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最近の女子学生の食物摂取状況について

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Academic year: 2021

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1

  最近の女子学生の食物摂取状況について

Recent Trend in Food Consumption of Women Students in        Relation to Dietary Requirements

村山

上口

裕光

子子

緒 言  近年、青少年の体位は、著しい向上を示し、国民栄養調査の身体状況調査でも、日本人の最 近の体位向上の状況を十分把握している。これは、図1のとおりである。

図1躰人三三の平均体位の推移

身長の推移

身長㎝

150.9 151.4 152.3 15(1.O

,;:一:一一一一一一一・一一一一一.一一・一一一       135.4        132.5 126.8 128・生一一一一一♪一一一一一一一’    _一一一r■●騨●慶’一一     19才女子 _____一10才女子

年次

S25年 S30年 S38年 S46年

(2)

60  σ     0  4‘      2

体重の推移

体重㎏ 49

vt2 38 4g g6 5190

       30.60 2s

A・9一_劃し一単一一一一一’

19才女子 一一一一一一P0才女子

年次

S25年 S30年 S38年 S46年  こうした背景には、日本人の食物摂取方法が近年大きく変化し、これが相当影響しているこ とは、国民栄養調査の食物摂取状況調査の結果で、うかがい知ることができよう。 (表1参照) 表1 日本人摂取栄養量の推移  (全国平均1人1日当り)

一一一 年次別1

       .1

 摂取栄養素、K

S.30年

36 年

42年

48年

エネルギー (cal) 蛋 白 質    (g) 総 量 動 物 性 植 物 性 脂 肪  (9) ビタ ミン 無 機 質 A (LU) Bi (ng) B2 (ti) C (i,) Ca (ng) Fe (ti) 2,104 69.7 22.3 47.4 20.3 1,084 1.16 O.67 76 338 14 2,106 69.7 25.2 44.4 26.1 1,225 1.05 O.74 78 393 2,254 76.6 31.7 44.9 42.4 1,407 1.08 O.92 ee 529 13 2,287 84.1 41.9 42.2 52.2 2,043 1.22 O.98 117 551 14  しかし、青少年の体位は年々向上してきたが、最近、脚気と類似した症状の神経炎の多発な ど、健康問題については、多くの改善せねばならぬ点がある。  我々は、最近の女子学生の食物摂取の実態を把握し、正しい食生活にみちびく指針を得るた めの一助とするべく、昭和50年8月に、僅か数日の実施期間であったが、女子学生を対象に、 食物摂i取状況調査を行なった。

(3)

最近の女子学生の食物摂取状況について 3

調  査  方

法 対象は、平均19才の女子学生87名で、昭和50年8月の夏期休暇中の連続した3∼5日(休日祭 日など特殊な日を除く)の摂取した食物を、表2に朝、昼、夕食別、調理法嗣に記入させた。  同時に、被調査者の体位(身長、体重)も調査した。 表2 巣 養調査(食物摂取状況記入票)  (昭和  年  調査) 原食品使用量 ※ 純揃取量 月   日 料  理  名 食    品 数  量 ※  農 廃棄量 数 量 ※  隅 備   考

(4)

集  計  方

法  表2の食物摂取状況記入表を基にして、表3に転記し、 摂取量の栄養量を計算した。 1日1人平均食品群別、食品別、純 咽鋸駅似回轄 .冒映嘔蟹 ,冒映滑騨咀艇 e9 翁霞︶① 隅 翁∈︶爬 Q 電邑Q ハ 驚 ’彫 ∈Vδ G へ ε

6

︵2︶< ([W︶ーPロ 県 盆 ﹁ 1 ’蟹 ) 鐸 ︵き 鼠 襲 ( 」 ひ 7 ︶ 鼠 二 蝋 ︹﹁く 瑠 爵駆翼 辱 霊  斜 瞬 謁 曙 側

(5)

       最近の女子学生の食物摂取状況について       5 次いで、被調査者1日1人平均食品群別、食品別栄養量の、被調査者全数を合計し、その平均 値と、標準偏差を、栄養素別に求めた。  なお、食生活の実態をみるため、三食別、調理法別ならびに副食における料理形態とその頻 度を調べた。  これと同時に、被調査者の平均体位(身長、体重)と標準偏差を算出した。

調  査  結  果

被調査者の1人1日平均摂取栄養量は、 エネルギー   2,036Cal   Ca

蛋白

 ビタミンA    1! Bl    !/ B2    1i C  ※ビタミンCの(   ある。 であり、       415御

  75g Fe 11ng

  429   339 1 , 393 LU. 0.87解 O.96ng  67解(34)  )内の数字は、調理で損失すると思われるV.Cを50%とした場合の純摂取量で     S.50年3月に改訂された日本人の栄養所要量から、19才、労働強度軽の女子の栄養 所要量を抽出すると、下記のとおりである。  エネルギー  1,800Ca1       ビタミンA  1,800LU.

蛋白質{灘:::;ll ;慧:1:ll霧

  ca 600ng // c song

  Fe 12ng

 今回の調査結果と、S .50年改訂の上記栄養所要量とを比較すると、表4、図2の如く、ビ タミンAと、カルシウムの著しい不足が目につく。  これは、S。49年度国民栄養調査の大阪府集計結果をみても、同じような傾向が、うかs’わ れる。 (図3参照)

(6)

表4 S.50年改訂栄養所要量(19才女子軽労作1人1日)と          被調査者1人1日平均栄養摂取量との比較        (S.50年改訂栄養所要量を100とす)

ls・5・轍訂栄養瀬到

被調査者栄養摂取量 1摂取比率%

エネルギー

(cal) 蛋白質(の ビ タ ミ ン 無 機 質 総 量 動 物 性 植 物  性

A

(1.U) Bi (ntgr)

B2

(tl)

c

(tl) Ca (切 Fe (tl) 1,800 65

w

36 1,800 O.70 O.90 sc

am

12 2,036 75 42 ss 1,393 O.87 O.96 67 415 11 113 115 145 92 77 12t1 107 69 oo 図2 本調査における1人1日当り   平均摂取栄養量とS.50年改訂   栄養所要量との比較 図3 S.49年大阪府民の1人1日当り   平均摂取圏割■とS.50年目途の1   人1日当り栄養所要量との比較

ゆoCa

熱量轟奮

濠   嚇

 VA

u ム

a。を

 ビタミンA、Caの不足に反して、動物性蛋白質、脂肪の摂取が多いことが目につき、近年 の日本人の栄養摂取傾向が、うかS“える。 今回の調査では、穀類からとるエネルギー量は、1人1日平均1,064Calで、1日の総摂取 エネルギー量の52.3%となっている。

(7)

      最近の女子学生の食物摂取状況について       7  同時に調査した被調査者の平均体位と、昭和55年推計基準体位との比較は、図4のとおりで ある。 図4 S.55年推計基準体位と被調査者平均体位の比較        (S.55年推計基準体位を100としたもの)        156.5cm

身長

黶i158.4cmlol.20/,)

52.Okg

体重一[](50.3kg96.7e/,)

この結果、平均より身長が+で、体重が一であることが判り、こあような型の体位(都会型と 名づけた)が、都市部に共通したものであるか否かをみるtめ、学校保健統計調査か転17才 女子の平均体位の全国平均と、大阪府平均とを比較すると、図5の如く、大阪府でも同じよう に都会型体位の傾向があらわれており、本調査の被調査者は、一段と都会型体位が、顕著にあ らわれているようである。 図5 全国平均生徒(17才女)の平均体位と大阪府平均の比較       (S.49年度・学校保健統計調査より)        (全国を100としたもの)        156.2cm

身長

       52.3kg

体重一(51.8kg99.00/e)

 又、三食別の調理法別、副食における料理形態の頻度集計の結果は図6、 る。 7のとおりであ

(8)

図6 食別、調理法別使用頻度図 50% 250/e 比率% 料理型態 (朝食) パン食 ハムエッグ サラダ 飯とみそ汁 loe/, 200/, 比率% (昼食) サラダ

/料理型態

冷しそうめん みそ汁 焼 飯 ライスもの カレー等の 焼魚・焼そば かやくうどん 肉野菜妙め・丼物 ミートスパゲティ 玉子料理 サンドイッチ 冷和 酢煮 やえ の つも も物 この  の 29

(9)

最近の女子学生の食物摂取状況について 9 40e/. 20e/a 比率% (タ食) サラダ 料野型態 野菜煮物 スープ等 みそ汁 ハンバーグ フライ・から揚

焼魚

酢のもの 肉野菜下め

焼肉

野菜警め カレーライス 天ぷら・冷やっこ 玉子料理 丼物・煮魚 ミートスパゲティ 八宝菜 シチュー・コロッケ ロールキャベツ ちらしずし 図7  副食における料理形態図 食    %    コ 中間噛2 朝 日 本 日 22.50/o 西洋型 74.80/e 中間型 13.6a/,

昼食

国型 6.se/. 日本型 36.20/o 西洋型 43.4e/.

タ食

中国型 4.30/o 中問型 20e/. 西洋型 31e/e 日本型 44.70/e 注 料理形態を日本型、西洋型、中国型と分類し混合した料理を食した場合を中間型とした。

(10)

表5 昭和60年を目途とする食料構成基準(1人1日当り)

大そ小い砂油

 麦穀野墓類脂

  雑

品裸他 も糖

     ︻

  の

大豆および大豆製品 味       噌

類実菜菜草類狸

豆 野野

他 色他 介 王乳

   r

の 黄の

ぞ果緑そ海魚肉

250グラム  5グラム  3グラム 70グラム 45グラム 40グラム 20グラム 50グラム 18グラム  5グラム 160グラム 150グラム 150グラム  3グラム 75グラム 25グラム 35グラム 110グラム 麺、パン、菓子、調理用等 菓子用を含む 豆腐、油揚、納豆、きな粉等 (醤油用は含まず) 特にミネラル、ビタミンの補給源と して (註)1.上記の数値は摂食量の基準値であり、食料の供給量の算定に使用するもの     である。したがって個々の家庭での食物構成に使用できるものではない。

考 察 と ま と め

 調査の結果以下の結論を得た。  1人1日当りop栄養摂取量が、所要量(厚生省栄養所要量算出方式による)を上回った者 は、わずかに栄養士コース4名、普通コース4名の8名で、全癒調査者の9.3%の低い値であ り、この中にはかろうじて栄養所要量を充tした者も含まれている。  特に、V.Aとカルシウム摂取量の著しい不足がみられるのは、最近の国民栄養調査結果と 同じであるが、本調査でもCaの摂取量がその必要量のi/2にも達しない者が、被調査者中栄養 士コース18名、普通コース3名の21名(24.1%)が、同じくV.Aの摂取量がその必要量の1/2 に達しないものが、栄養士コース10名、普通コース3名の13名(14.9%)であった。  これは8月置いう夏の暑さの最も酷しい時期の調査で日数にも制限があり、この結果のみで は判断しかねる面も多々あるが、特に食に関心を持たねばならない女子学生の食物の摂り方と しては非常にお粗末である。

(11)

最近の女子学生の食物摂取状況について 11

V.Aについて

 本調査結果のV.A摂取源となっているのは、蟻食によるものが過半数を占めており、卵麺 の1人1日の平均摂取量は63.5gと表5と比較すると28g’も多く食しているが、 V.Aの供給 源である緑黄色野菜の摂取量が非常に少ないことが判明した。これは季節的にも緑黄色野菜の 少ない時期で、普通はもう少し上回るだろうと考えられる。  この不足する緑黄色野菜をもっと摂取するためには、1年中V.Aを供給してくれる人参を もっと摂取する必要がある。図6にみられるように、若い世代に美心と関係深いといわれるサ ラダ類が、朝、昼、夕と好まれているので、特に夕食には3人に1人は食しているので、キャ ベツ、レタズなどの生鮮野菜のみでなく、人参を1回に10∼20gを他の野菜と使い合わせると 色と味にバラエティーを与えることになるが、とかく人参は香気が強く、好き嫌いが多いの で、誰でも好まれる人参の調理法の検討を急ぐ必要がある。更にピーマンや、ヨーグルト、カ ッテージチーズなどの乳製品を使用したサラダを取り入れ、V.Aやカルシウム摂取を強化し ていくことが必要である。

カルシウムについて

 この過少なとり方の原因を探ると、日本人の食形態が朝、昼、夕、近年大きく変化したこと がその主因と考えられる。特に朝食の変化が著るしく、従来の米飯とみそ汁、佃煮、漬物に代 表される日本型朝食が、本調査でも33%、欧米型パターンのパン食が52%と図6と7に示され るように朝食の形態が大きく変化し、昼食でも図7にみられるように朝食と同様献立パターン は西洋型、日本型、中国型、中間型とハンバーグステーキ、フライ、油温めなどの料理が好ま れている。その反面、夕食にはあっさりした野菜の煮物、酢のもの、冷やっこなどの日本型が より多く好まれている傾向にあるので、多様化した食生活をうかがうことができる。  そこで表6を参考にすれば、豆及び豆製品のグループを合計して、1人1日平均73gの摂取 目標量に対し、本調査では1人1日平均40.S9となり大巾に下廻っている。海草、乳類の摂取 量はほs’表5に満ちているが、豆製品によるカルシウム摂取の減少量を何らかの食品でカバー せねばならない。その上、魚介類の摂取が近年減少しつSあり、これと反対に獣鳥肉類の取り 方が急速に増大し、本調査でも1人平均94.3gと表5に比し約70 gも多く摂っている。魚介類 は1人1日平均62.69の摂取量で、表5と比較するとマイナス12.4gとなり、しかも標準偏差 が37.7gと非常に嗜好面で個人差が大きいことをあらわしている。その上、図6に示されるよ うに、この魚介類は骨のまS食するようなカルシウム源としての小魚類は殆んどなく、切身と して購入した煮る、焼く、ムニエルといった身だけを食する料理形態であるため、カルシウム

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源としての魚介摂取にはならない。  しかし最近巷間では小魚の摂取向上が宣伝されはじめ、その調理法も研究されている。これ は大いに喜ばしいことであり、日本人の食の多様化を来たした今日に適した、誰にでも好まれ・ るような魚の調理法を開発し、この摂取を推進すると共に、古来からある大豆製品も、近代人 の嗜好に合致したような調理法を研究する必要性を痛感すると共に、最近見直されてきた「お ふくろの味」といわれる伝統的な二言の例えばひじきと厚揚げの妙め煮、五目煮豆、大豆そぼ ろ、南蛮漬などの料理は不足するカルシウムの給源として、牛乳、乳製品を使った料理と共 に、調理面においてももっと多く取り入れて指導していく必要がある。  本調査では乳類の摂取量がほS一基準量に達しているとはいうものy、カルシウムの不足を補 う場合は乳製品の摂取が第・一である。大阪府下に於ける牛乳摂取の状態を浦上らの調査による と、わずか0.75%で飲用以外に料理に使用されるのは31%の低い値で、シチュー、スープ、グ ラタンなどが多く、次いで菓子類に使われている。調理の面で乳製品を口に合う様に、特にH 本料理に合う調理法についても考慮を要する。  成長期を過ぎようとしている彼女たちに望まれることは、今後の成人期に入ってからの正し い食生活である。現在社会問題となっている成人病の多発に対して、彼女らが今から注意をは らい、その主たる病因といわれる食物摂取のあり方を是正しながら、正しい食生活が導かれる ように栄養指導面から指導すると共に、調理の面からは、食生活の合理化を追及するあまりに 栄養というベースを忘れ、簡便、安易化にかたよらないようにバランスの取れた献立で調理す る楽しみを増進させ、食生活に潤いを与え、食料資源の枯渇に対処できる態度を養っていきた いと考える。  終りに、終始ご懇切なご指導、ご校閲をいたS’いた浦上智子教授に深謝申し上げます。    参 考 文 献 1.大阪府企画部統計課編  大阪府勢要覧 2.大阪府衛生月刊  S.49年国民栄養調査大阪府集計 3.第一出版発行、日本栄養士会編  栄養士必携S.51年版 4.総理府統計局編、日本の統計 1976 5.浦上智子他、大阪市立大学家政学部紀要 18(1970)

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