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イベリヤ半島北部における方言状態の歴史的変化 音韻に関して

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(1)

イベ リヤ半 島 北 部 にお け る方 言 状 態

の歴 史 的変 化

―音 韻 に 関 し て ―

711年 の モ ー ロ人 の 侵 入 か ら1492年 のGranadaの 陥 落 に到 るReconquistaの 時 期 が イ スバ ニ ヤ語 の方 言 区 画 の形 成 に大 きな役 割 を果 した 事 は周 知 の事 実 で あ る。 こ の時 代 に分 割 統 治 され てい た各 王 国 内 で夫 々 の方 言 が 形造 ら れ た が,国 土統 一 に向 う時 期 に Castilla語 の勢 力 が四 方 に広 がり,各 方 言 は従 来 か ら起 って い た そ の方 言 独 自の歴 史 的 変 化 の上 に更 に こ のCastilla語 に よる標 準 化 の 波 を受 け て,や や 複 雑 な 動 きを示 しつ つ 今 日の状 態 へ と推 移 して 来 た は ず で あ る。 こ こで 或 る種 の 音 韻 現 象 につ い て半 島北 部 の 方 言状 態 を歴 史 的 に 考 察 し,そ れ を更 に 同 じ地 域 の 現 在 の 状 態 と比 較 して,方 言 差 の 歴 史 的変 遷 を た ど って 見 た い と思 う。 古 い 時 期 の 方 言資 料 と して はManuel Alvar: Textos hispanicos dialectales, Madrid, 1960 を,現 代 の資 料 と し てはConsejo Superior de Investigaciones Cientificas: Atlas lin-guistico de la Peninsula Iberica I, Fonetica 1, Madrid, 1962 (以下ALPIと 記 す)

(2)

(1) Oviedo (Asturias) 1262年 (2) Piasca (Santander) 1252年 (3) Estella (Navarra) 1234, 1238, 1269年 現 代 の 方 言状 態 と比 較 す る為,ALPIに 於 け る調 査 地 点の中,上 記 の三 地 点 に最 も近 い 地 点 を夫 々2個 所 ず つ 計6個 所選 ん だ。

Oviedo-310

La Mata

317 Cimalavilla

Piasca-405

Vega de Liebana

406 Tudanca

Estella-432

San Vicente de Area

600 Goni

I. [je]<E

Origenesに 挙 げ られ た例 を見 る と.[je]の 形 はCastillaで は9世 紀 頃,Leon及 び

Navarra-Aragonで は10世 紀 頃 か ら現 わ れ 始 めて い る。 勿 論 二 重 母 音 化 現 象 は そ れ よ り

以 前 に起 った 物 で あ る が,古 文 書 に現 わ れ る の は この頃 か らで あ る。 そ し て こ の形 は或

る時 期 迄 は 二 重母 音 化 し な い形[e]と 共 存 して い る。 又Leon及 びNavarra-Aragon

に は[ja]と 云 う二 重 母 音 の 異 形 が 見 られ,こ れ が[e], [je]と 共 存 し て い る。

(13世 紀)

Oviedo siempre (=SEMPER)

[je]

bien (=BENE)

seffriende (=-ENDO)

dia (darの 接 続 法 現 在de=DET) [ja] dian (同 じ くden)

soffrendo [e]

establecimento (=-MENTUM)

Piasca nietos (<nieta=NEPTA)

[je]

(3)

contienda (=CONTENDAT)

Estella fiesta (=lat.

tradio FESTA)

[je]

infiernos

(=INFERNUM)

valimento

[e]

(20世 紀) 6地 点 共 に[je]

13世 紀 にOviedoで は[je]の 外に 僅 か なが ら[ja], [e]の 形 が 見 られ る。Piascaで

は[je]以 外 の 例 は 見 当 らな い が,資 料 が 限 られ て い る の で異 形 が 存 在 しなか った とは

云 い 切 れ な い。 いず れ に し て も現 在 で は これ等 す べ て の地 域 は[je]に 統 一 され て い る。

Leon及 びNavarra-Aragon方 言 で はCastilla語 で 二 重母 音 化 し なか った 或 る種 のyod

の 前 のE(例 え ばtengo=TENEO, espejo=SPECULUM, etc.)も[je]の 形 で 現 わ れ る の で あ る が,こ こ で 扱 った 資 料 の 中 に は 見 当 ら な い 。castilla語 で は 無 ア ク セ ン ト

の語 とし て二 重 母 音 化 し なか ったEが 他 の方 言 で は二 重 母 音 化 して お り,そ れ は 資 料

の 中 に 見 ら れ る 。Oviedo-yeran (cast. eran=ERANT), ye (cast. y=ET);

Piasca-ie, ye (=ET). Castilla語 で はETが 二 通 りの扱 い を受 け る。 この語 が ア ク セ ン トを

持 つ とみ な され る場 合 は 二 重 母 音 化 して[je]と な り,更 にそ れ が縮 小 して[i]即 ちy

と な った。 又 無 ア ク セ ン トの 語 とみ な され る場 合 はeと して 残 り,現 在 では 後 続 語 の

語 頭 に[i]音 が 来 る場 合 に用 い られ てい る。

II. [we]<O

Origenesに よ れ ば 初 期 イ ス パ ニ ヤ 語 で は こ の 音 は 動 揺 し て お り,不 安 定 で,uo, ua, oa, ue, oe (uoe)等 種 々 の 綴 字 で 示 さ れ て い る 。 こ の 中 最 も 頻 度 の 多 い 物 はuo, ua, ue

で あ る が,Castillaで は 比 較 的 早 く か ら形 が 整 理 さ れ る 方 向 に 向 っ て い る 。 こ の 地 域 の

資 料 で はuaに 関 して は例 外 的 な一 例escuantra (=EX-CONTRA)が あ るの み で,

し か も これ は特 殊 な形 と して扱 わ れ てい るか ら,uaは 殆 ど存 在 し なか った と見 て よい 。

残 りの二 形 の 中 で はueの 方 がuoよ り多 く,次 第 にueに 統 一 され て行 く傾 向 に あ る。

(4)

尚,以 上 の例 は9世 紀―11世 紀 以 後 の物 が 挙 げ られ て い る。

(13世 紀)

Oviedo nuesoro (=NOSTER) [we] nueuo (=NOVUS)

bonos (=BONUS) [o] postos (=POSITUS)

Piasca buenos [we]

depus (=-POST)

Estella nuestros [we]

empues

bonos [o]

(20世 紀) 6地 点共 に[we].

資 料 が 少 い 為 か[wo], [wa]等 の 異 形 が 見 ら れ な い が,OviedoとEstellaで は 二 重

母 音 化 し て い ない 形 が 共 存 して い る。 一 般 に 鼻音 の前 のOは 二 重 母 音 化 しな い場 合 が

多 い と云 わ れ て い るが(Alonso Zamora Vicente: Dialectologia espanola, pag. 76).

postosの 例 もあ り,こ の 場 合 鼻 音 の存 在 が二 重母 音 化 を妨 げ た のか,或 は他 の原 因 に よ

る物 か は っ き り しな い。 む し ろ或 る種 の 使用 頻度 の 多 い語 は そ の語 形(綴 字 も音 も含 め て)が 容 易 に変 え られ ない ま ま,一 般 的 な変 化 か ら取 残 され る と考 え て は い け な い だ ろ

うか。 私 の眼 につ く所 で は,bonoと 云 う形 は か な り後 代 の資 料 に も多 い様 で あ る。

或 る 種 のyodの 前 のOはCastilla語 で は 二 重 母 音 化 し な い が,Leon及 びAragon 方 言 で は 二 重 母 音 化 す る 。Cast. ojo, leon. ant. guollo (=OCULUS); cast. hoja, arag.

ant. fuella (=FOLIUM).し か し こ こで扱 った資 料 に は見 当 らな い

(5)

III. [x]<CL, GL, LY

CL, GL, LYが[x]に 変 化 す る 過 程 に は 音 声 学 的 に 見 て 次 の 段 階 が 考 え ら れ る 。[ ?? ] →[j]→[3]又 は[d3]→[∫]→[x] . Origenesに よ れ ば10―11世 紀 頃 の こ の 音 の 状 態 は,最 も 変 化 を と げ たCastilla中 央 部 で は[3]又 は[d3]の 段 階 に 来 て お り Aragon, Navarra, Rioja, Leonで は[ ?? ]の 段 階 に あ りCastillaの 周 辺 部 と他 の 方 言 地 域 でCastillaに 隣 接 す る 所 で はCastilla語 の 影 響 を 受 け て[ ?? ]と[3], [d3]の 間 に 動 揺 が 見 ら れ る と云 う事 で あ る 。 綴 字 に つ い て 見 る と,Navarra-Aragonで はl, ll, lg, gl, llg, li, lig等 が 用 い ら れ て お り,こ れ 等 は 側 音 のlを 含 ん で い る 所 か ら[ ?? ]を 現 わ

し て い た と考 え ら れ る 。Riojaで は 同 じ くli, ll, ill等 が 用 い ら れ て お り,や は り[ ?? ] を 示 し て い る 。Castilla中 央 部 で は 多 くの 綴 字 が[3]乃 至[d3]を 示 し て い る 。g, gg, gi, ih, ij, jし か しlg, li, ll, lli等 の 綴 字 も ご く僅 か で は あ る が 用 い られ て い る 。Castilla の 周 辺 部 で は[ ?? ]を 示 すll, lli, liの 綴 字 群 と[3]又 は[d3]を 示 すy, i, jの 綴 字 群 と が 共 存 し て い る。Leonに 於 け る10-11世 紀 の 例 を 見 る と 、[ ?? ]を 示 す と思 わ れ る l, li, ll, lli, ill等 の 綴 字 の 外 にi, (西 ゴ ー ト文 字 の)gが あ り,M. Pidalは こ れ が[j] を 示 し て い た の か,或 は[3], [d3]を 示 し て い た の か 分 か ら な い と云 っ て い る。

(13世 紀)

Oviedo concello (=CONCILIUM) ll [ ?? ] mellores (=MELIOR)

semellar (=SIMILIARE)

Piasca conseyo y, i [j]? fiyos (=FILIUS) 或 は[3], [d3]か? fijos

Estella conceillo ill [ ?? ] muger (=MULIER) g [3], [d3]

(20世 紀)

(6)

405 [h] 406 [h] 432 [x] 600 [x]

Oviedoの[ ?? ]は 問 題 な い と し て,Piascaのi, yが 如 何 な る 音 を 現 わ し て い た で あ

ろ うか 。 少 くと も[ ?? ]で ない 事 は 確 か で あ る。 こ の 同 じ資 料 の 中 で ラテ ン語 のETか ら来 る接 続 詞 はie, je,ye等 で示 され て お り,こ の場 合 これ 等 の綴 字 の 前 半 は[j]音 を 現 わ して い る。 従 って上 記 のfiyo, fijoの 場 合 も一 応[j]音 を示 して い た と考 え られ る が,Castilla語 の 影 響 で す で に[3], [d3]に 変 化 し てい た か も知 れ な い。Estellaで は 元 々[y]の 段 階 に あ った所 へCastilla語 の影 響 を受 け て[3], [d3]が 入 り,こ の 二 形 が 共 存 して い た と考 え られ る。 Navarraに 於 け るCastilla語 の[3], [d3]音 の 滲 透 の 過 程 を他 の 文 書 か らた ど って 見 よ う。

Tudela?

1244 mesller ll

[ ??

]

mallolo (=MALLEOLUS)

Tudela

1253 fillo ll

[ ??

]

Estella

1269 conceillo

ill

[ ??

]

muger

g [3], [d3]

Peralta? 1363 moyllar (=MOLLIARE)

yll [ ??

]

Conceyllo conceio i, j [3], [d3] ffijo 所 属 地 不 明1365 conseillo ill [ ?? ] fijo j [3], [d3] Lumbier 1512 A conseyo y [3] , [d3] Lumbier 1512B consejo j [3] , [d3] 資 料 が限 られ て い るの で大 凡 の事 しか 云 え ない が,[ ?? ]は か な り遅 く迄[3] , [d3]と 共 存 して い た様 で あ る。

現 在 ではOviedo附 近 で[j]. Piasca附 近 で[h], Estella附 近 で は[x]と 多 様 を

(7)

極 め てい る。 早 くか ら[3], [d3]の 段 階 に達 しで い たCastilla及 び そ の影 響 を受 け た 地 方 で は,そ れ が更 に変 化 して,16世 紀 頃 に[x]と な り,今 日に到 って い る。Leonで は[j]の 段 階 か ら先 に 進 ま な か ったが,大 部 分 はCastilla語 の 影 響 を受 け て現 在[x] に な って い る。 IV. [ ?? ]<LL こ の音 はPortugal-Galicia語 で は[l]と な った が,イ ス パ ニ ヤ語 で は 先 ず[ ?? ]と な り,後 には 地 域 に よ って 更 に[j]と な る所 が あ る。 これ が所 謂 イエ イス モ で あ る。 綴 字 は ラ テ ン語 の 形 をそ の まま使 ったllが 一般 で あ る。 (13世 紀)

Oviedo villa (=VILLA) ll [ ?? ] seello (=SIGILLUM)

Piasca qulla (=-ILLA) ll [ ?? ] Estella sieillo (=SIGILLUM) ill [ ?? ]

aqueillos (20世 紀) 310 [ ?? ] 317 [ ?? ] 405 [ ?? ] 406 [j] 432 [ ?? ] 600 [ ?? ] 各 地 共13世 紀 に は[ ?? ]で あ り,現 在 で は 大 部 分 が[ ?? ], 406の みが[j]に な っ てい る。 こ の北 部 の イ エ ィ ス タ の地 域 は ご く僅 か の 部分 に限 られ て お り,半 島南 部 の 様 に広 が りを持 って い な い。 V. [n]<NY, GN CL, GL, LYの 場 合 と異 り,NY, GNはNを 口蓋 化 した段 階 で今 日に到 って い る。

(8)

珍 し く な い 様 で,M. PidalはOrigenes (§4, 7)で[n]の 綴 字 に 関 し て,La grafia simplificada n es tambien muy usada.と 云 っ て い る。

(13世 紀)

Oviedo Sennor (=SENIOR)

nn [n]

Piasca

senorio

n [n]

companero

Estella

empeinnadas (<penos=PIGNUS)

inn [n]

empeynnar

ynn

Campayna

yn

(20世 紀) 6地 点共 に[n]. この 音 は初 期 イ スパ ニ ヤ語 か ら今 日に到 る迄 変 化 して い な い。 VI. [n]<NN, MN Portugal-Galicia及 びLeonの 一 部 で は この 音 は[n]に な る。 そ の他 の地 域 で は[n] に な って 今 日に到 って い る。 綴 字 は 最 も多 いnnの 外 にn, ynn等 が用 い られ て い る。 (13世 紀)

Oviedo desenganno (=lat. vg.*-INGANNARE)

nn [n]

anno (=ANNUS)

anos

n [n]

Piasca

anno

nn [n]

Estella

peynna (=PINNA)

ynn [n]

(20世 紀) 6地 点 共[n]. 8

(9)

現 在 の[n]の 地 域 は 西 に 拡 大 し,Leon, Galicia東 部 も こ の 範 囲 内 に 含 ま れ て い る。 [n]の 地 域 はPortugalとGalicia西 部 及 びHuesca州 の 一 部 で,半 島 の 残 り の 部 分 は す べ て[n]の 地 域 に な っ て い る 。

VII. [t∫]<CT, ULT

Origenesに よれ ば,Castilla中 央 部 で は個 有 名 詞 に[it]の 形 が 保 存 され て い る外 は

す で に11世 紀 に[t∫]に な って い る。 最 初 この 音 はg, gg等 の綴 字 で 記 され たが,12世

紀 の後 半 に はchが 一 般 化 す る。 しか し13世 紀 の初 で もi, ih, ich, jch等 の綴 字(い ず

れ も[t∫]を 現 わ す)が 残 され,chと 並 ん で用 い られ て い る。Castillaの 周 辺 部 では

[it]が 僅 か な が ら残 り,13世 紀 の 初 に於 て も,圧 倒 的 に多 い[t∫]と 共 に[it]の 形 が

見 られ る。Aragonで は10-11世 紀 の 文 書 が[it],或 は[t]の 形 を示 し てい る。Navarra

で は最 初 や は り[it]が 用 い られ て い た が,Castilla語 の 影 響 で や が て[t∫]に 置 き換 え られ る。Leonの 東 部 で は10-11世 紀 に[t∫]が 現 わ れ て い る。 中 央 部 で は最 初[it] の 形 を取 ってい るが,12世 紀 頃 か ら[t∫]が 現 われ 始 め る。M. Pidalは13世 紀 のLeon 中央 部 の文 書 に綴 字ychが 現 れ る と云 う事 は,[kt]か ら[t∫]へ の変 化 が この地 域 で 独 自 に起 って い た事 を示 す 証 拠 だ と考 え て い る。 と云 うの はychと 云 う綴 字 は(そ の 文 書 で は)こ の音 韻 変 化 の途 中 の状 態 を示 す 物 で,Castillaで は この時 期 に完 全 に[t∫] に変 化 して い た か ら,こ の[it∫]がCastillaか ら輸 入 され た物 とは考 え られ ない。10 -11世 紀 に見 られ る[it]の 形 は主 と し てGaliciaの 影 響 に よ る古 語主 義 に基 く物 と考

え られ る。Leon西 部 では 現 在[it]の 形 を 保 って い る。 尚Leonで は[t∫]を 現 わ す

為 にg, ch, etc.の 外 にccと 云 う綴 字 も用 い られ て い る。

(13世 紀)

Oviedo dichos (=DICTUS) ch [t∫] derechos (=DIRECTUS)

Piasca fecha (=FACTUS) ch [t∫] dicho

(10)

sobreditas* (i) t feycto yct fecho ch [t∫] *語 源 的 に はsobrediitasと な るは ず で あ るが,同 音(-ii-)が 重 な る時 は これ を縮 小 す るの が 普 通 で あ る。 (20世 紀) 6地 点 共[t∫]

Oviedo, Piascaで は13世 紀 に[t∫]で あ り,今 日 迄 変 っ て い な い 。Estellaで はNavarra 本 来 の[it]と 云 う 形 が あ っ た 所 へCastillaか ら[t∫]が 入 っ て 来 て 共 存 の 状 態 に あ る 。

Castilla音 の[t∫]が 如 何 に し てNavarraに 滲 透 し て 行 った か を 後 代 の 文 書 か ら うか が う事 が 出 来 る 。

Estella 1234 feycto yct [it]

Estella 1238 dreitos it [it]

sobreditas (i) t

fecho ch [t∫]

Tudela? 1244 deuandito (i) t [it]

dita, ditos

leyt (cast. leche) yt

Tudela 1253 feyta yt [it]

dicho ch [t∫]

Estella 1269 dicho ch [t∫]

Oteiza 1276 dreito it [it]

feita

dita (i) t [it]

susodicha ch [t∫]

(11)

sobredichas Pamplona 1361 dicho ch [t∫] muchos noche Prealta? 1363 ffecho ch [t∫] muchas dicha contradicho 所 属 地 不 明1365 dicha ch [t∫] mucho* drecho fecho Lumbier 1512 A dicho ch [t∫] 同 1512 B dicha *同 じ 文 書 の 中 で 副 詞 のmuyはmuytと 云 う形 を 取 っ て い る。 これ に よ る と13世 紀 迄 は[it]が 残 され てい るが,14世 紀 以 後 は 専 ら[t∫]が 用 い ら れ てい る様 で あ る。 以 上 の比 較 結 果 を表 に ま とめ る と次 の様 に な る。

(12)

13世 紀 に 関 して云 えば,三 地域 の 中 でPiascaがCastilla中 央 部 の 傾 向 に最 も近 く, 形 の 上 の 動揺 も少 い。Oviedo, Estellaは 周 辺 に あ る為,そ の 地 域 個 有 の 音 韻 変 化 の 上 にCastilla語 の 滲透 が あ り,丁 度 この 世紀 は そ の過 渡 的 な状 態 を示 して お り,各 音 に つ い て幾 つ か の異 形 が 共 存 して い る場 合 が 多 い。 現 在 の方 言 状態 につ い て見 る と,こ れ 等三 地 域 の間 に,(少 くと も上 で 比 較 を 行 った 現 象 に関 す る限 り)殆 ど全 く差 異 が ない。 然 る に これ 等 三 地 域 は 方 言 学 上 は 常 に異 った 区 画 に入 れ られ て い る。 イス パ ニヤ 語 の 方 言区 画 は歴 史 的 な事 情 に大 き な比 重 を置 い て 立 て られ た為 に,現 在 の方 言 状 態 か らす れ ば現 象 に よ っては 殆 ど意 味 の な い区 画 を な し て い る事 が あ る。 も う少 し現 代 語 か ら見 た 方 言区 画 を立 て る事 が必 要 で は なか ろ うか 。 ALPIで は方 言 区 画 で は な い が言 語 区 画 な る物 を規定 して,イ ベ リヤ 半 島 をportugues ,

castellano, catalaの 三 地 域 に区 切 って い る。portuguesとcastellanoの 境 界 線 はNavia

川 の 川 口 よ り少 し東 の地 点 か ら直 線 的 に 南 下 して,国 境 の町Hermisendeよ り少 し東

の 所 で ス ペ イ ン ― ポ ル トガル の 国 境線 と交 わ り,ポ ル ト ガ ル の北 東 部 を一 部 削 って

Villarino de los Aires附 近 に達 し,後 は大 体 両 国 々境 と同 じ線 を をた ど って 南 部 海 岸

に 出 て い る。 こ の境 界 線 は 言 語 学 的 に見 て 合理 的 で あ り,単 母 音[e], [o]と 二 重 母

(13)

線 で あ る と同 時 に,多 少 出 入 りは あ る が,「 昨 日」 を意 味 す る語ontemとayer等 或 る

種 の 語彙 の 境界 線 と もな って い る。castellanoとcatalaに も明確 な境 界 線 が あ る。 勿

論 方 言 に関 し ては 個 々の 言 語 現 象 の 境 界線 が互 に完 全 に 一致 す る事 は少 い の で,そ れ 等 を抽 象す る場 合 に色 々 の問 題 が 起 り得 る事 が予 想 され るが,そ れ で も尚 この 様 な現 代 語 に よ る区 画 を イ ス パ ニ ヤ語 内部 の 方 言 に つ い て も立 て よ う とす る試 みが な され て然 るべ

きだ と思 う。 伝 統 的 な呼 び名 と な って い るLeon方 言,Castilla方 言,Aragon方 言 等

に関 し て,各 方 言 の特 質 は 何 か,何 故 そ の 方言 が1個 と して立 て られ なけ れ ば な らな い

のか と云 う問 題 が,イ スパ ニ ヤ方 言 学 で は 明確 に され て い な い様 に思 う。

(京 都 外 国語 大 学)

〔X〕<CL, GL, LYの 分 布(20世 紀)

BIBLIOGRAFIA

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Antologia historica.

Madrid, 1960.

RFE---Anejo

LXXIII.

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参照

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