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「オルフォイスに捧げるソネット」に就て或は「オルフォイス的世界」

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Academic year: 2021

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(1)汁/L・フォイスに捧げるソネットに就て. 43. 「オルアォイスに捧げるソネ■ゥ りに裁て こ1. 或は「オルアォイス的世界」 河. 原. 忠. 彦. フランスに於る1))レタのよき理解者であ少,彼の「マルチの手記」の忠実な爾訳者で あるモー.)ス・べッ'ッの語るところに依ると,既に1921年t)'レタ払 品を発見し,. ヴァレ.)-の作. 彼のために昧, 「最も偉大な人物の申での第一級の人」といふ最大の讃辞. を惜しまなかったo始めて,ヴァt/.1). -を親しく知ったの杜1924年のことで,其の後.). }L・ケ旺,其の生産を閉ぢる迄に,前後12回会ふ機会をもったo. しかし,その会談はおほ. むね,サT}ン的雰囲気に妨けられ,親しく語D合ふことが出菊なかった.ただ斗度,そ れ杜1926年9月のある午後のことで,、ニれが二人の最後の会見となったのだが,Lアン チィ公園の老樹の`もとをゆききしながら,主として,をの頃.)ルタがドイツ語ぺ朝訳し かけてゐた「ナルシス断章」について語歩合ったo. I)ルタ杜,既にヴvI)-の詩篇「海. シヤ)t・ム. 辺の墓地」や「魅惑」の胡訳を経へてゐたが,. 「若きパ}t,ク」、に関して昧,. 「他国語に移. tsうと如何に努力を重ねてみても,結局昧,徒労に等しい」と判断して,彼昧その聯訳 J. を断念してゐた。 ヴァv. 1). -はその時の模様を次のやうに語ってゐるo. 「毒は語った.彼娃私の言葉に,私の試みに-未だ存在してゐなかったし.,多分こ. れからも存在することはある患い,と思昧れるものをただそれだ貯のために帝在させる 試みに-加娃った.丁度,内部に日億めてゐる人として,■諸翫念,誘惑や阻止や照明. や底意や決革や断念といつた,い昧ば詩篇の内面的生命を構成してゐるすべてのものに よって,到る朗襲放れてゐる人として,. -詩人が自分白身に蹄与するやうに」とo. この会談後3ケ月して1)ルタ昧その生産を閉ぢたわけだが,. 7)ノレタの死後,ヴァVt). J抹,スイスの批評家マックス・v..)シュナ一に,犠重にで娃象る1が貴た率直にかう語つ ナこ。. 「私昧.)ルタを愛してゐた。私が直積に昧,愛し得なかった事柄,例へば紳秘主義,占. 星術,前兆の認識,予感,内面の宗教的な声,遠い事物の親しい秘密といつた不正確な 富農でしか壱へない夢想のほの暗い,殆ど未知の深み,さうしたものを,彼を通じて愛. したo要するに,私が認識してゐなかったか或軌故意に喝弄してゐ年生の,かうした 側面を経て巧妙に1)ルタ昧私に示t,てくれたものだJ,.

(2) ヴj・. 忠. 原. 河. 44. 一彦. 「存在しないも. vl/-昧周知の如く「詩を作る」といふ意志的な立場の詩人で,. の庵ただそれだけのために存在させる」ために,意識内の金的な操作を唯`-の仕事場と 「轟び詩作を始. する詩人であった。 「若きバルク」に就ても,長い沈獣の期間を破って,. めようと思ったとき,私拭意志的行為をしようと思ったo私のしようと思った第一のこ と軌一作品の裡に,党づ生きた詩的対象に関して,私の考-感じ得る限り,その存在 の機能,作用に就て作り得た諸観念を綜合す畠ことであった.次に私昧どこ迄も抽象に 陥らず,反対に自分の想像する架峯の人物朗巨ふ限りイメージを用ひ,能ふ限り書類的. な言語の申に具象化しようと志した」.とo叉「この『バルク』の虞の主題昧,一系考u の心理的置換の絵画であり,要するに,或る晩の,持続する意識の変化に外ならぬ」oと. 述べてゐるとほり,存在するといふことに汚されず,わずら昧されない純粋な,対象に 就ての諦観念の知的意志的綜合を土台として生れる,意識円の諸心象のあらゆる可能な 結合操作に,詩作の機能壷認めたのである. 然るに.)ルタ払ヴァVl)-も書いてゐる過少「非常に美しい彼わ目昧,私の見えな いものを見てゐた」のであり,年束,詩的形象の中に生きて釆たのであって,宇宙その .べ」ツーク. ものの中にある諸形象の問に,目に見えぬ「関係」凌償に感じとり,変な言ひ方だが, 本当に見えないものを見る月を持つに至ってゐたと言ってよいであらう。しかし,グァレ 1). Iに親しく接し,その「存在しないものを存在させる」知的且つ意志的な操作並びに I. その典型的な実作が.) )レクに及棒した影響拭著しいものがあり, 目に見えるものにする」といふ,. 「目に見A・ないものを. .)}レタの有名になりすぎた言葉が,賞に詩的造型の方. 法として,彼の脳裡に定着したの昧,ヴァvl)-に負ふところが大きかったと言へよう. 20年前,.)ルタがT,ダンの強力な造型の中に人間や物の世界へ開かれた門を見たやう に,ダラv. I)_的な詩の知的な意志的な構成払暁年のt)ルタにその生存の不安や,忠. 怖に対する解毒剤をもたらし,新しい詩の尺度を与へたこと昧,フランスの多くの評家 の一致する見解である.その典型的なものとして昧,. 「オルフォイスのソネッtJをあ. ゅるのが適当のやうに恩へる.といふの拭,グァvl). -の諸詩篇を一貫して特徴づけて レア])チ. 竜ア. フォルス。コスミック. ラポール. ゐる「自我Jと「宇宙的諸カ」との関係そのものが詩的世身の現実となってぁる,い ル・屯ンド●ド・ラポール. 昧ば,「国債の世界」が,この「オルフォイスのソネット」のうちに,ジェルマニッタ. な特性を帯びて,神秘なグールの中にも鳳明噺な造劉生を獲得してゐるからであるo ☆. 例へばヴァt'.)-の「海辺の基地」を,或拭1)ルタの「オルフォイスに捧抄るソ′ネッ りを特異の愛情をこめて,恰も哲学書を播くやうに一行一旬の意味を測りながら読ん ミスティーク. でゆくと,簡単に言って,、後者の紳. ≠酪の味昧ひ,前者の地中海的明噺性といつた相違.

(3) 45. オル7ォイスに捧げるリネ・ツFに就て. 昧勿論認められることであるが,言昧ば,その底流ななしてゐる同一の詩的精神として カオス. 感じられるもの軌混沌と見える現象世界に対する厳しいフォルムの確立ないし課定の 背後に,鳩溢れる泉のやうに,宇宙的諸力が生々と現存し・読む者を詩的現実の新しい 1)ズムヘと誘ふといふ事実であるo それらの詩篇昧,い昧ば複雑な内容と構成をもった小詮の経ったところから始められて. ゐるネぅな売がするoそれ昧大変な重みと密度をあ昧せもつo..)ルタの言ふ「詩と昧存 在だ」といふ意味も,恐らくまたそこにあるo E写. 太陽とか海とれあるが急患の外的世鼎が涛問の推軌こつれて現紘す諸様相が・ ァ. 我」の純粋意識に反映し.・物の匪界と,精神の世界が,その具体的出会に応じて「生れ レア1)芦. ●ネサント. 「目 -パンセ ). ■`フォ. っっぁる思念」を生み,一瞬,詩的現実を支へたかと息ふと消えてゆ・く,さうした「宇 ルルス●コスミック. モア. ラポール. 宙的諸力」と「自我」との「園係」に支-られた「海辺の基地」一語に対して・リル. ケの「オルフォイスのソネッtJにあつ七軌. オルフォイスのあら怜る神話的イメ-ジ. フイグール. に照応する様々な形象に基いた,一部二部あ拭せて55のソネッ†が同一次元に配ダすさ. れて一巻の詩貨が成立してゐる。 ☆. 詩人乱発づ宇宙の混沌を前にし七立つが,哲学者紘何等かの意味に於て秩序を想定 してかかる.. 「眉然のままで拭前後の別なき事物の問に皇でも秩序を想定しT・・・・・・」と. デカルトむ語ってゐるoけだし哲学者昧,彼らの概念で構成するま割こ図式的な宇宙の秩 序を設定ゼずにその思考を始めることが出来ないからであらう.然るに詩人払かうし デミウ)t・ゴス. た秩序の前提条件たる類似性や同一性の敵である.詩人乱造化の紳が拭じめ無秩序か カオス ら引出ILた世界の秩序を再び混沌と見倣す.静人にとって規準となるもの軌断t=て哲 学者の図式的概念世界で拭なく,例へぼ上記二つの詩篇にしても,前者が地中海を見下 すセIトの港町の墓地の風景,後者が後述する踊子ヴュラのイメーS?. i,,.それぞれ分ち. 難く結びついてゐるやう.に,自慰の具体的形姿そのものである。鞄に後者「オルフォイ スのソネット」で払苗代の神話がつくわ上梓た「オルフ.ォイス」といふぞタフォ-)L' が,或杜ヴュラとなり,或昧家相に変容して,そこから生れる諸hの印象を再び綜合す るの■である。. ☆ この「オルフォイスに捧抄るソネット」旺晩年のもーつの大作「ドゥイノ-の悲歌」 の出現に前後して,文字どほり際物のやうに,その一部全篇牲,. 1922年2月2日から. わづか5日間!こ,第二部全篇昧同年11月20日から10日間で書き上ゆられたと,詩人 昧みづから手紙の申で伝へてゐるo.

(4) 46. 河. 原. 忠. 彦. 1922年め始め,詩人昧,その数多の女性の友人のうちの一人,グ}L,. [}レ-. [・オブカ. ヤ・クノーブ夫人から,その若い娘,ヴュラの病気の経過とその死について,丹念に記 録した手記を受け取った.その読んでうけたショックと震-カ言凡そ1. A/月の間彼の心中. に留まb,やがてヴュラの姿が,死に直面しながら,錦此の世のあbとあらゆるカと.) ズムを踊りと化さうとした若い踊子のヴィジョンとして結晶してゆき,遮にソネットの 中に,彼女の踊りの1)ズムの共鳴を伝へるに至ったものである. カタ1)-ナ・キッペンベルクの語るところに依ると,詩人の脳裏に最初からあったもの 旺ミュプットの城の詩人の居間に掛けられてあった銅版画の「オ}L,フォイス」であつ て,彼が或日悪から外車眺めてゐるとき,不意に生々しい形象と化し.次第に彩色されi かつ透明化して青紫の紳「オルフォイス」のヴィジョンとなったとある。しかし皇た別 の脚朗で払. この「ソネッりの世鼎の門を直接開いたもの昧,や捻りこのヴュラの踊. bの手であらうと云ってゐる.第二部の(7)・(18)・(28)のソネットに不朽に表現さ れてゐるのが,このヴュラのイメージであらう.繊細で優雅な形姿を具へながら,余り にも早く「陰たちの国」へ降っていつたヴュヲの姿こそは,詩人の目に昧「オルフォイ ス」の化紳と見えたかも知れない。 ☆ キェ}L,タゴールの言葉に「最も偉大な思想と昧,紳に見られてゐるといふ思想であ る」とあるが,. .)ルタ晩年の,ソネットに並ぶ大作「ドゥイノーの悲歌」を,まさに宇. 宙的人間実存の悲歌たらしめてゐるものは,詩人の詩的認識の果に出現した「天使」に よって見られつつ,い紘ば永遠の相の下に,人間実存の様相と, 世鼻との交渉が刻明に歌はれてゐることである.. (動物を含めての)物の. 「天使」昧詩人の呼出さざるを簡なか. ったものであるが,この「天使」昧,現象の世界を,その昧じめから何一つ失ふことな. く,その鏡といふ性格の中に保証する,詩的象徴に他ならぬが,. 「オルフォイス」も亦. 宇宙自然の力を象徴化した神話中の人物とをま言へ, I)ルケの易合,問題拭如何なる方向 に,`-如何なる秩序に向って象徴化されたれ. といふことにあるo. ☆ 由来日本の芸術で考へられる象徴精神払例-ば芭蕉の俳語に於るやうに,きびしい 形式の下に,文飾を捨て,言裏を簡素化して僅かなイメージ或昧かすかな情趣の厨応を 以て物の本質に迫らんとする方向をとるのであるが.西欧の象徴主義精神に昧,ボード v-}L,以来定説として,これに加ふるに,周一爽秀に様hなヴァ.)アシォンを並置し, その間の照応による,恰もシンフォニiの如き豊解さをかもす方向があ考と冒へよう. パンチール. I)ルタにあ?ても,. T'ダンの影響が多いと言捻れる「叡詩集」の飼へば「豹」に於る存荏.

(5) オル7ォイスに捧げるソネットに就て. 感札. 豹の意志といふ一点に集中されて描かれてゐたが, フィグール. になると,形. フィグー)}. 象そのものの印象拭,他の形. べツーク. 47. r'ォルフォイスのリネッrJ ラポール. 象との聯関によって強められ,むしろ形 レア])チ. べツーク. 象問の関係そのものが意味を生み,詩の現実を形成するもの昧この「関係」そのもの であると言へるのである。. ☆ この「ソネット」杜,後述する様に,オルフォイス神話の相補ふ二つの面から構成さ れてゐると見てよいであらう。しかしその前に党づ,神話としての「オルフォイス」か ら始めよう。. アガロとミューズの息子,竪琴の名手にして優れた歌人であるオ)i,フォイスは亡き妻 オイ1)ディケを連戻す為冥帝-下るo彼の嘆き紘死の女神ブrlセ}L,ピーデの心すらも動 かした.女神昧愛する妻を冥府から瀧明の地上へ連戻すことを許す.しかし冥府から一. 歩踏出す迄紘決して妻の方を据向かないことを誓娃せる.オルフォイス軌零して婁が 彼の後をついて凍るかどうか,人間的疑惑にかられて,途にその誓を破る。冥府の女神 杜オイ1)ディケを彼から奪ひ返してしまふ。愛する妻の死後,すべての女達の愛情を寄 せつけることの改かったオルフォイスは,彼の蔑成したバッカスの益女メナード達の手. によって引裂かれ,海中に投込まれた.しかし彼の頭と竪琴と昧,歌ひ奏でつつ岸辺に 蕗著し,彼の歌昧蓄蔵の花や,森の樹hや石塊,懲達の間で歌ひ続けられた.細部由異 同旺あるが,凡そ上記の如き伝説が伝へられてゐるo. 詩人昧詩的コスモスを形成する蔑,前記q)神話から二つの主要な観念を弓旧し, イノーの恋歌」第7第9に現はれてゐる(この世にあること). 「ドゥ. <Hiersein>の讃歌を. 奏で丁いる.一つ軌亡き婁オイ1)ディナを求めて冥府へ降って,寧しく戻って蘇串オ 'L,フすイスに於て見られる「死」の戟念である..)ルタの有名な,ポーランドの噺訳者 フルゲィッッ宛の手紙の申.に.「最もない生死二つの国に任皇ひ,二つの固から限ゎなく 栄養を吸取草吾々の生存に対応する,最大限の意識を実現せねばならぬ」.と述べてゐる が,. 「オルフォイス」にとって「死」昧「生」から他の異った室間の「生」への通路に. 他ならない。ただ死後の世界を「生」から切離し,これを彼岸として認識することで拭 べツーク. なく, 「死」昧,生死二領域に亘る最大の意識を形成すべき「関係」そのものであ少, メタ匂ルアオーゼ. そこに意味を見たものであり,詩的世界ではその意味が「変. 容」の観念となる。此. メ5タ奄ルフォーゼ. の「変. 容」の観念昧,グーテ以求グルマン精神に娃親しいものであるが,アランに メタ確ルフォーゼ. よると,. 「私は変. 容といふ此の偉大な神威を独逸,D形而上学者達から学んだが.し. かし,結局このよき形而上学者達捻彼等の言ってゐる事を全然信じてゐないo彼ら昧決 して生きた形に倣って,例へば腕輪の様に昧彼等のディアvクティークを閑ぢるに昧至.

(6) 河. 48. 原. 忠. 彦. らないのだ」と言ってゐる様に,此の観念私論理の問題とrtJてで昧なく・実存的にと らへられねばならないだらう.直接オルフォイスに捧抄られた第一部昧特にこの戟念を 包蔵してゐるものが多く,. (5)・(6)・(7)・(8)・(9)・若干の例をひくに留めるo. 記念の碑を建てるな。オルフォイスのために' ・ただ年毎に蓄藤に花咲かせよ。一 何故ならそれはオルアォイスだからだ。 彼の転身ほあれこれの物の中にある。 われわれほ,外の名前を苦労して探すべきではない。 歌のあるところ,それこそまさしくオルフォイスだ。 彼はやって来て去る。時折彼が水盤の暮夜を数日 ・支へる時,それだけでも既に大したことではないか。 (ソネットⅠの(5)1,2,節) 彼は此の世の着であらうか。いや生死二額域から 広大な彼の資性は育ったのだ。 柳の敬を知った着こそ,柳の枝々を ほるかに巧みに曲げることが田来るだらう. (ソネットⅠの(6)1節) サエンtfウング. メタモルフォーゼ. 此の「変. 容」といふ観念を茎間的に表現する場合に札1)}レケ昧好んで曲り角 ヴュンドゥング. といふ表象を用ひる.. 「曲り角」昧造の二つの部分の間の場所であるが,活の二つの部. 分なしに昧認められず,しかも両者と昧独立した所であり-,通行者に新しい客間を開示 メ5モルフォーゼ. するo何ら変哲のないイメージであるが,詩人の好んだ所以昧,一種の「変. 容」が. 巷間的に実現される点であらう.例へば第一部(ll)の馬と人間との結合である騎士の. 形象披これを端的に語ってゐる,だが,謁旨Fb9igJ、の=-ジがF窟ルフォ 附与されて見事に造型されてゐるの妊第二部(12)に於てであるo 転身を希求し給へ。焔の為に感激し給へ。 焔の申で転身を見せびらかすものは, 君から離れてゆく。. 地上を支配する,あの企劃す㌔窟1ま 尭多象の飛躍の中で,ただ曲り角だけを愛する。 停滞の申へ閉ぢ寵るものほ,既に凝結したものだ。 映えない灰色の謄家の中に住んで, 安全だと慮ってゐるのか。待ち給へ。最も硬いものが,遠方から 硬いものに警告している。 ああ,不在の槌が振り上げられてゐる。 泉となって注ぐものを, 「認識」が認識する..

(7) 49. オルフォイスに捧げるソネットに就て. さうして明るく造られた物の世界へと,認識ほ彼を導いてゆくo しばしば始まりと共に終り,終りと共に 始まるあの世界の申へ。 すべての華南な空間ほ,いづれも,分離の子か孫だ. 彼たちは驚きの目を見張って,そこを通り抜ける。 月桂樹に転身したダフネは, わが身を月桂樹と感じて以来, 君(アポロソ)が,風に転身してくれることを 望んでゐる。. (ソネットⅠⅠの(12)). 詩人がオルフォイス神話から抽出した第二の観念昧,党に述べた西欧の象徴揖紳であ コレスボンダンス. る「万物照応」の観念である。 愛を拒怠れたバッカスの盛女メナーヂンのi割こ粉砕されて海に投込まれたオルフォイ. スの頭と竪琴昧岸に漂着し森の木々や動物達の間で侍歌ひ続けたといふ点に見られる様 に。. それ昧-・たびオルフォイスが歌ひ始めると書架の「場」が生れ物や木々や動物が恰 も明るく本能の呪縛を解かれた様に調和の姿を示すことである。オルフォイスの歌声に (第一部の(1)), 慾嘩から解放されて,森のねぐらを飛出して蘇る野物達・・--. T'シヤの. 平原をかけて釆て,ひとり夜の草原の拡がりを自ら歌って聞くことによって感受する白 馬のイメージ・・・--・.. (第一部の(20)) ☆. オルフォイス的世界は,ヴァvl)-的な意味に於て「連続」といふことが殆ど詩的に 完壁に実現されてゐる世鼎である.勿論「連続」といっても数学的な意味で昧なく,例 へばファラディにとって,. 「精神の日によって,数学者が距離別南てて引き合ふ力の二. つの中心を見た所に,茎問の絶てを貫く力線を見る」ことが問題であった掛こ,あらゆ る思念がメタフォ-ルと抽象と言語も羊よる「連続」の延長を板概としてもつことを意味. する.云ひ換へれ臥所謂物理的な「場」の散念に近いものと見てよいもので昧なから うか.そこで昧,. 「ただ素朴な直感法則を息昧せる対象,直接目に入る法則のみが問題. である」o形象が極めて複雑となり,事象が極めて新しい故に,それらの形象闇の法則 が吾hに掴めない様なをんな形象間に見出された「国係」,若しあるとすればそれこ-そ レア1)チ. ニの詩的世界単文へる唯-0)現実と言-るものである.. 「磁場」の存在を保証するもの,. ガイスI. それが「オ}L,フ_左イス」といふ「嚢」である。そこで娃,大きく,現象昧存在と化して べツーク. ゐる.ひとたび「囲係」の世界が実現されるならば,. コレスボンダンス. 「照. 応」と,それに必然的に従. メタモルフォー・ピ. 属する「変. 容」の二観念が,い昧ば放射能と化して物質の申に如何なる障害をも見.

(8) 50. 河. 原. 忠. 彦. 出さず墨間を通過し,かつて結ばれたことのないものを結合する。かかる「照応」,若 しく昧「変容」といづた「関係」の要素が,オルフォイスの詩篇と後期詩篇とを今迄. の拝惰性の強い初期の詩篇,物の本質に漸近自勺に迫った「新詩集」かも区別する著しい 特色と言-ち.. 「関係」昧その皇ま存在である.. 「園係」軌絶えず接近しつつ遼に到達. し得ない,い昧ば「極限」の如き存在にとって代る.軌こ「関係」をま強力な現実と見倣 される.変形紘不動のものに迫り.不戯のもの昧変形を自ら求める.I 不動の大地に向づで言ひ拍へ, 僕ほ流れる,と。 急流に向って言ひ給へ。 一僕ほ存在する,とo (ソきット第II部(29)より) エンデ・トーチ. 天の屋盛時「地上生えぬきの誇」である「騎士」と関係し,「若い死者」ヴュラ披い旺 ば死の秩序へ向って,ダンスの形象の中にあつめられ,統一される。軟らかな果肉を純 潔に守ってゐるオvンヂと少女の本質との園係が踊りによって結びつけられる.. 7.)ス. カン地方の蘇棺が古代世界をさながら現に保証し,死を経験したその麻棺がオルフォイ スの様に新たに静寂の中から・蝶々を飛立たせるoまた,神秘を手探りで探究した古代 人建と現代の吾々との関係が.機械を媒介として打たてられるo例へば次のソネットが 認識させる様な関係払玉大な統-に他ならない宇宙の広大な姦間を告知する。 われらを結びつけることを好む精審に栄光あれ。 何故なら,あれらは実に様々な形象の中に 生きてゐるからだ。 そしてわれらの本来の日とならんで, 小刻みに時計は歩む。 まこ己. われらほ真の場所を知らずに, 実在の関係カナら行劃するo アソテナがア-/テナを感受する. そして空Lい拡がりが荷った-・.・ 純粋な緊張を。 ああ,富力の雷楽よ! 暢気な人間の様々な営みを通じて, 諸々の障害が君(管楽)から, 遠ぎけられてゐないだらうか。 (ソネット第1部の(12)). さながら「しばしば始皇りを以て賂9,経りを以て始まる」球体の中にあって諸関係 昧球体の中心たる,無声無形の「オルフォイス」に結ばれ,詩人の建設しようと欲した,.

(9) 51. オル7オイスに捧げるソネットに就て. 固有の.)ズムに溢れた王国が虞に建てられたと思杜れ,そこで杜世界縁日に見.A・ないも のから目に見える世界と化す。たとひ森のニンフや,泉や,年祭神のヴィジョンが神秘 的な神話世界な形成してゐると昧言へ,あかるく明噺な近代詩的世界を現出してゐると (26年9月). 言へよう。. 参 Maurice. Betz. Paul. :. (ou Monaco). vivant. Cabier. du. Su且 1946・. Rilke,. Les血6gies. Katbarina. E:ippenberg. Eatharina. Kippenberg:. Agnes.. Geering. (souvenir, t6moinages. Val6ry. J.-FAngelloz・.. :. :. de. R. M.. Rilke,. R.M.. Rilkes,. Vetsuch. einer. Parque.. comment6e. 書. 考. Duino; Ein. Les. Beitrag. Duineser. Einfdhrung. in. La. Jeune. par. Alain. Paul. sur. Va16ry). Paris. 1943・. Sonnets主Orph6e 1942・. Elegien. und. Rainer. Maria. 1948. Alain:. et 、6tudes. 1936・. Sonette Rilkes. an. Orpheus. Sonette. 1948・■ an. Orpheus.

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