著者
工藤 さくら
学位授与機関
Tohoku University
学位授与番号
11301甲第18391号
要約
本博士論文は、ネパールのネワール社会で伝統的に行われている初潮儀礼(バーラ・タエグ) が、出家儀礼(リシニ・プラブラジャー)に代わるという近年の変化に着目し、フィールドワ ークに基づいて、現代ネワール社会における少女の儀礼実践に関する宗教人類学的研究を行う ものである。 研究背景と目的 本研究における大きな「問い」は、ネワール社会における女性の地位の変化は、女性の儀礼 実践にどのような影響をもたらしたのかというものである。特に、成熟期の女性の儀礼は、女 性の身体の成熟や生殖能力、結婚といったジェンダーの問題と強くかかわっており、南アジア 研究においては、親族関係やカーストといった社会的要因は、女性の位置付けや意味づけを規 定するものと捉えられてきた。 宗教人類学における成人儀礼研究においては、儀礼は社会的に意味づけられるものというよ うに、社会性に焦点がおかれ、儀礼が個人的な目的や意図の上で行われているという視点が欠 けていた。人類学的ジェンダー研究でも、社会の措定は一義的な儀礼理解につながり、共同性 や単独性という視点における相互干渉的な場として儀礼を捉える視座の必要性が明らかであ る。仏教学における成人儀礼の研究においては、大乗仏教の儀軌研究のように、限定化された 領域で儀礼を捉えることは、政治や社会的変化、さらに、「近代仏教運動」のような新たな動きによる相互関係を見落としてしまうことにつながる。仏教学における教義研究において、新し い動きとしての《テーラヴァーダ》が見落とされてきた点も、系譜的な仏教の限定的な領域化 によるものであると指摘できる。 また、ネワールにかかわる民族誌的研究においては、カーストという視点が社会を規定する 大きな要因となってきた。ネワールの初潮儀礼は、社会的な性という点と、儀礼による状態の 段階的変化という点で、多くの南アジアの儀礼研究と類似性がみられる。儀礼は少女が女性と いう段階へ移行することを意味し、「(社会的に成人した)女性」という意味づけによって社会 的性の変化を認識させる。また、神との結婚による既婚性の付与によって、寡婦という状態の 不吉さが認識される。しかし、一方で、以下の課題が明らかになる。それは、社会的認知を可 能にする状況は、儀礼を行うカーストの生まれであること、そして、異なるカースト間のイン ターカーストによる結婚などがなく、十全な親族の状態であることが前提とされている点であ る。要するに、これらの研究はカーストを前提とした社会を想定しており、その社会範疇に当 てはまらない人々の実践が対象化されないという問題がおこる。さらに、カースト社会を前提 とした研究では、カーストに即した慣習に多く焦点が当てられており、個人による選択的行為 が、社会という枠組みの中で見えなくなってしまうのである。 本研究の枠組み これらの先行研究をふまえ、本研究は、ネワール社会の密教儀軌に基づく初潮儀礼が《テー
ラヴァーダ》の出家儀礼に代替するという事例を分析することで、社会的意味づけだけでは捉 えきれない、個人の主体性について論じ、儀礼受容が社会的な上昇や、付加価値をつけること につながるという視点を提供する。出家儀礼への参加者名簿の分析から、参加者の多くに、伝 統的な初潮儀礼を行う慣習のないネワールの低カーストが多く含まれていることが分かった が、彼らの儀礼参加は、カーストから逃れようとする行為や、伝統的儀礼の模倣ではなく、主 体的な行為として扱われるべきである。儀礼を行わないという選択がないのは、ネワール社会 における儀礼偏重の傾向が関係しているだけでなく、カーストや親族などの社会状況、経済合 理性、社会的上昇という目的が意図されており、「学位(degree)」というしるしを得るように、 主体的に選択されていると指摘することができるのである。 本研究では、ネワールを対象とした仏教研究で見落とされている《テーラヴァーダ》という 点を、一方で、社会人類学的研究で見落とされていた、「近代仏教運動」との接点を、初潮儀礼 から出家儀礼への変化という点に焦点をあてて論じることで、現代ネワール社会における女性 の新たな儀礼実践を報告し、当該社会におけるジェンダーの変化について明らかにしていくこ とを目的とする。 そのうえで、以下の点を課題として設定する。 ⑴ 儀礼がカーストを固定化し、格差を肯定するという点が「近代仏教運動」において否定的に 捉えられたにも拘らず、なぜネワール社会では、儀礼が否定されなかったのか ⑵ ネワールの儀礼受容の変化は、《テーラヴァーダ》であるから可能だったと言えるか
⑶ テクストを介した仏教の受容という点は、人生儀礼の志向に変化をもたらしたか そして、これらの点を明らかにしたうえで、人生儀礼を捉える新たな視点となりうる「学位 (degree)」としての儀礼という概念について論じていく。 研究方法 本研究では、⑴フィールドワーク、⑵文献研究を用いて課題の解決に至った。 まず、⑴フィールドワークでは、ネパールのネワール社会における儀礼実践の動態を捉える ために、長期調査を行い一次資料の収集に務めた。期間は、2013 年 7 月〜2016 年 4 月、2016 年4 月〜5 月、2016 年 11 月〜12 月、2018 年 1 月〜2 月にネパールの首都カトマンドゥのネワ ールの居住地域で行った。また、この他に、2011 年 7 月〜2012 年 3 月の修士課程在学中には、 語学習得のために現地に留学した。この間、ネパールの公用語であるネパール語と、ネワール の民族言語であるネワール語を習得している。フィールドワークでは、ネパール語を主に使用 し、ネワール語を副次的に用いることが多かった。 フィールドワークを行う目的には2 つある。ひとつは、ネワールの日常空間における、親族 関係、女性のあり方、儀礼、宗教実践、地域的つながり、カーストについての基本的な情報と、 「伝統」ととらえられている事柄について収集すること、そして、2 つ目は、《テーラヴァーダ》 や寺院がいかに生活空間にかかわっているのかという点についての情報を得ることである。 ひとつめのネワールのフィールドワークは、主に2 つのカースト・グループとの関係のなか
もう一つは、旧市街の周縁地域に居住する屠畜カーストである。調査地へは、住み込みではな く、調査地への通いによる調査を行なった。その理由として、不浄カーストにあたるカドギや、 低カーストとの交流は、他の上位カーストの人々にとってけがれという点で不具合を生じさせ るため、その点を配慮する目的だった。調査においては、ネワールの伝統を把握する目的で、 基本的には許可を得て、年中行事や、人生儀礼、葬送にかかわる儀礼を全て確認させてもらっ たが、家族のメンバーしか見ることができない儀礼や、グティと呼ばれる男性成員のみが参加 を許されている儀礼や宴会については、インフォームドコンセントが得られない限り調査は行 わなかった。 ふたつ目のネパールの《テーラヴァーダ》にかかわる調査では、カトマンドゥに位置するダ ルマキールティ尼僧院を中心にいくつかの僧院を訪問し、子どもたちへの人生儀礼に関わるフ ィールドワーク調査を行なった。また、インフォーマントの世帯の死者の17、18 回忌について の調査を行なった他、人生儀礼や死者供養にかかわる儀礼を《テーラヴァーダ》僧侶に依頼す る世帯にインタビュー調査を行なった。このようにして、ネワール社会に《テーラヴァーダ》 が当該社会にどのように関わっているのかについて基本的情報を収集した。 ⑵文献研究では、(A)理論研究、(B)民族誌的研究、(C)現地語の出版物の分析を中心にす すめた。 まず、(A)理論研究では、主に近代仏教や、ダルマ、そして世俗にかかわる研究を整理した。 特に、18 世紀〜19 世紀のヨーロッパにおけるインド学の誕生と発展にかかわる研究について
は、オリエンタリズム批判という視点をとらえるため奈良泰明・下田正弘編著による『仏教の 形成と展開』を参考にした。そのうえで、南アジアにおける「近代仏教運動」にかかわる研究 について、一次資料と二次文献を読み進め、研究史を整理し、「近代仏教運動」という視点につ いての理論的背景についてまとめた。また、儀礼にかかわる研究では、(a)宗教社会学、宗教 人類学における研究、(b)南アジアの儀礼研究における分析概念について整理した。特に、本 研究にかかわる「個」という視点にかかわり、田中雅一・松田素二による『ミクロ人類学』、常 田有美子『ポストコロニアルを生きる––現代インド女性の行為主体性』を参考にしている。 (B)民族誌的研究では、まず、ネワールの民族誌を中心に文献を集めた。特に、1950 年以 降のFürer-Haimendorf にはじまる社会人類学者による民族誌資料を中心に整理することで、現 代ネワール社会の概観を捉えることを試みた。ネワールの女性にかかわる記述は限られている が、民族誌やその他のテーマ論文から断片的に説明される事柄を収集し整理した。次に、ネワ ールの人生儀礼にかかわる研究報告を整理した。特に、ハイデルベルク大学の古典インド学の 共同研究Ethno-Indology シリーズの、Handling Death、Getting Marriaged、Growing Up の文献学 的研究、Zotter & Zotter らによる Hindu and Buddhist Initiations in India and Nepal からは多くの示 唆を得た。
最後に、(C)現地語の出版物の分析では、主に、(c)ネパールの《テーラヴァーダ》にかか
わる文献の収集とその整理、(d)ネワールの文化にかかわる現地の新聞記事や、書籍を収集し
や出家儀礼にかかわる経典的な記述について分析した。なかでも、ダルマキールティ尼僧院で 発行された書籍の分析では、尼僧や尼僧院の立場から《テーラヴァーダ》を捉えることが重要 な課題であった。また、本研究では、《テーラヴァーダ》僧院の発行する月刊誌『アーナンダ・ ブーミ』による記述の分析を行なった。(d)では、ネワール語の雑誌や新聞における記述から、 ネワール社会における文化的、政治的動向を捉える目的で整理した。 結論 結論として、親族関係と強く結びつくバーラ・タエグが、リシニ・プラブラジャーになるこ とは、親族関係にかかわる実践の変化と捉えられる。伝統社会において、親族関係は重要なも のと捉えられてきたが、儀礼に個人の志向が強く表れるようになり、より狭い範疇の家族や、 個人的な行為として捉えられはじめていると言える。リシニ・プラブラジャーでは、費用・時 間にかかわる経済合理的な理由のほか、親族関係における不都合や、インターカースト婚、国 際結婚などの個人の社会状況に対して解決策を提供することができる。さらに、儀礼が道徳的 意味を持つことで、そこに教育という価値が付与される。また、儀礼への志向は、ヒンドゥー 教や仏教という認識に従って行われているというよりも、具体的な慣習に対する個人的志向に よって選択されているといえる。しかしながら、一方でリシニ・プラブラジャーが《テーラヴ ァーダ》であるという点は、ネワール社会において特別な意味を持つ。《テーラヴァーダ》の普 及によって、パーリ語の経典を、学習(読む)ができるようになったことは、それまでのネワ ール社会でカーストという壁によって接することができなかった書物としての経典(三蔵)の
学習が、他のすべてのカーストに解放されたことを意味する。この読む・書くといった教育は、 ネパールにおける教育制度の整備によって、学校教育における方法や思考と類似するようにな った。このようなテクストベースの教育は、ネワール社会における人生儀礼に対する観念にも 影響すると考えられる。ネワール社会における女性の地位の変化は、社会的に「成人」したと 認識されるような、個人への受動的な意味づけという機能だけでなく、自ら、どの儀礼を選択 するかという主体的な行為によって、「教育」や育ちをよく示すという能動的な意味づけを与 える儀礼実践に変化をもたらしている。 本論文の構成 本論文は二部構成である。第一部では、ネパールの《テーラヴァーダ》を取り上げ、南アジ アにおける「近代仏教運動」の影響と、ネワール社会の「仏教」をめぐる再構築の動きついて 明らかにした。 南アジアにおける「近代仏教運動」は、ネパールの《テーラヴァーダ》の形成に、直接的・ 間接的に影響を与えている。南アジアにおける「近代仏教運動」には、ダルマパーラやナーラ ース、アンベードカルの思想にみられるような、ダルマを宗教(religion)ではなく思想と捉え る点や、平等、権利、科学、教育、個人の行い、そして義を重んじるといった共通点がみられ た。民主化期のネパールにおける仏教は、南アジアの「近代仏教運動」とゆるやかなつながり を共有しつつ、ネパール社会におけるダルマの改革を訴えている。仏教誌『アーナンダ・ブー
ミ』の分析からは、「仏教」というキーワードが、ネパールの民主化運動において、ヒンドゥー 教主義の政府に対する、非ヒンドゥーの人びととの間に強力な政治的結束力を生んだ一方で、 ネワール内部において、動物供犠などの要素を含むネワール仏教という自文化の抱える文化と、 不殺生を基本とする《テーラヴァーダ》の間に葛藤を生んだ。ダルマニラペクシャという言葉 をめぐっては、《テーラヴァーダ》の人びとは、仏教上の行いの違いによる内部分裂を避け、ネ ワールという民族の結束に配慮しようとする意図が明らかになった。次に扱った尼僧の「正典 の読み直し」では、特に欧米で展開したフェミニズム運動と連動し「仏教」をジェンダー平等 の立場から再建しようとする動きに影響され、ネパールの尼僧をめぐる《テーラヴァーダ》が 形成されてきたことについて論じた。ネパールの尼僧による「正典の読み直し/読み替え」に は、女性でも聖職者になれるという読み替えによって、女性の出家を後押しする点が特徴的に 読み取れる。他方、パリヤッティ教育やリシニ・プラブラジャーを通して、女性への、読み書 きを中心とする文字教育を中心とした教育という視点が当該社会にもたらされ、かつネワール 社会における女性の存在意義や、仏教的な方法で人びとの調和をはぐくむ「教養」の必要性が 伝えられていることが明らかになった。 第二部では、筆者の調査データをもとにネワールの儀礼について具体的な事例を取り上げて 分析を行った。バルチャレー祭の事例からは、ネワールの社会形態において父系親族を中心と する儀礼執行集団(Nw. guṭ hi)や父系親族(Nw. phuki)が大きな役割を果たしている点を明 らかにし、地域集団に根ざした地縁、親族集団にもとづく血縁、そしてカースト関係が伝統的
な祭りにおいて基本的な構造としてみられることを論じた。次に続く、女児の人生儀礼につい ても、伝統的儀礼における社会性や親族のかかわりにおいて、父系親族は大きな役割を果たし ている。しかし一方で、初潮儀礼であるバーラ・タエグの事例では、父系親族だけでなく、母 系の女性親族も強くかかわり、儀礼における重要な役割を担っていることが明らかになった。 少女は、隔離期間中、石遊びと化粧という、子どもでもあり大人でもある境界的な状況に置か れているが、結婚衣装を身につけ「成人」「結婚可能な」「寡婦にならない」という状態へと移 行する。これらの状態の変化は、儀礼におけるさまざまな文化的要素によって社会的に認識さ れる。 これに代わる《テーラヴァーダ》の出家儀礼であるリシニ・プラブラジャーの事例では、儀 礼のプロセスにおいて個人が強調される点が明らかになり、女性の新たな儀礼実践として捉え られることを論じた。まだ新しい儀礼であるリシニ・プラブラジャーは、方法や意味における 意味を十分に共有しているとは言い難いが、安価で早く済むという経済合理的な利点のほか、 生理の禁忌やカーストなどの伝統的慣習に対する新たな選択肢として多くの受容を得ている ことが分かった。リシニ・プラブラジャーの参加者名簿の分析からは、高カーストのヒンドゥ ー教徒と、初潮儀礼の慣習がない低カーストから多くの参加がみられることが分かり、そのほ とんどがネワールであることが分かった。高カーストにおいては出家儀礼を行うことは、子供 に箔を付けるための差異化や、カースト的な価値観におけるアドバンテージ取得という点が見 られ、低カーストでは、儀礼を新たに導入すること自体が社会的上昇を意図するものだという
ことができる。これらの結果から明らかになるのは、既存の慣習に対する目的的な選択がなさ れているという点である。先行研究において、リシニ・プラブラジャーが、通婚可能なカース ト以外の結婚の問題を解決し、母方のオジがいない世帯、経済的に協力的でなく伝統的慣習に おいてその役割を果たせない状況にある場合に選択されるという点が指摘されている点は説 得力をもつ。しかし、儀礼をしないという選択に至らない理由を考えた際、女性の教育という 点が意味を持つということが指摘できる。 《テーラヴァーダ》の普及によって、ネワール社会には、女子の教育の機会がうまれ、読む・ 書くという教育が広く受け入れられた。パーリ語の経典を、学習(読む)することができるよ うになったことは、これまでのネワール社会でカーストという壁によって接することができな かった書物としての経典(三蔵)の学習が、仏教徒以外のすべてのカーストに解放されたこと を意味する。そしてこれは、仏教徒であっても女性に許されてこなかった教育にも変化をもた らした。この読む・書くといった教育は、ネパールにおける教育制度の整備によって、学校教 育におけるテクストベースの教育方法と類似するようになった。この教育は、生まれというカ ーストの区別なく、一定の課程を終えるとすべての人に平等に評価が与えられる。《テーラヴ ァーダ》がリシニ・プラブラジャーという形で、ネワール社会に見出されたことは、女児が、 結婚や性的な対象以外での人生のあり方を、教育というイディオムで取り入れる機会となって いるということが明らかになった。 本論文の目次は以下の通りである。
はじめに 序章 研究背景と目的 0. 1. 問題設定 0. 2. 理論的背景 0. 2. 1. 宗教人類学における成人儀礼研究の概観 0. 2. 2. 人類学的ジェンダー研究における儀礼研究の概観 0. 2. 3. 仏教学における成人儀礼研究の概観 0. 2. 4. 仏教学における教義研究の概観 0. 3. 民族誌的背景 0. 3. 1. 南アジアにおけるネパールの概要 0. 3. 2. ネパールにおけるネワール社会の概要 0. 3. 2. 1. ネワールに関する研究 0. 3. 2. 2. 民族 0. 3. 2. 3. カースト 0. 3. 3. 南アジア、ネパール、ネワール社会における女性と少女 0. 4. 本研究の枠組み 0. 5. 研究方法
0. 5. 1. フィールドワーク 0. 5. 2. 文献研究 0. 6. 本論の構成 第一部 ネパールにおける「宗教」概念の動向 第一章 「近代仏教運動」とは 1. 1. 南アジアにおける「近代仏教運動」 1. 2. 思想家たちのゆるやかなつながり 1. 2. 1. ダルマパーラ、ナーラース、アンベードカル 1. 2. 2. 思想、合理性、科学 1. 2. 3. 新たなコミュニティーの創生 1. 3. 小括 第二章 現代ネパールのダルマ(宗教)をめぐる展開 2. 1. ダルマとその政治的変遷 2. 2. 1. ヒンドゥー専制政治の終焉と 62 年憲法〈1950-1990〉 2. 2. 2. 第一次民主化運動と 90 年憲法、内戦から王政廃止〈1990-2008〉
2. 2. 3. ネパール大震災後の混乱と 2015 年新憲法〈2008-2017〉 2. 3. 小括 第三章 ネパールの仏教と「近代仏教運動」 3. 1. 歴史的背景 3. 1. 1. 僧の妻帯化からジャートの発生 3. 1. 2. カーストの秩序化と人びと 3. 2. ネパールの仏教徒 3. 2. 1. 国勢調査データとその問題 3. 2. 2. マハーヤーナ、ヴァジュラヤーナ、テーラヴァーダ 3. 3. ネパールにおける「近代仏教運動」 3. 3. 1. 《テーラヴァーダ》の 2 つのながれ 3. 3. 2. 民主化運動と男性僧侶:政治性を孕む《テーラヴァーダ》 3. 3. 2. 1. ダルマパーラとの接触から民主化運動へ 3. 3. 2. 2. ヒンドゥー批判としての仏教 3. 3. 2. 3. 自文化への疑問 3. 3. 3. フェミニスト運動と尼僧:ビクニサンガ復興運動 3. 3. 4. 座学にはじまる女子教育
3. 4. 仏教をめぐる葛藤のなかのダルマニラペクシャ 3. 4. 1. ダルマニラペクシャ(dharmanirapekṣ a)とは 3. 4. 2. 仏教誌『アーナンダ・ブーミ』概要 3. 4. 2. 1. 刊行の背景 3. 4. 2. 2. アムリターナンダ比丘 3. 4. 3. ダルマニラペクシャの展開〈70〜90 年代〉 3. 4. 4. 意味の多様化 3. 4. 5. ネワール社会における葛藤 3. 4. 5. 1. マハーヤーナ対《テーラヴァーダ》の軋轢 3. 4. 5. 2. ネワール仏教の再構築 3. 5. 小括 第四章 ビクニによるダルマの再解釈「教養としてのダルマ」 4. 1. ネパールにおける《テーラヴァーダ》と尼僧 4. 2. ビクニによる正典の読み直し/読み替え 4. 2. 1. フェミニズム運動と正典の読み直し 4. 2. 2. ダンマワティ尼僧 4. 2. 2. 1. サーキャディターとビクニサンガ復興運動
4. 2. 2. 2. サーキャディター・ネパール支部の活動 4. 2. 2. 3. 出家の制度化 4. 2. 3. 日常生活を円滑にする「教養としてのダルマ」 4. 2. 4. 子供の教育と儀礼:リシニ・プラブラジャーの導入 4. 3. 小括 第二部 儀礼分析:ネワールの事例 第五章 ネワールの信仰形態 5. 1. ネワール略史 5. 1. 1. 古代〜中世 5. 1. 2. 近世〜現代 5. 1. 3. 現代ネパール社会にみるネワール 5. 2. ネワール社会における儀礼と親族:社会学的概観 5. 2. 1. 家族、親族関係 5. 2. 2. カースト間関係 5. 2. 3. 宗教と祭司 5. 2. 4. 女性の生活世界について
第六章 伝統的儀礼の社会性〔事例研究〕 6. 1. バルチャレー祭 6. 1. 1. 調査地概要:立地と社会集団 6. 1. 1. 1. ガネデョー・グティ 6. 1. 1. 2. ムワラジャー・グティ 6. 1. 1. 3. 葬送グティ(シー・グティとサナー・グティ) 6. 1. 1. 4. ナーサ・プージャー・グティ 6. 1. 1. 5. ディグデョー・グティ 6. 2. 祭りの内容 6. 2. 1. 祭りの名称と目的 6. 2. 1. 1. 祭りのながれ 6. 2. 1. 2. 参加義務と罰金 6. 2. 1. 3. 婚出女性の住まいへの巡行 6. 2. 1. 4. 米飯の共食 6. 3. 祭りにおける社会範疇 6. 3. 1. 慣習的区画(twāḥ ) 6. 3. 2. 儀礼執行集団(guṭ hi)
6. 3. 3. 親族集団(dewāli と phuki) 6. 4. 小括:地縁・血縁・カースト 第七章 女性と人生儀礼 7. 1. 儀礼書に基づく人生儀礼 7. 1. 1. ダシャカルマに基づく人生儀礼 7. 1. 2. 「3度の結婚」とその社会的意味 7. 1. 3. 葬送方法にみる少女の位置づけ 7. 2. セクシュアリティー、カースト、ジェンダー 7. 2. 1. 通過儀礼的説明と第一/第二の結婚 7. 2. 2. カンニャー女神からクマーリー女神へ 7. 2. 3. 先行研究における問題点 7. 3. 山地ヒンドゥーのグファ・バスネ(入窟儀礼)との対比 7. 3. 1. 生理の観念:不浄(cipa)と不触(moju) 7. 3. 2. 出血の思想と生き神クマーリー女神 7. 3. 3 クマーリー・プージャー 第八章 初潮儀礼から出家儀礼へ:初潮と成人〔事例研究〕
8. 1. 初潮儀礼:バーラ・タエグ(bārha tayegu) 8. 1. 1. バーラ・タエグの逐語的意味と歴史的背景 8. 2. 儀礼の内容 8. 2. 1. 初潮の前兆と認識、空間の準備・連絡 8. 2. 2. けがれの観念と浄化、行為・食事の規制 8. 2. 3. 儀礼を守護するバーラ・キャーの民話と邪視 8. 2. 4. 子供であることと大人であること: 石遊び(チャーガチャ・ブヒユー)と顔パック(クォ)の象徴性 8. 2. 5. 母方親族の役割 8. 2. 6. 「太陽との結婚」とシンドゥール 8. 2. 7. ブェ(儀礼食・宴会)と親族からの贈与 8. 3. 教育と民族言語 8. 4. 小括:不浄と困難の共有 第九章 初潮儀礼から出家儀礼へ:社会的上昇としての儀礼〔事例研究〕 9. 1. 出家儀礼:リシニ・プラブラジャー(ṛṣiṇī pravrajyā) 9. 1. 1. 調査地概要 9. 1. 2. リシニ・プラブラジャーの逐語的意味と歴史的背景
9. 2. 儀礼の内容 9. 2. 1. 1 日目:道徳教育の重要性 9. 2. 2. 2 日目:布施の施与 9. 2. 3. 参加者・ボランティア女性・尼僧の認識の違い 9. 2. 4. 菩提心がない子供への教育 9. 2. 5. 参加者と尼僧のやりとりから 9. 2. 6. ネパール大震災後の変化 9. 2. 7. 「わたしは慣習を知らない」尼僧の立場 9. 2. 8. 勉強する(読む)ことと言語を学ぶこと 9. 3. 出版物から見るリシニ・プラブラジャーの位置づけ 9. 3. 1. 尼僧院の活動とリシニ・プラブラジャー 9. 3. 2. 教本の内容の変化 9. 4. 参加者名簿の分析 9. 4. 1. 参加者名簿の概要 9. 4. 2. 総合的な結果 9. 4. 3. 行われる月・曜日について 9. 4. 4. カースト分類の分析 9. 4. 4. 1. シュレスタ
9. 4. 4. 2. カドギ 9. 4. 5. 儀礼の終了と宴会(bhwe) 9. 4. 6. 参加者の様々なケース 1)浄カーストと不浄カーストのインターカースト 2)浄カーストと浄カーストのインターカースト 3)三女のみリシニ・プラブラジャー 4)一人っ子はかわいそう 5)短時間で済む、だから良い 6)リシニ・プラブラジャーは現代的なやり方 7)親族関係など親の都合で 8)バーラ・タエグでもリシニ・プラブラジャーでもなく 9)儀礼の意味を説明する必要性 9. 5. 小括:先行研究における指摘をふまえ 終章 人生儀礼への志向:「学位(degree)」としての儀礼 10. 1. 総括 10. 1. 1. 第一部の要約 10. 1. 2. 第二部の要約
10. 2. 考察 10. 2. 1. 人生儀礼の代替からみえること 10. 2. 2. 「学位(degree)」としての儀礼 10. 2. 3. 三つの課題について 10. 2. 4. 大きな「問い」について 10. 3. 本論文の意義と展望 10. 3. 1. 民族誌的貢献 10. 3. 2. 理論的貢献 10. 3. 3. 展望:結言にかえて 儀礼表〔バーラ・タエグとリシニ・プラブラジャー〕 参考文献 謝辞 <資料編> 語彙集 暦、月齢、曜日 ネパールの《テーラヴァーダ》寺院ネパールのヴァジュラヤーナ寺院(bahā, bahī)
年間行事・儀礼表