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『グリム童話集』注釈の試み(3)(KHM 4,5)

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『グリム童話集』注釈の試み(3) (KHM4,5)

Untersuchungen der Anmerkungen der Kinder-und

Hausmarchen der Bruder Grimm (3) Nr. 4 und 5.

KHM 4

Marchenvoneinem,derauszog,dasFiir -chten2;ulernen 「怖が ることを習いに旅にでた男の話」 1 AT 326 アールネ/ トムソンの分塀 で は、「本格昔話」 で 「魔法の話」 の中の 「怖い ものを知 りたが った %

%J

(TheYouth Who Wanted to Learn WhatFearls)にあた る。 それに よれば、 この タイ プの話 の構造は次の よ うにな っている1)0 I.怖 さの探索O怖 い とは何か知 らない若者が それを見つけに旅に出る。

.経験。彼は さまざまな恐ろ しい 経 験 を す る。(a)教会で悪魔 と トランプゲームをす る.(b)幽 霊か ら服を盗む。(C)絞首台の下 で、(d)墓場 で、 ま たは、(e)死んだ男の手足が煙突か ら落 ちて くる化 け物屋敷で、夜を過 ごす。(f)化け猫を退治する。 (g)継 ぎ合わ された死人 と九柱戯 (ボー リング)杏 す る。(h)幽霊床屋にひげを剃 って もらう。(i)悪魔 の指の爪を切 ってや る。

.

怖 さを学ぶ。結婚後、冷たい水をかけ られ た り、眠 っている間に、鰻を背中に入れ られて、 恐 さを知 る。 このタイ プの話は ヨー ロッパには広 く分布 して いるが、 アジア、 アフ リカには見 られない と言わ れ る乞). わが国では、 恐怖に耐えた者が宝を得た り、幸福をつかむ とい う 「宝化け物」(大成258) 「化け物寺」 (大成259)「化け物問答」(大成260) な どに同 じモチーフの一部が見 られ るが3)、 この

小 高 康 正

Yasumasa KOTAKA

タイ プの全体 と一致す るものはみあた らない よう である. 2 この話は初版 (

I

,1812)において 「ボ-リングと トランプ遊び」(GutKegeトund Kart・ enspiel) とい う題名で第4番に置かれたの が 最 初 である。第二版 (1819年) よ りタイ トルの 「怖 が ることを習いに旅にでた男の話」に 変 え られ た。それゆえ 「エー レンベル ク稿」には残 されて いないので、 ここでは初 出の話を紹介す る。 昔、年老いた王がいた。彼には娘がひ とりお り、彼女は この世で最 も美 しか った。 当時、王 は 「私 の古い城 で三 日間夜を明かす ものに姫を 嫁に取 らせ る」 と世に知 らせた。 そ こで家を出た貧 しい若者は考 えた。 「俺 が 命をかけてやろ う。 なに も失 うものはない さ。 うま く行けばた くさんのものが手に入 るし、 さ あ、何を考えているのだ。」 彼は王 の前に進み出て、城で三 晩明かす こと を申 し出た。王は 「お まえはなにか城の中に持 ってい くものを申 し出てもよい。ただ し、生命 のない ものに限 る」 と言 った。 「それな ら、彫刻台 と彫刻刀、旋盤 と火を下 さい。」 それ らがすべ て城-運び こまれた。それか ら 暗 くな り始 めてか ら彼は 自分で城 の 中 - 入 っ た。城 の中は初めの うちは何 もか も静かであ っ た。若者は火をつけ、彫刻台を刀 と一緒に彼 の 傍 らに置 き、旋盤の上に腰をかけた。真夜中近 くになると、がたがた とい う音が始 ま り、かす - 61

(2)

368 長野大学紀要 第17巻第4号 1996 かな音がだんだん と大 き くな り、 ドーン、 ウ ォ ーとます ますひ どくなってきた。 それか ら少 し の間、静かにな り、一本の足が煙突か ら落ちて きて、 彼 の 目の前に突 っ立 った。 「おーい、 も ういっち ょう、一本 じゃ足 りないぞ」 と若者は 叫んだ。新たに音が して も う一本の足が落ちて きた。 さらに もう一本 とつ ぎつ ぎに 落 ち て き て、9本にな った。「さあ、これで十分だ、 ボー リングす るのにち ょうどいいぞ、で もまだボー ルが足 りないな。」す ると ドタバクと騒 ぎ回 る 音が して二つ の頭蓋骨が落ちてきた。若者はそ れを旋盤 の上に並べて、回転 させて丸 くしたQ 「うま く転が って くれ よ。」 それか ら彼 は 足 の 方 も同様に して、 ボー リングの ピソの ように立 てた。「ひゃ-、 これは愉快だ。」 す ると二匹の大 きな黒猫が現われて、火の回 りを回 り、「ニヤオ、 寒いぞ、 寒いぞ」 と叫ん だC「おい、お まえたち、何を叫んでいるんだ。 火のそばに座 って、 暖 まれ よ。」 猫たちは暖 ま ると、 「相棒、 一つ トランプで もやろ うか」 と 言 った。「よし」 と彼は答えた。「で も ち ょ っ と、お まえたちの手を見せて くれ。 こんなに長 い爪を しているのか。 俺が切 ってやるよ。」 そ う言 うと、彼は猫たちの襟首をつかみ、彫刻台 の上に載せた。そ こで しっか りとね じで固定す ると、彼 らを放 り投げて死なせた。それか ら彼 らを運び出 し、城 の向かいの小 さな池に投げ入 れた。若者は猫をお とな しくさせ ると、 も う一 度火の所に行 った。す ると、た くさんの黒い猫 や犬が至 る所か らどん どん出てきて、彼は隠れ ることができなか った。猫や犬たちは彼 の火の ところにや ってきて、めちゃめちゃに引 っか き 回 し、完全に火を消 して しまった。そ こで彼は 彫刻刀を振 って、 「出ていけ、 な らず者め」 と 言 って、切 りつけた。大部分は逃げ、残 りは投 げて殺 し、 これ も池の中-運んだ。それか ら彼 は再び火の粉に息を吹いて火を起 こし、暖 まっ た。 彼は暖 まると、疲れが出てきて、隅にあった 大 きなベ ッ ドで横になった。 そ して彼が まさに 寝入 り込 も うとした とき、ベ ッ ドが動 き、城 の 中を走 り回 った。「こ りゃいいぞ、 もっとやれ」 と彼は言 った。す るとベ ッ ドは六頭 の馬が引 っ 張 っているように、敷居や階段を越 え て 走 っ た。「さあ、それ。」何 もか もひ っ くり返 って、 彼は下敷 きにな った。それで彼は枕 と毛布を放 り上げて出て きた。「行 きた け れ ば 勝 手 に し ろ。」彼は火のそばに行 き夜が明けるま で 眠 っ た。朝 になると王様がや ってきた。若者が横た わ って寝 てい るのを見て、彼はて っき り若者は 死んだ もの と思 った。「惜 しい ことを した」と彼 は言 った。 その言葉を聞 くと、若者は 目を覚 ま した。彼は王様をみると、起 き上が った。王様 は彼に夜は どうであったかをた ず ね た。「うま くい った よo一晩過 ぎれば、二晩 日は同 じよう に過 ぎるさ。」後 も同 じだ った。 しか し彼 に は も うどうなるかわか っていた。四晩 目には彼に 美 しい王女が与え られた4)。 3 初版の 「ボー リングと トランプ遊び」 の話 については グ リム兄弟の注釈はつけ ら れ て い な い。 第二版以後、現在 の話に変え られ た。 最 初 の 「ボー リングと トランプ遊び」 の話には化け猫や ボー リング、魔法 のベ ッドのエ ピソー ドは あ る が、現在の版に見 られ るような<怖 さを習 う> と い うモチーフは含 まれていなか った. その後、 グ リムの注釈では第二版

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年)の 「怖がることを習いに旅にでた男の話」を出す ま でに、 6編 の話が集め られている。そ の 中 か ら 「メクレンプル ク地方の話」 を もとに、 「シュヴ ァルム地域の- ソセ ソの話」を混成 し、 さらにカ ッセル近郊の 「ツヴェ- レ

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」 (ドロテ-ア ・フ ィーマ ン

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に よる) の話か ら 「死者を担いできて、ベ ッ ドで暖 める」 モチーフが取 り入れ られてで きた ことが言 われてい る。 第三 の額話 (正確な出所は明 らかにされていな い) では,若者はベ ッ ドで寝ている間に、仕立産 のおかみさんに水をかけ られ るO 第四の話 (これ も正確な出所は明 らかにされて いない)では、苦いチ ロルの男が怖 さを習いに出 かけるが、 ここでは幽霊が剃刀を持 ってきてひげ を剃れ と言 う。 この話には勝者である印に、死ん だ竜の口か ら舌を抜 き取 るモチーフが出て くる。 第五 のツヴェ- レンの話 (これ も ドロテ-ア ・ - 62

(3)

-フィーマ ンに よる)は、やは り怖 さを習いに世 の 中に出かけた鍛冶屋 の息子が、いろんな経験 のす え、財宝 を手 に入れ る。最後 に、 大 砲 の 音 を 聞 き、怖 さを知 る。 ここには ボー リングや トランプ は 出て こない。 第六のパ ーダーボル ンの炉話 (- クス ト- ウゼ ン家か ら得た もの) では、 この世 に怖 い ものはな い- ソスが、幽霊 の出る城 の中で 三 日間 寝 な い で、幽霊 と トランプな どして、退治す る。王様か ら褒美 として姫 を妻 に もら う。 しか し怖 さを習 う とい う結末がない。 また、 ひ とつ ひ とつ触れ ることが で きないが、 グ リムの注釈ではそれ ら以外に、様 々な メル ヒェ ソ ・伝説集 の中の類話がその番号やページ数 だけ であるが指摘 され てお り、初版を出 した後 も類書 には くまな く目を通 してい ることが伺われ る。 初版 の話 の出所 については

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年 の 自家版 の 本に 「ジーベル トよ り」 とい う手書 きメモが残 さ れ てお り、 これ まで この話は、 ジーベル ト、つ ま り、 カ ッセル近 くの トライザの牧 師の息子であ る フニルデ ィナ ン ト・ジーベル ト(Ferdinand Si -ebert

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に よるものであると思わ れ て いた5㌔ しか し、 レレケほ、 ジーベル トが グ リム 兄弟に書いた手紙か ら、彼が この話を送 ったので はない と判断 してい る。つ ま り

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年、初版が 出 された4週間後、 ジーベル トは本を送 って もらっ たお礼の手紙 に、「自分 の知 ってい る話 と ほ とん ど同 じだ」 と書 いていた6)。 そ こで レレケは この 「ボー リングと トランプ遊 び」 の話は、当時、 グ リム兄弟の カ ッセルの知 り合いであるフィ 1)ピー ネ ・エ ンゲル-ル ト(PhilippineEngelhard

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とい う女性詩人 の語 った ものでは な い か と推測 している7)0 先に述べた よ うに、その後 グ リム兄弟はい くつ かの類話を集め、第二版

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年)以降、 ジーベ ル トが送 り付 けて きた 口承に もとづいた話に< メ タレンブル クの話> とく ツヴェ- レン>の話 とを 混ぜた のである。 この混成 の話を ヴィル-ル ムは最初、『占い杖』 (Wiinschelruthe,Nr.

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とい う雑 誌 に公表 した8). これはべ -ケン ドル フのア ウダ ス ト フ ォン ・- クス ト- ウゼ ソ男爵 (August YonHaxthausen

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とその仲間たちが 発行 していた雑誌 であ る. グ リム兄弟は- クス ト - ウゼ ソ家 の人たちとも親交が あ り、多 くの メル ヒム∵/を手に入れ ているO この第二版

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年)以後 の話 (第七版 までの 変更は ご くわずかである)9)は ジャ./ル的に 見れ ば、「典型的なメル ヒェソ」か ら 「笑 話的 メル ヒェ ン」 に変わ っている10)。初版 の話 と第二版

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午)以後 の ヴィル-ル ムの手直 し を 比 べ て み る と、 タイ トルが変わ り、<怖 さを習 う> とい うモ チーフが加わ った。 また話 の内容に<不思議 さ> がな くな り、 この世 の出来事にな って伝説 の よ う な語 りにな ったo そ して全体的 にお どけた調子に 変 え られた。

KHM5

DerW olfunddiesieben jungen GeiLilein 「狼 と七匹 の子 ヤギ」

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AT

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アールネ/ トム ソンの分類 で は、「動物昔話」 の 「狼 と子 ヤギたち」。狼 が母 ヤギの留守 中 に や って きて、子 ヤギたちを食べ て しま う。母 ヤギが 狼 の腹 を切 り、子 ヤギを救 いだす11)0

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番 目の 「赤ず きん」 (Rotkappchen) も同系 統 の話だが、 こち らは AT

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「人食 い」 に分類 されてい る。 .日本 では 「天道 さん金 の鎖」 (大成

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)

が 同一 系統 の もの と考 え られ てい るが、い ろんなモチー フが含 まれ ているため、必ず しも一致 してはいな い。 また 日本 の頬話 では、 「三枚の護符」 や 「牛 方 山姥」 の よ うに、 鬼、 山姥、狼 な どに追われ、 逃 げてい くとい う 「逃寛 の条」が重要 なモチーフ とな ってお り、 こち らの方 は グ リムの話には見 ら れない とい う違い もある12)。 2 手稿

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年)第

6

番 「狼」 昔 々、一匹 のヤギがい ましたo そのヤギには 七 匹の子 ヤギがい ました。母 ヤギは出かけねば な らな くな り、子 ヤギたちに狼に注意 し、絶対 に家 の中に入れない よ うに命 じました。 まもな く狼が家 の前 にや って きて、言 い まし た。子供たち、私 を中に入れてお くれ、 お まえ

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370 長野大学紀要 第17巻第4号 1996 たちのお母 さんが帰 ってきたのだ よ。 しか し、 七匹 の子 ヤギは言いましたoぼ くたちのお母 さ んはそんな しわがれた声を していない よ。お ま えは狼だ、おかあさん じゃない。 そ こで狼は去 って、雑貨屋へ行 き、 チ ョー クを買 って、 もっ と声を きれいにす るために食べ ました。それか ら再び家に行 き、高い声で叫び ました。子供た ち、おかあさんを中へ入れてお くれ。 しか し狼 は足を窓にかけてい ました。そ こで子 ヤギたち は言いました。 ぼ くたちのおかあさんは黒 い足 を していない よ。だか ら中へは入れない よ、お まえは狼だか ら。狼は今度は粉屋の ところに行 き、粉星、俺の足に粉をかけろ と言 った。粉星 が嫌だ と言 うと、狼は食 うぞ と脅か したので、 そ うせ ざるを得 ませんで した。 (「粉屋,粉屋、おれの前足に、お まえの白い 勅 をつけて くれ !

「いいえ、だめだ よ !

「それ じゃ、お まえを食べ るぞ」)18) さて狼は再び家の前に行 き、中へ入れ るよう にたのんだ。子 ヤギたちは また足をまず見 よう とした。狼は窓の中-足をのば したので、足が 白いのが見えた。それで彼 らはおかあさんだろ うと信 じて、戸を開けに行 った。 しか し狼を見 るや、彼 らはできるだけ うま く隠れた。一匹は テーブルの下に、二匹 目はベ ッ ドの中に、三匹 目はか まどの中に、四匹 日は台所に、五匹 目は タ ンスの中に、六匹 目は大 きな鉢の中に、七匹 目は時計の中に隠れた。 しか し狼は時計の中の 一番未の子 ヤギ以外は全部見つけて、む さぼる よ うに飲み込んだ。 狼が去 り、母親が戻 って くると、一番末の子 ヤギは時計の中か ら飛び出てきて、起 こった こ とを全部話 した。 狼 の方は、腹いっぱい食べたので、線の草地 - 行 き、 日にあた って横にな り、 ぐっす りと眠 って しまった。母 ヤギは一番末の子 ヤギに、は さみ と針 と糸を取 って来 させ、狼 の大 きな腹を 切 ると、六匹の兄弟が無傷のまま飛び出した。 なぜな ら狼は まるごと飲み込んでいたか らだ。 そ の後母 ヤギは石 ころを取 ってきて、狼 の腹 の 中に詰め込んだ。そ して もう一 度 縫 い 合 わ せ た。狼は眠 りか ら目を覚 ます と、腹のあた りが 重苦 しく感 じて、言 った。腹 の中で ごろ ごろ鳴 っているのほ何だろ う。俺は子 ヤギを六匹食べ ただけなのに。狼はの どの渇 きをいやそ うと泉 を探 した。 しか し石の重 さのために、水 の中へ 落 ちて しまった。 そ して七匹の子ヤギは泉 の回 りで喜んで踊 った。 3 初版 (

I

,1812)以来、 メル ヒェソ集 の第 5番。 グ リム兄弟の注釈では出所については 「マ イ ソ地方 よ り」 と記 されているだけである. --ナ ウの- ッセ ソプフ ル ー ク家 (Fam

i

lie Hassenpaug) の 口承に従 って、 1810年以前にヤ ー コプに よってメモされた14)O この家 族 の 母 方 (旧姓 Dauphine) は フランスのユグノー出身で、 1798/99年に--ナ ウか らカ ッセルに 移 っ て き た。ユー レソベル ク稿 のテキス トには フランス語 の韻文が書 き入れ られ ていた (初版か らは削除 さ れ、注釈に入れ られた) ように、 レレケの推測に よると、「- ッセ ソプフルー ク家の姉妹は こ の 話 杏--ナ ウにいた幼年時代に聞いたのを思いだ し た。おそ らく彼女たちは部分的にフランス語を ま じえて語 ったのだろ う。」15) グ リム兄弟は ここで もい くつかの類話を注釈 の 中に取 り上げている。 「ボ ンメル ソ地方では、 母 親が出かけている間に、化け物に よって飲み込 ま れて しま う子 どもの話が語 られている。」(Grimm. S.[27].) この話は、 レレケに よると、 有名な女 倭- ソ リエ ッチ ・- ソデル ,シュッツ(Henriette Hendel・SchGtz1772-1849)に よってカッセルで 1806年以前に ヴィル-ルムに もた らされた もので ある16)

またボーナ-の33番 の話 (Boner,Nr.33)に 「母 ヤギが子 ヤギたちに、声を変えてや って くる 狼には気をつけて、中-入れ てはいけない と警告 す る」 ことが取 り上げ られてい る17)。 第四版 (1840年)か ら第五版 (1843年)にかけ てテキス トの大 きな変更がなされたが、 これは レ レケの明 らかに した ところに よれ ば、 ア ウ グ ス ト・シムテーパー (AugustSt6ber)の 「七匹の 子や ぎ」 のテキス トを手本 として変え られた もの である18)0 - 6

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4-1822年 の グ リム兄弟に よる注釈書 の私家版 に、 ヴ ィル-ル ムの 「シュテーパ ーの-ルザ ス地方 の 民 話、100ペ ー ジ、 七匹 の子 ヤギ、 上手 に語 られ てい る。 第5版 に利用」 とい う欄 外- の署 き込 み が残 され てい る19)。 レレケほ グ 1)ム とシ ュテーパ -の関係は ギ ブア ン ドテー クだ と考 えてい る. シ ュテーパ ーの民話 集 は1842年 に 出 され てお り、 当然 グ リ ム 兄 弟 の 『メル ヒェソ集』 も参考 に していた ことは容易 に 想 像 され る。 ヴィル-ル ムは版 か ら版 へ とテキ ス トを変 えてい く中 で、 自分 の趣 味 と経験 に よるだ け でな く、民衆 の語 りを重視 していた。 そ して シ ュテーパ ーは-ルザ ス地方 の方言 を用 いて忠実 に 記 録 してい る よ うに思われた点 で、 ヴィル-ル ム の注 目を引 き、 借用 した と考 え られ る20)0 (こたか やす まき 教授) (1996.1.9 受理) 注

1)AntiAarne/StithThornpson:TheTypesof ihe Folk-Tale.Helsinki81961 (FFC 184),S. 114.

2)Thompson,Stith:TheFolkiale,Universityof CaliforniaPress,1977,p.105.(S.トンプソン-荒 木博之他訳 『民間説話』社会思想社、昭和52年、上 165ページ)

3)関数吾 『日本昔話大成』 (第 7巻) 角川書店、昭 和54年、66-90ページ)

4)R611eke,Heinz (Hrsg.):Kinder・und Haus・ mdrchen.GesammelidurchdieBriEderGrimm. Vergrb'sserier Nachdruck der R=Weibd'ndigen Erstausgabeyon1812und1815,G6ttingen1986

,

S.14-17.

5)Vgl.Bolte/Polivka,Bd.Ⅰ,S.22.Scboof,Wilh・ elm :ZurEntstehungsgeschichtederGrimmschen Md'rchen,Hamburg1959,S.81・87.

6)R611eke,Heinz:>Mirchenvoneinem,deraus・

zog,dasFdrchten zu lernen.Zu tyberlieferung undBedetltung de忌 KHM 4<,、in: "Wo dos W ilnschennochgeholfenhat''JGesammelt eAu-fsd'izeA:ade72"Kinder-und HausmL2rchen''der BraderGrimm,Bonn:Bouvier1985,S.148. 7)Zbid.,S.148f. 8)Zbid.,S.152. 9)若者に<怖さ>を教えてやろうとした教会の管理 人が若者に焚 き落 とされて死ぬ箇所が、現在の版で は、単に足の骨が折れただけと変更 された。 10)R611eke,a.a.0.S.153.W.Berendsohn:Grund・

formenvolksiii7nZcherErzLi'hZhunstindellKHM derBraderGrimm,Hamburg1921,S.90. ll)AntiAarne/StithThompson,a.a.

0

りS.50. 12)閑散吾 『日本昔話大成』 (第6巻)角川書店. 昭

和53年、250ページ。

13) この部分のみ原文はフランス語。

14)Kinder-and Hausmdrchen= Ausgabe letgier HandmiidenOrlginalanmerkungenderBrZuer Grimm,hrsg.YonHeinzR611eke.3Bde.Stutt・ gart(PhilippReclam)1980.Nachweise.S.444. 15)R611eke(Bonn1985),a.aO.,S.77.

16)R611eke,Nachweise.S.444.

17)Die alteste Mdrchensammlung der Brilder Grimm. Synopse dellHandschrifilichen Ur-fassungyon1810anddeT・Ersidruckevow1812. Hrsg.vonHeinzR611eke.Cologny-Geneve1975. S.362. 18)R61leke (Bonn1985),a.a.

0

.,S.75-87.同様に KHM15「-ソゼルとグレーテル」 における場合 も シュテーパーの本か らの借用が見 られることが指摘 されている。 19)Ibid.,S.80. しか し、1856年の注釈版では、その ようなコメントは記されておらず、ただ他の文献 と 並んで、「ェルザス地方 よりシュテーパ ーの民話、 100ペ ー ジ」(EIsdssischesVolksbiichlein,StraBburg 1842,Mr.242,S.100f.)とい う記載 しかされていな かった。 20)Ibid。S.87.

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