ http://rsbweb.nih.gov/ij/ からダウンロードできる.イン ストーラをダブルクリックするだけで,ImageJがパソ コンのプログラム実行フォルダへ自動生成され,起動 できるようになる.基本的な使用法は,ImageJのホーム ページ以外でも,日本語でインターネット上に多く掲載 されているため,ここでは,誌面の都合上,割愛する.  さて,ImageJでCTについて,基礎から理解するた めにCTの画像生成法の基礎事項を簡単に説明する.  ある対象物が存在する空間上にx-y座標空間を設定 し,その空間上で任意角度θの方向(Fig. 1でn軸に相 当する方向)からX線が照射されたと仮定すると,そ の投影面SにX線の強度値の分布が投影(Projection) される.この図を単に数式で整理すれば,簡単な一 次変換として,

………(1)

と表現できる.ここで,(x,y)は,投影された後の座 標(m,n)から,また,元の画像の位置を求める式に なっていることに注意する.この一次変換によって再構 成された座標は,ある一つの座標についての投影方 向の変換式だけを表しているが,二次元の積分変換 である結果画像b(x,y)は,投影角度ごとにマトリク ス上に配置した投影変換結果(サイノグラムという) p(k,m):から,下記の式,

………(2)

で表される.

 この処理をバックプロジェクション(逆投影法)とい う.このb(x,y)は,単にすべて回転角度(投影角度) の投影データを加算して二次元分布に変換したのみ で,元の画像f(x,y)とは,まだ一致しない.元の画 像と比べるとボケた画像になるのだが,これは,「点 広がり関数」が原因でボケる.バックプロジェクショ ンによって得られた画像b(x,y)を画像を表す関数で 大阪大学医学部附属病院・バイオビジックジャパン株式会社

山本修司

−パソコンソフト活用術−

x y

m n



=

 −







 cos( )

sin( )

sin( ) cos( ) θ

θ

θ θ

b x y

n Angels k p k m x y ( , )= ( , ( , , ))

π θ

Fig. 1 投影変換説明図

(2)

2009 年 12 月

パーソナルコンピュータを用いた医用画像処理の基礎−ImageJを用いて CT画像編−(山本) 1681

(2)式とは別の表現をすれば,元画像f(x,y),点広 がり関数をh(x,y)とすると,

………(3) となる.

 より数学的に表現を追記すれば,h(x,y)をデルタ 関数として,この二次元デルタ関数の逆投影関数b

(x,y)を求めると,

………(4)

となり,上記(3)式のh(x,y)は,この式b(x,y)で置 き換えることができる.

 よって,原画像の分布f(x,y)は,上式から,b(x,y) を除く処理をかけることによって復元可能というわけ である.このとき,今までの説明は,すべて投影後の 二次元分布の式で説明したが,あらかじめ各プロ ジェクション(一次元投影データ)にボケを除くフィル タをかけてからバックプロジェクションするほうが, 計算処理の負担が軽いため,この方法で処理手順を 正確に述べるとフィルタ補正バックプロジェクション という名前になることが理解できる.さらに繰り返し 演算およびフィルタのデザインは,フーリエ空間で計 算するほうが高速に計算できるのだが,この高速フー

リエ変換を用いる場合,ディジタル画像のような離散 値からべき乗の有限のサンプル点しか計算に用いな いために,高周波部分はサンプル点間隔が「疎」に なって逆フーリエ変換後のエラーが大きくなる.ま た,逆に低周波部分はサンプル点が密であるためエ ラーは少ない.このように,プロジェクション角度を 有限数にして対象を離散化してフーリエ空間の処理 をする場合は,フーリエ空間を円形から矩形情報に 変換する補間処理を行って逆フーリエ変換するよう な計算の工夫が必要で,高周波エラーは避けられな い.このような理由からフーリエ空間で一次元プロ ジェクションデータのフィルタテストを行い,しかる べきフィルタを設計したあと,空間領域で,バックプ ロジェクションをかける方法が一般的な方法とされて いる(もちろん,多くの論文では,フーリエ空間で計 算する新しい再構成アルゴリズムも紹介している1)

2.ImageJによるCT再構成の学習とスライス 像からの三次元可視化

 Fig. 2は,ImageJによる上記,CT画像生成シミュレー ションの例を示す.プラグインは,Damien Farrell氏が 作成したプラグイン(http://rsbweb.nih.gov/ij/plugins/ radon-transform.html)をデバッグおよびView数を可変 にするようにソースコードを改編し,実行した例であ Fig. 2 ImageJによる上記,CT画像生成シミュレーションの例

b x y( , )= f x y h x y( , ) ( , )

β( , )x y

x y

= + 1

2 2

(3)

第 65 卷 第 12 号 日本放射線技術学会雑誌

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る.フィルタ付きのバックプロジェクションによる画 像が,完全にオリジナル画像と同等の画質にはならな いことが理解できる.CT画像の画質が,View数(投 影角度数),サンプル数(Ray数),使用フィルタ(およ びカットオフ周波数),濃淡ビットに影響すること が,ImageJのプラグインを作成することによってシ ミュレーション可能となる.

 さらに,ImageJでは,CTスライス像から三次元表 示するためのプラグインが,ImageJをインストールす ると標準機能として搭載されている.Fig. 3は,コン

Fig. 3 三次元可視化の例

ピュータシミュレーションによって作成した3D Shepp and Logan phantomをImageJによって三次元可視化処 理した 例である.ImageJのプラグインメニューの

“3D”を選択すれば,開いている画像がスタック画像 から三次元を自動生成する.このように,ImageJで は,一般的なCT画像の生成から,その後のさまざま な画像処理を簡単に行うことができる.CTのさまざ まな教科書を参考にしながら,パーソナルコンピュー タを用いて実践的なCTの画像処理の学習のきっかけ にしてほしい.

参考文献

1) Avinash C. Kak, Malcolm Slaney. Principles of Computerized Tomographic Imaging (Classics in Applied Mathematics, 33).

Society for Industrial Mathematics, Philadelphia, New Ed edition, 2001.

参照

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