計測実験 高速度カメラ
必ず前もってこのテキストを熟読しておくこと。 !!!!!
0.1 始めに
時間を止めて様々な瞬間を凍結して見ることは、人類の夢であった。
1878 年、賭のため (と言われている) に、アメリカの写真家マイブリッジ、Eadweard Muybridge(1830-1904) は十二台のカメラを並べ連続的に走る馬を撮影した。その結果、ギャロップ(全力疾走) している馬の足は 全てがある瞬間に地面を離れることがあきらかになった。瞬間瞬間の馬の動きの映像は人々が肉眼でとらえ ていた姿や絵画に描かれたかたちとはあまりにも違っていて人々を大いに驚かせた。
走っている馬は、足を開いているときは必ずどれかの足を地面につけている。全ての足が地面を離れるのは、足を縮め ているとき。この図の元になったジェリコーの有名な絵では、ギャロップしているときに脚を開いた状態で全ての足が 宙に浮いている。(Flying Gallopと呼ばれている、有り得ない走りかたをする馬の有名な絵のへたくそな模写by I.N.)
MIT のミュージアムショップにはライフルの銃弾で撃ち抜かれた瞬間のリンゴの写真の絵はがきを売って いる。Edgerton 博士らの高速キセノンフラッシュによる写真であり、µ 秒以下の瞬間を捕らえている。 また有名なものとして”A Boy+Balloon+pin =” と言うタイトルの、ガキ(失礼致しました。) 男のお子さま が風船をピンで割って、半球型に割れかけた風船と少年の少し驚きかけた顔の絵はがきなどもある。 この様な「一瞬」を捕らえるカメラの他に、連続して像を記録する高速度カメラ(スローモーションカメラ) があり、この装置は
我々に時間を引き伸ばして
見せてくれる。この高速度カメラは、最近では一秒間 に20,000,000 コマ以上の撮影能力を持ったカメラさえ存在する。このように時間を凍結させたり、時間を引き伸ばして目で見えないような高速な動きや現象をゆっくりと見 たりすることは人類のある種の夢であった。それが最近では比較的安価で我々の手に入るようになってきて いる。(Casio のホームページ等で色々な画像を見ることが出来る。)
ここでは、最近身近になってきた安価な、したがって、高速度撮影時には撮影できる画素数があまり多くな いカシオのデジカメ・高速度カメラを使って
「
み ん な
人類の夢を実現してみましょう。 」
というわけである。 内容は規定種目「浅水波の速度の測定」「ミルククラウン、ジェット、ライデンフロストの滴」と自由課題、 それに最終レポートに変わるプレゼンテーションに分かれている。各グループ(2 名) には、カシオのデジ タル高速度カメラ、ノートパソコン、USB メモリ、三脚が貸与される。この実験は以下に示すように
○ 1 週目:「浅水波の速度の測定」およびその過程を通しての高速度カメラの使用法の学習および、読み出 しソフト等の学習。
○ 2 週目:「ミルククラウン、ジェット、ライデンフロストの滴」の撮影、とメカニズムの物理的解析。
○ 第3 週目:「自由課題」の撮影と解析
○ 第4 週目:「プレゼンテーション」 に分かれている。
「浅水波の速度の測定」は文字通り、浅い水深の水面の波の速度を測定する実験である。この「浅水波」は 分散(波長によって速度が異なること) を持たない唯一の水の表面波で、したがって波長および波形を気に せずに速度を測定できる。この浅水波の波速は、大きく水深に依存する。したがって、波速の深さ依存性に ついての測定を行う。
2 週目の「ミルククラウン」(ミルククラウンは皿などにいれたミルク (ミルクである必要はない。水でも出 来るはずである) にある程度の高さからミルクの滴を落下させたときに生じる美しい1王冠(クラウン) 状の 形をいう。下の写真参照) の撮影とミルククラウン
の形成のメカニズムの物理的解析の実験では、約
1
20 秒ぐらいの間に一生を終える(したがって普通のムー ビーではほとんどその過程を見ることのできない) ミルククラウンの測定を行う。このクラウンを作る元と なる液嫡の大きさ、着水時の速度、クラウンの広がりの速さや形状の測定を行いその形成のメカニズムと
「物理・数理」について考察を行う。
同様にジェット(水道の蛇口をひねり、水を流す)とライデンフロストの滴についても実験解析を行う。
第3 週目の「自由課題」の撮影と解析では、自分の興味を持った現象を高速度カメラを使って撮影し、その 背後にある「物理」を考え、最後の「プレゼンテーション」の素材にする。なお、テーマは色々考えられる が、物理的、経済的に不可能なものもあるので2 週目の終了までに担当者と相談してテーマを決めること。
第4 週目:「プレゼンテーション」パワーポイント等を使って、1 週目から 3 週目までの課題について 15 分 程度のプレゼンテーションを行う。
各項目については、以下に詳しく解説がある。また、自分の測定画像等を保存したい人は、各自USB メモ リ等を用意すること。
1美しいはかなり主観的な表現ですがwikipedia でも「美しい」と言っているので OK でしょう。
0.1.1 カメラの操作法
このカメラの操作法は、最近のデジタルカメラの操作法とほとんど差はないが (1) 一秒間に 60 コマの高画質の撮影ができる。
(2)HD(High Definition:所謂ハイビジョン) ムービーが撮れる。 (3) もちろん普通のムービーも撮れる。
(4) 毎秒 300 コマまでのムービーがとれる。
(5) 画素数は減る (激減する) が毎秒 1,200 コマの動画が撮れる。
という特徴を持つ。この実験では(1) および (5) の機能を利用して高速度撮影を行う。各グループにはマ ニュアルおよびPDF 形式のマニュアルがノート PC にいれてあるが、ここに簡単な抜粋を載せておく。
このやりかたにしたがって簡単に高速度撮影を行うことができる。なお、各フレームレート(1 秒間のコマ 数) における解像度 (ピクセルの数) は以下のページに見ることができる。
この解像度は非常に低く見えるが、次ページの写真の例のように、十分に現象の本質は見ることができる はずである。
西尾研の卒研生によるミルククラウンの1200fps による撮影結果。
0.1.2 PC への転送および解析ソフトの使いかた
このカメラで撮影したデーターは最初、SDHC カード(SD カードの拡張規格)または内蔵メモリーに保 存されるので、撮影後データーのPC への保存を忘れないように。カメラから PC へのデーターを移動する 際は、USB 接続、または SDHC カードをカメラから取り出して、PC の SD スロットに差し込んで転送す ることができる。
※ 本実験では多くの動画・画像ファイルを取り扱う。どのデーターが何の課題を撮影したものかが分かるよ うに、必ずデーターは「名前の変更」をしておくこと。
ムービー画像をノートPC で見るには Apple 社が無料で配布している「QuickTime Player」を使用する。 これによっておおよその時間的位置での水面等の様子を見ることができる。さらに、ムービーを一時停止 にした状態で左右の矢印キーを押すことによって「← キー」=「ヒトコマ戻し」、「→ キー」=「ヒトコマ 送り」ができ、何コマ送ったか、戻したかを数えることによって時間を正確に知ることができる。さらに 確実に時間を正確に知るためには.MOV ファイルをそれぞれ独立した JPG 等の画像ファイルにする必要が あるかもしれない。このためには、フリーソフトである「GIMP」を使用する。このソフトによって、動画 ファイルである.MOV ファイルは一枚一枚のビットマップファイルに変換され自由に解析できる。ビット マップファイルに変換できれば、簡単な2 点間の距離の測定のためのプログラムを使うことも出来る。こ のためには、ミルククラウン等の本番撮影と同じ距離等の条件で物差し等の撮影を行い、後で解析すると きに、ピクセル間の距離(ピクセル数での距離) と実際の距離が換算出来るような工夫が必要である。 その練習として、そしてミルククラウンの解析のための手がかりとして、以下の実験を行う。
0.2 課題 1: 表面波の速度の測定
水面の表面波は波の速さと水深の間に関係がある。波長に比べて水深h が十分深いとき (深水波) には速 度はv =
√gλ
2π =gT2π(ここで、λ は波の波長、g は重力加速度、π はおよそ”3”、T は波の周期) で与えられ、 速度と水深の間には関係がないが、この式から分かるように、大きな分散(速度が波長に依存すること) が ある。水深h が浅くなった場合の、逆の極限 (浅水波) では v =√gh が成立することが知られている。この 式から分かるように浅水波は分散はないが、波の速度は水深に強く依存している。この最後の式について は、本実験と関係があるので以下に簡単にその導出等について説明する。
0.2.1 水の表面波
液体の水の表面波には波長に比べて十分深い場合の波(深水波) と、その逆に波長に比べて深さが浅い波 (浅水波) に分類さる。ここでは波長に比べて深さが浅い場合の波について議論して行く。このような波を
「浅水波(せんすいは)shallow-water wave」といい、この波を記述する方程式を「浅水波方程式」という。 ここでは
(1) 水の粘性は無視できる。
(2) したがって水の運動の流速は水の深さ方向の位置によらず一定となる2。 (3) 水は縮まない流体である。
(4) 波の振幅は水深 H0に比べて十分に小さい。と仮定して議論を進める。
この仮定の下で、図のような一定の方向に移動する波を考える。このとき、図の様に進行方向に対して、垂 直な方向に波を分割して考える。
H
0浅水波
また、水底を平面とし水面の平均的な高さをH0、波の進行方向をx として波の移動速度 (ここでは流速と 置き換えてもいい。)u、および水面の高さ h は x と時刻 t だけの関数と仮定する (1 次元の波)。このとき u(x, t) と h(x, t) について、下の図のように、中央の水柱に働く力は、右の面を通して働く圧力の方が高さ h が高い分だけ各点において大きいから, 水の密度を ρ0とすると、高さz にある図のそれぞれの直方体の 水の塊に働く力は
2水の粘性を有限(ゼロではない) と考えると、水底では速度がゼロのため、ズリ応力が発生し、速度が深さ方向の位置に依存する ようになる。
y
✎ ✏
✂☞✑ ✒ ✓ ✔✞✂☞✕ ✂✡✖ ✆
✗ ✘☞✙
✏ ✚☞✛
✍✞✜
h(x) の大きい方から逆向きに gρ0∆z∆y × (h(x + ∆x) − z − (h(x) − z)) の力が質量 ρ0∆z∆y∆x の水の直 方体に働くから、その塊の速度の変化率(加速度) は
−gρ
0∆z∆y × (h(x + ∆x) − h(x)) ρ0∆z∆y∆x = −g
h(x + ∆x) − h(x)
∆x となって、底面からの高さに依存しないことがわかる。したがって運動方程式は
∂u
∂t = −g
∂h
∂x
となる。ここでg は重力加速度である。この式は浅いところでの波が、場所による高さの違いよる圧力差で 動かされている「重力波(一般相対性理論で導かれる「あれ」ではない)」であることにから導かれている。 この他に、「連続の方程式」から(簡単に言うと上の図の左右の網掛け (灰色の) 面の速さが違うと、面間の 距離が変化してその分水面の高さが変化することから)
∂h
∂t = −h(x, t)
∂u
∂x
が成立する。このままでは、方程式が非線形になるので、h(x, t) ≃ H0と近似して線形化をおこない、
∂h
∂t = −H0
∂u
∂x
を使う。この式は上に書いたように、左右の面の速度が違うとそこに水面の上昇(または下降が) おこる事 を表している。以上から、二つの偏微分方程式が導かれる。
∂u
∂t = −g
∂h
∂x
∂h
∂t = −H0
∂u
∂x この二つの式からまずh を消去するために上の式を t で偏微分し
∂2u
∂t2 = −g
∂2h
∂t∂x 下の式をx で偏微分して
∂2h
∂x∂t = −H0
∂2u
∂x2 よって
∂2u
∂t2 = gH0
∂2u
∂x2
となって1 次元の波動方程式を得ることができる。同様に h についても
∂2h
∂t2 = gH0
∂2h
∂x2 を得る。
この型の偏微分方程式は、上で述べたように1 次元の波動方程式と呼ばれており、この一次元の波動方程式 には、超∼∼(失礼しました) 有名なダランベールの解 (d‘Alembert’s solution) が存在する。この解は 2 回 微分可能な任意の1 変数関数 f (x) および g(x) を使って
u(x, t) = f (x − vt) + g(x + vt)
と表される。ここでv はこの波の速度であり、上の場合には v =√gH0である。このとき元の偏微分方程 式から定数項をのぞいて
u(x, t) = f (x −√gH0t) + g(x +√gH0t) h(x, t) =
√H0
g
{f (x −√gH0t) − g(x +√gH0t)}
を得ることが出来る。明らかなようにf (x −
√gH0t) が x 軸の方向に移動する波を、g(x −√gH0t) が x 軸 の負の方向に動く表面の様子を示している。ここで注意することはf (x −
√gH0t) は x における波の運動速 度であって、その位置の水分子(または水面に浮いた浮き輪等) の運動を直接表しているのではなく、これ を時間にたいして積分(u に x が含まれているため単純ではない) したものがそれに対応することになる。 ここでu と h の関係を見ていくと
u(x, t) = f (x −√gH0t) = a sin(x −√gH0t)
h(x, t) = a
√H0
g sin(x −√gH0t)
となる。この結果から、水面の水分子は楕円運動すること、H0が小さければ小さい程楕円は偏平になり、 H0→ 0 の極限では、直線的な往復運動になることがある程度理解できる。また波の速さは、H0が小さけ れば小さい程遅くなることがv =
√gH0から理解される。
ここでは、浅水波についてのこの解を提示するに留める。水面の波の一般解はここで述べるには複雑すぎ るので、「流体力学」の授業に任せることにする。ここで求めた解について重要なことは、深度が浅いほど 波の速さが小さいことであり、したがって、「遠浅の」海岸に向かって来る波が海岸に平行になること等を 説明できることを指摘するに留める。
0.2.2 浅水波の速度の測定:実験
以上の理論により、浅いところの波の速さはv =
√gH0で与えられるから、深さを変化させたときの水 面の波の速さを測定し、それを深さの平方根に対してプロットすれば、その比例定数が√gであることが示 されるはずである。
実験によってそれを確認するのが、この実験の課題である。
実験方法は、水層に水を張りヘラで小さく波を起こす。この波を撮影し解析する。必要な道具や具体的方法 については、当日に実験指導者が説明する。
0.2.3 動画の撮影
高速度カメラの動画撮影モードを使用して浅水波の撮影を行う。このとき、シャッタースピードは調整す ることができず、したがって、時間分解能はあるが、その時間分解能がシャッタースピードになるため、瞬 間の写真としては「ボケ」た写真となってしまう。また画素数も大幅な制限を受けるため、「見た目」の良 い写真は撮ることはできないが、現象の本質に迫ることはできる筈である。ここでは、スポイトから水また は無駄にしない(あとで飲む) つもりであればミルクを一滴滴下して、その雫が液体表面に作る波を撮影す る。このとき、液体の深さを変えて撮影し、うまく「浅水波」が撮影できる条件をさがし、波の伝搬速度を 測定する。
照明
カメラで撮影した経験のある人は知っている通り、シャッタースピードが速くなればなるほど、写真は暗 くなる。したがって蛍光灯の光では不十分であり、また蛍光灯の光のちらつきも撮影されてしまう可能性が ある。
高速度カメラだと蛍光灯のチラツキも明暗としてはっきり表れる。
したがってLED の強力なライトが用意されているのでそれを使用すること。またこのランプは AC 電源に 接続されているものと電池式のものがある。
このランプの強度は非常に強いので直接目に入れないように、また他人の目に入らないように設置するこ と。電池は充電池でないため、極力AC 電源に接続されたものを使うこと。電池式のランプは自由課題の 撮影時、AC 電源のランプが使えない場所で使用すること考えて準備してある。当然、電池は消耗品である ため、無駄な点灯はイザ本番というときに、電池切れの可能性もあるので十分に注意すること。
0.2.4 画像の解析方法の例
高速度カメラで撮影した浅水波の解析方法について説明する。
QuickTime Player で開いたデーターを適当な時刻で一時停止する。一時停止した瞬間を画像として取り込 むために、メニューバー「編集」から「コピー」をクリックする。
次にGIMP を起動する。起動したら、GIMP のメニューバー「編集」を選択。「編集」の「貼り付け」をク リックする。これでGIMP に画像のデーターが取り込める。
次にQuickTime Player でその時刻から数コマ後(数十コマ後)の画像を、同じようにコピーする。コピー した画像を先ほど起動してあったGIMP に張り付ける。
※ 映像を何コマ進めたのか覚えておくこと。
GIMP では「レイヤー」、階層・層と訳される機能がある。この機能を使うことで、複数枚の画像で層をな すことができる。この画像の層(レイヤー)を確認できるのが、「レイヤー、チャンネル、パス、アンドゥ、 ブラシ、パターン、グラデーション」ウィンドウである。また、レイヤーはこのウィンドウの一番上に表示 されている画像が層の一番上に、一番下に表示されている画像が層の一番下にと、地層の様に重なってい る。レイヤーの下の画像を確認するには、このウィンドウの「目玉のマーク」をクリックすることで可能 である。「目玉のマーク」をクリックすることに対応して、各々レイヤーは表示されたり、見えなくさせる ことが可能である。※ 「レイヤー、チャンネル、パス、アンドゥ、ブラシ、パターン、グラデーション」の ウィンドウが表示されていない場合はメニューバーの「ウィンドウ」から「最近閉じたドック」から選択す れば、同じウィンドウが表示されるようになる。
現在、2枚のレイヤーが存在している。この一番上のレイヤーを非表示にする。(一番上のレイヤーに対応 した目玉マークをクリックして、目玉のマークを消す)
すると、下に存在していた画像が表示される。波の速度を測定する場合、必要なのは距離と時間であり、そ の距離を求める。一番下のレイヤー(波のスタート位置を決める画像)の波の山・谷などで目印になる部分 を決める。(これが距離を測定するためのスタート地点)ツールボックスのウィンドウから鉛筆を選択し、 決めた目印をクリックする。
※ このとき鉛筆ツールでスタート地点に目印をつけたことになる。それを確認するためには上のレイヤー を表示させる必要がある。(実際に鉛筆ツールで印をつけたのは上のレイヤーであるから)
次に、その山・谷が移動した点が分かると思うので、それを一番上のレイヤー(最初にコピーした画像から 何コマか後の画像)を表示させ、そこまでのピクセル数を測る。ピクセル数は「ツールボックス」から「定 規」をクリックして目印からの移動した点までを「Ctrl キー」を押しながらドラッグ&ドロップする。こ のとき矩形ができ、ウィンドウの一番下(ステータスバー)に 「矩形;○ ○○ × 0」のように表示される。 この「○○ ○」(右側の数)が横方向のピクセル数である。これによってピクセル数が分かる。このピクセ ル数を実際の縮尺との関係を確認するためには同条件で定規について、1cm あたりのピクセル数を調べれ ば比を使って実際の距離が分かる。このようにして距離は分かる。
実際に波が進むのに要した時間は2枚の画像をコピーするときに進めた動画のコマ数から分かる。もしも 1200fps の条件で撮影をしたのなら、1コマで 1/1200 秒 進むはずであるのでここから計算できるだろう。
0.3 課題 2: ミルククラン、ジェ ット、ライデンフロストの滴
0.3.1 ミルククラウン
ミルククラウンとはミルクを張った皿にある程度の高さからミルクの滴を落とすとできる王冠(クラウ ン)状の形をいう。
各グループ、ミルククラウンの撮影を行いもっとも美しいだと思うミルククラウンをみつけよ。最適な条件 が見付かったら、液の水深(?)、ミルククラウンの形状、液滴の大きさ、インパクトの瞬間の速度、運動エ ネルギー等々の物理量を求め、ミルククラウンがどのような原理でできあがるかを考察する。
また、撮影の角度等も変化させて、出来るだけ情報を取り出すことや、水にミルクを滴下するなどして、着 水(?) 後の液体の情報等も取り出すことは有用かも知れない。
創意工夫を凝らした実験をすること。
※ レポートではクラウン状になる原理を考えよ。
0.3.2 ジェ ット
水道の蛇口をひねると水のジェット(噴流)が観察できる。この水量を調整すると、円柱状に流れ出てい た水は小さな滴に分裂する。次の写真の様に見える。
これを水道で撮影せよ。
※ レポートにはこの現象の原理を考え、記述すること。また、水道から水を勢い良く出したとき(比較的太 い円柱状に水を流したとき)、このような現象が観測されないのは何故か考えよ。
0.3.3 ライデンフロストの滴
熱せられたプレートに水滴を垂らすとプレートに落ちた水滴はほぼ球状となる。その水の玉はプレートの 上を滑るように移動しながら非常にゆっくりと蒸発していく。また滴が大きなものだと、プレートの上で水 の玉の振動が見ることもある。(水の玉の形状が円や楕円だけでなく、三角形や四角形、五角形などのさま ざまな形状に変化する) これをライデンフロストの滴という。(Leidenfrost 効果)みなさんもこの現象を見 たことがあるかもしれない。(フライパンを高い温度まで熱し、そこに水滴を落とすと見ることができる) この現象は液体窒素の滴を常温の金属板の上に落としても観察できる。そこで、本課題では液体窒素を用 いてライデンフロスト効果を観察・解析する。
次の写真は水がプレートの上で振動している様子である。
0.3.4 後始末
ミルクが腐ると非常に不快な匂いを発する。したがって後始末は大変重要である。後始末をしない人(グ ループ) は、採点において大きな原点ポイントになるので、十分注意を行うこと。また、散乱したミルクを 放置しておくと臭くなるので、ウェットティッシュできれいに机、シャーレ等を拭くように。
0.4 自由課題の撮影と解析
自由課題と言っても自ずから制限はあることを理解してください。
爆発、破壊等危険が伴うもの、水銀の粒の融合など面白いテーマかも知れませんが、水銀は人体に有毒(水 銀のガスの飽和した空気中に長くいると人は死亡します。) ですので、この実験室でやることは出来ません。 逆さまに落とした猫の見事な着地などもスローモーション撮影の格好のターゲットですが、
猫 さ ま
あちらの都合 もありますし、難しいと思います。また水風船の破裂等、あたりに色々まき散らす可能性のあるもの、ダイ アモンドを鉄敷とハンマーで割るなどあまり予算のかかりすぎるもの、高圧の放電など大きな装置が必要 なもの、境川沿いのカワセミのダイブなど、見られる(撮影できる) 確率が低いものなど、色々あるので、2 回目の実験の終了までに計画を指導者まで提出し、良く議論して実験計画を立てるようにすること。 また、N 棟の窓からスイカ等を落として破裂する瞬間のスローモーションやバービーの家をロードローラー で潰す瞬間(両方共 “Late Night with David Letterman” のパクリ) 等は禁止です。
液滴の融合が見たかったら水で、風船の破裂が見たかったらシャボン玉で、高圧の放電を見たかったら100 円ライター、爆発はクリスマスのクラッカーとか色々工夫すること。もちろん、前の課題であるミルククラ ウンを深く探求することを自由課題とすることも出来る。
0.5 プレゼンテーション
パワーポイント(キーノート (Mac)、インプレス (Linux) 等) によるプレゼンテーションを行い、「自由課 題」(失敗した場合はその原因等、敗因等で可) について発表する。各グループ 15 分程度+質疑応答 5 分で 行う。貸し出したノートPC にはマイクロソフトのパワーポイントがインストールされているので、それを 使ってよいが、各自のもの(Mac, LinuxBox 等自由にしてよい。) を使って構わない。(液晶プロジェクター を使用する。したがって、プロジェクターとの相性は、早めにチェックしておくこと!)
実験全体についての評価は、規定課題についてのレポート(プレゼンテーション発表が終わった次の週に提 出)と、プレゼンテーションの評価の合計で行うが、規定によって出席は重視する。
0.6 提出物について
レポート提出日に提出するものは貸与していたUSB メモリとレポートとする。USB メモリには必ず以下 のデーターを保存・整理し提出すること。
○ 高速度カメラで撮影した動画 (解析に使用しなかったデーターは入れておかないように)
○ プレゼンテーションに使用した発表資料
これらのデーターを保存する際、必ずデーターには一目でどの課題をどういった条件で撮影したものか分 かるように名前を付ける。(またはテキストで各データーと撮影内容などの説明を入れた対応表を作ってい ても良い)
整理の仕方として、USB メモリ階層の真下に「各グループ実験者の氏名」のフォルダを作り、その下の階 層に「各課題名」のフォルダを作る。そして、各フォルダにデーターを保存しておくように。
レポートは、実験指導者らに指摘された点を必ず直し提出すること。