学校教室内の昼光照度測定に関する研究(第2報) :
小,中学校教室について
著者
中村 虎重, 是枝 賢一, 宮路 広
雑誌名
鹿児島大学教育学部研究紀要. 自然科学編
=Bulletin of the Faculty of Education,
Kagoshima University. Natural science
巻
13
ページ
54-61
別言語のタイトル
Studies on the Measurement of the Daylight
Illumination Intensities at the School Rooms.
(2nd Report) : in the Primary & Secondary
School Rooms
54 学校教室内の昼光照度測定に関する研究(第2報)
学校教室内の昼光照度測定に関する研究(第2報)
一小,中学校教室について-中村虎重・是枝賢一・宮路 広
Studies on the Measurement of the Daylight
Illumination Intensifies at the School Rooms. (2 nd Report)
- in the Primary & Secondary School Rooms一一
Torashige NAKAMURA, Kenichi KoREEDA, Hiroshi MIVAJI.
1.緒 言 筆者達は第1報で,昼光照度下に構築法,新旧別等採光環境の異なる東西校舎南面窓教室(SEW) 四種類を選んで,照度分布の実状を量並びに質の両面から分析して報告した。 しかるに前報の結果は夏季(6月∼8月)商照度下のデータにもとづいて論じており,従って冬季 大陽高度の低い,且つ低照度の採光条件のもとにおける測定結果とは,教室内照度の分布状態も相当 異なる筈であり,その結果を同一に論ずることはできない。 また教室の昼光照度下における照度分布について論ずる場合,季節的には採光条件の最も悪い冬季 に対する検討を加えるべきで奉ることは当然である。 従って本報においては,第1報同様四種類の対象校について,主として冬季(12月∼2月)の測 定結果をもとにして,照度分布の実状を検討し,夏季高照度下の結果と比較しつつ,冬季教室照度分 布の特徴について論ずることにする。 なお四季を通じての照度分布の変動を知る意味で,天候別の測定データは稽不足するが,審李の結 果の一部をも附誼することにする。 2・測定器および測定方法 測定器および測定の方法については概略第1報と同様で奉 る。ただし測定点については前報にも指摘したように,より詳 細な分析結果を得るために,第1図に示すように窓側l列より 順次5行5列の25点を選んだ。 また測定時刻についても,夏季に比較して日照時間の短いこ とを蕃慮して9時, 12時, 15時の1日3回にした。 なおこの程南面窓の教室では,冬季において直射日光は,棉 当室奥まで達するので,測定器受光面の遮光には慎重な注意が
中村虎亜・足技賢一・宮路 広 〔研究紀要 第13巻〕 55 必要である。 3.測 定 結 果 第2図は鹿児島(北緯31934',東経130033')における四季快晴日の屋外水平面照度(直射光,天空 光を含む)を示すもので,小木曽1) (東京 緯度35o41′,経度139046′),松田2) (京都, 緯度35001',経度135o44')の測定結果と 略類似する。 第3-6図は曇天(e) (薄暗0,雨曇 ◆の値を含む)の測定結果で各階の値を 筑術平均して測定時刻毎に示したもので おる。 また同図に添附した表(第1-4表)は 下の欄が同図の最高・最低照度,平均照 痩,均斉度を示し,上の欄は快晴日の値 を比較のために示したものである。 I. A類(原良小学校) (i) 9時・曇天 第3図(I) 照 度 曲 線 x l0:奴 lii一〇一
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7 8 9 10 ll I2. 13 I4 I5 IG lT Bii'l 第2図 快晴日の屋外照度曲線 (ii) 12時・曇天 第3図 ㈲ 照 度 曲 線 xld助 C ら a. I 亦 Iiii A hマ2 最高 照度 (LX) - ○ ○ 蓼 井 都 # 18700 6600 也 、 t i E 〝 1 -" 1 " -n V ′ 0 9 一 ( ¥ ∪ ク ー t i i 2 0 8 6 4 1 J t B i ' 1 1 -) . ) ∼ l 2 0 ほ ほ 8 ¥ t Q e r-56 学校教室内の昼光照度測定に関する研究(第2報) (iii) 15時・曇天 第3図 0 照 度 曲 線 浩 周 一止別O P急 第1表(A)
A 驃ネ gネ沓 上.∴:
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(ii) 12時・蜃天 第4図 0 照 度 曲 線 xiO∼bX. C iIIi糾 m 一生10 P雷
第 2 表 ㈲B 侭5hマ6ホ、y} 貯[リシ
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2・ B類(城西中学校I) (i) 9時・曇天 第4図(I) 照 度 曲 線 xIO「飯 C ili m -」」列 0 増 価I 第 2 表(I)B 8マ2
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同町2申22 劔67.0 92.7 仄r 11700 4800 (iii) 15時・曇天 第4図 6ヽ 照 度 曲 線 I l02m i L II糾 m 一旦珂0 醤
第 2 表 uVB hマ2 圃諷鶉醐翻
8回1串T87#圃125800
n U → D ( ∠ ° o 2 i _ . _ -せ ' t i B ' 1 -. 4 -′ 0 9 - 8 4 T 0 圏 羅 -釦 _ G は 8 崎 ' i t r I 2 0 時 は 8 鴫 ' a 1 , -. -, 。 -. -i中村虎垂・足技賢一・宮路 広 〔研究紀要 第13巻〕 57 3. C類(城西中学校 Ⅱ) (i) 9時・曇天 第5図(/) 照 度 曲 線 102左
浩 m 一生10 P富
第 3 表(I) C 窓外 (王室1i8回143車中掴
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(iii) 15時・曇天 第5図 0 照 度 曲 線 ● 第 3 表 ぐう C hマ2 仂 I7 鞍 黒板面 (LX) ク、 r可吾T可垂1 剴
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(ii) 12時・婁天 第5図 0 照 度 曲 線 rlO,妓 圭一 ilC
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4. D類(伊敷中学校I) (i) 9時・曇天 第6図lJ) 照 度 曲 線 lOZu e I 浩 m 一己列O P恵 第 4 表(I) 2 0 時 は -¥ t g a ' -AT 如 ほ ほ 8 ¥ t i 5 - -∩ ) ′ b ゥ 」 0 ° ? -・ -Y t a l l 。 " " 2 0 _ G は ° o 頭 . a B r 1 -i-58 学校教室内の昼光照度測定に関する研究(第2報) (ii) 12時・雨曇 第6図(tJ) 照 度 曲 線 第 4 表 ㈲ (iii) 15時・薄晴 第6図 年ヽ 照 度 曲 線 xiO`幼 ii m -し烈 0 第' 4 * (A) D hマ2 最高 照度 俐Y. 7 平均 照度 仂 I7 黒板面 ク、 (i-X) 窒tナr (i:X) 中 亦 (LX) 嫡ナr ○ 鼎s 30 C2 71.9 1800 (I 都C 21 sb 88.0 R 3400 第7図は各類型別の照度分布を比較するために,第3-6図の結果を各行について平均し,時刻毎 に示したものである。 第8図は春季(3月)快晴日の測定結果で,前述の第7図(冬季)に相当する照度分布曲線を表わす。 9時富夫(e) 8 C A iI m -L5.I 0 P昏 倒 第7図(I) 照 度 曲 線 I2時患え(e) A ID_ 雷〟 刷 上列O P急 第7図(。) 照 度 曲 線 / 0 ∩ ′ 」 せ t b a ' 「 . -。 。 、 o ′ ○ ( ノ ー ( ︰ X U ( ノ 一 I -・ -想 . i ' B ' 1 -i o ′ b h ノ ー o o ( ノ ー I I 農 へ 離 1 -g ・ 柳 ほ ほ o o 国 頭 4 -=
中村虎重・足技賢一・宮路 計 m 一一士別O P急 第7匪I V、 照 度 曲 線 「耗ー2時棚 A 8 C iI
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第8図 0 照 度 曲 線 〔研究紀要 第13巻〕 59 春季笹口加島 4、、 ヽ Bヽ ヽ Cヽ 0、 嘉,'2 m 一己引O PIE 第8図(I) 照 度 曲 線 2 2 Ib ー2 8 4 0 符樋ィ゙" 益yエ倬靠8 ;、JQmn_lop, 4.I -列 P杢 第8図 0 照 度 曲 線 4.考 察 4. 1太陽高度および教室内の直射日光につし、で 冬季の屋外照度は第2図に示すように快晴日で2万5千ルクス程度であり,夏季に比較して薯 しく低照度であるが,第5-6表より推知で きるように,冬季は太陽高度が非常に低く 第5表 各地の経経度3) 第6表 各経度の日南車高度4) 北緯 H陲 春分 秋分 剴 至 ZOO 涛2テC 70.00 6.60 25 塔ゅB 65 41.6 30 塔2テR 60 6.6 32 塔 テR 58 4.6 34 都偵R 56 2.6 36 都r絣 54 0.6 38 都R絣 52 8.6 40 都2絣 50 6.6 45 田ゅR 45 1.6 50 ウc2絣 I40 6.6 」 や 8 一 ° , -. " 2 0 ほ に - 4 0 肱 ∼ _ 8 瓜 へ H . -6 2 ° o ¥ ・ f a , 「 = -頓、tiBr1---∼,--・一・60 学校教室内の昼光照撞測定に関する研究(第2報) (鹿児島における大陽高度は夏至で約820,冬至350程度で奉る),従って南面窓の教室では,咲 晴目には終日直射光が入射する傾向が奉り(9時には中央列附近まで, 12時m列, 15時l列), それに伴う教室内照度分布の消長も夏季の結果とは稚異なる。 4,2 最高・最低照度,平均照度,均斉度 冬季においては一般に快晴と曇天の照度の差が夏季に比較して著しい。 即ち窒奥まで直射光の伸びる快晴の場合,第1-4表より明らかなように窓側最高照度は夏季 に比べて低くはないが,宝典列の最低照度は測定時刻に拘らず却って夏季よりも高い値を示す0 これは直射光による拡散反射などに起因するものと思われ,従って平均照度もそれに伴って, 概して夏よりも高くなり,均斉度も良くなる傾向が推察される。 曇天の場合は第3-6図,第1-4表に示されるように屋外照度も低く,且つ直射光入射の影響 もないので,最高・最低照度とも快晴に比べて著しく低下し,従って平均照度も非常に低下する。 また均斉度も快晴日に比較して悪くなる傾向が認められ,夏季の結果と概略一致する。 次に測定時刻別に比較した場合,快晴日の照度は概して9時が最も明るく,日照時間が短かい ために15時の照度は急激に低下する。 また均斉度についても9時(午前中)の測定結果が最も良い傾向を示している。このことは夏 季9時(直射光入射が窓側l列まで)の測定結果と著しく異なる点1,直射光入射の量に起因す る現象と思われる。 曇天の場合は雲量の相違により屋外照度が異なるので,一般的な傾向は推知できない。 C, D類の両側採光の傾向についても略第1報と類似の結果が認められる。 第7表は第1-4表の結果を総括して最高・最低照度,平均照度,均斉度について各類別の順 位を附したもので,概略第1報の結果と一致するようで奉る。 第 7 表 各 類 別 特 性 順 位 天 剞怦ハ 劔劍ヨ 9時12時15時 劔劔} r 犬
刺 佰5 俘ヲ8俘ニ8奢ヲ8シ
I7 ルj 奠 ツ 劍ァX蹣Uネノクヲ8ノクルHヲ8シ
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A B C D
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b 用i 2 3 4 冽
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出陣旧情旧情「 劔劔1 3 2 4
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ただし曇天の結果は屋外照度の条件を均一にできないので,均斉度以外の類型別比較は稽困難 のようで奉る。 4.5 春季の測定結果につし、て 春季の測定においても9時の場合にはかなり窒奥まで,直射光入射の影響が現われ,第8図の中村虎垂・是枝臨一・宮路 広 〔研究紀要 第13巻〕 6I 結果から推知できるように,快晴日には夏季よりも照明環境は悪くはない。 ただし(イ)図の測定結果では,測定器受光面の遮光方法の不備により, l列の照度が実際よ りもかなり低く表記されている。 5.綺 言 以上本報においては第1報に引続き,東西校舎南面窓教室(SEW)四種類について,主として冬季 における教室内照度分布の実測を試み,夏季の測定結果と比較しつつ検討した。 結果は冬季においてぼ快晴日と曇天日の照度差は,夏季の場合よりも著しく,また分布状態の傾向 も稽異なる。 これを要約すると次のようになる。 1.快晴日の場合 匝射光の入射が教室中央列附近まで達するので, l列は勿論m,n列も相当高照度を示し,夏 季の照度分布状態とは相異なる。 従って平均照度,均斉度とも夏季よりも却って良くなる傾向を示す。 2.曇天の場合一 屋外照度が非常に低くなるので最高・最低照度は快晴日に比して著しく劣り,また均斉度も悪 く,教室内の照明状態は極端に悪くなる。 3.測定時刻による特徴 9時(一般に午前中)の照度分布および均斉度は,夏季の結果と相当異なる。 即ち夏季よりも南照度帯が室奥まで達し,平均照度は高く, 1日中で均斉度も最もよくなる。 曇天の場合は9時の均斉慶が悪い。 また15時になると教室内照度は急激に低くなる。 4.各類別比較 夏季の結果同様にA, B, C, Dの順に照明環境が悪くなる。 5.春季の測定結果について 夏季,冬季の中間的な傾向を現わし,快晴日の照明環境は夏季よりも概して良好である。 以上季節による教室照度の概略を知るため,第1報の追福の意味でかんたんに報告する。 参 諸 文 献 1)小木暫定彰:照学誌 37 (昭28) 342. 2)松田長生:照学誌 38(昭29) 23. 3)東京天文台:理科年表 (昭35). 4) " "