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余震多発時の震度決定-1995年兵庫県南部地震の場合-

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験 震 時 報 第59巻 ( 1996 ) 27 --34頁

余震多発時の震度決定

-1995

年兵庫県南部地震の場合一

Seismic Intensity Determination of Ceaselessly Succeeding Aftershocks -A case of the 1995 Southern Hyogo Prefecture

Earthquakes-(Received December 1,11995:Accepted March 21.1996)

有本敏雄

Toshio Arimoto ~ I はじめに 気象庁では,震度観測を1991年4月 1日から順次体感 から計測震度計による観測に移行した.大阪管区気象台 管内の計測震度観測は, 1994年4月 1日より一斉に開始 された. 計測震度計で測定された震度は, 10秒毎に自動的に算 出され「ケイソク J電報として大阪管区気象台(以下: 地震津波予報中枢)に自動送信され, ETOS (地震津 波監視装置)に取り込まれるシステムとなっている. 1995年1月17日に発生した「兵庫県南部地震」において も,通信障害等となった震源に近い一部の宮署を除いて 震度が自動送信された 兵庫県南部地震では,短時間に数多くの余震が発生し たことから, リアルタイムに全ての余震を決定すること は出来ず,余震観測は暫定的な対応とならざるをえな かった. 各地の震度も同様で,余震自体が全て験測されていな いうえ,計測震度計も1つの地震に対して複数の「ケイ ソク J電報を発信することから,どの「ケイソク」電報 がどの地震に対応するのか「ケイソク J電報のみでの振 り分けはままならず,振り分けが可能なもののみ各地の 震度を暫定決定して情報発表せざるをえなかった. 本震から3週間ほど経った2月10日頃には,本震直後 の余震もほぼ精密験測が終了し震源決定された.また, リアルタイムで入電しなかった一部官署の「ケイソク」 電報も全てがETOSに取り込まれた. これに伴い,計測震度計の10秒毎の震度データを使っ た個々の余震に対応する各地の震度決定および暫定的に 情報発表していた各地の震度の総点検が可能となった. このことから,計測震度計の10秒毎の震度データを 育大阪管区気象台, Osaka District Meteorological Observatory 使って,体感震度時代には出来なかった過去に遡つての 各地の震度決定を試みたのでその手法と結果を報告する. なお,この作業によっで,暫定的に決定していた有感 余震数よりも81個 (42%増)新たに有感余震を決定する ことが出来た.これらの結果は気象庁としての最終決定 として採用されることとなった. ~ 2. 計測震度計の10秒毎の震度について 計測震度計では,時刻の正10秒で区切られた10秒毎の 震度を算出し トリガー

O N

(地震発生)となった10秒 間ブロックの前10秒ブロックを含む6ブロックを1地震 とし,各ブ、ロックの最大震度をその l地震の計測震度と して(第l図),また, 1地震の10秒毎の各ブロックの 震度を 3ケタの小数 2位までの震度値として通報(第 2 図)している.これらのデータが各地の震度として地震 津波予報中枢に「ケイソク」電報として入電しETOA

S

に取り込まれる.ただし,計測震度計は震度の算出・ 記録と送信が主な機能であり地震の区別はしてくれない. そのため,各地震に対応する各地の震度の決定は人によ る作業を必要とする. ~ 3. 震度決定のための作業経過 計測震度計の10秒毎の震度データを使って,各余震に 対する各宮署の震度の決定を行った手順を以下に述べる. 1 )通信障害等で自動送信されなかった「ケイソク」 電報を再送要求によってETOSに取り込む. 2) ETOSに取り込んだ「ケイソク」電報を編集し て,各官署の計測震度計の 10秒毎の震度データを官 署毎,時間順に並べ替える.第 l表に大阪の例を示す. 3 )余震の暫定決定では,本震に次ぐ余震は第2表の ように暫定 2,暫定 3,暫定 4のようになっている. その後の精密験測によって本震から暫定 2との間 に3個,暫定2と暫定3の聞に2個,暫定3と暫定 4の間にl個の地震が決定された. 円 i n ノ 臼

(2)

6

0

験 震 時 報 第

5

9

巻 第

3-

-4

号 強 制 ト リ ガ ー

OFF

60s

10 gal ACC(N/S) ー10 gal

60s

トリガー

ON

1地 震 第1図 トリガー判定と計測震度計の関係図 1地 震 この余震決定をもとに,各余震に対する各官署の 震度を決定するための表が第3..1表,第 3.2表であ る. 4 )第3.1表と第 3.2表は,縦軸に震源から近い順に 気象官署,一横軸に時間順に並べ替えた10秒毎の各宮 署の震度をプロットしたもので,上の部分に決定さ れた暫定余震と追加余震の発震時間,マグニチュー ド,震央地名そして決定した各地の震度を示したも のである. まず,各余震毎にP S走時を計算し P波の予想到 達時刻を目処に余震と余震の区別を行い, 10秒毎の 震度データを地震毎に区分けして線引きする. ( ー = 唱 輸 の 線 で 地 震 毎 に 震 度 を 区 切 る ) 次に,

S

波予想到達時刻と最大震度の出現時刻を 比較して見る. 第3.1図,第 3.2図,第 3.3図は,追加地震①, 追加地震②,追加地震③のPS走時曲線と最大震度 が出現した10秒期間との比較を示したものである. これによると最大震度の出現時刻は,

S

波の予想到 達時刻とほぼ一致していることがわかる. そして

S

の予想到達時刻と最大震度の出現時刻を 比較しながら,該当する地震の最大震度を選出決定 する.第3.1・2表において,

0

で囲ったものが採 用した震度である. 暫定的に情報発表していたものについては,この 結果と照合し最終決定とした. 5 )この余震に伴う各地の震度再決定作業は1月

2

4

日 の余震まで必要であづた. 1月

2

5

日以降の各地の震 度分布は,緊急震源決定により地震情報として発表 していたものと同じものとなり震度の再決定作業は 不要となった.

6) 1

1

7

5

5

6

分から

6

3

分の聞は

ETOS

に 地震波形が収録されず,この間の余震決定が出来な かった.この間,神戸の10秒毎の震度データでは, 震度IT=1回,震度1= 6回記録されているが詳細 不明で地震無しとした.また,神戸の10秒毎の震度 データでは,上記以外にも

5

5

1

分震度IT,

5

5

2

分震度IT,

6

2

8

分から

8

1

6

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1

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6

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P

S

走時からみると第

3

図の ようにほぼ

S

波の予想到達時刻と一致していた.余震と 計測震度データとの対応は良かった.第4表のように, この作業によって,

1

2

4

日までの有感余震数は

1

9

1

個 となり,それまで暫定的に決定していた有感余震数と比 べ

8

1

(42%

増)多く決定することが出来た. n 6 n L

(3)

61

lM08180 P007R107O R2

j

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30

余震多発時の震度決定

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こうした作業は,体感震度時代には出来なかったこと であり,計測震度計の有効性が証明された.一方,一部 の官署で計測震度が自動送信されなかったことから,計 測震度計の強化や通信手段の二重化等の改善が望まれる. なお,ここで求めた震度は,気象庁としての最終決定 として採用されることとなった. 「ケイソクJ電報説明図 第2図 17日5時46分から53分までの大阪で計測した 10秒毎の震度データを時間順に並べたもの 第1表

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S 00-10 10-20 20-30 30-40 40-50 50-u0 謝 辞 ETOSに入った各官署の「ケイソクj電報を10秒毎 の震度データとして官署毎に時間順に並べ変えるプログ ラムを和歌山地方気象台の石井嘉司氏に作成して頂いた. また,

P

S

走時計算は大阪管区気象台予報課の山根通正 氏作成のプログラムを使用させて頂いた.震度決定作業 Q U q r u n L 7 s n o n o -n u n h v 円 i n u

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(4)

62 験 震 時 報 第

5

9

巻 第

3-

.

.

4

号 第2表再験測によって決定された余震の発震時刻と マクゃニチュード及び震央地名

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=

本震安=暫定決定していた余震)

1995

1月 1

7

安本震

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5

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淡路島

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大阪湾

---邑---~‘'‘---‘---‘'‘'‘'‘'‘'‘'‘'‘'‘---‘'‘'‘--、---‘'‘--、,‘'‘--や本報告において大阪地震火山課竹内新主任技術専門官 にご指導を頂いた. なお,本報告文は

1

9

9

5

1

2

1

9

日に行われた「平成 7 年度大阪府気象研究会」に「兵庫県南部地震の余震に関 する計測震度計の

1

0

秒データを使った震度の決定」と題 して発表したものを,さらに検討し加筆したものである. 加筆にあたり気象庁地震予知情報課岸尾調査官,細野主 任技術専門官にご指導頂いた.この場を借りてお礼申し 上げる. 文 献 地震火山部(1

9

9

2

)

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0

型 震 度 計 に つ い て 測 候 時 報 第

5

9

巻第

l

号,

1

-35

30

(5)

-ゆ測精神事

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05H50M24. 05 M4. 9兵庫県東部 追 加 ⑤05H51M47.5SM4.4大阪湾

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(6)

64 験 震 時 報 第59巻 第 3--4号 第3.2表 10秒毎の震度データによる震度決定表

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H

m

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55-55

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大 阪

姫 路

和歌山

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京 都

徳 島

舞 鶴

高 松

豊 岡

岡 山

津 山

鳥 取

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彦 根 境 (0で囲った数字が採用した震度,小数第1位を4捨5入して使用 の区切りをつけている) 暫 定

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5

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兵庫県東部〉 日別有感余震回数比較表 第4表

1995

1

数 ¥ ¥ 日

19 20 21 22

暫定有感余震数

62 17 13

6 5 2 4

11 0

追加した有感余震数

42

9 6 10

4 6 3 81

有感余震合計

104 18 22 12 15 6 10 4 1

91

必 斗 a q δ

参照

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