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景観保全と廃屋対策

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Academic year: 2021

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(1)景観保全と廃屋対策. 北村喜宣. 1.景観法政策と積極的景観形成  (1)良好な景観の創出.  2004年に制定された景観法は,自治体景観法政策にとって,強い「追い瓜」 となった1}。景観法のもとで景観行政団体となる自治体は,同法を踏まえつつ. も独自の工夫を加えた景観条例を制定しているL,景観行政団体にはならない 道を選んだ自治体も,独自政策条例にもとついた施策を展開している。従来は,. 「平たく言えば勧告どまり」mといわれていた自治体景観法政策が大きく変 容しようとしている:1)。.  一般に,景観行政においては.それまでに形成されている景観を保全するこ とにその重点が置かれてきた。しかし,景観法は,「良好な景観の形1党は,現 にある良好な景観を保全することのみならず,新たなに良好な景観を創出する ことを含むものである」(2条4項)と規定しているように,「守り」だけでな く「攻め」をも施策内容とすることを宣明している。「景観法の施行に伴う関. 係法律の整備等に関する法律」の制定により屋外広告物法が一部改正され,簡. 易除却対象物件が追加されたのは,象徴的な対応である㌔良好な景観を,景 55.

(2) 横浜国際経済法学第17巻第3号(2009年3月). 観形成に支障がある物件を積極的に排除することによっても実現しようという 認識をしている点に,景観法の基本的発想の特徴がある。.  (2)景観支障物件と廃屋.  地域が実現を目指そうとしている景観状態に支障を及ぼす物件は多様であ る。中心市街地の「シャッター通り」の空き店舗に落書きがされている情景は まさにそうであるし,温泉街の旅館やリゾート地のペンションが営業を停止し たまま適切な管理がされずに老朽化しているような情景もそうであろう。景観 法や景観条例の制定によって,景観に対する社会の関心はますます高まること が予想されるから,地域住民の考える「良好な景観」を阻害する物件の数は, 相対的に増加するように思われる5)。今後の経済状況次第では,そのスピード は一層速まるかもしれない。.  ところで,長野県は、基幹産業のひとつである観光産業の活性化と魅力ある 観光まちづくりを推進するため,2008年2月に,『「観光立県長野」再興計画』. を策定し,観光地の景観保全と育成のための施策を「信州の美しい景観創造プ ロジェクト」として位置づけていた。観光地における景観の管理が,主要行政 課題として意識されていたのである。そうしたなか,諏訪市や白馬村など観光 を主要産業とする自治体において,景観形成に支障を及ぼす廃屋の存在が問題 視され,強制的除去を含めた対応が模索されるようになっていた。廃屋は,本 来は所有者等の負担において対応すべきものであるが,それがされないために. 地域問題化しているのである。そこで,長野県庁は,2008年7月に、前出の2 市村の職員を含めて「長野県観光地景観対策研究会」を組織し,対応のあり方 を検討した。筆者は,同研究会メンバーとして議論に参画する機会を得た。そ の成果は,長野県観光地景観対策研究会『長野県の観光地における廃屋対策の 検討について』(2009年1月)(以下,『長野県報告書』として引用)として公 表されている。.  廃屋とは何か,対応の主体はどこか,現行法による対応は可能か,条例によ 56.

(3)                            坑概保全と廃屋対策. る対応は可能か,県の事務か市町村の事務か,両者の役割分担はどうするか、 その理論的根拠は何か。論点は多く,短期間の検討では十分な結論を得ること はできなかったが,この研究会での議論を通じて,今後の景観法政策において 考えられるべき課題が多く認識された。筆者も,未だ検討の試行錯誤中である。. 本稿では.『長野県報告書』を参照しつつ,条例により廃屋対策を進める際の. 法律問題について,簡単なコメントをする%.  私が横浜国立大学に在職していた12年問.久留島隆先生,三邊夏雄先生,森川俊孝先. 生は,世間知らずの若造の生意気な議論に随分辛抱強くおつきあい下さったと思う。振 り返っても楽しいことばかりが想い出されるこの期間である。しかし,それは先生方に ご迷惑をおかけしていた裏返しだったのかもしれないと,今頃になって気づく情けなさ である。そのことを思うといささか厚かましいのではあるが,ご退職後も変わらぬご教 鱒をお願いしたく,節目のひとつをお祝いする次第である。ご退職記念号に寄稿できる ことの喜びを感じている。. 2.廃屋を考える視点  「廃屋」とは,法令用語ではない。それが存する環境によって認識は異なる であろうが,『長野県報告書』では,「居住又は利用されていない建築物で・通. 常の方法では利用できない建築物」とされている。これは,景観管理の観点か らの把握ではない。本稿では,景観との関係を考えてT「種々の理由により・ 管理がされずに居住者や利用者のないまま長期間放置され,建築物の機能が損 なわれて,景観上の支障を発生させているもの」を「廃屋」と考えることに.し たい7〕。景観上の外部性を発生させる点で「ゴミ屋敷」と1呼ばれるものと共通. するが,居住者がいない点と建築物の機能を喪失している点で異なっている。. ①管理の欠如,②居住者の不在,③長期間の放置,④建築物の機能の喪失,⑤ 景観上の支障の発生,という諸点が「廃屋」の特徴といえよう。①∼④は客観                                   57.

(4)  横謬可i目際経済湛…学第工7巻第3号 (20091■f−3月). 的に認定することができようが,⑤の認定には主観性が伴う。.  『長野県報告書』で紹介された白馬村の調査によればt同村における廃屋と それが撤去されない理由は,[表1]のようになっている。これは,同村に40 件近くある廃屋の一部についての調査結果である。撤去の意思があっても関係 者の合意形成ができないことや費用の調達ができないことが理由となっている 場合が多いようである。. [表1]白馬村の廃屋状況 従前の 1. 2. 撤去されない理由     ’. p1途 住   宅 飲 食 店. 刀@住’宅. 3. 住   宅. 4. 店   舗. 5. 宿泊施設. 6. 飲 食 店. 7. 店   舗. 呂. ホ テ ル. 9. 澁  館. 所有者とは連絡を取っているが、撤去費用が出せないとの理由で放置状態。 所有者とは行政区が連絡等を行っているが,撤去費用が出せないとの理由 ナ放置状態。. 隣接所有者が購入する話をしても所有者が頑なに拒んでおり.撤去につい トも拒否している。. 所有者が行方不明。第1抵当権者と競売に向けた話し合いをしたが,費用 ハを理由に応じない。賃借描設定者が存在。 所有者とは手紙等の辿絡等を行っているが撒去費用が出せないとの理由 ナ放置状態。. 建物所有者は行方不明。土地所有者と撤去の協瀧をするも係りたくないと フ理由で拒否。 建物所有者は行方不明。土地所有者と撤去の協議をするも係りたくないと フ理由で拒否。 第1抵当権者の金融機凹と話をしているが,競売にかけても金額が折り合 墲ネいとの理由で放置状態。 所有者は撤去の費用が出せず,土地と一緒に村に寄付の申入れをしたが村 ヘ財政難から受納拒否。. [田典〕白馬村「平成17年度廃屋状況開査(平成19年度修正〕」から抜粋.  廃屋の問題点については,景観阻害以外にも,次のような点がありうる。す なわち,犯罪の場所になりうること,隣地や道路に建築部材が崩落しうること,. ごみの不法投棄を助長する可能性があること,放火による火災の危険性がある こと.である。このように,多様な問題点がある廃屋であるが,これに関して 何らかの行政法的仕組みを考える場合には,何を保:護法益とするのかを確定す る必要がある。これは,制度設計の最初に確認されるべき重要な点である。. 58.

(5) 景観保全と廃屋対策. 3.対応の方向性  廃屋を解体撤去する権原は所有者にあるが,対応にあたっては,意思と資力 が問題になる。意思がある場合もあればない場合もあり,意思があっても資金 がない場合もある。.  解体撒去の意思があi7その資力もある場合(ある・ある型)には,問題はない。. 景観行政としては,行政指導で自主対応を促すことにより目的を達成できるだ ろう。意思はあるが資力がない場合(ある・ない型)には,行政が所有者の合 意を得て,公共事業として解体撤去をすることが検討される(公共事業型)。「あ. る・ない型」に対しては,事業主体は行政ではなく,当該所有者に補助金を支 給して自主的に解体撤去をしてもらう方法もある(補助金型r)。問題は.資力 のいかんを問わず.所有者に解体撤去の意思がない場合(ない・ある型,ない・. ない型)である。こうした場合には,法律や条例にもとついて行政が強制的に 解体除去をすることなる(公権力型)。以上を整理すると,[表2]のようになる。. 以下では,保護法益についても意識しつつ,それぞれのタイプとして現実に制 度化されている働をみることにする。. [表2]廃屋所有者の事情と対応の方向. 廃屋撤去等の意思あ  る. な い(所在不明含む。) 資力. ある.  行政処分等による撤去等. ない. i代執行費用は所有者等に詰求). 任意の撤去等 経済的支捉による撤去等. [出典]長野据観光地景競対黄研究会ぎ長野県の観光地における廃屋対策の検討について』(2009年1月). 4.3つのタイプと制度化の実例  1公共事業型  嫌観法のもとで国土交遜省都市・弛域整備局が所管する制度として,景競翼. 成総合支援事業がある。これは」蓋観重要建造物の修理・買取嚥や誘藷重翼 璽.

(6) 横浜国際経済法学第17巻第3号口009年3月). 樹木の故損・倒伏防止措置等という必須事業と併せて実施する選択事業のなか で行われる。補助を受け事業を実施するのは,景観行政団体である市町村であ. り,補助率は3分の1である。景観阻害要因を解消するために,廃屋の除却も 可能とされている。およそ一般的にというわけではないが,また,公共事業型 ではあるが,景観法のもとで,「廃屋の除却」という行為が認知されている点 は注目される。.  景観管理に特化したものではないが,国土交通省の制度としては,「まちづ くり交付金」もあるs)。道路,公園,下水道など市町村のまちつくIJにとって. 重要な施設等の整備をする基幹事業とともに実施される提案事業(社会実験, まちづくり活動など市町村の提案にもとつく事業)のなかで、既存建物の除去 事業が可能になる。2006年度には,火災で全焼した旅館の解体撤去(福1島市),. そしてT倒産して廃撞化していたホテルの解体撒去(茨城県大子町)に用いら れた例がある。.  これらはT自治体の事業として行われるものであるが.当然のことながら, その前提には,解体撒去に閤する関係者の合意がある。何らかの形で土地収用 事業などに含まれれば別であるが,そうでないかぎり,いかにその存在が景観 管理上支障を発生させていても,合意がなければ動かない仕組みであるe).「あ. る・ない型」の場合にのみ適用可能なものであり、この点は.次にみる欝助金 型も同様である。.  2補勘金型  (a>綴島県釘うつくしま景観形成:補助金」.  福島県は,2000年から「うつくしま霧観形成補助金」を撰度藷している。 この剥度は,景観条例(1998年翻衰…)のもとで指定され売量纏形戒童点地蟻 拘において,景観形成に著しく支障があると認める麗存施設等の薩妻等に対し て離助をするものである。現在に至るまで,補助藁績はないが.麺設の所宥書 または管理者の申請にもとづき,事業費1θ0万円暴上の事薬に対して、量口呈 Gfi.

(7) 景観保全と廃屋対策. 分の1以内の補助をする(上限250万円)。.  申請者は,施設について権原を有する者であるeすなわち,景観管理の観点 からは当該施設の状態が不適切だと自分でも思うが,さりとて除去をする費用 もないという場合に適用できる制度となっている。.  (b)ニセコ町廃屋撤去促進事業補助金.  北海道のニセコ町はT沿道景観保全の観点から廃屋撒去を進めるため,「ニ. セコ町廃屋撒去促進事業補助要綱」を制定し,2002年度から「廃屋撤去促進 事業補助金」を制度化している。補助対象は,概ね5年以上放置され,所有者 に撒去することができない事情があると思料される物件で,権利関係の調整が 終了しているものである。.  補助金の申請は,「廃屋を撤去及び適正処理する事業を実施する個人又は団 体」とされている。補助対象経費の3分の1以内が補助される(上限20万円)。 2002年度に1件の補助実績があるが,その後は利用されていない。.  (c)長野県地域景観整備事業補助金.  長野県も、地域景観整備事業補助金制度を持っている。県の景観条例(2005 年制定)にもとついて指定された景観形成重点地域および景観育成特定地区に おいて,市1町村が修景に資するための補助に要する経費を県が補助する仕組み. である。修景の内容としては、屋外広告物の除却・改善,物品集積地の修景 その他修景に資する事業とされており,廃屋の撤去も含むという運用である。.  補助は,市町村に対して行われる。補助率は,補助対象経費の2分の1以内 (事業費の3分の1以内)である(40万円程度)。2007年度と2008年度,いず れも白馬村に対して,合計5件の補助がされている。. (d)自馬村廃屋対策事業補助金. 白馬村は,2006年に,「白馬村廃屋対策事業描助金交付要綱」を制定し,廃 61.

(8)  横i兵国際粘…済法学第コ.7巻第3号 (2009’‘f’3月). 屋の解体除却を直接の目的とする補助制度を実施している。これは,地元行政 区が実施する廃屋解体撒去事業に要する経費の一部を補助するものである。白. 馬村第4次総合計画には,廃屋問題への言及もある。廃屋対策は,村全体とし て重要な政策課題と考えられているようである。.  補助対象となるのは,「明らかに居住又は利用されていない家屋等で,屋根 及び壁などの主要な部分が崩れるなど,通常の居住の用に耐えられず.崩壊等 の危険にさらされており,景観上及び周辺環境に悪影響を及ほす恐れのある建 築物」である。具体的には,「国道,県道又は1・2級村道に敷地が接している,. 若しくは観光施設等から視野の範囲に入るもの」「近隣の家屋等に直接被害が 及ぶことが想定されると村長が特に認めたもの」となっている。「廃屋」につ いての定義例といえる。.  補助は,行政区の区長に対してされる点が特徴的である。補助額は,延面積. 20⑪平方メートル未満は上限が20万円,200平方メートル以上500平方メート. ル以下は上限が50万円である。2006年には2件,2⑪07年には3件の実績があ る。補助金交付条件として,解体後3年間は家屋などの建設は原則としてで きないとされている。なされた場合には,補助金返還を請求することになるの だろうか。.  (e)豊島区老朽建築物安全対策資金貸付.  東京都の豊島区は,2006年に「豊島区老朽建築物のための安金対策資金貸 付要綱」を制定している。これは,良好な住環境の形成に資することを目的に,. 補助金ではなく資金を無利子で貸し付けることによって老朽建築物の安全性を 擁保しようというものである。.  対象となる老朽建築物とは、’「耐用年限(減価償却資産の耐用年数等に関す. る省令(昭和聾年大蔵省命藷615号)別表第一に定める耐用年数をいう。)の. 3分の2を経遜している延築物又は災害その他の理由によりこれと同程度の機 麓の抵下を生じている建繋物のうち、建築基準法第1⑪条第3項により保安上 望.

(9)                            景観保全と廃屋対策. 又は衛生上必要な措置をとることを命じられ,かつ周囲の住環境を著しく低下 させるものとして区長が認める建築物」である。これは,次にみる公権力型の 措置のスムーズな履行をサポートする機能を持つ制度である。. 3 公権力型  公共事業型にせよ補助金型にせよ,あくまで廃屋に係る権利者の同意が基本 になる。「同意しない自由」「補助金をもらわない自由」はあるから,たとえ除. 却が相当だと考えられる廃屋であっても,所有者の意思に反して除却すること ができないのはいうまでもない。また,相手方が同意したとしても、当該物件 に抵当権などが付されていた場合には,権利関係の調整を要する。.  一方,除却命令と行政代執行による公権力型であれば,私法上の権利関係状 況のいかんにかかわらず,あるいは、所有者の意思や資力のいかんにかかわら ず(「ある・ない型」「ない・ある型」「ない・ない型」のいずれであっても),. 公益実現のための対応をすることができる1・)。現行法には,どのような制度例. があるのだろうか。それは,廃屋の解体除却に利用できるだろうか。.  (a)建築基準法. 廃屋といえども建築物であり.建築物である以上,建築基準法の関心事とな る。同法10条は,「保安上危険な建築物等に対する措置」を規定している。「特. 定行政庁は,……建築物……について,損傷,腐食その他劣化が進み・そのま ま放置すれば著しく保安上危険となり,又は著しく衛生上有害となるおそれが あると認める場合においては,・…・・除却……その他保安上又は衛生上必要な措. 置をとることを勧告することができる。」(1項)と規定する。勧告に従わない 者に対しては措置命令も可能であり(2∼3項),命令が履行されない場合には・. それのみを要件にして行政代執行をすることができる(4項)1%これは・行 政代執行法との関係で特別法的なものであり,同法2条が規定する「〔命令の〕.                                  63.

(10) ‡∬〔i鯛際経箭法学第1措第3‘ev(2009年3月). 不履行轍置すること欄し松益に反すると認められるとき」とい違件は 不要になっている。.  ただ、建築基準法10条は,同法3条2項にいういわゆる既存不適格物件を. 糠とするものである.縫が醜不適‡酬件のこともあろうがその場合「著 しく保安上危険」という要件を充足しなければならない。たしかに,道路に崩. 落しそうな醒もあるが、すべてではな・…また廃屋の酬点は掴辺職 に対して景観上の外部性を与えていることにあるが,そもそも建築基準法は,. 鍋の保全を保護麟としてい6t・けではない・以上のことから・建築基準法 10条は,廃屋対策には利用できないように思われる。.  (b)景観法.  良好な景観の形成を正面から目的とする景観法はどうだろうか。景観計画制. 度や景観姻順は,−」S本的1:eま,建築物や工作物の麟や外糎更など・何 らかの作為がされる際に審査をする仕組みであるが,何もしないという不作為 が景観形成に外部性を与える場合への手当ても規定している。. 景鰍7・継景観駆内にお・・て.形鯖匠に関する酬地区の都肩『計 画との関係で既存不適格となる建築物に対する措置を規定している。すなわち.. そうした建築物であっても,現状の形態意匠が景観地区における良好な景観の 形成に著しく支障があると認められる場合には,市町村長は,当該市町村議会. の同意を得て,景観駆者肺計剛こ規定される形鰭匠制限に齢させるため の措置命令を発することができるのである(1項)。この場合・通常生ずべき 損害を時価により補償することが市町村に義務づけられている(2項)12)e.  命令の内容は,景観地区の都市計画の内容による。政府の運用指針によれば,. たとえば、建築物の形態意匠の制限として,「建築物の外観について破損や腐 食を放置しないこと」という内容が定められていれば,破損の修繕や壁の塗り 替えなどの命令も考えられるとしている1帥。当該物件に居住者がいるかどうか は関係ない]e。行政代執行法の対象となる代替的作為義務であるかどうかは問  64.

(11)                            景観保全と廃屋対策. 題になるが,方法が限定されるような場合には,代執行対象命令となるだろう。. なお,運用指針が廃屋の解体除却までを同条の射程に含めていると解している かどうかは,必ずしも明らかではない。おそらく,排除はしていないが,総合 判断の上で,修復よりも解体除却が適切と考えられる限界的事例においてはじ めて可能になるのだろう。.  (c)鳥取県景観形成条例.  景観上の支障に着目して廃屋を解体除去する仕組みを規定する条例として,. 鳥取県景観形成条例(2007年)がある。同条例は,県内の景観行政団体たる 市町村(具体的には,倉吉市,鳥取市,米子市)以外に適用される。.  鳥取県条例に特徴的なのは,「景観支障物件に対する措置」という5か条か らなる独立の章を設けていることである。「景観支障物件jとは,「1年以上に わたって特定の目的に使用されず,かつ,適切に管理されなかったことにより.. 地域の景観形成及び生活環境の保全に支障を生じさせるに至った次の各号のい ずれかの物件」とされ,具体的には,「建築物等」「土地」「屋外に堆積された物件」. が例示されている(21条1項ユ∼3号)。建築物等に関しては,本稿が議論す る「廃屋」にほぼ相当するといえる。.  対応方法も特徴的である。最終的には,知事が支障除去措置命令を出すよう になっているのであるが(23条),その前提として,当該物件所在地市町村長 と県景観審議会の意見聴取を踏まえて勧告がされる。適常の制度設計であれば、. 知事の職権で勧告がされることになるだろう。ところが,鳥取県条例のもとで. は,周辺住民等の総数の3分の2以上による申立てを受けてはじめてできるよ うになっているのである(21条2項,22条)。「周辺住民等」とは,「当該景観. 支障物件から規則で定める距離以内の区域に居住し,土地の所有権若しくは建 物の所有を目的とする対抗要件を備えた地上権若しくは土地の賃借権……を有. しt又は事務所若しくは事業所を有する者」とされている(21条1項)。該当 物件のどこから測定するのかは不明であるが,距離は75メートルとされてい                                  65.

(12) 枇浜国際経済法学第17巻第3号(2009年3月). る(施行規則13条)。勧告を受けてどのような対応をするのかは知事の裁量で あるものの,住民の行動をトリガーとする点で興味深い。住民は,様々な理由 で申立てをする可能性があるが,どのような塞準で知事が勧告権限の行使をす るかについては,「必要があると認めるとき」とあるだけで,必ずしも明らか ではないeなお,この制度が実際に適用された事例はない。.  (d)ニセコ町景観条例.  ニセコ町景観条例(2004年制定)にも,公権力型の対応が規定されている。 同条例のもとでは,町長は,土地が管理不良状態になって景観づくりが阻害さ れていると認められる場合には,管理に関する指導・勧告をすることができる (48∼49条)。その勧告が従われない場合,「町長は,……期限を定めて,繁. 茂した章木廃屋,資材,土砂,瓦礫,廃材及び機能の一部を失った自動車等 を除去することを命令することができる」(51条)。「管理不良状態」とは,「人. が使用せず,又は景観づくりに配慮した適切な管理を行っていないことにより,. 景観づくりに支障をきたすおそれがあると認められる土地の状態で,規則に定 めるものをいう」(2条8号)とされている。規則においては、「放置され荒廃. している建物及び付属施設が存する状態」(4条2号)を含む4つの場合が列 挙されている。.  51条命令が履行されない場合において,「他の手段によってその履行を確保 することが困難であll ,かつ,その履行を放置することが著しく公益に反する. と認められるときは,行政代執行法(昭和23年法律第43号)の定めるところ により,自ら当該土地に繁茂した草木.廃屋,資材,土砂,瓦礫i,廃材及び機. 能の一部を喪失した自動車等を除去し,又は第三者にこれを行なわせ,その費 用を当該土地の所有者等から徴収することができる」(52条)。代替的作為義 務である除去命令の不履行に対して行政代執行ができるという趣旨のようであ る。行政代執行法の適用があることを確認した規定である。ニセコ町は,景観 行政団体であるが,良好な景観形成を進めようという強い意思をみることがで 66.

(13) 景観保全と廃厘…対策. きる。なお,この制度が用いられた実績はない。. 5.条例による対応の論点  (1)自治体の事務としての法制度化.  公共事業型と補助金型の場合には,事業の実施にあたって,あくまでも相手 方の同意が必要である点に限堺がある。任意的撤去を実現する努力はされるべ きであるが,廃屋を取り巻く状況との関係では,公権力型による対応の可能性 も検討する必要がある。現に,鳥取県やニセコ町においては,景観管理の観点 から,公権力型を制度化した条例が制定されていた。以下では,網羅的ではな いが,それらの例も参照しながら,廃屋対策条例を制度設計するにあたっての、 いくつかの論点を検討してみよう。.  (2)目的.  本稿では,廃屋対策を議論しているが条例それ自体の目的は・より広い射 程を持つものである。条例には,良好な景観形成のための種々の取組みが規定 されるのであり,そのなかのいわば限界的場合が廃屋対策なのである。廃屋対 策だけのために条例を制定するわけではない。この点は,改めて確認しておき たい。.  目的については,「良好な景観の保全と形成」というように単一型にするか・. あるいは,「住民の安全や青少年の健全育成」をも含める複合型にするかの選. 択がある。鳥取県条例は,「美しく風格のある県土の形嵐潤いのある豊かな 生活環境の創造及び個性的で活力のある地域社会の実現」(1条)を目的にし ている。ややわかりにくいが,単一型と整理してよいように思われる。ニセコ 町条例は,「1町民一人ひとりがニセコらしい景観を守り.つくり・育て・快適. で潤いのあるふるさとの形成に資する」(1条)ことを目的にしている。これ も単一型であろう。補助金型の諸制度も,単一型である・.                                   67.

(14) 議潟藁祭謹議蓑学藁x?巻簗3晋ξ2目啓9年3暮き.  こ義慧選i毅毒霧題で毒るe嚢羅がミ暴こ発生させていると認識されている欝遜 を孝え義戴:縷昔璽{こすることも十塞こあ穆うる口ただ、廃崖の認定麹業を考. え譲美攣一一璽砕毒寮蕃箪をつく籍やすく.適摺にあたっても判薮しやすいの で1一ま登㌔、だろう毒㌔.  嚢慧に対Lて量テi聲譜導で殼慈Lている革1瞬鍔テ政担当…養繧.景霧のみを繋護 法益とLてiま藪姦者穆説轟が難しe}と惑じているようである。たILrS’1‘:.萎致. 叢導であれiま莚嚢誇安全蓑に支麩があるというような理麹が必要であろう葺 しかしi曇擢力璽で轟残する擾金{こ韓,そう{ゴた事情をそ謹まどにiま考憲する 選要{まない迅.  (3き禦と毒翼ぎ聾鐵湊鍾.  嚢藁翼鍵へ母糞惑仁奏諺る霧と毒1瞬廓霧逡欝葦塾轄い顯こあるべき菱ろう 違㌔焉簸で轟禦条鍵こ孟i鐘†慈さ註ている艶慧隷毒くまで曇鍵孝テ薮鑓韓と1. て硲立饗で…鍵.麓鍵}霧嚢璽霧婁たる3毒を逮㌶蒙聾1てklる芭こ書蓑で. 選醤聾τ慧=霧霧季聾饗慧と韓参L嚢なうているゴー婁、建轟逮こお』て轟,. 北毒叢禁籍嚢霧鐙裏戴童聾登蒙嚢諺藁襲を鐙書す毒嚢議こ譲する蓑誓と1 てi籍事撃>i鑑餐要譲嚢嚢を嚢蒙Lて摯る登こOP条鍵ま.二撒=鐙鐙こ糞もても 遥鶏され土もかL、轟嚢麹ま蒙鍾責蒙籔妻で毒毒毒霧聾《鍵}嚢嚢を藁墨毒一る嚢 竃を議【ナてい轟こ≧妻ら譲秦}.婁嚢き織ま.二・をコ璽套i…灘毒遷糞さ義ミi}こ≧. に姦量う。いずま醤こせ喜.圭霧茎つ{摯嚢塞仁婁恒て慧.翼と擢璽委霞≧ぎち毒妻. 蓼暴鍾責踵麹簿書書詩癒す毒こと垂こ蓑rコて註奪.藝毒妻璽慧麩で奮霧Lて璽塞す 養ように{ま嚢肇てい藁㌔、殊.  義し熱:,闇璽蓬籔糞纏二毒詑亨て慧.婁蓼聾誓嚢璽撃璽嚢書塾τ寧纂騰 黍義、璽憂…建裏ポ詩・葵{こ」蓼塞も.そ謬霧璽も尋妻轟ど謀議議こ慧蓑慧警玉≧L. 毒書董書ず,奎顯議嘉ず聾翼墓塾⇒ま蓼毒.襲璽逡こ逡.婁㌶鑓皇墓肇璽 童藷違{二嚢㌧警≧うi:墨譲竃亘警墾韓嚢髪≧㌍導圭藁嚢嚢塾警玉運嚢こ嚢主苛.. 墓議纏…藷ぎ簗墨麩董墾r書き警㌔竣簿量聾も巷と・も.璽嚢奪纏襲肇藁違筆重轟 璽.

(15)                            うiw観{呆全と瞬…屋文『策. 建築技術的知識や法的知識がそれなりに要求されることやt廃屋対応事務がそ れほど多くは発生しないと考えられることなどから,そのすべてを市町村の事 務とするのは適切ではないだろう。.  県としては,地方自治法2条5項に規定される以下の2つの観点から関係す ることが考えられる。第1は,補完的事務の主体としてである。第2は,広域 的事務の主体としてである。後者に関しては,全県的観点から重要な景観の管 理において廃屋が問題となるような場合が想定される。基本形は.前者の場合 であると思われる。そこで,以下では,「市町村条例による対応を基本として 県がその実施に協力する」というモデルを念頭に置いて議論を進める。市町村 については,景観法のもとでの景観行政団体になっている場合となっていない 場合とがある点には,留意が必要である。.  (4)景観法との関係.  先にみたようにtJ景観法70条は,景観地区内において,良妊な景観の形成 に著しく支障がある既存不適格建築物に対する措置を規定していた。この措置 は,解体撤去までを想定していないと解した場合,条例でそれよりも踏み込ん だ規定を設けることの適法性が問題になる。. この点については、隈野酬酬・μこおいても麟がされている・酬法}よ・ 種々の仕組みを装備した総合的景観管理法であるが,景観管理を排他独占的に. 担当する酬ではない.景雛が創出する自治体の事務は「任意蹴去舶治事 務」であり17),自治体が同法を使おうとする場合にはそこに規定されている仕. 組みを使うことになるにすぎない.したがって源継を用いない市日附(何 らかの理由で景観行政団体にもならず.景観地区も設けない市町村)が・独自. 政策条例にもとついて景観行政を展開すること襟止されているわけではな いo. たしかに. s・iicma法の酬のレベJレは、ひとつの目安にはなる・しかし・独自. 政鰍例のそれがよ喘しいものになったとしても当然砒例原臓反して                                  69.

(16)  枇浜国際経済法学第17巻第3号(2009年3月). 違法というわけではないIS)。要は,そうした規制を正当化する合理的な立法事. 実が存在するか,当該市町村区域をカバーする景観計画を策定しているであろ う県との十分な調整がされるかどうかが問題になる。  『長野県報告書』は以上のように整理するがTさらに検討されるべき点として,. 市町村が景観法にもとつく景観地区を設けているかどうかで違いがあるかとい う問題がある。景観地区を設けている市町村の場合,廃屋状態にある物件は景. 観法70条の射程外であると考えれば,景観法は景観地区の目的達成のために 完結的な制度を設けていないのであるから,その部分に対して法律施行条例を. 制定することになろう。廃屋は,景観法70条が念頭に置く建築物よりも外部 性が大きく建築物としての価値が低いものであろうから、通損補償制度は必要 ないと考えられよう。逆に,射程内と考えた場合には運用の問題になるカ㍉補 償すべき時価はきわめて低額(場合によっては,0円)になろう。  景観地区を設けていない市町村についても,景観法のもとで景観行政団体に なっている場合(景観計画は策定されている)がある。この場合は,景観法の スキームを利用している。したがって,廃屋の解体除却をするときには厳格な 形態意匠制阻を課しうる景観法上の景観地区制度を利用すべきであると考えれ ば,それをせずに独自制度を設けることが適切かどうかについては議論があろ. う。しかしt先にみたように,廃屋状態になっている物件については景観法 70条の射程外であると考えれば,問題はない。.  (5)廃屋への措置を正当化する根拠.  条例目的に規定される内容は,権利制限の重要な根拠となり,比例原則の適. 用にあたっても重要な意味を持つ。廃屋対策の前提にはT良好な景観の保全と 創造がある。地域景観の保全と創造について市町村が強い政策的意義を認めて おり,それに対する民主的支持もあれば,それとの関係において,踏み込んだ 措置をすることも可能であると一応はいえる11}}。もっとも,このような目的を. 規定したからといって,直ちに廃屋の解体除却に結びつくわけではない。 70.

(17) 景観保全と廃屋対策.  廃屋は1具体的地域において,そこで保全・創造されるべき景観状態との関 係で問題となる。廃屋の解体除去という対応からさかのぼって考えるならば, まずは,その状態が地域景観の保全・創造の観点から看過しがたい悪影響を及 ぼしていることが必要である。保全・創造されるべき地域景観については,市 民参画を踏まえた計画が策定されていることが必要である。その計画の策定と 手続は,条例にもとついたものであるべきである。国立市大学通りマンション 事件において,最高裁判所が,「景観利益の保護とこれに伴う財産権等の規制. はT第一次的には,民主的手続により定められた行政法規や当該地域の条例等 によってなされることが予定されている」と判示している点が参考になる(最. 1小判平成18年3月30日判時1931号3頁)。  計画の記述内容には,それなりの詳細性が求められるだろう。市町村全域を カバーする計画のなかではなく,たとえそれがあるとしても,その枠組みのな かで「特別景観形成地区」のように,市町村としてとくに重要視している区域 に関する具体性の高い計画である方が,廃屋の外部性を相対的に高めることが できるだろう。重要な観光資源がある区域についても,同様に考えることがで きる。そうした区域においては,所在する建築物の所有者・管理者が遵守すべ き建築物管理基準が条例で規定される必要があろう6廃屋状態に置くことは, その基準との関係で,財産権の消極的濫用と整理されることになる。所有者・ 管理者の義務憾怠,あるいは,そうした状態に置いている状態責任を問うこと になる。.  ただ,問題なのは,廃屋は少数であり,かつ,かなり以前からその場所に存 在していることである。産業廃棄物の不法投棄のように,比較的短期間に.良 好な環境空間のなかに支障物件がねじ込まれたわけではない。地域社会におい ては,その問題性についての十分な認識が存在しているのである。したがって.. 計画や管理基準の記述は,どうしても「過去を引きずって」しまい・「特定廃 屋狙い撃ち的」になることが避けられない。それが条例の目的達成にとって支 障があることを浮きだたせるような内容になってしまうのである。特定廃屋の.                                  71.

(18)  描浜国際経済法学第17巻第3号(2GO9年3月〕. 所有者や管理者の意見は十分に聴取されるべきであるがt「多勢に無勢」状態 での議論となれば,その態度を硬化させてしまう可能性もある点が悩ましい。.  (6)廃屋認定手続.  鳥取県条例のもとでは,一定の周辺住民からの申し出を契機に手続が開始さ れるようになっていた。しかし,この点は,市町村長の職権による認定とする 方が適切であろう。あるいは、職権主義を基本にしつつ,住民からの申し出制 度を規定してもよい。景観がきわめて地域性の強い問題であることに鑑みれば、. 串し出にあたっては,一定数の署名を求めることも考えられる。.  認定基準は、条例のなかで明確に規定されなければならない。そのうえで, 当該廃屋が所在する地域の景観形成計画の実現との関係で,何らかの対応が必 要であることが確認される。「廃屋」についての一応の定義は規定すべきであ るが.それが具体的地域において問題を発生させていることが重要である。こ のあたりの認定は、市町村の景観形成に対する意識の高さなどによって,随分 と変わってくるだろうC°)。.  財産権の処分に閲する手続であることから,専門技術的観点からの議論が可 能になるような人員構成を持つ条例設置の審議会の議を経る必要があろう。資 産価値の有無という観点も必要である。廃屋認定のみならず,どのような措置. を講ずるべきかについても議論されるべきである。この審議会はt常設である 必要はない。建築技術や法律の知識をサポートする職員が県から派遣されるよ うな仕組みを,事前に県と協議して整備しておくのがよいだろう。実際問題と して,廃物認定に祉会的権威を持たせるためにも,県の協力は必要であろう。 また,事案によっては,暴力団関係者が閲係している物件もあるようであるか ら,警察本部との連携のあり方も整理しておかなければならない。審議会に警 察関係者が入っていることは,現実には,市町村の条例運用にあたって効果が ありそうである。.  なお.『長野県報告書』は,比較的専門性を要する認定事務について,事務 72.

(19) 景観保全と廃屋対策. の一部受託(地方自治法252条の14)の可能性を検討している。結果的に 市町村条例の基準を県が適用することになるという事務の委託がこの制度の趣 旨に適合しないことや一連の措置の一部のみを委託することが適切ではないこ とから,適用には否定的であった。.  (7)措置命令.  『長野県報告書』も指摘するが,過剰規制の禁止を内容のひとつとする比例. 原則の観点からはt当該廃屋に関して,解体除却という「最後の手段」を用い. ることなく条例目的を達成できる対応が模索されなければならない。景観法 70条が例示する「改築,模様替,色彩の変更」による外部性への対応可能性は,. 措置選択過程において必要的に検討されるべき項目であろう。もっとも、模様 替えや色彩の変更で対応できる場合は少ないだろうから,考えうる手法は.修 復が中心になろうか。廃屋をめぐる地理的・物理的状況は多様である。視点場 との関係にもよるが,植栽などを施すことにより遮蔽することができその遮蔽. 措置自体が景観上問題にならないならばそうしたより制約的でない方法が選 択されるべきであり,解体除却命令は比例原則に違反して違法であろう。ただ,. それに要する費用が解体除却よりも高額になる場合はどうだろうかeその点ま でを含めて財産権への制約を考えるならば,修復が可能であっても・解体除却 を命じうる場合もあるのではなかろうか。.  措置命令は行政手続条例上の不利益処分であるから,弁明機会の付与が必要 であるが,事案の性質上,当該物件の所有者や管理者に対して・聴聞までをす るのが適切であろう。廃屋認定の審議のほかに,命令の発出決定にあたっても・. 審議会における慎重審議が必要ではないだろうか。.  なお,自主的に解体除却がされれば問題はないのであるから・なるべく公権 力型の対応を回避し,自主的対応の方向に展開するような手続を考えるべきで ある。措置命令の酷是として,措置勧告などの行政指導措置を明記することが 適切である。問題となっている廃屋が位置する地域に関する景観形成計画の意                                   73.

(20)  横浜国際経済法学第17巻第3号(2009年3月). 味や財政支援措置があることを説明し,所有者・管理者を少なくとも「ある・ ない型」状態にすることが目指されなければならない。解体業者の斡旋などの 措笹も必要である。.  (8)実効性確保手法  (a)行政代執行  (ア)「公益」の判断.  除却命令は代替的作為義務であるから、市は,行政代執行法にもとつく行政 代執行によってその義務を実現することができる。この点,自治体行政現場に は,条例に規定される命令にもとつく義務の実現を行政代執行法で行うことは できないという認識もある。たしかに,最高裁判所が正面から判断をしたこと. はないが(なお,最1小判昭和53年12月21日判時918号56頁参照),少な くとも学説・下級審判決・行政実務では,肯定説が多数である2’)。.  行政代執行をするには,「その不履行を放置することが著しく公益に反する. と認められるとき」(2条)という要件を充足する必要がある。この点,民事. 法的発想で,景観への悪影響は生命・健康への悪影響ほどの深刻性や緊急性 はないから要件を充足しないのではないかという議論もありうるように思われ る。しかし、行政代執行法にいう「公益」は,その動員の前提となっている個 別法・個別条例が保護している「公益」と基本的に同義と解すべきである。そ の意味で,行政代執行法は,行政手続法などと同様に,価値中立的な法律であ るとともに個別法令従属的な法律ということができよう2u}。.  もちろん,行政代執行をする決定にあたっては,比例原則の適用がある。行 政代執行は義務的ではなく,その判断には裁量がある。したがって,行政代執 行要件を充足していてもなお行政代執行をしないことが比例原則に照らして適 切である場合は,理論的には存在する。. (イ)「著しく公益に反する」要件の緩和 74.

(21)                            景観保全と廃屋対策.  たとえば違法建築物に対する除却命令の執行にあたって,建築基準法は, 義務者が命令を「履行しないとき,履行しても十分でないとき,又は履行して. も……期限までに完了の見込みがないときは,行政代執行法(昭和23年法律. 第43号)の定めるところに従い,自ら義務者のなすべき行為をし,又は第三 者をしてこれをさせることができる。」(9条12項)と規定する。命令不履行 の事実のみをもって行政代執行に移行できるとしているのである。行政代執行. 法2条の「著しく公益に反する」という要件を特別法的に緩和している。こう した措置を条例で講ずることは適法だろうか。.  前述の行政代執行法の性質に鑑みれば,基本的には,代替的作為義務を規定 する個別条例の問題である。それ自体が生命・健康に緊急の危険を及ぼすもの でない違法建築物に対して要件緩和を規定するのは,より早期段階での対応を 可能にすることが建築基準法の目的実現にとって適切という立法判断があった からである。条例制定にあたっても,なぜそうする必要があるのかについての 議論がされなければならない。その結果として規定されたならば,要件緩和規 定それ自体が比例原則違反とされることはないだろう。この点,急に問題状況 が現出したわけではない廃屋に関しては,特別法的規定を設ける合理性を説得 的に説明することは困難なように思われる。たとえ,火災で焼失した姿が景観 上支障を及ぽしているとしても,無理ではないだろうか。.  土地や建物の所有者の所在は登記簿によって確認はできるものの,本人と連 絡がとれるかどうかは不確実である。それにもかかわらず対応が必要とされる. ような場合には,略式代執行(例:建築基準法9条11項,「廃棄物の処理及び. 清掃に関する法律119条の7第ユ項柱書き第2文,19条の8第1項柱書き第2文) になろう23)。.  (b)行政罰.  命令違反に対しては,罰金刑を規定することは可能ではある。しかし,廃屋. 所有者が無資力状態であれば命令履行の期待可能性はないだろう。そうでな                                  75.

(22)  横浜国際経済法学第17巻第3号(2009年3月〕. ければ意味はあるが,その場合に効果的なのは,履行まで反復継続的に賦課し うる強制金であろう2{}。ただ,条倒では規定できないと解されてお1325).行政. 代執行法の改正を必要とする。.  (io)財政支援措置  資力がないとしても,襲屋の所有者がその問題点を認識して藷彰奉徐去に合意. することは、きわめて重要である。資力の有無を譲査することには困難が拝う. だろう甑所有者が事業主捧として解捧除去をすることに対して.抵鞠で資金 貸村をしたり補}lhをしたりする仕題みを設けるのが適切であるe.  市町i杖の措澄に対して.県が部分痙に財致サポートすることも考えられる。 これは.ひとつには,]:罰町村が実施する行政責執行の費摺の撞婆ということに. なるだろう。もちろん.市野村は,罫ない・ある型」の婁合iこ{ま.費湧籔霧を. しなけれぱならない.手続は蘭倒であるが,こ註をせずに安易に簑擢麓棄・不 能欠損処理をするならば慧からの号ポート{ま難菩できない。察として資金縫 力す墨以上,童町村がそれな1,に汗をかいていること毒違蓬となるだ藁う。た だ,行致代執行まで案施できる事案はそれ繧ど多く登いと予懇さ熱ること宰き. 董町村の努力によ1ヌ†自主麹璽圭」が実璽する事案{こ巽Lて毒.量蒙支謹がで きるようにするのが適璽で毒竃)。  奪お,県口支墨{ま,一・定翼R彗に擾定す一・sきで慧蔓いだろう毒㌔…纂曇こ藁三1う. る藤選に戴してほ,璽麹隷却と恒摯た藁藁を懇霊せず蓑、毒竃襲璽纏嚢を謹こ ▲ヨて,よ{蝿蟻塵警で封墓す墓ことを魏霧すべきで塾墨.毒霧聾』璽轟塞妻季. 轟を轟鷲遺警簗擾を策塞し.そ聾姦参で嚢嚢塾轟懸曇を璽轟づ聾主蓑褒書 墨こと{:書しでイン圭ンテ素プ璽裏を嚢轟す警▲う妻轟で書璽霧妻璽ま蕊㌔ 童毒,重購聾遼誓{こ議璽す轟謡±よ呈≧し主.慧妻糞轟す轟藁妻.た竃二嚢 璽こ童墓董嚢≧いう塾で{ま,曇金嚢墨書翼遼≧Lて十妻菱婁う藁㌔藝薯妻ぎ藁 ず塾璽:書輻運璽董璽鍾蓼蓮i董し,圭璽糞毒違蒙塾蓬童轟誓蓼ミ璽づ蒙墓離奢』 璽r聲≧警い誓藁う熱          一 護.

(23)                            景観保全と廃屋対策.  (11)条例の形式.  景観行政団体である市町村は,景観法にもとついて必要事項を定める条例を. 制定する必要がある。廃屋対策は,景観法との関係では法定外事務であるが 市町村景観の保全と創造というより大きな枠組みのもとに,景観法の法定事務 条例とそれ以外の法定外事務条例を統合的に規定する条例を制定すればよいだ うつ26)e.  景観行政団体はない市町村であれば景観法との関係を考えることなく,景 観条例を制定すればよいし,生活環境保全を目的とする条例の一部分として廃 屋対策を規定してもよい。  都道府県としては,景観に関する条例を制定することがあれば,そのなかで,. 一般的な形で、市町村に対する技術的支援(具体的な事務事業計画があれば 財政的支援)について必要な規定を設けることが考えられる。あくまで市町村 の自主性・自立性を尊重したものであるべきであるが,補完的事務と整理でき. るだろう(地方自治法2条5項)2%. 6.廃屋対策のそのほかの課題  景観保全の観点からの廃屋対策は,まさに建築物の外観に着目したもので あった。良好な景観を創出する必要性が高い地域にそれが所在していればそ の外部性は相対的に高くなる。それゆえに,法益侵害の程度いかんによれば, 公権力型による解体撤去の可能性もないではなかった。しかし,問題なのは, そうした外観を呈する建築物に居住する入がいる場合である。建築物の外音1唯. には何ら差はないにもかかわらず,一方では解体撤去が可能で他方ではそうで はない。もちろん,直接強制はできない。生存権への配慮ゆえのことではあるが,. この違いを景観保全のみの観点から合理的に説明することは難しい。居住して いる以上,外観を適切に保持する責任は,そうでない場合よりも重いと考えら れるがus},そうであるとしても,居所を奪われることを受忍させるに足りる外.                                  77.

(24)  横言兵国陪5経済法学第17巻4苫3号{200{}ゴF3」]). 部性をもたらしているとまで認定することはできないだろう。景観法70条は, 居住者の有無を問題にしていないが,かりに居住者がいた場合には,解体除去 は命じられないだろう。この点,たとえば,青少年がたむろし犯罪の温床にな. るとか廃棄物の不法投棄を招くという点を問題にするならt非居住建築物であ ることは当然の前提になる。しかし,目的が拡散すると,複合的半lj断が要求さ れるため,基準づくりや適用が困難になるというジレンマがある。.  かりに公権力型対応をして,公費で解体除却を実現した場合の事後対応につ いても,いくつか検討課題がある。除却された跡地の管理が景観形成計画に適. 合的にされる必要性は,ほかの土地に比べて一層高いといえるがそれをどの ようにして担保すれぱよいだろうか。登記事項の変更手続はどのようにすれば よいだろうか。.  廃屋対策は,まさに地域密着的な課題である。『長野県報告書』は,より一 般的な議論として,エリアマネジメント手法を取り入れた対応の可能性を指摘 しているve)。これは,空き家の利活用や廃屋化の防止のように,廃屋問題に対. してより早期段階で対応する発想のようである。たしかに,過疎化の進行や人 口減少に伴う放置住宅の大量発生によって,廃屋予備軍が増えることが予想さ れる。それに備えて,何らかの法的対応スキームを考える必要がある。法学的. には十分に受けとめられている手法ではないが注目はできる。廃屋化による 景観への支障対策を含んだより大きな枠組みによる対応が効果的かもしれな いo.  少し立ち入ったにすぎないがそれでも廃屋対策には,多くの法的問題があ ることがわかった。気づかぬ論点も多いだろう。引きつづき検討したい。. 1)景観法に凹する文i脚よ無数であるが,自治体景観法政麓との関係で論じている単行本として,  北村喜宣「分権政靖法務と環境’批観行政』(日本評齢ゴ1,200S年),景観まちづくり研究会罐 78.

(25) 景観保全と廃屋対靖   著)『景観法を活かす:どこでもできる景観まちづくり』(学芸出版社.2004年〕(以下,「活.   かす」として引用),日本建築学会(謡)『景観法活用ガイド:市民と自治体による実践的景   観づくりのために1(ぎょうせい.2008年),日本建築学会(堀)「景観法と景観まちつく1}」.   (学芸出版社,2005年)似下,「まちづくり」として引用)参照。. 2)第159回国会衆議院固土交通委員会議録20号(2004年5月12日)4頁[佐藤茂樹・国土交   通大臣政務官答弁ユ参照。. 3) もちろん,景観法以前においても,実体的・手続的義務づけを行いrその泣反に対して法的   不利益措置をもって対応するという条例は制定可能であったし,存在もしていたeしかし,   全体からみれば.そうした対応は少数であったようである。北村喜宣「地方分権改革と都市.   景観法システム」北村・前註(1)害208頁以下・215∼216頁参照e 4) 屋外広告物法改正についてはt野中勝利「屋外広告物法改正の意義と課題」まちづくり・前   註{1)書42頁以下参照。 5)景観法案の審議過程においても.こうした現象が「目本の各地で起きているよう」と認識さ   れていた。第159回国会参議院国土交通委員会会議録22号(2004年6月10日)12頁[竹歳誠・   国土交通省」都市・地域整備局長答弁]参照。. 6) 北村喜宣「やれそでやれない?:観光地景観支障物件対策」産業と環境37巻1号(2009   年)36頁も参照。研究会における議論の状況,および,『長野県報告{頸は,長野県のHP   {http:〃wvvw.pref.nagano.jp/kanko/kankoki/keikan/keikan−index.htm}に9} ileされている。『長.   野県報告書」を解説するものとして.大井潤「長野県の観光地における廃屋対策」自治実務.   セミナー48巻3号(2009年}32頁以下参照。 7) そのほか,無者が参照しえた定義としては,.後にみる白馬村要網や鳥取県条例における定義.   のほか,宇都宮市都市開発部都市計画課=理財部資産税課=消防本部予防課「廃屋問題対策.   について」(2eo3年2月27 B)の「居住又は利用されていない建築物で,屋根及び壁等の   主要な部分が瓦解し.描常の居住等の用に耐えられず,崩壊等の危険にさらされており,景   観上及び周辺環境に悪い影響を及ほす恐れのある建築物」があった。 .. 8) 第159回国会参議院国土交通委貝会会議録22・号(2004年6月10日)12頁[竹歳誠・国土   交通省都市・地域整備周長答弁]参照。 9) めずらしい例として,磐梯朝旧国立公圃内の廃屋対応がある。同公園内の園有地において,.   自然公園法9条3項にもとつく公園事業認可を受けて営業していたドライブインが廃屋化し   た。認可を受けた経営者本人は死亡しており描利承継もされなかったため.同法施行令14   条1項にもとついて認可は失効したと解されて所定の手続がとられた。そこで、同法施行令.   15条にもとついた除却が検討されているようである。ただ,同条は,義務者不明・不在事   案を念頭に世いた規定にはなっていないために,行政代執行法にもとついた措世が可能かど   うかは撒妙なところがある。「優れた自然の風景価の保誕」を目的とする自然公園法である   VJ c,許可を受けて建築された建錨物に園して適切な維持管理義務が規定されているわけでは   ないロ特別地域内において)SEJE化が進行しても措置が講じられないという立法不備状想にあ   る。国立公捌指定以前から存在していた建築物が斑屋化した場合も10]様である。想定外であ.   ったのかもしれないが、廃屋の増加が乎想されることに鑑みれば,先手を打oた法律改正が 79.

(26) 横浜国際経済法学第17巻第3号(2009年3月)    必要であると思われる。なお,前記事案については,KFB棉島放送の報道がされているが    (http:〃wNvw.kib.co.jp/nevvs∬index.cgi?n=200809217),法tltの適用側係を誤解しているようで.    ある。. 10)広岡隆『行政代執行法〔新版〕』〔有斐閲,1981年)137頁以下参照。 11)小宮賢一=荒秀=関哲夫『建築基準法』(第一法規出版,1984年)234∼236頁[荒秀・執準],   島田信次=IN哲夫「建築基準法体系〔第5次全訂新版〕』(酒井書店,1991年)486}487頁参照。. 12}新しい韮準の適用によって違反状態となる既存の物件への対応は,法律により多様である。.   建ぺい率や容積率などに閲する難築基堆法の通常の対応は,改築時に適合させればよいとす.   るものである(3条2項)。これに対して,屋内消火栓やスプリンクラーなどに関する消防   法の対応は.一定の猶予期間経過後には.適合が無補償で義務づけられるというものである。.   景観法70条は.両者の中間的な対応を制度化しているといえよう。保護法益との関係で,   比例原則の適用が異なった制度化をもたらしていて興味深いe. 13)景観法制研究会『逐条解説景観法』(ぎょうせいt2004年)146∼147頁,国土交通省=農   林水産省=環境省「景観法迎用指針〔全面施行版〕』(2005年6月)(以下,r迎用指針』と   して引用)50頁.坂和章平『Q&AわかF,やすい景観法の解説』(新日本法規出版,2004年)   252∼253頁参駕{。. 14)地元においてきわめて問題視されている形態意匠を持った新築建築物があるとする。その所   在地域に景観法にもとつく景観地区が都市計画決定され,そこで当該建築物の形態意匠を基.   準不適合とするような内容が定められると,景観法70条の措置命令発出が検討される事態   も想定できる。もっとも.その前に,当該建築物の所有者が都市計画に対して行政訴訟とし   ての差止訴訟や取消訴訟を提起することになろう。民事訴訟が提起されることは,もちろん.   ありうる。たとえば.東京地判平成21年1月28日判決[まことちゃんハウス事件](判例   集未登il克)参照。. 15}これは.景観法が採用する「一地域一団体主義」に則した整理であるように思われるが.そ   れを硬寵的に適用することの合理性については,準者は疑問を持っている。北村喜宣「景観   管理をめぐ舶治体法政策」都〒irlll閲研究6曙10号(2008・・’f.) 46頁以下・56・’一・57・H参照。.   鍛観行政団体になった市町村に対して,県が広域的事務主体と補完的事務主体の立場からサ   ポートするという整理が,丑も適切であるように考えている。. ユ6)運用指針・前註(13)書4頁は,r鍛観行政は.基本的には,基礎的自治体である市町村が   中心的な役割を担うことが望ましく」とする。法案審謎における政府答弁においても,「今.   後のSitntt7Vxは,やは臓も鶴に近い市町村が担っていくべき」とされている。第159回   国会衆議院国道交通委員会議録19号(20G4年5月11日)8頁[竹歳誠・国土交通省都市・   地域整備局長i答弁]参照。. 17)北村喜宣「景観法と条例」北村・前註(2)書230頁以下・23ユ頁参照。 18)この論点については・北‡描宣f自治体環聞微法〔腕1閲佛一Wl L, 20。6年)2蹟参照。. 19)そうであるからといって.いかなる措置も適法になるというわけではなV㌔たとえば,許可   制の基準として周辺住民の同意取得を求めることは,申甜者に不可能を強いる結果となり,.   比例馴に産反して違法である・北非嬉宣n遮制紬‖」r行政法の酬性確保J{オr斐閣, 80.

(27) 操観保全と廃屋対策.   2008年)35頁以下参照。 20)筆者は,2008年秋に.より本格的な廃屋対策の導入を検討している白馬村を訪問した。村   役場職貝の方にご案内いただいたr廃屋」については,正直のところ,公権力型で対応する   必要があるようなものとまでは思えなかった。しかし,「良好な景観」とは相対的な認識な   のであり,比例原則の制約からは逃れることはできないものの,基本的には,地元の価値観   に則して判断されるべきなのだろう。白馬村は,景観形成に対して,きわめて高い認識を持.   っているように感じた。同村のHPで「廃屋」を検索すると,実に多くの情報が掲職されて   いる。村議会での謡論も多い。そこから{ま,地元住民がこの間題をきわめて深刻に受けとめ   ている状況をみてとることができる。2007年には,議貝提案で「白馬村廃屋に関する条例案」   が提案されたが,継続群議となっている。 21〕阿部泰隆『行政法解釈学Ii(有斐閣. 200S年)567頁,塩野宏r行政法1〔第4版〕」(有斐IH],.   2005年)211頁,芝池義一『行政法総論講義〔第4版補訂版〕」(有斐閲,2006年)203頁,.   礒野弥生「行政上の義務履行確保」雄川一郎=塩野宏=園部逸夫(編)『現代行政法大系2   行政過程』(有斐闇,1984年)227頁以下・231頁参照。なお,小早川光郎『行政法上」(弘.   文堂,1999年)240頁,原田尚彦『行政法要論[全訂第6版〕』(学陽書房,2005年)231∼   232頁参照。もちろん,学説や下級審判決・行政実務に反して,条例にもとつく不作為義務.   の民事執行を唐突に否定した宝塚市建築規制条例事件最高裁判決(最3小判平成17年7月   9日判時1798号78頁)のように,従来の一般的理解を否定する例がないわけではないeこ   の論点についても,将来的に.どのような判断がされるかは不確実である。. 22)広岡・前註(10)書128頁参照。 23)重大な人権侵害を生じない場合には条例で略式代執行を規定しうるとするものとして,阿部・.   前註(21)書592頁参照。命令の適法性は.当然の前提である。 24)阿部・前註(21)i!i:593頁以下,小早川・前註(21)書239頁,北村喜宣「行政罰゜8蛸i‖金」.   磯部力=小早川光郎=芝池鍵一(編)『行政法の新構想韮行政作用・行政手続・行政情報法」   (有斐摺.2008年)131頁以下参照。 25)礒野・前註(21〕論文232頁,塩野・前註(21)書210頁、北村・前註(24}論文158頁参照。. 26)北村・前註{17)論文238頁以下参照。 27}松本英昭『新版逐条地方自治法{第4次改訂版〕』(学陽書房.2007年)37頁参照。. 2S)もっとも,具体的な行政法曲責任を課す法律が存在するわけではない。建築基準法S条1項   は,建築物を適法状態に維持する努力義務を所有者等に繰しているが、同法との関係におい   てのことであるし,違法状態になれば同法にもとつく所定の監督処分の対象になるのである   から.特段の法的意味を持つ規定ではない。鍛観条例においてt一般的ではあっても適正艦   持管理義務を規定することが必要であろう。努力義務とするものとして,ニセコ1π景観条例   8条参照。 29)エリアマネジメントについては、活かす・1語i]三(1)哲148頁以下[中島直人・執準],小林   重敬(編著〕fエリアマネジメン1・:地区組織による計画と管理運営」{学芸出版社、2005年)   参照。. s1.

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