アイヌ語旭川方言の複他動詞
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(2) . 3巻 北海道教育大学紀要 (人文科学‐社会科学編) 第5. 平 成 14 年 9 月. 第1号. ) VO 1 I i ISc i fEducabon (Human fHokka i do Un i i t lo a ences tyo I esandSoc I Journa s ver ‐53 . ,No. Sept ember .2002. アイヌ語旭川方言の複他動詞* 井. 筒. 勝. 信. 北海道教育大学旭川校 英語学研究室. 1. は じ め に 「は」) 並列 の助 詞 (「も」) の標 識 が存 在 する こ と, 場 所, 起 点, 終点 な ど アイ ヌ 語 は, 話 題 化 の助 詞 ( , 「で」 「か ら」 「に」 な ど) が用 い ら れる こ と, SOV の 語 順 が 典 型 的 で あ る こ の 表 現 に 後 置詞 (格助 詞) ( , ,. となどの点で日本語や韓国語との大きな統語的類似性を示す一方で, 主格と対格の後置詞 (格助詞) が基本 的には用いられない点で統語的に著しい相違を示す. そのため, 動詞が二つの目的語を従える時 (いわゆる 「複他動詞」 の場合), それらの構造全体はさながら英語の二重目的語構文のように働く. 従っ て, アイヌ 語のこの構造は, 他の言語でいう二重目的語構文に相当するものとして扱うことも充分可能である. 他言語の二重目的語構文ないしはその相当表現とアイヌ語の複他動詞及びその目的語からなる構造に見ら れる似通いは, 形式だけでなく意味にも及ぶ. 英語の二重目的語構文が 「与える」 型と 「奪う」 型の意味を l dbergl992 表す こ と は良く 知 ら れて いる (Langackerl99lb;Go ,1995;井 筒2001b). ま た, 日 本語 の二 重 目 的語 相 当 表現 である 「~ を ~ に」 構 文, 「~ に~ を」 構 文も, そ れ ぞれ 「置く」 型 と 「変 える」 型, 「与 え )‐ ア イ ヌ 語の複 他動 詞 は, 本 論文 で示 る」 型 と 「奪う」 型 の意 味を 持つ も の と して 分析 で きる (井筒20ola すよう に 「与 える」 型, 「置く」 型, 「奪う」 型 の概 ね三 つ の意 味を用 いる も の と して 分類 する こと が 出来る. ここ に 「与 える」 型 と 「奪う」 型 と いう 意 味的 な重 なり が見 出さ れる こ と は, 単 なる 偶 然 と は見 倣 しがた い.. 本論文は, アイヌ語の旭川方言を例に取り上げて複他動詞の意味分析を行ない, 二重目的語構文という概 念を導入してそれらの意味記述を精密化しよう とする試みである. 複他動詞が持ち得る意味の殆 どが 「与え る」 型, 「置く」 型, 「奪う」 型 三つ の い ず れか に 分類 出来る と す れ ば, そ れら複他動詞 と二 つ の目 的 語か ら なる構 造 は, そ れ ら三つ の意 味を持 つ 「アイ ヌ 語 の二 重 目的 語構 文」 である と結 論付 ける こ と が 出来る. こ. のような手続きを踏むことによって, 他言語の二重目的語構文に関する研究成果に照らしてアイヌ語を分析 す る こと が可 能 に なる‐. また, 該当するアイヌ語の構造を二重目的語構文と見倣し, 上で指摘したような意味を持つ ものとして一 般化出来れば, 日本語・英語な ど他言語での一般化を更に強化する ことにも繋がる. 二重目的語構文という 「 「 「 構 造 自 体 が言 語 の 差 異 を超 え て 極 限 ら れた 範 囲 の 意 味 (「与 える」 , 変 える」 型 の 意 味) , 奪う」 , 置 く」. を持つものとする一般化も可能である‐ このように一般言語学の成果に照 らしてアイヌ語の再分析を行なう ことは, アイヌ語自体の研究を推し進めるばかりでなく, 他言語の研究や言語横断的な一般化の妥当性を探 る上でも有用性が高い. 先ず2節では他動詞の語形成と分析性という点から複他動詞の語形成の全体像を提示し, 3節ではアイヌ. 37 3 0 3 ) に基づく 『アイヌ語基礎語葉の認知言語学的研究』 の- 1 0 本稿は, 科学研究費補助金 (奨励研究 (A) 課題番号1 部として行なった調査をまとめたものである. 草稿に目を通して貴重な意見を下さった井筒美津子氏 (札幌大学外国語学 部) 並びに横村栄美氏 (北海道教育大学大学院) にお礼を申し上げたい‐.
(3) . 井 筒 勝 信. 語旭川方言に見出される複他動詞の意味を概観する. 最後に4節では, 複他動詞とその補部からなる構造が 他の言語の二重目的語構文に相当する 表現形式として見倣せることを示し, 得られる観察を他言語での一般 化に引き付けて再検討する.. 2. アイヌ語複他動詞の語形成 本節 で は, 他 動詞 の語 形成 に 関わる 他 動詞 化 辞 ・ 使役化 辞 ( i i i i t t rans v z ngandcausa誼vizingsu伍ges) と 充当 相接 辞 ( f i i t l l道ty) と いう 概 念 に照 ら して 複 他 appUca vepre x) につ いて 概 観 した 後, 分析 性 ( ana yzab. 動詞の語形成の全体像を提示する. 2. 1 他 動詞 化 辞・使 役 化 辞 ( i i ing su作i i t i tMz v z xes) r ans ng and causat 複 他 動 詞 に は, ーe te と いう 三 つ の 接 尾 辞 を 持 つ も の が見 出 さ れる. 田村 ( 1996 ) は, こ れ ら の , -re ,‐ 接尾辞を他動詞化辞 (transitivizingsu伍×) ま た は使 役 化 辞 (causat i i i v z ngsu伍×) と して 扱 っ て いる. 自. 動詞に付いて分析性 ( 2 ‐3節を参照) の低い動詞を派生する場合を他動詞化辞として扱い, それ以外を使役 化 辞 と して 扱 っ てい る よう で ある が, 2‐3節 で述 べ る よう に 分析 性 は段 階性を成 す た め こ れ らの 区別 は必 , ず しも 明確 で はな い.. これらの接尾辞は, 動詞の取る項を一つ増やす働きをする. 本来項を一つしか取らない自動詞とこれら接 尾辞だけでは, 三つの項を取る複他動詞を形成することが出来ない1 . 従っ て, 他動詞化辞という概念は直 接的に複他動詞を派生する要素とはなり得ない. 複他動詞を派生する要素として直接的に関与するのは他動 詞 に付 加 さ れる 使 役 化 辞‐e t e (及 び他 動 詞 に付 加 さ れる 充当相接 辞) である. , ‐re ,一. 2.2 充当相接辞 金田一 ( 1993[ 1960 ]) で は, 他 動 詞 に 見 ら れる e- i ive appl cat , o- , ko-と いう 接 頭 辞 を 充 当 相 の 接 辞 ( 「 「 「 「 f潔es ) と 呼 んでいる. e‐は 「そ こ に」 pre , そ れ にて」 , そ れのた め に」, に就い て」 , そ れも て, そ れで」 , 「と 共 に」 という 意 味を o-は 「に」 「か ら」 という 意 味を ko‐は 「と 共 に 「 「 」 , , , , そ れ に対 して」 , それに 「 向 か っ て」 , ヘ」 と いう 意 味を 持つ もの と して記述 さ れて いる. こ の記述 か ら分かる とお り, 三つ の接 頭 辞 の 意 味は互 い に重 なり 合 っ てお り, 明確 な違 い を指摘 する こ と は容易 で はな い. 金 田一 は そ れ ぞ れの 語 源 につ い て, e‐は同 形 の 指 示 詞 (「そ こ」 の 意) に o‐は 同形 の 「尻」 と いう 語ま , た は or (「そ こ」 の 意) に, ko-は kor (「持 つ」 の 意) に起 源 があ る と いう 考 え を 示 して いる しか し そ . ,. れぞれの接頭辞が実際に持つ意味は, これらの語源的意味より遥かに広い範囲に及ぶ‐ 従って, この見解が 正しいとしても, 語源的意味から三つの接頭辞を区別することはやはり困難だと言わざるを得ない. 2.3 分析性 ア イ ヌ 語 の 複 他 動 詞 は, 分析 性. ( l l i i ) と いう 点 で段 階性を成 す. 一 方 の 極 に は, 意 味の上 で ty ana yzab と 接 辞 に 分析 可 能なも の が存在 する2 も 形の上 でも動 詞, re(~ に~ を 食べさ せ る), nuka r-e(~ . 例 え ば, e- 他動詞化辞が自動詞に付くことで派生される分析性の低い他動詞に2 2節で扱う充当相接辞が付加されることによって初 . めて複他動詞が出来る. 同様な分析性 の違 い は, 日 本語や韓 国語な どでも 観察される. 日 本語を例に取 れ ば, 『見させる』, 『見せる』 『示す』 は , 類似 した意味を表す 表現 であり ながら, この順に分析性 が高い‐ ここでも 『示す』 『見させる』 は分析性の尺度の両極に , 位置 し, 一方 『見せる』 は, 『示す』 より高く 『見させる』 より低い中 間段 階に位置する.. 2.
(4) . アイヌ語旭川方言の複他動詞. snu(~ k‐ i t に~ を見 せ る),es e(~ を~ で一 杯 にする)は動詞 と2‐1節 で見 た 他動詞 化 辞 ・使役 化 辞 に,e‐paka. は 2節で見た充当相の接頭辞と動詞に分析可能である. また反 に~を教える) , ko‐uk (~から~を奪う) 2‐ 対 の 極 に は, o (~ に~ を 入 れる, の せ る, 掛 ける) や erusa (~ に ~ を 貸 す) の よう にそ れ以 上 形 態 素 に 3 分 ける こ と が出 来 ない (な い しは 分 けにく い), 分析 性 の極 めて 低 いも の が存 在 する .. これらの両極の間には, 意味と形の上で動詞と接尾辞乃至接頭辞にある程度分析可能であるものの, 全体 の 意 味は必 ず しも そ れ ら部 分か ら予測 さ れない も の が存 在 する. 例 え ばnu‐re , ko‐nuは, そ れ ぞれ , kor‐e 「~ を 聞く + さ せる」 「~ を持つ + させる」, 「~ に+~ を 聞く」 に 分 けら れる 点 である 程 度の 分析 性 を具 え , 「 「 て いる. しか し, こ れ らの 語 が 全 体 と して 持 つ 意 味 は, 「~ に~ を知 らせる」 , ~ に~ , ~ に~ を与 える」 を質 問する」 と なり, 必 ず しも 分析 か ら得 ら れる 意 味と 一 致 しな い. こ れ らの 語の 分析 性 は, o , erusaより. 高いが, e‐re, nukar‐e, esik‐te, e‐pakasnu, ko‐ukに 比 べ る と 低 い こ と が 分 か る. こ の よ う な 分 析 性 は, 一貫性に深く関わっ ている‐ 4 ‐2節で述べるように二重目的語構文が持つ意味と複他動詞が持つ意味との. 3. アイヌ語複他動詞の意味 本節では, アイヌ語旭川方言に見出される複他動詞の意味を概観する. 一つの方言辞典としては, 現在最 6 ) から複他動詞を拾い出し, それらを 「アイヌ語旭川方言コーパス」(井 1 99 も大きな収録語数を誇る田村 ( 4 ) で検 索 した結 果18の 動 詞 が見 付 か っ た . こ れ らの 動 詞 は, 意 味 に基 づ い て 凡 そ 三つ に 分類 する こ 筒2002 と が 出 来る. そ れ ぞ れ以下 の3‐1節 か ら3‐3節 で見る こと にする. 「与 える」 型. 3. 1. 先ず一つ目の類は, 「主語の指示対象が, 間接目的語 が指示する 生物に直接目的語の指示対象を与える」 と いう 意 味を 表す も の で, 以 下 の議 論で は 「与 える」 型 と 呼ぶこ と にする. コー パ ス に見 出さ れた18の複 他 t i~ に (食べ物) を供 する, ko arara~ 動 詞 のう ち 半 分 はこの 類 に属 す る も の と見 倣 す こ と が 出来る :kopun に~ を 差 し出す, ere~ に ~ を 食べ さ せ る, kure~ に ~ を 飲ま せ る, kore~ に~ を与 える, erusa~ に ~ を 5 貸す, epaka snu~ に~ を教 える, nukare~ に~ を見せ る, nure~ に~を 聞か せ る/知 らせ る .. 最初の四つは, 次の例からも分かるように何らかの物体の具体的な物理的・肉体的移動を伴う授与を表現 ▲. す る.. ( 1 ). resu yupoan‐kopuniawa nea menokot otan‐anuinei. かの 娘の乳 を置 い て育 て の 兄さ ん に差 し上 げ. ) ま した (人々 の物 語;196. ( ) 2. i tak korPakese rsekor haw i i -ekarkars -koniwasnui sonekai utarpa utar k roroan wa Cupkaunmati. i t arara 旦 那 衆 は喜 ん で, チ ュ プカ 夫 人, よう こ そ と, に こ に こ しな が ら言 っ て 酒 椀 を 私 の 方 へ 差 ‐ko ) し出 しま した. (英 雄の物 語:178. 3. ここでerusaを 挙 げて いるの は, 対応するrusaという 動詞 が見出さ れないため である. 語源的 には, 頭のeが充当相接辞e‐ である可能性もある が, 母語話者 がそのような分析 を最早 しなく なっ て しま っ た語 は, や はり 分析性 の低いも のと して扱 わ れることになる‐. 9 9 6 ) から複他動詞を拾い上げ, 本論での分類に従って 1 4 沙流方言では, 遥かに多くの複他動詞が見つかる. 筆者が田村 ( 整理 したものを付録に挙 げておく‐ 5. しか しながら,「与 える」 型が最も多く の複他動詞 を含 む類 だと見る のは早計である. 付 録に挙 げた沙流方 言では, F置く」 型の方 が 「与える」 型よりも多い. 複他動詞 が持ち 得る 意 味の典型性 につ いて は更なる調 査が必要である.. ’. 3.
(5) . 井 筒. 勝 信. ( 3 ) huc ior wasayo ney paknoenciere. ばあさんから. いつも 、お かゆ. 食べさせてく れた. (私の一代. の 思い 出:63 ). ( 4 ). bekotope poronno en kore pontures iku kure koronuman pakno haw sak 牛 の 乳 沢 山 く れ て 妹 . .. に飲ませ晩ま で泣かないで (私の一代の思い出 60 ) r そ れ に対 して k ore , erusa の 言 語 化 す る 授 与 は, 次 の 例 に示 さ れる よう に物 理 的 移動 を し ば し ば伴う も. のの, 本質的には所有権・使用権といっ たものを前提とする抽象的な移動に関わるものである . ( 5) kanto kor kamuy korturespak s i retoki sam ki wa kore kunikamuy erampetek kusu. 天界 を統 率. する神様その妹にそれ以上の美貌 (の者) は (この世では一神も) いなく (嫁に) やるべき神様も (思 い 当 た らず) わ か らな か っ た の で (アイ ヌ 民 話:179 ). ( 6 ). i orwano kimuntoys i sam cie neant rusa aokaas . そ れから山の土地 ,s. 和 人 に貸 して 息子 と 一 緒. に居 りま した. (私 の 一代 の思 い 出:163 ). ( 5 )では 「妹」 がいずれかの神に嬰られ (所有され) ると同時に その神のもとへ物理的に移動することを意 , 味するのに対して,( 6 )では 「土地」 自体が物 理的に移動するわけではない. その所有権ないし使用権が 「和 人」 の領域 に移 動 する こ と を 意 味 して いる .. 残る三つの動詞が言語化する授与は, 以下に例を示すようにいずれも抽象的な移動に関わるものである . 授 与 さ れる も の が知 識, 映像 音 と い っ た抽 象 的 なも の である と いう 点 で 前 の 六つ と異 なる , . , ( 7 ) kuirpaksapo kemeykiun epakasnu. いとこ姉からもさいほう教えて下さいました (私の一代の思 い 出:84 ) ( 8 ) p i d ‘ rkasinot an wae ‐ nl a reanna ) ‐ す て き な遊 びがある んでお 目 にか けま しょう(英雄の物語 168 9 ( ) ku utarien kemnu,okaketaen nure i 私 の 親 せ き 皆 か ばっ て く れ て, 後で色々聞かせ s っ てくれて . 私の親せき皆かば ,ku c , 後 で 色 々 聞力 てく れて, 泣 い た. (私 の一代 の思 い 出:159 ) こ の 点 で, こ れ ら三 つ の 動 詞 は 「比 除 的 授 与」 と 見 る の が 適 切 かも 知 れな い こ れ は Lako茸 ( 1987 ) で . , いう 比 除 的拡 張 (me i t i ) に該 当 する も の である. aphor c副 ext ens on 3.2. 「置く」 型. 二つ目の類は, 「主語の指示対象が, 直接目的語の指示対象を間接目的語が指示する場所に位置づ ける」 という 意 味を 表すも の で, 以 下 では 「置く」 型 と 呼ぶこ と にする 以 下 の七つ の 動詞 がこの 類 に属 する も の .. と見倣せ る :esikte ~ を ~ で い っ ぱ い にす る, etarare (串 鋲 針 な ど) を~ に さ す kokarkar i~ を ~ , , , でく る む, kot i (ベ タ ベ タ したも の) を ~ にく っ つ ける mi ac , re ~ を~ に着 せ る, o ~ を~ に置 く, omare ~ を~ に置く. 3‐1節 で見 た 「与 える」 型 の 動 詞 と の 違 い は 以 下 の 例 か ら読 み 取 れる よう に 間接 目 的 語 の 指 示 対 象 が , ,. 生物 ではなく場所的な存在となる点である. 回り usa kosonte kamuyc iki tekekarranke kakencayr ikun kakencay an‐ rpean- iktei k ikor es. いろ んな. 小袖みごとな晴れ着を手作りして下の衣桁も上の衣桁もいっ ぱいになり (一杯にさせられ) ますと (ア. 4.
(6) . アイヌ語旭川方言の複他動詞. ) イ ヌ の民 話 1 :71 iko r う ち の 大 兄 に 金の 焼 串を 突 き刺 して 火 に tetarare wa apetuyka koas ) an‐poro yupikaneimani QI. ) か ざ しま す と (ア イ ヌ の 民 話 1:86 k i i ikaineacapoutareul lkoani wa p i ・na wanupur i rr ‐ 死 人 ゴザ r goza an kokarkar arays ,ans. 回. 枚 にくる ん で し ばっ て 山の. 上 にお じさ ん達 かつ い で. ) 行 っ て (私の 一代 の思 い 出:37. i ici =suyep kaesnaetor kotac iesna etor kotac tankiokar esna etori. 回. 一. く しゃ み の鼻 汁 を 木椀 のま わ. り にく し ゃ み の鼻 汁 を (べ たべ た と) く っ つ けて (中 に盛 ら れた) 料理 にも く しゃ みの 鼻汁 を ひっ か け ) て いま す. (オイ ナ2 :72 喜 ん で学 校 通 っ た. (私 の れ i iku hok ih Q① mi roroan re p . そ れ か ら着物 買 っ て 着 せ て もう ,so nok ,ku mi ) 一代 の思 い 出:175 io wauhuyka imikunip mun kas Q5 ) usa yar c. 色々 着 物 や 草 上 に して焼 い た ((死 体 を ぼる 切 れや 草 の. ) 上 に置 い て)) (私の 一代 の思 い 出:28. Q 6 ). inean=nuyanuya hinean=upsoromare wa an=uk h. (白 銀 の 玉 を) 私 は 手 に 取 る と 私 は よ く 採 ん で. ) (磨 い て か ら) 私 は懐 に しま っ て (オイ ナ2 :96. いずれの場合も, 物理的・肉体的移動を含む点でも, 「与える」 型の動詞と対照的である. 「奪う」 型. 3.3. 三つ目の類は, 主語の指示対象が, 間接目的語の指示する生物から直接目的語の指示対象を奪う」 という 意 味を 表す も の で, 以 下 で は 「奪う」 型 と 呼ぶ こ と にする. 僅 か に二つ の動詞 が この類 に属 する も の と見 倣 6 せる :kouk~ か ら~ を奪う, konu~ か ら~ を聞く, ~ に~ を 質 問する . 間接 目 的語 の 指示 対 象 が生物 と な. る点でも, 関与する移動が◎のように物理的・肉体的である場合もあれば◎のように抽象的である場合もあ る点でも, 「与える」 型の動詞と類似性を示す. 回. ikouk i ttaunc ietoytaamam kaopi sam‐ 戦 争 の た め折 角 つ く っ た 米も 皆 epkai tumian kusuc .c. 取り上げられ食べ物なくて, (私の一代の 思い 出:156) ⑩. K。tan‐kor ‐kamuy esoyta‐an WainantaPaknoiku haW PatekiPe haW Patek an‐konu korka ,. コタ. ) ンコロ神 の 隣 にいて 何 時も 飲 酒や 食 事 の音 ばかり 聞 い ていま した が (英 雄 の物 語:183. これらの文ではいずれの場合も, 「米」 ないし 「飲酒や食事の音」 の移動が表現されている. その一方で, 直接目的語の移動先が間接目的語ではなく主語の指示対象である点で対照的である. Qのでは iという 受動 態 の形 を取 っ て いる た め 幾 分 分かり にく い が,「米」 はkoukの 意 味上 の 間接 目 的語 である 「私 unc たち」 で はな く, 意 味上 の 主 語 で あ る 「和 人」 へ と 移動 す る こ と が 表 現さ れて い る. ま た 回 で も, 「飲酒 や 食 事 の音」 はkonuの目 的語 の 指示 対 象 である 「コタ ンコロ神」 か ら主 語 の指示 対 象 であ る 「私」 に移動 する.. 旭川方言で筆者が現 在用 いているテクス トは5万 語前後 のもの である ため, 見出される もの が少ない可 能性 がある. 付録 に挙げた沙 流方言では, 「奪う」 型と見倣すこと が出来る 複他動詞 が少なく とも11個 見つ かる‐.
(7) . 井 筒 勝 信. 4. アイヌ語の構文に基づく分析の可能性 以上見てきたアイヌ語旭川方言の複他動詞が補部に取る構造は 他の言語の研究で二重目的語構文として , 扱われている形式に相当するものとして見倣すことが可能である 41節ではアイヌ語の分析に二重目的語 . ‐ 構 文と いう 概 念 を導入 し, 4.2節 ではそ れと密 接 な使 役構 文と の関係 につ いて述 べ る 最 後 に4 3節 で は 二 . . ,. 重目的語構文という概念を用いたアイヌ語の分析から得られた結果を他言語での一般化に引き付けて再検討 する.. 4.1. アイ ヌ 語 の二 重 目 的 語 構 文. 3 節 で示 したよう に アイ ヌ 語旭川 方 言 の複他 動 詞 が持 ち 得る 意 味は 「与 え る 「 「 , 」 , 置く」 , 奪う」 型 の 三 つ に 限ら れる. 従 っ て 複他 動詞 と二 つ の 目 的語 か らなる構 造 は そ れら三 つ の 意 味を 持 た 「アイ ヌ 語の , っ ,. 二重目的語構文」 と見倣すことが出来る. この構文は 単に動詞が二つの目的語を取る構造として定義する , だけでは不十分である. 何故なら 三つの名詞句 (主語と二つの目的語) を使っ て表される出来事 言い換 , , えれば三つの参与者を含む出来事なら何でもこの構文を用いて表現出来るというわけではないからである . 「置く」 「奪う」 型の意味の他 に少なくとも次に示したよう 三つ の参与者を含む出来事 には, 「与える」 , , な可能性もある. ところがこれらの意味は, アイヌ語の二重目的語構文で (つまり複他動詞を用いて) 表現 さ れる こと が殆 ど無 いよう である. 「並. 置」 : (物) を (物) と並 べる ・比 べ る. 「同 一. 視」 : (物) を (物) とみなす・考える. 「分. 離」 : (物) を (物) から離す・分ける・区別する. 「共. 有」 : (人) と (物) を取り換える・話し合う・共有する. 「方. 向」 : (物) を (物) に向ける・晒す・曲 げる 伸ばす ,. 「移動・場所」 : (場所) から (場所) へ行く・来る・歩く・走る 「移動・手段」 : (乗り物) で (場所) へ行く・来る 「行為・位置」 : (場所) で (物) を食べる・飲む・作る この こ とか ら, 二 重 目 的 語構 文そ のも の に 「与 え る」 「置く」 「奪う」 型 という ある 程 度制 限さ れた 範 囲の , 、 ,. 意味が結びつ いており, それに合致した意味の動詞がこの構造と共に用いられる (つまり複他動詞となり得 る) と考えることが出来る. こ の よう に, ア イ ヌ 語 の 二 重 目 的 語構 文 は 「動 詞 が二 つ の名 詞 句 を 補 部 に取る」 と い っ た 形 式 的 定義 の ,. みを付与されるものではなく, 一定の意味によっても特徴付けられる 言語単位であるということになる こ . の帰結は, 4 3 節で述べるように 他の言語 の二重目的語構文ないしは それに相当する表現形式に関して得 ‐ , られる一般化との整合性が高い. 4 .2 二重目的語構文と使役構文 アイ ヌ 語 の 複 他 動 詞 と 二 つ の 目 的 語 か ら なる 構 造 は, 4.1節 で述 べ たよう に 「与 える」 「置 く」 「奪う」 , ,. 型三つの意味を持つ 「二重目的語構文」 と見倣すことが出来る. しかし そのような構造を持つ表現には , , 依然として二重目的語構文とは区別される 「使役構文」 と見倣されるものも存在する 旭川方言の複他動詞 . と し て 指摘 した18の動 詞 のう ち ere (~ に ~ を 食べ さ せ る) kure (~ に~ を飲 ま せ る) nukare (~ に ~ , , ,. 6.
(8) . アイヌ語旭川方言の複他動詞. (~ を 食 べ る), ku (~ を見 せる), mi re (~ を ~ に着 せ る), omare (~ を~ に置く) な どは, そ れ ぞ れ e こ と を 飲 む) nukar (~ を 見る), mi(~ を着 る), oma (~ にあ る) が使 役構 文 で用 い ら れ た も の 分析 する. とも出来る. 沙流方言のように影しい数の複他動詞 が確認される方言では, 複他動詞 と二つの目的語からなる構造の少 うち なくとも一部を 「使役構文」 と見倣すべき根拠が一層はっ きりする. 例え ば, 付録に挙げた複他動詞の i re ((人) に (だ し汁, 煎 じ湯 な ど) を 吸わ せ る), re (~ に~ を着 せ る), n kure (~ に~ を 飲ま せる), mi t e (~ に~ を 通す), nere (~ を~ に nukare (~ に~ を 見 せる), nure (~ に ~ を 聞 かせ る/知 らせる), kus t e (~ に沿 っ て 下 らせ る), turare (~を な らせ る, ~ を ~ にする), omare (~ に位 置 す る ・さ せ る), pes これ 同 伴 さ せる), yankere (~ を 上 が らせ る) な どは, や はり 単 な る 使 役構 文 の 例 と 見 る こ と が 出 来る. e ((人) に ~ を 夢 に見 さ せ る), kotakmanere (~ に ~ に加 え て, yere (~ に~ を 言 わ せ る), ewentarapt 「 「 「 , 奪 , 置く」 をま あろ く 「ぼん ぼり こ」 (下 げ飾 り 玉) のよう にく っ つ ける (球根 に土 を)) な ど, 与 える」. う」 型三つの意味のいずれかに即座に分類する ことが難しい語も幾つか含まれる. 二重目的語構文が持つ意味と複他動詞が持つ意味との一貫性は, 複他動詞の分析性に深く関わっ ていると 思われる. つまり, 複他動詞の分析性が低けれ ば (言い換えれば, 語桑化の度合い が高ければ), その分そ 7 の複他動詞の意味が二重目的語構文の意 味と合致する ということである . 使役構文で用い られる複他動詞 は, 分析性が高いため二重目的語構文の意味と必ずしも一貫しない意味を持ち得るわけ ーである. 従っ て, 使役構文と二重目的語構文は全く異なる, 互いに相容れないものではなく, 次に示すように分析 性と対応して段階性をなしていると考えるのが妥当である. 複他動詞の分析性が右の極にあればある程, そ 「 「 の意 味 は二 重 目 的 語構 文 に結 びつ いて いる 「与 える」 , 奪う」 型 の 意 味と合 致 する. , 置く」 ive Pref虚 十trans eme i cat Qの trans ‐ lngsu登臨 >aPP1 1vl z ‐verb>one morPb .verb十causat. その反対に,左の極に寄 れば寄る程,複他動詞の意味は二重目的語構文の意味と食い違うことが予想される‐ 4 .3 二重目的語構文の意味:他言語での一般化 20a ) 20b)の よう な二 重 目 的 語を 取る 文 と し ば しばそ れ に関係付 け ら れる( )は,( 199lb:13‐15 L zmgacker(. のような文の意味的違いについて論じ, その中で二重目的語 (つまり二つの目的語が併置さ れる文法形式) は二つの目的語の指示対象間に成立する 「所有関係」 を言語化すると述べている.. 回 a‐ Bnlsent a wabrustojoyce‐ n sentjoyce a w 山ビus b‐ Bi ‐. ldberg Go. ) は, 構文自体が構成要素から独立した意味を持つものであるとする構文文法の立 5 ( 199 2,199. i i i t t vecon‐ rans 場 か ら, 動 詞 が 主 語 の 他 に 二 つ の 名 詞 句 を 目 的 語 と して 従 え る 文 構 造 を 複 他 動 詞 構 文 (d 8 t rucuon) と 呼 び, こ の構 文 に六 つ の 意 味が結 び付 い てい る こ と を指摘 して いる . s 7. 分 析性が二重目的語構文の意味との一貫性に深く関わるという傾向は, 充当相接辞で派生された複他動詞にも当てはまる かも知 れない‐. 8. :38を 参照). l dberg l992:56並 び にGoldberg l995 6つの意 味は以下の とおり (Go i i ) ipi j2( ent l )torece ve ob ent pat rec A. Sub . )successful y causes objl( j( agent o i b 2 t i t i ) i j ( e n o b t t a l( e v e d ) e c i j or p t c e n t r e B‐ Sub a u s e n s oc t n e p . ) j( e n ag.
(9) . 井 筒 勝 信. しか し, 二 重 目 的語 を補 部 に取 る も の と して Lev i 1993:45‐49 ) が 挙 げてい る 動詞 のう ち, 恋)に挙 げ n (. た否定的意 味を持つ複他動詞は, Langa cke rの特徴付けに反して所有関係を言語化するものとは見倣し難 . 吃 1 ). ask l i orbid se ,cost ,deny ,charge ,五ne ,f ,ref ,save ,sPare ,tax. また Go l dbe rgの分析も, これら否定的な意味を持つ動詞が現れる場合の複他動詞構文の意味を十分に記述 出 来 て い な い. こ の こ と を 受 け て 井 筒 ( 2001b) で は, 英 語 の 複 他 動 詞 構 文 が 『「所 有 関係」 に 関 わ る 何 ら. かの出来事』、を言語化するものであり 「与える」 型と 「奪う」 型の意味はその典型であるという分析を提 , 案 した.. また, 日本語でヲ格名詞と二格名詞句の両方を同時に補部に取る動詞は ここで言う複他動詞に相当する , と思 わ れる が, そ れ らの 意 味も 「与 える」 型 「奪う」 型 「置く」 型 「変 える 型 の 四つ に大 別 できる (井 」 , , , 「 「 筒2oola こ )9 こ 「 は 置く に 型 一 , 変 える一 型 のよう に必 ず しも 所有 関 係」 に 関 わ らな い・「移動」 概 念 . ,. も含まれる. このことから井筒 ( 2001b ) は, 複他動詞 (構文) ・二重目的語が 「中心的な参与者が三つ関 与する出来事を表現する文法形式」 であり そのような出来事の典型的な概念化が 「与える 型 「奪う 型 」 , , 」 , 「置く」 型 「変える」 型 である と 結 論付 けた , .. これらの分析から導き得る一般化は 二重目的語構文という表現形式が 「動詞が二つの名詞句を補部に取 , る」 といった形式的定義のみを付与されるものではなく (言語の差異を超えて) 「与える」 型 「奪う 型 , 」 , , 「置く」 型 「変える」 型といっ たある程度限定された範囲の意味を持つものとして特徴付 けられるという , o 4 1節 で アイ ヌ 語 二 こ と で あ るl の 重 目 的 語 構 文 に 関 して述 べ た こ と は こ の 一 般化 と 符 合 す る 但 し . ‐ , . ,. 複他動詞 (構文) ないし二重目的語構文がこれら四つの意味の幾つを持ち得るか どれを最も典型的なもの , と 見 倣 す か に関 して は 個々 の 言語 によ っ て多 少 の違 い が見 ら れる の で ある , .. 5. おわりに 本論文では, アイヌ語の旭川方言を例に取り上げ 複他動詞と二つ の目的語からなる構造は 「二重目的語 , 構文」 として扱うことが出来ることを示した. アイヌ語の旭川方言に見出される複他動詞の殆どが「与える 」 型, 「置く」 型, 「奪う」 型三つ のい ず れか に 分類 が出 来る こと か ら 二 重 目 的 語構 文 と いう 構 造 自 体 がそ れ ,. ら三つの意 味を持っているとする分析を提案 した.. C‐ Sat i f i i i s t act l oncond onimp j( :Sub l( i i )causesob agent i y j 2( i rec )t ent j t or ece ve ob ) p ent pa . D. Sub j( )causes objl(recipient i agent )nottorece i ve obj2(pat ) ent . E. Sub j( t )actstocauses objl(recipient ive ob agen )torece i j2( ) ent pat . F. Sub l j( )enab i i agent jl( i esob 2( rec )t ent j or ece veob ) p pabent .. 9. ここで言う 「奪う」 型 には, 次に挙 げた2つの動詞 が属する . a. 花子は太郎 に消 し ゴム をもらっ た.. b. 次郎は太郎に鉛筆を借りた. また井筒 ( 2001b) では, この 「奪う」 型 に 「取り上 げ」 型と 「お預 け」 型の下位 区分を 設けて議論 している . 10 このような分析 が正 しいとす れ ば 「~ を~ か ら剥 ぐ」 「~を~ から切 る」 「~を~で壊 す 「~ を~で割る 「~を~ , 」 , 」 , , , で殺す」 と い っ た意 味は, アイヌ 語 ばかり でなく 多くの言語で二重 目的 語構 文や複他動詞 の意 味になりにく いこと が予想 される. このよう な傾向は, 筆 者が知る 限り少なか らぬ言語に見出さ れるよう に思われる が 事実確 認のため には詳細な , 調 査を待たね ばなるま い.. 8.
(10) . アイヌ語旭川方言の複他動詞. 研究成果に 更 に, 二 重 目 的 語構 文 と いう 概 念 を導 入する こと によ っ て, 也言語の二重目的語構文に関する て 「多 く の 照 ら して アイ ヌ 語 の 分析 を推 し進める こと が 出 来る こ と を示 した. ま た, そのよう な 分析 によ っ 「 く 型 「 「 言 語 で 二重 目 的語構 文 は, 単 に形式 的 にのみ 定義さ れる も の で はなく, 与 える」 型, 奪う」 型, 置 」 , 「変える」 型といっ たある程度限定さ れた範囲の意味によっても特徴付けられる表現形式である」 という他 言語の分析から得られた一般化が更に強化される ことを述べた. )二重目的語構文は中心的な参与者が三つ関与する 出来事を表現する文法形式 1 1b ) の主張する( 200 井筒 ( 「 「 「 であ り, そ のよう な 出来 事の 典型 的な 概 念化 が 「与 える」 型, 奪う」 型, 置く」 型, 変 える」 型 である,. )二重目的語構文を動機付けているものは, 我々人間が三つの参与者を伴う出来事について抱く典型的な見 ( 2 方あるいは概念化の仕方に他ならない という二つの点は, アイヌ語に関しても妥当である ことが明らかに な っ た.. 付録:アイヌ語沙流方言の複他動詞 「与 える」 型 te~ に ~ を 命 じ る, ekasuy (そ iyonnupp/eyyonnuppa~ に つ い て (人) に 告 げ 口 す る, 訴 え る, ekaspaot e こと を手伝う ekocaranke (~ の こ と で) ~ に 文 句 を つ け て や る, ekonukosne~ に つ い て ~. の. ) で. (人). ,. と 相 談 す る, ekoramusawnu~ に憎 しみ を抱く, ekoor sutke~ に~ を勧 める, ekoran・kor~ に つ い て (人) の こ とを(人)に快諾す る,ekorarpa~ に~ を 食 べ なさ い 食 べ なさ い と押 し付 ける,ekosunke~ につ いて(人) i rayke~ に~ を 感 謝す る, ekoymokokor (人) に (も の) を みや げに持 っ て にう そ をつ く/だま す, ekoyay 行く, ekoyok~ を~ に売る, ekoysoytak(人) に~ につ いて 話 して 聞 かせ る, enunuke (そ のこ と) で (人) i rma (人) に (お 金, 米, i snu~ に ~ を 教 える, ep を 厚 遇 す る, enusas re~ で (人) の気 を 紛 らす, epaka 宝器等) を貸す, (人) に借財と して~ を 貸す, ewentarapte (人) に~ を夢 に見 さ せる, eymekkar~ を ~ i~ に~ を持 っ て いく, ~ を~ に持 っ て 行 っ て あ げる/持 っ に 分 け与 える,eymekt e~ を~ に 分配 さ せる,koan inu~ に~ てく る, komekare (出さ れた 食 べ 物 の 残 り) を ~ に 持 っ て 来 て/持 っ て 行 っ て あ げる, kopakas i~ に対 して~ を 持ち 上 げる, ~ に (食 べ を 教 える, (人) に~ と一 緒 になる (結 婚 する) よう 言う, kopun 物) を供する・出して あ げる (持 っ て 行 っ て あ げる と き も 一 緒 に 食 べ る と き も), kore~ に ~ を 与 え る,. ra ra~ に ~ を 上 にさ し上 げて いる, (立 っ て い kosospa~ に ~ を剥 がす, (人) の (着 物) を剥 ぎ取る, kota i i~ に ~ を (手 を さ しの べ て) さ しの べ る, r る 人) に ~ を 下 か ら手 を の ば して さ し上 げ て あ げる, kotur i re (汁) を 吸う ・させる, re~ に~ を着 せる, n ko tur sere (病 気) を~ にう つ す, kure~ に~ を 飲ま せる, mi re~ に~ を見 せ る~ nure~ に~ を 聞 かせ る/知 らせる, (人) に (だ し汁, 煎 じ湯 な ど) を 吸 わせる, nuka t ekeo~ に~ を 手 渡す 「置く」 型 i(そこ) に置く[複] i(単eanuは未 出) e‐ar re(二 人以 上 を) 出迎 え て家 の 中へ 通 す よう にさ せる, ear ahupte i~ を~ に かぶせる, pa伴 っ て ~ で立 っ て いる, ehus [雅] (二つ以上/二人以上) を (そこ) に置く, eeroski i i rus (そ こ) で・ (そ の仕 事) 頭 を 上 rus s s eka r~ でつ くる (する) ~ で~ をする, (人) に~ をする, ekoe 下に振り振りする, せ かせ か と や っ て い る, ekohawas~ に早 く ~ と 一 緒 にな れ と 言う, ekohunara~ に ~ の ~ を探 す,ekopunt ek~ の こと で~ に喜 ぶ, ~の こ とで~ を歓 迎する,ekorarpa~ で~ に・押 さ えつ ける, i kka i sma (人) の た め ・食 べ なさ い 食 べ な さ い と押 し付 ける, ekosann ~ に~ を yo~ で~ によ く 考 える, ekos t ekka~ を~ で い っ ぱ い に する, に ~ を 守 る, ekosne‐punpa [雅] ~ を (そ こ) に軽 く 持 ち 上 げる, emas t e~を (く ぎな どに) ひ っ か ける, eninu~ で ~ を 縫 う, ~ を~ で縫う, enuypa (そ こ) に~ を書く, ekok.
(11) . 井 筒 勝 信. eokokt e~ を (く ぎな ど) に ひっ か ける, eomare (の 方 へ) 向 か っ て 行 か せ る epare (人) を~ に到 着 さ ,. せる, eporose~ で~ を 言 い 表 す, ~ によ っ て~ を 言 い 表す, epunkinere~ に~ を守 らせ る ~ に~ の番 を , させ る, erespa (二 人 以上) を~ で育 てる, es i kt i e~ を~ でい っ ぱい にする, es ru~ で~ をこ する,,~ に~ を こす りつ ける, et arare~ に (串, 鋲, 針 な ど) を (縦 に) さ す, eus i~ の 先 の 方/上 の 方 に~ をつ ける , ~に~を先の方だけ刺す,koanu~ に対 して ~ を置く koeunpi k ~ p a に対 して を疑う, (人) の (話) を 疑う, , koeysokor~ に対 して を 本 当 だと信 じる (人) の言う こ と を信用 する kohokus t e~ の上 に~ を倒 す (被せ , , る), kohoppa~ に ~ を 残 し て 行 く ~ を ~ の と こ ろ に 置 い て 行 く kohorakte~ に ~ を倒 す (被 せ る) , , , kohos i i ~ に ~ を返 す k k ~ pre i~ に ~ を巻 き つ ける, ~ を~ にく る む , o ar に~ を混 ぜる (混 入 する), kokar kokar i kar i~ をク ルク ル巻 い て 包 む ~ を ~ で グル グル に巻 く komekare (出さ れ た 食べ 物 の 残 り) を ~ , , に持 っ て 来 て/持 っ て 行 っ て あ げる koni tata (人) の ~ を (そ っ と) 押 さ える konuyanuya (草 の 実等) , , を 頭 にく っ つ ける, kopa~ に~ を 見つ ける ~ を ~ と 間違 える/取 り違 える k i ~ に~ を し ばる ~ を , , osna , ~ に しっ か り く く り つ ける, kotac i~ に (ベ タ ベ タ した も の) をく っ つ ける/ぬ りつ ける kotakmanere~ , に~ をま あ ろ く 「ぼん ぼり こ」 (下 げ飾 り 玉) の よう にく っ つ ける (球根 に 土 を) ko k t at aku~ を か た め て , /ま る め て (塊 に して) ~ にく っ つ ける ko , tamke~ に~ を お ま けにつ ける, kote~ に ~ を結 びつ ける, ~ を~ にゅ わ えつ ける, ko tukka~ を ~ につ ける/く っ つ ける/は りつ ける kous~ に 合 わ せ て/~ と 共 に ~ を , はく, (靴 下) を (靴) の 下 (内側) に はく kuste~ に ~ を 通 す mi re~ に ~ を 着 せ る, nere~ を~ にな , ,. らせる, ~を~にする, o (そこ) に (たくさんのもの/数えられないものや液体) を入れる (食物) を (茶 , 碗) によ そう, (酒 な ど) を (盃) につ ぐ (も の) を (そ こ) に の せ る/掛 ける omare~ に位 置 す る ・ さ , , せる, (一 つ/一 人) を ~ に 置く/入 れる/さ しこ む/か ける, oposore~ を漉 す oresu (そ の 場所) で~ を育 , てる, osus t e~ を (お ふ る) に入 れる, ot a (そ こ) に~ を 汲 む, (水, 油 な ど) を (そ こ) に か ける, ~ を ~ に (ひ し ゃ く で) 汲 み 入 れる (ひ し ゃ く か ら大 き い 入 れ物 にあ げる) otuu1 1nu [雅] , , (弓) に (矢) を つ が える, pes te~ を ~ に (下 向き に) 沿 わせ る rurare~ に ~ を運 ばせ る t ‐ , , asare~ を ~と 交換 する, tu rare~ に~ を 同伴 さ せ る, ~ に~ と 一 緒 に行 かせる/来さ せる unt そ こ にある ・ さ せる, us i~ に~ をつ け e , る/ぬる/ぬり つ ける/ま ぶ す, uyruke~ を ~ (場 所) につ ける/位 置 せ しめる , yankere~ を 陸/岸 に上 げさ せ る, yere~ に~ を言 わせ る. 「奪 う」 型 ekosouk (人) に (お 金や お 米 の よう なも の) を借 り る, erara~ に 関 して ~ を見 下 ろ す (人) に (こと) , が でき る と 思 わ な い, koetuypapa (二 人以 上 が皆 で) (人) か ら (二 つ 以 上 を) 取 り 返 す k , oewnara~に ~ を与 え たく な い, ~ に与 え 惜 しむ ~ に取 ら れま い と す る kokopan~ に ~ を拒 否 する (人) に (だめ , , , だ と 言 っ て) ~ をや める よう に/しな いよう に言う kokor (人) の (持 っ て いる も の) を 取 り 上 げる/も ら , う, komokmok i~ にち ょ っ か い をか ける ~ の~ を だま し取ろう と う ま い こ と を言う konu~ に/か ら~ を , , 聞く, ~ に ~ を質 問する, kosospa~ に~ を剥 がす (人) の (着物) を剥 ぎ取る ko ak~ に~ を 請 求する, , , t kouk~ に対 して~ を取る ~ か ら (一 つ のも の を) 奪う ,. 10.
(12) . アイヌ語旭川方言の複他動詞. 参考文献 i ihVeconst l i t ruct on ranS Sh di tructure i :ThecaSeofthe Eng . cSofargumentS Go 1dberg e E‐1992 .Theinherentsemant ,Adel 1 74 Z Z Z Cog ‐ :37 - cs3 ‘ S 7 z”かf 2LZ 刀gz , i 1Sf : cagoandLondon け”“ γ”cZ z ‘γe i 2の2 oA 堰 Z γ“cZ z o 7 2 G〆”粥例αγAPPγoαcたご . Ch s ′A CO“s 7 z Go ldberg s γ“c力o l z eE .Co7 .1995 ,Ade i The Univers ty ofChi cago Press . i l ty and acqul sト ld Wi l earnabi ldberg son lander l l l k , Mi chard Go Gropen e Ho .Thel .1989 che ,and Rona es s .Ri ,J ,Steven Pin er 257 l i ‐ i :203 l 7 2 i sh ternat i n Eng gz僻翌e65 oni t vea . onofthe dat .乙α. 北海道教育委員会. 1992. 『オイ ナ2』 札幌:北海 道教育 委員 会 i i } ‐ ive Lingui ed t ety( st csSoc i IStructuresofNegat scourseand Cogni . on ,Pγo 1zut su ‐The Di .Conceptua .2001 ,Katsunobu k 1 H k S 8 6 0 化 8 4 7 n u 乙勿 f f 二 a C 綴れ e o u d - i s s D 健 ” o g ‘鴛e のz g ‐ d 廓肥γ“のめれ〆 Co ’ z scoz 7 2た だ粥eo , z ceed鋼 リブf脳 死符ZSβo. 鱒. M[unhwasa. 『北海道教育大学紀要 人文科学・社会科 「 0 0 1 井筒勝信.2 a . 構文文法に基づく日本語の統語分析: ~を~に」 構文の場合. 学編』 51-2:53-65 ‐. 『旭川英語英文学研究』 1 : 0 b 0 0 1 井筒勝信.2 ‐ 複他動詞と二重目的語の意味:否定的意味を持つ複他動詞の分析を中心に. 27‐38.. 旭川:北海道教育大学旭川校 0 2 井筒勝信‐20 .『アイヌ語旭川方言コーパスに基づく辞書編纂のための基礎研究』 ]. アイ ヌ語学講義‐ 『金田一京助 全集第五巻』 東京:三省堂 1960 金田一京助. 1993 [ ty 房 劫e M物α. Chicago :Th Z e UniVersl iCのegoγ z s r膚’想s e sだ災〆 ”ろo 2 z ‘ ′ “のα Lako化 George 1987 拓考のれβ〃 野わe のば Dα 7 geγo .. .. ,. ,. i ofC互 cago Press ‐ ord Uni ‐ :Stanf ord ld W.199la Langacker soゾ CDg7励 めe C m mm の‐リメー2′ Descγゆ力むeAP髭 死のZのz ‐Stanf .Fo“”〆””の2 ,Rona i ty Press verS . rk :Mouton ds 7 2るoL r庇 C og吻だり 8β餌禽 け Cmmmの.Ber互nandNew Yo R 副d w.199lb Langacker ’ zcゆ± n o .CD ,ヱm 鰹鍔,α” タフ , de Gruyt er . f奪〆われ Chi versr Z fmi : The Uni i cago and London s ’ 2のγ 腐りe o s ′A Pγ e Levin B h 1 ’ z es のzd AZを“mf t 2 e gZ禽た 拡げろ α 餌s . 993 ‐E7 . i ty of Ch cago Press‐ i i ty ofENVY and FORGIVE‐ IRef i ar th Spec a erencetothe Pecul th Two Di t i fumi jec Miura rectob s :wi .VerbS wi .2000 ,Tosh 84 i - c sl た”創メ グ 風彼々のめ 乙勿g z肉f . ,71 i on C Z ZS α加笈 Ph.D.dissertat 1 9 7 6 加畑soゾ劫eE7 ’ z R i h d T f oerhl r 膨 2 ” c α . MIT. mmm g筋たD所海eA族γ e ‐ . c ar .. Z屯蛇,MA:MITPres f s is加‘ c ”兇 Cαmbγ ’ z ′劫eAc塑 赦”o“oゾA増”me ‐ Pi ’ 2dC噌粥加“ even nker .乙弧γm 胡Zむα .1989 ,St 『 承保存会 無形文化伝 札幌:アイヌ の民話1 9 8 3 1 アイヌ 形 文化伝 承保存会 財団法人アイヌ無 』 . ‐. 9 8 2 財団法人アイヌ無形文化伝承保存会‐1 .『英雄の物語』 札幌:アイヌ無形文化伝承保存会 9 3 8 財団法人アイヌ無形文化伝承保存会.1 .『人々の物語』 札幌:アイヌ無形文化伝承保存会 砂沢クラ‐ 1983. 『私の 一代 の思い 出』 札 幌:みやま書房 田村すず子. 1996. 『アイヌ 語沙流方言辞典』 東京:草風館. (旭 川 校 助 教 授). 11.
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