Title
リユースバッグによるレジ袋削減効果の解析―大学売店でのリ
ユースバッグシステムの成果―
Author(s)
阿部 晶
Citation
福岡工業大学研究論集 第43巻第1号 P53-P59
Issue Date
2010-9
URI
http://hdl.handle.net/11478/1008
Right
Type
Departmental Bulletin Paper
Textversion
Publisher
福岡工業大学 機関リポジトリ
FITREPO
リユースバッグによるレジ袋削減効果の解析
―大学売店でのリユースバッグシステムの成果―
阿
部
晶
(社会環境学科)Analysis on Reduction of Free Plastic Bag Consumption
by Introducing Reusable Bag System
―Result of Reusable Bag System at the store in a University Campus―
Sho A
BE(Department of Social and Environmental Studies)
Abstract
A lot of countermeasures to reduce plastic bag consumption have been proposed or implemented. In May,2005, a trial to reduce plastic bag consumption by introducing reusable bag system was started in cooperation with the store in a University Campus. In about 5 years from 2005 to 2009, the system has been well known to faculty, staff members and students, and consumption of free plastic bags has been vastly reduced. In this paper the numbers of lost reusable bags are counted and then the effect of the reducing the plastic bag consumption are analyzed. Key words:free plastic bag, reusable bag system, reduction of plastic bag
1. はじめに 容器リサイクル法改正の議論において,レジ袋有料化が 取り上げられたことからもわかるように,レジ袋削減は, ごみ対策の中でもひとつの象徴的なテーマである。 大学内にリユースバッグシステムを導入することでレジ 袋削減を図り,ISO環境管理システムの一環として大学の 環境保全対策に寄与するとともに,学生の環境教育のツー ルとしても役立てるべく,2005年に学内のひとつの売店で, 2006年にもうひとつの売店でシステムの運用を開始した。 導入の経緯や,リユースバッグを選択した理由について は別報で論じた 。本稿では,数年間のデータをもとに,レ ジ袋の削減効果,リユースバッグの 失率等について 察 し,大学という閉鎖的な空間におけるリユースバッグシス テムの可能性について論じる。 2. リユースバッグの減少 2.1 リユースバッグの減少の要因と導入時の対応策 リユースバッグシステムは,バッグを決められた場所に 返却することにより成り立つ。返却率が低いと新しいバッ グを次々と補給しなければならず,経済的な観点からシス テム維持が困難になるだけでなく,環境負荷低減の観点か らもシステムの意味が無くなってしまう。したがって,リ ユースバッグの運用在庫数の推移を把握することが重要に なる。 リユースバッグ減少の理由はいくつか想定される。 ① 客がシステムの意味が理解できないまま持ち帰り,返 却しない, ② 客がシステムの意味を理解してはいるものの,面倒な ため返却しない, ③ 客が気に入って自 用に利用するため返却しない, 等が えられる。 ①に関する対策としては,導入時に ISO活動を行ってい る学生が売店前で PR や説明をすることで,理解の早期浸 透を図った。 ②に関する対策としては,返却台の配置を検討し,学生 の移動ルート等に配慮して配置し,無理なく返却できるよ うにした。 ③に関する対策としては,主たる利用者が学生であると 想定し,大学名を入れ,学内では持って歩く気になるが, 学外では決して持ち歩きたくないようなロゴ入り及びデザ インであること,をコンセプトにしてデザインを決定した。 平成22年5月31日受付
2.2 A棟売店での状況 2.2.1 運用開始時の状況 最初に運用を開始したA棟売店における2005年5月の開 始時から夏休みまでの ISOバッグ(導入したリユースバッ グの名称を ISOバッグとしたので,以下この呼称を用い る)現存数の推移を表1に示す。この数値は,週末に売店 側の協力で回収後の現存数を数えて記録していただいた データをもとに整理したものである。 4週間で323枚減少していた。週に81枚,1日当たり16枚 がなくなっていることになる。最初にこのような減少が起 こることは予想していたが,変動の幅が予想以上に大き かったため,この時点では減少数の推移について十 な判 断はできなかった。 2.2.2 半年から1年後の状況 運用開始後半年たった後期開始から終了までの半年間の A棟売店における ISOバッグ現存数の推移を表2に示す。 11月11日から1月13日までの減少数は,83枚(298−215) であり,この間の営業日数の32日で割ると,2.6枚╱日と なった。運用当初の16枚╱日と比べると,大幅に減少して いる。 また,2/20∼2/27及び3/13∼3/20に見られるように,現 存数の増加が起こっている。これは研究室等にストックさ れていたものがまとまって返却されたものと えられる。 当初は,現存数の減少は1ヶ月程度の単位で把握できると えていたが,1年単位程度の長期のスパンで観測する必 要があることが示された結果となっている。 2.2.3 1年から2年後の状況 2006年度,すなわち運用開始後1年から2年までの1年 間のA棟売店における ISOバッグ現存数の推移を表3に リユースバッグによるレジ袋削減効果の解析(阿部) 表2 A棟売店2005年度後期の ISOバッグ現存数 年月日 枚数 補充等 240枚補充 2005/10/24 360 10/28 343 11/11 298 1/13 215 1/23 189 1/30 173 2/6 149 60枚補充 2/13 101 2/20 107 2/27 132 3/6 178 40枚補充 3/13 148 3/20 179 3/27 177 (注)7/22から10/24の間の減少は41枚 (161−[360−補充 240])と推定。 表3 A棟売店2006年度後期の ISOバッグ現存数 年月日 枚数 補充等 2006/4/3 171 4/10 231 4/17 258 4/24 233 5/8 210 5/15 277 5/22 271 5/29 272 6/5 290 6/12 239 6/19 203 6/26 244 7/3 210 7/10 169 7/18 197 7/24 188 7/31 148 8/7 192 9/10 209 9/19 208 9/25 210 9/30 203 10/10 183 10/16 148 10/23 178 10/30 147 11/6 153 11/13 199 11/20 187 11/27 204 12/4 177 12/11 145 12/18 177 1/10 156 1/15 175 1/22 89 1/29 101 2/5 93 2/13 52 2/20 25 100枚補充 2/26 104 3/5 122 3/13 162 表1 A棟売店2005年度前期の ISOバッグ現存数 年月日 枚数 補充等 2005/5/22 648 5/29 646 6/5 460 6/13 313 6/19 325 6/23 270 7/3 205 7/8 241(181) 60枚補充 7/15 203(143) 7/22 161(101) 54
示す。 前 期 の 4 月10日 か ら 7 月10日 ま で の 減 少 数 は,62枚 (231−169)であり,この間の営業日数の60日で割ると, 約1枚╱日となった。 後期の9月30日から2月20日までの減 少 数 は,178枚 (203−25)であり,この間の営業日数の86日で割ると,約 2枚╱日となった。 1年を過ぎると,減少数はほぼ安定して1∼2枚╱日程 度となった。 また,4/3から4/17にかけて,11/6から11/27にかけて及 び2/26から3/13にかけて,逆転現象(大量返却)が発生し ている。 2.2.4 3年目以降の状況 3年目以降の1日当たり減少数もほぼ2年目と同様で, 0.12から2.4枚╱日の範囲内にある。 2.3 C棟売店での状況 2.3.1 C棟売店の運用開始時の状況 2番目に運用を開始したC棟売店における2006年10月の 開始時から春休みまでの ISOバッグ現存数の推移を表5 に示す。C棟売店での ISOバッグ現存数Mは式⑴で表され る数値であり,売店側の協力で得たバッグ残数に学生諸君 が回収したバッグ数を数えて記録したデータをもとに整理 したものである。したがって,ISOバッグ現存数Mは原則と して月曜から金曜までの毎日のデータが存在するが,表5 はバッグ数の変遷を経時的に見るために,そのうちの金曜 のデータのみを表示したものである。 M=E+F+G+H ⑴ M:C棟売店 ISOバッグ現存数 E:C棟,D棟,α棟,本部棟で当日回収した ISO バッグの数 F:A棟及びB棟で回収された ISOバッグのう ち,C棟売店で 用されたものの数 (C棟売店で 用された ISOバッグには注意 書きの紙が貼り付けられているため,A棟売 店で 用されたものと区別できる) G:C棟売店において当日 用されずに残った ISOバッグの数 H:付属高 から回収された ISOバッグの数 (回収は不定期) 最初の5日間(第1週月∼金)の減少数は52枚╱日であっ た。 (400−142=258枚,258枚÷5≒52枚) 第2週の6日間(第1週土及び第2週月∼金)の減少数 は8枚╱日であった。 (142+40−133=49枚,49枚÷6≒8枚) 4週間の減少数は352枚(400+40−88)であり,23日で 割ると15.3枚╱日であった。 2006年11月10日から2007年2月2日までの60日(営業日 数:日曜祝日は原則として閉店)の減少数は151枚(88+ 120−57)であり,60日で割ると2.5枚╱日であった。2月 2日までで集計したのは,試験期間等のため学生数が減少 する期間を除くためである。 2.3.2 C棟売店の半年から1年後の状況 運用開始後半年たった前期開始から終了までの半年間の C棟売店における ISOバッグ現存数の推移を表6に示す。 2007年3月29日から7月20日までの91日(営業日数)の 減少数は,59枚(178−119)であり,91日で割ると0.6枚╱ 日であった。 表4 A棟売店2007年度以降の ISOバッグ減少数 期間 減少数(枚╱日) 2007年度前期 2.4 2007年度後期 1.3 2008年度前期 0.79 2008年度後期 0.12 2009年度前期 0.6 表5 C棟売店2006年度後期の ISOバッグ現存数 年月日 枚数 補充等 2006/10/15 400 開始前日:日曜日 10/20 142 以下,金曜日 10/27 133 10/20に40枚補充 11/2 135 11/10 88 11/17 71 この間に60枚補充 11/24 69 12/1 44 12/8 94 12/6に60枚補充 12/15 88 2007/1/18 51 1/25 51 2/2 57 2/7 42 2/15 43 2/22 43 3/1 84 3/8 124 3/15 110 3/22 133 3/29 178 (高 から43枚回収。通常 は10∼20枚程度)
2.3.3 C棟売店の2年目以降の状況 2年目以降の1日当たり減少数もほぼ半年から1年まで の間の数値のレベルにあり,0.1から1.3枚╱日の範囲内に ある(表7)。 3. ISOバッグの当日利用数 リユースバッグである ISOバッグの効果把握のために は,減少数の把握だけでなく1日に何枚利用されているか を把握することが重要になる。A棟売店での ISOバッグ現 存数は,週末のみの計数であるため,1日の間に何枚の ISO バッグが利用されたかを把握することができなかった。 このため,毎日計数しているC棟売店においては,式⑵ で示される当日利用数Nを把握し,その推移を見ることに した。 N=My−Gt+Jt ⑵ N:当日の ISOバッグ利用数 My:前日のC棟売店 ISOバッグ現存数 Gt:当日にC棟売店において当日 用されずに 残った ISOバッグの数 Jt:当日の昼休みに回収された ISOバッグの数 導入第1週から第10週までの当日利用数の推移を表8に 示す。 最初の1ヶ月(第4週まで)は1日に100枚以上の ISO バッグが利用されたが,第5週以降は51∼86枚の範囲で落 ち着いている。 その理由のひとつとしては,売店と協議して,昼休みの 混雑時で十 説明できないような状況下では,無理に ISO バッグを わないよう店員に指示してもらったことによ る。これは,当初の ISOバッグ減少数が大きいのは,趣旨 が からずに持ち帰ったり捨てたりすることがあるためと 推測し,それを防止するためである。 第12週以降の当日利用数の推移を10週ごとに,その10週 内での最小の週と最大の週を表9に示す。第50週までは少 ない週で平 40程度,多い週で平 100程度までと安定して いるが,第51週から80週までは最大値が139∼173と大きく なり,第81週以降はその前の水準に戻っている。 週により,また各週内でも日により増減はあるが,概ね 表6 C棟売店2007年度前期の ISOバッグ現存数 年月日 枚数 補充等 2007/4/12 156 240枚補充 4/19 107 4/26 74 5/10 126 5/17 129 5/25 110 6/1 59 6/8 73 6/15 172 6/22 133 6/29 83 7/6 94 7/13 102 7/20 119 7/27 146 8/2 120 8/9 125 8/21 122 8/30 97 9/6 69 9/13 99 9/20 73 9/28 63 表9 C棟売店での ISOバッグ当日利用数 (第12週以降の10週単位での最小と最大) 期間 当日利用数 第12∼20週(第11週は正月休) 40∼100 第21∼30週 53∼79 第31∼40週 54∼77 第41∼50週 59∼99 第51∼60週 69∼162 第61∼70週(以下2008年) 35∼173 第71∼80週 40∼139 第81∼90週 45∼69 第91∼100週 29∼110 第101∼110週 24∼63 第111∼120週(113から2009年) 16∼62 第121∼130週 29∼108 第131∼140週 39∼50 表7 C 棟売店2007年度以降の ISOバッグ減少数 期間 減少数 (枚╱日) 2008年度前期 (3/31∼7/26の97営業日) 1.3 2008年度後期 (10/3∼3/23の131営業日) 0.1 2009年度前期 (3/23∼7/31の106営業日) 0.2 表8 C棟売店での ISOバッグ当日利用数(当初) 期間 当日 利用数 第1週(10/16 月∼10/20 金)平 264 第2週(10/23 月∼10/27 金)平 144 第3週(10/30 月-31 火,11/2 木)平 179 第4週(11/6 月∼11/10 金)平 131 第5週(11/13 月∼11/17 金)平 76 第6週(11/20 月∼11/24 金)平 76 第7週(11/27 月∼12/1 金)平 57 第8週(12/4 月∼12/8 金)平 51 第9週(12/11 月∼12/15 金)平 86 第10週(12/18 月∼12/21 木)平 79 56 リユースバッグによるレジ袋削減効果の解析(阿部)
数十枚の ISOバッグが毎日利用されていることになる。 4. レジ袋減少数 4.1 レジ袋減少効果 ISOバッグ導入の最大の眼目は売店で消費されるレジ袋 の削減である。このため,A棟売店及びC棟売店のいずれ においても,当初から売店の協力を得てレジ袋 用枚数を 把握することにした。 4.2 A棟売店での状況 4.2.1 ISOバッグ導入前の状況 ISOバッグ導入前にゼミ所属の学生とシステムの検討を していた段階で,まずレジ袋消費削減を呼びかけようとい うことになり,2004年11月にA棟売店店頭に「減らそう レジ袋」というタイトルの立て看板を設置した。 当初はレジ袋消費枚数をシステム的に把握していなかっ たので,概数しか得られていないが,減らしましょうとの 呼びかけ前は1日当たり700枚程度消費していた。減らしま しょうとの呼びかけ後,当初は400∼470枚╱日程度で推移 し,その後呼びかけがある程度浸透したためか,ISOバッグ 導入直前で300枚程度に減少していた。 4.2.2 ISOバッグ導入直後の状況 ISOバッグを導入した2005年5月23日当日のレジ袋消費 枚数は32枚であり,その後1ヶ月間では最低の日で5枚, 1ヶ月経過時点で13∼16枚╱日程度に激減した。7月第3 週及び第4週では31∼33枚╱週(1日6枚)程度であった。 2006年1月から売店側がレジ袋消費枚数を記録して毎週 初めに記録用紙のコピーを届けてくれることになった。そ れ以降,8月の夏休み入りまでの8ヶ月間のレジ袋消費枚 数の推移は表10のとおりである。 なお,2月頃に売店担当者に問い合わせ,ISOバッグ導入 以降それまでの間,売店として特段対応は変えていないこ とを確認している。 1月から2月中旬までの期間の1日のレジ袋消費枚数は 平 30枚程度であり,春休みの少ない時期を過ぎて4月の 新学期に入ると,少し下がって平 25枚程度となった。 4.2.3 ISOバッグ導入後1年以上経過してからの状況 ISOバッグ導入後約1年半経過した2006年後期からの半 期ごとのレジ袋消費枚数の推移を表11に示す。ここでは, 試験や休み期間を除く通常授業の期間について集計した。 2006年度後期と2007年度前期は1日当たり14枚のレジ袋 消費だったが,2007年度後期は10枚,2008年度前期・後期 は8枚と徐々に減少している。 4.3 C棟売店での状況 4.3.1 ISOバッグ導入直後の状況 ISOバッグ導入直前の2日間及び導入後から年末までの 11週の週平 レジ袋消費枚数を表12に示す。 ISOバッグ導入前は約700枚のレジ袋を消費していたが, 導入直後の3週間は,93∼171(13∼24%)と大幅に減少し ている。しかし,第4週以降は,無理に ISOバッグを 用 表10 A棟売店2006年度前半のレジ袋消費枚数 期間 (2006年) レジ袋消 費枚数 1日当たり消 費枚数 1/10∼13 122 30 1/16∼22 215 30 1/23∼28 218 36 1/30∼2/3 153 30 2/6∼2/10 171 34 2/13∼2/17 131 26 2/20∼2/24 83 17 2/27∼3/3 83 17 3/6∼3/10 32 6 3/13∼3/17 18 4 3/20∼3/24 12 2 3/27∼4/1 7 1 4/3∼4/9 75 10 4/10∼4/14 123 25 4/17∼4/21 106 21 4/24∼5/7 110 21 5/8∼5/12 90 18 5/15∼5/19 100 20 5/22∼5/26 135 27 5/29∼6/2 147 29 6/5∼6/9 175 35 6/12∼6/16 142 28 6/19∼6/23 107 21 6/26∼6/30 131 26 7/3∼7/7 101 20 7/10∼7/14 149 30 7/17∼7/21 139 28 7/24∼7/28 139 28 7/31∼8/5 97 16 8/7∼8/11 113 23 表11 A 棟売店におけるレジ袋消費枚数の推移 (ISOバッグ導入後1年以上経過以降) 期間 1日当たりレジ袋消費枚数 平 (注) 最小∼最大 2006年度後期 (10/2∼2/9) 14 9∼18 2007年度前期 (4/9∼8/3) 14 7∼20 2007年度後期 (10/1∼2/9) 10 6∼13 2008年度前期 (4/8∼8/1) 8 4∼15 2008年度後期 (9/27∼2/6) 8 4∼12 (注)期間内の週平 の単純平 である
しないよう売店側と調整したため,170∼318と若干増加し た。 第4∼11週のレジ袋消費枚数は大きな変化が無く安定し ており,その単純平 は277枚(削減率61%)であった。第 4週頃から若干の増加に転じたことは,ISOバッグ当日利 用数が導入第5週から減少した(表8参照)ことと時期的 に符合する。 4.3.2 ISOバッグ導入2ヶ月以上経過後の状況 ISOバッグ導入後約2ヶ月半が経過した2007年の初めか らの半期及び春休み,夏休みごとのレジ袋消費枚数を表13 に示した。 春休みと夏休みを除く通常授業期間の消費枚数の半期ご とのレジ袋消費枚数平 は216∼251であり,経年的な増加 や減少の傾向は見られず,安定した状況で推移しているこ とが かる。 5. ISOバッグ導入の効果 5.1 ISOバッグ導入の狙い ISOバッグ導入の目的は,直接的にはレジ袋の代わりに リユースバッグである ISOバッグを用いてもらうことに より,それに相当するレジ袋の消費を削減することである。 ただし,それだけではなく,間接的な効果も期待している。 すなわち,消費者(この場合購買する学生,教職員など) には購入商品が1,2個で特にレジ袋を必要としない場合 にレジ袋を断る動機付けを与えること(ISOバッグ返却も 面倒なので「シールでいいです」と断る),及び反射的にレ ジ袋に入れて売っていた売店の店員の意識変革があげられ る。 また,リユースバッグシステムが継続されるためには, リユースバッグの 失数が初期の混乱期を除いて相当程度 少なくなることが欠かせない要件となる。 以下,これらについて 察する。 5.2 ISOバッグ導入の直接的効果 A棟売店及びC棟売店での ISOバッグ導入前のレジ袋 消費枚数については,正確な統計はC棟売店での導入前2 日間の平 706枚のみであるが,双方への聞き取り調査か ら,いずれの売店でも毎日700枚程度が消費されていたと推 測され,この数値を前提に 察する。 ISOバッグの当日利用数は C 棟売店でのデータのみで あるが,ISOバッグ導入後12週経過後の安定期のデータ(表 9)で見ると,16∼173の範囲内にある。これは導入前の700 枚と比較すると2∼25%である。平 的に見て50∼100程度 とすると7∼14%となる。 したがって,レジ袋の代わりに ISOバッグを用いること による直接的なレジ袋削減効果は最大でも25%,平 的に は1割程度と見られる。 5.3 ISOバッグ導入の間接的効果 A棟売店でのレジ袋消費枚数は,ISOバッグ導入後1年 以上経過後の安定期に入ってからは,1日当たり8∼14枚 である。ISOバッグの当日利用数のデータはないが,回収状 況の聞き取り等から判断して,C棟売店より少ないと推定 できる。 仮に当日利用数を50程度と仮定すると,ISOバッグ導入 前の700枚に対し,削減率98%(1日当たりレジ袋消費14枚 として),そのうち ISOバッグ代替による直接的な効果が 7%,間接的効果が91%となる。 C棟売店でのレジ袋消費枚数は,夕方明らかに外に持っ て帰りそうな客など ISOバッグが不適当と店員が判断し た場合には遠慮無くレジ袋を 用することにしているた め,A棟売店に比べればレジ袋 用数は多い。通常授業期 間の消費枚数の半期ごとのレジ袋消費枚数平 は216∼251 表13 C 棟売店におけるレジ袋消費枚数の推移 (ISOバッグ導入後2ヶ月以上経過以降) 期間 1日当たりレジ袋 消費枚数(注) 2006年度後期後半(1/9∼3/3) 251 春休み(3/5∼4/7) 141 2007年度前期(4/9∼8/10) 248 夏休み(8/20∼9/29) 127 2007年度後期(10/1∼3/1) 216 春休み(3/3∼4/5) 104 2008年度前期(4/7∼8/9) 245 夏休み(8/11∼9/27) 115 2008年度後期(9/29∼2/28) 223 春休み(3/2∼4/4) 105 2009年度前期(4/6∼8/1) 248 (注)期間内の週平 の単純平 である 表12 C 棟売店でのレジ袋消費枚数(導入当初) 期間 該当日 1日平 レジ袋 消費枚数(注) 導入前 10/12∼13 706 第1週 10/16∼21 93 第2週 10/23∼28 171 第3週 10/30∼11/4 146 第4週 11/6∼11/11 247 第5週 11/13∼11/18 315 第6週 11/20∼22,24,25 266 第7週 11/27∼12/2 318 第8週 12/4∼12/9 305 第9週 12/11∼12/16 282 第10週 12/18∼12/22 310 第11週 12/25∼12/28 170 (注)週内の各日の消費枚数の週平 である 58 リユースバッグによるレジ袋削減効果の解析(阿部)
枚であり(表13),ここでは最大に近い250枚と仮定して計 算する。また,当日利用数を100と仮定する。 以上の仮定をもとに計算すると,C棟売店での削減率は 64%,そ の う ち ISOバッグ代替による直接的 な 効 果 が 14%,間接的効果が50%となる。(表14) 5.4 ISOバッグの 失数について ISOバッグの 失があまりに多いと,レジ袋を用いた方 が環境負荷がより少ないという事態になりかねない。シス テム導入当初は理解度不足で,持ち帰られたり,ゴミに捨 てられたりという事態が発生することが避けられない。問 題は,ある程度利用者にシステムの意味が浸透した以降に おいて,どの程度の 失数になるかである。 A棟売店での3年目以降の1日当たり減少数は0.12から 2.4枚╱日の範囲内にある(表4)。また,C棟売店での2 年目以降の1日当たり減少数も0.1から1.3枚╱日の範囲内 にある(表7) これらはシステム導入前のレジ袋消費枚数700枚という 数値と比べて極めて小さい数値であり,システムの維持に 全く障害がないレベルと えられる。 6. まとめ ISOバッグという本邦でほとんど例を見ない学内という 閉ざされた範囲内でのリユースバッグシステムの維持の可 能性及びレジ袋削減効果について解析した。 ①対象としたふたつの売店のいずれにおいても,システム 導入後の最初の4週間では,1日当たり15∼16枚の ISO バッグが 失した。しかし,その後は 失数が急速に減少 する。システムの理解とバッグ返却という行動が定着する のに1ヶ月程度を要することが かった。 ②ふたつの売店で の 2∼3 年 目 以 降 の 1 日 当 た り ISO バッグ減少数は0.1から2.4枚╱日の範囲内にあり,システ ムの維持に全く障害がないレベルと えられる。 ③ ISOバッグ導入の目的には,レジ袋の代わりにリユース バッグである ISOバッグを用いてもらうことにより,それ に相当するレジ袋の消費を削減するという直接的効果と, シール貼りで済ますことなどでレジ袋を消費しない行動を 消費者や売店に促す間接的効果がある。 A棟売店ではレジ袋削減 率98%の う ち 間 接 的 効 果 が 91%,C棟売店ではレジ袋削減率64%のうち間接的効果が 50%と推計され,いずれも間接的効果が非常に大きいこと が判明した。 現在,レジ袋の有料化等様々な削減策が検討・実施され ているが,本稿の結果は,直接的な効果だけでなく,消費 者等に与える間接的な効果にも十 な目配りが必要である ことを示唆するものと える。 謝辞 A棟売店及びC棟売店の店長及びスタッフの方々には, ISOバッグの現存数やレジ袋消費枚数を記録し続けていた だいている。また,環境 ISO学生組織「えこ FIT」の諸君 は,連日 ISOバッグの回収及び枚数記録を行ってくれてお り,本稿のデータはそれらに基づいている。ISOバッグシス テムが2005年の導入後5年を経過してもまだ続いているこ とは,これら地道な活動の結果であり,また,一般の教職 員や学生諸君の支援の賜でもある。合わせて感謝の意を表 する。 参 文献 1) 阿部 晶:大学売店におけるレジ袋削減の試み,季刊 環境研究 No.141,pp.104-112,2006 表14 ISOバッグによるレジ袋削減効果推計 A棟売店 C棟売店 削減率 98 64 内 直接的効果(注1) 7 14 訳 間接的効果(注2) 91 50