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〈臨床検査シリーズ〉生化学検査および時間外緊急検査の実施状況とパニック値

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Academic year: 2021

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(1)* 近 畿 大 医 誌 (MedJK inkiU n i v )第 問 号 砂 制. 3 2 9. 2 0 0 8. 臨床検査シリ一. 生化学検査および時間外緊急検査の実施状況と パニック値 増田詩織 近畿大学医学部附属病院中央臨床検査部 体液(血液や尿など),便,組織などの検体を用い. 条件の詳細は表 1に示す.現在本装置では,電解質,. る検体検査には,臨床化学検査と免疫検査,血液検. タンパク質,脂質,含窒素成分,酵素,補体成分,. 査,一般検査,微生物検査などがあり,当院ではこ. 炎症マーカーなど 3 9 項目を測定する. C 表1). れらの検査を 4つの検査室に分けて運用している.. これらの一般的な生化学検査は,単項目のみの検. 今回は主に日常的な臨床化学検査について解説した. 査で,各種病態の診断に直接結びつくことは少ない. 上で,近畿大学医学部附属病院(当院)におけるパ. が,全身状態の把握や経過観察には不可欠なスクリ. ニック値の運用について,特に医学生,研修医向き. ーニング検査と言える.また複数項目の挙動により. に概説する.. 病態を絞り込むこともできる.たとえば BUN/クレ. 当院の第一臨床化学検査室は,病院棟 2階採血室. アチニンの比は健常人では約 1 0であるが, 2 0を超え. に隣接する生化学検査と免疫検査を担当する検査室. るときには,タンパクの摂取過剰や異化克進,消化. である.時間外には緊急検査室として稼働している. 管出血などの腎以外の異常の存在を,また 1 0 以下の. 検査室でもある.現在 1 2名の技師がさまざまな特徴. 場合は筋炎や横紋筋融解によるクレアチニンの上昇. のある自動分析装置を効率的に運用し,迅速かつ正. を考える必要があり,この所見が診断の鍵となる事. 確な検査データの報告に努めている.免疫検査部門. さえある.肝障害時の AST/ALT比は,急性肝炎の. については次号掲載予定であり,今回は生化学検査. 病初期に AST/ALT比は 1より大きくなり,その. および時間外緊急検査を中心に紹介する.. 後 ALT優位となる.これだけで発症の経過日数が. 1.検査項目と検査システム. わかる場合も多く,また慢性肝炎では AST<ALT ,. A) 生化学検査. 肝硬変では AST>ALTとなり比較的に多く病態. 一般的な生化学検査は,分光光度法による一連の. の進行を判断できる.直接ビリルビン/総ビリルビン. 分析操作を自動化した汎用自動分析装置で行ってい. LP/γ は黄痘の原因を考える上で重要であり, A. る.本装置は,反応管(セル)に試料の分注,第 1. GTPは,アルコール性肝障害で低くなる.総コレス. 試薬を加え反応後吸光度測定,第 2試薬を加え反応. テロール/中性脂肪は各種脂質異常症の鑑別,. 後吸光度測定,反応管の洗浄と乾燥を行い再び分析. SAAは細菌・ウイルス性感染症の推測など,組み合. への順に繰り返し進行する分析装置である.試料量. わせで様々な病態の把握に役立てることもできる.. CRP/. は 2' " ' ' 4 0~1 ,分注試薬量は 20~400 ぃ1,測光可能な最. 一方,これらの一般的な生化学検査には,性差(尿. 小反応液量 1 5 0凶程度であり,用手法の 1 / 1 0 程度の. 酸 , CKなど),年齢 CALP,γ-GTP ,A mylaseの. 試料・試薬量で分析が可能である.. 変動),日内変動(血清鉄の変動),食事 C G l u c o s e,. 7 7 0 0 形自動分析装置(株式会社日立ハイテクノロ. 中性脂肪の上昇, FFAの低下),体位等の生理的要因. ジーズ)は,多検体処理モジュールである D分析モ. によって変動することもありデータの解釈には注意. 4項目セ. を要する.また採血から測定までの過程で検査デー. ジュール(ディスペンサ一方式試薬分注. ミランダムアクセス,同時分析項目数最大 1 6 項目,. タに影響することもある.検査部でも,溶血 C K ,LD ,. モジュール処理能力最大 2 . 4 0 0テスト/時)と多項目. ASTの上昇)検体や輸液混入 CNa,G l u c o s eの異常. 処理モジュールである P分析モジュール(ピペッテ. 値),採血後の長時間放置や冷蔵保存等が想定される. イング方式試薬分注,同時分析項目数最大4 4 項目/モ. 場合には,異常データを未然に防ぐため,担当医に. ジュール,処理能力最大8 0 0テスト/時) 2機が連結. 連絡し,再採血を依頼することがある. C表 2). された大型分析装置である.当院における測定項目. 汎用自動分析装置は,各社分析試薬をアプリケー. ならびに各検査項目の基準範囲と分析法および分析. l u c o s eや BUN, ションすることが可能であり, G.

(2) o. C b C A J D. 表 1 生化学検査項目の検査法 項目名称. 略称. 補体価成分 C3 補体価成分 C4 抗ストレプトリジン O価 血清補体価 リウマチ因子 乳酸 アンモニア ナトリウム カリウム クロー lレ カルシウム 無機リン 血清鉄 不飽和鉄結合能 総鉄結合能 アルカリ'性ホスファターゼ 乳酸脱水素酵素 クレアチンキナーゼ アスパラギン酸アミノトランスフエラーゼ アラニンアミノトランスブエラーゼ コリンエステラーゼ γ グルタミルトランスペプチダーゼ クレアチンキナーゼ、 M B分画 総蛋白 アJ レフゃミン C反応性蛋白 血清アミロイド蛋白 A 尿素窒素 クレアチニン 尿酸 アミラーゼ グりレコース 高比重リポ蛋白コレステロール 総コレステロール 中性脂肪 遊離脂肪酸 グリコアルブミン 総ビリルビン 間接ビリルビン. C3 C4 ASO CH50 RF LA NH3 Na K C l Ca P i Fe UIBC TIBC ALP LD CK AST ALT ChE GGT CKMB TP ALB CRP SAA BUN クレアチニン. UA AMY GLU HDLC TC TG FFA GA TB lL DBIL. 基準範囲(男性). 8 2 1 2. 。 。. 3 0. 3 . 3 8 1 3 4 3 . 4 9 8 8 . 8 2 . 5 8 0 2 9 0 8 5 1 0 0 5 3 7. 。 。 。. 1 4 0. 6 . 5 3 . 6 0 . 0. 。. 8 0 . 7 3 . 8 6 8 6 5 4 0 1 2 0 3 0 0 . 1 1 l .0 0 . 2 0 . 0. 1 4 5 8 3 2 3 0 4 0 1 0 2 0 . 5 3 5 1 4 5 4 . 9 1 0 8 1 0 . 5 4 . 5 2 0 0 3 5 5 3 0 0 2 2 5 2 8 7 4 0 3 5 4 0 0 8 0 1 3 8 . 2 5 . 5 0 . 3 8 2 0 l .3 8 . 0 2 2 0 1 0 0 8 5 2 2 0 1 5 0 0 . 9 1 6 . 0 l .2 0 . 4. 基準範囲(女性). 8 2 1 2. 。 。. 3 0. 3 . 3 8 1 3 4 3 . 4 9 8 8 . 8 2 . 5 7 0 2 9 0 8 5 1 0 0 3 7 7. 。 。 。 。. 1 4 0 O. 6 . 5 3 . 6. 8 0 . 5 2 . 7 6 8 6 5 4 0 1 2 0 3 0 0 . 1 1 l .0 0 . 2. 。. 1 4 5 8 3 2 3 0 4 0 1 0 2 0 . 5 3 5 1 4 5 4 . 9 1 0 8 1 0 . 5 4 . 5 1 8 0 3 5 5 3 0 0 2 2 5 1 6 4 4 0 3 5 4 0 0 8 0 1 3 8 . 2 5 . 5 0 . 3 8 2 0 l .0 6 . 3 2 2 0 1 0 0 8 5 2 2 0 1 5 0 0 . 9 1 6 . 0 l .2 0 . 4. 単位. mg/dl mg/dl IU/ml CH50/ml IU/ml mg/dl ~mol/l. mEq/l mEq/l mEq/l mg/dl mg/dl いg / d l いg / d l いg / d l I U / l I U / l I U / l I U / l I U / l I U / l I U / l I U / l g / d l g / d l mg/dl いg / d l mg/dl mg/dl mg/dl I U / l mg/dl mg/dl mg/dl mg/dl mEq/l % mg/dl mg/dl. 方法 免疫比濁法 免疫比濁法 ラテックス凝集法 Mayer50%溶血法 ラテックス凝集法 LOD-POD法 GLDH法 ISE法 ISE法 ISE法 OCPC法. MPL-βPGM-G6PD法 Ni t r o s o -PSAP法 Nitroso-PSAP法. 検体量試楽量試薬量. 2 . 4 3 . 0 3 . 0 2 . 0 3 . 0 2 . 0 2 4 . 0 1 5 . 0 1 5 . 0 1 5 . 0 3 . 0 3 . 0 1 5 . 0 1 6 . 0. 1 5 0 . 0 1 5 0 . 0 7 0 . 0 2 6 0 . 0 1 3 0 . 0 1 2 0 . 0 1 5 0 . 0. 4 2 . 0 4 2 . 0 1 2 0 . 0 3 0 . 0 1 3 0 . 0 1 2 0 . 0 1 3 0 . 0. 1 6 0 . 0 1 3 5 . 0 1 5 0 . 0 1 5 0 . 0. 4 0 . 0 4 5 . 0 6 0 . 0 7 5 . 0. 2 . 5 4 . 8 4 . 2 6 . 0 6 . 0 4 . 5 4 . 0 1 1 . 2 3 . 0 2 . 0 2 . 2 2 . 0 3 . 0 3 . 0 2 . 5 3 . 0 2 . 0 l .9 2 . 0 l .5 3 . 8 3 . 7 4 . 1 4 . 1. 1 6 0 . 0 4 0 . 0 1 5 0 . 0 6 0 . 0 1 2 0 . 0 3 0 . 0 1 2 0 . 0 6 0 . 0 1 2 0 . 0 6 0 . 0 1 2 0 . 0 6 0 . 0 1 2 0 . 0 4 0 . 0 1 2 0 . 0 3 0 . 0 1 2 0 . 0 7 0 . 0 1 2 0 . 0 6 0 . 0 1 2 0 . 0 1 2 0 . 0 1 0 0 . 0 1 0 0 . 0 1 8 0 . 0 4 5 . 0 1 5 0 . 0 5 0 . 0 1 2 0 . 0 3 0 . 0 1 3 5 . 0 4 5 . 0 2 0 0 . 0 5 0 . 0 1 6 0 . 0 5 4 . 0 1 4 5 . 0 4 8 . 0 1 5 0 . 0 5 0 . 0 1 4 0 . 0 7 0 . 0 1 5 0 . 0 3 7 . 0 1 2 0 . 0 3 0 . 0 1 2 0 . 0 3 0 . 0. 計算. ]SCC勧告法準拠 ]SCC勧告法準拠 ]SCC勧告法準拠 ]SCC勧告法準拠 ]SCC勧告法準拠 pHBC基質法 ]SCC勧告法準拠 免疫阻害法 B u r e t法 BCP法 ラテックス凝集法 ラテックス凝集法 Urease-GLDH法. Creatininase-SAO-POD法 Uricase-POD法 Gal-G4-CNP法 HK-G6PDr 去 ホモジニアス法(選択的可溶化法). CE-COD-POD法 LPL-GK-GPO-POD法 ACS-ACOD-POD法 KAOD-POD法 パナジン酸法 パナジン酸法. 車 占 田. 4 1 ¥ ! 重 喜.

(3) 生化学検査および時間外緊急検査の実施状況とパニック値. 3 3 1. 表 2 検査値の生理的変動要因 種類. 例. 変動要因 ' 性 差. 男>女 女<男 幼児>成人. 年齢. 個体問変動. 生活環境. 血液型. 日差変動 個体内変動. 食事. 運動・体位. 赤血球沈降速度, HDL-C ,C r e a t i n e. AST,ALT,LD,CK,ALP,γGT,ChE 末梢血リンパ球比率. 小児<成人. TP,免疫グロプリン Amylase (乳児<成人). 思春期高値. ALP. 閉経後高値. TC,TG. 高脂肪食. TC,TG. 飲酒による高値. γGT,TG. 高地居住による高値. HGB. B, 0型 > A,AB型. ALP. Le"-bーで低値. その他. 日内変動. 赤血球数, HGB,HCT 血清鉄, BUN,C r e a t i n i n e,UA,TG. CA19-9 人種差,遺伝的個体差,職業など. 朝>夜. ACTH,コルチゾール,血清鉄. 昼>夜. TP,UA,K. 夜>昼. BUN,Amylase. 大きいもの. TG,ビリルビン,血清鉄. 食後>空腹時. G l u c o s e,TG. 食後<空腹時. FFA. 運動後>運動前 立位>臥位. その他. l u c o s e CK,AST,ALT,LD,FFA,G TP,Albumin 季節差,性周期,妊娠など. AST,ALT, CKなどの検査で利用される NADH. 平衡と呼吸状態を把握する検査である.検査部では,. 検出系や尿酸やクレアチニン,総コレステロール, 中性脂肪などの検査で利用される POD共 役 系 を 原. 約2 0 0ぃ lの血液で 1時間当たり 3 0検体測定できるデ ス ク ト ッ プ 型 血 液 分 析 シ ス テ ム OMNISシステム. 理とする酵素的測定法が多くの項目で利用される.. (ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)を 2台. また酵素項目においては, Amylase ,γGTP ,ChE. 配置して測定を行っている.本装置は,血液ガスモ. などの検査で合成基質法による測定が用いられる.. ジュール (pH, PCO , PO ) ,電解質モジュール z z. 当院では検査法の選択は,測定法のトレーサビリテ. (Na , + K+,Cl-,Caz + ,H ct),ヘモグロビンモジュ. ィ体系の中軸となる日本臨床化学会(JSCC)や日本. ール (tHb ,S Oz),オキシメトリーモジュール (tHb. 臨床検査標準化協議会(JCCLS) 等の勧告法準拠法. -COOX, SOz-COOX, OzHb, HHb, COHb,. や認証標準物質を活用し,臨床検査データの信頼性. Me tHb ),生化学モジュール ( G l u, L a c ) を内蔵す. の維持・向上に努めている.. る.院内においては血液ガスの依頼頻度や迅速性を. 本装置で測定した結果は,検査室内システム. 7病棟に同一機種を 考慮して,救命救急センターと 4. Labostreamにて管理され,上下限チェックや前回. 配置している. OMNISLinkシステムにより LAN. 値チェック,項目間チェック等により測定値のチェ. 経由で遠隔操作が可能であり,検査室の元で試薬供. ックを行い,必要に応じて再検査を行い,検査部シ. 給やトラフゃル管理を行っている.. ステム PC-LACSを経由して院内オーダリングシ. 血液ガスのデータ解釈は成書に任せるが,検体採. ステムに展開される.. 取および提出においての注意事項として,①採血器. B) 血液ガスの測定. 具はへパリン処理したシリンジやキャピラリーチュ. 血液ガスの分析は,主に動脈血を測定し,酸塩基. ーブを使い,採取後は直ちに混和して採血器具から.

(4) 3 3 2. 増田詩織. 気泡を取り除く,②検体はすぐに測定する(室温保. 糖採血管の測定に利用している.. 存で 1 5分以内,氷冷保存で3 0分以内),③電解質を同. ③電解質専用分析装置は,電解質の再検査用として,. 時に測定する場合は室温保存で検体を提出する,の. EA~06R 全自動電解質分析装置(株式会社エーアン. 3点は特に注意して検体を提出して頂きたい.. ドティー)を用いている.本装置は,測定可能範囲. C) 心筋マーカ一. が Naは 100~200 mEq/l , K は1 .O~ 1 0 . 0mEq/l, C l. 心筋構成成分であり血中での検出・増加が心筋の. は 50~200. mEq/lと広く, 1時間当たり 1 5 0検体処理. 障害を特異的に反映する心筋マーカーとして CK. が可能である.. M B蛋白量と心筋トロポニン 1(cTnI)および急性心. ④赤血球沈降速度の測定は,従来自動化が遅れてい. 不全のマーカーである脳性 Na利尿ポリペプチド. たが,現在はウエスタグレン法による分析装置. (BNP)の測定には, CLEIA法を原理とする卓上型 小型免疫分析装置 PATHFAST( 三菱化学メディエ. Quick Eye(株式会社セファメデイツクス)を用い ており,測定時聞は約 1 5分程度で測定可能となって. ンス株式会社)を用いている.本装置は分析試薬が. いる.. カートリッジ方式になっており,検体(全血も測定. ⑤ビリルビンは血中ではおおむねアルブミンや高比. 可能)を一緒にセットしてスタートすると約 1 5分で. 重リポタンパク (HDL) と結合して存在するが,ご. 結果が報告される.. く一部アルブミン非結合型ビリルビン(アンバウン. トロポニンは心筋構造蛋白であり,従来はトロポ. ドビリルビン)として血中に存在する.アンバウン. cTnT)を測定していたが,現在はトロポニ ニン T (. ドビリルビンは,新生児黄痘における中枢神経障害. ン 1( cTn I)を測定している. cTnTと c TnIを比較. (核黄痘)の管理に用いられる検査であり,専用分析. すると,有病正診率,無病正診率,診断効率が TnI. 装置 UBアナライザー(クラレ株式会社)により測. では有意に高く,腎障害による影響が少ないとの利. 定している.. 点、があるが,両者は良好な相関があり,臨床判断な. E) 時間外緊急検査の分析装置. どで大差はない.また心筋マーカーとして,心筋梗. 時間外検査には,下記のように各検査について対. 塞発症早期から変動を示す検査として,ミオグロビ. 応している.. ンや心臓由来脂肪酸結合蛋白 (HFABP)があるが,. ①生化学検査:時間外緊急検査分析装置として,生. 当院では,後者が心筋での含有量が骨格筋に比し圧. 0 0テスト/時の日立 7 1 7 0形 化学検査は処理能力最大8. 倒的に多く,心筋梗塞早期に高い有病正診率を示す. 自動分析装置(株式会社日立ハイテクノロジーズ). ことから,イムノクロマト法による定性検査を日常. を稼働させている.使用する分析試薬とキャリプレ. 検査および、時間外検査で行っている.これらの検査. ータなど分析法は,日勤帯に稼働する 7 7 0 0形分析装. は,再濯流の指標,心筋梗塞サイズの定量指標,な. 置と同じものを使用し,装置の違いによる差が生じ. らびに心臓手術時における心筋傷害程度の判定指標. ないように対応している.. などにおける病態の評価判定などへの応用が期待で. ②血液検査:血液分析装置は,ヘリウムネオンレー. きる.. ザー多角度偏向散乱分離法により血球算定と白血球. D) その他の分析装置. 5 分類が測定可能な Cell~Dyn. ① HbA1cの分析には,イオン交換高速液体クロマ. 3 2 0 0 (アボットジャ. パン株式会社)を稼働させている.本装置も日勤帯. トグラフィーを原理とするヘモグロビン分析計. に血液検査室で稼働する分析装置と同じ分析原理を. 1時. 用いた分析装置であり,測定結果の昼夜の差がない. HLC~723G7 (東ソー株式会社)を用いている.. 間当たり 5 0 検体の処理ができ,検体毎のクロマトグ. ように努めている.. ラムより HbA1分画や HbF分画の同時分析や異常. ③凝固検査:凝固線溶検査は,プロトロンビン時間. ヘモグロビン分画の検索にも役立つ.溶血性貧血や 貧血の治療時,異常ヘモグロビン,妊娠,透析,肝. (PT), 活 性 化 部 分 ト ロ ン ボ プ ラ ス チ ン 時 間 (APTT),フィブリノゲン,フィプリノゲン・ブイ プリン分解産物 ( FDP) を,凝固時間法と吸光度分. 硬変などの時にも HbA1cは平均血糖値を反映しな. 析法(合成基質法やラテックス凝集法)が搭載でき. 大量出血等の赤血球寿命の短縮する場合や鉄欠乏性. くなり,このような場合には,グリコアルブミンを. る分析装置 Coagrex~800 (シスメックス株式会社). 測定し,血糖コントロールを推定する.. を稼働している.. ②血糖分析用として GOD固定化酵素膜と過酸化水. ④感染症検査:感染症検査は,主に術前検査や針刺. 素電極によるアンペロメトリー法を原理とする血糖. し事故対応を目的に HBs抗原, HCV抗体, TP抗体. 専用測定装置 GAl710 (アークレイ株式会社)があ. の 3項目を,免疫検査部門で 2 4時間稼働する分析装. る.血糖日内変動や糖負荷試験などの NaF入り血. 2 0 0 0 R (アボットジャパン株式会 置 ARCHITECTi.

(5) 3 3 3. 生化学検査および時間外緊急検査の実施状況とパニック値. 社)を用いて,用手法による RPR定性とともに実施. または 6 .5mEq/l以上の場合に,いずれも前回値を. している.. 考慮せずに速報連絡するように対応しているためで. 近年,イムノクロマト法による感染症迅速キット. ある.. が数多く製品化されつつある.インフルエンザをは. 血糖値については,低血糖での速報が大半を占め. じめ,ロタウイルス,アデノウイルス, RSウイルス,. 9, 1 0 0 件より血糖値5 0m g / d l以下の る.半年間の 8. A群 β 溶連菌,マイコプラズマなどの抗原同定キッ. 1 3 5 検体について調べた結果,糖尿病関連血糖コント 5 6 件),低出生体重児群 ( 1 1件)とそ ロール不良群 ( 6 8 例)であった.前 2群に の他様々な病態の症例 (. トによる対応も行っている.. 2. 検査実績. 9年度の年間依頼件数は,主要項目において 平成 1. ついては予後不良例がなくパニック値による速報体. ASTは 2 2 7,1 6 7 f 牛 , CRPは1 7 9,04H 牛 , TCは 1 3 4, 4 7 7 件 AMYは1 4 5, 8 0 1件 , Naは2 1 4, 8 0 0 件 , Ca は1 8 2, 1 1 5 件,クレアチニンは 2 2 3, 6 8 7 件であり,生. 制は臨床支援に役立つているものと考えている.し. 化学検査全体(自動分析装置稼働件数)では. 性腫虜等末期 3例,来院時心肺停止例 3例,心疾患. 4, 0 5 9, 4 0 8 件となる.その他の検査においては,血液 0, 0 1 3 f 牛 , c T n lが7 9 8 1 , 牛 H bA1cが 3 7, 5 1 5 1 ' 牛 , ガス 2 4, 8 1 9 件である.第一臨床化学検 赤血球沈降速度が3. と考えられないが,中央臨床検査部では検査結果報 告の TAT ( T u r na r o u n dT i m e )の短品宿には今後も. 査の生化学検査部門の実績(件数×検体検査実施料). 努力したいと考える.. は , 5 8, 9 6 6, 3 7 1点である.なお年間検査経費は,試. け,入院患者の病態の急変,第三次救急医療患者の. Na,K,C lについては, 2カ月の 3 7, 1 5 7 検体の中 から Naが1 2 5mEq/l以 下6 5 例 , 1 6 0mEq/l以上 1 3 例 , Kが3 . 0mEq/l以下2 0 7 例 ,6 .0mEq/l以上5 6 例 , C lが8 5mEq/l以 下3 2 例 , 1 2 0mEq/l以 上 2 1例であ った.これらの中から 7日以内の死亡例を調べた結 果,低 Na血症 5例 (8%),低 K 血症は死亡例 4例 (2%),低 C l血症:死亡例 2例 (6%)であった.. 初期診療,術中術後患者の集中管理など,様々な状. 電解質の低値例は,下痢幅吐による電解質喪失の増. 況下で必要とされる検査結果を迅速かっ正確に報告. 大,消化器疾患や摂食障害などによる原因が大半を. するように運営される検査室である.当院では, 1 7: 0まで時間外検査について当検査 0 0から翌日の 9:0. 1例 ( 8 5 % ),高 K 血症は死亡例 2 5 例( 4 5 % )で , 障害 1. 室を窓口に対応しており,生化学検査,感染症検査,. 来院時心肺停止 1 3 例 ( 2 3 % ),腎疾患 2 3 例 ( 4 1 % ),. 血糖検査,血液学的検査,血液凝固検査,尿一般検. 心疾患、 1 1 例 ( 2 0 % ),高 C l血症は死亡例 1 1例 ( 5 2 % ). 査,動脈血液ガス分析検査,輸血検査等を実施して. であり,意識障害を伴う例が1 5 例 (71%) あり,電. 薬・消耗品 1 0 2, 1 2 8, 8 8 2円(単純計算で実績の約 20% 弱)とコスト面についても検討協議を重ね収益性を 重視した効率化を図っている.. 3. 時間外緊急検査. 4 時間,昼夜を問わず検体を受付 緊急検査室は, 2. 0 例が l週以内の死亡例 かしながら低血糖例のうち 2 であり,その内訳は肝細胞癌を含む肝疾患 1 0 例,悪. 1例,腎疾患 3例であった.低血糖のみが死亡原因. 占めた.一方高 Na血症は死亡例 8例 ( 6 2 % ),意識. いる.担当者は,検査部,輸血部の技師 3名で,関. 解質高値のパニック値については,結果の速報を通. 連分野の連携を密にし,緊急検査項目は常に見直し. して,臨床科へのさらなる迅速な対応が望まれるこ. ながら,緊急検査サービスの充実に努力を重ねてい. とを再確認している.. る.. 5. 精度管理・データ共有化事業. 4 . パニック値 パニック値とは,生命が危ぶまれることが想定さ. 各種検査の精度管理は,検査の信頼性の上で最も 重要な事項であり,検査部では日々の精度管理に尽. れる検査異常値であり,迅速かつ確実に臨床医に伝. 力している.精度管理は,複数の管理試料を測定し,. 達されることを目的に各医療機関で設定される.パ. 複数の精度管理プログラムにより厳密な管理が行わ. ニック値の設定と運用については事前に臨床医との. れている.また日本医師会,日本臨床検査技師会,. 5年に全診療科を 協議が必要であり,当院では平成 1. 大阪府医師会, CAP(米国臨床病理学会精度管理調. 対象に,設定項目ならびに設定値についてアンケー. 査)の外部精度管理調査や試薬企業サーベイに参加. ト調査を実施して,表 3のように設定し運用を行っ. し優秀な成績を収めている.また検査担当者も国内. ている.. の検査標準化に積極的に参画し,筆者も国内常用酵. パニック値の診療科への連絡の内訳は,血糖値(報. 素標準品の認証値設定や中性脂肪,総コレステロー. 告数の 3 8 . 5 % ) とカリウム値(同 3 2 . 8 % ) の速報が. ルの勧告法作成のプロジェクト委員として活動を行. 大半を占める.血糖値は 4 0 m g / d l以 下 ま た は 5 0 0. ってきた.. . 5mEq/l以下 m g / d l以上の場合に,カリウム値は 2. r. 平成 1 8年末に日本臨床検査技師会は, 臨床検査デ.

(6) 3 3 4. 増田詩織. 表 3 近畿大学医学部附属病院のパニック値 項目名称. K. 単位. 基準範囲. パニック値 以下以上. 備考. 3. 44 . 9 mEq/I 2 . 5 6 . 5. Glu. 6 5 1 0 0. pH. 4 0. 5 0 0. 7 . 3 5 7. 40. 7 . 2. 7 . 6. PC02. 3 5 4 5. 3 0. 5 0. P02. 9 5 1 0 5. 5 0. Na. 1 3 5 1 4 5. * *. C l. 9 8 1 0 8. Ca. 8 . 8 1 0 . 5. 6 . 0 1 3 . 0 旦 イ. BUN. 8 . 0 2 0 . 0. * *. Crea. mmHg. mEq/l. ♂0 . 7 -1 .3. mg/dl. ♀0 . 5 -1 .0. TP. 6 . 5 8 . 2. Alb. 3 . 6 5 . 5. GOT. 7 4 0. g / d l. 3 . 5. 8 . 5. 傾 向 同. 項目名称. 1 .6. 5 . 0. で あ る 場. WBC. * *. 3 0 0 . 0. %. 3 0 . 0. * *. 外来患者で DICが強く疑われる. 以下. 以上. M3 . 9 9 . 3 Xl O ' / ! 11 1 .0. 5 0 . 0. F3 . 5 8 . 5. d 口 h. l ま. Ei. AU. 唱. し な. Fhd. 連 絡. パニック値. 単位. 基準範囲. し 〉. t. PLT. * (+). 血液像. ータ共有化ガイドライン」を提示し,臨床検査デー タ標準化を行うための全国・都道府県の組織作りや 実施手順を示した.大阪府臨床検査技師会もこのガ イ ド ラ イ ン に 基 づ き , 平 成2 0年 よ り 大 阪 府 下 7施 設 を基幹施設として各施設に臨床検査データ標準化を 推進している.当院は,基幹施設として選出され, 精度管理調査ならびに大阪南部の医療施設の検査デ ータの共有化事業の指導的立場で活動することにな. る. 文 献 1.福田篤久,増田詩織,久原巻彦:今後の緊急検査を支える 分析機器,生物試料分析, 2 8 :3 4 9 3 5 2,2 0 0 5. 2 . 精度管理(品質管理).臨床化学検査学第 2版.浦山修監. 4 3 6 .2 0 0 6 修.医歯薬出版 1 3 . 増田詩織:臨床化学検査③ ⑤,検査値をかえるものー 影響因子の一覧と対策.林康之,前田次郎監修.薬事日報 宇 土1 6 2 7 .1 9 9 0. 4 . 増田詩織,大場康寛:血清鉄の日内変動.臨床検査. 7 . 0. F1 1 .5 1 5 . 0. 9 . 0. 一一一一一*. 恥 1 :1 3 . 9 1 7 . 0. I'd'd. 0 . 5. ng/ml. い. 3 0. * *. l , G g,. * *. 5 0. 唱'ム. 5 0 0. mg/dl. //,. 3 0. 1 0 . 0. AU. (ー). 1 0 . 0. * * 1000 * * 5000 * * 2000 * * 3000. * *. 前回値からみて著しい凝固活性低下. *申. 1 5 0 0. 以上. 凝固検査. し i I J I 回 値 も. 1 0 0. 以下. ×. 2 . 5 4 . 5. 1 2 0. 一2. P i. mg/dl. 7 5 1 2 0. pt-Aυ. 0 . 0 0 . 3. A TI I I, PC. 1 6 0. ノT ニック値. 3. CRP. Total PAI-1 0 . 0 5 0 . 0. q δ. 1 4 0 4 0 0. 1 5 0 3 5 0. 与一る つd 一 - ︺ 4 一a. ChE. F i b r i n o g e n. M 一F. 1 0 0 2 2 5. 分. A - 一. LDH. 0 . 0 5 . 0. B G H. 6 8 2 2 0. 出血時間. F し. Amylase. I U / I. 単位. B. ♀3 7 1 8 4. H-FABP. 8 5. 基準範囲. R. ♂5 3 2 8 7. トロポニン I. 1 2 0. 串本. 0 3 5. GPT CK. mg/dl. 項目名称. 1 6 . 7 3 6 . 2. xw < / ぃ. 慢性貧血. 5 . 0g / d l以 下. 2 . 0. MaI ignantCelIの出現. 3 8( 1 ) :1 2 3 1 2 5,1 9 9 4 5 . 増田詩織:遠心分離条件と検査データ.検査と技術. 3 5( 3 ):2 6 4 2 6 6,2 0 0 7 6 . 木原里江子,山崎久紗,河野ふみえ,中江健市,他:小型 自動免疫発光測定装置 PATHFASTによる BNP ,c TnI および CK-MB測定の基礎的検討,機器・試薬 3 0 ( 3 ),2 5 9. 2 6 5,2 0 0 7 7 増田詩織:血球自動分類.スタンダード検査血液学第 2 版:日本検査血液学会監修,医歯薬出版 1 3 9 1 4 0 .2 0 0 8 8 . 増田詩織,西川洋子,小林紀崇,大場康寛,奥田 清:施 g l u t a m y l t r a n s f e r a s eについて.生物 設問差是正の試み y 5 ( 3 ):1 5 0 1 5 5,1 9 9 2 試料分析 1 9 . 西川洋子,増田詩織,小林紀崇,吉原博子,大場康寛,奥 田 清:C r e a t i n ek i n a s e活性測定における施設問差是正. 5( 3 ):1 4 3 1 4 9,1 9 9 2 生物試料分析 1. 1 0 血清中の中性脂肪濃度の勧告法日本臨床化学会試薬専 5( 1 ) :3 9 5 1 .1 9 9 6 門委員会.臨床化学, 2 1 1 . プロジェクト報告血清中の総コレステロール濃度測定 の勧告法日本臨床化学会酵素・試薬専門委員会.臨床化 5( 4 ):3 9 0 4 1 9 .2 0 0 6 学 , 3.

(7)

表 3 近畿大学医学部附属病院のパニック値 項目名称 基準範囲 単位 パニック値 以 下 以 上 備 考 K  3 . 4 ‑ 4 . 9   mEq/I  2 . 5  6

参照

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