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これからの道徳の授業のために 「考え、議論する道徳」の視点から

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Academic year: 2021

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教 育 学 の 研 究 と 実 践 第14号 (2019年12月)

これからの道徳の授業のために

-「考え、議論する道徳」の視点から一

守 屋

(北海道大学) 1. はじめに まず筆者の基本的な立場を述べておけば、道徳の教 科化には多くの間閣点、弊害があると認識しており、 当然反対の吃場である。しかし現実には「特別の教科 道徳」は始まってしまった。そしてすでに日々実践が 積み上げられつつある。現場の教員としては「道徳」 の授業を行わざるを得ないという状況がある。 本稿は、そのような状況の中で既に開始されている 実際のある道徳の授業をもとに、「考え、議論する道徳J という、本来、新学習指導要領における「特別の教科 道徳」の柱ともいえる概念を手がかりにして、これま での議論の整理を行い、これからの道徳の授業実践の ために、提言を行うものである。 2 ある道徳の授業 「特別の教科 道徳」が始まった 2018年度、ある 小学校 4年生の教室でこんな道徳の授業を見た。 教科書の教材は「絵はがきと切手 1] という話。転 校した友達から来た絵はがきが料金不足で、不足分を 支払ったのだが、主人公の女の子は返事にそのことを 書くべきか迷っていた。女の子の兄は「ちゃんと伝え るべきだ」と言うが、一方母は「お礼だけにした方が いい(料金不足の件は書かない方がいい)」と言ったか らだ。 この場面で教師はいったん話を読むのを中断し、 「自分だったらどうする? (料金不足だったことを) 教える?教えない?」と発間した。子どもたちは、い つもの授業のパターンだったのだろう、訓に出て「教 える」、「教えない」の二択で自分のネームカードを黒 板に貼っていった。 しかしそもそも、「はがきが届いたが料金不足だっ た」ということ自体、経験がなく何のことかわからな い子が多い様子だった。中には「絵はがき」自体、よ く知らない子もいただろう。「料金不足、つて何?」と つぶやく子がいて、さすがに教師もそれを閲き取って 「あっ、そうか。はがき出したことない?じゃ、そこ から教えよう」と言い、説明した。 この説明を間いて、最初「教えない」方を選んだ子 の方が多かったのに、「教える」に自分の慈見を変える (前に出てネームカードを貼りなおす)子が多く (30 人ほどの学級で 10人ほど)、結果、「教える」という 意見の方がやや多い分布になった。子どもたちは口々 に「だって、余計なお金払いたくないもん」(だから教 える)とか、「教えたって払ってくれるわけないよ」、 「いや、返ってくるかもよ」と自然と考えを交わしあ っている。 しかし教師の予定は、ネームカードを貼らせれば次 はテキストの続きを読むことだったようで、子どもた ちのこのやり取りには触れずに続きを読んだ。それに よると、主人公の女の子は「やっぱり(料金不足だっ たことを)知らせよう」と決断し、手紙を書き始める ところで話は終わっていた。 そして教師は「どうしてやっぱり知らせようと思っ たのか、グループで話し合ってみて」と、今度はグル ープ学習に移行した。しばらく話し合わせたあと、教 師は全体での話し合いに戻し、何人かに意見を言わせ たあと、「じやあ、ひろ子さん(主人公の女の子)にな ったつもりで手紙を(ワークシートに)書きましょう」 と次の課題に移る。 私が見ていたあるグループでは一人の女の子 (Aさ んとする)が、「私が 100円払ったから返してくださ い」と書いている。ちょうどそこに教師がまわってき て、「返してくださいって書くの。ふーん」と否定的な 口調で言う。同じグループの男子 (B君)のワークシ 1辺見兵衛・作、『どうとく きみがいちばんひかるとき』、光村図書、所収 12

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