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執 行 停 止 申 立 書
平 成 2 7 年 1 2 月 2 5 日
那 覇 地 方 裁 判 所 御 中
申 立 人 訴 訟 代 理 人
弁 護 士 竹 下 勇 夫
弁 護 士 久 保 以 明
弁 護 士 秀 浦 由 紀 子
弁 護 士 亀 山 聡
弁 護 士 松 永 和 宏
弁 護 士 加 藤 裕
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申 立 て の 趣 旨
1 処 分 行 政 庁 が 沖 縄 県 知 事 に 対 し て 平 成 27 年 10 月 27 日 付 け で し た 下 記 公 有 水 面 埋 立 承 認 取 消 処 分 に 対 す る 執 行 停 止 決 定 は 、 本 案 事 件 の 判 決 確 定 ま で そ の 効 力 を 停 止 す る 。
記
沖 縄 防 衛 局 長 が 平 成25年3月22日 付 け で し た 沖 縄 県 名 護 市 辺 野 古 の 辺 野 古 崎 地 区 及 び こ れ に 隣 接 す る 水 域 等 を 埋 立 対 象 地 と す る 普 天 間 飛 行 場 代 替 施 設 建 設 事 業 に 係 る 公 有 水 面 の 埋 立 て の 承 認 に 係 る 申 請 に 対 し 、 同 年12 月27 日 付 け で 沖 縄 県 知 事 が し た 公 有 水 面 埋 立 承 認 に つ い て 、平 成 27 年 10 月 13 日 付 け で 沖 縄 県 知 事 が し た 公 有 水 面 埋 立 承 認 の 取 消 処 分
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申 立 て の 理 由
目 次
第 1 本 申 立 て に お い て 執 行 停 止 を 求 め る 対 象 と な る 処 分 ( 本 件 執 行 停 止 決
定 ) ... 6
1 埋 立 承 認 ... 6
2 埋 立 承 認 取 消 ... 6
3 行 政 不 服 審 査 法 に 基 づ く 審 査 請 求 等 ... 6
4 本 件 執 行 停 止 決 定 ... 7
第 2 本 件 埋 立 承 認 取 消 の 経 緯 と 取 消 理 由 ... 7
1 本 件 埋 立 承 認 取 消 に 至 る 経 緯 ... 7
(1) 第 三 者 委 員 会 の 設 置 ... 7
(2) 第 三 者 委 員 会 の 検 証 結 果 ... 8
(3) 埋 立 承 認 取 消 ... 9
2 本 件 埋 立 承 認 取 消 の 理 由 ( 本 件 埋 立 承 認 の 瑕 疵 ) ... 10
第 3 本 件 執 行 停 止 決 定 が 違 法 で あ る こ と ... 10
1 概 要... 10
2 行 審 法 及 び 地 自 法 は 国 に 審 査 請 求 等 の 適 格 を 本 来 許 容 し て い な い と 解 す べ き こ と ... 11
(1) 行 審 法 は 私 人 の 救 済 を 目 的 と す る 手 続 で あ る こ と ... 11
(2) 地 方 自 治 保 障 と い う 観 点 か ら も 国 の 審 査 請 求 等 の 適 格 は 本 来 否 定 さ れ る べ き こ と ... 12
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(4) 国 が 採 り う る 他 の 制 度 が 存 す る こ と ... 16
(5) 小 括 ... 17
3 「 普 天 間 飛 行 場 代 替 施 設 建 設 事 業 に 係 る 公 有 水 面 埋 立 」 は 「 固 有 の 資 格 」 に 基 づ く も の で あ る こ と ... 17
(1) 公 有 水 面 埋 立 承 認 出 願 は 国 の み が な し 得 る こ と ... 17
(2) 実 質 的 に も 「 固 有 の 資 格 」 に 基 づ く こ と は 明 ら か で あ る こ と .... 19
4 本 件 執 行 停 止 決 定 が 違 法 で あ る こ と ... 26
(1) 本 件 執 行 停 止 申 立 て は 却 下 さ れ る べ き で あ っ た こ と ... 26
(2) 国 土 交 通 大 臣 に よ る 違 法 な 執 行 停 止 決 定 ... 26
5 国 土 交 通 大 臣 は 、 内 閣 の 一 員 と し て 、 本 件 埋 立 て の 遂 行 と い う 政 策 目 的 で 行 っ た こ と ... 27
(1) 閣 議 了 解 を 受 け て の 執 行 停 止 決 定 ... 27
(2) 国 土 交 通 大 臣 の 記 者 会 見 の 内 容 ... 28
(3) 行 政 不 服 審 査 制 度 の 目 的 を 逸 脱 し た 執 行 停 止 決 定 権 限 の 行 使 が 明 ら か で あ る こ と ... 31
第 4 本 件 執 行 停 止 決 定 が 抗 告 訴 訟 の 対 象 と な る こ と... 32
1 本 件 執 行 停 止 決 定 の 処 分 性 が 認 め ら れ る こ と ... 32
(1) 本 件 は 実 体 法 的 効 果 を 生 じ て 現 に 埋 立 工 事 が な さ れ て い る こ と . 32 (2) 昭 和54 年12月 19 日 岐 阜 地 判 と は 事 案 を 異 に す る こ と ... 32
(3) 小 括 ... 34
2 沖 縄 県 の 出 訴 資 格 が 認 め ら れ る べ き こ と ... 35
(1) 地 方 公 共 団 体 の 出 訴 資 格 を 認 め る 見 解 が 多 数 説 で あ る こ と ... 35
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す る こ と ) ... 39
(4) 地 方 公 共 団 体 の 出 訴 資 格 が 認 め ら れ る 場 合 に 該 当 す る こ と ... 41
3 小 括... 44
第 5 違 法 な 執 行 停 止 決 定 に よ り 侵 害 さ れ る 沖 縄 県 の 個 別 的 利 益 ... 45
1 公 有 水 面 埋 立 法 第 4 条 ... 45
2 沖 縄 県 の 地 域 環 境 利 益 の 侵 害 ( 公 有 水 面 埋 立 法 第 4 条 第 1 項 第 2 号 で 保 護 さ れ た 沖 縄 県 の 利 益 の 侵 害 ) ... 45
(1) 公 有 水 面 埋 立 法 第 4 条 第 1 項 第 2 号 ... 45
(2) 本 件 埋 立 対 象 地 域 の 有 す る 環 境 的 価 値 ... 46
(3) 環 境 保 全 ・ 環 境 利 用 に 係 る 地 方 公 共 団 の 計 画 等 ... 54
(4) 埋 立 の も た ら す 環 境 破 壊 等... 59
(5) 小 括 ... 71
3 不 適 正 ・ 不 合 理 な 公 有 水 面 埋 立 に よ り 自 治 権 が 侵 害 さ れ な い と い う 沖 縄 県 の 利 益 の 侵 害 ( 公 有 水 面 埋 立 法 第 4 条 第 1 項 第 1 号 に よ り 保 護 さ れ た 利 益 の 侵 害 ) ... 72
(1) 公 有 水 面 埋 立 法 の 仕 組 み ... 72
(2) 本 件 埋 立 て に よ る 沖 縄 県 の 自 治 権 侵 害 ... 73
(3) 小 括 ... 130
4 ま と め ... 130
第 6 本 件 執 行 停 止 処 分 の 効 力 は 停 止 さ れ な け れ ば な ら な い こ と ( 執 行 停 止 の 要 件 ) ... 132
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第 1 本 申 立 て に お い て 執 行 停 止 を 求 め る 対 象 と な る 処 分 ( 本 件 執 行 停 止 決
定 )
1 埋 立 承 認
平 成25年 3月22 日 、沖 縄 防 衛 局 長 は 、沖 縄 県 名 護 市 辺 野 古 の 辺 野 古 崎 地 区 及 び こ れ に 隣 接 す る 水 域 等 を 埋 立 対 象 地 と す る 普 天 間 飛 行 場 代 替 施 設 建 設 事 業 に 係 る 公 有 水 面 の 埋 立 て( 以 下「 本 件 埋 立 」と い う 。) の 承 認 に 係 る 申 請( 以 下「 本 件 埋 立 承 認 出 願 」と い う 。)を 行 っ た( 甲 B27)。
同 年12月 27日 、当 時 の 沖 縄 県 知 事 仲 井 眞 弘 多 は 、本 件 埋 立 承 認 出 願 に つ い て 、 承 認 を し た ( 以 下 「 本 件 埋 立 承 認 」 と い う 。)。
2 埋 立 承 認 取 消
平 成27年 10月 13日 、現 在 の 沖 縄 県 知 事 翁 長 雄 志 は 、第 2 項 に お い て 後 述 す る と お り 本 件 埋 立 承 認 に 取 り 消 し う べ き 瑕 疵 が 認 め ら れ た こ と か ら 、本 件 埋 立 承 認 を 取 り 消 し た( 以 下「 本 件 埋 立 承 認 取 消 」と い う 。) ( 甲 B29)。
3 行 政 不 服 審 査 法 に 基 づ く 審 査 請 求 等
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4 本 件 執 行 停 止 決 定
本 件 執 行 停 止 申 立 に つ い て 、平 成27 年10 月27 日 、国 土 交 通 大 臣 は 、 本 件 埋 立 承 認 取 消 は 、 本 件 審 査 請 求 に 対 す る 裁 決 が あ る ま で の 間 、 そ の 効 力 を 停 止 す る 旨 の 決 定 ( 以 下 、「 本 件 執 行 停 止 決 定 」 と い う 。) を し た ( 甲 G 8 )。
な お 、 同 日 の 閣 議 に お い て 、 国 土 交 通 大 臣 が 、 地 方 自 治 法 ( 以 下 「 地 自 法 」と い う 。)に 基 づ く 代 執 行 に よ り 、本 件 埋 立 承 認 取 消 の 取 消 し に 着 手 す る こ と が 閣 議 了 解 さ れ 、 翌 28 日 、 国 土 交 通 大 臣 は 、 沖 縄 県 知 事 に 対 し 、地 自 法 第245条 の 8 第 1 項 に 基 づ き 、本 件 埋 立 承 認 取 消 を 取 り 消 す こ と を 勧 告 し た 。
第 3 に お い て 後 述 す る と お り 、 沖 縄 防 衛 局 に は 本 件 審 査 請 求 等 の 適 格 ( 以 下「 請 求 等 適 格 」と い う 。)は 認 め ら れ な い も の で あ り 、国 土 交 通 大 臣 は 本 件 審 査 請 求 等 を 却 下 し な け れ ば な ら な い も の で あ っ た 。 そ れ に も か か わ ら ず 、 国 土 交 通 大 臣 は 、 内 閣 の 一 員 と し て 、 本 件 埋 立 を 遂 行 す る た め に 、 み ず か ら 地 自 法 に 基 づ く 代 執 行 の 手 続 を と り 、 代 執 行 の 手 続 期 間 中 に 本 件 埋 立 の 工 事 を 行 う と い う 、 行 政 不 服 審 査 法 の 制 度 目 的 と は 関 係 の な い 目 的 を も っ て 、 違 法 に 本 件 執 行 停 止 決 定 を 行 っ た も の で あ り 、 本 件 執 行 停 止 決 定 の 違 法 性 は 明 ら か で あ る 。
第 2 本 件 埋 立 承 認 取 消 の 経 緯 と 取 消 理 由
1 本 件 埋 立 承 認 取 消 に 至 る 経 緯
(1) 第 三 者 委 員 会 の 設 置
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第 三 者 委 員 会 の 設 置 目 的 は ,「 普 天 間 飛 行 場 代 替 施 設 建 設 事 業 に 係 る 公 有 水 面 埋 立 承 認 手 続( 以 下「 承 認 手 続 」と い う 。)に 関 し ,法 律 的 な 瑕 疵 の 有 無 を 検 証 す る 」 こ と で あ り ( 設 置 要 綱 第 1 条 )、「 委 員 会 は , 承 認 手 続 に 関 す る 事 項 に つ い て ,法 律 的 な 瑕 疵 の 有 無 に つ い て 検 証 し , 委 員 会 の 意 見 を 知 事 に 報 告 す る 」( 同 第 3 条 )も の と さ れ 、委 員 は「 環 境 問 題 や 法 律 の 専 門 家 な ど 優 れ た 識 見 を 持 つ 者 」( 同 2 条 2 項 )か ら 6 名 が 選 任 を さ れ た 。
第 三 者 委 員 会 は 、平 成27年 1 月 28 日 に 準 備 会 合 を 開 催 し 、同 年 2 月 6 日 か ら 同 年 7 月 7 日 に か け て 合 計 13 回 の 委 員 会 を 開 催 し て 検 証 を 行 い 、同 年 7 月16 日 付 で「 検 証 結 果 報 告 書 」( 以 下「 検 証 結 果 報 告 書 」 と は こ れ を 指 す 。) を 提 出 し た 。
(2) 第 三 者 委 員 会 の 検 証 結 果
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た 場 合 ,『 国 土 利 用 上 適 正 且 合 理 的 ナ ル コ ト 』 と は 言 え ず , 法 第 4 条 第 1 項 第 1 号 の 要 件 を 充 足 し て い な い も の で あ り ,法 的 に 瑕 疵 が あ る 。 第 3 に , 法 第 4 条 第 1 項 第 2 号 に つ い て は , ① 知 事 意 見 や 環 境 生 活 部 長 意 見 に 十 分 に 対 応 し て お ら ず 環 境 影 響 評 価 法 第 33 条 第 3 項 の 趣 旨 に 反 す る こ と ,② 環 境 保 全 図 書 の 記 載 は 定 量 的 評 価 で は な く 生 態 系 の 評 価 が 不 十 分 で あ る こ と , ③ 具 体 性 が な く , 明 ら か な 誤 り の 記 載 が あ る 等 様 々 な 問 題 が あ る こ と 等 か ら し て , そ の 環 境 保 全 措 置 は ,『 問 題 の 現 況 及 び 影 響 を 的 確 に 把 握 』し た と は 言 い 難 く ,『 こ れ に 対 す る 措 置 が 適 正 に 講 じ ら れ て い る 』 と も 言 い 難 い 。 さ ら に , そ の 程 度 が 『 十 分 』 と も 認 め 難 い も の で あ り ,『 其 ノ 埋 立 ガ 環 境 保 全 及 災 害 防 止 ニ 付 十 分 配 慮 セ ラ レ タ ル モ ノ ナ ル コ ト 』 の 要 件 を 充 足 し て い な い も の で あ り 法 的 に 瑕 疵 が あ る 。 第 4 に , 法 第 4 条 第 1 項 第 3 号 に つ い て は , 本 件 埋 立 承 認 出 願 が 『 法 律 ニ 基 ク 計 画 ニ 違 背 』 す る か 否 か に つ い て , 十 分 な 審 査 を 行 わ ず に『 適 』と 判 断 し た 可 能 性 が 高 く ,『 生 物 多 様 性 国 家 戦 略 2012-2020』及 び『 生 物 多 様 性 お き な わ 戦 略 』に つ い て は ,そ の 内 容 面 に お い て 法 第 4 条 第 1 項 第 3 号 に 違 反 し て い る 可 能 性 が 高 く , さ ら に , 琉 球 諸 島 沿 岸 海 岸 保 全 基 本 計 画 に つ い て は , 同 計 画 の 手 続 を 履 践 し て い な い 点 に お い て ,結 果 的 に 同 第 3 号 に 違 反 し て お り 法 的 に 瑕 疵 が あ る と 考 え ら れ る 」 と い う も の で あ っ た 。
(3) 埋 立 承 認 取 消
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( 承 認 の 判 断 に 瑕 疵 が あ る ) も の と 判 断 し た ( な お 、 同 項 3 号 に つ い て は 、 十 分 な 審 査 を 行 っ て い な い と し て 判 断 過 程 の 瑕 疵 が 認 め ら れ て い る も の で あ る が 、 十 分 な 審 査 を 行 え ば 要 件 が 充 足 さ れ る か 否 か に つ い て の 踏 み 込 ん だ 判 断 が な さ れ て い な い た め 、 取 消 事 由 と は さ れ な か っ た 。)。
そ し て 、 聴 聞 手 続 に お い て 、 沖 縄 防 衛 局 長 か ら 提 出 さ れ た 陳 述 書 に 示 さ れ た 意 見 を 慎 重 に 検 討 し た が 、 別 紙 「 取 消 処 分 の 理 由 」 に 示 す と お り 、 沖 縄 防 衛 局 長 の 意 見 に は 理 由 が な く 本 件 埋 立 承 認 に 瑕 疵 が あ る と 認 め ら れ た た め 、 平 成27 年10 月 13 日 に 、 本 件 埋 立 承 認 取 消 を し た 。
2 本 件 埋 立 承 認 取 消 の 理 由 ( 本 件 埋 立 承 認 の 瑕 疵 )
本 件 埋 立 承 認 取 消 の 理 由 は 、別 紙「 取 消 処 分 の 理 由 」の と お り で あ り 、 本 件 埋 立 承 認 出 願 に つ い て は 公 有 水 面 埋 立 法 第 4 条 第 1 項 第 1 号 及 び 同 項 第 2 号 の 要 件 を 満 た し て い な い も の で あ り 、 か つ 、 こ れ ら の 要 件 の 判 断 に 係 る 考 慮 要 素 の 選 択 や 判 断 の 過 程 は 合 理 性 を 欠 い て い た も の で あ る か ら 、 本 件 埋 立 承 認 は 違 法 で あ り 、 取 り 消 し う べ き 瑕 疵 が 存 し た も の で あ る 。
第 3 本 件 執 行 停 止 決 定 が 違 法 で あ る こ と
1 概 要
法 定 受 託 事 務 に 係 る 審 査 請 求( 地 自 法 第255条 の 2 )に つ い て 、現 行 法 に は 、 国 の 審 査 請 求 等 の 適 格 を 否 定 す る 明 文 規 定 は 存 し な い 。
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く 同 様 の 立 場 で 個 別 の 権 利 義 務 が 侵 害 さ れ た 場 合 、 す な わ ち 「 固 有 の 資 格 」( 一 般 私 人 の 立 ち え な い 立 場 )に 基 づ か な い 場 合 に の み 、審 査 請 求 等 の 適 格 が 認 め ら れ る も の と 言 う べ き で あ る 。
審 査 請 求 人 ・ 執 行 停 止 申 立 人 で あ る 沖 縄 防 衛 局 長 は 国 の 機 関 で あ り 、 一 般 公 益 の た め に 公 有 水 面 埋 立 承 認 出 願 を し た も の で あ っ て 、 私 人 で は な い か ら 、行 審 法 に よ る 審 査 請 求 等 の 適 格 は 認 め ら れ な い の で あ る か ら 、 審 査 請 求 等 は 不 適 法 で あ る か ら 却 下 さ れ な け れ ば な ら な い も の で あ っ た 。
し か る に 、 国 土 交 通 大 臣 ( 処 分 行 政 庁 ) は 、 普 天 間 飛 行 場 代 替 施 設 の 名 護 市 辺 野 古 へ の 移 設 と い う 内 閣 の 一 致 し た 方 針 に 従 い 、 執 行 停 止 申 立 人 は 適 格 を 欠 い て い る に も か か わ ら ず 、 違 法 に 執 行 停 止 決 定 を し た も の で あ る 。
2 行 審 法 及 び 地 自 法 は 国 に 審 査 請 求 等 の 適 格 を 本 来 許 容 し て い な い と 解
す べ き こ と
(1) 行 審 法 は 私 人 の 救 済 を 目 的 と す る 手 続 で あ る こ と
行 審 法 は 、「 公 権 力 の 行 使 に 当 た る 行 為 に 関 し 、国 民 に 対 し て 広 く 行 政 庁 に 対 す る 不 服 申 立 て の み ち を 開 く こ と に よ っ て 、 簡 易 迅 速 な 手 続 に よ る 国 民 の 権 利 利 益 の 救 済 を 図 る 」こ と を 目 的 と し て い る( 第 1 条 )。
す な わ ち 、 行 政 不 服 審 査 は 、 行 政 作 用 に よ り 、 個 別 の 権 利 利 益 の 侵 害 を 受 け た 私 人 を 救 済 す る た め の 制 度 で あ っ て 、 外 交 ・ 国 防 上 の 利 益 と い っ た 一 般 的 公 益 の た め の 制 度 で は な く 、 ま た 、 行 政 主 体 間 の 紛 争 解 決 を 制 度 の 対 象 と す る も の で は な い 。
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れ る の は 例 外 的 な も の と い う べ き で あ る か ら 、 そ の 判 断 は 厳 格 に な さ れ な け れ ば な ら な い 。
(2) 地 方 自 治 保 障 と い う 観 点 か ら も 国 の 審 査 請 求 等 の 適 格 は 本 来 否 定 さ
れ る べ き こ と
ア 地 方 分 権 推 進 委 員 会 の 基 本 方 針
地 自 法 第 255 条 の 2 は 、 平 成 11 年 の 地 方 分 権 一 括 法 に よ る 地 自 法 改 正 に よ る 地 方 公 共 団 体 の 事 務 の 区 分 の 再 構 成 等 が 行 わ れ た こ と に 伴 い 設 け ら れ た も の で あ る 。
地 方 分 権 一 括 法 に よ る 地 自 法 改 正 は 、 地 方 分 権 推 進 法 に 基 づ い て 設 置 さ れ た 地 方 分 権 推 進 委 員 会 の 報 告 、 勧 告 を 尊 重 し て 制 定 さ れ た も の で あ る が 、 そ の 基 本 的 な 考 え 方 は 、 国 と 地 方 公 共 団 体 の 関 係 を 上 下 ・ 主 従 で は な く 対 等 ・ 協 力 の 関 係 と し 、 両 者 の 調 整 は 最 終 的 に は 司 法 的 判 断 に よ る と い う も の で あ る 。
イ 平 成 8 年 3 月 29日 中 間 報 告
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行 う こ と に よ り 、 地 方 公 共 団 体 は 、 地 域 の 実 情 に 即 し て 裁 量 的 判 断 を す る 余 地 が 狭 く な っ て い る だ け で は な く 、国 と の 間 で 報 告 、協 議 、 申 請 、 許 認 可 、 承 認 等 の 事 務 を 負 担 す る こ と と な り 、 多 大 な 時 間 と コ ス ト の 浪 費 を 強 い ら れ て い る 。 5 . 機 関 委 任 事 務 制 度 に よ り 、 都 道 府 県 知 事 が 各 省 庁 に 代 わ っ て 縦 割 り で 市 町 村 長 を 広 く 指 揮 監 督 す る 結 果 、 国 ・ 都 道 府 県 ・ 市 町 村 の 縦 割 り の 上 下 ・ 主 従 関 係 に よ る 硬 直 的 な 行 政 シ ス テ ム が 全 国 画 一 的 に 構 築 さ れ 、 地 域 に お け る 総 合 行 政 の 妨 げ と な っ て い る 。」 と い う 弊 害 が あ る こ と か ら 、「 地 方 分 権 推 進 法 の 趣 旨 に 即 し て 、 国 と 地 方 公 共 団 体 と の 関 係 を 抜 本 的 に 見 直 し 、 地 方 自 治 の 本 旨 を 基 本 と す る 対 等 ・ 協 力 の 関 係 と す る 行 政 シ ス テ ム に 転 換 さ せ る た め に は 、 こ の 際 機 関 委 任 事 務 制 度 そ の も の を 廃 止 す る 決 断 を す べ き 」 と 機 関 委 任 事 務 を 廃 止 す べ き と し 、 国 と 地 方 公 共 団 体 と 調 整 に つ い て は 「 国 と 地 方 公 共 団 体 と の 役 割 分 担 を 明 確 に す る こ と に よ り 、 両 者 の 間 の 調 整 は 基 本 的 に は 国 が 優 越 的 な 地 位 に 立 つ 行 政 統 制 に よ る の で は な く 、 公 正 か つ 透 明 な 立 法 統 制 ・ 司 法 統 制 に で き る だ け 委 ね る こ と と す べ き 」 と し 司 法 判 断 に よ る べ き と さ れ て い た 。
ウ 平 成 9 年 10 月 9 日 付 第 4 次 勧 告
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に よ っ て 係 争 を 処 理 す る こ と が 必 要 と な る 。 こ の 仕 組 み は 、 地 方 公 共 団 体 に 対 す る 国 の 関 与 の 適 正 の 確 保 を 手 続 面 か ら 担 保 す る も の で あ る と 同 時 に 、 地 方 公 共 団 体 が 処 理 す る 事 務 の 執 行 段 階 に お け る 国 ・ 地 方 公 共 団 体 間 の 権 限 配 分 を 確 定 す る と い う 意 義 を も 有 す る も の で あ る か ら 、対 等・協 力 の 関 係 に あ る 国 と 地 方 の 間 に 立 ち 、公 平 ・ 中 立 に そ の 任 務 を 果 た す 審 判 者 と し て の 第 三 者 機 関 が 組 み 込 ま れ て い る も の で あ る こ と が 必 要 で あ る 。 そ し て 、 こ の 第 三 者 機 関 は 、 審 判 者 で あ る 以 上 、 国 と 地 方 公 共 団 体 の 双 方 か ら 信 頼 さ れ る 、 権 威 の あ る 存 在 で な け れ ば な ら な い 。 さ ら に 、 行 政 内 部 で ど う し て も 係 争 の 解 決 が 図 ら れ な い と き は 、 法 律 上 の 争 い に つ い て 最 終 的 な 判 定 を 下 す こ と を 任 と し て い る 司 法 機 関 の 判 断 を 仰 ぐ 道 が 用 意 さ れ て い る こ と も 必 要 で あ る 。」と さ れ て い た 。こ の 報 告 、勧 告 を 最 大 限 に 尊 重 し て 、 地 方 分 権 一 括 法 に よ る 地 自 法 の 改 正 が な さ れ 、 地 自 法 第 11 章( 国 と 普 通 地 方 公 共 団 体 と の 関 係 に つ い て は 地 自 法 第 245条 な い し 第252条 ) の 規 定 が 設 け ら れ て も の で あ る 。
エ 小 括
以 上 の 経 緯 よ り す る と 、 法 定 受 託 事 務 に つ い て 、 各 大 臣 等 に 対 す る 審 査 請 求 等 を 認 め る こ と は 、 国 と 地 方 公 共 団 体 を 対 等 ・ 協 力 関 係 と す る 平 成 11 年 の 地 自 法 改 正 の 理 念 に 適 合 し な い こ と に な る 。 実 際 、 地 自 法 255 条 の 2 に つ い て は 、「 地 方 自 治 の 本 旨 の 観 点 か ら 見 直 さ れ る べ き 制 度 で あ る 」( 塩 野 宏 「 行 政 法 Ⅲ ( 第 4 版 )」246 頁 ) と の 疑 問 が 示 さ れ て い る 。
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る( 佐 藤 文 敏「 地 方 分 権 一 括 法 の 成 立 と 地 方 自 治 法 の 改 正( 三 )」自 治 研 究 76.2.98)。
法 定 受 託 事 務 に つ い て 審 査 請 求 等 を 認 め る こ と に は 厳 し い 批 判 が あ り 、「 加 害 者 は 、国 家・公 共 団 体 な の で あ る か ら 、被 害 者 た る 私 人 の 簡 易 迅 速 な 救 済 手 続 を 設 け て お く 必 要 性 」( 塩 野 宏「 行 政 法 Ⅱ( 第 5 版 補 訂 版 )」9 頁 )が 高 い と い う 点 で か ろ う じ て 制 度 の 合 理 性 が 認 め ら れ て い る こ と よ り す れ ば 、地 自 法 第 255条 の2に 基 づ く 審 査 請 求 等 に つ い て 、「 固 有 の 資 格 」に 基 づ か な い と し て 国 に 適 格 が 認 め ら れ る の は 、 行 政 作 用 に よ っ て 個 別 の 権 利 利 益 を 侵 害 さ れ て 簡 易 迅 速 な 救 済 の 必 要 性 の 高 い 純 然 た る 私 人 と ま っ た く 同 様 に 評 価 さ れ る 場 合 に 厳 格 に 限 定 さ れ な け れ ば な ら な い も の と 言 う べ き で あ る 。
(3) 国 の 審 査 請 求 等 に は 客 観 性 ・ 公 正 性 か ら の 問 題 が あ る こ と
判 断 の 客 観 性 や 公 正 性 と い う 点 か ら も 、 国 の 審 査 請 求 等 の 適 格 を 認 め る こ と に は 重 大 な 問 題 が あ る 。
す な わ ち 、 国 の 審 査 請 求 等 の 適 格 を 認 め る と い う こ と は 、 国 と い う 同 一 の 行 政 主 体 が 、 審 査 請 求 等 を し て こ れ に 対 す る 判 断 を す る こ と に な る 。
国 が 一 定 の 行 政 目 的 の 実 現 の た め に し た 行 為 に つ い て 地 方 公 共 団 体 の 行 っ た 処 分 に つ い て 、 そ の 地 方 公 共 団 体 に よ る 処 分 の 当 否 を 国 が 判 断 す る な ら ば 、 国 の 行 政 目 的 実 現 の た め に 結 論 あ り き の 偏 頗 な 判 断 が な さ れ る お そ れ が あ る 。
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(4) 国 が 採 り う る 他 の 制 度 が 存 す る こ と
ア 国 の 行 政 不 服 審 査 制 度 の 審 査 請 求 等 の 適 格 を 否 定 し て も 、 国 と 地 用 公 共 団 体 と の 間 の 係 争 に つ い て 、 解 決 の 手 段 を 奪 う こ と に な る も の で は な い 。
イ 原 告 が 国 ( 沖 縄 防 衛 局 ) に 対 す る 公 有 水 面 埋 立 承 認 取 消 通 知 書 に お い て 教 示 し た と お り 、 国 ( 沖 縄 防 衛 局 ) は 、 公 有 水 面 埋 立 承 認 の 取 消 訴 訟( さ ら に 必 要 が あ れ ば 執 行 停 止 申 立 )を す る こ と が で き る 。 ウ ま た 、地 自 法 第11章 の 手 続 に よ る 解 決 も 可 能 で あ る 。す な わ ち 、 平 成11年 の 地 自 法 改 正 は 、「 対 等 ・ 協 力 を 基 本 と す る 国 と 地 方 公 共 団 体 と の 間 で 万 が 一 係 争 が 生 じ た 場 合 に は 、 国 が 優 越 的 な 立 場 に 立 つ こ と を 前 提 と し た 方 法 に よ り そ の 解 決 を 図 る の で は な く 、 国 と 地 方 公 共 団 体 の 新 し い 関 係 に ふ さ わ し い 仕 組 み に よ っ て 係 争 を 処 理 す る こ と が 必 要 」 と の 認 識 に 基 づ い て な さ れ た も の で あ る 。
国 と 地 方 公 共 団 体 と の 関 係 に つ い て は 、 地 自 法 第 11 章 の 規 定 に よ っ て 調 整 を 行 う こ と を 予 定 し て い る も の で あ り 、 国 が 地 方 公 共 団 体 の 処 分 に 不 服 が あ る 場 合 に は 、 こ れ ら の 規 定 に よ る 解 決 が 可 能 で あ る 。
す な わ ち 、 地 自 法 第 245 条 の 5 第 1 項 に よ る 是 正 の 要 求 や 同 法 245 条 の 7 第 1 項 に よ る 是 正 の 指 示 を 行 う こ と が で き 、 こ れ に 対 し
17 あ る 。
(5) 小 括
以 上 の と お り 、 行 政 不 服 審 査 制 度 は 、 行 政 作 用 に よ り 個 別 の 権 利 利 益 の 侵 害 を 受 け た 私 人 を 簡 易 迅 速 に 救 済 す る た め の 制 度 で あ る 以 上 、 本 来 国 に 審 査 請 求 等 の 適 格 を 認 め る こ と は で き な い も の で あ っ て 、 国 が 個 別 の 権 利 利 益 の 侵 害 を 受 け た 私 人 と ま っ た く 同 じ 立 場 に あ る 場 合 (「 固 有 の 資 格 」に 基 づ か な い 場 合 )に の み 、例 外 的 に 審 査 請 求 等 の 適 格 が 認 め ら れ る に す ぎ な い も の で あ る 。
こ の 判 断 は 、 審 査 請 求 者 ・ 執 行 停 止 申 立 人 た る 国 が 、 当 該 行 為 に よ っ て 実 現 し よ う と し た 目 的 を 実 質 的 に 踏 ま え て 、 厳 格 に な さ れ る べ き も の で あ る 。
そ し て 、 次 に 述 べ る と お り 、 本 件 埋 立 承 認 申 請 が 「 固 有 の 資 格 」 に 基 づ く こ と は 明 ら か で あ る 。
3 「 普 天 間 飛 行 場 代 替 施 設 建 設 事 業 に 係 る 公 有 水 面 埋 立 」 は 「 固 有 の 資
格 」 に 基 づ く も の で あ る こ と
(1) 公 有 水 面 埋 立 承 認 出 願 は 国 の み が な し 得 る こ と
公 有 水 面 埋 立 法 は 、 国 と 私 人 は 明 確 に 区 別 し て 規 定 し て お り 、 私 人 が 事 業 者 で あ る 場 合 と 国 が 事 業 者 で あ る 場 合 を 区 別 し て 、 別 の 条 文 で 規 定 し て い る も の で あ る 。
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場 合 に は 同 法 42 条 1 項 に よ り 都 道 府 県 知 事 の 「 承 認 」 が 必 要 で あ る と 定 め て い る(「 国 ニ 於 テ 埋 立 ヲ 為 サ ム ト ス ル ト キ ハ 当 該 官 庁 都 道 府 県 知 事 ノ 承 認 ヲ 受 ク ヘ シ 」) も の で あ る 。
公 有 水 面 埋 立 法 は 、 私 人 が 事 業 主 体 と な る 場 合 に は 埋 立 の 免 許 申 請 と い う 制 度 を 設 け 、 他 方 、 国 が 埋 立 の 事 業 主 体 と な る 場 合 に は 埋 立 の 承 認 申 請 と い う 別 個 の 制 度 を 設 け て い る も の で あ り 、 私 人 は 、 埋 立 の 承 認 申 請 を 行 う こ と は で き な い 。 す な わ ち 、 埋 立 承 認 申 請 者 の 地 位 に 私 人 が 立 つ こ と は で き ず 、 国 の み が 埋 立 承 認 申 請 を な し 得 る も の で あ る か ら 、「 固 有 の 資 格 」 に 基 づ く こ と は 明 ら か で あ る 。
公 有 水 面 埋 立 法 の 規 律 の 内 容 を み て 、私 人 が 事 業 主 体 と な る 場 合( 免 許 ) と 国 が 事 業 主 体 と な る 場 合 ( 承 認 ) に つ い て 、 規 律 を 異 に し て い る も の で あ る 。 例 え ば 、 同 法 22 条 1 項 は 「 埋 立 ノ 免 許 ヲ 受 ケ タ ル 者 ハ 埋 立 ニ 関 ス ル 工 事 竣 功 シ タ ル ト キ ハ 遅 滞 ナ ク 都 道 府 県 知 事 ニ 竣 功 認 可 ヲ 申 請 ス ヘ シ 」 と 定 め て 私 人 が 事 業 主 体 と な る 場 合 は 竣 工 認 可 手 続 が 必 要 で あ る と す る の に 対 し 、 国 が 埋 立 事 業 主 体 と な る 場 合 は 、 同 法 42 条 2 項 で「 埋 立 ニ 関 ス ル 工 事 竣 功 シ タ ル ト キ ハ 当 該 官 庁 直 ニ 都 道 府
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ち え な い よ う な 立 場 を 定 め て い る の で あ る 。
以 上 の と お り 、公 有 水 面 埋 立 法 は 、「 承 認 」と「 免 許 」を 異 な る 制 度 と し 、「 承 認 」申 請 は 私 人 が す る こ と が で き な い の で あ る か ら 、沖 縄 防 衛 局 長 が 、「 固 有 の 資 格 」に 基 づ い て 、公 有 水 面 埋 立「 承 認 」申 請 を 行 っ た も の で あ る こ と は 明 ら か で あ る 。
(2) 実 質 的 に も 「 固 有 の 資 格 」 に 基 づ く こ と は 明 ら か で あ る こ と
ア 条 約 に 基 づ く 義 務 履 行 の た め に 行 う も の で あ る こ と (ア) 埋 立 必 要 理 由 書
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定 に 大 き く 寄 与 し て い る 。 普 天 間 飛 行 場 に は 、 米 海 兵 隊 の 第 3 海 兵 機 動 展 開 部 隊 隷 下 の 第 1 海 兵 航 空 団 の う ち 第 36 海 兵 航 空 群 な ど の 部 隊 が 駐 留 し 、 ヘ リ な ど に よ る 海 兵 隊 の 航 空 輸 送 の 拠 点 と な っ て お り 、 同 飛 行 場 は 米 海 兵 隊 の 運 用 上 、 極 め て 大 き な 役 割 を 果 た し て い る 。 他 方 で 、 同 飛 行 場 の 周 辺 に 市 街 地 が 近 接 し て お り 、 地 域 の 安 全 、 騒 音 、 交 通 な ど の 問 題 か ら 、 地 域 住 民 か ら 早 期 の 返 還 が 強 く 要 望 さ れ て お り 、 政 府 と し て も 、 同 飛 行 場 の 固 定 化 は 絶 対 に 避 け る べ き と の 考 え で あ り 、 同 飛 行 場 の 危 険 性 を 一 刻 も 早 く 除 去 す る こ と は 喫 緊 の 課 題 で あ る と 考 え て い る 。 わ が 国 の 平 和 と 安 全 を 保 つ た め の 安 全 保 障 体 制 の 確 保 は 、 政 府 の 最 も 重 要 な 施 策 の 一 つ で あ り 、 政 府 が 責 任 を も っ て 取 り 組 む 必 要 が あ る 。 日 米 両 政 府 は 、 普 天 間 飛 行 場 の 代 替 施 設 に つ い て 、 以 下 の 観 点 を 含 め 多 角 的 に 検 討 を 行 い 、 総 合 的 に 判 断 し た 結 果 、 移 設 先 は 辺 野 古 と す る こ と が 唯 一 の 有 効 な 解 決 策 で あ る と の 結 論 に 至 っ た 。」 と さ れ 、 「 埋 立 の 効 果 」 に つ い て は 「 本 埋 立 て を 行 う こ と で 、 普 天 間 飛 行 場 の 代 替 施 設 が 建 設 さ れ 、 日 米 両 政 府 の 喫 緊 の 課 題 と な っ て い る 、 普 天 間 飛 行 場 の 早 期 の 移 設 ・ 返 還 を 実 現 し て 、 沖 縄 県 の 負 担 軽 減 を 図 る こ と が 可 能 と な る 。 ま た 、 在 日 米 軍 再 編 が 着 実 に 実 施 さ れ る こ と に よ り 、 日 米 安 全 保 障 体 制 が 強 化 さ れ 、 わ が 国 の 安 全 と 共 に ア ジ ア 太 平 洋 地 域 の 安 全 に も 寄 与 す る こ と が 可 能 と な る 。」 と し て い る 。
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定 」 と い う 。) の 第 2 条 の 「 施 設 及 び 区 域 」 の 提 供 義 務 の 履 行 の た め に な さ れ る も の で あ る 。(「 日 本 国 と ア メ リ カ 合 衆 国 と の 間 の 相 互 協 力 及 び 安 全 保 障 条 約 」 の こ と を 、 以 下 、「 安 保 条 約 」 と い う 。)
沖 縄 防 衛 局 長 は 、 外 交 ・ 防 衛 に か か る 条 約 上 の 義 務 の 履 行 と い う 目 的 を も っ て 、 公 有 水 面 埋 立 法 上 の 埋 立 承 認 手 続 を 経 て 、 一 連 の 基 地 建 設 の た め の 事 業 を 遂 行 し よ う と し て い る も の で あ り 、 こ れ は 一 般 私 人 が 立 ち え な い 、 ま さ に 国 家 と し て の 立 場 に お い て な さ れ る 一 連 の 行 為 に ほ か な ら な い 。
ま た 、 埋 立 必 要 理 由 に 示 さ れ た 利 益 は 、 外 交 ・ 防 衛 上 の 一 般 的 公 益 そ の も の で あ っ て 、 行 政 不 服 審 査 制 度 に よ る 保 護 の 対 象 で あ る 私 人 の 個 別 的 権 利 利 益 で は な い 。
(イ) 執 行 停 止 申 立 書 ・ 審 査 請 求 書 に お け る 沖 縄 防 衛 局 長 の 主 張
執 行 停 止 申 立 書 ・ 審 査 請 求 書 に お い て 、 沖 縄 防 衛 局 長 は 、 埋 立 て の 必 要 性 及 び 公 共 性 と し て 、「 本 件 埋 立 て に よ り 、 普 天 間 飛 行 場 周 辺 に 旧 住 す る 住 民 等 の 生 命 、 身 体 及 び 財 産 に 対 す る 具 体 的 な 危 険 性 等 を 除 去 す る と い う 利 益 が 大 き い こ と や 、 同 飛 行 場 の 辺 野 古 へ の 移 設 と い う 日 米 間 の 合 意 を 実 現 す る こ と に よ り 、 日 米 間 の 信 頼 関 係 は も と よ り 、 日 米 同 盟 を 堅 持 す る こ と に な り 、 外 交 ・ 国 防 上 の 利 益 が 非 常 に 大 き い こ と や 、 さ ら に 、 宜 野 湾 市 に よ る 効 率 的 な ま ち づ く り の 進 展 及 び 多 大 な 経 済 的 効 果 の 創 出 と い う 利 益 が 得 ら れ る こ と か ら 、本 件 埋 立 て の 必 要 性 及 び 公 共 性 は 高 い 」( 執 行 停 止 申 立 書 7 頁 、 審 査 請 求 書 7 頁 ) と 主 張 し て い る 。
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立 書 に お い て 、「 普 天 間 飛 行 場 周 辺 に お け る 航 空 機 に よ る 事 故 等 に 対 す る 危 険 性 及 び 騒 音 等 の 被 害 の 除 去 が 困 難 と な り 、 万 一 、 事 故 等 が 生 起 す れ ば 、 同 飛 行 場 周 辺 に 居 住 す る 住 民 等 の 生 命 、 身 体 及 び 財 産 に 甚 大 な 被 害 を 及 ぼ す こ と に な り 、 当 該 住 民 等 の 生 命 、 身 体 及 び 財 産 に 係 る 安 全 を 確 保 し 、 生 活 環 境 を 保 全 す る こ と が 出 来 な く な る 。」(58 頁 )、「 米 国 と の 信 頼 関 係 は も と よ り 、日 米 安 保 体 制 を 基 盤 と し て 、 日 米 両 国 が そ の 基 本 的 価 値 及 び 利 益 を 共 に す る 国 と し て 、 安 全 保 障 面 を は じ め 、 政 治 及 び 経 済 の 各 分 野 で 緊 密 に 協 調 ・ 協 力 し て い く 日 米 同 盟 に 悪 影 響 を 及 ぼ す 可 能 性 が あ り 、 外 交 ・ 防 衛 上 重 大 な 不 利 益 が 生 じ る こ と に な る 。」(60 頁 ) と し 、 ま さ に 政 府 見 解 た る 「 普 天 間 飛 行 場 の 危 険 性 」 と 「 米 国 と の 信 頼 関 係 へ の 悪 影 響 」 を 主 張 し て い る 。
こ こ で 主 張 さ れ て い る の は 、 ま さ に 一 般 公 益 そ の も の で あ っ て 、 行 政 不 服 審 査 制 度 の 保 護 の 対 象 で あ る 私 人 の 個 別 的 な 権 利 利 益 と は ま っ た く 異 質 な も の で あ り 、 行 政 不 服 審 査 制 度 の 対 象 と な る も の で は な い 。
沖 縄 防 衛 局 長 が 、「 固 有 の 資 格 」 に 基 づ い て 、 本 件 埋 立 承 認 出 願 を 行 っ た も の で あ る こ と は 、 執 行 停 止 申 立 書 ・ 審 査 請 求 書 に お け る 主 張 か ら も 明 ら か で あ る 。
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な い よ う な 立 場 に あ る 状 態 ) に お い て な さ れ て い る こ と は 明 ら か で あ る 。
イ 現 政 権 の 立 場 ( 平 成 22年 5 月 28 日 閣 議 決 定 )
上 記 の と お り 、 本 件 承 認 の 取 得 は ま さ に 、 国 が 国 と し て の 立 場 に お い て 行 う も の で あ り 、 そ の 目 的 に お い て お よ そ 私 人 と 同 列 の 関 係 で 行 う も の で は あ り 得 な い が 、 こ の こ と は 、 現 内 閣 の 閣 議 決 定 に 基 づ く 方 針 か ら も 根 拠 付 け る こ と が 出 来 る 。
い う ま で も な く 、 沖 縄 防 衛 局 は 防 衛 大 臣 の 指 揮 命 令 に 服 し 、 防 衛 大 臣 及 び 国 土 交 通 大 臣 は と も に 内 閣 の 構 成 員 で あ る 。 そ し て 、 内 閣 は 、 総 理 大 臣 を そ の 「 首 長 」 と し て 組 織 さ れ 、 総 理 大 臣 が 任 免 権 を 有 す る 各 国 務 大 臣 は そ の 統 括 化 に 形 成 さ れ る 行 政 組 織 を 、「 主 任 の 国 務 大 臣 」と し て 分 担 管 理 し( 内 閣 府 設 置 法 第 6 条 )、か つ 、内 閣 は「 閣 議 に か け て 決 定 し た 方 針 に 基 づ い て 」 一 体 的 に 行 動 す る ( 内 閣 法 第 6 条 )。平 成19 年5 月9日 の 衆 議 院 外 務 委 員 会 に お け る 法 制 局 長 官 答 弁 に お い て も 、 内 閣 の 一 体 性 の 保 持 は 憲 法 上 の 要 請 で あ る と さ れ て い る 。 つ ま り 、 国 家 行 政 組 織 の 中 に あ っ て 、 防 衛 大 臣 と 国 土 交 通 大 臣 は と も に 内 閣 の 構 成 員 と し て の 一 体 性 を 有 し 、 閣 議 決 定 に 基 づ く 方 向 性 を 同 じ く し て い る 。
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世 紀 の 新 た な 課 題 に ふ さ わ し い も の と す る こ と が で き る よ う に 、 幅 広 い 分 野 に お け る 安 全 保 障 協 力 を 推 進 し 、 深 化 さ せ て い か な け れ ば な ら な い 。 同 時 に 、 沖 縄 県 を 含 む 地 元 の 負 担 を 軽 減 し て い く こ と が 重 要 で あ る 。 こ の た め 、 日 米 両 国 政 府 は 、 普 天 間 飛 行 場 を 早 期 に 移 設 ・ 返 還 す る た め に 、 代 替 の 施 設 を キ ャ ン プ シ ュ ワ ブ 辺 野 古 崎 地 区 及 び こ れ に 隣 接 す る 水 域 に 設 置 す る こ と と し 、 必 要 な 作 業 を 進 め て い く と と も に 、 日 本 国 内 に お い て 同 盟 の 責 任 を よ り 衡 平 に 分 担 す る こ と が 重 要 で あ る と の 観 点 か ら 、 代 替 の 施 設 に 係 る 進 展 に 従 い 、 沖 縄 県 外 へ の 訓 練 移 転 、 環 境 面 で の 措 置 、 米 軍 と 自 衛 隊 と の 間 の 施 設 の 共 同 使 用 等 の 具 体 的 措 置 を 速 や か に 採 る べ き こ と 等 を 内 容 と す る 日 米 安 全 保 障 協 議 委 員 会 の 共 同 発 表 を 発 出 し た 。」と 決 定 さ れ 、現 政 権 は こ れ を 承 継 し て い る 。
平 成 26年 6 月 13日 に 公 布( 施 行 は 公 布 後 2 年 以 内 で あ り 、現 時 点 で は 施 行 さ れ て い な い 。)さ れ た 行 政 不 服 審 査 法 の 改 正 法 の 第 1 条 1 項 の 目 的 規 定 に は 、「 簡 易 迅 速 か つ 公 正 な 手 続 」と 明 記 さ れ 、手 続 の 公 正 性 が 前 提 で あ る こ と が 明 ら か に さ れ て い る が 、 こ れ は 創 設 的 な 規 定 で は な く 、 公 正 な 手 続 と い う 当 然 の 事 理 を 、 そ の 重 要 性 に 鑑 み 、 目 的 と し て 明 記 し た も の と 解 さ れ る 。
し か し 、 辺 野 古 移 設 を 「 唯 一 の 解 決 策 」 と し て 一 体 的 方 針 を 共 有 し て い る 内 閣 の 内 部 に お い て 、「 一 般 私 人 た る 沖 縄 防 衛 局 」と「 公 正・ 中 立 な 審 査 庁 た る 国 土 交 通 大 臣 」と 位 置 付 け て 、そ の 判 断 の 中 立 性・ 公 正 性 を 保 つ こ と は 余 り に も 無 理 が あ り 、 判 断 権 者 の 公 正 ・ 中 立 と い う 基 本 的 な 前 提 が 欠 落 し て い る こ と は 明 ら か で あ る 。
25 い こ と
日 米 両 政 府 は 平 成 26 年 6 月 20 日 の 日 米 合 同 委 員 会 で 、 米 軍 普 天 間 飛 行 場 移 設 先 と な る 名 護 市 辺 野 古 沖 で 、 普 天 間 飛 行 場 の 代 替 施 設 の 工 事 完 了 の 日 ま で 常 時 立 ち 入 り 禁 止 と な る 臨 時 制 限 区 域 を 設 定 す る と と も に 、 日 米 地 位 協 定 に 基 づ き 代 替 施 設 建 設 の た め 日 本 政 府 が 同 区 域 を 共 同 使 用 す る こ と(FAC6009キ ャ ン プ・シ ュ ワ ブ の 水 域 の 使 用 条 件 の 変 更 及 び 一 部 水 域 の 共 同 使 用 に つ い て )、普 天 間 飛 行 場 代 替 施 設 建 設 事 業 の 実 施 に 伴 い 、 キ ャ ン プ ・ シ ュ ワ ブ 内 の 作 業 ヤ ー ド を 整 備 す る た め に 必 要 な 工 事 の 実 施(FAC6009キ ャ ン プ・シ ュ ワ ブ の 施 設 の 整 備 に 係 る 事 業 の 実 施 に つ い て ) を 合 意 し た 。
そ し て 、 同 年 7 月 1 日 の 閣 議 に お い て 、「『 日 米 地 位 協 定 』 第 2 条 に 基 づ く , 米 軍 使 用 施 設 ・ 区 域 の 共 同 使 用 等 に つ い て , 御 決 定 を お 願 い し ま す 。 今 回 の 案 件 は , 沖 縄 防 衛 局 が 普 天 間 飛 行 場 代 替 施 設 建 設 の た め ,キ ャ ン プ・シ ャ ワ ブ の 一 部 水 域 を 共 同 使 用 す る も の 」( 加 藤 内 閣 官 房 副 長 官 ) と 説 明 し 、「『 日 本 国 と ア メ リ カ 合 衆 国 と の 間 の 相 互 協 力 及 び 安 全 保 障 条 約 第 六 条 に 基 づ く 地 位 に 関 す る 協 定 』 第 2 条 に 基 づ く 施 設 及 び 区 域 の 共 同 使 用 , 使 用 条 件 変 更 及 び 追 加 提 供 に つ い て 」 を 閣 議 決 定 し 、 同 月 2 日 に 防 衛 大 臣 が 告 示 ( 防 衛 省 告 示 第 123号 ) し た 。
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4 本 件 執 行 停 止 決 定 が 違 法 で あ る こ と
(1) 本 件 執 行 停 止 申 立 て は 却 下 さ れ る べ き で あ っ た こ と
行 政 不 服 審 査 制 度 は 、 私 人 の 個 別 的 な 権 利 利 益 の 救 済 を 目 的 と す る も の で あ り 、国 は 私 人 と 同 一 の 立 場 に 立 つ 場 合(「 固 有 の 資 格 」に 基 づ か な い 場 合 ) で な け れ ば 、 審 査 請 求 等 の 適 格 を 有 し な い も の で あ る 。 し か る に 、 公 有 水 面 埋 立 法 は 、 私 人 が 事 業 主 体 と な る 「 免 許 」 と 国 が 事 業 主 体 と な る 「 承 認 」 を 明 確 に 区 別 し て 規 律 し て い る の で あ る か ら 、 私 人 が 「 承 認 」 申 請 を す る こ と は 不 可 能 で あ り 、 本 件 公 有 水 面 埋 立 承 認 出 願 が 「 固 有 の 資 格 」 に 基 づ く こ と は 客 観 的 ・ 形 式 的 に も 明 ら か で あ る 。
ま た 、 実 質 的 に 検 討 し て も 、 本 件 埋 立 承 認 出 願 は 、 外 交 ・ 防 衛 上 と い う 一 般 公 益 の た め 、 条 約 上 の 義 務 の 履 行 の た め の 一 連 の 手 続 と し て な さ れ た も の で あ り 、 そ の 目 的 は 閣 議 決 定 を さ れ て い る も の で あ る 。 ま た 、 本 件 埋 立 な ど 基 地 建 設 事 業 を 実 施 す る た め に 日 米 合 同 委 員 会 合 意 、 閣 議 決 定 、 防 衛 大 臣 告 示 に よ っ て 臨 時 制 限 区 域 の 設 定 が な さ れ て い る が こ れ は 一 般 私 人 は 行 う こ と が で き ず 国 の み が な し う る も の で あ り 、 沖 縄 防 衛 局 長 に よ る 本 件 埋 立 承 認 出 願 が 「 固 有 の 資 格 」 に 基 づ く こ と は あ ま り に も 明 ら か と い う べ き で あ っ た 。
審 査 請 求 人 ・ 執 行 停 止 申 立 人 で あ る 沖 縄 防 衛 局 長 に は 審 査 請 求 等 の 適 格 は 認 め ら れ ず 、 本 件 執 行 停 止 申 立 て は 不 適 法 で あ る か ら 、 却 下 さ れ な け れ ば な ら な い も の で あ っ た 。
(2) 国 土 交 通 大 臣 に よ る 違 法 な 執 行 停 止 決 定
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る 航 空 機 に よ る 事 故 等 に 対 す る 危 険 性 及 び 騒 音 等 の 被 害 の 継 続 や 、 米 国 と の 信 頼 関 係 や 日 米 同 盟 に 悪 影 響 を 及 ぼ す 可 能 性 が あ る と い う 外 交 ・ 防 衛 上 の 不 利 益 が 生 じ 、 こ れ ら の 重 大 な 損 害 を 避 け る 緊 急 の 必 要 性 が あ る と す る 申 立 人 の 主 張 は 相 当 で あ る と 認 め ら れ る 」 と し て 、 本 件 執 行 停 止 決 定 を し た 。 こ の 本 件 執 行 停 止 決 定 に 示 さ れ た 理 由 は 、 国 の み が な し う る 内 容 、 一 般 公 益 そ の も の で あ る 。
沖 縄 防 衛 局 長 が 、私 人 と ま っ た く 同 一 の 立 場 で は な く 、「 固 有 の 資 格 」 に 基 づ い て 審 査 請 求 等 を し た も の で 審 査 請 求 等 の 適 格 を 欠 く こ と が 明 白 で あ る に も か か わ ら ず 、 違 法 に 本 件 執 行 停 止 決 定 が な さ れ た こ と は あ ま り に も 明 ら か で あ る 。
5 国 土 交 通 大 臣 は 、 内 閣 の 一 員 と し て 、 本 件 埋 立 て の 遂 行 と い う 政 策 目
的 で 行 っ た こ と
(1) 閣 議 了 解 を 受 け て の 執 行 停 止 決 定
28 れ た 。
閣 議 了 解 に 基 づ き 、 国 土 交 通 大 臣 は 、 本 件 承 認 は 違 法 で あ る と の 立 場 で 、 代 執 行 を 行 う も の と さ れ 、 そ の 翌 日 で あ る 平 成 27 年 10 月 28 日 、地 方 自 治 法 第 258条 の 8 第 1 項 に 基 づ き 、沖 縄 県 知 事 に 対 し 、本 件 埋 立 承 認 取 消 し を 取 り 消 す こ と を 勧 告 し た 。
(2) 国 土 交 通 大 臣 の 記 者 会 見 の 内 容
上 記 閣 議 後 の 記 者 会 見 に お い て 、 国 土 交 通 大 臣 は 本 件 執 行 停 止 決 定 と 代 執 行 へ の 着 手 を 同 時 に 公 表 し た も の で あ る が 、そ の 会 見 の 内 容 は 、 以 下 の と お り で あ る
記 ( 国 土 交 通 大 臣 )
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消 し に よ り 、 普 天 間 飛 行 場 が 抱 え る 危 険 性 の 継 続 、 米 国 と の 信 頼 関 係 に 悪 影 響 を 及 ぼ す こ と に よ る 外 交 、 防 衛 上 の 重 大 な 損 害 な ど 、 著 し く 公 益 を 害 す る こ と が 確 認 さ れ る と と も に 、 そ の 法 令 違 反 の 是 正 を 図 る た め 、 公 有 水 面 埋 立 法 を 所 管 す る 国 土 交 通 大 臣 に お い て 、 代 執 行 等 の 手 続 に 着 手 す る こ と が 、 政 府 の 一 致 し た 方 針 と し て 了 解 さ れ ま し た ( 略 )。
( 記 者 )
普 天 間 基 地 。 執 行 停 止 を す れ ば 工 事 は 再 開 で き る 。 あ え て 代 執 行 の 手 続 を し た 理 由 は 。
( 国 土 交 通 大 臣 )
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の た め 公 有 水 面 埋 立 法 を 所 管 す る 国 土 交 通 大 臣 と い た し ま し て 、 翁 長 知 事 の 行 っ た 取 消 処 分 に つ い て 、 法 令 違 反 の 是 正 を 図 る べ く 、 地 方 自 治 法 に 基 づ く 代 執 行 の 手 続 に 着 手 す る と し た も の で ご ざ い ま す 。
( 記 者 )
行 政 不 服 審 査 法 の 審 査 の 中 で 違 反 で あ る と 判 断 し た の で あ れ ば 、 そ の 法 律 に 基 づ い て 審 査 結 果 を 出 せ ば い い の で は な い か 。 ( 国 土 交 通 大 臣 )
審 査 請 求 の 裁 決 を 行 う べ き か と い う ご 質 問 で し ょ う か 。 ( 記 者 )
そ う で す 。 ( 国 土 交 通 大 臣 )
本 日 の 閣 議 で 国 土 交 通 大 臣 と し て 代 執 行 の 手 続 に 着 手 す る と い う こ と が 、 政 府 の 一 致 し た 方 針 と し て 口 頭 了 解 を さ れ た わ け で ご ざ い ま す 。 公 有 水 面 埋 立 法 を 所 管 す る 国 土 交 通 大 臣 と し て 、 ま ず は 代 執 行 の 手 続 を 優 先 し て 行 う と い う こ と に い た し た い と 考 え て お り ま す 。
( 中 略 ) ( 記 者 )
辺 野 古 。 今 後 、 こ の 行 政 不 服 審 査 法 と 地 方 自 治 法 の 2 本 の 方 律 で こ の 問 題 に つ い て 取 り 組 ん で い く と い う こ と な の か 。 行 政 不 服 審 査 法 で 裁 決 を 出 し た 後 も 代 執 行 は 進 め て い く と い う こ と か
31
ま ず は 本 日 閣 議 口 頭 了 解 で 、 公 有 水 面 埋 立 法 を 所 管 す る 国 土 交 通 大 臣 に 対 し て 、 地 方 自 治 法 に 基 づ く 代 執 行 の 手 続 を 行 う こ と が 確 認 さ れ ま し た の で 、 地 方 自 治 法 に 基 づ く 代 執 行 の 手 続 を ま ず は 優 先 し て 行 い た い と 思 い ま す 。 そ の 後 状 況 を 見 て 審 査 請 求 の ほ う の 手 続 に つ い て ど う す る か と い う こ と を 考 え て い く 。 同 時 並 行 と い う よ り は 、 代 執 行 の 手 続 を 優 先 し て ま ず 行 う と い う こ と で す 。
(3) 行 政 不 服 審 査 制 度 の 目 的 を 逸 脱 し た 執 行 停 止 決 定 権 限 の 行 使 が 明
ら か で あ る こ と
国 土 交 通 大 臣 は 、内 閣 の 構 成 員 と し て 、本 件 埋 立 承 認 取 消 し は 違 法 で あ る と の 閣 議 了 解 の 立 場 に 立 つ こ と に な り 、凡 そ 公 平・中 立 な 判 断 者 の 立 場 に 立 ち え な い こ と は 鮮 明 に な っ た に も か か わ ら ず 、閣 議 了 解 の 同 日 に 本 件 執 行 停 止 決 定 を 行 っ た も の で あ る 。
ま た 、 国 土 交 通 大 臣 が 、 代 執 行 に 着 手 を し た と い う こ と は 、 本 件 埋 立 承 認 取 消 し を 違 法 で あ る と 判 断 し た と い う こ と で あ る が 、 違 法 で あ る と の 認 識 に 達 し た の で あ れ ば 、 裁 決 は で き る と い う こ と で あ る 。 し た が っ て 、 裁 決 を す れ ば 足 り る こ と で あ り 、 執 行 停 止 を し な け れ ば な ら な い 「 緊 急 の 必 要 性 」 は 認 め ら れ な い こ と に な る 。 そ れ に も か か わ ら ず 、 国 土 交 通 大 臣 が 自 ら 代 執 行 を し て 、 本 件 埋 立 承 認 取 消 し を 取 り 消 そ う と す る こ と は 、 裁 決 を す る 意 思 は な い と い っ て い る こ と に 等 し い 。
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が 、 本 件 埋 立 承 認 取 消 し が 違 法 で あ る と の 認 識 に 立 ち な が ら 、 裁 決 を せ ず 、 閣 議 了 解 に 基 づ く 代 執 行 を 行 う と い う こ と は 、 内 閣 の 一 員 で あ る こ と を 優 先 し 、 閣 議 了 解 に 基 づ く 代 執 行 を 優 先 さ せ る と い う 目 的 で 、 行 政 不 服 審 査 手 続 を 、 棚 上 げ ・ 塩 漬 け す る も の に ほ か な ら な い 。
こ れ は 、 行 政 不 服 審 査 制 度 の 目 的 を 逸 脱 し た 執 行 停 止 決 定 権 限 の 悪 用 と い う ほ か は な い 。
第 4 本 件 執 行 停 止 決 定 が 抗 告 訴 訟 の 対 象 と な る こ と
1 本 件 執 行 停 止 決 定 の 処 分 性 が 認 め ら れ る こ と
(1) 本 件 は 実 体 法 的 効 果 を 生 じ て 現 に 埋 立 工 事 が な さ れ て い る こ と
本 件 執 行 停 止 決 定 は 、 形 式 的 に は 沖 縄 県 知 事 翁 長 雄 志 を 名 宛 人 と す る も の で あ る が 、 知 事 は あ く ま で 沖 縄 県 の 機 関 と し て 名 宛 人 に な っ て い る も の で あ り 、 実 質 的 な 名 宛 人 は 沖 縄 県 で あ る 。
そ し て 、 執 行 停 止 決 定 に よ り 、 単 な る 審 査 手 続 上 の 効 果 に と ど ま ら ず 、 埋 立 承 認 取 消 の 効 力 が 停 止 さ れ る こ と に よ っ て 実 際 に 埋 立 工 事 が 可 能 と な り 、 現 に 工 事 が な さ れ る と い う 実 体 法 的 効 果 を 生 じ て 、 第 5 で 述 べ る と お り 、 沖 縄 県 に 不 利 益 が 生 じ て い る も の で あ る 。
そ し て 、 こ の 侵 害 に 対 し て 抗 告 訴 訟 の 提 起 ( 及 び こ れ に 伴 う 執 行 停 止 申 立 ) 以 外 に 司 法 的 救 済 方 法 は な い の で あ る か ら 、 処 分 性 が 認 め ら れ る こ と は 明 ら か と い う べ き で あ る 。
(2) 昭 和54 年12 月19 日 岐 阜 地 判 と は 事 案 を 異 に す る こ と
ア 岐 阜 地 裁 判 決
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裁 決 に 対 す る 審 査 請 求 に 付 随 し て な さ れ た 執 行 停 止 申 立 て に 対 す る 停 止 し な い 旨 の 決 定 に つ い て 、 抗 告 訴 訟 の 対 象 と な ら な い と し て い る が 、 本 件 と は 、 事 案 を 異 に す る も の で あ り 、 同 判 決 は 、 本 件 が 抗 告 訴 訟 の 対 象 と な る こ と を 否 定 す る 論 拠 と は な ら な い 。
イ 岐 阜 地 裁 判 決 は 執 行 停 止 申 立 人 を 名 宛 人 と す る 不 停 止 決 定 に 係 る 判 断 で あ る こ と
岐 阜 地 裁 判 決 の 事 案 は 、 執 行 停 止 を 申 し 立 て た が 執 行 停 止 を 認 め な か っ た 決 定 で あ り 、 そ れ 自 体 と し て 実 体 法 的 効 果 は な い も の で あ る 。
こ れ に 対 し 、 本 件 は 、 沖 縄 県 は 執 行 停 止 を 申 立 て ら れ 、 執 行 停 止 決 定 の 名 宛 人 と な っ た と い う 真 逆 な 事 案 で あ る 。 す な わ ち 、 執 行 停 止 決 定 を 受 け て 実 体 法 的 効 果 を 生 じ 、 現 に 埋 立 工 事 が な さ れ て い る も の で あ る 。 平 成 27 年 10 月 27 日 に 本 件 執 行 停 止 決 定 が な さ れ 、 翌10 月28 日 に 決 定 が 送 達 さ れ て 執 行 停 止 の 効 力 が 生 じ る と 、同 日 (28 日 ) に 国 ( 沖 縄 防 衛 局 ) は 翌 29 日 か ら 公 有 水 面 の 埋 立 工 事 に 着 手 す る こ と を 内 容 と す る 「 工 事 着 手 届 出 書 」 提 出 し 、 同 月 29 日 に 工 事 に 着 手 し た も の で あ る 。 こ の よ う に 、 執 行 停 止 決 定 に よ っ て 埋 立 工 事 が 可 能 と な り 、 直 接 か つ 具 体 的 に 権 利 関 係 に 影 響 を 受 け て い る も の で あ り 、 埋 立 工 事 が な さ れ て 自 然 環 境 が 失 わ れ て し ま え ば そ の 影 響 は 不 可 逆 的 な も の で あ る か ら 、 執 行 停 止 決 定 は 終 局 的 な 影 響 を 与 え る も の で あ り 、 そ の 処 分 性 は 明 ら か で あ る 。
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な が ら 、「 審 査 請 求 人 は 、右 手 続 と は 別 に 係 争 処 分 に 対 す る 抗 告 訴 訟 の 手 続 内 で 執 行 停 止 を 申 立 て る こ と に よ り 、 司 法 機 関 の 判 断 に よ る 仮 の 救 済 を 受 け る こ と が で き る ( 行 政 事 件 訴 訟 法 二 五 条 ) 以 上 、 審 査 手 続 に 付 随 し て な さ れ る 執 行 停 止 に 関 す る 処 分 は 抗 告 訴 訟 の 対 象 と な ら な い と 解 し て も 、 審 査 請 求 人 の 権 利 保 護 に 欠 け る こ と と は な ら な い 」 と し て 、 抗 告 訴 訟 の 対 象 と な り え な い と し た も の で あ る 。 す な わ ち 、 行 政 事 件 訴 訟 法 8 条 に よ れ ば 、 審 査 請 求 に よ る か 抗 告 訴 訟 に よ る か に つ い て は 自 由 選 択 主 義 が 採 用 さ れ て お り 、 か つ 、 審 査 請 求 前 置 の 場 合 で あ っ て も 、 3 か 月 の 経 過 あ る い は 著 し い 損 害 を 避 け る た め 緊 急 の 必 要 が あ る 場 合 に は 処 分 に 対 す る 抗 告 訴 訟 の 提 起 と こ れ に 伴 う 執 行 停 止 が 許 さ れ る 以 上 、 敢 え て 審 査 請 求 に お け る 執 行 停 止 に 対 し て 権 利 救 済 を 図 る 必 要 が な い と い う に 過 ぎ な い 。
岐 阜 地 裁 の 事 案 で は 、 執 行 停 止 を 求 め る た め に 、 別 途 裁 判 所 に 取 消 訴 訟 を 提 起 し て 執 行 停 止 を 申 し 立 て る 方 途 が あ る が 、 本 件 で は 執 行 停 止 が な さ れ 、 こ れ に よ っ て 原 初 的 に 不 利 益 を 蒙 っ て い る の で 、 執 行 停 止 決 定 を 争 う よ り 他 に 司 法 に よ る 救 済 手 段 が な い 。 執 行 停 止 に 関 す る 処 分 の 瑕 疵 に よ っ て 、 自 己 の 法 的 利 益 を 侵 害 さ れ る 限 り 、 当 然 そ の 救 済 を 受 け 得 る と 解 さ な け れ ば 、 沖 縄 県 は 裁 決 に 対 す る 抗 告 訴 訟 に よ っ て は 救 済 さ れ 得 な い 不 利 益 を 被 り な が ら も 何 ら の 権 利 救 済 を 受 け 得 な い こ と に な る も の で あ り 、 岐 阜 地 裁 判 決 の 事 案 と は ま っ た く 相 違 す る も の で あ る 。
(3) 小 括
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2 沖 縄 県 の 出 訴 資 格 が 認 め ら れ る べ き こ と
(1) 地 方 公 共 団 体 の 出 訴 資 格 を 認 め る 見 解 が 多 数 説 で あ る こ と
抗 告 訴 訟 は 、 国 民 の 権 利 自 由 を 保 護 す る た め に 設 け ら れ た 訴 訟 制 度 で あ る こ と 等 を 理 由 に 、 財 産 権 の 侵 害 を 理 由 と す る 場 合 等 以 外 に つ い て は 、 地 方 公 共 団 体 の 抗 告 訴 訟 の 出 訴 資 格 に 消 極 的 な 見 解 も 存 す る 。
し か し 、 比 較 法 的 に み て も 、 地 方 公 共 団 体 の 出 訴 資 格 を 一 般 的 に 否 定 す る こ と に 根 拠 は な い 。 ド イ ツ 、 フ ラ ン ス 、 英 米 諸 国 に お い て も 、 地 方 公 共 団 体 の 出 訴 資 格 は 認 め ら れ て い る ( 塩 野 宏 「 地 方 公 共 団 体 の 出 訴 資 格 」 兼 子 仁 ・ 阿 部 泰 隆 編 『 自 治 体 の 出 訴 権 と 住 基 ネ ッ ト 』117頁 以 下 、人 見 剛「 分 権 改 革 と 自 治 体 法 理 」48 頁 、白 藤 博 行 「 国 と 地 方 公 共 団 体 と の 間 の 紛 争 処 理 の 仕 組 み 」公 法 研 究62 号200 頁 以 下 、 阿 部 泰 隆 「 区 と 都 の 間 の 訴 訟 ( 特 に 住 基 ネ ッ ト 訴 訟 ) は 法 律 上 の 争 訟 に 当 た ら な い か( 下 )」自 治 研 究 83巻 1 号 7 頁 以 下 等 。)。 わ が 国 の 学 説 に お い て も 、 地 方 公 共 団 体 の 抗 告 訴 訟 の 出 訴 資 格 を 認 め る こ と が 多 数 説 で あ る と さ れ る( 阿 部 泰 隆「 意 見 書 」( 東 京 地 方 裁 判 所 平 成 26 年 ( 行 ウ ) 第 152 号 大 間 原 子 力 発 電 所 建 設 差 止 等 請 求 事 件 に 提 出 ) 等 。)。
(2) 本 件 は 「 法 律 上 の 争 訟 」(裁 判 所 法 3 条 1 項)に 該 当 す る こ と
ア 最 判 昭 和 27年 7 月 8 日 ( 警 察 予 備 隊 違 憲 訴 訟 )
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的 事 件 を 離 れ て 抽 象 的 に 憲 法 適 合 性 を 判 断 す る 抽 象 的 規 範 統 制 訴 訟 は 「 法 律 上 の 争 訟 」 と は い え な い も の と し 、 事 件 性 が 「 法 律 上 の 争 訟 」 の 要 件 で あ る こ と を 示 し た ( 宇 賀 克 也 「 行 政 法 概 説 Ⅱ 行 政 救 済 法 ( 第 5 版 )」109頁 )。
イ 最 判 昭 和 56 年 4 月 7 日 ( 板 ま ん だ ら 事 件 )
最 高 裁 判 所 昭 和 56 年 4 月 7 日 判 決・民 集35巻 3 号 443頁 は 、「 裁 判 所 が そ の 固 有 の 権 限 に 基 づ い て 審 判 す る こ と の で き る 対 象 は 、 裁 判 所 法 三 条 に い う『 法 律 上 の 争 訟 』、す な わ ち 当 事 者 間 の 具 体 的 な 権 利 義 務 な い し 法 律 関 係 の 存 否 に 関 す る 紛 争 で あ っ て 、 か つ 、 そ れ が 法 令 の 適 用 に よ り 終 局 的 に 解 決 す る こ と が で き る も の に 限 ら れ る ( 最 高 裁 昭 和 三 九 年 ( 行 ツ ) 第 六 一 号 同 四 一 年 二 月 八 日 第 三 小 法 廷 判 決・民 集 二 〇 巻 二 号 一 九 六 頁 参 照 )。し た が つ て 、具 体 的 な 権 利 義 務 な い し 法 律 関 係 に 関 す る 紛 争 で あ っ て も 、 法 令 の 適 用 に よ り 解 決 す る の に 適 し な い も の は 裁 判 所 の 審 判 の 対 象 と な り え な い 、 と い う べ き で あ る 。」 と 判 示 し た 。
す な わ ち 、 事 件 性 と と も に 、 法 令 の 適 用 に よ り 解 決 可 能 で あ る こ と( 法 的 事 項 )で あ る こ と が 、「 法 律 上 の 争 訟 」の 要 件 で あ る こ と を 示 し た も の で あ る 。
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ウ 最 判 平 成 14 年 7 月 9 日 ( 宝 塚 市 パ チ ン コ 条 例 事 件 )
な お 、 判 例 に お い て は 、 最 高 裁 判 所 平 成 14 年 7 月 9 日 判 決 民 集 56 巻 6 号 1134 頁 ( 以 下 「 平 成 14 年 判 決 」 と い う 。) は 、「 国 又 は
地 方 公 共 団 体 が 提 起 し た 訴 訟 で あ っ て , 財 産 権 の 主 体 と し て 自 己 の 財 産 上 の 権 利 利 益 の 保 護 救 済 を 求 め る よ う な 場 合 に は , 法 律 上 の 争 訟 に 当 た る と い う べ き で あ る が , 国 又 は 地 方 公 共 団 体 が 専 ら 行 政 権 の 主 体 と し て 国 民 に 対 し て 行 政 上 の 義 務 の 履 行 を 求 め る 訴 訟 は , 法 規 の 適 用 の 適 正 な い し 一 般 公 益 の 保 護 を 目 的 と す る も の で あ っ て , 自 己 の 権 利 利 益 の 保 護 救 済 を 目 的 と す る も の と い う こ と は で き な い か ら , 法 律 上 の 争 訟 と し て 当 然 に 裁 判 所 の 審 判 の 対 象 と な る も の で は な く , 法 律 に 特 別 の 規 定 が あ る 場 合 に 限 り , 提 起 す る こ と が 許 さ れ る も の と 解 さ れ る 。」 と 判 示 し 、「 法 律 上 の 争 訟 」 の 範 囲 に 限 定 を 加 え て い る 。
平 成 14 年 判 決 は 、 学 説 か ら こ ぞ っ て 批 判 を 受 け て い る も の で あ り 、 そ も そ も 判 例 変 更 を 免 れ 得 な い も の と い う べ き で あ る が 、 本 件 は 、平 成14 年 判 決 と は 事 案 を 異 に す る も の で あ り 、平 成14 年 判 決 に よ る 限 定 の 射 程 は 、 本 件 に は 及 ば な い も の で あ る 。
平 成 14年 判 決 は 、「 財 産 権 の 主 体 と し て 自 己 の 財 産 上 の 権 利 利 益 の 保 護 救 済 を 求 め る よ う な 場 合 」 を 「 法 律 上 の 争 訟 」 性 が 認 め ら れ る 典 型 と し て あ げ て い る も の で あ り 、「 財 産 上 の 権 利 利 益 」の 保 護 救 済 を 求 め る 場 合 で な け れ ば 、 凡 そ 司 法 的 救 済 を 求 め る こ と は で き な い と し て い る も の で は な い 。
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は 、「 国 民 に 対 し て 行 政 上 の 義 務 の 履 行 を 求 め る 訴 訟 」に 限 定 さ れ な け れ ば な ら ず 、 不 当 に 拡 張 さ れ て は な ら な い も の で あ る 。 こ の 点 に つ き 、人 見 剛「 大 間 原 発 行 政 訴 訟 に 関 す る 意 見 書 」4 頁 以 下 は 、「 平 成14 年 判 決 が『 法 律 上 の 争 訟 』性 を 否 定 し た の は 、『 国 民 に 対 し て 行 政 上 の 義 務 の 履 行 を 求 め る 訴 訟 』 で あ る 。 す な わ ち 、 平 成 14 年 判 決 の 射 程 は 、 行 政 上 の 義 務 の 民 事 執 行 を 否 定 す る と い う 点 に 限 ら れ る と 理 解 で き る 。 こ の 判 決 を 根 本 的 に 批 判 す る 塩 野 宏 博 士 も 、 こ の 『 判 決 の 結 論 を 維 持 す る 論 拠 と な り う る の は 、 お そ ら く 、 民 事 執 行 法 は 自 力 救 済 の 禁 止 が 厳 格 に 妥 当 す る 私 人 相 互 の 権 利 実 現 の た め の も の で あ っ て 、 行 政 上 の 義 務 履 行 確 保 の 制 度 を 自 ら 用 意 で き る 行 政 主 体 に は 適 用 さ れ な い と い う 民 事 執 行 不 能 論 で は な い か と 考 え ら れ る … 。 そ し て 、 本 件 は 、 民 事 執 行 法 以 前 の 給 付 判 決 を 求 め る 本 案 訴 訟 で あ る の で 、 民 事 執 行 法 を 持 ち 出 す に 由 無 く 、 議 論 を 早 め に 決 着 さ せ る た め に 法 律 上 の 争 訟 論 に 頼 っ た と い う の で あ る 』 と 論 じ て い る 。実 際 、平 成14 年 判 決 の 調 査 官 解 説 が 、『 法 律 上 の 争 訟 』性 を 認 め る こ と の 具 体 的 問 題 と し て 想 定 し た 、 裁 判 所 が 『 行 政 権 の 執 行 力 獲 得 の 手 段 と し て 利 用 さ れ る こ と に な る 』 と い う 問 題 点 は 、 行 政 が 私 人 を 相 手 に 行 政 上 の 義 務 履 行 を 求 め て 提 起 す る 訴 訟 に こ そ 関 わ っ て い る … 平 成 14 年 判 決 の 『 法 律 上 の 争 訟 』 該 当 性 を 否 定 さ れ る 国 又 は 地 方 公 共 団 体 が 提 起 す る 訴 訟 は 、 通 常 考 え ら れ る も の よ り ず っ と 限 ら れ て お り 、『 専 ら 行 政 権 の 主 体 と し て 国 民 に 対 し て 行 政 上 の 義 務 を 求 め る 訴 訟 』 に 限 ら れ る も の で あ り 、 本 件 訴 訟 は 、 こ れ に 当 た る も の で は な い こ と は 明 ら か で あ る 」 と し て い る 。
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の 義 務 の 履 行 を 求 め る も の で は な い か ら 、 平 成 14 年 判 決 の 射 程 外 で あ る 。
刑 事 訴 訟 が 「 法 律 上 の 争 訟 」 に 該 当 す る こ と は 当 然 で あ り 、 私 法 上 の 権 利 ・ 利 益 の 侵 害 で な け れ ば 「 法 律 上 の 争 訟 」 に 該 当 し な い と の 理 解 は な り 立 ち え な い も の で あ る 。 前 述 の と お り 、 平 成 14 年 判 決 は 、「 財 産 権 の 主 体 と し て 自 己 の 財 産 上 の 権 利 利 益 の 保 護 救 済 を 求 め る よ う な 場 合 」 を 「 法 律 上 の 争 訟 」 性 が 認 め ら れ る 典 型 と し て あ げ た も の と 理 解 す べ き も の で あ る 。
本 件 は 、 独 立 し た 法 主 体 間 の 、 現 実 の 具 体 的 対 立 性 の あ る 紛 争 で あ っ て 、 地 域 環 境 利 益 等 の 侵 害 が 争 点 と な っ て お り 、 法 を 適 用 す る こ と に よ り 終 局 的 に 解 決 さ れ る 紛 争 で あ る か ら 、「 法 律 上 の 争 訟 」に 該 当 す る も の で あ る 。
(3) 本 件 は 上 命 下 服 の 関 係 に な い こ と( 最 判 昭 和49 年 5 月 30日 と 相 違
す る こ と )
最 高 裁 判 所 昭 和49年 5 月30 日 判 決 ・ 民 集28 巻 4 号594頁 ( 大 阪 府 国 民 健 康 保 険 審 査 決 定 取 消 請 求 事 件 ) は 、 団 体 委 任 事 務 に 関 す る 処 分 に 対 す る 審 査 庁 の 判 断 に 対 し て 処 分 庁 の 側 か ら 争 っ た 事 件 と し て 、 大 阪 市 の 国 民 健 康 保 険 の 被 保 険 者 証 の 不 交 付 処 分 に 対 し 、 大 阪 府 国 民 健 康 保 険 審 査 会 が 行 っ た 不 交 付 処 分 の 取 消 し と 被 保 険 者 と 認 定 す る 旨 の 裁 決 に 対 し て 大 阪 市 が 出 訴 し た と い う 事 案 で あ る 。
こ の 事 案 に お い て 、最 判 昭 和49 年 5 月 30日 は 、結 論 と し て 大 阪 市 の 出 訴 適 格 を 否 定 し て い る が 、 以 下 に 述 べ る と お り 、 本 件 は 同 最 判 の 射 程 外 で あ る 。