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組織科学 Vol.50No.1 :70-85 (2016)

70

【査読付き論文】

  自 由 論 題

製品アーキテクチャーが内包する原理的な可能

性や制約が競争戦略に及ぼす影響

――薄型テレビ市場における LCD・PDP の競争事例をもとに――

  佐藤  治(東京工業大学大学院 イノベーションマネジ

       メント研究科 博士後期課程)

  藤村 修三(東京工業大学大学院 イノベーションマネジ

       メント研究科 教授)

  キーワード

製品アーキテクチャー,原理,競争戦略,LCD,PDP

Ⅰ.はじめに

製品アーキテクチャーとは,設計段階におい て,製品の機能を部品に如何に割り当てるかとい う手法,即ち,設計概念である.製品アーキテク チャーの概念は,Ulrich(1995)により機能と部 品の対応関係,及び部品間のインターフェース仕 様として精緻化され,製品構造が企業活動に与え る影響が様々な観点から議論されている.製品ア ーキテクチャーは,機能と部品間の対応関係の疎 密さの程度に応じて,モジュラー型とインテグラ ル型に分類される.モジュラー型のアーキテクチ ャーを有する製品は,機能と部品の対応関係が 1

対 1 に近く,部品間の相互依存性1)が小さい.一

方,インテグラル型のアーキテクチャーを有する 製品は,機能と部品間が複雑な対応関係となって おり,かつ(或いは)部品間の相互依存性が大き い(Ulrich, 1995;Baldwin & Clark, 2000;藤本,

2001).

一般的に,製品は階層構造を有する複数の機能 (部品)で構成され,各機能(部品)はそれぞれ 固有の動作原理を有している.製品の機能構成 (階層構造)に対応した形で動作原理が存在し, 各動作原理が製品全体を制御するシステムルール に従って作動することによって,製品の最上位の 機能が実現される.即ち,製品とは,機能,性 能,品質,コストなどを考慮しつつ,動作原理を 適切に組み合わせたものと捉えることができるの である.ここで,動作原理とは,所望する機能を 実現するために自然法則を効率的に動作させる仕 組みのことであり,単独,或いは複数の自然法則 とシステムルールから構成され,それらが一体と なって所望の機能を実現する.また,システムル ールとは,エネルギーや物質などの入力をトリガ ーとして,自然法則が連続的,或いは並列的に作 動していく順序とそれらが作動するための物理条 件を規定するものである.なお,動作原理の階層 構造や製品全体を制御するシステムルールもま た,自然法則に則り設計されることは言うまでも

本研究では,薄型テレビ市場におけるLCDPDPの競争

(2)

ないことである.このように考えるならば,製品 アーキテクチャーとは人工的なものであるが,製 品アーキテクチャーの様々な階層(Baldwin &

Clark, 2000; 藤 本,2001; 青 島・ 武 石,2001) には,動作原理に起因する可能性や制約(原理的 な可能性や制約)が内包されていると考えられ る.

開発とは,市場ニーズを満たし,他社との競争 優位を確立する活動である.そのため,開発者 は,原理的な可能性を最大限有利に活用しようと する一方,原理的な制約を様々な手段を駆使し, 克服しようとする.また,企業も原理的な可能性 を活かすよう,製品開発を推進し,それを製品の プロモーションにも利用しようとする.従って, 開発の初期段階において,製品アーキテクチャー という形で製品に埋め込まれる原理的な可能性や 制約は,その後の開発戦略に影響を与え,結果的 に製品の市場競争にまで影響を及ぼしている可能 性が高い.しかしながら,原理的な可能性や制約 は,製品アーキテクチャーの様々な階層に潜在的 に存在し,複雑な関係性を有しているため,それ らがその後の競争にどのように影響するかを事前 に把握することは極めて難しい.故に,製品アー キテクチャーが内包する原理的な可能性や制約 が,製品の開発戦略,市場競争に及ぼす影響,及 びそのメカニズムを解明することは,製品の競争 戦略を描く上で,重要な意義があると考えられ る.

これまで,機能と部品間,或いは部品間の対応 関係をベースに,製品アーキテクチャーが開発コ ストや開発期間,或いは製品イノベーションなど に与える影響について多くの検討が行われてきて いる(Clark & Fujimoto, 1991;Nobeoka & Cu-sumano, 1995;Sanchez & Mahoney, 1996; Reinertsen, 1997;Robertson & Ulrich, 1998; Hargadon & Eisenhardt, 2000;Prencipe, Davies, & Hobday, 2003).一方で,製品アーキテクチャ ーが製品の競争戦略に与える影響を原理的な観点 から論じた研究はほとんど見られない.このよう な背景から,本研究では,薄型テレビを構成する 主要なサブシステムの 1 つである LCD と PDP

の競争を事例として取り上げ,製品アーキテクチ ャーが内包する原理的な可能性や制約が,製品の 開発戦略,市場競争に与える影響について明らか にすると共に,そのメカニズムについて議論す る.

薄型テレビは 21 世紀初頭から本格的に普及し 始め,CRT(cathode ray tube)の代替に留まら ず,40 インチ以上の大型テレビ市場を新たに開 拓し,わずか 10 年足らずで 4 兆円という巨大市 場を創造した.薄型テレビの普及開始当初, PDP(plasma display panel)メーカーは,LCD (liquid crystal display)には性能面の課題がある ことに加え,PDP は半導体プロセスを使用しな いため,性能,コストの両面で,将来にわたって PDP が 優 位 で あ る と 主 張 し て い た2). ま た,

PDP メーカーは,構造上,生産プロセス上の利 点から,PDP は大型化に有利と認識し,40 イン チ前後を境に LCD との棲み分けが可能と考えて

いた3).しかしながら,現実には,2000 年代半ば

以降,LCD は 30 インチ台だけでなく,40 イン チ台,50 インチ以上の市場においても急速にシ ェアを拡大し,2010 年には,LCD が全てのサイ ズ領域で PDP を圧倒する状況となっている(図 1).加えて,PDP 陣営で孤軍奮闘していたパナ ソニックが 2013 年 12 月を以て PDP の生産を終 了した(パナソニック,2013)ことを考慮する と,LCD が薄型テレビ市場における競争に勝利 したと判断できるであろう.

(3)

る製品アーキテクチャーを有するもの同士が同時 期に同一市場で覇権を争い,優劣が明確に分かれ た,極めて稀有な事例と言えるのである.加え て,LCD と PDP は同時期に同一市場で競い合っ た関係にあるため,両者のターゲットスペック, ターゲットコストはほぼ同じであり,外部環境の 影響も同程度と考えられる.故に,LCD と PDP の競争を種々の観点から検証する際のノイズを排 除しやすい.このように,薄型テレビ市場におけ る LCD と PDP の競争は,我々の洞察を検証す るのに非常に適した事例と考えられるのである. 本研究の研究方法と本稿の構成は以下の通りで ある.第Ⅱ節では,薄型テレビを構成する重要部 品である LCD と PDP について,それらの機能 構成,及び機能要素と部品間の関係について,原 理的な観点から詳細な分析を行う.その上で, Ulrich の定義(Ulrich, 1995)に従って,製品ア ーキテクチャーを明確化すると共に,それぞれの 製品アーキテクチャーが内包する原理的な可能性

や制約を明らかにする.第Ⅲ節では,LCD と PDP の製品アーキテクチャーが内包する原理的 な可能性や制約が,それぞれの開発戦略や薄型テ レビ市場における LCD と PDP の競争に及ぼし た影響について検討する.まず,液晶テレビ,プ ラズマテレビの性能,価格の推移から,薄型テレ ビ市場における LCD と PDP の性能,価格面の 競争に影響を及ぼした主要因を特定する.次に, 原理的な可能性や制約が,上記の主要因に対する LCD メーカー,PDP メーカーの対応に及ぼした 影響について検証する.競争優位を決する主要因 への対応を巡っては,原理的な可能性や制約の影 響が顕著に表れると考えられる.故に,このよう な検証を行うことによって,製品アーキテクチャ ーに潜む原理的な可能性や制約が開発戦略,薄型 テレビの市場競争に及ぼした影響を明らかにする ことができると考えられる.さらに,第Ⅳ節で は,LCD と PDP のコア設計コンセプト(Clark,

1985;Henderson & Clark, 1990)を構成する機

1 サイズ別のディスプレイ出荷金額推移

出所:液晶関連市場の現状と将来展望(2001-2006a, 2007-2011)を基に筆者が作成 25000

20000

15000

10000

5000

0

25000

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25000

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10000

5000

0 (a)30インチ台

PDP LCD CRT

(b)40インチ台 (c)50インチ以上

2000年度2001年度2002年度2003年度2004年2005年2006年2007年2008年2009年2010年

2000年度2001年度2002年度2003年度2004年2005年2006年2007年2008年2009年2010年 2000年度2001年度2002年度2003年度2004年2005年2006年2007年2008年2009年2010年 PDP

LCD

PDP LCD

額(

額(

額(

(4)

能間,及びコア設計コンセプトを構成する機能と 補完機能間の原理的な関係に焦点を当て,製品ア ーキテクチャーが内包する原理的な可能性や制約 が開発戦略に影響を及ぼすメカニズムについて議 論する.コア設計コンセプトは,自動車における ガソリンエンジンの様に製品の基本的機能を決め る技術である.実際の製品設計においては,最初 にコア設計コンセプトの決定が為され,次に,補 完機能の選択,機能間の階層構造や繋ぎ方が決定 され,最後に,機能構成上,最下層に位置する機 能の写像物(部品)が選択されるという流れで設 計が具現化されていく.一般的に,コア設計コン セプトは単独,或いは複数の機能から構成される ため,その中には,単独,或いは複数の動作原理 が存在する.従って,コア設計コンセプトを構成 する機能間,或いはコア設計コンセプトを構成す る機能と補完機能間の関係を原理的な観点から検 討することによって,原理的な可能性や制約が開 発戦略に影響を及ぼすメカニズムに迫ることがで きると考えられる.第Ⅴ節は本稿の結言である. 本研究の調査は,液晶関連市場の現状と将来展 望(富士キメラ総研),フラットパネル・ディス プレイ(日経 BP),ディスプレイの専門書,及

び関連論文を用いて行われた4).なお,本稿で

は,製品の機能を部品に割り当てる設計概念,或 いはその設計概念を通して創造されたシステム構 成全体を指す場合には,単に製品アーキテクチャ ーと表現し,モジュラー型,インテグラル型とい った製品アーキテテクチャーのタイプを強調する 場合には,製品アーキテクチャーの型という表現 を,また,製品アーキテクチャーが発現する性質 を示す場合には,モジュラー性,インテグラル性 という表現を用いることとする.

Ⅱ.LCD と PDP の製品アーキテクチャー

1.ディスプレイの機能構成

電子ディスプレイ(以降,単にディスプレイと 呼ぶ)とは,「電気信号の形で作られたり送られ て来たりした情報の内容を色と明るさの識別によ り眼に見える形で表示するもの」と定義される

(大石・畑田・田村,2001).電気信号情報を視覚 情報に変換するために,ディスプレイには,電気 信号を光情報に変換する「電気光学変換」と位置 情報に変換する「アドレッシング」の機能が必要 である.「電気光学変換」は,「色表示」と「調 光」により,「アドレッシング」は,「走査」と 「同期」により実現される(大石ほか,2001).デ ィスプレイには多様な種類が存在するが,多くの ディスプレイで上記の考えが踏襲されている. 「アドレッシング」は,各種ディスプレイで共通 の概念として用いられていることから,各種ディ スプレイのコア設計コンセプトとは,「電気光学 変換」を実現する機能群の中で中核的な役割を果 たし,かつ各種ディスプレイを特徴づける機能 (群)と位置付けることができる.

2.LCD と PDP の製品アーキテクチャー

紙幅の関係上,LCD と PDP の構造,表示原理 に関する詳細な説明は,専門書や先行研究(Sato & Fujimura, 2012)に譲ることとし,ここでは簡

単な説明のみに留める5)

LCD は,液晶の光学的性質が電界を加えるこ とにより変化する現象を利用したディスプレイ で,自ら光を発しない受光型のディスプレイであ る.TFT(thin film transistor)などの電極が駆 動信号伝達機能を,液晶セルが光透過量調整機能 を,カラーフィルター(CF)が着色機能を,バ ックライト(BL)が光源の機能を担っている. 電極を介して液晶セルに電圧が印加されると,印 加電圧に応じて液晶セルの光透過量が調整され

る.このような調整をサブピクセル6)単位で行う

ことによって,様々な色や明るさが表現される. この時,BL は常時点灯したままで,CF も常に 一定の波長領域の光を透過しているだけで,「電 気光学変換」機能の実現に直接的には関与してい ない.故に,LCD の「電気光学変換」の中核機 能は,液晶セルによる光透過量調整機能と解釈さ れる.また,この機能は LCD 特有の機能である ことから,LCD のコア設計コンセプトは,液晶

セルによる光透過量調整機能と判断される7)

(5)

ちつつ,最上位の機能を協同的に実現しているの が特徴である(苗村,2004).

一方,PDP は,ガス放電の際の発光を利用し た自発光型のディスプレイである.PDP では, 電極を介して放電ガスに電圧が印加された後, 「プラズマ放電」,「(放電ガスからの)紫外線放 射」,「蛍光体の(紫外線吸収に伴う)可視光線発 光」の 3 つの機能が連続的に作動することによ り,「 電 気 光 学 変 換 」 機 能 が 実 現 さ れ て い る

(APDC, 2006).このような動作をセル8)毎に短

時間で繰り返し,一定時間内の発光回数を変える ことによって,様々な色や明るさが表現されてい る.上記の 3 つの機能は,1 つが欠けても,或い は順番が入れ替わっても,所望の機能を実現する ことができない一連の動作であり,これら 3 つの 機能が一体となって,PDP の「電気光学変換」 の中核機能を担っている.また,これらは PDP を特徴づける機能でもあることから,これらが

PDP のコア設計コンセプトと判断される9).この

ように,PDP では,コア設計コンセプトだけで カラー表示素子としての機能を果たす素養を持つ (明るさと色の調整が可能)一方,コア設計コン セプト自体に複雑性が内包されているのである. 図 2,図 3 に LCD,PDP の機能構成,及び最 下層の機能要素と対応する部品の関係を示す.図 中の破線より上側が機能領域で,下側が実体領域 である.FE は機能要素を,PC は部品を意味し, 機能要素間を結ぶ実線は上位の機能要素から下位 の機能要素への分解を,機能要素から部品に向か う矢印は機能要素から部品への写像を現している (Suh, 2001).図 2,図 3 より,LCD と PDP の機 能構成は,第 3 階層まで全く同じであり,第 4 階 層になって初めて違いが現れることが確認でき る.図 2,図 3 は,LCD と PDP の機能構成に対 して,各機能要素を実現する具体的な部品が初め て現れるレベルまで分解したものであり,LCD と PDP の製品アーキテクチャーを議論するのに 十分な分解レベルと考えられる.故に,本研究で は,第 3 階層と第 4 階層の機能と部品の関係か ら,Ulrich の定義(Ulrich, 1995)に従い,LCD と PDP の製品アーキテクチャーの型を判断する.

図 2 より,LCD では,それ以上分解する必要 のない最下層の機能要素は 7 個であり,それらと 部品間の関係性を示す線は 7 本である.LCD で は映像信号変換,同期,走査機能については,い ずれも駆動回路が担っているが,その他の主要機 能については,機能要素と部品間の関係が 1 対 1 に明確に分離されている.また,映像信号の駆動 信号への変換,サブピクセルへの駆動信号伝達 (電圧印加),それに伴う光透過量調整機能の実現 は一連の動作であり,駆動回路,電極,液晶セル 間には一定の相互依存性が存在する.これに対し て,BL や CF はこれら一連の動作とは無関係に 機能を果たしており,BL,CF と他の部品間の相 互依存性は,駆動回路,電極,液晶セル間のそれ よりも弱いと判断できる.以上のことから, LCD はモジュラー型に近い製品アーキテクチャ

ーを有していると判断できる10)

一方,図 3 より,PDP では,それ以上分解す る必要のない最下層の機能要素は 8 個であり,そ れらと部品間の関係性を示す線は 12 本である. PDP では,LCD と比較して,機能要素の数,機 能要素と部品間の関係性を示す線の数が共に多い ことに加え,機能要素と部品間の対応関係が非常 に複雑である.加えて,映像信号の駆動信号への 変換,セルへの駆動信号伝達(電圧印加),それ に伴う放電ガスのプラズマ放電,紫外線放射,更 には,蛍光体による紫外線吸収,それに伴う可視 光発光は一連の動作であり,PDP の各部品は非 常に強い相互依存関係によって結びつけられてい る.以上のことから,PDP はインテグラル型に 近い製品アーキテクチャーを有していると判断で きる.

(6)

イレベルな特性を実現できる可能性がある一方 で,開発速度やコストダウンの面では,それが制 約として作用する可能性がある.次節では,この ような LCD と PDP の製品アーキテクチャーが 内包する原理的な可能性や制約が,それぞれの開 発戦略や薄型テレビ市場における LCD と PDP の競争に与えた影響について検討する.

Ⅲ.原理的な可能性や制約が LCD と PDP の 競争に及ぼした影響

1.薄型テレビ市場における LCD と PDP の性

能/価格面での競争

表 1 は,液晶テレビとプラズマテレビを 30 イ ンチ台,40 インチ台,50 インチ以上の 3 つのサ イズ領域に区分し,2001 年から 2006 年までの各 年毎のそれぞれのサイズ領域における最大サイズ

2 LCDの機能構成,及び最下層の機能要素と部品の関係

FE 画像表示

FE1 電気光学変換

FE12 色表示(着色) FE11

電気信号伝達

PC1

電極 PC2CF 液晶セルPC3 バックライトPC4 FE131

光透過量調整 FE13

調光

FE21

同期 FE22走査 FE2 アドレッシング

PC5 駆動回路 FE132

発光 FE111

映像信号変換 駆動信号伝達FE112

3 PDPの機能構成,及び最下層の機能要素と部品の関係

FE 画像表示

FE1 電気光学変換

FE11 電気信号伝達

FE121

放電 紫外線放射FE122 蛍光発光FE123 FE111

映像信号変換

PC1 電極

FE112 駆動信号伝達

FE13 調光 (発光回数調整) FE12

色表示 (RGB発光)

FE21

同期 FE22走査 FE2 アドレッシング

PC2

(7)

の製品の対角画面サイズと画素数を一覧にしたも

のである11).表 1 からサイズでは PDP が,画素

数では LCD が先行していたことが見て取れる. PDP は,2005 年以降,急激に市場が拡大してい った 30 インチ台,40 インチ台へのフル HD(1920 ×1080 画素)製品の展開で大きく遅れをとって おり,LCD が 2003 年の段階で 37 インチのフル HD 製品の製品化に成功しているのに対し,PDP が 40 インチ台でフル HD 製品を初めて発売した のは 2007 年のことであった(橘・小川・藤谷・ 住田,2008).PDP メーカーはフル HD 製品の必 要性は十分に認識していたが,技術的な課題によ り 40 インチ台へのフル HD 製品の投入に遅れを とったことが,複数の PDP メーカーのコメント から確認されている(Yoo, 2005;尾谷・谷口・

坂上・徳永・井手・打土井・佐藤,2005)12)

次に画面サイズ,画素数以外の表示特性につい て検討する.日本画質研究所の中村順平氏が各社 の薄型テレビを同一条件で測定,評価した結果に よると,2005 年には,官能的に点数付けされた 項目だけでなく,輝度やコントラストといった定 量的な特性においても LCD と PDP の画質はほ ぼ同等となっていたことが確認できる(中村, 2005,図 1,表 1).一方,消費電力は全てのサ イズで LCD が PDP よりも低く(FPD2007 戦略 編,2006,p. 53,図 18),また,価格は,2006

年時点で,30 インチ台では LCD の方が,40 イ ンチ台では PDP の方が若干安い状況であった (FPD2007 戦略編,2006,p. 45,図 7).

2000 年代前半,PDP メーカーは LCD との棲 み分けを想定し,ハイエンドゾーンである 40 イ ンチ台,50 インチ以上の領域で先行して優位を

確立していた13).しかしながら,2000 年代半ば

以降,LCD が 30 インチ台だけでなく,40 イン チ台,50 インチ以上の領域でも急速にシェアを 拡大し,結果的に全てのサイズ領域で PDP を圧 倒した(図 1).LCD は,30 インチ台では,特性 面でのキャッチアップに加え,価格の優位性を活 かし,急速にシェアを拡大していったものと考え られる.一方,PDP が先行して優位を確立して いた 40 インチ台の領域(ハイエンドゾーン)を LCD メーカーが攻略していくのは容易ではなか ったと考えられる.このような状況で,LCD が PDP に対抗していくためには,PDP 同等レベル の画質に加え,LCD の優位性を主張する何らか の訴求点が必要であったと考えられる.2003 年 末に東京,大阪,名古屋で地上デジタル放送が開 始され,フル HD 製品のニーズが高まっていたこ とを考慮すると,PDP 陣営の開発が遅れていた 40 インチ台のフル HD 製品は,LCD メーカーに とって,特に重要な訴求ポイントとなったと考え られる.LCD は,40 インチ台のフル HD 製品の

1 LCDPDPの画面サイズと画素数の推移

2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年

LCD

50 インチ以上 - - 55" 1920×1200

55" 1920×1080

57" 1920×1080

57" 1920×1080

40 インチ台 - 42" 1366×768

46" 1920×1080

47" 1920×1080

47" 1920×1080

47" 1920×1080

30 インチ台 - 37" 1366×768

37" 1920×1080

37" 1920×1080

37" 1920×1080

37" 1920*1080

PDP

50 インチ以上 61" 1365×768

63" 1366×768

63" 1366×768

80" 1920×1080

102" 1920×1080

102" 1920×1080

40 インチ台 42" 1024×1024

42" 1024×1024

46" 1366×768

43" 1024×768

43" 1024×768

43" 1024×768

30 インチ台 37" 1024×1024

37" 1024×1024

37" 1024×1024

37" 1024×1024

37" 1024×1080

(8)

訴求力に加え,消費電力面でのメリットと 30 イ

ンチ台で培ったコスト競争力を活かし14),2005

年以降,40 インチ以上の領域においても次第に PDP を圧倒していったものと考えられる.40 イ ンチ台における攻防の結果,LCD メーカーはハ イエンドゾーンでの躍進の機会を獲得し,PDP メーカーが想定してきたビジネスモデルは崩壊し た.その後,LCD が全てのサイズ領域で PDP を 圧倒したことを考慮すると,40 インチ台の攻防 は,薄型テレビ市場の覇権争いにおける天王山に あたるものであったと解釈できる.このように, PDP の 40 インチ台へのフル HD 製品の投入遅れ は,40 インチ台における LCD と PDP の攻防に 重大な影響を与え,結果的に,薄型テレビ市場に おける LCD と PDP の覇権争いにも大きな影響 を与えたと考えられるのである.

2.原理的な可能性や制約が LCD メーカー/

PDP メーカーの開発戦略に及ぼした影響 本項では,LCD の性能,価格面での急速なキ ャッチアップ,及び PDP の 40 インチ台へのフル HD 製品の投入遅れに焦点を当て,それらに対す る LCD メーカー,PDP メーカーの対応を製品ア ーキテクチャー論の観点から検証する.また,左 記の検証を通して,製品アーキテクチャーが内包 する原理的な可能性や制約が開発戦略に与えた影 響,さらには,薄型テレビ市場における LCD と PDP の市場競争に与えた影響を明らかにする.

第Ⅱ節 2 項で述べた通り,LCD はモジュラー 型に近い製品アーキテクチャーを有しており,特 に液晶セル,CF,BL 間には強い相互依存性が存 在しない.LCD メーカーは,このような LCD の 特長を積極的に活用し,部品単独の改良によって 主要特性を改善していった.具体的には,液晶セ ル単独の改良によって,応答速度や視角特性の改 善を(石原,2011),BL,CF 単独の改良によっ て,それぞれ輝度,色再現性の改善を実現した. 近年,BL の光源を CCFL(cold cathode fluores-cent lamp)から LED(light emitting diode)に 変更することで,色再現性の改善や消費電力の低 減が実現されているが,これは単独の部品のイノ

ベーションによって主要特性が改善された事例の 1 つである15)

(9)

ーション(Henderson & Clark, 1990)と解釈で

きる16).このように,LCD メーカーは,LCD の

原理的特徴を活かし,短期間で特性,コストの両 面で PDP にキャッチアップしたのである.

次に,PDP の 40 インチ台へのフル HD 製品の 投入遅れの要因について検討してみたい.画面サ イズが同一の場合,HD(1366×768 画素)から フル HD に切り替わることによって,画素面積は ほぼ半分となる.さらに,PDP はセル寸法が小 さくなるに従って,発光効率が低下するという課 題を有していた.PDP がフル HD 化を実現する ためには,消費電力の上昇を最低限に抑えつつ, 約半分の画素面積で一定の輝度の光を発光させる ことが必要であり,開口率と発光効率の向上を同 時に達成することが必要であった.これらの課題 に対し,PDP メーカーは,多くの部材による統 合的な対策を推進し,それに伴う部材間の調整に 多くの時間を費やしていた様子が窺える.前者の 課題に対しては,隔壁細幅化,及びブラックマト リクスや電極の細線化による改善を推進したが, セルの微細化,隔壁細幅化に伴って隣接セル間の 放電干渉が起こり,クロストークが発生しやすく なるという課題が生じ,これを駆動技術によって 改 善 し た 事 例 が 報 告 さ れ て い る( 橘 ほ か, 2008).また,後者の課題に対しては,画素面積 低下に伴う放電の火種となる電子数や蛍光体塗布 面積の低減を補うために,放電ガスや保護層の改 善,隔壁構造の工夫による蛍光体発光面積の増大 など複数の部材による統合的な対策を推進した事 例が報告されている(Yoo, 2005;尾谷ほか, 2005;橘ほか,2008).PDP では,主要部品が強 い相互依存関係によって結びつけられているた め,1 つの部品を変更すれば他の部品の調整が必

須である17).即ち,上記の統合的な対策,及びそ

れに伴う部材間の調整は,PDP の原理的制約に よって引き起こされた必然的な結果と考えられる のである.このように,PDP メーカーは,PDP が内包する原理的制約の影響を受け,40 インチ 台のフル HD 製品開発に遅れをとったと判断でき るのである.

これに対し,LCD ではフル HD 化に伴う画素

面積の低下に対しても,先に述べたような部品間 の役割分担による対応が可能である.開口率の向 上は電極細線化,CF のブラックマトリクス細線 化により達成され,また,BL の効率化により, 消費電力の上昇を抑制しつつ,輝度向上を実現す ることができる.これらの改善は,それぞれの部 品毎にほぼ独立した形で推進可能であり,LCD メーカーは,フル HD 化の過程においても LCD が有する原理的な可能性を有効に活用し,30 イ ンチ台,40 インチ台への早期のフル HD 製品投 入に成功したと考えられるのである.

(10)

Ⅳ.原理的な可能性や制約が開発戦略に影響 を及ぼすメカニズム

第Ⅱ節 1 項で述べた通り,LCD,PDP のコア 設計コンセプトとは,「電気光学変換」を実現す る機能群の中で中核的な役割を果たす機能(群) のことである.本節では,LCD,PDP のコア設 計コンセプトを構成する機能間,或いはコア設計 コンセプトを構成する機能と補完機能間の原理的 な関係性に注目し,それらが LCD,PDP の電気 光学変換に及ぼす制約の程度について検討する. このような検討を通して,製品アーキテクチャー が内包する原理的な可能性や制約が開発戦略に影 響を及ぼすメカニズムに迫る.

図 4(a)は,LCD が電気光学変換機能を実現 するまでの一連の流れをフロー図で示したもので ある.LCD では,「映像信号変換」→「駆動信号 伝達(電圧印加)」→「光透過量調整」という流 れで電気光学変換が実現される.「映像信号変 換」,「駆動信号伝達(電圧印加)」,「光透過量調 整」という動作順は固定されているが,「駆動信 号伝達」がフロー上,後ろに位置する「光透過量 調整」を実現するために満足しなければならない 条件は,数ボルトの電圧を印加することだけであ る.また,光シャッター機能を活用し,カラー画

像表示を行うためには,必然的に発光機能と着色 機能を補完せねばならないが,BL は常時点灯し たままで,CF も常に一定の波長領域の光を透過 しているだけである.即ち,BL や CF は一連の 動作フローから独立して,協同的に電気光学変換 機能実現に貢献しているのである.LCD では, 電気光学変換が実現されるまでのステップ数は 3 ステップで,コア設計コンセプトである「光透過 量調整」が前段階の機能要素,及び協同的に振る 舞う機能要素に要請する条件も比較的平易なもの である.このように,LCD では,コア設計コン セプトの動作原理が補完機能の動作原理に要求す る制約(原理的制約)が小さいために,製品アー キテクチャーがモジュラー型となると共に,独立 した形での部品改良,及び部品間の相互依存性や 製品アーキテクチャーの変更を比較的自由に行う

ことができるものと考えられる18).逆の見方をす

れば,コア設計コンセプトに関連する原理的制約 が小さいこと自体が LCD の持つ原理的な可能性 であり,LCD メーカーはこのメリットを最大限 活用するよう,開発を推進してきたものと考えら れるのである.

図 4(b)は,PDP が電気光学変換機能を実現 するまでの一連の流れをフロー図で示したもので ある.PDP では,「駆動信号伝達(電圧印加)」 がフロー上,後ろに位置する「プラズマ放電」を

4 画像表示の動作フロー図

FE132 発光

FE121

放電 紫外線放射FE122 蛍光発光FE123 FE112

駆動信号伝達

FE112 駆動信号伝達

FE12 色表示(着色) FE111

映像信号変換

FE111 映像信号変換

FE131 光透過量調整 コア設計コンセプト

コア設計コンセプト

FE1 電気光学変換 (a)LCD

(b)PDP

(11)

動作させるためには,200V 程度の電圧印加が必 要であり,「プラズマ放電」が「紫外線放射」を 動作させるためには,安定,かつ一定量以上のプ ラズマ放電が必要である.また,「紫外線放射」 が「蛍光発光」を動作させるためには,蛍光物質 が吸収する所定の波長の紫外線を一定量以上放射 することが必要である.加えて,放電ガスの種類 によって放射される紫外線の波長が決まり,ま た,蛍光物質の種類によって吸収する紫外線の波 長が決まるため,放電ガスと蛍光物質の組み合わ せに原理的な制約が存在する.このように, PDP では,電気光学変換に関わる主要機能が全 て一連のフロー上に配置されていることに加え, ステップ数も 5 ステップと LCD よりも多い.ま た,各ステップの機能要素が前ステップの機能要

素に要請する条件19)も LCD の場合よりはるかに

厳しい.このように,PDP では,コア設計コン セプトを構成する動作原理間の制約(原理的制 約)が LCD よりも大きく,その結果,製品アー キテクチャーがインテグラル型となると共に, 40 インチ台のフル HD 製品開発の事例のよう に,PDP メーカーはあらゆる場面で,良くも悪 くも機能間,部品間の相互依存性を強く意識した 開発方針を採らざるを得なくなると考えられる. 逆の見方をすれば,部品単独の改良や製品アーキ テクチャーの変更(モジュラー化)による特性改 善やコストダウンは,推進したくとも,現実的に は推進することができないのである.PDP の事 例は,コア設計コンセプトを構成する動作原理間 に大きな制約が存在する事例であったが,コア設 計コンセプトを構成する動作原理と補完機能の動 作原理間に大きな制約が存在する場合も同様の結

果になると考えられる20)

薄型テレビ市場の競争における LCD の勝因の 中には,部品単位での独立した改善や LCD 産 業,及び LCD 部材産業への多くの企業の参入 (液晶関連市場の現状と将来展望,2006b,pp.

66-70)など LCD の持つモジュラー性に起因す

る要素が多分に含まれる21).一方で,従来から知

られているモジュラー性の特長だけでは,低価格 帯,或いはボリュームゾーンで優位を確立できた

可能性はあるが,画質面でインテグラル製品であ る PDP に対抗し,ハイエンドゾーンで優位を確 立していくのは不可能であったと考えられる.こ れを可能としたのは,必要に応じて,部品間の相 互依存性を強めたり,弱めたりして,アーキテク チャーを柔軟に変更できる原理的な可能性であっ た.LCD メーカーは,従来から知られているモ ジュラー性の特長を活かし,独立した形での部品 改良によって特性,コストを改善しつつ,アーキ テクチャーを柔軟に変更できる原理的な可能性を 最大限活用して,ハイエンドゾーンを攻略してい ったのである.即ち,薄型テレビ市場における LCD と PDP の競争の行方を決定づけた真の要因 は,ある時期の静的なアーキテクチャーではな く,必要に応じてアーキテクチャーを変更できる 原理的な可能性,或いはそれを阻害する原理的な 制約であったと捉えることができる.従来の製品 アーキテクチャー論との混乱を避けるために,本 研究では,アーキテクチャー変更に対する原理的 な制約が小さな製品(製品設計)を原理的モジュ ラー性が高いと呼び,アーキテクチャー変更に対 する原理的な制約が大きな製品(製品設計)を原 理的インテグラル性が高い(モジュラー性が低 い)と呼ぶこととする.

(12)

ル性が高くなり,製品アーキテクチャーはインテ グラル型となる.加えて,少なくともコア設計コ ンセプトに関わるアーキテクチャー変更の自由度 はほとんどなく,PDP の事例と同様,企業はあ らゆる場面で,機能間,或いは部品間の相互依存 性を強く意識した開発方針を採らざるを得なくな ると考えられる.

Ⅴ.おわりに

本研究の検討の結果,完成品レベルでは一見同 一のアーキテクチャーを有するように見える製品 間でも,サブシステムとして用いられている重要 部品の製品アーキテクチャーの違いが,完成品の 競争にまで影響を及ぼすことが確認された.ま た,本研究では,従来手法より一歩踏み込んで, 動作原理という観点から,製品アーキテクチャー が開発戦略,市場競争に及ぼす影響について検討 を行った.その結果,製品アーキテクチャーが内 包する原理的な可能性や制約が,製品アーキテク チャーの型や製品アーキテクチャーが発現する性 質を決定する重要要因であることを明らかにする と共に,それらは,メーカーの開発戦略に影響を 及ぼし,結果的に製品の市場競争にも重大な影響 を与えることを示すことができた.従来の製品ア ーキテクチャー論における議論では,機能と部品 間,或いは部品間の対応関係をベースに製品アー キテクチャーの型を決定し,それを基に,製品構 造が企業活動に与える影響について議論が行われ てきた.しかしながら,製品構造が企業活動に与 える影響をより深いレベルで理解するためには, 従来の製品アーキテクチャー論における議論はや や表層的であり,動作原理のレベルまで深掘りし て,原理的な可能性や制約を正確に理解すること が重要であると考えられる.

企業は,製品開発の初期段階でコア設計コンセ プトの選択を行い,アーキテクチャーの大枠を決 定する.この時,製品アーキテクチャーという形 で原理的な可能性や制約が製品に埋め込まれる. その後,企業はコア設計コンセプトの持つ原理的 な長所を活かすように開発を推進し,それらを製

品のイメージ作りやプロモーションにも活用す る.企業がある時点で判断に間違いがあったと気 づいたとしても,それまでの資源投下量が重しと なって,逆戻りすることは極めて難しくなってい る.即ち,技術開発の初期段階における 1 つの選 択が,将来の開発戦略や経営判断に一定の制約を 課すだけでなく,それを意識した時には不可逆的 な状況に陥っている可能性が高いということであ る.製品アーキテクチャーそのものは人工的なも のであり,企業にとってはコントロール可能な内 生的なものであるのに対し,原理的な可能性や制 約は,自然法則に起因する外生的要因であり,コ ントロールが難しい.このような原理的特徴(原 理的可能性や制約)は,短期的には大きな影響を 及ぼさないが,次第に影響が巨大化し,長期的な 製品間競争においては致命的な影響を及ぼす可能 性が高いことを本事例研究は明確に示してい る22)

本研究の検討から得られた実務的インプリケー ションは,ある技術が持つ原理的な可能性や制約 について,開発の初期段階で,研究開発部門が長 期的に完成品の競争に及ぼす影響を予測する必要 があるということである.これは,Iansiti(1998) が,研究開発組織がシステム・フォーカスによっ て,技術開発と市場情報の統合が重要であると指 摘する議論と整合的である.本研究で得られた知 見,即ち,原理的モジュラー性,原理的インテグ ラル性に関する検討を十二分に行った上で,製品 アーキテクチャーを選択すると共に,製品化後, 或いは,事業化後においても,製品アーキテクチ ャーの有する特徴を最大限活用する能力がこれま

で以上に重視されていくものと考えられる23)

謝辞

本稿の査読過程において,SE の長内厚先生と 2 名の匿 名レフェリーの先生方に貴重なご助言を頂きました.特 に,長内先生には本稿の採択に向けて,多大なるご尽力を 頂きました.ここに記して感謝を申し上げます.

(13)

ーターの変化が別のパラメーターの変化を要請する程度で ある(青島・武石,2001).

2) 富士通日立ディスプレイの石垣正治氏は PDP テレビと LCD テレビを比較して,「大きな違いは,応答速度と視野 角にある.PDP は応答速度が速く,視野角も広いため, CRT テレビに慣れた目に何の違和感も与えない.一方, 液晶の応答速度は大きく改善されてきているが,まだ,違 和感がある.視野角については,依然として液晶の大きな 課題である.液晶の輝度,コントラスト,色調は視野角に よって大きく変わる.特に,大型テレビになればなるほ ど,大きな視野角で画面を見る機会が多くなり,リビング に家族がそろって同じ画質を楽しむことは難しくなる.さ らに,液晶は明室コントラストに優れるが,暗室コントラ ストが低いという問題がある.照明を落としたリビングで は黒浮きが気になる.これに対して PDP では十分な暗室 コントラストを実現しており,映画ソフトの鑑賞にも適し ている.PDP の明室コントラストは液晶には劣るものの, CRT テレビに近いレベルは実現しており,実用上は問題 ない.消費電力については一般に液晶は PDP より若干優 位だが,大型テレビ向けでは状況が変わる可能性がある. 液晶の消費電力が低いのは,バックライトに指向性を持た せて正面方向の輝度を高めているからである.従って,大 型テレビ向けとして PDP のように広視野角と高輝度を両 立しようとすると,消費電力が高くなってしまう.現在, 大型(30 型以上)液晶テレビの価格は PDP テレビに比べ て割高である.そこで,液晶パネル各社は「1 型=1 万円」 を目指して,大型基板の多面取りを可能とする巨大投資を 行っている.しかし,半導体プロセスを必要としない PDP の方が,コストダウンを一歩先に進められる.以上 のように,PDP は,さらなる性能改善とコスト低減を実 現すれば,将来においてもテレビ市場で液晶に対する優位 性を確保できる」と述べている(石垣,2002).また,松 下電器産業 パナソニック AVC ネットワークス社 副社長 の森田研氏は,「液晶はカラーフィルターや偏光板,冷陰 極管が高い.昔から同じやり方のまま大きくしている.ま た,液晶を挟む工程の歩留まりが低い.一方,PDP は低 価格化の可能性がある.液晶よりはかなり実現しやすい」 と述べ(FPD2006 戦略編,2005,p. 69),パイオニアの打 土井正孝氏,佐藤陽一氏は,「パネルの周辺構造の違いや パネル生産プロセスの違いに着目すると,簡単な構造,生 産プロセスと言う PDP の優位がはっきりとしている.今 後も成熟した LCD では大きな改善が期待しにくいのに対 して,PDP では革新的なプロセスの開発が進行中で,大 きな生産性向上が期待できる」との認識を示している(打 土井,佐藤,2006).一方,LCD メーカーも PDP の優位 を認めていた.インターナショナルディスプレイテクノロ ジ ー の 橋 本 孝 久 氏 は,「20 ~ 30 型 の FPD テ レ ビ で は LCD が使われるだろうが,30 型以上では LCD と PDP の 戦いになろう.今の段階では,残念ながら画質の点で PDP の方が優れている.当面のポイントは,LCD がいか に自然な動画表示を実現するか,PDP はどこまで電圧を 下げて信頼性を上げ,コストを下げるかにある.そして, 最後には価格の勝負になるだろう」と述べている(橋本,

2002).

3) 松下電器産業(現パナソニック)の森田研氏は,「液晶テ

レビとプラズマテレビのすみ分けについては,32 型以下 が液晶で,37 型以上をプラズマと位置付けている」と述 べ(FPD2005 戦略編,2004,p. 76),パイオニアの専務執 行役員であった五月女勝氏は,「プラズマテレビの中心は 40 型以上,液晶テレビの中心は 40 型以下で落ち着くだろ う」と述べている(FPD2004 戦略編,2003,p. 59). 4) 本稿では,フラットパネル・ディスプレイを FPD2000 の

ように FPD+年の形に,㈱次世代 PDP 開発センターを APDC と略して表現した.

5) 本稿では,画像表示に直接関わらない機能については取り 扱わないこととする.

6) 1 つの画素はそれぞれ赤,緑,青の光を透過する 3 つのサ ブピクセルから構成される.

7) LCD の基本原理は液晶を用いた光シャッターであり, LCD のコア設計コンセプト(光シャッター)は,1962 年 に LCD が初めて発明された時点から一貫して変わってい ない(川上,2000).

8) 1 つの画素はぞれぞれ赤,緑,青の光を発光する 3 つのサ ブピクセルから構成される.各サブピクセルはリブと呼ば れる隔壁によって格子状に区分され,リブで囲まれた箱状 の空間をセルと呼ぶ.

9) カラー PDP の基本概念は,放電プラズマから放射される 紫外線をいったん蛍光体に吸収させ,蛍光体から放射され る可視光線でカラー表示を行うというものである.PDP のコア設計コンセプトは,1967 年に上記のカラー化の概 念が提案されて以来,一貫して変わっていない(APDC,

2006).

10) 青島・武石(2001)は,システムの複雑性は,構成要素の 数(要素間の関係の数)と各要素間の相互関係の強さの掛 合せで決まると述べている.

11) 液晶関連市場の現状と将来展望(富士キメラ総研)の製品 リストの中で用途がテレビとなっているもの(量産品の み)から抽出した.

12) 三星 SDI の Yoo Minsun 氏は,「2005 年に入り PDP メー カーは大きな動きを見せている.各社が 60 型級を手始め に中型サイズのフル HD テレビを FPD 市場へ投入すると 発表している.2006 年には冬季オリンピックとサッカー のワールドカップがあるため,これらの大会に合わせた需 要に狙いを定めていると見られる.このような強い意気込 みがあるにもかかわらず,まだ解決すべき技術的な問題が ある.このため,市場に 42 型のフル HD 対応 PDP が出荷 されるまでには,まだしばらく時間がかかるだろう.そこ でわれわれは,50 型のフル HD 対応の PDP の開発を試み てきた」と述べている(Yoo, 2005).また,パイオニアの 尾谷栄志郎氏らは,「PDP では難しいとされてきた,40 イ ンチ型~ 50 インチ型でのフル HD 対応パネルの実現」を 開発目標に掲げ,50 インチ型のフル HD 対応パネルの試 作に成功したことを報告している(尾谷他,2005). 13) 一般的に薄型テレビは,画面サイズが大きいほど高価格と

なる.故に,2000 年代半ば時点では,30 インチ台に対 し,40 インチ台はハイエンドゾーンと解釈される. 14) 価格については,戦略的に安く設定することもあり得るた

(14)

び,その結果,現時点で殆どの PDP メーカーが赤字を理 由に事業から撤退したのに対し,多くの LCD メーカーが 事業を継続している事実を鑑みると,2000 年代半ば以降, LCD のコスト競争力が PDP のそれを上回っていったとい う見解には一定の合理性があると考えられる.

15) この手法は,特性の改善だけでなく,製品の多様性の創出 にも貢献している.即ち,高い特性が求められる製品には LED を,そうでない製品には CCFL を用いることで,容 易に多様性を実現することができるのである.

16) LCD がハイエンドゾーンで採った手法は,モジュラー型 製品が高い特性が求められる領域でインテグラル製品に対 抗する実用的な手法として有効であり,これまで十分に認 知されてこなかったモジュラー型製品の新たなポテンシャ ルと考えられる.また,ハイエンドゾーンでの LCD の事 例は,高画質が求められる一部の製品セグメントのみがイ ンテグラル化したまま固定化されており,これまで報告さ れてきたモジュラーからインテグラルへの逆転の事例とは 異なる新たな形態と捉えることができる.

17) 多くの部材による統合的な対策,それに伴う部材間の調整 は,いずれもインテグラル製品に特徴的な手法である. 18) コア設計コンセプトが複数の機能で構成される場合,コア

設計コンセプトを構成する機能間の原理的な制約も小さく なくてはならない.

19) コア設計コンセプトを構成する各機能要素が前ステップの 機能要素に要請する条件,及びコア設計コンセプトが前ス テップの機能要素に要請する条件の両方.

20) これまで,統合化されたシステムでは,構成要素に自由な 相互作用が許されているために,実現可能な最大パフォー マンスレベルは限りなく高いが,構成要素間の調整の複雑 さ故にシステムを進化させるのに多大な時間がかかると認 識されてきた(青島・武石,2001).PDP の事例は,まさ に構成要素間の調整の複雑さ故にシステムを進化させるの に多大な時間がかかり,後れをとった事例と解釈すること ができる.一方で,本研究の結果は,原理的な制約の影響 によって,統合化されたシステムの最大パフォーマンスレ ベルが頭打ちになる可能性があることを示唆している.所 定の機能が実現されるまでのステップ数が多くなるにつれ て,また,各ステップの構成要素を動作させるために前ス テップの構成要素が実現しなければならない条件が厳しく なるにつれて,原理的な制約が大きくなり,システムの最 大パフォーマンスレベルが頭打ちになる可能性が高まると 考えられるのである.なお,一般的に,各ステップの構成 要素を動作させるために前ステップの構成要素が実現しな ければならない条件の厳しさの程度は,前に位置する動作 が満たさなければならない条件の数とそれぞれの条件を満 足するための技術的困難度によって決まるものと考えられ る.また,技術的困難度を高める要因としては,物質(材 料)面の制約,エネルギー面の制約(エネルギー源の種類 が限られる,必要なエネルギーが非常に大きい,或いは, 有効なエネルギーが量子的であるなど)などが考えられる. 21) モジュラー製品は多くの補完業者の参入を促進することが

指摘されている(Baldwin & Clark, 2000).LCD 産業の発 展に対する期待,モジュラー性に伴う参入障壁の低さ,更 には,LCD メーカーによるモジュラー性を活かしたマル チベンダー化の促進によって,LCD 部材産業に多くの企

業が参入していったものと考えられる.

22) 薄型テレビの普及開始当初,NEC,富士通日立プラズマ ディスプレイ,松下電器産業,パイオニアなど多くの電機 メーカーが PDP を薄型テレビの本命と目し,急速に事業 を拡大していった.このような判断の背景には,PDP メ ーカーが,LCD の性能面での課題に加え,PDP の構造, 生産プロセス上の優位性から,将来にわたって,性能,コ ストの両面で PDP が優位であると認識していたこと,ま た,高画質が求められるテレビ用途においては,韓国や台 湾の LCD メーカーがパソコン用途で成功した標準品を大 量に製造,販売するというビジネスモデルよりも,テレビ セットメーカーと密接な関係を持つ協業型のビジネスモデ ルが適しており,社内にテレビセットを有する企業が有利 と判断していた(FPD2004 戦略編,2003,p. 47)などの 要因が存在すると考えられる.結果的に見れば,PDP メ ーカーは,モジュラー性のパワーを過小評価していたと判 断せざるを得ないが,当時の状況を鑑みれば,PDP メー カーの判断には一定の合理性があり,また,本研究を通し て得られた原理的モジュラー性,原理的インテグラル性に 関する知見は未解明であったことを考慮すれば,当時の PDP メーカーの選択を誤りであったと一概に断ずること はできない.

23) 液晶テレビ市場を開拓したのはシャープであったが,現在 では韓国,台湾メーカーに圧倒される状況となっている. このような状況となった要因の 1 つとして,LCD の持つ モジュラー性を活かす戦略を採ったかどうかがあげられ る.モジュラー型製品はオープン,かつ水平分業型の産業 構造と相性が良いことは多くの先行研究が指摘するところ である(Fine, 1998;Baldwin & Clark, 2000;藤本,2001 など).このような背景に対し,韓国・台湾メーカーは水 平分業型のビジネスモデルを選択したが(FPD2005 戦略 編,2004,p. 63),シャープは垂直統合ビジネスモデル (シャープ,2007)とブラックボックス化戦略(シャー プ,2004;2005)を積極的に推進した.垂直統合型ビジネ スモデルやブラックボックス化志向は,モジュラー性のメ リットを活かす様々な施策に対する障害となり,シャープ の競争力低下の一因となったと考えられる.一方,パナソ ニックは,PDP テレビにおいてブラックボックス化戦略 を推進した(松下電器産業,2005).PDP がインテグラル 型の製品アーキテクチャーを有することを考えると,定石 通りの戦略を採用したと捉えることができる.

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図 1 サイズ別のディスプレイ出荷金額推移 出所:液晶関連市場の現状と将来展望(2001-2006a, 2007-2011)を基に筆者が作成250002000015000100005000025000200001500010000500002500020000150001000050000(a)30インチ台PDPLCDCRT(b)40インチ台 (c)50インチ以上2000年度2001年度2002年度2003年度2004年2005年2006年2007年2008年2009年2010年2000年度2001年度20

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