鬼遊びを用いたスクリーンプレーの練習の有効性
全文
(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第70巻 第2号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 70, No.2. 令 和 2 年 2 月 February, 2020. 鬼遊びを用いたスクリーンプレーの練習の有効性 板谷 厚・旭 悠志*. 北海道教育大学旭川校保健体育教室 *. 富良野市立富良野西中学校. Effectiveness of Practices of Screen in Basketball Using Games of Tag ITAYA Atsushi and ASAHI Yuji* Department of Physical Education, Asahikawa Campus, Hokkaido University of Education *. Furano West Junior High School, Furano. ABSTRACT This study examined the effectiveness of games of tag to learn screen in basketball. Thirty-two college students without experience to practice basketball as a player participated in this study. Participants were equally divided into two groups (play-tag group, and normal-practice group). The play-tag group was involved in practices of the screen using games of tag. The normal-practice group took part in regular practice sessions designed to acquire screen for basketball players. Both groups completed five practice sessions lasting thirty minutes. Screens occurred in four-minute four-on-four games in the first and last (fifth session) were counted. Also, after each practice session, participants’ subjective ratings for enjoyment, difficulty, comprehension, proficiency, and exhaustion were collected. Statistical analysis reveals that both practice groups play screen more frequently in the last than the first session. No group difference in the frequency was found. Gender differences were detected in comprehension and proficiency only in the normal-practice group. These results suggest that skills acquired with play-tag practices can transfer into the screen in basketball games; moreover, both genders can practice screen the same way with play-tag practice.. 1.はじめに 2021年度より全面的に実施される新学習指導要. 領における球技の領域は「ゴール型」,「ネット 型」,「ベースボール型」の3分類に整理されてい る8),9)。イギリスのTeaching Games for Under. . 309.
(3) 板谷 厚・旭 悠志. standing (TGFU)1),アメリカのTactical Games. の練習で養ったボールの動きを把握する感覚が卓. Approach (TGA)4) に認められる「戦術アプロー. 球でも通用したりする。2つの異なる運動間で,. チ」の流れを汲み,中学校に限らず,どの校種で. 動きのパターン,ルール,概念,力学的原理およ. も作戦を立てて仲間と連携することを求められて. び方略において類似した要素があると学習転移が. いる。実際のゲーム中に学習者が直面する様々な. 「ゴー 生じる12)。学習転移は戦術においても生じ,. 状況に関連付けられた技術や知識を重視する「戦. ル型」,「ネット型」,および「ベースボール型」. 術アプローチ」は,現在の学校体育における球技. の各カテゴリーに分類されたそれぞれのボール. 指導の主流である. 14). 。. ゲームには共通した戦術的要素があり,カテゴ. ゴール型球技は2チームがコート内で入り混じ り,戦術を用いて攻防を組み立て,一定時間内に. リー内の種目において戦術学習の転移が可能だと される16)。. 得点を競い合う競技である。ゴール型球技のオ. 鬼遊び(いわゆる鬼ごっこ)からゴール型に接. フェンス(OF)では,得点できる確率を高める. 続させるための教材として「すり抜け鬼」を実施. ために数的優位や味方のノーマークを作って得点. した先行研究は,運動能力ではなく時間と空間に. を狙うことが重要である。. 関わる戦術によって勝敗が決定する状況をつくり. バスケットボールはゴール型球技のひとつであ. 出すことができ,鬼遊びがゴール型の基礎的な教. る。バスケットボールのOF戦術にスクリーンプ. 材として有効であると示した13),14)。つまり,鬼. レーがある。スクリーンプレーは,2人以上の. 遊びから,鬼と子が対峙したときに互いに勝利す. OFで行う戦術であり,1人のディフェンス(DF). るためのかけ引きや戦術を学習し,それが鬼遊び. の進路を遮断して数的優位や味方のノーマークを. と類似したゴール型の1対1の場面でのかけ引き. つくり出す。バスケットボール競技では24秒以内. や戦術に転移し得るのである。. にシュートすることが求められているため,短時. 本研究では複雑な戦術であるスクリーンプレー. 間に2人で遂行可能な戦術であるスクリーンプ. を,遊びを通して学習させることを試みた。特に,. レーは重要なOF戦術である6)。. 鬼遊びは一般的な運動遊びであり,また学習指導. 戦術学習においては,既存の競技スポーツの. 要領において小学校低学年で学習するため,誰も. ルールや用具,コート等を改変したゲームを用い. が経験している。鬼遊びを用いれば,スクリーン. 7). ることが推奨されている 。いくつかの先行研究. プレーに抵抗なく取り組め,かつ転移を利用した. は,体育授業におけるバスケットボールの戦術学. 戦術学習ができると考えられる。鬼遊びを用いた. 習について検討している。これらの先行研究では,. 練習でスクリーンプレーを学習させることができ. 3対2アウトナンバーゲーム,ドリブル禁止ゲー. れば,体育授業や競技指導の場面での戦術学習に. ム,フリーシュートゾーンゲームが取り上げられ. おいて有効な練習法になり得る。. 11),5),10). 。しかし,体育授業でのスクリー. 本研究では,鬼遊びを用いた練習の,スクリー. ンプレーを用いた戦術学習を検討した研究は見受. ンプレーの学習に対する有効性を検討することを. けられない。スクリーンプレーは一つの地域に4. 目的とした。このため,大学生を対象に,鬼遊び. ている. 6). 人以上密集する高度な戦術であり ,難易度の高. を用い練習する群と,競技バスケットボールで一. い戦術であるために体育授業では扱いにくいと考. 般的に用いられる方法により練習する群を設けて. えられる。同様に,競技場面においても,バスケッ. 介入試験を実施し,両群のスクリーンプレーの実. トボール未熟練者にとってスクリーンプレーは複. 施様相と対象者の内省報告を比較した。. 雑であり,戦術理解には時間がかかる。. なお,スクリーンプレーはオンボールとオフ. 運動学習では,投運動の練習で培った基本的な. ボールに分けることができ,オンボールスクリー. 動きがテニスのサーブの上達を助けたり,テニス. ンプレーはボールマンとスクリーナーの最少2人. 310.
(4) 鬼遊びを用いたスクリーンプレーの練習の有効性. で行うことができる戦術である。本研究では,オ. 2.2.実験の手順および測定項目. ンボールスクリーンプレーをスクリーンプレーと. 10月22日から11月1日までの期間,本校の昼休. し,オフボールスクリーンプレーについては取り. み(12:10-13:00)に1回30分程度の運動介入. 扱わない。. を両群それぞれ計4回行った(図1)。最終回の 5回目は両群合同で実施した。各練習回は,ウォー ムアップと説明(5分程度),主たる練習(15分),. 2.方 法. 4対4ハーフコートゲーム(以下,ゲーム)2分. 2.1.対象者 対象者は,本校学生の競技バスケットボール未 経験者32名であった。遊びを用いた練習(遊び練. ハーフ×2×男女,まとめ(2分程度)で構成し た。 それぞれの群の運動介入の内容は次のとおりで. 習)に取り組む群16名(男8名,身長1.69±0.07m,. あった。. 体重61.5±8.0kg,女8名,身長1.60±0.06m,体. 2.2.1.遊び群. 重52.4±5.7kg) (遊び群),競技バスケットボール. 1回目は各自でウォーミングアップをした後,. で一般的に行われている練習(通常練習)に取り. ゲームを行った。対象者には何も指示をせず自由. 組む群16名(男8名,身長1.73±0.05m,体重68.0. にゲームをさせた。ゲーム後は,今後の練習内容. ±8.5kg,女8名,身長1.60±0.06m,体重54.0±. を紹介した後,スクリーンプレーについて作戦. 4.7kg) (通常群)とした。. ボードと本校男子バスケットボール部員の協力を 得て撮影した動画を用いて説明した。 2回目から練習に取り組み,「スクリーンのぎ りぎりを通る動きができるようになること」,「ス クリーンをボールマンDFの横にセットできるよ うになること」の2つを目標として設定した。練 習内容は,独自に考案した遊びを用いたスクリー ンプレーの練習であるスクリーン鬼Ⅰ(図2A), スクリーン鬼Ⅱ(図2B)を行った。その後,マー クマンを決めて守るようルールを追加したゲーム を実施した。 3回目は,「スクリーンをボールマンにつくDF の横にセットできるようになること」,「スクリー ンをかけた後ゴール方向に走り込みアウトナン バーを作れるようになること」の2つを目標とし て設定した。練習前に,撮影した前回のゲームの プレーを抜粋して視聴し,スクリーンは,ボール マンがその場に立ち止まっている時にしやすいこ とを全体に助言した。練習内容は,2回目に行っ. 図1 各群の練習の様子 スクリーン鬼Ⅰを行う遊び群(上)と2対2を実 施する通常群(下) 。. たスクリーン鬼Ⅱと,2対1タッチダウン(図2 C)を行った。また,遊び練習を実戦につなげる 補助練習としてバスケットゴールを使った2対0 (図3A)の練習も短時間取り入れた。その後, ゲームを行った。. . 311.
(5) 板谷 厚・旭 悠志. 図2 鬼遊びを用いたスクリーンプレーの練習. 312.
(6) 鬼遊びを用いたスクリーンプレーの練習の有効性. 図3 通常群の練習方法の例. . 313.
(7) 板谷 厚・旭 悠志. 4回目は, 「スクリーンをかけた後ゴール方向. ついてと自分のプレーについて自由に記述させた。. に走り込みアウトナンバーを作れるようになるこ と」 , 「人数が多い中でもノーマークを見つけられ. 2.3.データ処理および統計. るようになること」の2つを目標として設定した。. 結果はすべて平均値±標準偏差で表記した。. 3回目と同様に,練習前に前回のゲームを視聴し,. それぞれの練習方法の効果を検討するために,. スクリーンプレーがしやすいようコートのスペー. 男女別に1回目と5回目のゲーム中に生じたスク. スを空けることを全体に助言した。練習内容は,. リーンプレーの試行回数および試みた人数につい. スクリーンシューティング(図3B)と,3対2. て,χ2適合度検定を行った。練習方法の違いに. タッチダウン(図2D)を行った。その後,ゲー. よる練習効果の違いを検討するために,男女別に,. ムを行った。. ゲームの各分析項目の1回目から5回目の増加量. 5回目は,通常群と合同で運動介入を行い,内. についてχ2適合度検定によって群間で比較した。. 容は群ごとのゲームと,群対抗戦を実施した。. 性別による練習効果の違いを検討するために,そ. 2.2.2.通常群. れぞれの群でゲームの各分析項目の1回目から5. 1回目と5回目の内容は遊び群と同様であった。. 回目の増加量についてχ2適合度検定によって男. 2回目の練習内容は,1対0,2対0(図3A). 女間で比較した。. を行った。その後,遊び群と同様にマークマンを. 練習方法がスクリーンプレーについての内省報. 決めて守るようルールを追加したゲームを実施し. 告に与える影響を検討するために,1回目と5回. た。なお,各練習回の目標は遊び群と同様に設定. 目の各調査項目のVASについて,男女別に練習. した。. 方法(2水準)×調査時期(2水準)による反復. 3回目は,2対1,スクリーン後2対1(図3. 測定分散分析を行った。それぞれの練習方法が男. C) , 2対2を行った。その後,ゲームを実施した。. 女のスクリーンプレーについての内省報告に及ぼ. 4回目は,2対2,スクリーン後3対2,3対3. す効果について検討するために,群別に練習方法. と進み,最後に,ゲームを実施した。. (2水準)×調査時期(2水準)による反復測定. 2.2.3.測定項目. 分散分析を行った。これらの分散分析において主. 両群ともに1回目と5回目のゲーム中に生じた. 効果および交互作用に有意性が認められた場合に. スクリーンプレーの試行回数および試みた人数. は,事後検定としてBonferroniの方法による多重. を,体育館のギャラリー,ステージ,フロアにそ. 比較検定を実施した。. れ ぞ れ 1 台 ず つ 設 置 し た ビ デ オ カ メ ラ(GZ-. 練習中の内省報告は2回目から4回目の各調査. EX370-B JVCケンウッド社製)3台で撮影した. 項目のVASの平均値について,男女別の群間比. 映像から数えた。また,毎回終了後に,主観的な. 較とそれぞれの群で男女間比較を対応のない t 検. 楽しさ,難しさ,理解度,習得度,およびきつさ. 定にて行った。男女間比較については,それぞれ. 2). について対象者にVisual Analog Scale (VAS). の練習日の各調査項目のVASについても群別で. により記録させた。VASは感情や気分などを,. 対応のない t 検定を実施した。. 信頼性を確保しつつ迅速に測定できる手法であ. 有意水準はα=0.05に設定した。統計解析には. る13)。記録用紙に描かれた100mm長の水平線分. SPSS Statistics v21(IBM社製)およびR v3.4.3. の左端をまったくそうでない,右端を極めてそう. (GNU GPLv3)を用いた。. であると定め,対象者には,各項目について線分 の該当するところに短垂線で印をつけるよう口頭 で指示した。VASの右端から印までの距離を各 項目の測定値とした。加えて,今回の練習内容に. 314.
(8) 鬼遊びを用いたスクリーンプレーの練習の有効性. 3.結 果 3.1.ゲーム中のスクリーンプレーについて 男女ともに,通常群と遊び群の両方で,1回目 ではスクリーンプレーはほとんど試みられておら ず, 5回目にスクリーンプレー試行回数は増加した。 χ2適合度検定の結果,ゲーム中のスクリーン プレー試行回数は,通常群男子で1回目0回から 5回目6回(χ2=6.000, p=0.014)に,遊び群男 子 で 1 回 目 1 回 か ら 5 回 目 7 回( χ2=4.500, p=0.034)に,通常群女子で1回目0回から5回 目4回(χ2=4.000, p=0.046)に,遊び群女子で 1 回 目 0 回 か ら 5 回 目 8 回( χ2=8.000, p=0.005)に増加した(図4)。スクリーンプレー を試みた人数は,通常群男子で4名(8名中), 遊び群男子4名(8名中),通常群女子3名(8 名中) , および遊び群女子6名(8名中)であった。 なお,練習も含め1度もスクリーナーをしなかっ た者の人数は, 通常群男子3名,遊び群男子1名, 通常群女子2名,および遊び群女子2名であった。 3.2.1回目と5回目の内省比較 内省調査の性別での群間比較の分析結果を表1 と表2に示した。. 図4 スクリーンプレーの試行回数の変化. 内省調査の群内での男女比較の分析結果を表3 と表4に示した。 遊び群において,習得度に時期の主効果に有意 性が認められ,5回目で高くなった。すべての項 目で性別の主効果に有意性は認められなかった。 時期×性別の交互作用は,きつさにのみ有意性が. 男子ではすべての項目について時期の主効果は. 認められた。多重比較検定の結果,1回目は男子. 認められなかった。練習方法の主効果は,難しさ. で女子よりきつくなかったが,男子は1回目より. および習得度で有意性が認められた。多重比較検. も5回目でよりきつさを感じた。通常群では,楽. 定の結果,難しさは遊び群でより高く,習得度は. しさと理解度で時期の主効果に有意性が認められ. 通常群でより高くなった。すべての項目で時期×. た。どちらの項目も5回目でより向上した。難し. 練習方法の交互作用に有意性は認められなかった。. さについて性別の主効果に有意性が認められ,女. 女子では,楽しさ,理解度,および習得度につ. 子が男子よりも難しさを感じていた。時期×性別. いて時期の主効果に有意性が認められた。多重比. の交互作用は理解度で有意性が認められた。女子. 較検定の結果,楽しさ,理解度,及び習得度で1. は5回目で1回目よりも高い理解度を示した。. 回目より5回目で高い値を示した。すべての項目 で練習方法の主効果に有意性は認められなかっ. 3.3.練習回の内省比較. た。楽しさと理解度について時期×練習方法の交. 練習回(2-4回)の各項目の平均値について,. 互作用に有意性が認められた。多重比較検定の結. 男女別に群間比較を実施した結果を表5に示した。. 果,楽しさと理解度はともに通常群において1回. 男子では難しさと理解度の群間差に有意性が認. 目よりも5回目で有意に高い値を示し,楽しさは. められ,難しさは遊び群でより高く,理解度は通. 5回目で通常群が遊び群より有意に高い値を示し. 常群でより高くなった。女子では理解度の群間差. た。. に有意性が認められ,通常群でより理解度が高. . 315.
(9) 板谷 厚・旭 悠志. かった。. 遊び群ではすべての項目で男女の差に有意性は. 練習回 (2-4回)の各項目の平均値について,. 認められなかった。一方,通常群では難しさと理. 群別に性別による比較を実施した結果を表6に示. 解度の男女差に有意性が認められ,難しさは女子. した。. でより高く,理解度は男子でより高くなった。 表1 練習前後の内省変化の群間比較(男子). 項⽬ 楽しさ 難しさ 理解度 習得度 きつさ. 群. 1回⽬. 5回⽬. 遊び. 88.7 ± 8.4. 92.9 ± 7.6. 通常. 92.2 ± 12.3. 98.6 ± 3.2. 遊び. 58.3 ± 33.5. 57.1 ± 23.0. 通常. 23.8 ± 23.5. 40.3 ± 30.2. 遊び. 81.1 ± 19.2. 80.2 ± 16.1. 通常. 85.0 ± 19.0. 90.7 ± 17.5. 遊び. 51.4 ± 6.5. 63.1 ± 16.5. 通常. 74.0 ± 19.1. 71.4 ± 19.6. 遊び. 9.7 ± 9.6. 31.2 ± 23.6. 通常. 16.8 ± 29.3. 17.1 ± 12.8. 時期の主効果. 練習⽅法の主効果. 交互作⽤. F (1, 14) = 4.487, p = 0.053 F (1, 14) = 1.784, p = 0.203 F (1, 14) = 0.211, p = 0.653 F (1, 14) = 1.057, p = 0.321 F (1, 14) = 4.729, p = 0.047 F (1, 14) = 1.403, p = 0.256 遊び > 通常. F (1, 14) = 0.513, p = 0.485 F (1, 14) = 0.738, p = 0.405 F (1, 14) = 0.981, p = 0.339 F (1, 14) = 0.607, p = 0.449 F (1, 14) = 7.296, p = 0.017 F (1, 14) = 1.513, p = 0.239 遊び < 通常. F (1, 14) = 3.215, p = 0.095 F (1, 14) = 0.180 p = 0.678. F (1, 14) = 3.069, p = 0.102. 表2 練習前後の内省変化の群間比較(女子) 項⽬. 群. 1回⽬. 5回⽬. 楽しさ. 時期の主効果. 練習⽅法の主効果. 交互作⽤. 遊び. 85.4 ± 9.5. 87.5 ± 11.6. F (1, 14) = 9.978, p = 0.007 F (1, 14) = 1.466, p = 0.246 F (1, 14) = 5.021, p = 0.042. 通常. 85.2 ± 10.9. 97.6 ± 2.9. 1回⽬ < 5回⽬. 5回⽬:遊び < 通常, p = 0.032 通常:1回⽬ < 5回⽬,p =0.002. 難しさ 理解度 習得度 きつさ. F (1, 14) = 0.393, p = 0.541 F (1, 14) = 1.569, p = 0.231 F (1, 14) = 0.273, p = 0.609. 遊び. 53.1 ± 22.9. 53.9 ± 27.4. 通常. 61.1 ± 26.9. 70.3 ± 23.0. 遊び. 73.8 ± 13.9. 77.1 ± 15.6. F (1, 14) = 13.555, p = 0.00 F (1, 14) = 0.357, p = 0.560 F (1, 14) = 6.077, p = 0.027. 通常. 70.8 ± 13.3. 87.5 ± 10.7. 1回⽬ < 5回⽬. 通常:1回⽬ < 5回⽬, p = 0.001. 遊び. 43.1 ± 22.3. 65.7 ± 18.3. F (1, 14) = 15.970, p = 0.001 F (1, 14) = 0.332, p = 0.574 F (1, 14) = 0.005, p = 0.945. 通常. 47.9 ± 27.5. 71.2 ± 15.3. 1回⽬ < 5回⽬. 遊び. 33.3 ± 20.7. 24.7 ± 24.5. F (1, 14) = 0.207, p = 0.656 F (1, 14) = 0.651, p = 0.433 F (1, 14) = 1.461, p = 0.247. 通常. 35.6 ± 17.6. 39.5 ± 29.6. 表3 練習前後の内省変化の男女比較(遊び群) 項⽬ 楽しさ 難しさ 理解度 習得度 きつさ. 316. 性別. 1回⽬. 5回⽬. 男. 88.7 ± 8.4. 92.9 ± 7.6. ⼥. 85.4 ± 9.5. 87.5 ± 11.6. 男. 58.3 ± 33.5. 57.1 ± 23.0. ⼥. 53.1 ± 22.9. 53.9 ± 27.4. 男. 81.1 ± 19.2. 80.2 ± 16.1. ⼥. 73.8 ± 13.9. 77.1 ± 15.6. 時期の主効果. 性別の主効果. 交互作⽤. F (1, 14) = 3.299, p = 0.091 F (1, 14) = 0.987, p = 0.337 F (1, 14) = 0.349, p = 0.564 F (1, 14) = 0.001, p = 0.982 F (1, 14) = 0.138, p = 0.716 F (1, 14) = 0.018, p = 0.895 F (1, 14) = 0.118, p = 0.736 F (1, 14) = 0.502, p = 0.490 F (1, 14) = 0.367, p = 0.555. 男. 51.4 ± 6.5. 63.1 ± 16.5. F (1, 14) = 10.858, p = 0.005 F (1, 14) = 0.190, p = 0.670 F (1, 14) = 1.09, p = 0.314. ⼥. 43.1 ± 22.3. 65.6 ± 18.3. 1回⽬ < 5回⽬. 男. 9.7 ± 9.6. 31.2 ± 23.6. ⼥. 33.3 ± 20.7. 24.7 ± 24.5. F (1, 14) = 1.773, p = 0.204 F (1, 14) = 0.903, p = 0.358 F (1, 14) = 9.619, p = 0.008 1回⽬:男 < ⼥, p = 0.011. 男:1回⽬ < 5回⽬, p = 0.007.
(10) 鬼遊びを用いたスクリーンプレーの練習の有効性. 表4 練習前後の内省変化の男女比較(通常群) 項⽬ 楽しさ 難しさ. 性別. 1回⽬. 5回⽬. 性別の主効果. 交互作⽤. 男. 92.2 ± 12.3. 98.6 ± 3.2. F (1, 14) = 10.376, p = 0.006 F (1, 14) = 1.698, p = 0.214 F (1, 14) = 1.039, p = 0.325. ⼥. 85.2 ± 10.9. 97.6 ± 2.9. 1回⽬ < 5回⽬. 男. 23.8 ± 23.5. 40.3 ± 30.2. F (1, 14) = 2.565, p = 0.132 F (1, 14) = 10.7, p = 0.006 F (1, 14) = 0.209, p = 0.654. ⼥. 61.1 ± 26.9. 70.3 ± 23.0. 理解度. 男. 85.0 ± 19.0. 90.7 ± 17.5. ⼥. 70.8 ± 13.3. 87.5 ± 10.7. 習得度. 男. 74.0 ± 19.1. 71.4 ± 19.6. ⼥. 47.9 ± 27.5. 71.2 ± 15.3. 男. 16.8 ± 29.3. 17.1 ± 12.8. ⼥. 35.6 ± 17.6. 39.5 ± 29.6. きつさ. 時期の主効果. 男<⼥. F (1, 14) = 19.817, p = 0.00 1 F (1, 14) = 1.409, p = 0.255 F (1, 14) = 4.812, p = 0.046 1回⽬ < 5回⽬. ⼥:1回⽬ < 5回⽬, p < 0.001. F (1, 14) = 2.693, p = 0.123 F (1, 14) = 2.508, p = 0.136 F (1, 14) = 4.229, p = 0.059 F (1, 14) = 0.108, p = 0.748 F (1, 14) = 4.338, p = 0.056 F (1, 14) = 0.083, p = 0.777. 表5 練習中の内省報告の群間比較. 表6 練習中の内省報告の男女比較. . 317.
(11) 板谷 厚・旭 悠志. 4.考 察 4.1.ゲーム中のスクリーンプレーについて. るごとに上達を感じられたことが推察される。 男子では遊び群で通常群よりも難しさが高かっ た。女子では,通常群のみが1回目よりも5回目. 1回目と5回目のゲーム中のスクリーンプレー. で理解度が高かった。 遊び練習では1つの遊び. 試行回数を比較した結果,両群ともに同等に増加. に対して1つのルールが存在し,①遊びのルール. した。つまり,通常練習だけでなく遊び練習でも. を理解する,②練習をする,③練習の中からコツ. スクリーンプレーをより使えるようになった。し. をつかむ,④ゲームに反映させる,の4つのステッ. たがって,遊び練習で身につけさせた戦術をプ. プを踏んでいる。これに対して通常群ではすべて. レー場面に転移させることができると考えられ. の練習がバスケットボールのゲームに直接つなが. る。特に女子においては,通常群4回に対し遊び. るように組まれており,遊び練習での①のステッ. 群8回と2倍であった。5回目のゲーム中のスク. プを踏まずに戦術を学習できる。このため,難し. リーナー試行人数は,人数が多い順に遊び群女子. さや理解度に群間差が生じたと考えられる。練習. 6人,遊び群男子及び通常群男子4人,通常群女. 期間中の群間比較でも同様に,男女ともに通常群. 子3人であった。また,全5回でのゲーム中のス. で遊び群よりも練習中の理解度が高く,男子では. クリーナー試行人数は,人数が多い順に遊び群男. 遊び群で通常群よりも練習中の難しさが高かっ. 子7人,遊び群女子及び通常群女子6人,通常群. た。練習回でも練習方法での学習ステップの違い. 男子5人であった。ゲーム中のスクリーナー試行. により,難しさや理解度に群間差が生じたと考え. 人数において遊び群は通常群を男女ともに下回ら. られる。. ず,むしろ上回った。これらのことから,遊び練. 男子では通常群は遊び群よりも習得度が高かっ. 習によってゲーム戦術としてスクリーンプレーを. た。女子では通常群のみが1回目よりも5回目で. より頻繁に使えるようになる可能性がある。. 楽しさを感じ,5回目のみ通常群が遊び群よりも 楽しさを感じていた。両群とも,スクリーンプレー. 4.2.内省調査の群間比較について. はノーマークシュートを打つための戦術であると. 女子では,両群とも1回目よりも5回目の楽し. 紹介された上でそれぞれ違う練習に取り組んだ。. さ,理解度および習得度が高くなったが,群間に. 通常練習ではシュートを打つ機会が多くあったの. 差はなかった。両群とも1回目のゲームやスク. に対し,遊び練習ではシュートを打つ機会はほと. リーンプレーの説明の際に「わからない」,「でき. んどなかった。異なる練習過程を経たためバス. ない」を感じていた。しかし,練習の進展にとも. ケットボールの面白さの一つであるシュートに少. ない「わかった」,「できた」が増え,5回目には. なからぬ練習量の差があり,シュートの頻度の差. 「わかる」 , 「できる」が多くなっていた。このこ. が楽しさや習得度に影響したのではないかと予想. とが楽しさをより感じることにつながったと考え. される。実際に5回目のゲームのシュート本数と. られる。 実際に,練習期間中のゲームでのスクリー. 両チームの合計得点を群間比較すると,シュート. ンプレー試行回数は両群とも回を重ねるごとに増. 本数は男子が遊び群6本に対し通常群8本,女子. 加した。アンケートの自由記述では,両群とも2. は遊び群8本に対し通常群13本,両チームの合計. 回目は「ゲーム中にどうしたらいいかわからな. 得点は男子が遊び群5点に対し通常群9点,女子. い」 , 「スクリーンが難しい」などの記述があった. は遊び群8点に対し通常群13点であり,通常群が. が, 4回目では 「スクリーンができて楽しかった」,. 遊び群を上回った。シュートに対する意識に群間. 「スクリーンをしたが味方とのタイミングが合わ. 差が生じていたのかもしれない。. なかった」などスクリーンの成否だけでなく状況. 内省調査では通常群で理解度や習得度が高かっ. も踏まえた記述がみられた。両群ともに回を重ね. た一方,ゲーム中のスクリーンプレー試行回数は. 318.
(12) 鬼遊びを用いたスクリーンプレーの練習の有効性. 遊び群で通常群よりも男女ともに通常群を上回っ. 解度に男女差は見られなかった。体育の授業など. ており,内省と実際のゲームの試行回数との間に. 男女合同での学習場面において,通常練習だと学. 食い違いがあった。遊び群は遊び練習のルールを. 習効果に男女差があり男女の学習進度にずれが生. 理解することに時間を割いてしまうが,通常群は. じてしまうと推察される。対照的に,遊び練習だ. 説明後すぐに練習に取りかかりやすく,練習に対. と学習効果に男女差がなく学習進度を揃えて学習. する理解度に差が生じた。つまり,遊び群は通常. でき,男女合同での指導の際に効率よく学習を進. 群よりも少ない時間しか実際に練習に取り組めて. められる可能性がある。. いなかった。さらに,遊び練習の方が通常群より もバスケットボールをプレーする時間は短かっ. 4.4.指導現場での応用. た。 しかし, 5回目のゲーム中のスクリーンプレー. 本研究の結果,遊びを用いたスクリーンプレー. 試行回数は遊び群が上回った。身体操作を主とす. の練習がボールとゴールを使用する一般的な練習. る鬼遊びは, ゴール型球技の下位教材として,ボー. と同等にスクリーンプレーの学習に効果的である. ル操作ではなく相手との関係に焦点化して,戦術. ことが示された。さらに,遊び練習は,一般的な. を用いる状況を簡易化してつくりだすことがで. 練習よりもボール操作に注目させずに戦術の動き. き,ゴール型に必要とされる対人的戦術を学ぶ誇. そのものへ焦点を当てることができるので,スク. 張された教材として機能する14)。本研究におい. リーンプレーの学習初期に,ノーマークを作る感. ても,戦術の学習において遊び練習を用いること. 覚に焦点を当てて学習したい場面で利用できる。. でバスケットボールの他の面白さ(シュートなど. 体育授業では,本研究にて考案した鬼遊びを小. のボール操作)への注目をさせずに学習したい戦. 9) で学習しておくこと 学校低学年の「運動遊び」. 術(スクリーンプレー)に焦点を当てることがで. により,その後の戦術学習の手助けとなり得る。. き, より効果的に戦術を学習できたと考えられる。. 中学校ではスクリーンプレーの戦術学習をさせた い場合の導入や主活動として扱える。鬼遊びを用. 4.3.内省調査の男女比較について. いた練習はドリブルではなく持って運ぶなど,. 遊び群は男女とも1回目よりも5回目の習得度. ボール操作の難易度を調節することもでき,児. が高かった。通常群は男女ともに1回目よりも5. 童・生徒の実態に応じた練習にすることも可能で. 回目の楽しさと理解度が高かった。先の群間比較. ある。また,通常練習ではスクリーンプレーに対. で述べたように,遊び練習ではスクリーンプレー. しての難しさや理解度に男女差があった一方で,. をゲーム中により使えるようになること,通常群. 鬼遊び練習に男女差はなかった。男女合同の指導. ではわかりやすい練習を用いてバスケットボール. 場面で男女一斉にスクリーンプレーを学習させる. をより楽しめることが理由として考えられる。. ことができ,学習効率が高まるかもしれない。. 遊び群では,1回目のみ女子がよりきつさを感 じ,男子のみ1回目よりも5回目のきつさが高 かった。遊び群はきつさにのみ男女差があった。. 4.5.結論と今後の課題 本研究の結果,遊びを用いた戦術練習によって,. 一方で, 通常群では女子で男子より難しさが高く,. ゲーム中にスクリーンプレーができるようになる. 女子のみ1回目よりも5回目の理解度が高かっ. ことが示された。また,一般的な練習よりもボー. た。通常群は練習期間中にも男女差があり,女子. ル操作に注目させず戦術の動きに焦点を当てて学. で男子よりも難しさは高く,男子で女子よりも理. 習できることが示唆された。さらに,体育授業の. 解度は高かった。通常群では難しさや理解度に男. ような男女一斉指導を行わなければならない場面. 女差があった一方,遊び練習ではスクリーンプ. では,遊び練習の方が通常練習よりも適している. レーの上達についての内省項目である難しさや理. 可能性がある。. . 319.
(13) 板谷 厚・旭 悠志. 本研究では,遊び練習の難易度が比較的高かっ たことにより練習内容は若干わかりにくく,楽し さを強く感じられない様子も見受けられた。今後 の課題として,学習者の実態に合わせて遊び練習. ン が 戦 術 に 与 え る 影 響, 体 育 学 研 究,60⑴:239248. [11] 鬼澤陽子,小松崎敏,吉永武史,岡出美則,高橋 健夫(2008)小学校6年生のバスケットボール授業 における3対2アウトナンバーゲームと3対3イー. のルールの調整をし,より理解しやすく楽しい練. ブンナンバーゲームの比較―ゲーム中の状況判断力. 習に改善することが挙げられる。. 及びサポート行動に着目して―,体育学研究,53⑵: 439–462. [12] Schmid RA, and Lee TD (2014) Motor learning and performance: From principals to application. 利益相反. --Fifth edition, Human Kinetics, Champaign.. 本論文について,開示すべき利益相反状態はな い。. [13] 清水将(2016)ゴール型へ接続する対人的戦術を 内容とした鬼遊びの研究―小学校低学年ゲーム領域 の「すり抜け鬼」の実践―,岩手大学教育学部附属 教育実践総合センター研究紀要,15:161-167.. 文 献 [1] Bunker D, and Thorpe R (1982) A model for the teaching of games in secondary school, Bulletin of Physical Education, 18⑴,5-8. [2] Cella DF, and Perry SW (1986) Reliability and concurrent validity of three visual-analogue mood scales, Psychological Reports, 59⑵, 827-833. [3] 藤田将弘,小谷究,芦名悦生(2015)バスケットボー ル競技におけるシュート成功率向上のための練習の 検討―ピックプレイに着目して―,日本体育大学紀 要,44⑵:37-46. [4] Griffin LL, Mitchell SA, and Oslin JL (1997) Teaching sport concepts and skills, Human Kinetics, Champaign. [5] 東川智之,岩田靖,竹内隆司(2007)小学校体育 における侵入型ゲームの授業研究―バスケットボー ルにおける「サポート行動」の学習可能性に関する 検討―,信州大学教育学部附属教育実践総合センター 紀要 教育実践研究,8:153-162. [6] 稲垣安二,石川武,清水義明,西尾末広,荒木郁夫, 古沢栄一,近藤光夫,本間正行(1983)バスケットボー ルにおける3系統の順次性と指導内容に関する研究. 日本体育大学紀要,12⑵:159-168. [7] 木原成一郎(1999)イギリスの1980年代における 体育カリキュラム開発の研究―「理解のための球技 の授業」アプローチの検討を中心に―,広島大学区 学校教育学部紀要,第Ⅰ部,21:51-59. [8] 文部科学省(2017)中学校学習指導要領解説,保 健体育編. [9] 文部科学省(2017)小学校学習指導要領解説,体 育編. [10] 三本雄樹,大庭昌昭(2015)小学校高学年のバス ケットボール授業に取り入れたフリーシュートゾー. 320. [14] 清水将(2017)ゴール型の下位教材としての鬼遊 びに関する検討―対人的戦術を誇張するスコープと シークエンス―,岩手大学教育学部研究年報,76: 15-30. [15] 鈴木直樹,鈴木理,土田了輔,廣瀬勝弘,松本大 輔(2010)ボール運動・球技の授業づくり, 教育出版, 東京. [16] 髙橋健夫(2010)新しいボールゲームの授業づく り―学習内容の確かな習得を保証し,もっと楽しい ボールゲームの授業を実現するために―,体育科教 育,58⑶:152.. (板谷 厚 旭川校准教授) (旭 悠志 富良野市立富良野西中学校教諭).
(14)
関連したドキュメント
Research in mathematics education should address the relationship between language and mathematics learning from a theoretical perspective that combines current perspectives
An example of a database state in the lextensive category of finite sets, for the EA sketch of our school data specification is provided by any database which models the
A NOTE ON SUMS OF POWERS WHICH HAVE A FIXED NUMBER OF PRIME FACTORS.. RAFAEL JAKIMCZUK D EPARTMENT OF
For staggered entry, the Cox frailty model, and in Markov renewal process/semi-Markov models (see e.g. Andersen et al., 1993, Chapters IX and X, for references on this work),
A lemma of considerable generality is proved from which one can obtain inequali- ties of Popoviciu’s type involving norms in a Banach space and Gram determinants.. Key words
In [9], it was shown that under diffusive scaling, the random set of coalescing random walk paths with one walker starting from every point on the space-time lattice Z × Z converges
de la CAL, Using stochastic processes for studying Bernstein-type operators, Proceedings of the Second International Conference in Functional Analysis and Approximation The-
[3] JI-CHANG KUANG, Applied Inequalities, 2nd edition, Hunan Education Press, Changsha, China, 1993J. FINK, Classical and New Inequalities in Analysis, Kluwer Academic