ピアノ教材論(III) : J.ブラームスの後期ピアノ小品をめぐって
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(2) . 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第4 3巻 第2号 i i lofHokkaido Univers tyofEducat ionIC) Vol Jouma t on(Sec .43 .2 , No. 平成 5年3月 March ,1993. ピアノ教材論 [ 1 1 1 ]. - J.ブラームスの後期 ピアノ小品をめ ぐっ て -. 大. 塚. 夏 生 . 北海道教育大学岩見沢分校・音楽学研究室. Uber d ie K1avierunterrichtsmaterial ien [m] -- Die k1eine spat ‐▽verkef茸r das K1aVier J‐ Brah] α . ss Natsuo ot suka M[ ikwi l i i t i iver i t tu t do us s senschaf cheslns tat Hokkai sche Un s ,Padagog , 工wami zawa068. は. じ. め. に. 上 ブラームスの後期ピアノ小品群を教材として論ずることには一般的認識との大きな 〔ずれ〕 があるとおもわれるかもしれない‐ 一般にいわれている教材とは演奏技術の水準に沿っ て常識的に 判断された難易度の階程に応じて利用される作品であり, これらを大きくわければ練習曲と一般曲 ということになる. 前者についてはこの考え方に全く問題はないが, 後者に対して価値判断を加 え るときに主観が仰くことも事実である. この場合教師の好きな曲および知っ ている曲を学習者に課 することは理解できるし, また学生も華やかで, 面白く, かつ他人にきかせて甚しく目立つものを 練習したがる気持も理解しうる. 然しながら, 斯様な傾向のみが中を利かせた場合, 教師は当然の ことながら探求心を失っ てマンネリ ズムにおちいる であろうし, 学習者も研 究的であるよりは自己 満足的おさらいに時間と精力を費やすことになるであろう. ピアノ音楽の歩みをかえりみると, そこでは人間感情の諸様相と符合するような作品が大半を占 めており, 更に斬りや腹想の境地をおもわせる例にもときたま出会うの である‐ ここで問題をおお く含むのは後者を教材として取扱う場合の教師の想念そのものなの である とかく芸術には美と喜 . 悦への耽溺という陶酔的側面があるだけに, より一層深い内省的信条と超越的境地を想わせるよう な後期 ブラー ムスの小品群のもつ教育的価値がたかい のである. 教育内容の充実のために教師は存 在への省察の厳しさを身に つけることによっ て 思惟を深め, 諸芸術への哲学的観想をより宏遠なも のにしなければならない. 内観, 救済, 超越の様相をもつこれら後期の作品は 思索的生活の集大成 であり, 文化史上の一頂点をなすも のでもある. 本 文 に お い て は 全 30 曲 中 の 26 曲 を と り あ げ る 即 ち, 次 の 4 曲 op ‐116- 2, op . ‐ , .76- 4, op. 116一4, op 17-2については本学紀要第42巻, 第1号, 第1部A (平成3年 7月) に掲載した ‐1 「 ブ j ラームスの間奏曲における浪漫派的特 質」において取りあげたの で割愛する. 関心をおもち . 251.
(3) . 大 塚 夏 生. の方は是非そちらをごらんいただきたい.. [1] 作品76 , 第1巻及び第2巻 1879年) 以降が書法と内容の両面からみて一般に後 ブラームスのピアノ作品においては作品76( 期 と さ れ て い る. こ こ に は イ ン タ ー メ ッ オ, カ プリ ッ チ ョ, バ ラ ー ド, ラ プ ソ ディ ー, ロ マ ン ツ ェ な どがみ ら れ, イ ン タ ー メ ッ ツ オ 18 曲, カ プ リ ッ チ ョ 7 曲, ラ プ ソ ディ ー 3 曲, バ ラ ー ド1 曲, ロ マ ン ツ ェ 1 曲 と いう 配分 に な っ て い る. 作 品 76 は 2 つ の 群 か ら な り, 両 者 共 に カ プリ ッ チ ョ 2 曲,. インターメ ッオ2曲である. 命名と作曲意図とのあいだにどのような関わりがあるかを明確に言い 切ることはできないが, 一般的傾向としては前者が情緒表出的であるのにたいして, 後者は内観的, i io を従来の狂想曲と訳すのは ブラームスの場合も決して適切とは いえ 抑制 的 であ る. 然 しcapr cc. ない. インターメッ オを間奏曲と訳すのは間違いではないが, 決して幕間のものと同一視してはな らなく, ここには比噛的な性格からきた意味がこめられているのでる. 1 ) の第1巻はカ プリ ッチョ・嬰へ短調と変ロ短調, インターメ ッツオ‐変イ長調と変 879 op .76( ロ 長 調, 第 2 巻 は カ プリ ッ チ ョ ・ 嬰 ハ 短 調, イ ン タ ー メ ッ ツ オ ・イ 長 調 とイ 短 調, カ プ リ ッ チ オ ・. ハ長調からなっ ている. 以下に用いる曲番は第1・2巻の通し番号である. 第1番は速い分散和音 2~51 ) )B( 5 3 1 4一2 の連続する楽段に始まり, 旋律的な楽段へと進む. 形式は A(1‐1 , 26-41 ,4 ’ . B 楽段の開始部, 内 パ ( ) coda ( 79~85 ) )B ( 2~78 3 64~71 52一6 . A 楽段の素材 声学名 ,7 )「は B 楽段は伸 びやか A 楽段のなにかしら不気味な波状のひびきに対して 声においていかされている‐ 、 26~41 ) 4~25 ) 1 な旋律を複線的にうたわせ, はじめはソ プラノ ( , 更にア , 次にソ プラノとバス ( 4 2~47 ) に旋律を用いる‐ その間に伴奏形は多様な変化をみせ, 16音符1箇ずつのリ ズム的 ルト ( 26~37 )をも生 じさせる‐ 更に転調の様相をも含めてみると B 楽段内部だけで主題とその 〔ずれ〕( 展開を司り, 後の B’楽段において更に進展の様相をみせるのである. B と B’の両楽段には 恩師R. シュ ーマンの音楽性をうけついだとおもわれる点が多い. )coda(112~119) 67~82 第 2 番 は A(1 ~12 , 94~111 , 83~93 , 34~45)B(46~66)異 ( , 13~33. という構成である. A 及び A 楽段はスタッカートの多い, エク ゾティ ッ クな雰囲気の舞曲(2/4拍 子) を想起させる‐ なにかしら憂いをおびてきこえるのは短調のためのみではなく, テノール (1 ) に混在する半音と全音による下降傾 ~2) とバス (1~4) の半音階的下降, 及び右手 (3~11 バ 向 でも あ る. そ の ほ か T‐ 13~18 , 21~26 も 下 降 傾 向 を は っ き り と 示 し, T‐ 29~33 に は ス の 上 2 2 2 l l 2 f i i f i i -e i の 音 列 か ら ま s s as で 昇傾向に対して右手の分散的音群中にf から as ま で の 下 降 半 音, s 2 l 2-hl lを も っ て い る T 34~35 の 右 手に は d 2-d i i i i 2-hl iと e s か ら h までの半音下降 -a ‐ai -e2 -d s s s s . .. 5のソ ) が用いられている‐ T. 42~4 34~37 が潜在し, 左手にもオクター ブ音形による半音下降 ( 1と い う 下 降 的 流 れ が 潜 l」el-d 2 2 2‐d2 2 T 43~45 の ア ル ト に hl‐g1‐f i i i i ‐c s s プ ラ ノ に gi ‐e …g2‐f s s s , ‐. 在する. 以上のように数多い下降素材がもたらす独特の様相とやや活発なスタッカート音形の長々 とした継続との総合のうえに,何かしら名状しがたい ブラームス的な渋味が形成されてるのである‐ B 楽段は恩師シュ ーマンをおもわせる夢想性にとみ, 4和音及びV9の和音に支えられてソ プラノ旋 律が柔和な進行をみせているが, 伴奏は, 相変わらずスタッカートであり, そしてT‐ 49~51のア ルトの下降音列, T. 53~56 , T‐ 59~61の上部2声の上昇音列のゆえに極めてユニークな雰囲気 ’ ュ~73は3声部書法によっ ており, T.73~82では左右の頭の音をた がつくられる. A 楽段のT.7 252.
(4) . ピアノ教材 [ 1 1 1 ] どろ と 明 ら か に 音 列 を な し て い る の が わ か る. T. 83~88 で は ア ル ト に 冒 頭 旋 律 が 潜 在 し, T‐ lから ”こ至 る ま で の 音 列 T 91~93 に 左 手 の cis か ら Fi i 90~94に右手各拍の頂音 d sに 至る 音 s , . i l i f i i か 列, T‐ 93~94 に 左 手 上 部 の f ら s cs に至る半音階音列, 下部に sからhに至る音列(最後の. 左手は同時的2声反進行) の存在が考えられる. T. 95~98は冒頭部の見事な変容 である‐ T. 102~ 7及びT.1 2~9のアルトのレガートな音列はこの曲の最終段階の落着の最大の原因であり, 1 この故にこそ バスのスタッカートが奥底の鼓動の如くにきこえるのである‐ 総じてこの曲の楽想に は内在的音列関係にもとづく要因が極めて多く含まれているのである. 第3番は5小節からなる楽節が6箇, 即ち, 30小節の小曲である. 全体にわたって概ね上拍の旋 Ar lmut 1と 記 さ れ て ioso! ig 律 か ら なり, 評 議 のう ち に 終 始 し て い る‐ 楽 譜 に は Graz ,ausdrucksvol. おり, 一 見淡白な書法のよう ではあるが, フレー ズイ ングの特異性と曲想の多大なデリカシーのフ ちに作曲者の並々ならぬ想いがこめられているのがわかる. 4/4拍子でもっ てかき通され, 最後の 4小節のみを3/2拍子に変えてユニークな印象をのこす‐ 各楽節の組成は3+2, 4+1, 3+2, 3 十 2, 4 + 1, 2 十 3 である. 第3, 第6楽節の左手は上拍リ ズムに変じ, 右手は3連音形の流 動的モチーフが最弱奏によっ て, あたかも霧の奥からかすかにきこえてくるようにひびく‐ 和声書 t 法には格別なものはないが, 一貫する淡い音素材の配置, 印象派的なぼかし, 弱奏と緩徐e c ‐の条件 はむしろ極めてユニークであり, なにかしら仙人の住む環境を暗示するかのような閑寂に徹してい る の であ る‐. 第5番はC楽段以外の全てが強烈であり, まさに 〈怒りの日〉 を想起させるものがある. 構成は ’( A (1~1 8 )B( 19~35 ) A’( 8 )B 69~85 ) A” ( 86~11 0 ) coda( 111~1 17 ) 36~52 )C( 53~6 ’ ” である‐ 6/8拍子という指示にもかかわらず, それを正規に守っ ているのは A,A,A 楽段のバス, 及び C 楽段の左手 (但しT. 67~8は3/4拍子) のみである. その他は概ね3/4拍子であり, 標 示と内実が一致していない‐ このような例も彼の後期には時たまみられ, 2種類のリズムの重積に よる複合的感覚が一貫している‐ A(4+4十6+4)では6/8拍子の バスのうえに3/4拍子の」 による上声があり, Pの中声部 (1~4) (半音々階) は 広 川 中 中 月b」 」“1 のき ざみ で 」 」」 」」」 」 ー 至る潜在的半音下 上昇と下降の音群をなしている. 更にT. 5-8の左手にはeから Gi sに 降音列 』7 月7 」7 1 がみられる‐ このような潜在的半音々列は随所にみられ, T‐ 9~10テ 77 7非1」月 1 ノ ー ルの 上 昇 と 下 降, T.11~13(バ ス の 上 昇), T‐14~18(テ ノ ー ル の 下 降 と 上 昇), T.15~19(バ. スの下降) がこの烈しい爆発的な楽段の内部に在っ て, いかにもブラームスらしい複合性を秘めて いるのである‐ B (4+4十2+2+2十4) は平行調 E-durであり, ソプラノは切分音と通常音. 2 2-a 2 2-a 2 2 s 2-h gi 2i 3樗s i i i i i が2 小 節 毎 に 交 替(19~28)す る. ソ プ ラ ノ( 29~33 -h -c )に g s s s s s s , -ai , s-f , 2 2 2 l L f i f i i i i i i ss-gi s,テ ノ ー ル に d es‐i s と いう 流れ があっ て 楽段 を 緊 s‐e sdi s-hi s‐c s h‐a s‐i s ,バスに g. 密なものにしている. C(8十8)は属調による夜想曲風の楽段であり, 美しい夢想的なソプラノが 柔かな上行性分散和音にのっ て流れているが, よくみると伴奏部のT.53~57には下降的ソプラノ. l l(ア ル ト)gi l i i i i i に対 時する 上昇 的伏 線 d ‐el -f ‐gi s-gi s(テ ノ ー ル) が あ り, s s s-h と c s-d s‐e-f s s-ai l L i i i i i T. 58~62 に は 下 降 的 伏 線 a s-e-d s‐c s h (テ ノ ー ル), T. 61~67 に s‐gi s-f s (テ ノ ー ル), d l l l l L L f i i i i d i i f i i ー 上 昇 的 伏 線 h‐c - ( テ ノ ) ‐ ア ト ) ( ル ル s s‐Fi s‐Fi s s‐Gi s s (バ ス), 下 , Ei , es s ss gs i i i 降線e s‐d s‐c s‐H(テ ノ ー ル)等々 があ っ て ブ ラ ー ム ス ら し い 単 純 な ら ざる 気 分 が 醸 成 さ れ て い る‐. B’楽段は2/4拍子と6/8拍子が2 ・節 単 位 で 先 ず 交 替 し, T‐ 69~70 , 73~74 , 77 が 6/8 拍 子,. T‐ 71~72 tato , 75~76,78~85 は 2/4 拍 子 と な っ て い る. こ の 拍 節 数 の 変 化 お よ びsostenuto-agi. t toの変化の頻繁さもまた A 楽段のリ ズム的重積と共に未来につながる書法といえる.この - sos enu 部分 には小規模の上昇性素材及び下降性素材が潜伏し, 躍動的曲想の一因ともなっ ている‐ 即ちT‐ 253.
(5) . 大 塚 夏 生 ld 2 l-el gi l l lT 78~81 の a i i i i i i i -e ‐f ‐hi 71~73 の c s s-h‐c s s sLci s sLdi s-h s s sl ,T. 75~77 の a ,i , s-a , . i i i i i (2 回) があ り, 更 に T. 83~85 の 左 手 の Gi s s s‐A‐Ai s-H‐h s s-H‐Hi s-c s s‐c s‐c ,A-Ai ,H‐Hi l l L i i i i i -d s s と いう 5 個 の 音 に よ る 上 昇 半 音 階, 下 降 音 列 と し て は T. 80~83 の 左 手 e s‐d s c s-h‐a i i i i i とa s-gi s-e‐di s‐f s-e s s‐c s-h が 潜 伏 し て い る. こ の 楽 段 は T.69~82 が 全 て 切 分 ,T.71~73 の f. 音リズムであり, この書法は次の楽段をとおっ て結尾に至るまで用いられている‐ T. 83~85左手 02一106を除く全て の上昇半音々階は冒頭部内声の半音階素材の変奏である. A”楽段の右手はT‐1 が切分音による変容であり, 中声部の半音々階素材もまた冒頭部の変容である. 全体にソ プラノ主 導型の動機反復によっ てはいるが, 単なる旋律と伴奏という 書方ではなく, 他の声部にも音列的血 i i i 2の d ‐Hi 脈がみられるのである. 上記の中声部のほかT.91~9 -c s s」三;自責 s s ,T.91~94のe-d コi …Ai A-Fis .95一98では記譜上明らかなアルト,そして左手の Ci H‐Ai A is,cis-H-Ais. ・ i i i i i i i -A‐Gi s s s‐Fi s‐A‐Gi s-c s-H‐Ai s‐a‐gi s‐f s s s-e s-d , ,更 に T. 99~109 の バ ス に は 大 き く f ,c‐h-a. i Gi ‐E‐Di ‐E -Fi s等の下降的音脈が潜伏している. Codaもまた A 楽段の発展的変容であり, T. s s s 111~3は5/8拍子が3小節 プラス6/8拍子小節の前半即ち 5 十 5 + 5 + 3 と い う ユ ニ ー ク な も OP .% -ぢ f▼1 1 !, J ー 』 1 1 ′h ( “ i w ^ ’. リ. 譜例. 1. J“ ′ ・祭 f ハ昭1 -. ‐ i. ラ. ’ 寸. ‘ 1 1 J L ーi ‐ セ ノ ”▼\ . ′/. せ\. 1 t. ・ ‐ r. ・ 、. ;、‘ ・. \下′. t ′. * ^ ‘. 1 .1 メー. 1\\し÷ >-. 1 - ‐ ヒ ′ ; ▲, T , ・ ー一 . 、 , メ 1. 十 r i .・ ′ ー け” ′ 1 ′ ., 蹴 葺 り . ・ ▼ . r ’ / / ” n. ・ r 1. { F. ん′ ’ r F , ・ ▼ 1 H モ \ にノ ユ. 1. 1 1 . ・. ト. ー ▼. のである. 以上のようにこの曲には様々 な要因が内包され, ブラームスに特有の複次元的緊張をう みだしているのである. (譜例1) 第6番. Andante tbewegtは A (8 + 8 十 8) B (9 十 9 十 6 十10 )A ,sanf. 8 + 8 + 8) Coda. (8) の複合3部形式である. 一 見なごやかな流れではあるが, 全体をとおして右と左との間に纏 れた気持の底流をかんじさせる. それは右が3連音符, 左は通常音符という組合せからくるもので. lh‐alel 2e le le‐d あ る. T. 1 ~10 の 右 手 3 連 音 型 の み の 頭 の 音 を た どる と, e-dl s s‐di s s ,i ,i ,h-a, , , ‐di. l i f i i ‐d ‐g - s sという, 7度音程と9度音程(不協和音程)の関係があり, 更にT. 3~14の左手にはf s i i ‐c s-Di sと い う 下 降 線 が あ る た め s‐Hi s s-Ei s‐E お よ びci s-Fi s-H‐A‐Gi s‐Fi s-H‐Ai s-A-Gi s-Fi. l lま i ‐d に, 何かしら割り切れぬ想いのうちに沈潜していく感じがする. またアルトT. 11~6の g s 2か ら alま で 及 び g-f l i i i ‐dl‐c での 下 降 線, T. 19~22 の c s s‐h の 下 降 関 係 が 潜 ん で い る. 斯 様 に s-e t で あ り な が ら も con moto な の で あ る. T. 11~ 5 は 左 手 が 2/4 拍 子 の 通 常 的 進 標 示 の 如く sanf. 行 であるのに対して上声部は3連音を用いて3拍子的な変形進行を行っ ている‐ B 楽段は平行調 f i :による右手旋律と左手伴奏という, ごく普通の書法によっ ているが, 右手は通常音符であるのに s 対して左手が3連音符で継続しているために, A 楽段とは別の意味で単純なら ざる想いがた だよ t 8e う. 和声進行は一般的であるが, 左手のT‐ 26 c .に増4度, 7度, 減5度等々の流れがあり, ,2 時には1小節にそれが2回も用いられることがあっ てニュ アンスに富んでいる. テムポが緩徐でし (譜例2) かも派手な音形がなく, 静か で内省的な境地をおもわせるものがある. 254.
(6) . l n] ピアノ教材 [ lnter mLeZZ0‐. lante coー An( ・ moto. . 譜例. OP .76 N?6 ‐. 2. 第7番は一転して非常に素朴な民謡風の曲想をもつ. 形式は A(4+4)B(4十4) B (6+1) B 4十4+4十2) A (4十4) であり, 2/2拍子の流れのうちのT. 23と35のみが3/2拍子 ’楽段はクロマティ シズムによっ ている 使用音数が大変少ないため なにかしら になっ ている. B , . 淡い水彩画のような印象を与える. 然し,B → B’→ B”という希薄な発展 的変容のうちにイメージが 大きくひろがっ てゆくの である. i i t ) に流れている. 流暢ななかにも拍節処理において上拍 第8番は標示の如く Graz oso(Amnu g 重視によるリ ズム変化が影しく, それと同時に現れる和声的多様さと相撲っ て織りなす綾が華 麗で 2 nという3群の上行形で始まり, T. 1 ある. 6/4拍子の標示にも かかわらず左手は月刀 自コ ロ ロ: , i 山 信 T 4と1 3では 月 左右の複リズムも起用され が用いられ, 51 一 , . ,55では mフ m m ,53 きF IF「お が重ねられる‐ 冒頭はァルトが上拍で以て …から始まり, 次 路詐′ の上にソ プラノの1 2から上声が主旋律をうけつ ぎ 続いて両声部が交互に1拍 づつずれて 主題の頭部 の小節の上拍 でc , 」へ”. を紡いでゆく. 更む こT‐ 31以降では, 第1, 第2の両主題が合体しな がら展開してい. 2 g2 2 3 2 2 3 3 i 2-f 2 2-a2 c i i ‐g2-g s s s る. 数 多く の 音 が 群 生 す る 第 1 主 題 右 手 の 高 音 域 に f , -d , ‐h-a, f-a‐f 2 2 2 2 l l (い ~ 6) の 輪 郭 がう き でて い る 更 に T 1 ~ 4 の 上 拍 切 分 音 a-C‐d-e-a,T 1 ~ 3 の -gi s ‐ ‐ . 2の 潜 伏 線 が 在 る 調 性 の 推 移 は C: l F:G:C:F:C:E:C: り, こ こ に は 主 調 の 完 であ e : f‐g1 : ‐e -c2‐d2 ‐aLbl g ‐. : : :の箇所にみられる‐ 全終止, 半終止などのいかなる終止形もみあたらない. V‐1の型は F ,e ,G 1 6-30 ) は右手の和絃と左手の分散音形という一般的書榊;のうちに 借用和音を多く用 第2主題部 ( 心のゆれ動きをにおわせている いて, . 調性は下属調を主体として始まるが, T. 23からは1小節 : :と 変 化 す る. 左 手分 散音形の連続的動きの 内部には線的命脈が存在する, 例 毎 に As :Ces e : as :As :as i i i s-e‐f s-g ‐a-b,T. 19~22 の b‐a‐g-f-e‐d ‐b冊a-g と f s‐c え ば T. 16 と 18 の cl , ,g-f-es‐d-des‐C ,d s 及 び T‐ 29 の s-E-Di s-Ci s-H-Ai T‐ 24 の es-des-c‐h,T. 27 の es‐des-ces-B‐As-G,T. 28 の Fi. t 上昇的伏線e c ‐が第2主題とその確保に在るため, 左右全体をみると一種の複旋律形態をなして い る こ と が解 る. 255.
(7) . . 大 塚 夏 生. 展開部 ( 31~60 ) には先ず両主題の要素が交互に現れ, 次に第1主題の発展 ( 38~4 ) 3 , 更に右が 第1主題の変形, 左は第2主題の変形( 44~47 ) 最後( 8 )には第1主題の発展的変容という 4 ~ 6 0 , , 非常に充実した構築がみうけられる. ここには下降, 上昇, 弓状的要素などがあり, 就中下降的要. 3→ f 2 ア ル ト にf 2→ d 2f 2→ c 2 T 38~41 の 右 i i i i i 素 が 多い. 例 え ばT. 31~33 の 上 声 部 に d s s s s s s , ,i , ‐ l l 2 2 3 2 3 3 3 2 2 l 2 3 3 2 f 手 の a → f,f → d,c → a,g → c,e → as,d → b,b → f → T 2~4 4 7 の 大き な尺 度のe g , , . 2 2 2 l l l l → b2 ,小さ な も の と して は g → d,f → b 等々 で あ る‐ 左 手 の 場 合 は テ ナ ー に d → f,c → G, T.. 3 8-42のバスには d→ AIの各下降線が潜伏している.T.48一6 0はは展開部をしめくくる非常に繊 i 密な楽段 であり, 第1主題が極 めて精巧な手法によっ て変容している. 結尾部の Adag 61~2) o( は第2主題, T.63以降は第1主題に各々立脚している. T.58~62の沈静と内観 生の楽想にもま た ブラームスの特質が如実にあらわれており, 深く心に訴えるものがある. (譜例3, 4) . 譜例. 3. 算= 巨 \ (===111目. 譜例. 国. 4. [1 1]. 作品79,. Zwe I ]apsod iR i ) en (1880. i i i この曲は初演の プロ グラムにおいて Capr cc oと名付けられ, 楽譜出版時に 瓢]apsod eと命名 されたものである. この2曲には楽想と規模の両面からみて小曲というようりもむしろ中規模作品 7 とも言う べ き大きくて力強い ドラマが展開している. 第1番 A・ ( )B( ) coda abaa cご) A ( aba a ’ b) という形式であり, A 楽段の強烈な憤怒的性格はT‐ 1~1 ( 2 5 , 39~4 , 48~90にみられ, 途 中のT. 1 6~38は内向・沈静の楽想をあらわす. そのなかのT. 29までは主題確保, T. 30~39ま b 部分)であり, 後者は B 楽段の素材の源泉ともいうべき, ものである. T. 49~9 では第2主題( 0 ) ) は第1主題の展開, 再現( 67~80 及びまとめ ( 81~90, つづくT‐ 91~93は中間楽段への導入で ある. 上記展開部の転調技法の妙味は注目に価する. これと同じことがT.16 5~191にも言いうる. A 楽段全体の楽想の厳しさ, 鋭さと完く対照的なのが B 楽段のさわやかさにして長閑な田園的曲想 である. T. 13 3~213は再現部, T. 21 4~230の codaは第2主題による (左手) 静かな回想的フ 256.
(8) . ピアノ教材 [m] レー ズ であ る.. 第2番曲全体に底しれぬ深さをかんじさせる不思議さをもつ. 第1主題の強靭な粘りと伸 びやか ) の決然たる和紘連鎖にたいする, 第2主題の夜想曲的表情 ( 1 ) さ, 副素材 (9~1 3 4~20 , それに 続く副素材 ( 21~32 ) , の渋味のある沈潜的“ 内観的楽想などが呈示部の特質である‐ 展開部の前 ) は第1主題の展開であり, 内燃の炎が温かさと重々 しさを伴っ てもえつづける‐ 後半 半( 33~53 ( 53~8 5 ) は第2主題の副素材を第1主題動機が一体となっ て展開する. 曲想は余りにも地味であ り, 労 厚く静かななかに, 奥行きの果てしない深まりを感じさせる傑作といえる, 和声変化の変幻. 自在なひびきが, あたかも霧の彼方からきこえ, いぶし銀の光彩を放っ ているさまは将になにもの 敦のごく一部分 を示すと, まず曲頭から にもかえ難いのである‐ 次に ブラームス的な和声進行の特堰 o も 1 1-1-vで以て第1主題が終り, ホ短調の副素材へ i-F -を G:1 1-lv-1 1 ] -w -お-E: g -v と変る‐ 即ち, 調子記号がト短調のこの曲にも主調のトニカが用いられないばかりか, 他調の和声 が採 択さ れて い る の であ る. こ の よう な 例 は op‐ 76 の 4 と 6 ほ か いく つ か の 曲 に も み ら れ る の で あ る. ien ( 1892) 作 品 116 , Phantas プ 前 カ リ チ イ タ 篇は ン ー メ ッ ツ ォ, カ プリ ッ チ ョ の 3 曲, 後 篇 こ の 曲 集 は 2 篇 か ら な り, ッ ョ, はイ ン ター メ ッ ツ ォ 3曲とカ プリッチョ 1曲の4曲からなっ ている. 7曲中の5曲が短調 であり,. : : :の近親調, 長調の2曲はいずれもホ長調, また最初と最後の曲が共にニ短調である‐ 前篇は d ,a ,g E 主調というプランがみられ カプリ チ と題された大変烈しい3曲と静的な 後篇は E の同 : : : e ッ ョ ,, , イ ンターメッ ツォ が甚だ対照的である‐ 第1番のT‐ 1~20における 重量感と力動性には真に ブ ラ ー ム ス ら しさ が こ も っ て い る. T. 21~37 の 詳言盗の 内 に こ め ら れ た 半 音 階 法 の ほ の か な 香 り, 及. びT.38以後の楽段には明らかな旋律線をもたずとも表情にこめられた潤い等々 が極めて印象的で ′ 形式は A(1~2 あ る. )B( )C( )異( )D( )C( 1 03~131 )B( 132~1 47 ) 0 21~37 38~58 59~66 67~1 02. C’( ) A’( ) coda ( 192~207 ) 1 48~17 5 176~191 . 全曲に切分音リズム が一貫しており, B 楽段, D 楽段, B’楽段の如き彼独自の内向, 沈潜のうちにも奥深い層におけるリ ズムの底流がかんじられ )再び A( ) )と斬る気持にも似た B( 3 5~71 7 2~1 04 るのである‐ 第3番は情熱の炎が送る A(1~34 ) の T‐ 1 ~ 2, 7 ~ 8 の ソ プ ラ ノ 動 機 が別 の 調 性 の う ち に 表 情 を 変 え か ら なる. A (a-b-al -bl -c. て数多く用いられる, 詰り B 楽段は A 楽段の発展的変容といえるのである. 第5番の標示のなかで imi imosent imento であ り, ホ 短 調 の 寂 し さ と 静 け さ が 深 最 も 特徴 を よ く あ ら わ し て い る の がint ss. 0小節に亘っ て連続させる. この 、動機 く心にしみこん でくる. A 楽段は左右同時に 癖 心7炉 7を1 と休符による弱奏は上拍に協和音, 下拍に不協和音という組合せ で始まるが, T‐ 5以降には上拍 に減3和音を用いることである.B 楽段は大変希薄な配置による分散音形の連鎖であり, 両楽段(曲 全体) が数の少ない, 柔和な淡水画の如きユニークな魅力をもっ ている. 転調, 調的浮遊, 変化和 音な どが漸次増して, 淡いなかにも内的多元性を多く含んでいる‐ 第6番, 前曲が数多い休符によ t る断裂のために特異的曲想を表しているのに対し, この曲は断裂をもたずt ene ramen eの 指示通 り, 優 しい気持が一貫している. この柔和 で温情に充ちた楽想にはラフ ァエロの 「聖母子像」 を想 ) 起させるものがある‐ 形式は A(1~24 )B( 25~42 )A( 43~57 )coda( 58~64 ‐ A 楽段はコラー ル書体 ではあるが, ソプラノとアルトの間に対位法的関係が一貫しており, 半音階法と調的浮遊も 存在する. 然し, 狭い音域内で地味に動くため, 密度の高い, 充実したひびきがきかれる. B 楽段 は嬰ト短調のそこはかとない寂しさをたたえた, 数少ない音による分散和音の希薄な展開である‐ A 楽段と結尾は再び深さと優しさにみちた楽想となる‐ 第7番カ プリッ チョ は前曲とは対照的に強 21~46 47~61 )coda 烈な外向的力動感を以て始まる‐ 形式は A(1~20 )B( ) 経過句 ( )A( 62~7 3 257.
(9) . 大 塚 夏 生. ’1 )は下降分散和音で始まる4曲中のひとつであり, ニ短調ではあるが, ) ( 74~9 2 a+a , 0十10 . A( 冒頭から減7和音を連続させて進行する。 要所にはトニカ及びドミナンテが配置されている. B 楽 段は完く対照的な幻想曲風のものとなり, 音形, 拍子, 調性, 音量共に変化して了う. 主旋律が中 29~36 ) となる‐ B 楽段の楽節構 21~28 ) に続いて, それが上・低声部交互の楽節 ( 声部の楽節 ( ’ 造は b+b 十b であり, 前楽段と同じく減7和音の使用が多い. T.47~61の経過句は A 楽段と同じ i 2/4 拍 子, ニ 短 調 で あ る が, 冒 頭 小 節 後 半 の 皿;で 以 て 始 ま る. こ れ は T.46 の a-c s-e の a を b に. 2小節の短いものであり, codaでは音形 が急に和 ずらせて g を加えたものである. A’楽段は僅か1. lnternlezzo・ ino tcncriuncnte. Andant. 譜例. 5. 譜例. 6. 7. P. 1. 金 ‐. 258. 4. 余. ※. 錠. 余. I. 余. ※ 余. 4. ※. op 1 6 .1 .N96 .. 余. ぬ. 余. ※.
(10) . ピアノ教材 [m]. 紘弾奏の3/8拍子に変るがT. 90~92では再び2/4拍子となり, 減7和音のほか多様な不協和音 が拍子の短縮と相僕っ て緊張を益々 高めている. (譜例5, 6). [m] 作品117およ び作品118( 1892~3) op il iと題され,189 117 の 3 曲 は Dre t 2年に出版された. 第1番の右肩には珍しく子守 n rme zz e ‐. l ks l i 歌がかかれてある. 詞はヘルダーの詩集はVo ederのなかの 「不幸な母親」 からの2行である.. ’ laf sanf r鴎‐曲 の 形 式 は in Kind Schlaf i inense t tundschbnI Mi t ch dauer ssehr ch we ,sch , me ,d. A (8+8十4) B (8十8+1) A’(8+8+4) である‐ A 楽段は静かな和声形態で始まるが, T‐ 4~6の右手には2つの線が現れ, T. 7~8には左右の線的対位法が現れる. T. 1 2~14に は右手に6度カノンの片鱗があり, T‐ 17~20は遠隔調 である変へ長調への急激転調もあって, 原 i i ter の心ゞ情を ほ の め か し て い る‐ こ の フ レ ー ズの 音 長 形 相 uckl 題 Wiegenl ed einer ul lgl chen Mut は T. 3 ~ 4 の そ れ と 同 じ で あ る. T. 1 ~ 6 は 優 美 でゆ っ た り と し た ひ びき を も つ. こ こ では 素. 朴で柔和な主旋律が中声部に現れ, 上声部の変ホの保続音のなかに包まれるひびきの効果は可愛い 21~24 ) 赤子と揺り篭のコンビを想わせる. これに反して B 楽段は同主短調で始まり ( , 変ロ短調 ) ) と転調するが, 左手の16分 音符分散和音にのっ て右手は 折n ( 25~28 29~3 6 n p , 変ホ短調 ( の動機の音高変化を伴う連続によっ てフレー ズを形作っ ている‐ この動機が集約形をとるのはT. 26 , 28 , 36-7のみであり, 最後の場合は右手が6/8拍子, 左手は3/4拍子というユニークな拍 節によっ ている‐ 異 は A の変奏であり, 優美を超えて典雅へたかまっ てゆくのである‐ 第3番の構成は A (5+5) B (5十5) 8 (5+5) パ’(5) C ( ) Psg (6) A” 10十10 ( 10十1 )coda(6)であり, 5小節単位の形式という点においてはop 0十1 0 76-3と共通している‐ ‐ T‐ 1~15は基本的にオクター ヴ単旋律であり 扉 酌 という単純な動機の連続‘ こよる, 素朴なな かにも寂夢感にみちたフレー ズである. T. 6~10も同じ素材といえるが属調で結ばれる. 冒頭1 0 小節はこのようにしてまとめられ, 黒灰色のうねりの印象をのこす. B 楽段に入っ ても静かさは続 1‐V7から属調で一応まとめられ, T. 1 き, 並行調のIV‐m‐1 6一20は並行調で始まり, 主調に落着 く‐ A’楽段においては主旋律が内声部に潜入し, 静説のうちに進む. 中間部 ( ) は夢幻的飛 46~75 翻性にとんだ30小節からなる楽段 であり, 反復記号をもつ. 音程の飛躍が多く, 空間暗示に傑れて 3‐gi 2 2-e 2-h い る. 開 始 T‐ 46~48 の 上 声 部 で は el -f ‐a2‐c2の よ う な 広 域 の 跳 躍 進 行 が T‐ 52~53 s ,. 8 56~5 , 61~62 , 66~69 , 71~73等々にみられる. 即ち短9度, 12度, 10度, 13度などの跳躍が 2 ld~ AIの 進 行 が あ り 斯 様 な 音 程 は 更 に T i あ り, ま た 左 手 の T‐ 46~ 9 に は AI~dl s ,A ~f,A~f , , .. 259.
(11) . 大 塚 夏 生 た 51~59 , 61~64 , 66~69 , 71~75 等々 ほ と ん どの 小 節 に 用 い ら れ て い る. 然 し, こ れ ら は 弱 奏 の. め決して刺戟性をもたず, 空間的無限感と絶妙なきらめきを暗示するかのようにひびく‐ この楽段. 2 l‐e 2‐f 2 l T 51ニ53;の dl il i i ‐d ‐el ‐f s s に 潜 伏 す る 線 的 関 係 と し て は T.56~ 8 の d , T.56~ 8 の cs , . l 2 1 2-D-e l T 61~ 8 の c i i ‐A,D-Di ‐E と Ei s‐E,d-E-f が あ っ て, 共 に 階 程 的 -d2 s‐H-B1 s-E-D,c s , . 、‐. 13. 譜例. 13. 7. 紫余. 楽 企. 業 象. 脈酪の約目をはたしている. 調性はイ長調とその関係調にあり, 各々変化音による情感の妙味もま ”楽段は主題が次属和音及び属7 主和音等を伴う 流れのなか で同じ主旋律 た注目すべきである. A7 , ’ が A や A とは異っ た情調を産み出している. 特に主題が内声においてのみ進むために惹起される 含蓄の深い味が, いかにも ブラームスらしいのである.. (譜例7). op‐ ) 118 erstucke (1893 , K1avi 曲 第 番 が バ ラ ー ド, 第 5 番 は ロ マ ン ツ ェ な り 第 6 番 が 間 奏 3 1, 2, 4, こ の 曲 集 は 6 曲か ら , ,. という組合せからなっ ている.第1番は大変短いがラ ブソディ ッ クな熱い炎の燃え上がる曲である. 構成は A (4十6) B (4十4+4十8)coda(2+4十2+5) 「- の素材を主体 , 一貫して 門戸「 「『「 ) を内声部に血脈として用いてい I 1 「 r「 1 とし, 更に副次的に 「r I 「 F「「 Fr 『「き (5~10 , 25~30. 2‐d2 l l 1 3‐b2 2 2 2 2 2 s B楽 ‐c2 ‐a2 る. 主 要 素 材 は A 楽 段 の c ,a‐as‐g (1 ~10) の 下 降 傾 向, ,a-g‐f,f‐e‐di 3-b2 2(11~ 2 15~ 6) の 上 昇 傾 向 そ して T 21~ 8 の c 3 c2-c 2-d2-f 2‐a2-c i 段 に あ っ て は g2‐gi s s , , . , l coda に お け る T 36~ 9の下降傾向として 全体の大半 1 2 2 2 2 2 l s le 3 3 -e -a2 , ‐ , , -d → g,g-f‐e‐d-c‐h‐gi. を占めている‐ その他の素材によっ て下降性, および上昇性を示している例もまた多く, それらは 各 声 部 に み ら れ る. 特 に T. 17~20 の バ ス は A か ら eに至る半音々階, 2分音符による上昇性を示 ‐c が 「『 m.キ の音価によっ て用いられ, 前者 している. 猶, 冒頭4小節には じb-『eとa‐gf はT. 21~2において再起用される‐ 主要素材以外には8分 音符による分散和音が用いられる. こ れは装飾性を企図したものではなく, 必要不可欠な音のみを組合せて仕上 げたものであり, そのひ とつひとつの音 が表現的意味を与えられている. ブラームスは熱烈な表現にさいしても細部の繊密 な計算行為を怠らなかっ たのである. 芸術的充実の原因は感ずることと考えることの統合にあるこ 6 1 工 ‐ ‐ :m亨 とを明白に開示しているのである. 調性をイ短調とみればa 6 4という冒頭になるが, 特にソ. 2 2 2-d2 2~ と い う 動 き を と っ て い る た め 一 般 的に は む し ろ F:V7‐1 3‐b2-a2-g2 1 1 プラ ノ がc -f ‐e ‐di -c s 6 ,. 260.
(12) . l ] ピアノ教材 [n IVS -ロ陰に き こ え, a ‐V の う ち に 明 確 化 さ れ て い る. ま たイ 短 調 性 が は っ き :は む し ろ B 楽 段 の V7-1‐ り して い る 箇 所 は 事 実 T. 36~41 , T. 26~30 及 び最 後 の 5 小 節 で あ る‐ A d 第2番 n antet rament eは 曲全体に素朴で優しい気持がみな ぎっ ており, なにかしら懐旧 ene. ) C (8+8+ 的詩情をかんじさせるものがある. 構成は A (4十4十4十4) B (8十7+7十10 ’ 1 2 ) 崖 (8) B (8+7+7十1 ) である‐ 書法には冒頭素材音列の変容, 対位法的処理, 大胆な 0 I 転調などもあり, B 楽段と C 楽段は共に冒頭素材の発展的変容である.即ち,冒頭の音形 団F U F. 2 i は B 楽 段(T‐ 24 の 上 声 部, T. 30~36 の バ ス と 上 声 部)に お い て 頻 繁 に 用 い ら れ, ま た 冒 頭 の c s 2-c 2は B 楽 段 T 16~18 の e-f i i -d s s-e の ほ か T‐ 20~22 等々 に お い て 変 容 的 に 用 い ら れ る‐ T‐ の .. l 2 2は上記動機の変形 即ち4度上行を含むが 更に5度跳躍を含む変容形などもあり これら h -e -d , , ,. が更に C 楽段をも支配している. また冒頭の3度上行, T. 2~3の7度上行もT.29以後に影響. 2‐d 2‐e と 左 手 の 下 降 音 列 g‐F i i -c を 及 ぼ して い る. 音 列 要 因 を み る と T. 12~15 の 上 昇 音 列 aLhl s s l l l等 々 が i i ‐eLd ‐E-Di ‐al ‐gi ‐f s s と T‐ 42~44 の A-Gi s-Fi s-E-D-Ci s-H, ア ル ト の T. 13-16hl s s. 重要素材として全体に渉透している‐ 例えば後者はT‐ 28~38のアルト, 前者はT‐ 35~7の内声 2 2の反進行形がT 35~ 6 の gi l 2 i -a2‐h1と し て 用 い ら れ て い る‐ -a s 部~上声部に用いられ,冒頭c -h s ‐ 2 2 2等々も冒頭動機の反進行形であり これは B 楽段を支配する i f i そのほかT‐ 34~5の上声 g -a s s , 致は対位法と大胆な転調にある. T. 57~64は嬰へ長調に 凸形素材のひとつ でもある. C 楽段の糟役 おける右と左のカノン, T.65~73は分散和音伴奏を左手にもつ上声部と中声部のカノン風対位法 によっ て密度が一層たかめられている‐ 第3 番. Bal lade ブ ラ ー ム ス は 既 に op 10 に お い て 4 曲 の バ ラ ー ドを ま と め て か い て い る が, 後 .. 期の作品にはこの曲以外に同名のものがみ当らない. 構成は A (5十5十6十6+5十1 0十3) B P A d A B 楽段がト短調, 楽段はロ (8十8十8+8) sg (5十5十8十5+7)co a(7) ‐(4) . G 長調, 前者は g 11~22 2 1 2 4 ) Es )g ( 3 ~ 3 ) ( 3 ~ 0 ) :(1~10 :( : である 、 . 激しさ, 分厚さ, 重量 感をもつ点において op 7 9のラプソディ ーと共通し, また内燃的体温と抑制的精神性をも保有する . という点において上記ラプソディ ーと非常に似ている‐ 旋律はソプラノにあり, 他の声部は歯切れ の よ い ス タ ッ カ [ トの 和 紘 で 以 て 始 ま る が, T. 11~21 と T. 36~40 に お い て は 和 紘 が 滑 ら か0能変. り, 初めてテノールと バスにも旋律的下降が ( 1 4~1 6 ) 現れる. この楽段を支配しているのは ”lr ・ ・ 21 )も用いられるが, これらを動機的に展開したり, mr or じIF H であり, 稀には 「 百亨 ( 対位法的に処理する書法はみられない. B 楽段は極めて優雅な歌謡的書法によっ ており, A 楽段の 素材が全般を占めているため, B 楽段は A 楽段の変容とともいえる. ここでは 1 」 .ヂ ‐ ” - 打刀」 およ び 却Di 刀 がT 4 7 ~8とT 6 3 ~4において対位法的に処理されている ‐P -” . . . この楽段は最 弱奏によっ てレガートにひかれる場合にのみ特質が生かされるのでる. 第4番は極度に抑制された単純・素朴な弦楽4重奏的書法によっ ており, デリケートな神経のい きとどいた曲である. 構成は A (7+5十4) B (4+4十3+4+4十3) A ( 1 3 ) C (8十8+ P A d 8十8十8) sg(8) 7十9十8)co a( 10 ) . 冒頭楽節はアルトとバスが1拍ずれた鏡像形 動機連鎖法をとっ ており, 続く楽節 (8~1 ) はソプラノとテノー ルが1拍ずれたカノン形をなし 2 ている. B 楽段にも上記2楽節の原理がいかされており, 更に多彩な転調的配慮もなされている. C 楽段に入ると音数は極度に少なくなり,希薄さと繊細さが益々その度を増してゆく ここにもまた ‐ ’ 左右の1拍ず れたカ ノン書法 が一 貫 して用 いら れている. 即 ちT. 51~90 9 1 ~ 98 , , 異 楽段 の 99~105 ,106~109などが各々音形を異にしたカノン, 即ち. 舛ず7鳥心 の第1群, 「 1「 ロー 「 の第. ‐ ” 群 1 ニロ 5~7 剣ロ , 征r か の第3群(A 楽段) , 口『 可 奮 ロー館 可 「 の第4群, T. 1. 26~7) β中江” の第6群がある. 斯様にこの曲は対位法による精級な組織 1 ーロロー「 の第5群, ( 261.
(13) . 大 塚 夏 生. 体 であり ながらも内的省察の深さを感じさせる ブラームスらしさをもっ ている. C 楽段にもまた転 -f -E: ‐C: ‐B: ‐c ‐Des -As : : :な どの 静 か に う つ ろ い ゆ く さ ま が 真 に 印 象 的 で あ る. 調 の 妙 味 があ り, As : : 第5 番. Romanze この曲の書法は弦楽4重奏的であり, 極めて地味で堅実であるが, 決して厳し. い楽奏はなく, 柔和 で慈愛にみちた子守歌のような, ものしずかな流れが特徴なのである. 構成は A (4十4十4十4) B (4十7+3) A (4+6) であり, A 楽段と B 楽段においては各々4小節 からなる バス素 材をくり返し, 他の声部がやや異なっ た形 (変容) をつくっ てゆくとうい 朝こおい て バロッ ク風の変奏曲を想起させる. T. 1~4はアルトとテノールが8度関係で同一主題を奏し, T‐ 5~8では同じ声部でそ れが変奏される‐ 次の3つの小節においては主題がソプラノに移り, 3~15では再びアルトとテノールで主題が平行し, 最後の 最後の1小節でアルトに潜入する. T. 1 小節でソ プラノに浮上する. 後部3小節は平行調であるニ短調に移り, そのまま B 楽段につづく. B 楽段の書法は更に単純化されており, バスは D 音を固執し, テノールも簡素きわまる トニカ (3 小節) と次属和音 (1小節) からなっ ている‐ この4小節の左手は7回現れ, 6回目の最後の小節, R olnanZe・ lante‐ An(. -. -. op 18 N95 .1 .. -. -. p,. p ノ r s〆m ザ 7 男愉ビ. た. 更に7回目の第1と第4小節が若干異なっ ている. この楽段は2声及び3声のバロッ ク風変奏書法 ’十b”+b’ ”etc と いう 構 造 な の で ’+a”+a であ り B 楽 段 は b+b を と っ て い る. 詰 り A 楽 段 は a+a ‐ ,. ioso で 一 貫 さ れ る べ き で あ り, l i vodo ce に 弾 か れ, 中 間 部 は graz ある. 曲 頭 の 指 示 通 り 終 始 espress べきであろう 譜例8 ) ( それによっ て情調の深さと繊細さを表現す .. 第6番の指示語は Andante‐Largo e. la corda 等 で あ り, 非 常 に 慎 mesto-sotto voce dolente‐ul. 0 ) B (4十4+4+6十4) A 重に演奏解釈されるべき作品である. 構成は A (41十42………41 262.
(14) . ピアノ教材 [m]. (4十10十4+4+2) である‐ A 楽段と A”楽段は冒頭主題 (4小節) とその変容からなり, B 楽 ) は主題の展開形をなしている. ここには過 ぎさっ た若き日の情熱のよみがえり 5 3~59 段の尾部 ( を想わせるものがある。 A 楽段と A’楽段は彼独自の内観性と寂夢感がみなぎっ ており, 決して甘っ たれた感傷に走ることなく, 常に知的統御の姿勢がみられるのである. テクスチュ アが単純なため に一層心に深く訴えるものがある. T.27~40が同形であるため, A 楽段は20十20の二群にわける こ と が 可 能 であ り, T‐ 3 ~ 6 の 左 と T‐ 23~26 の 左 の み が や や 異 な る と いう も の な の であ る. T‐ 10~15 と T‐ 30~35 に は 動 機 の 重 積 と労 割もあっ て若干の変化が感じられる‐ 諸動機の開始音は lf 2 l 1 2 b2 ges ges , , , ,b,des と 移 り 変 わ っ て ゆ く が, 和 声 的 処 理 に 大 き な 変 化 は なく, 単 純 さ ゆ え の 不 2から es2と い う 短 3 度 の あ い 思議な魅力をもち合わせている. 単純さは主題そのものにもあり,ge s. だのゆっくりとしたう ごき (1~2, 21~22の主題) の単音による導入部には筆舌につく し難い寂 費感, 更につづく最弱奏による減7分 散和音の深い心の底からの暗示的上昇・沈降の姿に最晩年の 心境をみるのである‐. [W] K1avi tucke op 119 (1893) ers ‐. i 釜の音楽 であり, その内省的想念には 限りない深測への没 第1番インターメッ ツォAdag o は詳言 14十1 2十4) A (8十6+4+3) であり, 入をかんじさせるものがある. 構成は A (8十8) B ( 冒頭3小節にみる3度堆積の逆行アルペッ ジョ の静かでゆっくりとした姿が特徴的である. T‐ 1 lから逆に上行した 2をならすためe 2← d 2← h l← g 1←e 1と3度ずつ下っ た後に上声が a i の和音はf s l← dlも 同 様 に み て く と 2← al← f 2 2 i i s s IV, 場合 に h : .の 和 音 と 同 じ 音 関 係 がう ま れ, T.2 の g ← e ← c l← d l← h ← g) こ れ が 緩 徐 な 弱 奏 で あ る た め に こ れ ら 3 2← al← f i i D:1, IV. s c s , ,と な る( . , 次 は D:. つの小節をたどると近代的なぼかしにも似た印象を与える. 右手はT. 4~8と12~16において形 状を変えているが, 全体としては下降的傾向にある. 然しT‐ 4~8の左手は上昇傾向を示し, T. 1 2~16においては再び下降性を示している‐ 下降性傾向に対時する上行跳躍音程の存在も 鶏こつく が, 就中4度跳躍のソ プラノと バスにおける頻繁な使用が最も顕著 なキ絹徴となっ ている‐ T‐ 4~5. の上声部と低声部には 鴨 包ま ; 隔 汀 醤剥 が 1といぅ関係がぁり, スラーの箇所は7度ヵノンと 6にも動機的連継法が度々用いられ, ドイツ的構造の血 5度カノンの手法によっ ている. T. 9~1 1は冒頭と同じく ぼかし手法をとっ ているがこの楽段の調的う ごきはご 筋を想起させる. T. 9~1 く普通のものである. B 楽段 ( 9~4 6 ) はやや劇的であるが, A 楽段の主要動機の変形によっ て組織されているため, 1 ‐叶「 基 全体は統一性を保っ ており, 展開部の感がつよい. 主要素材の変形は 洋上ぎ蔀g「 世 であ 4 ) はここにもみられ, 更に る‐ 前楽段において支配的であった右手の下降性音列 (4~6, 11~1 左手にも現れている‐ それはT. 24~ 8 の ソ プ ラ ノ, T‐ 27~ 8 の ア ル ト, T. 29~30 の バ ス, T. 31~ 3 の テ ノ ー ル, T‐ 32~ 4 の バ ス, T. 33~ 4, 36~ 8, 39~45 の ソ プ ラ ノ に み ら れ, 特 に 最 2‐hLa-g-f 3-d3-c i i -d2と い う 飛 躍 性 の 音 列 で あ る. 上 昇 性 の 素 材 と し て は T‐ 後の場合 はe sfl s 18~ 9, 24~ 5, 27~ 8, 32~ 4 の バ ス, T. 29~30 の ア ル ト, 45~ 6 の ソ プ ラ ノ に 各 々 半 音 階 法 2‐g2の 半 音 上 昇 音 列 が み ら 2‐e 2 2-f i i i と して 用 い ら れて い る. 更 に T. 20~ 4 の ソ プ ラ ノ に d2-d -e s s s. れる‐ 音域, 伴奏形, 動機処理などから B 楽段が A 楽段の雁種の発展的変容でることがわかるので ある. A 楽段は再現部の様相を呈しているが, T‐ 1~3に含まれていなかっ た素材音, 例えばT. 263.
(15) . 大 塚 夏 生 2と a lT lそ し て T 9 ~1目こみ ら れ な い 素 材 音 T 55 の d lT 49 の e l T 48 の hi i i i s s 47 の ai s s s , . . , . , . . l 2 l l 2 l 2 i i d i i s, e s, 56 の h, c,d s, e s,T. 57 の c, g 等 が 現 れ, 更 に 16 分 音 符 も 呈 示 部 と 異 な っ て 3 連 音 符 に 変 っ て い る. 然 しT. 4 ~ 7, 50~54 の よ う に 変 っ て い な い 箇 所 も 目 に つ く. A 楽 段 と 同 系 の 下 降. 2 性音列のほか, パ 楽段独自の下降性音列がT. 55~65 , 64~67にみられ, その第1例はa , 61~64 1nternleZZO.. 9 N91 op 1 .1 .. Adagio.. 1 . ‐ 楽. 余. 紫 雲. 鰍. 譜例. 52. 宝. 楽. 9. 52. \ 1 4 3 た. 5 .. 2 3 }. ノ. 愈. 繋 金. 療 金. lで l 第 3 例 は hl‐al‐g1 l l‐eLdLc 2-c2 i i i i i ‐f i i ‐dl ‐c s ‐aLg1 ‐f ‐hl s sLe s -g2-f s sLh‐a‐g‐f s , ,第 2 例 は g‐f l 2 T 57~ 8 の a-a 2‐e 2…e 2‐f i i i -hl s s s s ある. これに対する上昇性音列はT. 55- 6 の di ,T. 61~ 2 , . l 2 i i i 4重奏的 書法によっ てか か の a‐a s‐c sLhi s で あ る. 総 じて こ の 曲 も ま た 紘 楽・ s‐h ,T. 47~ 9 の a. (譜例9) れており, ビアニ ズムを捨てて 内的充実に徹しているのである. i t 第2番インターメ ッツォAndan noはホ短調の弱奏で通され, 月前 方行 方↓ のリ ズム的反復が極 めて狭い音程範囲でなされ, 地味な紘楽4重奏的書法によっ て孤独な旅人の言いしれぬ不安感の如 (5+ きものがあらわれている.構成は A(3十5+4十5+5十6十7)B(8十8+8十8十4)A7 lは T 13 以 降 に お い て イ 短 調 の 2‐g1 i ‐c ‐hl -aLf s 5 十 5 + 6 + 7) であ り, A 楽 段 中 の 主 要 音 列 hl .. 2(8分音符の3連音形) T 15‐17は同形のハ長調 T 1 ‐d , . 8以降 , . においては変イ長調, T. 22以降は主調, T‐ 28~34は静かで滑らかな8分 音符の流れとなっ て, l 2 1 l f i ‐a ‐ )は hLc ‐g -h sの細胞を発展的に 各々 が冒頭音列を変奏するのである. 即ち A 楽段(1~34. 2-c2- 2‐c2‐e2‐d2‐hl-e2‐f e2‐f. 変容したものであるが, 楽段内における表情と音型の変幻自在な様相は音列的一貫性にもかかわら ず, 多彩なファ ンタ ズィ アが産出される. B 楽段は前楽段とは全く異なる同主調の優雅な ワ ルツ で あり, 指示語の grazioso とteneramente が 意 味 を も つ. 余 計 な 音, 即 ち, 表 情 的 虚 飾 の な い 清 純 な 1 h 曲想, A 楽段とは対照的な明るさと柔らかさが特質となっ ている. ソ プラノはT.35~46が上昇( 264.
(16) . ピアノ教材 [ l n] 3 3→ f l i →d ) 性 を 表 し, T‐ 47~60 は 下 降 性 (gi i s ) を み せ て い る. 後 者 は 極 め て 長 い 規 模 に お け s s. るものであり, その後 ( 61~70 ) もまた下降性素材が小さな規模において用いられている A’楽段 ‐ は A 楽段と近似しているが, T.7 4~80には展開的変容がみられる. この曲の随所に現れる卵議J^ 119‐ No ” β , EU (77 の 左 等)etc ‐は op . .1 の 主 要 動 機. 粗二J と デに J の 変 形 であ る. 結 尾. 句は B 楽段の素材を用いて希 薄な音配置に変り, しずかにきえてゆく ‐ iosoeg 第3 番イ ン ター メ ッ オ は Graz i oco soという標示の如く大変典雅 である. 主旋律は曲全体 をとおして概ね右手の内声部 に用いられ, ソ プラノは概ね保続音的に維持される ブラームスは内 . 声主題で要所を占める書法を幾度か用いており, その控え目な表現は傑 れた抑制美 内在的奥床し , さ と して 崇 い 香 り を 放 っ て い る の であ る‐ T 1 ~11 と T 13~23 は 同 一 で あ る が 後 者 の 最 後 が 若 . .. 干異なっ ている. T.25~62は展開部であり, コー ダは8小節 構成は A(6十6十6+6)異(8+ ‐ 8 + 8 十 7十7)cod a(8) 1 ) されている. そ 3~24 ‐ 主題 はごく単純な波状の流れとなっ て反復 ( れをとり囲む上声部と低声部に潜在的傾向としての上昇と下降の流れがあっ て あるときは渋く , , 2迄の下 降 またある・ ときはつややかに効果を発揮している. 即ちT‐ 4 ~ 7 の ソ プ ラ ノ に は g2か ら c 線, T. 5 ~ 9 の 左 に は f か ら h までの上昇線 T 5~ 7 の 左 に も fか ら d ま での 下 降 線 T 6 , ‐ , . ,. 7, 9, 10の左には動機的関連性な どもみられる‐ T. 9~11は平行調であり その他にも近親調 , の和 音 借 用 が 若 干 みう け ら れ る. 調 性 は T. 25~40 に お い て A: ふf ‐Des -A: : : ,T‐ 41 は 冒 頭 と 同 調,. 同形, その後は F :V7と d :V7を借用しつつT‐ 49で主調に戻り, 更に経過的和音借用の後にT. 50 の主調に至る. 即ち A’( 41~7 0 ) 楽段は主調に終始している. この単純な色調と共に憧傷と希望 の. l l lの 下 降 線 が 潜 ん でお り T 30~32 の i 楽 想 が ひ ろ が る. T‐27~29 の 左 手 に は f i i -e - ‐d s s sLdes , ‐ lか ら d 3に至る長い上昇線が潜ん でお 左 に は des愉f‐as の 上 昇 線 が あ る,. T. 51~56 の ア ル ト に も f 1に至る長い上昇線 それに続くテノー ルの凹形伏線 1 り, T. T. 52~61 の 左 (バ ス) に F か ら g g , l-eLf l l-cLh‐a の 下 降 線 T 56~60 の 波 形 ア ル ト etc が 潜 伏 して い l i -f -g1及 び f -d s る. 以 上 列 挙 , . ‐. した少なから ざる状況からみて, この曲にも多様性, そして組成の強固さがあり 冒頭小節の細胞 , とその成長発展をいう理念の一貫性がみられるの である. 第4番. ラプソディ ーは先にとりあ げた op 79の2つのラプ ソディ ーと 異なっ て A 楽段 が大変 ‐ 明るく, 意気揚々,威風堂々たる曲であり, 後期の小曲には珍しい輝きを放っ ている 構成は A( 20十 ‐ 20十20十4) B (8十8十4+8)C(8+8十4+4十8十8)B 8 十 8 + 4 + 8) A 10十10十 12十10十10十12)coda(15). A 楽 段 の T 1 ~18 36~60 は ま さ に 分 厚 さ 重 さ 輝 き に 特 徴 が あ , ‐ , ,. り, 形態と和声が単純明快 である. 更にリ ズムもマーチのように健康そ のものといえる B 楽段は . 対照的に大変地味 である‐ 然し, なにかしら熱き想いを内奥に秘めているよう であり 上昇傾向も , 若干はあるが下 降傾向の方が遥かにつよい, 即ち上昇線はT 6 1~75 6~81にみられる ,7 ‐ 5~67 ,7 が, 下 降 線 は, T. 67~ 8, 69~71 .であ り, ほ と ん ど全 て の , 75~ 6, 77~ 8, 79~80 , 81~ 4 etc. 小節に亘っ ているのである. これらは概ね上・中声部にあるが 決して露わにならないよう 細心 , , の注意を払っ ているところがいかにもブラームスらしい 和声構造は A 楽段のそれよりも単純素朴 . である‐C 楽段の楽節構造8 + 8 十 4 + 4 十 8 + 8 を細分 化 す る と 3 十 5, 3 十 5 4 + 4 と いう こ , とになる. 真に気品にみちた旋律が装飾的分散和紘を伴っ て流れゆくさまは将 に絶品であり ホモ , フ ォ ニ イ では あ る が, 左 手 に も 命 脈 が 感 じ ら れ る T 98~100 の des-es-g‐as-b-as-g と T 99~101 . ‐ . の desLcl-b-as‐g-as は T‐122~ 4,123~ 5 に も 現 れ 共 に 内 声 の 旋 律 的 流 れ と し て 組 織 の 充 実 に 資. している. 前者は弓隆的, 後者は, 下降的であるがスタッカートであるために旋律としてはききと り に く い-. B 楽段の開始T.1 33~4はテノールに主旋律 があり, 直ぐ次の小節か らソプラノに移る ここに ‐ 265.
(17) . . 大 塚 夏 生 2か ら 始 ま っ て T 143 の g3ま で 昇 り T 147 は 弓 隆 線 が3 つ は あ り, T. 139~147 の ソ プ ラ ノ es , . . 2 2 2 2 2 2 2 l 2 d f 伏 的 な も の,そ して d 潜 b ‐ ‐ と いう - か ‐ ‐ ‐ c ら e 9 の c e す 線 T 1 4 4~ の g ま で徐 々 に 下 降 る と . T‐146~149 の 左 手 c‐d‐e-f-e‐d-c の 潜 在 線 な どが 目 に つ く. 下 降 傾 向 は 多く の 箇 所 に み ら れ る が, そ の な か で最 も 目 立 た な い の が T.149~152 の 左 手 a-g‐f‐e‐d-c‐H で あ る. バ 楽 段 は ハ 長 調 の 最 弱. 奏によっ て, 軽やかでデリケートに弾かれる べき箇所 であり, T. 153~167のスタッカート楽節の 4の同 形音形のスラーがきわめて対照 的な効果を表すが, 両者共 はずむピアニッ シモとT. 168~18 に冒頭楽節の変奏的展開であり, ここではそ れが評論なものになっ ているのである. 譜面が希薄に 6は 5~21 みえる程音数 が少なく, ビアニ ズムを超越している点が極めて ブラームスらしい. T. 18 突入 燃焼と共に冒頭楽節の再現へと せつつ熱烈な炎の T. 1 9~40の展開であり, 転調の妙味をきか. . . . 隣 南謎年li……lili…三 … ー. . ,. ‐Ces ‐Des -Ges :と 推 移 し, 音 形 が 華 麗 と な っ て 音 量 も 増 大 す ‐e -Des -es : : ‐B: ‐Ces : : : : す る. 調 性 は g :. 2~47は和音が変化に富み, 跳躍幅の広い右手の付点的音形によっ て緊張が益々 る. 封’楽段のT.23 つ の っ て ゆく. ス タ ッ カ ー ト の 16分 音符の列にも上昇・下降の波があり, 楽想は極度に鋭角化する. IV) ‐es ‐1‐1 1 (es :16と な り, 同 主 短 調 で終 る が, : :V1 T. 258~262 , 即 ち, 最 後 部 の 和 声 進 行 は es. 豪壮絢欄たろ曲想で以て最 後を締めくくっ ているのである.. お. わ. り. ) (譜例10. に. 以上, 後期の小品群30曲中の26曲について, ごくかいつまんで述べてきた. ここには ブラーム スの精神 生活の多様な面が如実に 音楽化され, 更にまた ドイツ浪漫 主義の特性が集約的に存在 して いる. 然し, 演奏効果を意図 したような華々 しい表層的音素材は極度に抑えられ, そのため装飾の 快楽に溺れる様相は全くみられない. 内省的精神態度の音楽的具現化の故に書体には一切の無駄が なく, 評議のうちに深厳な楽想が流れてゆく. それはときに神 秘性をお びる場合もあり, またある ときには言いしれ ぬ内燃の炎の極めて微妙なひかりを発することも ある. ラ プソディ ーの如き曲に おいてすら熱烈なる音群に理性による制御を加え, 思索的態度をく ずすことがない‐ それと同時に 慈悲の心をかんじさせる が如き温かさと柔和さの充溢した曲もあり, 更にみずみずしい憧優の念, t c 素朴なうたごころ, 優麗なる夢の園e ‐の如き 浪漫 生を内包した例もみう けられる. 然し, これら を必要にして不可欠 な音素材のみによっ て表現するところに特異性がある. 常に節度をわきまえる 潔癖な自省的精神こそ が最も高く評価されるべきなのでる. 次に書法の特徴をまとめてみよう. ブラームスも一般的書法である, 主題または主要旋律をソ プラノに用い, 他の声部を伴奏とする 266.
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