第 653 回健康教育講座
「あなたにサプリメントは必要ですか」
開催日 平成18年9月16日(土) 講 師 (社)愛知県栄養士会副会長 藤 野 敏 夫 先人の粗食ながらバランスのとれた日本型の食生活は、人の健康寿命の延伸に貢献し、過去に 見られない平均寿命に達しており、諸外国では日本食が健康食として見られていますが、国内の 食生活は多様化し、グルメ志向と健康志向の日替わり食のようなマスメディア情報の氾濫があり、 年々、食の欧米化傾向が見られます。 戦後の飢えた時代の食生活から、24 時間、何時でも、何処でも、好きなものを、好きな時に、 好きなだけ、食べることの出来る食環境に、歩いて 3 分を車で移動してしまう日常生活は、人に とって健康的な生活とは言えず、過食・過間食や単品志向のコンビニ食・ファーストフードの崩 れた食生活を、日常生活活動の低下が後押しする生活環境は、生活習慣病の根源となる内臓脂肪 の蓄積となり、高血圧・高脂血症・糖尿病の発症に関わっています。この状況を“死の四重奏(メ タボリックシンドローム)”と呼び、中高年層の著しい増加が危惧され、疾患の重症化と動脈硬化 症の危険因子として生活改善の喚起がされています。 その逆に、スリムな体型願望のための欠食や、意識した少食の継続による思春期女子の低栄養 状態は、将来の母子の健康障害が懸念されますし、高齢者の粗食に咀嚼や嚥下障害による摂取不 良、身体機能低下での栄養障害が病気回復遅延や寝たきりの要因になっており、中高年の“肥満” と若年女性の“やせ”、高齢者低栄養の両極端な状況も見られ、健康障害の原因に挙げられていま す。 このような食を取り巻く環境の中、“より健康に”、“より美しく”、“より若々しく”との思いが サプリメントの利用の背景にあり、マスメディアや友人を介して、聴きなれない食品成分の効能 効果や、サプリメントにサプリメントを重合するなどの、一石二鳥を狙った宣伝等がサプリメン ト拡大の原動力となり、現在も拡大し続けている中で安全性や健康被害が問題視されるようにな りました。 国は、2004 年 4 月より保健機能食品制度をスタートし、これらのサプリメント等を 3 区分に分 類し、周知を図っています。 1.特定保健用食品 栄養成分含有量表示と保健用途、特定のマ−クを表示することが出来るもので、食品ごと に国の審査を受け、認可を受けた食品であることを表示することができる食品で、特定保 健用食品と特別用途食品に分類される。 2.栄養機能食品 科学的な根拠で、証明された食品成分について、その商品が国の定める一定の基準を満た せば、栄養成分の含有量表示と成分の持つ機能表示ができるもので、国の審査を受けてい ない表示義務を要す。3.一般食品 栄養成分の表示が出来るが、その機能や効果についての表示は認められない。 これらの食品は、製造メ−カ−が申請し、許可が得られれば、特定保健用食品となり、規格基 準を満たせば栄養機能食品として、また、一般食品として市場に送り出すことができてしまう状 況であることより、製造業者任せの健康食品となっています。現在では、これらを総称してサプ リメントと呼んでいます。 不足する栄養成分を補うための栄養成分を、錠剤として、ドリンクとして、補給するものをサ プリメントと呼び、三大栄養素(蛋白質・脂質・糖質)に食物繊維・ビタミン 8 種・ミネラル 5 種の認可された栄養成分がサプリメント化されていましたが、最近では、ファーストケミカル(植 物化学物質)に挙げられる抗酸化作用を持つ色素成分や、ハーブ成分等を、サプリメント化した ものが多く販売されている他、外国のサプリメントも輸入され、インタ−ネットの普及により自 宅に居ながら簡単に入手できてしまう環境となり、カタログ効能を鵜呑みにして、これまで人が 多量に摂取することのなかった成分を、安易に、多量に長期間摂取できてしまうことや、医薬品 の成分が混入した結果、健康被害が問題として取り上げられ、その安全性が社会問題にもなって います。 今や、ビタミン・ミネラルの添加された菓子や飲料水などは、意識しなくても、摂取している のが現状ですが、人が健康に生活するための必要な栄養成分は、日常の生活で補うことができ、 主食・主菜・野菜類を揃えた腹八分の食事に、乳類と果実を摂取するバランスの良い食生活であ れば、サプリメントによる補給は不要なものと考えられますが、現在の食を取り巻く環境での、 抗酸化食品や食品の栄養価低下などの問題は、過去に経験したことのない状況にあり、不足する 成分・改善効果のあるサプリメントを否定できる状況にはありません。サプリメントは食品であ り、必要とする判断・選択、その安全性については、自己責任によることを忘れてはいけません し、サプリメントを必要とする生活習慣の改善こそが最も大切な一次予防となります。特に医療 機関で受診されている方では、医師より処方される薬とサプリメントの相互作用の問題もあり、 使用する前に医師に相談されることが賢明で、健康食品による不健康な状態に陥らないためにも、 安易な使用は控えていただきたいものです。 このような食生活を取り巻く、生活環境の中、食の専門家集団としての管理栄養士・栄養士で 組織する(社)愛知県栄養士会は、少しでも多くの人々に健康を維持するための食育推進活動を 介して、県民の食生活改善に寄与することで、生活習慣病の予防に行政・学校・地域・福祉・医 療の現場取り組んでいる他、「オアシス 21」の朝市やヘルシ−セミナ−を開催して、微力ながら 県民の健康に一躍を担っています。 愛知県医師会 〒460-0008 名古屋市中区栄 4-14-28 TEL 052-241-4143