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長野県における景気の地域特性と需要構造

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Academic year: 2021

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長野児 における景気の地域特性 と需要構造

The Regional Speciality of the Business Conditions and

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1. も ん だ い 今回の国内景気の拡大は、 プラザ合意に伴 う、 いわゆる 「円高不況」のあ と、昭和61年 (℃6)末か ら始 ま り、内需主導型の成長軌道 に乗 って、戦後 最長の 「い ざなぎ景気」を も視野に入れてい る。 地域経済について も、景気拡大が内諾中心 の も のなるが故に格差は小 さ く、全国地 域に均需 して い るとい うのが公式的な認識であ る(.1) その間、長野県が属す る関東 (内陸 ・臨海) ブ ロックは基調が極めて強 く、 「明確な後退期がな い」 とされたが、 これは非常に広 域的に把握 され、 しか も東京の特殊 な影響下にあ る 「地域経済動向」 であって、県域 レベルに まで降 して観察するなら は差異が当然浮び上 って くる筈 である。 最近 、経 済の広 域化 ・グローバル化を強調する あ ま り、 「地 域」 とい う概念その ものが拡散 し、 実体 を見失ないかねない とい う状況がある。 本稿 で事例 として採 り上げた長野県の場合、今 次景気の立上 りは全国 よ り約半年の遅れがみ られ た、需要面では輸出がなお無視 し得ない役割を果 してい る、な ど内需に よる同時的拡大 とい うこと だけで律 し切れない側面が 目立 っているが、地 域 経 済固有の状況把捉にはその要因を追求す ること が有用 と思われ る。 (1)経 済企画庁 「景気拡大が浸透 した地域経済」 (平成2年地 域経済 レポー ト、同年4月刊) 2.

昭和

50年 代 後半 か ら最 近 まで の地 域 の景 況推移 戦後の 日本経済は既に10回の景気循環を経験 し、

井 正

Masayuki Usui

現在 は第11循環の拡張期に位置 している。長野県 下の経済 も基本的に これ と対応 した動 きを示 して いるが、後述す るような構造的特性に よ りか な り の差異がみ られ る。 昭和50年代後半、60年-かけての動 きは、横桟 工業への著 しい特化を背景に 「中位県」上 ランク の地歩を固めて きた長野県の地 域経済が、為替 円 安 を背景に輸 出シフ ト・メカ トロニクス指向の下 で一つの頂点に達す る過程であった。 す なわち、前 々回、全国の第9循環は、第2次 石油危機、強力な金融引締め等に よって55年春頃 か ら調整過程に入 り、当初短期間で終 るとみ られ ていたが、素材産業を中心に1年半 と予想外に長 引 き、 56年 夏場 までかか って一応 の 終了をみた

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「一番底」). しか し、世界同時不況 の深化か ら同年秋以降輸出の後退が 目立 ちは じめ、 この局 面 では機械工業を中心 に在庫再調整を余儀 な くさ れて、57年秋∼58年春にかけ 「二番底」 を形成す るに至 った。 この間の県下の動 きは特異 で、-舌底 の影響は 円安 ・輸出好調 もあって小 さ く景気の 「山

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ま全 国 より6カ月遅れて55年8月 とな り、拡張期 も3 カ月上回 る31か月に達 した。そ して、56年春す ぎ か らは上向 き傾向 さえ窺われた。 しか し、二番底 にかけては、内外需要、 ことに輸出の冷込みが機 械工業に大 き く響 き、 また、市場成熟が表面化 し た精密機械 の著 しい後退 もあって56年秋か ら57年 前半に急速な下降 ・悪化を示 した。 もっ とも 「谷」 は全国 より3カ月早 く、先駆けて底入れ してい る。 そ して、58年は、輸 出の好転に メカ トロニクス 化の進展が相侠 って、春先来、全国に先行す る形

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○長野県景気動向指数による短期循環 循 環 谷 転 換 点 (年 月 )山 谷 拡 張期 間 (月 数 )収 縮 全 循 環 全国 との ラグ .リー ド令 山 6 40.12 45.10 47.1 58 15 73 + 2 + 3 7 47.1 49.1 50.9 24 20 44 + 1 + 2 8 50.9 52.1ー 53.1 16 12 28 + 6 0 9 53.1 55.8 57.ll 31 27 58 - 3 + 6 10 57.ll 60,1 (62,4) 26 27 (53) -3 - 5 (注)1・ 「長野県景気動向指数」 (㈲長野経済研究所、経研 レポー トNa55ぐ 89/ 10>よ り作成)0 2. ( ) は暫定 日付。 3.全国 との ラグ ・リー ドは長野県の景気基準 日付か ら全国の 日付を引いた もので、十は ラグ、 -は リー ドを示す。 で工業面か ら急速な回復 ・上昇を示 し、59年にお おける空前の景気拡大 【長野県の全国的地歩 :蕊 工業生産指数 <水準>第3位、有効求人倍率 第 2位、工場立地件数 1位<三年連続 >、高額 申 告所得法人の社数 ・金額 の伸び 各1,2位】に つなが った。 ただ、 これが崩れたの も米国市場を中心 とす る 輸出の変調に よるもので、昭和60年9月のプラザ 合意による急激 ・大幅な円高に直撃された県下経済 は61年 にかけて混迷の色を濃 くし、製造業を中心 に大幅な人員整理 も目立 った。 この局面で景気の 「山」は全国に5カ月 も先行 してい る。 そ して、今回の景気拡大、第11循環を迎えるの であるが、 プラザ合意を契機に輸 出入 ・産業構造 の抜本的な転換 を迫 られた 日本経済は、61年11月 を 「谷」に して回復に転 じ、円高 ・低金利 ・原油 安の中で63年-かけて急拡大を示 し、絶好調 .と もいわた。 これを支 えたのは国内需要であ るが、 その内訳をみ ると,下記の如 くで①、②が回復初 期の牽引役 とな り、③、④が 自律的拡大の主役 と なっている。 ①住宅投資 (史上最低の金利水準に刺戟 され61 年度か ら、 まず これが盛上 った)0 ②公共投資 (62年度、減税を含む総額6兆円に 上 る緊急経済対策)0 ③設備投資 (やや遅れて製造業 で急回復)。 ④個人消費 (61年頃か らの '資産効果 .や所得 増を背景に、 まず首都圏での値嵩品の盛上 りが 目立つ)0 しか し、長 野県経 済においては、第10循環の 「山」が対米輸出の変調を主因に全 国に5か月 も 先行 し、 さらに第11循環の始 まる 「谷」 (底入れ) が62年4月 とここでは5カ月遅れ となるな ど既往 バターンとは異 った動 きが生 じてい る。 底入れの ラグについては、住宅投資に全国は ど の盛上 りが窺われなか った。個人消費 も資産効果 は稀薄で62年春す ぎか ら漸 く上 向いて きた。製造 業の設備投資は62年は若干なが らなおマイナスで 3年連続減か ら脱 していなか った (63年に急伸、 但 し、水準は59年 ピー クの6割程度)、な どの現 象が指摘 され る。 県下の景気回復を リー ドしたのは、根強い国内 需要の拡大 と輸出の回復 ・増大を背景 とした製造 業の立直 り (数量効果)に よるところが大 きい。 これに よ り、所定外労働時間の急増 一求人倍率の 著伸一個人消費の着実な拡大一設備投資の回復 と い う好循環が もた らされ、やや遅ればせなが ら63 年 にはか な りの好況感を享受す ることが出来た。 さて、平成元年か ら直近、 2年夏場-かけての 景況についてみ ると、 まず 、全国経 済は、景気拡 大が長期化す る中で景気の成熟化 とい う様相 (坐 産の高原状腰、物価は落着 き気味なが ら国内需給 が引締 り、経常収支黒字 もかな り縮 小。企業収益 率の上昇に頭打ち感) も現われて きてお り、 また、 春先には、円安、債券安,株安のいわゆる トリプ ル安現象の実体面-の波及 も懸念 された。 しか し、

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その間、基本的には設備投資 と個 人消費は引続 き 順調に拡大 してお り、元年秋か ら2年春-かけて の半年間でいわば中間的な在庫調整局面を脱 して、 再加速 の構 えで夏場を迎 えていた ものである。 その矢先、イ ラク ・シ ョックの突発をみたわけ であるが、本稿執筆の時点で帰趨 は全 く不透明で あ り、 これは評価の将外 とした。 この期間におけ る長野県経済の動 きは といえは、 元年後半か ら2年春先に、機械工業の主力である 電機、精密の調整的な動 きや企業 々賃の頭打ち傾 向、労働需給の逼迫など、やは り成熟期の様相が 窺われ、 とくに2年春先には製造業が一時減益に 陥 るな どして企業マイン ドの弱気化す る場面 もみ られたが、夏場-かけては再び急速な立直 り傾向 を示 した。 この背景には、 もとよ り国内経済の根強い拡大 があるのだが、県下の場合、 この振幅を もた らす テ コの役割を、なお輸出の消長が果 しているとみ られ るところに、その特異性が求め られ る。 (2) 「長野県景気動向指数

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、租長野経 済研究所)'89年10月第3次改訂基準、以下、 景気基準 日付は これに よる。 なお、前回改訂 (56/ 9)基準に よると、 第9循環の県下転換点は 「谷」53/ 1(対全 国㊨ 3)、 「山」56/ 12(同、㊨22)、 「谷」 58/ 1(全循環60か月、同0 4)と設定 され てお り、一番底は完全に無視できる形 となっ ていたが、当時の実感 としてはむ しろこれに 近 い ものであ った。 3.景 気 の地 域 特 性 とそ の 要 因 以上 の推移か ら窺われ るように、長野県におけ る景気の地域特性は、 プラザ合意のあった昭和60 年秋を境に、40年代か ら定着 して きた もの とは明 らかに異 った様相を示す ようにな っている。 すなわち、長野県景気動向指数などに よってみ るとと、既往は、全国に比べ①振幅が小 さいこと (上昇頭打ち ・底浅停滞型)、②転換点における 数か月の タイムラグの存在、が中長期的に指摘で きたが、第10循環には、先行性 と遅行性が錯綜 し た動 きになっている。 既往パ ターソの成立要因 としては、生産構造面 で農業の、支出構造面では財政の割合が比較的高 く、 これ らが緩衝の役割を果 して きた こともある。 また、 この間、生産活動の主軸 で ウエイ トが全国 水準を格段に上回る製造工業にあ っては、立地上 か ら素材産業が極めて少な く、機械工業-の特化 が基本的には比較優位に働いているが、反面、需 要 の大半を海外を含む域外に依存 して きている。 さらに、生産形態は下請的受注が大宗を占め上位 企業の在庫変動の上下が増幅的 な影響を及ぼす形 とな っていた。 か くして、地域の景況は、それ らに よって大 き く左右 され るようにな り、既に特性変化 の誘因を 内包 していたのであるが、プラザ合意に よる急激 ・大幅な円高が、輸出の変調を主因に既往パ ター ンを撹乱 し、なお、安定 した軌道を見出せない と い うのが現状 といえ よ う。 さて、長野県経済の基礎的条件を規定す る横道 については随時ふれて きたが、 ここで計数等を改 めて まとめておきたい。 (9県内生産所得に よる62年度産業構造 (全国 <歴年>) 第 1次産業 4.5

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第2次産業 42.30/0(37.20/0) 〔うち、製造業31.6% (29.0%)

弟 3次産業 56.9C/0 (63.90/0) (控除)帰属利子 3.7% (4.5%) 全 国に比べなお農業依存度が高いが、第2次 産業、就中、製造業の ウエイ トは全国を大 き く 上 回 り、 「製造工業主導型」 とな っている。 なお、59年度には製造業の ウエイ トは 35.9 % (全国29.8%)とピークに達 していたが、60 年度に34.5%、 61年度には32.1% まで急 落 し、 この年の県下経済成長率は

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l10/0(在庫 品評価調整前、同基準の全国㊨ 2.3%) と異例 のマイナスを記録 し、輸出依存度の高 い製造工 業への強い傾斜を裏付けている。 ②60年産業別就業構成 (全 国) 第1次産業 17.0% ( 9.2%) 第2次産業 38.0% (33.1%) 〔うち、製造業28,5% (23.9%)

第3次産業 44.9% (57.4%) 就業構造において も、第2次産業 ・製造業の ウ エイ トが著しく高い。反面、第3次産業 の低位が 目立つがこの比率は全国最下位の水準となっている。

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③鉱工業生産指数 (60年基準) におけ る付加価 値 ウエイ ト (全 国) 機械工業 72.70/o(43.90/0) うち、一般機械 17.8% (12.9%) 電気較械 36.30/0(17.90/0) 輸送機械 3.9% (ll.4%) 精密機械 14.6C/0( 1.6C/0) 製造工業 では橿械工業の ウエイ トが突 出 して お り、製造品出荷額等でみた機械工業比率 は62 年 に 64.8% (全 国 40.9%) で全 国首位 であ る。 ④最終需要 の生産誘発依存度 (60年長野県産業 く10・5兆円強 ) 連関表〕

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消 費 投 資 移輸 出 28.5 114.7 56.9 (全 国 57.9 26.8 15.3) 県下におけ る生産誘発依存度、つ ま り,各産 業 の生産が どの ような需要 に支 え られてい るか をみ ると、消費や投資 よ りも、県外の需要 であ る移輸 出 (農林業 ・製造業 な どの) に大 き く依 存 していることが明 らかであ る。

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, 地 域 に お け る需 要 構 造 の と らえ 方 以上みて きた よ うに、内需主導型 とされ る今回 の景気拡大局面 において、移輸 出に大 き く依存す ○長野県の輸出、同関連基本指標 る長野県の地域経済は、内需の増大 は当然 の こと として、 テ コとしての輸 出の役割 もなお無祝 し得 ない ものがあ った。 また、地域経済にあ って、 「内需 」は、単純 な 概念ではな く、移出に対応す る ′域 外内需 . と、 内発的な ′域 内内需 .に区分 して考 え る必要性が、 広域化 ・国際化の進行の中で、従来以上 に高 まっ てい るよ うに思われ る。 つ ま り、首都圏を軸 とす る全 国経 済の根強 い拡 大 が域外内需 として移出を刺戟 して い る反面、地 域 の純粋 な内需 ともい うべ き '域 内 内需 .に問題 が生 じていはす まいか、 とい うことであ る。 そ こで、本項では、県下の輸 出動 向、及び域内 内需 の視点か ら個 人消費、住宅建設 動向、につい て若干の観察を試みたい。 第一 に、長野県におけ る輸 出動向であ るが、経 済成長率、工業 出荷額な ど基本指標 を併せた、 こ こ10年 間の推移を まとめたのが次表 であ る。 輸出出荷額の伸 びをみ ると、50年 代後半 におい て 目立つのは、長野県経済が一 つの頂点に達す る 時期 とな った58、59年の年率 2割を超 え る著伸 で あ る。 そ して、 プラザ合意のあ った60年 に急激な 鈍化をみ るのであ るが、 この年 がいわば分水嶺に な ってい る。 年 次

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元 実質経済成長率鯛 1

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9 4.1 0.9 8.3 8.6 2.6

0,1 4.0 6.9 工 業 出 荷 額 増 加 率 鯛 `仝ゝ2.5 .14.4 10.5 4.5 10.0 16.9 4.9 ∠ゝ2.6 ∠ゝ1.1 10.7 8.5 輸出 出荷額増加率比 率 鯛鯛 ∠ゝl2.l.77 113.6.51 113.5.86 16.4.07 210.5.23 123.6.00 15.4.84 ∠ゝ14.9.80 ∠ゝ0.14.97 114.0.86 ∠ゝ513..00 海 外 立 地 件 数 15 27 21 12 10 14 13 20 13 9 13 (うち 、 工 場 ) (4) (ll) (3) (3) (3) (8)

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(12) (6) (8) 円相場 (円/ ドル) 305.15 203.60 220.25 235.30 232.00251ー58 2(刀.60 160.10 12

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氾 125.90 143.40 (荏)1. 長野県総務部情報統計課、同商工部振興課 (海外立地件数)、 日本銀行 (円相 場)0 2. 「実質成長率」 (在庫品評価調整前)のみ年度計数、他は暦年、 「円相場」 は直物終値 (東京市場)0 3. 「工業 出荷額増加率」は全事業所、 「輸出出荷額増加率」は従業員10人以上 の事業所 に かか る計数

「輸 出比率」 は後者基準 に よる輸 出出荷額/工業 出荷額。 4. 平成元年におけ る実数は、工業 出荷額 6兆 703億 円、輸 出出荷額 7,405億 円、 昭和63年 度におけ る県内総支 出 (名 目)5兆9,077億 円。

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すなわち、61年は0 90/Oとかつてない落込みを 示 し、62年 も僅かなが らさらに減少をみて、両年 とも工業出荷額が同時後退、 また、61年 (皮)に ついては地域経済全体がマイナス成長・(全国経済 はプラス<⑳ 2.7%>、在庫品評価調整前で㊨ 2.3 %)に陥 ることにな り、輸 出シフ ト-の構造的な 打撃が明白であ った。 そ して、やや遅ればせなが らかな りの好況感の 窺われた63年には、一転、輸出額、工業 出荷額 と も1割強の増加をみせたのであ るが、翌、平成元 年 の動 きは、輸出出荷額が減少す る一方で工業 出 荷額が好仲す るとい うこれ までにないパ ターンで、 内需転換を示唆 しているように もとれ る。 しか し、 それが充分 な ものでないことは、 2.の末尾で述 べた様に元年後半か ら2年春先を経 て夏場に至 る 景況の 「フ レ」が輸出の消長に よって もた らされ た とい う状況か ら説明できる。 さて、そ こで、 この間におけ る輸出の消長要因 に強い関心の持たれ るところであ るが、61年を中 心 とす る減退は、急激 ・大幅な円高の影響であ っ た ことは言 うまで もない。興味深いのは、その後 の回復 ・増大-の筋道である。60年秋以降の円高 進行-の適応過程で県下製造業七は、アジアNIEs

アセア ン、 さらには米本土- と生産拠点の海外移 行を本格化 したが、現地生産の立上 り局面におい て部品 ・設備等の需要が大 き く伸 び、 これが、折 か らの米国は じめ世界市場の拡大 と相侠 ってむ し ろ輸出需要を加速 させた ものである。つ ま り、 こ の段階 では、海外直接投資に伴 う輸 出代替や逆輸 入効果 よりも、輸出誘発効果が極めて大 きか った といえ よ う。 そ して、元年、再び減少をみ るのであるか、そ の要因は、一定の内需 シフ トと欧米におけ る現地 生産の本格化 に よるもの とみ られ、 とくに、電気 機械 の対米輸 出の減退が 目立 ってい る。ただ、そ の内情を窺 うと、電機業界では電算機周辺装置等 の一部品 目について、主要企業数社が先進 国市場 での現地生産比率を急速に引上げたのが主因 とみ られ る。 また、 これ ら企業は空洞化 回避のため同 時 に県内 ・国内工場での製品転換 ・思いきった生 産体制 の再編 を行 っている。 しか し、一方、その ほか多 くの品 目では、 アセアン市場を中心に機器 の現地生産 シフ トに伴 う誘発輸出がなお根強い動 きを示 してお り、直近の2年年央にかけては折か らの為替 円安 もあ って、生産の国内還流の傾向す らみ られた。 また、 この時期の輸 出復調には、東 欧向け等が加わ った市場拡大に よるところ も大 き い。 なお、61年前後に盛行 した生産拠点の海外移行 は、単なる円高対応か ら、いわば ′現地需要現地 対応型.に傾斜 しつつ、 この ところ一段落 してい る。 こ うしてみて くると、県下では、 リス トラクチ ュア リソグの本格化 している企業は出先工場を含 む大手が中心で、依然、多 くの加工組立型企業を核 とした外需依存度の高い経済体質を保持 している と言わ ざるを得 ない。 第二に、域 内内需の視点か らの考察であ るが、 まず、個 人消費については、平成2年夏場現在、 良好 な雇用 ・所得環境 と高級品指向な どライフス タイルの変化を背景に堅調な地合いを保 っている ものの、今次の拡大局面で全国経済にみ られ るほ ど積極的な役割 を果 してきたわけではない。すな わち、全 国ベースでみた個 人消費は、関東 (東京) を軸 として景気後退局面にあ った61年頃か ら既に 堅調を示 し、62年は一段 と伸 びを高めて現在 も高 水準を持続 してお り、その端緒は資産効果の リー ドす るところ大 とされたが、長野県では、 「消費 爆発」的な様相 は窺われず実体面-製造業 の立直 りと共に地道な所得効果を主因に漸 く回復 に向 っ た ものである。資産効果は さほ ど目立 ってお らず、 その後の地価上昇の波及に より若干は高 まったか も知れないが、その リー ドカは比較的小 さい もの とみ られ る。 なお、資産効果については、経済企画庁 の推計

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「構造調整の進展す る地域経済」 一 昭和63年 地域経済 レポー ト、 63.6.20刊 に よる) があ り、 これに よると、60年度個人所得 (都道府県県民所 得におけ る雇用者所得、家計の財産所得 、個 人企 業所得の合計) に対す る62年の 「土地資産増加割 合」は、全国1.298倍、関東2.937倍、東京3.197 倍 (61年3.658倍)、長野0

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098倍であ る。これ に株資産増加割合を加えた 「土地 と株資 産の増加 割合」は、それぞれ 1.410倍、 3.060倍、 3.334 倍 (同3.735倍)0.168倍 とな っていて、前記の 事情を跡付けている。

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次に、住宅建設 につ いて最近の傾 向をみ ると、 県下の新設住宅着工 戸 数 は、直近の平成元年度に 再 び増加に転 じピー クの昭和48年度に次 ぐ史上第 2位 (24.865戸) を記 録 している。 これは、後 半 におけ る金利先高観 の台頭 もあ ったが、都市 ・ 観光地を通 じてのマ ソシ ョソ建設の盛行 (元年暦 年 では前年 の 2.3倍) が 日立つな ど '分譲 .の著 伸 を主因に、当初の下押 し予想を覆 した ものであ る。 しか し、その内情 を窺 うと、例 えば、63年9月 か ら地価監視地域に な ってい る長野市 では、県外 か らの進 出業者を中心 に高層 マ ンシ ョンの建設が 相次 ぎ即 日完売 とい う状 況がみ られたが、購入者 の大半 が首都圏在住者 とい うことであ る.一方、 同市におけ る宅地供給 は非常に乏 しくな ってお り、 地元の通常の生活者 が一戸建を入手す ることは資 金面か らもかな り難 し くな って きてい る。 また、 昨年6月に県住宅供給 公社が西軽井沢団地の名称 で御代 田町 に開発 した宅地分譲37区画の抽選を行 ったところ倍率が26倍に も達 し、申込の8割方 は首 都圏在住老 か らの もの であった といわれ、地方公 共団体 に よる宅地分譲 の際、 こ うした事例が他地 域 で も散見 され る。 つ ま り、本来、地域 固有の需要 としての色彩が 濃い個 人消費、 あるい は住宅建設が、 いずれ も首 都圏地価の上昇を背景 に、一部は域外内需 に蚕食 され るな どして、域 内内需 としての ウキイ トを低 下せ しめ られてい る よ うに思われ る。

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む す び

内にあ っては著 しい東京圏一極集中、外に向 っ . ては国際化の進行 とい う状況の中で、 「地域」の 成立意義が動揺 し勝 ちにな っているが、一方にお いて、生活者の 日常的基盤 に原点を置 いた主体性 あ る地域経済社会-の希求はかえ って強 まってい る。 地域経済が徒 らに自己完結性を求 め ることが現 実的でない ことは言 うまで もな く、 それぞれの役 割を担いなが ら日本経済 のネ ットワー ク形成 に寄 与すべ きものであろ う。 日本経済全体の体質が内需主導に変化す る中で の長野県経済におけ る当面 の移輸出依存度の高 さ は、製造業特化 とい う役割分担 (これ までの選択) の反映 ともいえ る。 とはいえ、域 内内需の ウエイ トの低下 は、来 るべ き景気屈折 の局面 におけ る抵 抗力を弱め、 さなきだに脆弱 な地域 中主体性を後 退 させ ることにつなが る。 長野県経済は、 日本経 済の新 しい枠組みや制約 の中で最適の選択 に よ り地域 システ ムを改善 して ゆかねばな らないが、そ の際 、域 内内需の開発が 大 きなポイ ン トとなろ う。 この研究 ノー トでは資料的な制約 もあ り、設備 投資やサ ー ビス移 出 として注 目され る観光消費面 か らの考察を割愛 したが、 これ らの分析 を加え、 全体を僻撤 した上で、 「地域」 とい うものの概念 を問直す ことを今後 の課 題 としたい。 (1990.9.28受理)

【その他参考文献 】

経済企画庁 「年次経済報告」 (財)長野経済研究所 「経済月報」等資料類

参照

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