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は じ め に わ が 国 に お け るDOPの 生産 は 近年 約20万t/yに 達 す るが,こ れ は全 可 塑 剤 生産 の50数%に 相 当 し,DOP が相 変 らず 代表 的 可 塑 剤 で あ る こ とを 示 す もの であ る。 昭和24年10月,協 和 醗 酵 堺 工場 で 自社 技 術に よる 本邦 最 初 の試 験生 産 に成 功 して以 来20有 余 年,今 日の 如 き 盛 況に 至 るには 単 に 需 要 の増 大 に恵 まれ た の み な らず, 化学 工 学 そ の 他の 技 術 の進 歩 と相 ま って,そ の品 質 と製 法 技 術 に対 す るた ゆ ま ざ る改 良 進歩 が 与 って大 で あ る と 考え る。 当社 の場 合,加 藤 会長 の 「醗 酵 と合 成 の 有機 的 結 合 」 とい う指 導方 針 の も とに 当初,醗 酵 法 ブタ ノー ルか らの 連 続 プ ロセ スに よる2・ エ チ ル ヘ キサ ノー ル合 成 の 技 術 確 立 を 受 け て,こ れ を一 方 の 原 料 とす るDOPの 国 産 化 に 進 出 した 。 当時 は 当 然 の こ と として 全 工 程 が 回分 式 で あ った が,こ の こ とは急 速 な 需 要増 に 応 ず る設 備 増 強 と 日常 の 改 良研 究 の 適用 に好 都 合 で もあ って 製造 現 場 に 直 結 す る形 で研 究 室 が 併設 され 活 発 に活 動 した。 回分 式 は 反 面 多 数 の人 員 を 要 し連 続 化 は は じめ か ら研 究 課 題 と し て 取上 げ られ 準 備 が進 め られ た。 昭和30年 代 に 至 り石 油 化 学 の抬 頭 と共 に原 料 転 換 を 追 られ38年,大 協 和石 油 化学(昭 和41年11月 以 降, 協 和 油 化)四 日市 工場 で生 産 され る こ とに な った 。 この 時 に際 し当 時 の 水 準 の反 応 工 学 等を ベ ース に懸 案の 連 続 プ ロセ スに よ る1系 列 年 産3万tの プ ラ ン トを 完 成 させ た。 40年 代 に 入 っ て再 び 新 増 設 の機 会 が 到 来 し45年 夏 以 降,生 産 は1系 列年 産6万tの 新 プ ラ ン トに移 され た 。 本 稿 で は プ ロセ ス開 発 の 問 題 点の1例 と して,こ の 新 鋭 プ ラ ン トに 適用 され たDOPプロ セ ス の改 良研 究 を取 上 げ,そ の 技 術的 背 景 と研究 活 動 上 の 要 件につ いて 我 々 の考 え 方 を述 べ る こ とに す る 。 1. 研 究 目 的 の と ら え 方 1・1 製 造 工程 の概 要 本 論 の 説 明を 容 易に す るた め まず 製 造 工 程に つい て 簡 単 に 触 れ て お きた い 。 1) モノエス テル化:無 水 フタル酸 と2・ エチルヘ キサ ノー ル(以 後単に アル コール とす る)を 混合する。 2) ジエステル化:所 定 の反応温度で生成水を系外に留去 し つつ行われる. 3) 中和:未 反応 モ ノエステルの中和 と触媒 を用い る場合は そ の中和。 4) 水洗浄:脱 イオン水 による中和生成物 とアル カ リの除去. 5) エン トレーナー回収:エ ン トレーナーを用 いない場合は 当然,必 要ない。 6) 過 剰アルコールの回収:精 製又は未精製 で反応系へ循環 され る。 7) 粗製品の高真空精製蒸留:主 とし て薄 膜 蒸 留器に よる 初 留 ・後留又は初 留のみの カッ トである。 8) 吸着〓過:最 終 仕上げ のための単な る〓過 と品質 向上の ための吸着(脱 色)〓 過 とがあ る。 1・2 研 究 課 題 の 設 定 可塑 剤 製造 に お け る研 究 課 題 の 第一 は,品 質 の 向上 と それ を 安定 して 維 持 し うる生 産 技術 の 確 立 に あ る。 そこ で,表1DOPの 主 要 品質 で あ るが,着 色 度,酸 価,加 熱減 量 お よび 加 熱 後 酸 価 は いず れ も低 い ほ ど良 質 で,体 積 固 有 抵 抗 は ビニ ール 電 線 コー ドな ど用 途 との 関 係 で特 に 高 い 数値 が要 求 され る 。JIS規 格(昭 和30年 制 定)当 社販 売 規 格共 に(通 常 安 全 サイ ドに決 め られ る もの とは いえ)そ れ ぞれ 制 定 され た 当時 の いわ ば 過 去 の 技 術 水準 を うか が わせ る もの とす る な らば,近 年 の 実 績 値 の 飛躍 的 向 上 は そ の技 術 の 改 良進 歩 の跡 を 明確 に 示 す もの とい え る。 品 質 の 向上 は 一方 で はそ の 保 管 ・輸 送 の 過程 で の 影 響 を 受 け易 くし,こ の 面 へ の配 慮が 大 切 とな る。 品 質 試 験 項 目 とし ては,表1の 他 に ガ ス ク ロ分 析,水 分 は 勿 論 の こ と更 に厳 しい 試 験 や 実 際 に塩 ビと混 練 加 工 して 行 う様 々な シー ト試 験 が あ るが,こ こ では 省 略 す る。 従 来,高 品位 の もの を 安 定 して 生産 す るに は 意 外 に 問 表1 DOPの 主 要品 質 * 昭 和49年10月17日 受理 ** Reikichi Nozawa(正 会 員)協 和 油 化(株)四 日市 工 場 技 術 部 技 術 課 844 (6) 第38巻 第12号 (1974)題 が あ って 管 理 や 操 作 の工 夫 に 依 存 す る 点 が 大 で あっ た 。 品 質 を 向 上 せ しめ るに は 水分 や アル コール を まず 取 除 かね ば な ら ない が 更に 難 しい こ とに は,そ の 他 の残 留 物(酸分,重 金属,無 機物,着 色物,低 ・高沸 分)の 痕 跡 を 除か ね ば な らな い。 出来 れ ば 製法 上 は じめか ら極 力 含 まれ な い こ とが 望 ま しい。 次 に 可塑 剤 の コス トは 大部 分 が 原 料費 で あ る ので,主 原 料 原 単位 の 向上 は 収 益性 に も っ とも貢 献 す る。 これ は DOPの 一 方 の原 料 で あ る 無水 フ タル酸 の反 応 率を 極 限 まで 引 き上 げれ ば,他 方 の原 料 で あ る アル コー ルは 回 収 が 容 易 で あ る ので 達 成 し うる理 で あ る。 反 応 率や 選 択 率 を 引 き上 げ る こ とは,水 洗 浄工 程 か ら排 出 され る廃 水 の COD低 減 に も直 接 関 係 す る。 しか し,品 質 の 劣化 と コ ス トア ッ プな しに 達 成 す る とこ ろに む ずか し さが あ る。 他 方 に,生 産 規 模 の拡 大 は精 製 工 程 か ら排 出 され る中 和 洗 浄 廃 水 や 吸着〓 材 等 の 廃 棄物 の比 例的 増 大 を もた ら す ので,こ れ ら の原 単 位 を 大 幅に 削減 す る こ とは 公害 防 止 の観 点 か らプロ セ スの 大 前 提 とな り,同 時に ス ケール ア ップ技 術 の 再点 検 ・確 立 と全工 程 の 合理 化がエ ネ ル ギ ーと設 備,人 員 の節 減 に 効 果 的 とな って くる。 1・3 本 質 の 把 握 これ ま でに 述 べ た 品 質 向 上 を は じめ とす るい くつか の 課題 に 取 組 む に 当 り,先 ず 従 来 の実 験 報 告 と過 去 の 文献 の収 集,運 転 デ ー タ ーや 操 作 の ヒヤ リ ング と整 理 か ら始 め るの はあ た りま え と して,た だ,我 々は この一 見,良 く知 られ た化 学 反 応 を反 応 機 構 に まで さか の ぼ って 種 々 の 角度 か ら幾 度 とな く再 検 討 した 。た また ま担 当 チ ーム に 可塑 剤 の直 接経 験 者 が 居 らず,そ れ 故,か え って 悪 い 意 味で の 先 入観 念 に と らわ れ る こ とな く新 しい角 度 か ら 問題 を 指 摘 す る こ とが 出 来 た し,そ れ だ け 検 討に しつ こ さが あっ た といえ る。 この 辺 りは もっ と も忍 耐 を要 す る ところ で あ るが,何 らか の 確信 に 至 る まで はだ らだ らす るこ とな く集 中的 徹 底 的 に 行 な いた い 。 結 局,相 互 に 両 立 また は 背反 す る微 妙 な 関 係 に あ る諸 条 件 も詰 る と ころ 反 応法 の 中 の重 要 な 一,二 の 因子 を ど うと らえ るか に よ って決 定 され る とい う結論 に達 し,そ こに 全 力を 集 中 し た 。如 何 な る研 究 も本 質 の 把握 と的 を 絞 る こ とが肝 要 で は なか ろ うか。 2. 反 応 法 の 概 要 と 動 力 学 的 検 討 2・1 反 応 法 の概 要 反 応 は 通常,常 圧 また は 減 圧 下 で生 成 水 を 別 に加え る エ ン トレー ナ ー(ベ ン ゼ ン,ト ル エ ン,ヘ キ サ ンな ど) あ るい は ア ルコ ー ル 自体 を 共 沸 剤 として,系 外 に 除去 し つ つ沸 騰 状 態 で 行 わ れ る。 触 媒 法 の場 合,伝 統 的 な 工業 用 触 媒 と して 硫 酸 バ ラ トル エ ンスル ホ ン酸 な ど,強 酸性 触 媒 を 用 い る のが 普通 で あ る。 そ れ は鉱 酸 系 触媒 が100∼150℃ の 範 囲 で他 の 追 随 を許 さな いほ ど強 い触 媒 活性 を 示 すか らで あ る。 と は い え,こ れ らの 酸 触媒 は 本 質的 な欠 点 を有 す る。 第1 に これ らの 酸 は 目的 とす る反 応 のみ な らず アル コー ルの 脱 水反 応 に よる エ ーテ ル 化,オ レフ ィン化 の如 き副反 応 を 起 し,循 環 ア ル コ ール 中に 蓄 積 し アル コー ルの 精 製を 行 な うに して も製品 品 質 の劣 化 傾 向は さけ られ な い 。第 2に,触 媒 自体 の エス テ ル化 が あ る。 例 え ば硫 酸 で は ス ル ホ ン酸 モ ノエ ス テル お よび ジエ ス テル で あ る。 中 性の スル ホ ン酸 ジエ ス テル は 中和 操 作 に よ って も可 塑 剤 中か ら取 除 くこ とが 困難 で 精 製工 程 で 再加 熱 され た 時,再 び 一 部 が 分解 して オ レフ ィ ンとス ル ホ ン酸 モ ノ エス テ ルを 遊 離 し製 品品 質 に 悪影 響 を与 え る。第3に 原料 アル コー ル 中にPPM単 位 で残 存 す る不 飽 和結 合 化合 物 と反 応 し て 発 色団 を形 成 し反応 品 を 着 色せ しめ る。 それ 故,こ の 製 法 では 厳 しい品 質 を アルコー ル に 求め る ことに な る。 これ らの欠 点 を軽 減 す る に は 反 応 温度 に制 約を 生 じた り,精 製 工 程 を重 装 備 の もの とせ ざ るを えな い ので,こ の点 に 多数 の 改 善提 案 が 集中 して い る。 同 じ触 媒 法 で もか か る強 酸 性 物質 を さけて,Al, Ti, Zr, Sn, Fe… … な どの 金 属の 酸 化物(含 水酸 化 物),過 酸 化物,塩,有 機 金 属化 合 物,あ るい は アル カ リ,有 機 ア ミン類 を200℃ 前 後 の 高 温 で用 い る方 法 が あ る。一 般 に 淡 色 良質 の もの が 得 られ る が,す で に特 許 や文 献 も あ り,成 書1)に も紹 介 され て い る の で 詳 細 は 割愛 す る が,一 つ の有 力な 改 良の 方 向を 示 して い る。Alな どの 金属 化 合物 は アル コール が ル イ ス塩 基 と考 え ら れ るの で,ア ル コール に 対 して は ルイ ス酸 として 作用 し,フ タ ル酸 に 対 しては 塩 基 とな るの で両 性 触媒 といわ れ る。 実 例 と して い さ さか 古 いが ヒ ュー ルス 社 は水 酸 化 アル ミニ ゥム と苛 性 曹達 又 は ア ル ミナ と苛 性 曹 達 の組 み 合せ を 提 案 して い る。 懸 濁 型 触媒 で あ る ので 不 都合 な面 が 目立 つ が,そ の 溶 出成 分 に 触媒 活 性 が あ る こ とは も う一 歩 先 の 活 性物 質 の 存在 を示 唆 して い る ことに な る。 ル ー ワ社 も 独 特 の プ ロセ スを 発 表 して い るが,触 媒 に つ いて は不 明 とい う ことに な って い る。 一 転 してBASF2)は200℃ 以 上 の 高 温 で 無触 媒 で 大 規 模 に工 業 化 に 成 功 して い る。 これ らの実 例 は強 酸 性 触 媒 を 敬 遠す る こ とに よ り品 質 の 向上 と工程 の 簡 略化 を は か った 点に 共 通 す る特 微を 有 す る。 我 々は こ の よ うな反 応 法 に つい て 極 力反 応 機構に ア プ ローチ しつつ,動 力 学 的解 析 を 行 って,フ ラス コ実 験 の 段 階 の みで 充 分 工 業 化 に 耐 え る 研 究 方法 の確 立 に努 め た 。 2・2 ス ケ ール アッ プ に耐 え る 実 験技 術 研 究 室規 模 の実 験 か ら得 られ る知 見 に は,そ れ が 認 識 され て い る と否 とに かか わ らず 通常 制 約 が あ る。 そ の 故 に パイロ ッ ト試 験 が 行わ れ,こ の 段階 で コマ ー シ ャル プ
化
学
工 学
(7) 845ラ ン トの設 計 及 び操 作 方 法 の 確 認 また は 解 決 が はか られ る。 しか しな が らパ イ ロ ッ ト試験 は そ れ ま で の長 い研 究 期 間に 更 に 相 当 の試 験 期 間 を上 乗 せ す る こ とと,そ れ な りに経 費 と人 員を 必 要 とす る。 新 製 品 の市 場 開 拓 とか実 証 され た 解 析方 法 が 確 立 され て い な い場 合 は む ろ ん 例外 で あ るが,最 近 の よ うに 電子 計 算 機 とシ ミュ レー シ ョン 技 術 が 発達 す る と,パ イロ ッ トを とば して 基 礎 実験(測 定 及 び 観 察)と 計 算 の み で工 業 化或 い は評 価 を行 え る ケ ー ス も増 大す る。 そ こで実 験 方 法 の再 検 討 が 必要 に な っ て くる。 さて,エ ス テル 化 反 応 は他 の 液 相反 応 と同様 に 触 媒, 濃 度,混 合 な どに よっ て影 響 され るか,特 に極 限 に 近 い 高 反 応 率 を得 よ うとす れ ば,本 反 応 が 生成 水 を伴 う可逆 反 応 で あ る以 上,系 内に 残 存 す る微 少 水 分 を無 視 して は な らな い。 た とえ 順調 に 生 成 水 が系 外 に排 出 され て い る 状 態 で あ って も,そ れ だ け で は デ ー ター の再 現 性 に 乏 し い 。 この外 に も本 反応 に 特 有 の種 々の 問 題 も あ るが 工業 化 した 場合,結 局 は反 応 器 外 か ら制 御 し うる操 作 条 件 と 反 応 速度 の関 係 づ け こそ 必 要 で あ る とい う考 え方 か ら, 化 学反 応 では とか く無 視 し が ち な 物 理 的操 作 に 着 目 し た 。 か くて,種 々 の 触媒 と広 汎 な反 応 条 件,並 び に ス ケ ー ル ア ップ に正 確 に対 応 す る新 た な実 験 方法 と解 析法 に到 達 し,反 応 法 の 優劣 を 実 験 室 で正 し く認 識す る こ とが で き た。 2・3 操 作 条件 と反 応 速 度 動 力学 的 研 究 の先 行 例 と しては ゴー ル ドシ ュ ミッ ト, オ ス マ ー,イ ン ゴール ドな どの諸 研究 と,こ れ ら三 者そ れ ぞれ の研 究 を 追試 検 討 した ゼ ー ウの 研究3)(そ して ご く最近 では シ ン ク レア のDBPエ ス テル 化 反 応 器 に おけ るDDC制 御 に よる 反 応 モデ ル検討4)が あ る)を 見 る こ とが 出 来 るが,目 的 と考 え方 を 異に す るた め 参考 に な ら ない。 要 は 反応 器 の形 式に も よるが 必 要 とす る範 囲 で の反 応 速 度 が 得 られ れ ば 良 いわ けで,学 問的 に ど うか とい うこ とに 余 りこだ わ る必要 は ない 。 この反 応 で もモ ノ エ ス テ ル の 反応 速 度 は モ ノエ ス テ ル のm次,ア ル コール のn 次 に 比例 し比 例 係 数(見 掛 速 度定 数)が 触 媒濃 度並 び に そ の他 の物 理的 条 件に 関 係 す る と考 えて,実 験 デ ー タの シ ミュ レー ショ ンを進 め た 。 この段 階 で アル コール 濃 度 は 幸 い反 応 温 度に 相 関 す る こ とか ら この 項 を 省略 して み る と数 値 計 算 が容 易 とな り,か え って 精 度 が 向上 す る こ とが わ か った。 問 題 は 比 例 係 数 で あ るが,こ れ に 影 響 す る因 子 の 中 で我 々が 着 目した もっ と も重 要 な も のは,定 量 化 され た 熱(量)的 操 作因 子 で あ っ た 。 こ の操 作 因 子 を 把 握 して い ない 二 つ の実 験 は,そ の 他 の条 件 が 固 定 さ れ て い た と して も同一 とは いえ な い。 つ ま り再 現 性 が な い 。 この 傾 向は エ ン トレー ナ ーを 用 い な い場 合,あ るい は実 験 規 模 を 変更 した 場 合 と くに 顕 著 で あ った 。理 由 は 化 学 反応 と気液 平 衡 が 互 いに 関 与 して い るか らに 他 なら な い。 この よ うな 着 眼 に基 き実 験 装置 が工 夫 改良 され, それ か ら得 られ た デ ー タ と解 析 の結 果 は 再 現性 と普 遍 性 が 高 く,反 応 方 式 と反応 条件 の 評 価 を 確 実 な もの と した ば か りで な く,僅 か数 リ ッ トル の フ ラス コか ら一 挙 に 本 装 置 への ス ケ ール ア ップが 可 能 な こ とを 証 明 した。 3. プ ロ セ ス 開 発 の 要 件 プロ セ ス 開発 を 順 調 に 導 くに は,い くつ か の 基 本 要 件 と もい え る側 面 的 問 題 が あ る よ うに 思 え る。 我 々の経 験 に よれ ば, (イ) 担当者が フレッシュ感に満 ち,マ ンネ リ化 していない ことが大切 であ る。 マンネ リ化を防 ぐには担 当者が安心 してそ れに専念 できる情況 と,チー ムとして も将来 を賭 るだけ の真剣 さが 必要 ではなかろ うか。 (ロ) 工業化の詰に無駄がない こと,換 言すれば,主 た る担 当者の工業化経験,あ る いは現場 経験 に基づ く問題点の フ ィー ドバック,も しくはコス トチェ ックな どによる実現性の範囲の 絞 りと方 向づけが有効 と思われるこ とである。 (ハ) 初期段階か ら化工的観点 を取 り入 れ た実験 と観察を行 いたい。 化 学 プロセスの工業化には一般 的にい って化学系の者 と化工系の者の協力と,そ れ ぞれの分野に対す る相互理解が必 要 であるが,私 見として述べるな らば,化 工系 の者 も解析計 算 だけに走 らず,積 極的に実験に参画す ることに よって,独 特 の 知見 を見出す機 会があ ると思 う。我 々のDOPの ケースはまさ にそ うであ った。 (ニ) 研 究にはとか く雑音と迷 いが つ き ものであるので,常 に トップの理解 と支持が受け られ ることが望 ましい。 む す び DOPプロ セ ス の 開発 とい う こ とは,今 日で は 全 く新 しい製 造 法 を考 慮 しない 限り,い わ ば プ ロセス の 改 良研 究 とい うこ とに な る。 しか し,プ ロセ ス改 良 研 究 は,新 規 開発 研 究 とそ の 出発 点 を 異 に す る とは い え,相 互 に 共 通 す る面 も多 く,と くに企 業 に とって は 速 効 的 効 果 を も た らす の だか ら本 来,研 究 活動 の 中で か な りの ウェ ー ト を 占め て 良 い も の と考 え る 。近 年,環 境 浄 化,排 水 規制 に 関 連 して公 害型 化 学 プ ロセ ス の 改 良 また は 変 更 を迫 ら れ る もの が 多 くな りつ つ あ り,さ らに 近 い将 来 に お け る 完 全 ク ロー ズ ド化 の 実 現 を 目標 にす るな らば,す べ て の 既 存 プ ロセ ス の見 直 しは 急 務 とな るで あ ろ う。 さ て,こ れ ま で プ ロセ ス 開発 の問 題 点 の 各 論 と して DOPに お け る我 々の 経験 と 考 え方 の一 端 を 披 露 す る と 共 に,研 究 に対 す る考 え 方 を 述べ て きた つ も りで あ る。 技 術 内 容 に具 体 的 に 触 れ て い な い 点に 心 残 りは あ るが, 事 情 ご賢 察 の上,大 方 の ご批判,ご 叱 正を 賜 れ ば 筆 者 の 望 外 の 喜 び とす る所 で あ る。 846 (8) 第38巻 第12号 (1974)
引 用 文 献
1) 村 井 孝 一編 著:可 塑 剤そ の 理 論 と応 用
,p.414 (1973) 2) H. Suter: Chem.-Ing.-Tech. , 41, 971 (1967)
3) A.J. Van der Zcew: Chem. and Ind., 19, July (1969)
4) C.G. Sinclair, at al.: Preprints of IFAC Symp. DISCOP Gyor Papers, L∼Z, S4 (1)-S4 (10) (1971)