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100円グッズを活用した酸性・アルカリ性判別マイクロスケール実験とその応用実験 -葡萄ジュースを指示薬として-

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Academic year: 2021

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(1)Title. 100円グッズを活用した酸性・アルカリ性判別マイクロスケール実験とそ の応用実験 −葡萄ジュースを指示薬として−. Author(s). 高田, 慎司; 中村, 秀夫; 松浦, 俊彦. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 59(1): 43-50. Issue Date. 2008-08. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/918. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第59巻 第1号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.59,No.1. 平成20年8月 August,2008. 100円グッズを活用した 酸性・アルカリ性判別マイクロスケール実験とその応用実験. 一葡萄ジュースを指示薬として−. 高田 慎司・中村 秀夫・松浦 俊彦*. 北海道教育大学函館液化学教室 *北海道教育大学函館枚生物工学研究室. MicroscaleExperimentsforaDistinctionbetweenAcidityand AlkalinityUsinglOOYenGoodsandTheAppliedExperiments. −UsedTheGrapeJuiceasTheIndicator− TAKADAShinji,NAKAMURAHideoandMATSUURAToshihiko* LaboratoryofChemistry,HakodateCampus,HokkaidoUniversityofEducation. *LaboratoryofBiotechnology,HakodateCampus,HokkaidoUniversityofEducation. 概 要. 100円グッズを材料に用いて誰でも容易に行える酸性・アルカリ性判別マイクロスケール実験を開発した。 マイクロスケール実験は使用する試料が少量ですみ,実験操作も簡略化されているといった利点がある。本 研究では,使い捨てパレットを用いることで実験を子どもたち1人1人ができるようにした。また,指示薬 として葡萄ジュースを寒天で固めた寒天型指示薬を作成した。寒天型指示薬は固体であるため,サンプルの 色を変化させずに酸性・アルカリ性の判別を行うことができる有用な指示薬である。さらに,寒天型指示薬 のpHを7.0にした応用実験にも成功した。本実験は酸性・アルカリ性について学ばせる上で小・中学生の 興味・関心を高める教材として活用が期待できる。. 1.はじめに. て用いる場合には,色素を取り出すために様々な 作業を行う必要がある。例えば,冷凍・解凍を行. 酸性・アルカリ性判別の実験において,これま. うことで細胞を壊す作業や,包丁等で細かくきざ. で紫キャベツやなすのような野菜,アサガオやパ. む作業,そしてお湯やアルコールで煮る作業など. ンジーのような花等の様々な材料が指示薬として. が知られており,児童には危険を伴う場合もある。. 用いられている1)。しかし,これらを指示薬とし. さらに,濾過が必要な場合もある。このように指. 43.

(3) 高田 憤司・中村 秀夫・桧浦 俊彦. 示薬作りには手間がかかる。身近な材料を用いた. 様々なpHのサンプルをまとめる。サンプルの. 指示薬の他にはBTB溶液やフェノールフタレイ. pHの測定はTHEpHep⑧FAMILY(HannaIn−. ン溶液なども一般的な指示薬として用いられる. struments)を用いて測定し,各Tableに追記し. が,それらの指示薬は液体である。そのため,サ. た。材料費は1クラス分の寒天型指示薬で約63円. ンプルに指示薬を加えるとサンプル全体が指示薬. となる。使いすてパレット(白色,縦×横×高さ. の色に変わってしまい元のサンプルの色と比較す. =7×16×1cm)は大きな正方形のくぼみ(30ml). ることはできない。一方,酸性・アルカリ性判別. が1つと丸型のくぼみ(5ml)が6つの組み合. の実験にセルプレートを用いたマイクロスケール. わせになっている。. 実験の実践例2)が紹介されている。セルプレート (透明色,縦×横×高さ=8×12×2cm)には. 4×3,6×4等のウェル(穴)が配列されてい るため,1枚で数多くの組み合わせの反応,変化. 2−2.寒天型指示薬の作成 100%赤ぶどうジュース(サンガリア)1本 (190g)に細かくちぎった棒寒天1本(5g)を. を見ることができ,またビーカーなどに比べて使. 加え,電子レンジで加熱した。数十秒で沸騰する. う試薬の量が少量ですむ。しかし,セルプレート. のでその度に電子レンジを止める。数回繰り返す. の価格は1枚300円程度であり,クラス全員に配. ことで寒天がとけるので,その後氷水で5分程度. ることを考えるとコストがかかってしまう。以上. 冷やすとpHにより色が変化する寒天型指示薬. のように従来の指示薬を用いた酸性・アルカリ性. (紫色)ができる。. 判別実験やマイクロスケール実験には手間やコス トがかかるといった問題がある。. 本研究では,材料を100円グッズでそろえるこ とができ,なおかつ誰でも手軽に学校や家庭で実 践できる酸性・アルカリ性判別マイクロスケール 実験を開発した。セルプレートの代わりには絵の. 3.実験結果と考察. 3−1.寒天型指示薬(pHの調整なし)の実験 結果. 寒天型指示薬の実験結果をFig.2に示す。寒. 具用の使いすてパレットを用いた。使いすてパ. 天型指示薬をそれぞれのサンプルに加えた結果,. レットは1枚あたり10円と非常に安価であるた. 酸性であるトイレ用洗浄剤は寒天型指示薬が赤く. め,1人に数枚配ることができる。また,セルプ. 変化した。ポッカレモン100と穀物酢もトイレ用. レートと比べて穴の底が浅いため,洗浄が容易で. 洗浄剤ほどではないが赤く変化した。コカ・コー. あり繰り返し使うこともできる。指示薬にはその. ラの場合,サンプルがもともと着色しているため. ままの葡萄ジュース,また葡萄ジュースを寒天で. 寒天型指示薬の色の変化がわからなかった。その. 固めた寒天型指示薬を用いた。指示薬を寒天状に. ため,寒天型指示薬をコカ・コーラから取り出し. することでサンプルの色を変化させずに寒天型指. て色の変化を確認したが寒天型指示薬は元の色の. 示薬のみの色を変化させられるのではないかと考. ままであった。昭和サイダー,ポストニックもコ. えた。. カ・コーラと同様で変化は見られなかった。アロ エマイルドリンスも変化がなく,これはアロエマ イルドリンスの粘性が高いため寒大型指示薬に染. 2.実験手順 2−1.材料. 材料はすべて100円ショップ「Theダイソー」. みこんでいかなかったためと考えられる。アロエ マイルドシャンプーは若干赤く変化した。ボドル ドゥオーターは変化が見られなかった。中性であ. で購入した。Fig.1に写真,Tablelおよび. るトイレ用合成洗剤は黒紫に変化した。アルカリ. Table2にそれぞれ実験に用いた材科,および. 性である洗濯用合成洗剤は緑色に変化した。同じ. 44.

(4) 験実用応のそと顔美ルーケスロクイマ別判性リカルア・性酸たし用活をズッグ円01. Fig.1100円ショップで購入した材料の写真. Tablel 実験に用いた材料 記号. 商 品 名. A 100%赤ぶどうジュース B. 使いすてパレット. C. 棒寒天. D. たれびん. 主 な 成 分 ぶどう,香料. 容量//人数. 190g x 2. ポリエチレンテレフタレート. 10牧人. 海草(オゴ草). 5gx2. ポリエチレン. 16個人. pH 3.7. 材料費(1人分). 10m13円. 1枚10円 1本50円(1クラス). 1個6円. 45.

(5) 高田 慎司・中村 秀夫・松浦 俊彦. Table2 pHが異なる様々なサンプル 記号 a. b C. 商. 品. 名. 主 な 成 分 塩酸(9.5%). トイレ用洗音争剤(酸性). ポッカレモン100. 穀物酢. d コカ・コーラ(炭酸飲料) e 昭和サイダー(炭酸飲料). アロエマイルドリンス. 500ml 0.4. 濃い赤 赤. 酒かす,米. 500Inl 2.6 うすい黄土色. 赤. 160mlx2 2.8 こげ茶色. 糖類,酸味料. 900ml 3.5. 水,エタノール,香料 200ml 5. h アロエマイルドシャンプー 水,クエン酸,香料. 200ml 5.5. トイレ用合成洗剤(中性) 界面活性剤,キレート剤 500ml 7 水(鉱水),Na,K. 500ml 8.9. k 洗濯用合成洗剤(アルカリ性) 界面活性剤,水軟化剤 180ml 11 台所用漂白剤. 無色. 70ml 2.6 うすい黄色. グラニュー糖,酸味料 335ml 3.1. 】 ボドルドゥオーター(イオン水). 寒天型指示薬(pH7.0) を加えた時の色. レモン果汁. 糖類,酸味料. ロ ポストニック(清涼飲料水) g. 容量/人数 pH サンプルの色. NaClO,NaOH. 600ml 12. うすい赤. 無色. うすい赤. 無色. うすい赤. 白. 変化なし. 無色. うすい赤. 無色. 変化なし. 無色. うすい緑. 無色. 濃い緑. 無色. 黄色. Fig.2 寒天型指示薬の実験結果. アルカリ性である台所用漂白剤の場合には黄色に. ジュースをそのまま指示薬として用いた場合. 変化した。これは,台所用漂白剤の酸化作用によ. (Fig.3)の色の変化を比較した。100%赤ぶど. り色素が酸化されたためである。そのため,正確. ュー スをそのまま指示薬として用いる場合に. な判別ができなかった。. 寒天型指示薬を用いた場合と,100%赤ぶどう. 46. は,サンプルに100%赤ぶどうジュースを滴下す るのにたれびんを使用した。たれびんは滴下のコ.

(6) 験実用応のそと験実ルーケスロクイマ別判性リカルア・性酸たし用活をズッグ円01. Fig.3 葡萄ジュースの実験結果. ントロールがしやすく,スポイトの代わりとして. を寒天で固めても指示薬として問題なく使用でき. 使用できる。比較を行った結果,色の変化に相違. ることがわかった。. はなかった。そのため,100%赤ぶどうジュース. 47.

(7) 高田 慎司・中村 秀夫・桧浦 俊彦. 3−2.寒天型指示薬(pH7.0)の実験結果 100%赤ぶどうジュースの寒天型指示薬は強い 酸性やアルカリ性を判別するのに適しているが,. 100%赤ぶどうジュース自体のpHが3.7であるた め,弱い酸性や弱いアルカリ性を判別するのには 適さない。よって,100%赤ぶどうジュースの pHを7.0に調整してから寒天で固めて同様の実 験を行った。Fig.4に各pHによる100%赤ぶど ュー. スの色の変化を示す。pHが酸性側では. 赤色,中性では黒紫色,アルカリ性では黒緑色と. Fig.4 各pHによる100%赤ぶどうジュースの色の. なる。. 変化. pHを7.0に調整した寒天型指示薬の実験結果 をFig.5に示す。寒天型指示薬(pH7.0)をそ れぞれのサンプルに加えた結果,トイレ用洗浄剤. 前の結果と同様であったが,変化が見られなかっ. が濃い赤,ポッカレモン100,穀物酢が赤く変化し,. た弱アルカリ性であるボドルドゥオーターはうす. pH調整前の寒天型指示薬と同様の結果であっ. い緑色となった。洗濯用合成洗剤は調整前と同様. た。しかし,調整前の寒天型指示薬では変化が表. の変化が見られ,台所用漂白剤はやはり酸化作用. れなかったコカ・コーラ,昭和サイダー,ポスト. により色素が酸化されて黄色に変化した。. ニックは若干赤くなった。アロエマイルドリンス. 寒天型指示薬(pH7.0)を用いた場合と,100%. は粘性が高いため,やはり変化しなかった。アロ. 赤ぶどうジュース(pH7.0)をそのまま指示薬と. エマイルドシャンプー,トイレ用合成洗剤は調整. して用いた場合(Fig.6)の色の変化を比較し. Fig.5 pH7寒天型指示薬の実験結果. 48.

(8) 験実用応のそと験実ルーケスロクイマ別判性リカルア・性酸たし用活をズッグ円01. Fig.6 pH7葡萄ジュースの実験結果. たが,色の変化の相違はなかった。よって,寒天 型指示薬のpHを7.0に調整した場合も寒天型指 示薬が使用できる。. 3−3.考察 指示薬に葡萄ジュースをそのまま用いる場合3). の利点として色素を抽出する手間が省ける点が挙. 49.

(9) 高田 憤司・中村 秀夫・桧浦 俊彦. げられる。しかし,葡萄ジュースは液体であるた. はなく家庭でも実践可能である。全ての手順の手. めサンプルの元の色がわからなくなってしまう。. 間,時間,材料の入手等を考えると,寒天型指示. また,着色しているサンプルの判別には使えない。. 薬,使いすてパレットを用いた酸性・アルカリ性. さらに,葡萄ジュース自体のpHが酸性よりであ. 判別マイクロスケール実験は大変有用であると言. るため弱い酸性,弱いアルカリ性の判別を正確に. える。. 行うことができない。こうした問題点を本研究で 用いたpHを7.0に調整した寒天型指示薬を用い ることで解決することができた。サンプルの元の 色がわからなくなってしまう点は100%赤ぶどう. 4.まとめ. 本研究では,材料が安価であり誰でも容易にで. ジュースを寒天型指示薬にすることでサンプルの. きる酸性・アルカリ性判別マイクロスケール実験. 元の色を変化させないようにした。寒天型指示薬. を考案した。この実験は小・中学校の授業で取り. をサンプルに加えた直後は寒天型指示薬の表面の. 入れることが可能である他に,家庭でも子どもた. 色が変化し,サンプルの色は変化しなかったため. ちが手軽に実践することができる。. 色の変化の比較が容易であった。1分ほど時間が 経つにつれ,寒天型指示薬へサンプルが染みてい 参考文献. くため中の色も変化してくる。しかし,それに伴. い寒天型指示薬の色も少しずつサンプルにしみ出 てくるのを確認した。よって,寒天の表面の色が. 変わる程度でサンプルから寒天を取り出した方が 良いと考える。また,寒天型指示薬は着色してい. るサンプルの判別も行うことができた。液体の状 態である100%赤ぶどうジュースではコカ・コー. 1)函館新聞連載Let’sTry理科実験 http://www.infosnow.ne.jp/∼W_teru/1ets/1etsOOl. htm 2)マイクロスケール化学実験フォーラム http://science.icu.ac.jp/MCE/2001_49_6_1+2.PDF 3)橋本頼仁(2008)「身近なものの酸性・アルカリ性調. べ」RikaTan理科の探検1月号. ラの変化がわからなかったが,寒天型指示薬を用 いることでコカ・コーラのような色のついたサン. (高田 慎司 函館校大学院生). プルでも寒天を取り出すことによって色の変化を. (中村 秀夫 函館校准教授). 知ることができた。さらに,弱い酸性,弱いアル. (松浦 俊彦 函館校准教授). カリ性の判別を行うことができない点については pIIを7.0に調整した寒天型指示薬を用いること で解決できた。pHを7.0に調整したことで,弱 い酸性,弱いアルカリ性のサンプルでも色の変化 が正確に表れた。調整前の寒天型指示薬では変化 が見られなかった弱酸性,弱アルカリ性のサンプ ルも調整後の寒天型指示薬では変化が見られた。. 以上の3点より,そのままの葡萄ジュースよりも pHを7.0に調整した寒大型指示薬の方が優れた 指示薬であるといえる。. 寒天型指示薬の作成は,pHを調整した100% 赤ぶどうジュースと寒天を電子レンジで加熱した 後に冷やすだけである。そのため,非常に簡単に. 誰でも作ることができ,小・中学校の授業だけで. 50.

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