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〈論文〉異言語における「解雇」概念の認知的分析--英語、日本語、韓国語を対象に

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(1)文 学 ・芸 術 ・文化/第23巻. 第2号/2012.3. 異言語 における 「 解雇」概念 の認知的分 析 英語 、 日本 語、韓国語を対象 に 李. 潤. 玉. Summary Thepurposeofthispaperistorevealhowsystematicallytherealizationsofthe EnglishconceptofDISMISSINGarewell-organized. ,thatis,well-structuredwhereas. thoseoftheJapaneseandKoreanequivalentconceptsarenoしintermsofcognitive linguistics.ThissystematicstructuresofDISMISSINGintheEnglishlanguageis realizedcolorfullyandobservedlexicallyasin:(1)DISMISSINGimpliesgettingan employeeoutofathree-dimensionalphysicalspacesuchasacompany. ,firm,. organizationandthelike.(2)Anemployeewouldneverbewillingtoaccept DISMISSINGbutresistsit(3)So,themore且erce/radicaltheemployefsmeansto. getanemployeeoutofthethree-dimensionalphysicalspacebecomes,themore firmlytheemployeeresistsit(4)Theemployer'smost且erce/radicalmeansshowsa culturaldif£erencebetweenEnglish(especiallyAmerican)peopleandJapanese/ Koreanpeople.. 1.英. 語. ・日本 語 の. 「解 雇 」 概 念 表 現. 以 下 で は 、 「解 雇 」 事 象 を トピ ッ ク と し て 、 「容 器 一 内 容 物 」 の 認 識 は 意 味 変 化 の プ ロ セ ス を 明 ら か に す る ば か りで な く、 様 々 な 単 語/連. 語 表 現 を 単 一 の 観 点 か ら体. 系 化 で き る こ と を観 察 す る 。 まず 、 以 下(1a-c)に. (1a)幽. 注 目す る 。. ⑳[SVO1(asO2)]〈. 人 ・店 が 〉(賃. (02〈 役 職 の 人 〉 と し て)雇 ど に]雇. わ れ て い る,勤. 一152一. う,雇. 金 を 払 っ て)Ol〈. 用 す る;[be∼ed][会. 人 〉を 社な. め て い る[z〃,読]. (155).

(2) 人間の認識と言語 表現. 李. 一GIED(sv. (1b)◇. .や と う[雇. う])(下. 線 筆 者). 解 雇 す る dismiss⑳ す る[/ン0〃Z/ノ ◇ く び に す る(⇒ fire⑫((略. 〈 人 〉 を[地. 位. ・役 職 か ら/…. の 理 由 で]解. 雇[免. 職]. わ7,{う ツ] か い こ[解 式))〈. 雇](◇. 解 雇 す る)). 人 〉 を[…. か ら]解. 雇 す る,く. び に す る. レンo〃2] 一(㌶ED(sv. .く び に す る)(下. 線 筆 者). (1c)Ifyoudothatyou'llbeaxedonthespot. (そ ん な こ と し た ら 即 首 だ よ 。) 一. 『新 和 英 大 辞 典 』(sv. やと. (1a)一(1c)に. (2)で. うemploy←. 線 筆 者). かい こ. 見 ら れ る よ う に 、 和 英 辞 典 で 「雇 う 」、 「解 雇 す る;く. 引 く と 、 次 の(2)に. (2)雇. .く び)(下. び にす る 」 を. 示 さ れ る 種 々 の 表 現 が 観 察 さ れ る:. → 解 雇 す る:dismiss,ax,[米]fire. 示 す よ う な 反 義 関 係 が 成 り立 つ 理 由 を 解 明 す る 大 き な 手 が か り と な る の が. 「存 在 の メ タ フ ァ ー(ONToLoGICALmetaphor)」 の 中 で も以 下(3)に. と呼 ば れ る 人 間 の 認 識 で あ り、 そ. 示 す 「容 器 の メ タ フ ァ ー(coNTAINERmetaphor)」. とい う比. 喩 の フ ィル ターが 大 きな効 力 を発 揮 す る。. (3)Wearephysicalbeings,boundedandsetofffromtherestoftheworld bythesurfaceofourskins,andweexperiencetherestoftheworldas outsideus.Eachofusisacontainer,withaboundingsurfaceandaninoutorientation.Weprojectourownin-outorientationontoother physicalobjectsthatareboundedbysurfaces.Thuswealsoviewthem ascontainerswithaninsideandanoutside.Roomsandhousesare obviouscontainers.Movingfromroomtoroomismovingfromone. (156). 一151一.

(3) 文 学 ・芸 術 ・文化/第23巻. 第2号/2012,3. containertoanother,thatis,movingo班6ゾoneroomand魏oanother. _Butevenwherethereisnonaturalphysicalboundarythatcanbe viewedasdefiningacontainer,weimposeboundaries-markingoff territorysothatithasaninsideandaboundingsurface-whethera wall,afence,oranabstractlineorplane. (我 々 人 間 は 物 理 的 存 在 で あ り 、 そ の 肉 体 は 皮 膚 の 表 面 に よ っ て 外 界 か ら 区 切 ら れ て い る が 故 に 、 我 々 は 自分 の 肉 体 以 外 の 世 界 を 自 分 の 外 に あ る 世 界 と して 経 験 して い る 。 一 人 ひ と りの 肉 体 が そ れ ぞ れ 、 外 界 と 境 界 を接 す る 表 面 と 、 内 側 と外 側 と い う 方 向 性 を 持 つ 、 ひ と つ の 容 器 な の で あ る 。 我 々 は 自 分 自 身 が 持 っ て い る 内 と外 と い う 方 向 性 を 、 表 面 と い う 境 界 面 を 持 っ て い る 他 の 物 理 的 物 体 に も投 射 し て 考 え て い る 。 だ か ら、 そ れ ら の 物 体 も ま た 内 側 と外 側 を 持 っ た 容 器 で あ る と 我 々 は 見 な して い る の で あ る 。 部 屋 や 家 は 明 らか に 容 器 で あ る 。 部 屋 か ら 部 屋 へ の 移 動 は 、 或 る 容 器 か ら 別 の 容 器 へ の 移 動 と い う こ と に な る 。 つ ま り 、 或 る 部 屋 か ら 外 に(o厩 げ)出. て 、 別 の 部 屋 の 中 へ(露o)入. る とい う こ とで あ る。 … しか しな が. ら、 ひ とつ の 容 器 と し て は っ き り と み な せ る よ う な 自 然 の 物 理 的 境 界 が 存 在 しない よ うな所 に も、我 々 は境 界 を設 け る。 内 側 と境 界 面一 そ れ が 壁 で あ れ生 け垣 で あ れ 、 あ る い は抽 象 的 な線 や 面 で あ れ一 を持 つ よ う な領 域 を 作 り 出 す の で あ る 。) -LakoffandJohnson(1980:29)(一. 部 省 略. ・ 日 本 語 訳 筆 者). つ ま り 、 我 々 は 日常 の 経 験 か ら 、 境 界 線 で 区 切 ら れ た 領 域 を 「内 」 と 「外 」 とい う 方 向 性 を 持 つ も の と して 認 識 し て お り、 境 界 線 の 内 側 全 体 を 「容 器 」、 そ して そ の 内 側 に 存 在 す る も の を 「内 容 物 」 と して 捉 え て い る と 言 え る 。 そ こ で 本 論 の テ ー マ で あ る 「雇 用 」 と 「解 雇 」 の 概 念 分 析 に 移 る が 、 実 は こ れ ら の 概 念 が. 「容 器 と 内 容. 物 の メ タ フ ァ ー 」 の 観 点 か ら捉 え ら れ る こ と を 論 述 す る 。 ま ず 、 人 間 が. 「雇 用 」 と. い う も の を 如 何 な る 概 念 で 捉 え て い る の か を 明 ら か に す る た め に 、 以 下(4)で 「働 く」 の 概 念 定 義 を提 示 す る 。. 一150一. (157).

(4) 人間の認識 と言語表現. 李. (4)仕 事 を す る 。 ま た 、 生 計 を 立 て る た め に 一 定 の 職 に つ く。 労 働 す る 。 「四 番 打 者 と し て チ ー ム の た め に 一 」 「生 き る た め に 一 」 「工 場 で 一 」 「都 会 に 出 て 一 」 「九 時 か ら五 時 ま で 一 日八 時 間 一 」 一. 『明 鏡 国 語 辞 典 』(s肌 は た ら ・ く 【働 く】)(下 線 筆 者). 我 々 人 間 は通 常 、 報 酬 や 賃 金 とい う利 益 を求 め て 組 織 や 団 体 で 労 働 を行 な っ て お り、 そ の 主 た る 目的 は 偏 に 「日 々 の 生 計 を 立 て る 」 こ と に 収 束 す る 。 つ ま り、 被 雇 用 者 は 自 身 が 所 属 す る 組 織 や 団 体 とい う 「容 器 の 内 部 」 に 生 業 を 求 め る 。 こ の 認 識 はemployの. 概 念 に も 反 映 さ れ て い る 。 以 下(5)はemployの. 歴 史 に 関 す る記 載. で あ る。. (5)◆ME6〃. ψ1∫6(π),8〃. ψ10勿(η)□(0)F翻. 勿 ψ ∫6gα76touse/Sp.ε attachedto(passive)ム. 〃ψ1607)=L勿. ρ1嬬76(lt. ψ1∫cσ万tobeinvolvedin,be. ∫〃ψ1ゴcσ76`toenfold,IMPLY'. 一. つ ま り、 次 の(6)に. ρ10ッ6γ<VL*伽. 寺 澤(編)(1999)(sv. .employ刀.)(下. 線 筆 者). ま と め ら れ る よ う に 、 「雇 用 」 事 象 は 「三 次 元 空 間 内 部 へ の 包. 含 」 とい う概 念 で 捉 え られ る 。. (6)①employの. 中核 概 念. 「布 な ど で そ の 『内 部(em-)』. に 『包 む(-ploy≒enfold)』(Cf寺1睾. (1999)(sv.employ刀.)) → 三 次元 空 間 内部 へ の包 含 」 概 念 ② 「雇 用 」 概 念 に 至 る 意 味 変 化 → 被 雇 用 者 は 自 身 が 所 属 す る 組 織 や 団 体 と い う容 器(三. 次 元 空 間)の. 「内 部 」 に 生 業 を 求 め る 。. 以 上 の こ とか ら、 我 々 人 間 は、 収 入 を得 る組 織 や 団体 の(三 次 元 空 間)内 部 に存 在 す る こ とが 「 雇 用 」 概 念 に通 ず る こ とが 分 か る。. (158). 一149一.

(5) 文 学 ・芸 術 ・文 化/第23巻. 第2号/2012. .3. 他 方 、 「解 雇 」 概 念 を 表 す 英 語 の 語 彙 の 中 で 、 最 も 一 般 的 に 使 わ れ るdismissを 取 り上 げ て 、 そ の 概 念 を 明 ら か に す る こ と か ら始 め る 。 ま ず 、 以 下(7a-c)の. 通時. 的 記 載 に 目 を転 じる 。. (7a)◆ME4ガ. ∫加 ∬(〃)▲ML4ゴ. ∫初 廊3π∫=L4耽. DI2+〃z魏6776tosend(⇒MISSION). .p.)ム4吻. 魏676ム. .. 一 (7b)◆ME4∫. 廊3〃s(p. 寺 澤(編)(1999)(sv. .dismissの(下. 線 筆 者). 一□(0)F//Lぬ:⇒DIs-:cfDEI2. 一. (7c)「 分 離 」 の 意:4凋oin,4ゴ. (8)dismiss=「. .di与 ア4)(下. 線 筆 者). ∫solve. 一. こ れ らの 引 用 か ら、dismissは. 寺 澤(編)(1999)(sv. 寺 澤(編)(1999)(sv. 以 下(6)の. .dis一 ρ744)(下. 線 筆 者). 概 念 等 式 で 捉 え られ る. 分 離 」 概 念 表 示 接 頭 辞dis+「. 送 る 」 概 念 表 示 形 態 素 一miss(<Lzη. ∫"6776). 前 述 した よ う に 、 「雇 用 」 状 態 に あ る と い う こ と は 、 被 雇 用 者 が 、 所 属 して い る 団 体 や 組 織 の 三 次 元 空 間 内 部 に 存 在 して い る と い う 事 で あ り、 そ の 三 次 元 空 間 の 外 部 に 放 出 さ れ る と い う こ と は 、 「雇 用 」 状 態 の 解 除 を 意 味 す る こ と は`in[outof withoutl]employment'(CfO17Z)sv.employment)の. よ う な表 現 が 存 在 す る こ. とか ら も容 易 に 想 像 で き る 。 当 然 、 被 雇 用 者 は 雇 用 状 態 継 続 を 望 む の で 、 そ の 三 次 元 空 間 内 に 留 ま ろ う とす る 。 つ ま り、 「解 雇 」 表 示 表 現 に は 被 雇 用 者 を 本 人 の 意 志 に 抗 っ て 「三 次 元 空 間 の 外 部 に 放 出 す る 」 概 念 が 反 映 さ れ る こ と に な る 。 こ の こ と を 以 下(9)と. して整 理 す る。. (9)dismiss=「. 分 離 」 概 念 表 示 接 頭 辞dis+「 送 る 」 概 念 表 示 形 態 素 一miss(〈L〃zガ 〃6776). 「解 雇 す る 」 の 意 に 至 る 意 味 変 化 の 過 程. 一148一. (159).

(6) 人 間の認識 と言語表現. 李. まず 、被 雇 用 者 は 自身 が所 属 す る組織 や 団体 の 「内 部 」 に生業 を求 め る。 → 収 入 の 拠 所 とす る組 織 や 団体 の 「内 部 」 か ら 「夕倍 剛 に 出 され る こ とに よ って 生 計 を立 て る活 動 とい う手段 を失 って しま うこ とは通 常 、 当該 者 に と って 望 ま しい こ とで は な い 。 → したが っ て、 所 属 組 織/団 体 の 「内 部 」 か ら 「外 部 」 に 出 され る こ と を 望 ま ない 被 雇 用 者 を本 人 の 意 志 に抗 って 「外 部 に 出す 」 概 念 で捉 え る こ と は、 「解 雇 す る」概 念 で 捉 え る こ と と意 味概 念 的 に等価 に な り得 る。. さ ら に 、dischargeが. 持 つ 「解 雇 」 概 念 も 同 様 に 「容 器 と 内 容 物 の メ タ フ ァ ー 」 の. 観 点 か ら捉 え ら れ る 。Dischargeの. 概 念 を 明 ら か に す る た め に は 、 ま ずchargeの. 中 核 概 念 に 通 時 的 見 地 か ら光 を 当 て る 必 要 が あ る 。 そ こ で 、 次 に 、 下 記(10)に. 注. 目す る 。. (10)1《. α1250》(適. †2《?θ1300》. 量 ま た は 十 分 に)詰. 一 《1854》. 3《c1300》(人. 荷 を 積 む.. に)ゆ. だ ね る,託. 4《c1300》. 命 じ る.. 5《61300》. 非 難 す る.. †6《 7《. α1338》 一 《1647》 α1420》. 突 撃 す る. 器 を)構. 9《1541》(鉄. 砲 に 火 薬 を)装. え る.. 10(《1601》)《1756》(気 α1626》(物. ◇CARRYと. 体. 薬 す る,装. 満 さ せ る.. す る.. 充 電 す る.. ㎎ θ(〃)□(0)Fc勿. ㎎ θ7<LLoα. ア(7のo砂6.. 二 重 語 一 寺 澤(編)(1999)(sv. (160). 填 す る.. ・液 体 な ど を … で)充. ・土 地 な ど に 税 を)課. 12《1748Franklin》 ◆MEc勿. す る.. 経 済 的 負 担 を 負 わ せ る.. 8《1509》(武. 11《. め る.. 一147一. .charge".)(下. 線 筆 者).

(7) 文 学 ・芸 術 ・文 化/第23巻. こ こ か ら 、chargeは(carryと. 第2号/2012.3. 二 重 語 で あ り、)初 出 期 に は 「(適量 ま た は 十 分 に). 詰 め る 」 及 び 「荷 を 積 む 」 の 意 を 表 示 し て い た こ と が 伺 え る 。 そ し て 、(10)で 明 記 さ れ て い る よ う に 、 そ の 後 もchargeは (extension)を. さ らな る 多 様 な意 味 の 拡 張. 起 こ して い くこ と に な るが 、一 方 向 仮 説 の 流 れ に沿 っ た捉 え方 に基. づ く と 、chargeの. 意 味 変 化 の 流 れ の 源 流 は や は り、 原 義 の 「(適量 ま た は 十 分 に). 詰 め る 」 と い う 物 理 的 事 象 に 遡 る こ と に な る 。 つ ま り、dischargeは 内 部 に 内 容 物 を 詰 め る(三 へ(dis-)」. の 概 念(詰. 所 属 組 織/団. も. 「三 次 元 空 間. 次 元 空 間 内 部 へ の 移 動)」 概 念(charge)と. め た 内 容 物 を 外 へ 出 す)を. そ の 「反 対. 表 示 す る 。 こ れ は 、dischargeが. 、. 体 か ら除 外 され る こ と を望 ま な い被 解 雇 者 の 指 示 物 を 本 人の 意 志 に. 抗 っ て 「外 部 に 放 出 す る 」 概 念 で 捉 え ら れ る こ と に 通 ず る 。 こ の こ と を 以 下(11) と して整 理 す る。. (11)「 放 出 」 概 念 表 示 語dischargeが 語 形 成 的 観 点:dis-(反 chargeの. 「解 雇 す る 」 の 意 に 至 る 意 味 変 化 の 過 程. 対 へ)+charge((荷. を)積. む). 多 義 性 を生 む 中 核 概 念:「 三 次 元 空 間 内 部 へ の 移 動 」 概 念. → 労 働 者 は 自身が 所 属 す る組 織 や 団体. 「内 部 」 に 生 業 を 求 め る 。. → 収 入 の 拠 所 とす る組 織 や 団 体 か ら除 外 され る こ とに よ っ て生 計 を立 て る 活 動 とい う手段 を 失 って し ま う こ とは 通 常 、 当該 者 に とっ て 望 ま し い こ とで は な い 。 → した が っ て 、 所 属 組 織/団. 体 か ら除 外 され る こ と を望 ま な い被 解 雇 者. を本 人 の 意 志 に 抗 っ て 「外 部 に 放 出 す る 」 概 念 で 捉 え る こ と は 、 「解 雇 す る 」概 念 で捉 え られ る。. 上記 の こ とか ら、概 して 「 対 象 者 の 意 志 に抗 して 、 そ の対 象者 を(組 織 な どの)三 次 元 空 間 内部 か ら外 部 へ 移 動 させ る」 概 念 を表 示 す る語 句 で あ りさ えす れ ば 、 「 解 雇 」 の 意 を生 じさせ 得 る こ と に な る。 そ こ で 、被 解 雇 者 を三 次元 空 間 の外 部へ 放 出 す るの に、 雇 用 者 は如 何 な る手 段 を講 じる必 要 が あ る の か を以 下 で 論 じる。 まず 、 被 解 雇 者 を三 次 元 空 間 内 部 か ら外 部 へ 放 出す る最 も簡 単 な手段 は 、被 解 雇 者 自 身 の 意 思 で外 部 へ 出 て も ら う方 法 で あ る。 そ こで 、 以 下(12a-b)に. ∼146一. 示 す 表現. (161).

(8) 人 間の認識 と言語表現. 李. に注 目す る。. (轍 腿 ㌔ 濃 (彼 は 私 を 首 に し た 。) (12b)Hegavemethepinkslip.. (彼 は 私 を 解 雇 した 。). (12a)は. 「彼 は 私 に 大 袋(sack)/カ. バ ン(bag)を. 転 じて 「解 雇 」 概 念 を も 表 示 す る 。(12b)を. 渡 し た 。」 と い う 事 象 を 表 す が 、. 解 釈 す る に は 、`thepinkslip'の. 指示. 物 が 何 で あ る か を 明 ら か に す る 必 要 が あ る 。 そ こ で 、 以 下(13a-b)に(12a-b)の 各 々 が 如 何 な る 課 程 で 「解 雇 」 概 念 に 至 る の か を 示 す 。. (13a)被. 解 雇 者 は三 次元 空 間内 部 で 仕 事 を行 な っ て い る. → 解 雇 され れ ば 、 自身 の仕 事 道 具 や 所 持 品 を運 び 出 さな け れ ば な らな い → そ れ ら の 品 を 持 ち 出 す 為 の 大 袋(sack)/カ. バ ン(bag)を. 渡す. → そ れ らに荷 物 を入 れ て三 次 元 空 間の 外 部 へ 出 て い く (13b)被. 解 雇 者 は三 次 元 空 間 内 部 で 仕 事 を行 な っ てい る. → 雇 用 者 は 解 雇 通 知 書(ピ. ン ク 色 の 書 類)を. → そ の 封 筒(thepinkslip)を. 封 筒 の 中 に 滑 らせ る(slip). 被解雇者 に渡す. → 被 解 雇 者 は そ れ を受 け入 れ三 次 元 空 間 の外 部 へ 出 て い く. つ ま り、givethesack/bagやgivethepinkslipと. い う表 現 は 、 三 次 元 空 間 か ら の. 被 解 雇 者 の 無 抵 抗 な 退 出 を 促 す 表 現 で あ る 。 しか し 、 被 解 雇 者 が 雇 用 者 の 解 雇 命 令 を 必 ず し も常 に 素 直 に 受 け 入 れ る と は 限 ら な い 。 つ ま り、 被 解 雇 者 が 解 雇 命 令 に 抵 抗 す る場 合 に は、 そ の 抵 抗 力 に抗 っ て 三 次 元 空 間 の外 部 に放 出 しな け れ ば な ら な い 。 そ こ で 、 以 下(14)に. 「抵 抗 力 に 抗 っ て 、 物 理 的 三 次 元 空 間 外 へ 被 解 雇 者 を 出. す 」 概 念 か ら 「解 雇 」 概 念 へ と転 移 し た 種 々 の 表 現 を 挙 げ る 。. (162). 一145一.

(9) 文 学 ・芸 術 ・文 化/第23巻. (14)push<人>out(〈. 人 〉 を 押 し 出 す). kick<人>out(〈. 人 〉 を蹴 り 出 す). throw<人>out(〈. ま た 、 以 下(15)に. 第2号/2012.3. 人 〉 を 投 げ(放. → 「〈 人 〉 を 解 雇 す る 」 り)出. す). 示 す 表 現 は 概 念 的 にthrowoutに. 通 ず る もの で あ る 。. (15)Heavemetheheave-ho. (彼 は 私 を 放 り 出 し た 。)→(彼. heave-hoは. は 私 を 解 雇 し た 。). 「持 ち 上 げ る 」 の 意 を 表 すheaveと. 擬 声 語 と が 結 ば れ たhyphenatedwordで. 「ほ っ/よ. っ 」 とい う音 声 を表 す. あ る 。 そ こ で 、givetheheave-hoが. 次 元 空 間 外 部 へ の 移 動 」 概 念 を 表 す に 至 る 過 程 を 、 以 下(16)に. (16)被. 「三. 示す。. 解 雇 者 は 三 次 元 空 間 内 部 で 仕 事 を行 な っ て い る. → 被 解 雇 者 を持 ち 上 げ る(heave) →. 「ほ っ/よ (放 り)出. っ 」 の 掛 け 声(ho)と. 共 に被 解 雇 者 を 三 次 元 空 間外 部 へ 投 げ. す. しか し 、 雇 用 主 が 押 し出 す(pushout)、 out)行. 蹴 り 出 す(kickout)、. 投 げ 出 す(throw. 為 を 遂 行 し よ う と し て も 、 被 解 雇 者 は 、 本 意 で な い 限 り、 三 次 元 空 間 内 か. ら 出 さ れ ま い と抵 抗 す る の は 当 然 で あ る 。 こ の 語 が 、 飾eとax2で. 「被 解 雇 者 の 抵 抗 」 と深 く関 係 す る. あ る 。 ま ず 、 且reの 分 析 に 入 る が 、 そ の 前 に 下 記(17)に. 示す. fireの 歴 史 に 関 す る 記 載 に 目 を 転 じ る 。. (17)1《OE》. 火 を つ け る.. 2《1594-95Shak.五. 五五3.1.62》(鉄 一. こ の(17)か. ら、fireが. 砲 を)撃. つ .. 寺 澤(編)(1999)(sv. 「火 を つ け る →(鉄. 一144一. 砲 を)撃. .丘eの(下. 線 筆 者). つ 」 の 意 味 変 化 を 起 こ した こ. (163).

(10) 人間の認識と言語表現. とが 伺 え る 。 但 し、(17)に 下(14)に. 見 ら れ る 「(鉄砲 を)撃. 見 ら れ る よ う に 前 出(17-1,2)の. 李. つ 」 の意 が 現 れ た時 期 に は、 以. 「火 を つ け る 」 と 「(鉄砲 を)撃. つ」の. 両 意 を 包 含 す る 「火 縄 銃 」 が 用 い ら れ て い た 。 「火 縄 銃 」 の 歴 史 を 以 下(18)と. し. て記 載 す る。. (18)火 縄 筒 と も。15世 と,ば. 紀 末 期 こ ろ ヨ ー ロ ッパ で 発 明 さ れ た 銃 。 引 き 金 を 引 く. ね が は ず れ,火. 縄 を は さ ん で い る 部 分 が 火 皿 に 打 ち つ け ら れ,火. 口 か ら 銃 身 内 の 火 薬 に 引 火 し て 弾 丸 を 発 射 。 火 縄 は 竹,檜. 皮(ひ. わ だ). な どの 繊 維 で つ くっ た縄 に硝 石 を吸 収 させ た もの。 ⇒ 種 子 島銃 の伝 来 で 火 縄 銃 は 日 本 に も普 及 。 幕 末,雷. 管 銃 な どが 大 量 に輸 入 さ れ る と火 縄 銃. は衰退。 一. 『マ イ ペ デ ィ ア』(sv .ひ な わ じ ゅ う 【 火 縄 銃 】)(下 線 筆 者). こ の 記 載 か ら 、 「発 火 」 と 「発 砲 」 と の 結 び つ き は 以 下(19)の 両 概 念 が 一 語(=fire)に. よ うな文 に お い て、. 包 み 込 まれ た 形 で 英 語 母 語 話 者 の語 彙体 系 内 に存 在 して. い る こ とが 解 る 。. (19)Thepolicemanガ7α1(hisgun)attheman. (警 官 は そ の 男 め が け て(自. つ ま り、 厳 密 に はfireは. 身 の 銃 を)発. 「火 を つ け る →(銃. 砲 し た). の 火 薬 を)発. 火 さ せ る →(弾. 丸 を). 発 射 す る 」 と い う、 ビ リ ヤ ー ドモ デ ル 的 連 続 行 為 概 念 で 捉 え ら れ る こ と に な る 。 興 味 深 い こ と に 、 こ の ∬reが 以 下(20a-b)に て用 い られ る こ とに な る 。. (16a)You're/7ア641 (お 前 は ク ビ だD. (164). 一143一. 示 す よ う に 「解 雇 」 概 念 を 表 す 語 と し.

(11) 文 学 ・芸術 ・文 化/第23巻. (16b)Heω. 第2号/2012.3. α∫万764fromhisfirmforfrequentabsencewithoutduenotice.. (彼 は 無 断 欠 勤 が 多 い と い う 理 由 で 会 社 に 首 を 切 ら れ た). こ の 「発 砲 」 概 念 と 「解 雇 」 概 念 と の 結 び つ き は 、 「被 雇 用 者 の 抵 抗 力 封 じ 」 と い う 観 点 か ら 以 下(21)と. して ま と め られ る 。. (21)被 解 雇 者 は所 属 す る物 理 的 三 次 元 空 間 内 か ら外 部 に 出 され まい と抵 抗 す る。 → 雇 用 主 は 被 雇 用 者 の 抵 抗 力 を封 じる手 段 を とる 。 → そ の 手 段 と して銃 を発 砲 す る こ と に よ り、 雇 用 主 は被 解 雇 者 の 抵 抗 力 を 奪 う。 →抵 抗 で きな くな った 被 解 雇 者 を物 理 的三 次元 空 間外 部 に出 す 。 → 解 雇 す る。. こ の よ う に 米 語 でfireが. 「解 雇 」 概 念 を 表 す と い う こ と は 、 ア メ リ カ が 所 謂. 「銃. 社 会 」 で あ る と い う 社 会 構 造 の 反 映 と捉 え ら れ る 。 そ の 証 拠 と して 、 こ の 用 法 が 同 じ英 語 圏 で も 「銃 社 会 」 で な い イ ギ リ ス を 始 め オ ー ス トラ リ ア 、 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド、 カ ナ ダ 等 で 誕 生 し た もの で な い 事 実 が 挙 げ ら れ る 。 言 語 表 現 が 、 そ の 言 語 が 用 い られ て い る 国 の社 会 文 化 を映 し出 して い る顕 著 な 例 と い え る。 従 って 、 日本 も 「銃 社 会 」 で な い こ と か ら 、 丘reが 持 つ 概 念 を 包 含 す る 「解 雇 」 概 念 表 示 表 現 は 日 本 語 に 存 在 し な い こ と は 当 然 の こ と と言 え る 。 次 に 以 下(22)に. (22)1《OE》. 示 すaxの. 斧2《. 通 時 的 記 載 に 目 を転 ず る 。. α1438》. 首 切 り 役 人 の 斧;斬. 斧 槌.4《1922》[the∼](人. 員 一. こ の 記 載 か らaxは. 原義. 首.3《1851》[[石. ・経 費 な ど の 大 幅 な)削. 寺 澤(編)(1999)(sv. 工]]. 減.. .ax,axe)(下. 線 筆 者). 「斧 」 か ら 「首 切 り役 人 の 斧 」、 さ ら に は 「斬 首 」 と 概 念. 転 移 を 起 こ し た こ と は 明 ら か で あ る 。 つ ま り、 手 段 は 違 え どaxも. 一142一. 且re同 様 、 相 手. (165).

(12) 人間の認識 と言語表現. の抵 抗 力封 じに 通 ず るの で あ る 。 以下(23)に. 李. 示 す 例 文 は この概 念 を如 実 に表 した. 表 現 と言 え る。. (23)CharlesIwasaxedinpublicin1649. (チ ャ ー ル ズ1世. チ ャ ー ル ズ1世. は1649年. に 公 衆 の 面 前 で 斬 首 さ れ た 。). の 「斬 首 」 は 王 位 と い う職 か ら 「(二度 と戻 れ な い 形 で)解. 雇 され. た 」 こ と に 通 ず る 。 王 位 に 君 臨 し、 そ の 地 位 を 失 う ま い と 抵 抗 す る チ ャ ー ル ズ1世 の 抵 抗 力 を 奪 い 、 究 極 的 な 形 で 「解 雇 」 す る 為 に 、 「斬 首(ax)」. とい う行 為 が 採. られ た の で あ る 。 他 方 、 日本 語 の 「首 を 切 る/首 な る 実 例 が 次 の(24a-b)で. (24a)こ. にす る」 とい う表 現 の捉 え方 を明 らか にす る鍵 と. あ る。. の 会 社 の 従 業 員 の 頭 数 は200で. あ る。. (24b)Thefareis$20per加o紘 あたま. (運 賃 は ひ と り 頭20ド. (24a-b)に. ル で す). 見 ら れ る よ う に 、 我 々 は 人 間 の 体 全 体(=base)を. に 焦 点 化(=pro且le)し. て 表 す こ と が あ る 。 「(従業 員 の)頭. そ の 一 部 の 「頭 」 数 を減 らす 」 こ と は. 「従 業 員 を 解 雇 す る 」 こ と と意 味 概 念 的 に 等 価 で あ る こ とか ら、 「頭 数 を 減 らす 」 た め に は 「首 を 切 る 」 こ と が そ の 一 手 段 と な る 。 つ ま り 、 「頭 数 」 と い う言 い 方 は 「部 分(=頭)と. 全 体(=体)」. の 関 係 認 識 か ら 生 じ た 提 喩(synechdoche)で. あ. る 。 こ の よ う に 、 同 じ 「(組織 内 の 人 間 の)活. 動 を 停 止 させ る → 解 雇 す る 」 事 象 を. 表 示 す る に して も 、fireとax「. に す る」 との 表 現 間 の差 異 は文 化 の. 首 を 切 る/首. 相 違 に 依 っ て い る と考 え られ る 。 こ れ らの 表 現 の 違 い か ら 「銃 」 文 化 を 持 つ ア メ リ カ 、axに. よ る 斬 首 の 歴 史 が あ る イ ギ リ ス 、 そ し て 「刀 」 文 化 を持 つ 日本 と 、 そ れ. ぞ れ の 「武 器 文 化 の 違 い 」 が 言 語 表 現 に 如 実 に 反 映 さ れ て い る こ と が 導 き 出 さ れ る 。 詰 ま る と こ ろ 、 「解 雇 」 事 象 を 表 示 す る に 至 る 丘e、ax各. 々の 意 味 変 化 の 背 後. に も 、 「解 雇 す る こ と は 対 象 者 を 物 理 的 三 次 元 空 間 内 か ら 外 部 へ 出 す こ と で あ る 」. (166). 一141一.

(13) 文 学 ・芸 術 ・文 化/第23巻. 第2号/2012,3. と い う我 々 人 間 の 認 識 が 存 在 し て い る の で あ る 。 以 上 の 考 察 か ら 、 「雇 用 」 を 表 すemployと fire、ax等 の 種 々 の 表 現 は 、 以 下(25)に. 「解 雇 」 を 表 すdismiss、pushout. 、. 示 す よ う に 「容 器 と 内 容 物 の メ タ フ ァ ー 」. とい う単 一 の 認 識 に基 づ きカ テ ゴ リー化 す る こ とが で き る。. (25)「 容 器 と 内 容 物 の メ タ フ ァ ー 」 と い う単 一 の 認 識 に 基 づ い た カ テ ゴ リ ー 化 ・employ:(人. を 布 な ど で 包 み 込 む)→. 人 を物 理 的三 次元 空 間 内 に 入 れ る. → 人 を雇 い入 れ る ・dismiss:「 分 離 」dis -+「. 送 る 」-miss(人. を 部 屋 の 内 部 か ら外 部 へ)送. り. 出す→解雇す る ・discharge:「. 反 対 へ 」dis -+「 外 部 へ)放. 荷 を 積 む 」-charge(人. を 部 屋 の 内部 か ら. 出す る→ 解 雇 す る. ・give<人>thesack/bag:被. 解 雇 者 に 大 袋/カ. バ ンを与 え て荷 物 を整 理. させ る → 被 解 雇 者 に無 抵 抗 の ま ま に三 次 元 空 間 の外 部 に出 て も ら う →解 雇す る ・give〈 人>thepinkslip:被. 解 雇 者 に 解 雇 通 知 書 を 滑 り込 ま せ た 封 筒 を 渡す. → 被 解 雇 者 に無 抵 抗 の ま ま に三 次 元 空 間 の外 部 に 出 て も ら う →解雇す る ・push<人>out:〈 ・kick<人>out:〈. 人 〉 を押 し 出 す 人 〉 を蹴 り出す. ・throw<人>out:〈. 人 〉 を 投 げ(放. ・give<人>theheave. -ho:被. → 「人 を 解 雇 す る 」 り)出 す. 解 雇 者 を 持 ち 上 げ て 掛 け 声 と 共 に 投 げ(放 り)出. す→解雇す る. ・fire:「発 砲 す る 」 → 「被 雇 用 者 の 抵 抗 力 を 奪 う」 → 「人 を 物 理 的 三 次 元 空 間 内 部 か ら外 部 へ 出 す 」 → 「解 雇 す る 」 ・ax:「 斬 首 す る 」 → 「被 雇 用 者 の 抵 抗 力 を奪 う 」 →(含 →. 意)「 人 を 物 理 的 三 次 元 空 間 内 部 か ら外 部 へ 出 す 」. 「解 雇 す る 」. -140-(167).

(14) 人間の認識と言語表現. 皿.英. 語 ・韓 国 語 の. 李. 「 解雇」概念表現. 上述 して きた 「 容 器 と内容 物 の メ タ フ ァー」 と 「 解 雇 」概 念 と表 現 との繋 が りは 韓 国 語 に もみ られ る 。 そ の 実例 を以 下 に挙 げ る。. (1)employ:(3ヌ. ト組 著 え}(d)司 入干/三E剤(川 入}君書 喜uL. (三 次 元 空 間 で あ る)会. 社/組. 織 に人 を入 れ る。. → こ れ は 語 彙 的 具 現 化 と して 「ヱ 暑 糾 叫(雇 (2)dismiss:(3ヌ. ド君 暑 イ}q)司. (三 次 元 空 間 で あ る)会. 社/組. (3)push<人>out:(3ヌ}組. (4)throw<人>out:な. 入梶}{}到. 早 呈 司 旦 州 叫.. 織 か ら 人 を 外 部 へ 送 り出 す/出. す。. 社/組. 織 か ら 人 が 外 へ 押 し出 さ れ る 。. し. (5)kick<人>out:な. (7)ax:「. 司 司囚. 暑 社 望)司 入}/呈 司 司1刈 朴 君01射 立 呈 盟 司 耳 亡卜.. (三 次 元 空 間 で あ る)会. (6)fire:な. 朴/呈. 用 す る)」 と な る 。. し. し 号 暑 ス}旦 叫(=首. を 切 る)」 → 「到 ユ 暑 ス回. 雇 用 者 の 抵 抗 力 を奪 う)」 →(重 回)「 呈 司 旦 司 叫(人. 入幌}暑3叫. 刈 屠 司暑. 剛 喫 叫(被. 剋 号 社 司 早 司囚. 到早. を 三 次 元 空 間 内 部 か ら外 部 へ 出 す)」. 以 下 に 、 「解 雇 」 概 念 表 現 と 「容 器 と 内 容 物 の メ タ フ ァ ー 」 と の 結 び つ き に お い て 、 英 語 と韓 国 語 と の 問 で 共 通 す る も の を整 理 す る と 、 以 下 の よ う に な る 。. 。(3ヌ ド組 号 そ}・ ヨ)司 ・ 入}/三≡ 三司 ・)11入}君{}喜τ 斗. (三 次 元 空 間 で あ る)会 【employ→:(人. 社/組. 織 に人 を入 れ る。 → 雇 い 入 れ る. を 布 な どで 包 み 込 む)→. ・(3ヌ ト♀1号 そ}望)司 亙/呈 (三 次 元 空 間 で あ る)会. 司 司囚. 社/組. 人 を物 理 的 三 次元 空 間 内 に入 れ る】. 亙 毫}暑 潮 早 呈 司 旦 司 叫 .. 織 か ら 人 を外 部 へ 送 り出 す/出. す 。 → 解雇 す る. 【dismiss:「 分 離 」dis-+「送 る 」-miss(人 を 部 屋 の 内 部 か ら外 部 へ)送 ・(3ヌ 團. 号 そ}剋)到 入下/呈 司 司囚. (三 次 元 空 間 で あ る)会. (168). 社/組. り出す 】. 入}桔}01射 立 呈 里 司 耳1斗 .. 織 か ら人が 外 へ 押 し出 され る。 → 解 雇 され る. 一139一.

(15) 文 学 ・芸 術 ・文 化/第23巻. 【push<人>out:被 ・号 暑 ス}旦叫(=首. 第2号/2012.3. 解 雇 者 を三 次 元 空 間 内部 か ら外 部へ 押 し出 す 】 を切 る). → 潮 ヱ 暑 ス國. 刈 屠 弔著 剛 傑 叫 .(被 雇 用 者 の 抵抗 力 を奪 う). → 入}君暑3叫. 組 暑社 司早叫刈 到早 呈 司旦珊τ 斗 .(人 を三 次 元 空 間 内 部 か. ら外 部 へ 出 す) 【ax:斬 首 す る→ 被 雇 用 者 の抵 抗 力 を奪 う→ 人 を物 理 的 三 次 元 空 間 内 部 か ら外 部 へ 出 す → 解 雇 す る】. 上 述 の よ う に 、 韓 国 語 に お け る 「解 雇 」 概 念 及 び 具 体 的 語 彙 化 に 関 して は 日 本 語 の そ れ と極 め て 類 似 し た 並 行 性 を 示 し て い る こ と が 明 らか で あ る 。 「銃 社 会 」 の ア メ リ カ 表 現(fire)が. 「刀 社 会 」 で あ っ た 日 本 ・韓 国3に. の こ と で あ る と同 時 に 、 「(武器)文. 発 生 し なか っ た こ とは 当 然. 化 」 の違 いが 言 語 表現 の 違 い と な って 現 れ る こ. と も 、 又 当 然 の こ と と 言 え る 。 そ し て 、 英 語 ・日 本 語 に 共 通 して 存 在 す る 「投 げ 出 す 」 概 念 を 含 む 解 雇 表 現 は 韓 国 語 に は 存 在 し な い こ と は 「川 望 ス1τ 十(投 げ 出 す)」 行 為 を 解 雇 概 念 と 結 び 付 け な い とい う 韓 国 語 母 語 話 者 の 認 識 を 表 す も の で あ る 。 た だ 一 つ 不 可 解 な 現 象 はkick(蹴 <人>out(解. 雇 す る)表. る/計. 叫)を. 構 成 要 素 の 一 つ と し て 内 包 す るkick. 現 が 日 本 語 、 韓 国 語 の い ず れ に も存 在 し な い こ と で あ. る 。 そ の 理 由 と して 真 っ 先 に 思 い 浮 か ぶ の は 「履 物 文 化 」 の 違 い で あ る が 、 果 た し て そ れ で 解 決 が つ くの か ど う か 。 こ の 件 に 関 して は 、 時 を 得 た 論 考 と して 別 稿 と し たい。. 〈注 〉 1. こ のwithoutはOEwibUtan(外. 部 に)に. 由 来 す る 。(Cf寺. 9白. こ の 語 の 、 名 詞 、 動 詞 と も 主 に ア メ リ カ で はax、. 澤(編)(1997:1573)). 主 に イ ギ リ ス で はaxeと. 綴 られ る。. (C£OALDsv.axe.) 3. 韓 国 を 「刀 社 会 」 と 定 義 し て い る 理 由 は 現 在 朝 鮮 半 島 に 居 住 す る 民 族 の 先 祖 で あ る 「韓 民 族 」 が 騎 馬 民 族 と して. 「剣 」 を 主 武 器 の 一 つ と し て 用 い て い た こ と に よ る 。 従 っ. て 、 正 確 に は 「剣 社 会 」 と 記 す べ き で あ る が 、 韓 国 語 、 日 本 語 が. 「斬 首 」 と い う概 念. 表 現 を共 通 して 用 い る こ と に 焦 点 を置 き、 日本 語 と の 並 行 性 を 考 慮 した 上 で 敢 え て. 一138一. (169).

(16) 人間の認識と言語表現. 李. 「刀 社 会 」 と表 記 す る。. 〈 参 考 文 献> Fauconnier,G.(1985)1晩. π孟 α15加c6∫.MITPress.Cambridge.. Gruber,J.S.(1976)五6κ. ゴcα1S'7π6'〃7θs加5y〃. 孟 ακ απ4S6〃zα 班 ゴo∫.NorthHolland.. Amsterdam. Hornby,A.S.(ed.)(1995)0ガ. ∂74、44紹 πc64五6α7〃67奪Dゴc'ゴo駕 η(=α4五D).Oxford. UniversityPress.London. Lakof五G.andM.Johnson(1980).挽. 砂 乃073恥L勿6βy.UniversityofChicagoPress. Chicago. Lako丘G.andM.Johnson(1999)-P雇10s砂 C加 〃6〃gσo暁. 乃y吻'加F16曲. 一7'加E〃zδ04ゴ64M加4伽4爵. ∫'ε7π 丁乃o%g玩 一.BasicBooks.NewYork.. 池 上 嘉 彦(1983)『. 意 味 論 』 大 修 館 書 店.東. 上 野 義 和(1995)『. 英 語 の 仕 組 み 一意 味 論 的 研 究 一』 英 潮 社.東. 上 野 義 和(2007)『. 英 語 教 育 に お け る 論 理 と 実 践 一 認 知 言 語 学 の 導 入 と そ の 有 用 性 一』 英 宝. 社.東. 京. 京。. 京.. 上 野 義 和 他(2001)『. 新 し い 視 点 か ら学 ぶ 言 語 と文 化 』 英 宝 社.東. 上 野 義 和 ・森 山 智 浩(2003)『. イ メ ー ジ&カ. 上 野 義 和 ・森 山 智 浩(2004-2009)「 (そ の1一. そ の10)(『. 京.. テ ゴ リ ー の 英 単 語 』KKウ. イ ン.大. 阪. イ メ ー ジ と カテ ゴ リー に よ る 語 彙 指 導 方 法 の 構 造 改 革 」 研 究 論 叢 』 第62号. 一第73号,京. 都外国語大学国際言語. 平 和 研 究 所.) 上 野 義 和 ・森 山 智 浩 ・入 学 直 哉 ・李 潤 玉(2002)『 一』 松 柏 社. ,東. 京.. 上 野 義 和 ・森 山 智 浩 ・輻 森 雅 史 ・李 潤 玉(2006)『 知 言 語 学 的 ア プ ロ ー チ ー 』 英 宝 社.東 河 上 誓 作(編)(1996)『 研 究 社.東 北 原 保 雄(編)(2002)『 小 西 友 七 他(編)(2001)『. (170). 認 知 意 味 論 の 諸 相 一身体 性 と空 間 の 認 識. 英 語 教 師 の た め の 効 果 的 語 彙 指 導 法 一認 京.. 認 知 言 語 学 の 基 礎 一 孟 ηZ班704%漉oη'oCog〃. 漉 麗E〃g%∫ ∫漉s-』. 京. 明 鏡 国 語 辞 典 』 大 修 館.東 京. ジ ー ニ ア ス 和 英 辞 典 』(=GIED)大. 一137一. 修 館 書 店.東. 京..

(17) 文 学 ・芸 術 ・文 化/第23巻. 新 村 出(編)(1985)『. 広 辞 苑 』 岩 波 書 店.東. 寺 澤 芳 雄(編)(1999)『. 京.. 英 語 語 源 辞 典 』 研 究 社.東. 南 出 康 生(編)(2001-2004)『 森 山 智 浩(2008)『. 第2号/2012,3. ジ ー ニ ア ス 英 和 大 辞 典 』(=〇. 五yD)大. 修 館 書 店.東. 京.. 英 語 に お け る 語 彙 概 念 の 応 用 研 究 一空 間 関 係 づ け 範 躊 に 関 る 単 一 語 ・連. 語 表 現 を 中 心 に 一』(博 士 論 文)京 山 梨 正 明(1995)『. 京.. 認 知 文 法 論 』 ひ つ じ書 房.東. 渡 邉 敏 郎 他(編)(20035)『. 都 外 国 語 大 学. 京.. 新 和 英 大 辞 典 』 研 究 者.東. 一136一. 京.. (171).

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参照

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