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高等学校家庭科における住居分野の教育内容とワークシート教材の検討

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Academic year: 2021

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(1)高等学校家庭科における住居分野の教育内容とワークシート教材の検討   教育実践高度化専攻 授業実践リーダーコース.       M07286A       平野 道子. 成した。. I.問題の所在  一般に日本の住宅は他の先進諸国に比べて、貧.  次に、高等学校家庭科住居分野に関する先行研. 困であると言われている。住まいは生活の器であ. 究を整理し,学習指導案とワークシート教材を作. る。適切な住まいなくして、安定した家庭生活を. 成した。. 送ることはできない。自分だけでは住宅の大きな.  本実践の前に,A高校において提案授業を実施. 改善を図れない高校生であっても住まいを人権. した。生徒への事前事後アンケートと毎時間の授. としてとらえ、住要求を明らかにし、自らが主人. 業アンケートを分析し、学習指導案、ワークシー. 公となって豊かな住生活を切り開いていくべき. ト教材の修正を行った。修正案を使用して現任校. である。そのために、学校教育における住居学習. で提案授業を実施した。事前事後アンケート、毎. は大変重要である。. 時間のアンケート、知識定着度テスト、生徒の実.  しかし、先行研究(岡村・宮崎・岸本2007ほ. 態アンケート、授業後の自由記述によるアンケー. ト、r住居」からの単語連想法、授業の記録を分. か)より住居分野を教えていない学校が多くある ことがわかった。これは主として家庭科における. 析した。他実践を行った比較対象学校の生徒への. 他分野と比較して必要性が薄いと考える教師が. アンケート調査結果と比較することから,本実践. いることや、教えるための知識を持ち合わせてい. の有効性を検証した。. ないといった教師側の問題である。.  さらに,ワークシート教材への生徒の記述に基.  さらに,高等学校における評価活動の現状につ. づいて評価基準を作成し,評価を実施するととも. いて、十分に行われていないことが先行研究(上. に,評価資料の修正を行った。. 羽・古都2006ほか)で明らかにされている。  以上より、教師側の教えにくさを軽減し、評価. 皿.研究の成果. 活動を行いやすくするため、すべての家庭科教師. 1.評価活動の現状について. が使える学習指導案とワークシート教材、評価資.  大阪府家庭科教師に行ったアンケートでは、評. 料を開発することにした。また,これらを活用し. 価活動をしていないと考える教師は少ないもの. た授業によって生徒にとっても理解が深まるか. の、その内容が評定に偏っていたり、関心・意欲・. どうか、実践を通して検討する。その上で、改善. 態度の評価方法が忘れ物調べであったり、学習活. した学習指導案とワークシート教材、評価資料を. 動の促進や指導改善につながらない評価活動が. 提案する。. 多いことがわかった。評価規準表やワークシート 教材を活用することによって、まずは観点別評価. 皿.研究の内容. を行うというところから、始める必要があること.  学習指導案の作成に先立ち、高等学校家庭科に. がわかった。. おける評価活動の現状と問題点をアンケート調. 2.学習指導案について. 査などから検討した上で,評価資料の形式案を作.  指導内容としては、学習指導要領を基本とし、. 一576一.

(2) 教科書会社の提案する1o時間程度で、人と住ま.  本実践の調査結果から、ワークシート教材、学. い、健康で安全な住まい、住まいと地域の3つの. 習内容全般に対しては好評で、生徒の理解も深ま. 柱で内容を構成した。. ることがわかった。しかし、受身の授業に慣れて.  まず「人と住まい」については、生徒一人ひと. いる現任校の生徒たちにとって、生徒参加型授業. りの住まいに関する意識や住要求を明確にし、住. や、自ら学ぶという形態はあまり受け入れられな. まいは家庭生活の基本であることを理解させる。. かった。以上の結果について教師問による差は見. 筆者の知る限り、生徒のプライバシーに踏み込む. られなかった。一方、比較対象学校との比較の結. からという理由で、よりよく住むためにどうすべ. 果、住まいは家庭生活の基本であるといった、住. きか考えるところについて、自分ではなく、一般. 居観については変わらない結果となったが、全体. 論で終わってしまう実践が多い。しかし、生徒や. 的に本実践は好意的に受け止められていた。. 社会の抱えるさまざまな住宅問題の改善のため. 5.評価計画について. には、まず自身の住生活を振り返る必要がある。.  高等学校における現状を考えて、エクセルのシ.  次に、「健康で安全な住まい」については比較. ートを活用した評定の手続きを中心とし、観点別. 的多くの学校で実践されているところである。. 評価を取り入れた評価活動となっている。生徒の.  最後にr住まいと地域について」、住まいは家. ワークシートヘの記述内容から評価基準の決定. 族だけではなく、地域、社会全体ともつながって. をした際には、本時の目標と評価規準の対応だけ. いることを自覚させる。住宅の取得は、自己責任. でなく、本時の目標とワークシート教材の問いの. だと考える人が多い中、日本の住宅制度の現状を. 対応、またB基準の解答例についても、横断的に. 知り、その制度の貧困さからくるさまざまな住宅. 検討しながら大幅に変更することとなった。その. 問題を知り、社会を変えることによって自身の住. 結果、評価活動が学習指導案、ワークシート教材. 宅を改善しようとする視点も必要である。. など教師の指導改善につながることがわかった。.  現在だけでなく未来も想定した内容とし、展望. 6.成果物. を持たせ、最終的にはすべての人々が快適な住生.  結果1∼5を踏まえ、学習指導案、ワークシー. 活を送るための改善への意欲、能力を育みたい。. ト教材、評価資料の修正案を提案した。.  指導方法としては、講義だけではなく、生徒が 主体的で、楽しいと感じることができるグループ. IV.今後の課題. 活動なども取り入れる。.  開発した学習指導案とワークシート教材,評価. 3.ワークシート教材について. 資料が教師にとって使いやすいかどうかの有効.  1時間完結を基本とし、わかりやすい資料とな. 性を検証するにはサンプル数が少なかった。. るように心がけた。生徒の考えを書かせる欄を必.  改善された実践をもって、もう一度、研究授業. ず設け、そこを評価することで、本時の目標が達. をし、生徒の住居観をも変えるような授業内容を. 成できたか分かるように工夫した。. 提案できているか、時間数にあわせた内容に精選. 4.研究授業結果について. されているか、わかりやすく使いやすいワークシ.  予備実践を行ったA高校ヘアンケートの実施. ート教材と問いになっているか、評価資料が受け. 結果から、ワークシート教材についてはおおむね. 入れられやすいためのとなっているかを検証し. 好評であることがわかった。教師主導型の授業よ. たい。. り、生徒参加型の授業で好評であった。授業時間.         主任指導教員  米田 豊. 数が予定時間よりも大きくオーバーしたので、内.           指導教員  永田 智子. 容を削減し、本実践を行った。. 一577一.

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