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まえがき

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Academic year: 2021

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全文

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まえがき

著者

坂口 安紀

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

シリーズタイトル

アジ研選書

シリーズ番号

43

雑誌名

チャベス政権下のベネズエラ

ページ

i-ii

発行年

2016

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00016724

(2)

ま え が き

「軍事政権が席巻した20世紀後半のラテンアメリカにおいて,長期にわた り政党制民主主義を堅守して政治的安定を維持した例外的な国」,「石油経 済の進展により大土地所有制が崩壊し,社会階層間のモビリティが高いた め,階層間関係が近隣諸国ほど絶対的でなく,異なる社会階層や人種的背 景をもつ人々が相対的調和のなかで共生する社会」。多くの政治社会的矛盾 を内包しつつも,これらの言説のもと現実を直視することを避けてきたベ ネズエラ社会に対して,それらが単なる幻想にすぎないことを突き付けた のが,ウーゴ・チャベス大統領であった。多階層にまたがる政治基盤を構 築していた伝統的政党のもとでは見えなかった社会階層や人種といった差 異を,政治対立の軸に据えたのは,同国の歴史においてチャベス政権が初 めてであった。階層間対立を感情的言説で扇動するチャベス大統領のもと, ベネズエラ社会は二極化を深め,それまで政治社会的「調和」のなかで生 活してきたと思っていたベネズエラ人は,同僚,隣人,友人,そして家族 の間においてさえも,政権への支持・不支持をめぐる対立に巻き込まれて いった。チャベス大統領はベネズエラの政治経済に大きな変革をもたらし たが,彼がベネズエラ社会にもたらした最も大きなインパクトは,この幻 想からの目覚めと二極化だったといえるだろう。 本書は,2013∼2014年度の2年間にわたりアジア経済研究所で実施された 研究会「チャベス政権下のベネズエラ」の成果である。チャベス大統領の 登場によって日本でも注目されることが増えたベネズエラだが,同国に関 する情報は日本ではまだ限られている。ベネズエラの歴史に良くも悪くも 大きな軌跡を残し,また21世紀初めのラテンアメリカ地域において大きな 影響力をもったチャベス政権について,日本語で総括する書籍を作りたい というのが,本研究プロジェクトを立ち上げた理由であった。 本研究会には,日本人研究者2人に加え,ベネズエラ中央大学開発研究 所(Universidad Central de Venezuela, Centro de Estudios de Desarrollo :

(3)

CENDES)の研究者3人が参加している。また,まとまったデータが存在し ないベネズエラの政治,社会,外交分野の情報について,ベネズエラにお いて調査アシスタントの協力を得て独自のデータベースを作成した。その 結果は各章に反映されている。 本書の出版にこぎつけるまでには多くの方々のご協力を頂いた。各章の 執筆者にとって重要な情報源となったデータベース作成を担ってくれた Silvia Salvato,Jorge Luis Díaz Ramírez,Kleber José Alonso,Lesly Larez の4氏, ベネズエラ人委員3人が来日した際に貴重な意見交換や情報発信の機会を 頂いた上智大学の幡谷則子氏,京都大学の村上勇介氏,慶應義塾大学の出 岡直也氏,また本研究プロジェクトの運営面で強力にサポート頂いたアジ ア経済研究所の半田真奈美氏と川名洋二郎氏,原稿を丁寧に読んで頂き貴 重なご意見を頂いた2人の匿名査読者の方々,そして本書編集にあたって ご協力頂いた遠藤弘氏に執筆者を代表して心より御礼を申し上げたい。 最後に,編者および3人のベネズエラ人執筆者にとっての恩師であり友 人でもある,そして長年ベネズエラの政治社会学研究を牽引された, 元 CENDES 所長ハインツ・ソンタグ(Heinz Sonntag)教授に本書を捧げた い。

2015年11月 編者

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