る. 次いで寛解後 (地固め) 療法を数回行い, 腫瘍細胞ゼ ロを目指す. 大量の抗がん薬を 用するため化学療法共 通の副作用である骨髄抑制が強く,grade 4の血球減少が 1-2週間続く.感染症,出血のリスクも高く,その実施に あたっては無菌室管理, 成 輸血, 感染症対策などすべ ての副作用対策に精通する必要があり, がん薬物療法の 集大成といえる. 感染症罹患時の画像診断, 造血幹細胞 (骨髄) 移植時の放射線照射で他診療科との連携が必要 である. 悪性リンパ腫は腫瘤を形成し, リンパ系組織や全身諸 臓器に浸潤する点で他のがんと共通する. 病型診断に外 科系診療科, 病期決定に画像診断, 化学療法終了後の放 射線治療といろいろな診療科が関与し, 造血器腫瘍の中 でもっとも集学的治療の色合いが強い. しかし, 治療の 主体は化学療法で, リツキシマブ併用, 自己末梢血幹細 胞移植の実施によりその予後は向上している. 多発性骨髄腫は腫瘍細胞の増殖とともに骨破壊病変を 伴うことが特徴で, 病的骨折, 腰痛等で整形外科との関 連が深い. 形質細胞腫, 骨破壊が著明な場合には放射線 療法を行う場合もある. 治療は MP療法が標準療法であ るが, 自己末梢血幹細胞移植, 子標的療法薬ボルテゾ ミブ, 骨病変改善と抗腫瘍効果を狙ったビスフォスフォ ネート製剤など新規治療法も導入され, 治療成績は年々 改善している. 造血器腫瘍患者では他診療科との連携を図りながら化 学療法を行うことが, 治療成績と QOL 向上には不可欠 である. がん患者に対する集学的治療における重粒子線治療の役 割と連携 大野 達也,中野 隆 (群馬大学重粒子線医学研究センター) 重粒子線治療は, 限局性のがんに対する有効性や安全 性が従来の放射線治療に比べて向上し, 治療期間も短い (数日から 4週間) という特徴を持つ. 治療対象には, これまでの治療法では制御困難な腫瘍 (腺癌, 肉腫, 大きな腫瘍など) や, 手術が第 1選択である が医学的理由や手術拒否により手術適応とならない腫瘍 (肺癌, 肝細胞癌など) が多く含まれるが, 広範に転移を 有する場合は適応とならない. 照射の際にミリ単位の高 精度で標的を狙うため, 位置精度を保つための事前の準 備が特に重要である. 例えば, 仰向けまたはうつぶせで 固定具を装着した状態のまま CT を撮影して治療計画を 作成する. この際, 腫瘍の位置を同定するための金属 マーカー挿入や体内におけるビーム到達位置を再現する ための処置 (食事制限,膀胱内生食注入),CT 画像を適正 化するための歯金冠除去など前処置は患者毎, 治療計画 毎で多岐にわたり, 多職種間の連携が欠かせない. 既存の重粒子線治療施設では, 至適投与線量や短期照 射法の開発に代表される照射技術面の研究開発が主体で あった. 一方, 群馬大学では, がん診療体系における重粒 子線治療の役割を確認すべく, 重粒子線治療の特徴を生 かした集学的治療法開発を 命の一つとしている. 例え ば, 腫瘍が消化管に近接している場合でも, あらかじめ 手術にて腫瘍と腸管の間に人工物 (スぺーサー) を挿入 することで, 消化管に対して重篤な有害反応を出すこと なく治療可能な場合がある.また,抗がん薬, 子標的薬, ホルモン療法薬などの薬物療法ならびに免疫療法との併 用は, 既に群馬大学のプロトコールにて検討が開始され ている. 重粒子線治療の複雑な治療工程を安全かつ効果的に進 めるには, 情報の共有化と相互理解が必要である. 特に 患者にとっては, 主治医から重粒子線治療を勧められる ことが重粒子線治療の最大の契機となるため, 他の診療 科医師に対しては適切な情報提供を行う必要がある. がん患者に対する重粒子線治療における看護師の役割と 連携 中島 陽子,野本 悦子 (群馬大医・附属病院・看護部) 大野 達也 (群馬大学重粒子線医学研究センター) 重粒子線治療の特徴として, 対象が通常の治療に難治 性の腫瘍を持つ患者が多く含まれること, 腫瘍に対して 高精度技術を用いて照射するため, 準備が緻密になるこ とがあげられる. これらの特徴を踏まえ, 看護の役割と 連携について治療の過程に って以下に説明する. ①受診から適応決定,インフォームド・コンセントまで : 多くの患者は受診までに治療について勉強してくる場 合が多いが, その知識が正しいものかを見極めなけれ ばならない. 苦痛の少ない治療を望み, 重粒子線治療 を希望する患者が多いが, 治療の利点・欠点を理解し 患者自らが治療を受ける意思決定を行えるよう支援す る. ②治療の準備 : 適応の確定後も治療の準備のため, 固定 具の作成, 治療によっては体内にマーカーを埋め込む 処置や歯の金属除去を行う. この過程で治療に影響を 及ぼす身体症状や, 閉所恐怖症などの精神症状を予測 し, 多職種と連携して症状をマネジメントし綿密に準 備を行う. ③治療期間 : 毎回の治療は位置のずれがないことを確認 してから照射するため, およそ 2−40 にわたり, 体 を動かさずにいることが求められる. 治療は仰臥位, 腹臥位であるため, 腫瘍などで疼痛がある場合は勿論, 320 第 56回北関東医学会 会抄録
がん患者に対する集学的治療における重粒子線治療の役割と連携(第56回北関東医学会総会抄録 ワークショップ)
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